平成30年9月定例県議会 発言内容(花岡賢一議員)


◆花岡賢一

   

 今年度より展開されております長野県総合5カ年計画、しあわせ信州創造プラン2.0の冒頭、阿部知事の決意を示した一文の中に、「未来は今、私たちが何を為すのかにかかっている。」の一行が見てとれます。これは、マハトマ・ガンジーの言葉として引用されているのですが、総合5カ年計画においても、国連で採択されたSDGsとの整合性をとっているように、今を生きる世代が責任を持って次世代へとつないでいかなくてはならない重要性と行政を牽引していく責務をあらわしているものと考えられます。

 私たち人間が生活を営む際には少なからず環境に影響を及ぼしてしまう中、持続可能な開発目標を達成するべく日々努力を重ねていかなくてはなりません。
 本県におきましては、平成26年、27年、28年とごみの排出量が全国一少ない県として努力を重ねてきたところではありますが、過去10年の推移を見ると、平成20年のトップ5入りから右肩上がりに順位を上げてきている内容を見ることができます。ごみの排出量削減に対して長野県内できっかけとなった事柄があればお示しいただきたいのと、全国ランキングに目を向けると、長野県と同じように、右肩上がりで順位を上げている県に滋賀県があります。また、熊本県を見ると、高水準を保ってはいるものの、順位が安定していません。むしろ順位を下げた年も見てとることができるのですが、長野県が1位を継続していくためには他県の分析も必要と考えますが、状況を把握されておりましたらあわせてお示しください。
 また、ごみの排出量の少なさが日本一となった要因について、市町村の取り組みが大きく寄与していると考えられますが、基礎自治体の行政単位で進めている効果的な取り組みとして家庭から出される水分を多く含む生ごみの水切りの啓発や分別収集の徹底、堆肥化、家庭用生ごみ処理機の購入補助などがありますが、それらの取り組みに対して長野県はどのようにかかわっているのでしょうか。
 第4次長野県環境基本計画において、2020年度に、県民1人1日当たりの一般廃棄物の排出量を795グラムとする目標を示していますが、県としてはどのような取り組みに力を入れていくのでしょうか。施策展開などがあれば、お示しください。
 あとミニトマト2個分のキャッチフレーズで行われているチャレンジ800ごみ削減推進事業の取り組みには一般廃棄物の削減が重要であることは、政策の展開上、また、ごみの排出量の削減の意識の向上を図る上でも理解するところではありますが、廃棄物の総量を減らすのであるならば、産業廃棄物に対しましても積極的なアプローチをとっていかなくてはなりません。
 そこで、産業廃棄物を処理する目的のほかに、再利用を目的とする制度として産業廃棄物再生利用指定制度を取り上げております。この制度は、再生利用されることが確実である産業廃棄物のみの処理を業として営んでいる事業者を都道府県知事が指定する、そのことで産業廃棄物の処理業の許可を不要とするものであります。物を再生し利用する営みは、環境に負荷をかけてしまう人間の日常生活に対して時代がマッチしている制度の一つと考えることができます。この指定制度の現状を見ると、長野県内では余り進んでいない状況はありますが、その原因として、再生利用施設においては悪臭などの苦情が発生しているケースが上げられます。食品残渣に対する長野県としての所見などがあればお示しいただきます。以上、環境部長にお伺いいたします。
 また、SDGsなどの持続可能な社会を目指す機運が高まっている中で、廃棄物のさらなる意義について知事の御所見をお伺いいたします。
      

◎環境部長(高田真由美)

 

 順次御質問にお答えいたします。
 初めに、全国一となりましたきっかけの事象及び他県の状況についてでございます。
 県内では、平成20年度から22年度にかけて、ごみ減量化に有効とされます市町村によるごみ処理の有料化が進んだことで、県民の間にごみ減量の意識が高まり、ごみ排出量が減少するとともにランキングも上昇したものと推察しております。
 さらに、市町村で分別回収の徹底を進めたほか、県が事業者や市町村と協働してレジ袋削減や食品ロス削減を県民に呼びかけてきたことにより、こうした取り組みが浸透し、平成26年度以降ランキング1位が継続できているものと考えております。
 ごみ排出量の少ない他県の状況につきましては実施施策の調査などを行っておりますが、どの県もレジ袋の削減、食べ残し減量、広報紙やホームページによる啓発など、本県と同様の取り組みを行っているところでございます。
 続きまして、市町村の取り組みに対する県のかかわりについてでございます。
 議員御指摘のとおり、市町村では生ごみ削減に関するさまざまな取り組みを行っております。例えば、堆肥化につきましては、およそ4割の市町村で、生ごみを専用のごみ袋などにより分別収集をし堆肥化を進めておりまして、住民に無料または格安で配布している市町村もございます。こうした市町村の取り組みにつきましては、地域振興局ごとに設置を予定しましたチャレンジ800実行チームにおいて市町村や関係団体の皆さんと情報共有をし、地域の共通の取り組みにつなげているところでございます。
 また、市町村職員を対象といたしました一般廃棄物処理実務セミナーを開催し、県内外の先進事例を紹介するなど効果的な施策をより多くの市町村に取り組んでいただけるように技術的支援を行っております。今後も、こうしたことにより、市町村の取り組みを後押ししてまいりたいと考えております。
 続きまして、県として力を入れる削減の取り組みについてでございます。
 一般廃棄物の削減に向けては、食品ロスや事業者から排出される紙ごみがなかなか減らないなどの課題がございまして、市町村でもそれぞれ削減に向けた取り組みが行われております。県では、特に食品ロスの削減に力を入れておりまして、具体的には、小盛りメニューの導入やばら売り、はかり売りなど食品ロスの削減の取り組みを行っていただける飲食店や宿泊施設、小売店等を協力店として登録すること、宴会での食べ残しを減らす「残さず食べよう!30・10運動」の県民の皆様への普及啓発、消費期限、賞味期限間近の値引き食品の購入は、環境に配慮した行動であることを小売事業者と連携して消費者に呼びかける「信州発もったいないキャンペーン」の実施などに取り組んでいるところでございます。
 このほか、廃棄物を単純に処分するだけではなく、地域の中で資源として利活用を進めるため、例えば、生ごみ等食品廃棄物につきましては堆肥化し、農業の活用を図り、地消地産につなげていくといった地域循環圏の構築を地域振興局ごとに検討しているところでございます。
 引き続き市町村や関係団体などと連携を図りながら、県民の皆様とともに廃棄物の削減に取り組んでまいります。
 最後に、産業廃棄物の食品残渣に係る再生利用についてでございます。
 産業廃棄物である食品残渣の再生利用につきましても、循環資源の活用の観点から有効な方法であり、推進していくものと考えております。再生利用業につきましては、営利を目的とした処理ができないことなどから、指定業者は少数にとどまっておりますが、営利目的での処理が可能な産業廃棄物許可業者によっても堆肥化等による再生利用の促進が図られております。
 しかしながら、一部の再生利用施設では、不適正な処理などにより地域住民の皆様から悪臭などの苦情が寄せられている事案がございます。こうした施設につきましては、地域住民の皆様に受け入れられるものとなるように立入検査を行うなど、適正な処理をしっかりと指導し、食品残渣の再生利用の推進に努めてまいります。
 以上でございます。
      

◎知事(阿部守一)

 

 持続可能な社会を目指す機運が高まる中で、廃棄物のさらなる削減の意義についてどう考えるかという御質問でございます。
 まず、本県は3年連続で日本一ごみ排出量の少ない都道府県となりました。市町村初め県民の皆様方の日ごろの御尽力のたまものということで、心から感謝を申し上げます。
 廃棄物の削減は、大量生産、大量消費、大量廃棄を基調とした社会経済システムやライフスタイルを見直して、環境への負荷が少ない持続的な発展が可能な循環型社会の形成を目指すものであります。また、廃棄物の削減は、SDGsの観点からも重要な取り組みだというふうに考えております。
 例えば、食品ロスの削減は、フードバンク活動などを通じて子供たちの貧困対策に寄与するものであるほか、廃棄物の処理コストの削減や地域循環圏構築に伴う新規ビジネスの創出など、経済面でのメリットも有するものであります。そういう意味で、この廃棄物の削減というのは、まさに環境社会、経済、こうした課題を統合的に解決していくという観点で、まさにSDGsの本質的な取り組みに大きくかかわるものというふうに考えております。
 現在、食品ロスの問題や事業者から排出される紙ごみなどの一般廃棄物の削減が重要な課題というふうに認識しております。今後、市町村とも問題意識や方向性を共有しながら、廃棄物のさらなる削減に向けてしっかりと取り組んでまいります。
 以上です。
      

◆花岡賢一

 

 さまざまな取り組みの成果として、ごみの排出に対して県民の意識を向上させていかなくてはならないと感じますし、それに向かっていかなければいけない課題であると考えます。
 いろいろなお話をお伺いする中で、恐らく他県でも同様な現状があると思いますが、ごみの排出量は800グラム、その付近に収束してくる現状があります。これ以上の削減をすることを乾いた雑巾から水を絞る作業と表現されるケースもありますが、排出量の少なさ日本一を達成し、維持していくこと、その先を考えると、他県よりぬきんでる政策の展開が求められる、それを求めていかなくてはなりません。そのためにも、排出されたごみを資源として地域の中でできる限り循環させる、先ほど触れていただきましたが、地域循環圏の構築が最も重要であると考えます。
 全ての食品ロスの中、約半分は家庭から排出されています。その中の30%から40%は生ごみ、さらにその生ごみの80%は水分と言われています。そのような現状の中、先ほど述べましたが、家庭用生ごみ処理機を使うと、容積だけでも5分の1に減量することが可能で、乾燥の度合い、調整次第では肥料として使うことができます。まさに乾いた雑巾から水を出す手段と考えることができます。家庭内での意識が向上し、生ごみがある程度乾燥した状態で家庭外に出されることができたならば、まさに捨てればごみ、生かせば宝の考え方につながり、循環型社会の構築に向かう手だてとなり、ごみの排出削減はさらに進みます。
 また、平成9年の法改正によって創設された再生利用認定制度は、廃棄物の減量化を推進するため、生活環境の保全上支障がないなどの一定の要件に該当する再生利用に限って環境大臣が認定することにより、処理業及び施設設置の許可を不要とするものとあります。その中で、食品残渣は、腐敗や揮発によってその性状が変化し、生活環境の保全上支障が生じるおそれのあるものとされていますが、生ごみの水分を飛ばしてしまったら腐敗も揮発も起こらず、性状の変化も起こりません。規定されている状況が起こり得ないとしたら、資源として活用される範囲はさらに広がりを見せることは間違いありません。
 加えて、再生利用指定制度で規定されている再利用されることが確実である産業廃棄物を食品残渣と捉えると、廃棄するごみととるか、循環する資源ととるかは明らかになってきます。さまざま申し上げましたが、長野県で推進している地域循環圏の構築は、まさにこの理想の姿を示すものであり、一般廃棄物、産業廃棄物と分けるのではなく、再生させ、利用していく時代の到来を予感させられます。より一層の政策の推進を提案申し上げまして、質問を移ります。
 中小企業振興について、産業労働部長にお伺いいたします。
 県議会の中でもさまざまな意見が交わされてきた条例の中の一つとして中小企業振興条例があります。目的として、地域経済の活性化や地域社会の持続的発展に資することを目的とする中で、2014年に制定されておりますが、同様の条例を制定している市町村は長野県に4市町しか存在していません。また、県が条例を制定する以前に定められているのは、2000年に諏訪市、2001年に信濃町だけで、県条例が制定された後に定められたのは、2016年に小諸市、2017年に池田町という現状があります。経済団体から中小企業の振興に関する条例の制定を求める、そのような要望があった中で、意見や要望、現状の共有が図られた後に県条例が制定されたと考えますが、県と市町村において理念などを共有しながら中小企業施策は進められているのでしょうか。また、連携した施策展開は具体的にどのような事業が上げられるのでしょうか。
 長野県の中小企業振興条例は、労働団体の役割を定めています。中小企業振興となると、会社ないしは企業を主体に考えがちでありますが、労働団体について明記されている条例は長野県と石川県だけであります。企業の振興のためには人材が最も重要であり、働き方改革の推進を進めるべきと考えることはできますが、所見をあわせてお伺いいたします。
      

◎産業政策監兼産業労働部長(内田雅啓)

 

 順次お答えをいたします。
 まず、県と市町村による中小企業振興施策の実施についてでございます。
 長野県中小企業振興条例では、中小企業は産業発展の原動力であり、地域に密着して地域社会を担う重要な存在であると位置づけております。
 また、議員御指摘のとおり、多くの市町村においても、名称は異なっているものの、中小企業振興を柱とした商工業の振興条例等を制定しておりまして、こうしたことから、県と市町村が理念を共有し、相互に連携しながら次世代産業の創出や創業などの施策を推進しております。
 施策を進めるに当たっては、情報や課題等の共有が不可欠であることから、共同で設置した協議会や企業誘致等の連絡会議などを定期的に開催し、意識を合わせ、一丸となって推進しているところでございます。
 次に、具体的な事業についてでございます。
 まず、次世代産業の創出といった観点からは、南信地域での航空機産業クラスター形成において、土地の提供や建物の改修などお互いに役割分担をしながら拠点の整備を行うとともに、特区に関しても共同で事業を実施しております。
 次に、商店街振興の観点からは、空き店舗対策として市町村は物件の掘り起こし等を行い、県では出店希望者とのマッチングを行うとともに、市町村が行う整備補助に対して県も上乗せ助成を実施しております。このほか、創業の観点からは、市町村は創業支援計画を策定し、県では円滑な実施に向けた助言を行うとともに創業応援減税などの支援策を市町村施策とあわせて創業者に活用いただいております。今後は、医療機器分野におきましても、企業の参入や集積に市町村と連携して効果的に進めてまいります。
 次に、働き方改革の促進についてでございます。
 条例では、中小企業における労働環境の整備を明記しておりまして、働きやすい労働環境整備や多様な働き方制度の導入が重要であると認識してございます。このため、県では、経済団体や労働団体などと連携し、長時間労働の是正や年次有給休暇の取得促進などに取り組むとともに、短時間勤務制度や在宅勤務など柔軟な働き方制度の導入支援を行い、働き方改革に取り組む企業の普及拡大を進めてきました。あわせて、条例では、中小企業の人材育成確保についても規定されておりまして、国際競争の激化や人手不足が深刻な時代、中小企業の持続的発展のためには、働き方改革を進め、人材の確保や定着を図ることが有益と考えております。
 今後は、経営者みずからが参加する先進企業の事例研究会の開催、企業内のワークシェアリングやテレワークの導入促進、就業者に対するリカレント教育やスキルアップ支援の実施など一層働き方改革を推進してまいります。
 以上でございます。
      

◆花岡賢一

 

 お答えいただきましたけれども、航空分野であったり、医療であったり、長野県の特色がある産業を伸ばしていただくようお願いさせていただければと思います。
 各市町村との連携、条例を制定した県としてさらなるリーダーシップを発揮していただきたいことを要望すると同時に、強い理念で牽引し、実効性を伴う施策の展開を強く願い、質問を終わります。