平成30年2月定例県議会 発言内容(今井愛郎議員)


◆今井愛郎

   

 信州・新風・みらいの今井愛郎です。昨年、一般質問で取り上げたLGBTを広めるための講演会、中央線の利便性向上に向けた取り組み、諏訪湖浄化などに積極的に取り組んでいただけることを表明していただいたことに感謝申し上げます。が、昨年9月、職員の飲食を伴う懇談会等への出席が全額自己負担となっていることを取り上げた際、全て自己負担というのはいかがなものかと思う。他県の状況等を調査した上であり方を検討していきたいと答弁いただきましたが、その後の検討状況について、総務部長にお尋ねしておきます。

 続けて、新年度に向けて4項目質問させていただきます。
 一つ目、県職員の採用等についてですが、4月入庁予定者については、北海道のように辞退者が6割を超えることもなく、予定どおりと聞いて安心しているわけですが、両角議員の一般質問の中にもありましたように、県の技術系職員の確保は厳しさを増していると聞きます。が、県内市町村では、技術系職員がいない市町村があり、今後も増加するばかりと思います。そんな市町村を支援していくのも県の責務かと思います。県が技術系職員をふやし、今まで以上に県内市町村を支援できる体制を構築していくことが必要であると考えますが、企画振興部長のお考えをお尋ねします。
 また、県はIターンを促進していますが、昨年公表された第8回人口移動調査によれば、長野県に住んでいて、長野県で生まれた人の割合は83.7%。大ざっぱに言えば、16%がIターンと言うことができます。ここ数年、県職員のIターンと思われる採用割合はおおむね10%から13%前後と聞きます。県がもっと積極的にIターン採用に取り組むことは、県内の人手不足感を和らげ、採用が厳しい技術系職員確保にもつながると思いますが、総務部長のお考えをお尋ねいたします。
 二つ目、産業支援策について産業労働部長にお尋ねします。
 信州ものづくり産業投資応援条例の一部を改正する条例案が提出されていますが、県外だけでなく地元企業にとっても有用な支援策であることは理解しています。しかし、リーマンショック後と違い、人手不足の長期化が予測されている今、以前と同じまま雇用増を条件として制度を存続させることは時代にマッチしていない部分もあると思いますが、要綱の変更等についていかがお考えですか。
 また、茅野市に半導体大手が1,000人の雇用創出をしてくれることになりました。誘致成功を手放しで喜ぶ行政関係者がいる一方で、戦々恐々としている地元経営者が多いのも事実で、大手は中間管理職を求めており、自社のキーマンが待遇の違いから転職するのではないか、厳しい雇用情勢で人材の補充ができないのではないかといった心配があるからです。企業誘致の結果として頑張っている地元企業が苦しい思いをしては本末転倒です。有効求人倍率の向上にばかり目を向けて就業支援に力を入れてみても、大手の進出で求人がふえても、生産年齢人口の減少が続く現状を鑑みれば、数十人規模の企業へは、就業支援だけでなく、生産性の改善を直接支援していくことが急務と考えますが、いかがお考えですか。
 三つ目、諏訪湖環境研究センター(仮称)ですが、この施設は、新設ではなく、既存施設を活用すると聞きます。となると、設置場所はかなり限定されると思います。諏訪湖浄化の始まり、クリーンレイク諏訪への設置はいかがでしょうか。建設予定のスマートインターチェンジから近く、近隣には、プロが選ぶ観光食事施設トップ5にも選ばれたSUWAガラスの里さん、諏訪市原田泰治美術館、諏訪湖漁業協同組合などがある上、なぎさの整備も行われています。敷地も広く、わかりやすい場所にあるセンター設置の適所と思いますが、環境部長はいかがお考えですか。
 四つ目、健康ポイント制度研究事業についてですが、逗子市では、健康増進ポイントやボランティア参加ポイントを地域ポイントカードのポイントとして市民に発行し、地域経済の活性化に寄与しています。地元で循環させることは県が進める地消地産にも寄与していくと思いますが、今回の制度研究に当たり、県内にある地域のポイントカードを活用していくことができないものか、健康福祉部長のお考えをお尋ねします。
      

◎総務部長(小林透)

 

 新年度に向けた取り組みについての御質問に順次お答えをいたします。
 まず、職員が懇談会等へ出席する場合の費用負担のあり方の検討状況についてでございます。
 昨年12月に、この1月を期限といたしまして、全ての都道府県を対象に、他団体主催の懇談会等に職員が出席する場合の公費負担の状況を照会いたしまして、現在、28都道府県からの回答を得て、結果を取りまとめているところでございます。
 現時点での中間的な取りまとめの概要を申し上げますと、28都道府県中24の団体で公費負担ありとの回答がございましたが、その一方で、4団体が公費負担なしと回答してございます。また、公費負担ありの場合、支出科目を交際費とする団体が多いというふうに見てございますが、負担金等とする団体もございました。さらに、支給対象職員は、多くの団体において特別職や部課長など一定の制限を設けてございますが、必要かつ最小限の出席者としている団体もございました。また、上限額は定額とする団体もございましたが、その一方で、社会通念上妥当と認められる金額、あるいは実費としている団体もございました。
 このように、各県の規定やその運用状況はさまざまであるというふうに考えられますことから、引き続き、現在回答のない団体を含めてさらなる情報収集に努めるとともに、その分析などを進める中で負担のあり方について研究してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、職員採用のIターン就職の促進についてでございます。
 近年のいわゆる売り手市場や今後の学生数の減少など、職員採用の環境が厳しさを増していくというふうに考えられる中で、県といたしましては、人事委員会とも協力いたしまして、来年度の採用試験の実施に向けて、いわゆるIターンやUターンなどの県外の受験者の確保にも積極的に取り組んでいるところでございます。
 具体的には、各部局や人事委員会とも連携、協力して、試験説明会については、13回のうち5回は東京、京都といった県外で開催し、また、学生説明会や合同企業説明会については、33回のうち20回は東京、大阪、愛知などの県外で参加してございます。
 これらに加えまして、特に、御質問の技術系職員の職種につきましては、職員の出身の県外大学などを職員が個別に訪問いたしまして、研究室等を介して学生にアプローチすることなどにより、学生の皆さんに業務の魅力や職員としてのやりがいを直接伝える中で、さらなる受験者の確保に努めているところでございます。
 また、平成24年度から社会人経験者の採用を本格的に行っているところでございますが、大都市圏の移住希望者など県外で既に就職されている方、あるいは社会に出られている方に向けまして、相談会への参加や電子メール、SNSの活用による情報発信にも力を入れている中で、採用者の約3割がIターンとなっているところでございます。
 議員御提案のIターンによる県外者も含めまして、優秀で多様な人材を幅広く確保することは、組織の活性化のみならず地方創生の観点からも重要であると考えてございまして、引き続きそうした人材の確保に向けて積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 以上でございます。
      

◎企画振興部長(小岩正貴)

 

 技術系職員の確保に関する市町村支援についての御質問でございます。
 県と市町村との協議の場や町村会との意見交換などさまざまな場におきまして、市町村で技術系職員の確保に苦労されている状況をたびたびお聞きしております。県としましては、これまでも、限られた人員の中、毎年、技術系職員を市町村に派遣し、支援してきたところでございますけれども、こうした対応に加えまして、保健師につきましては、平成28年度から市町村と共同での採用募集の情報発信や就職ガイダンスなどを開始しましたほか、保育士につきましては、昨年5月に市町村などの求人と求職者とのマッチングを行う人材バンクを設立したところでございます。
 また、県・市町村事務連携作業チームでは、道路、橋梁の維持管理や法定点検に係る事務の一括発注、また、消費生活センターの共同設置など、具体の事務の連携によって技術系職員がいない市町村の負担を軽減する方策も検討しております。
 市町村の業務が円滑に遂行できるよう、県職員の派遣も引き続き行う一方で、事務の連携、市町村間での人材の共同確保の方法など、市町村とともに多面的に検討していく必要があると考えているところでございます。
 以上でございます。
      

◎産業政策監兼産業労働部長(土屋智則)

 

 2点御質問をいただきました。
 初めに、信州ものづくり産業投資応援条例における雇用要件の継続についてでございます。
 しあわせ信州創造プラン2.0では、信州創生戦略の方向性を引き継ぎ、人口の社会増の実現を重点目標に掲げておりまして、若者を初め多様な人材の転入、定着に向け、企業誘致、投資促進などによる雇用の場の創出は極めて重要であると考えているところでございます。
 加えて、新規求人数に占める正社員の割合は現在約40%にとどまっておりまして、条例では、正社員の増加を要件として雇用の場を創出していること、また、今回延長に当たり実施した市町村との意見交換等におきましても、Uターンなど若者の雇用に向けた誘致推進等の御意見をいただいていることなどから、雇用要件を含め、現行制度について継続してまいりたいというふうに考えているところでございます。
 一方、御質問の中にあった事例も含めまして、県内の中小企業にとって人材確保が最重要課題であることは強く認識しているところでございます。人材不足が企業等の発展の阻害要因にならないよう、企業誘致、投資促進にあわせ、今後、新たに長野県就業促進・働き方改革戦略会議の設置によりまして、地域ごとの求人ニーズ等を踏まえた取り組みの推進、インターンシップマッチングフェアの開催による若者の県内就職の促進など、人材確保には力を入れて取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
 続いて、中小企業の生産性改善への支援についてでございます。
 現在策定中の長野県ものづくり産業振興戦略プランでは、知、技術、共創による生産性革命を旗印といたしまして、成長期待分野への進出、AI、IoTの利活用による生産性の向上などを掲げ、高付加価値型産業への体質転換を目指しているところでございます。
 具体的には、新たに設置するIoTデバイス事業化開発センターによる技術開発や、産学官連携共同研究による航空機、医療機器などの次世代産業分野への進出を促進してまいることとしてございます。工業技術動向調査によりますと、企業のAI、IoTの導入に関する関心が高いという状況にございますことから、来年度から、新たに生産現場IoT化支援事業によりIoTを活用した生産性向上を図るモデル工場を創出し、その普及を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
 このような取り組みによりまして、新商品や新サービスの創出、品質や生産工程の改善、向上など、企業収益に結びつく付加価値向上のための支援を徹底して進めてまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
      

◎環境部長(関昇一郎)

 

 諏訪湖環境研究センター(仮称)の設置場所についてのお尋ねでございます。
 研究センター設置に関しましては、県有施設だけではなく、諏訪湖周辺市町の公共施設も含め、既存施設の活用を前提に検討していきたいと考えております。
 設置場所の検討に当たりましては、まずは研究センターで行う業務内容、必要な人員、設備等を検討し、必要な規模を算出してまいります。次に、立地や改修費用など条件に見合う施設を選定し、メリット、デメリットを整理した上で2019年度までには設置場所を決めていきたいと考えておりますので、現時点で特定の箇所を想定してはおりません。
      

◎健康福祉部長(山本英紀)

 

 健康ポイント制度における地域のポイントカードの活用についてのお尋ねであります。
 県民の健康づくりを推進する上で、健康への意識が低い方や、重要性を理解はしていても行動に結びついていない方がいることから、そういった方々への対応は喫緊の課題と考えております。そこで、新年度は、健康無関心層を含め、より多くの県民に健康づくりの取り組みへの参加が得られる手法として健康ポイント制度を研究することとしております。その際、議員御指摘のとおり、地域経済の活性化の観点からは、地域商店街のポイントカードやボランティア、社会参加のポイントカードと連動させることは有効な方法の一つであると考えております。
 ポイントによる特典を得ることのみが目的化することのないよう留意しつつ、多くの方が取り組んでみようと思える魅力的な内容や、さらには意識や行動の変容につながるかどうかなどについて、市町村関係者を初め、企業関係者、保険者などさまざまな分野で知見をお持ちの皆様と検討を重ねてまいりたいと考えております。
 以上であります。
      

◆今井愛郎

 

 検討を続けていくことが多いと思いますので、引き続き前向きな検討をお願いしておきたいと思います。
 続いて、教育に関連してお尋ねします。
 過日、銀座の公立小学校で高級ブランドの制服を導入することが話題になりました。県内の公立小中高等学校ではあり得ないことかもしれませんが、制服に対する原山教育長のお考えと、県として制服の価格や選定方法のガイドライン、その周知方法についてお尋ねしておきます。
 続いて、2月20日の日経新聞に、原山教育長の教員の働き方改革推進に関する取り組みが記事掲載されておりました。共感できる部分も多かったわけですが、記事に関連して、一つ目、教員の長時間勤務が社会全体のマイナスになることを全ての世代の常識として定着させたいとのことですが、学校と接点がない方々にどのように定着させるおつもりですか。
 二つ目、PTAの協力といっても、近ごろはPTA活動に否定的な家庭もふえている上、働き盛りで多忙なPTAにどのような協力を求めていくおつもりですか。
 三つ目、私の地元でも20年近く登下校の見守りを行っていますが、当初はボランティアのはずが、いつの間にか義務化し、最後は自治会役員の負担になっています。過度に地域協力を求めると逆効果になると思いますが、いかがお考えですか。
 四つ目、堀内議員の質問にもありましたが、高校にまで部活動の週休2日制が検討されているそうです。高校の部活動にまで導入することは私はいかがなものかと思いますが、以上4点、原山教育長にお尋ねします。
 続けて、高校改革についてですが、1月19日で2回目の地域懇談会が終了しました。その中で、一つ目、旧12通学区ごとに協議会を立ち上げるとのことでしたが、諏訪地域では協議会の人選について同窓会より熱い要望がありました。人選についていかがお考えですか。
 二つ目、旧12通学区ごとにあり方を検討すると県全体の統一感がなくなる可能性がありませんか。
 以上、原山教育長にお尋ねいたします。
 さて、地域懇談会で、高校再編は歳出削減のためだけに行われるとの意見がありました。高校の保健室にエアコンを設置するだけで6年かかったことを踏まえれば、生徒から要望が強いトイレ洋式化には10年以上かかると言わざるを得ません。高校改革を成功させ、多様化する教育ニーズに応えていくには、財政が厳しい時代にあっても、教育内容の充実、校舎等の環境整備等の充実と、高校改革に必要な予算は措置するといった予算編成権を持つ知事の強いメッセージが必要と思いますが、阿部知事のお考えをお尋ねします。
      

◎教育長(原山隆一)

 

 教育に関して、まず制服に対する考え、ガイドラインについてのお尋ねでございます。
 まず、制服の状況でありますが、県内の公立小学校では制服を採用している学校はございません。中学校では183校中178校、県立高校では79校中40校が制服を採用しているところであります。
 制服のあり方については各学校で適切に判断すべき事柄ではあるものの、その選定に当たっては、経済的負担が過重なものとならないこと、児童生徒や保護者、学校評議員等の意見を十分反映させることなどが必要だというふうに思っております。
 県では、制服採択に係るガイドラインは特段設けておりませんが、例えば、県立高校の夏用、冬用合わせた制服の価格の平均は男女とも5万円程度でありまして、生徒や保護者の意見を踏まえた過重な負担とならない適切な採択が行われているというふうに考えております。
 県内の公立中学校におきましても、そのような観点で採択しているものというふうに考えておりますが、引き続き同様の配慮を求めてまいりたいというふうに思っております。
 続いて、学校の働き方改革についてでありますが、学校と接点が少ない方々への定着というお話であります。
 働き方改革そのものは、働きやすい環境を社会全体でつくることを目指すもので、全ての県民にかかわる課題であり、学校における働き方改革もまた社会全体の動きの中で進めていくものだというふうに思っております。学校における働き方改革は、学校で担うことが当たり前とされてきた業務の見直しや、長時間働いて頑張ることを評価する価値観の変革等理解を進めていくことが必要であるというふうに思っております。
 県においても、企業等を含め、幅広い方々とオール長野県で働き方改革を進めていこうとしている中であります。県教育委員会としても、関係部局と連携して、県民全体に理解が広がるように、さまざまな機会を捉えて発信してまいりたいというふうに考えております。
 続きまして、PTAの協力であります。
 2月に実施いたしました第1回の学校における働き方改革推進会議で、PTA代表の方からはこんな御意見をいただきました。保護者は学校の現状についてわかっていない。小さな単位でいいので、車座になって先生たちの忙しさについて考え合う会を持ってはどうかという御意見でありました。このような学校ごとの取り組みを大切にしたいというふうに考えております。
 例えば、一定時刻以降の留守番電話対応を仮に実施したとすれば、戸惑う保護者が出てくることが予想されます。こうしたことを保護者の方々とともに考えていく中で、学校の実態に応じた協力のあり方を見出していくことが望ましいというふうに思っております。保護者の方々には、学校の業務を一部担っていただくという協力もありますけれども、今申しましたような新しい学校の形をつくるために知恵を出していただくという協力もあるというふうに思っております。
 それから、働き方改革に関する地域の協力についてであります。
 現在、県内の小中学校は、ほぼ100%が信州型コミュニティースクールとなっておりまして、この仕組みを生かしつつ、各校の実情に応じて、学校運営委員会や地域懇談会などの場で御意見を伺い、地域の方々の声も生かして取り組みを進めていくことが必要だというふうに思っております。学校と家庭、地域が意識を共有し、無理のない範囲で協力していただくために、県教育委員会としては、必要な情報提供に努めつつ、学校ごとの持続可能な協力体制の構築を支援してまいりたいというふうに思っております。
 次に、高校の運動部活動についての考えということであります。
 現在、スポーツ庁では、中学校を対象に、運動部活動が最適な形で実施されることを目指して、運動部活動のあり方にかかわる総合的なガイドラインというものの策定が進められておりまして、過日、その原案が公表されました。原案では、1日の活動時間を平日で2時間程度とすることや、週2日以上の休養日を設けることなどが示され、これらは、学校の種類や設置者の違いにかかわらず、原則として高等学校の運動部活動にも適用するというふうにされたところであります。
 特に、都道府県には、ガイドラインにのっとり、休養日や活動時間を設定した運動部活動のあり方に関する方針の策定が求められていることから、今後、公立、私立を含めた県としての方針を定めていく必要があるということになるかと思っています。
 このため、県民文化部とも連携し、今後正式決定されるガイドラインの内容と、そこで示されるスポーツ医科学の観点から見た適切な活動時間などを踏まえ、また、運動部活動に係る関係者の御意見も伺いながら高等学校の運動部活動のあり方について検討してまいりたいというふうに思っております。
 次に、高校改革についてであります。地域の協議会の構成員についてというお尋ねであります。
 旧12通学区単位に設置する高校の将来像を考える地域の協議会におきまして、通学区内の将来を見据えた高校の学びのあり方と具体的な高校の配置について検討いただきまして、県教育委員会に対し御意見、御提案を行ってもらう予定としております。
 協議会の構成員は、市町村長、市町村の教育長に加えまして、産業界から選出された者を必ず含むということとして、その他の構成員は地域の実情に応じて構成していただくというふうに考えております。
 現在、広域連合長たる市町村長に協議会設置について御相談を進めております。2019年9月までには全ての旧12通学区に設置してまいりたいと思っておりますが、その過程で、協議会の人選についても地域と一緒に考えてまいりたいというふうに思っております。
 最後に、旧12通学区ごとの検討についてであります。
 地理的な条件や通学の利便性に配慮することに加え、地域の子供たちを地域で育てるという観点からも、実質的な生活・通学圏域である旧12通学区単位を基本とした検討が必要であるというふうに思っております。
 県教育委員会としては、本年3月には案を示し、9月に策定する予定の「高校改革~夢に挑戦する学び~実施方針」の中で、全県的視野に立ち、学びのあり方と高校配置についての一定の方向性を示していきたいと思っております。
 その後、各地域の協議会の御意見、御提案を踏まえた上で、総合教育会議での議論を経て、学びのあり方や具体的な高校配置計画につきまして県教育委員会として総合的に判断してまいりたいというふうに考えております。
      

◎知事(阿部守一)

 

 高校改革への予算措置について御質問いただきました。
 一般論で申し上げれば、財政運営は、必要な事業にはしっかり予算をつけると同時に、将来に向けた持続可能な財政運営をしていくということで、絞るべきところは絞る、つけるところはつけるということをしっかりやっていかなければいけないというふうに思っております。
 教育については、これまでも、例えば特別支援学校の自立活動支援教員の増員であったり、あるいは学校修繕費の増加であったり、こうしたことに取り組ませてきていただいているところであります。
 学びの県をこれから長野県として進めていくわけでありますけれども、高校改革は私も重要な要素だというふうに思っております。教育委員会のお考えも十分お伺いをしながら、必要な予算措置についてはしっかりと行っていきたいと考えています。
 以上です。
      

◆今井愛郎

 

 部活動に当たっては、ぜひ高校生の心、気持ちを酌んでいただくとともに、高校改革に当たっては、予算がいただけるということでしたので、ぜひ予算編成をしっかりしていただきたいなと思います。
 さて、最後に、大北森林組合に関連してお尋ねします。
 一つ目として、過日の一般質問で、民間役員の判事例を用いて組合理事の責任を説明されましたが、民間と組合では設立や運営方法の根拠法が違うわけで、民間を準用しての説明は誤解を生じさせる原因にもなり、不適切だったと思いますが、いかがですか。
 二つ目、組合役員や組合員同士の責任のあり方についてるる説明をいただきましたが、そもそも、県が関与できず、組合内で判断し、必要があれば所定の手続をとっていただくしかないということでよろしいでしょうか。
 三つ目、組合員も被害者であるとの意見もありましたが、それも組合内の話であり、県、すなわち県民が被害者であるということでお変わりないか。
 以上3項目、林務部長にお尋ねします。
      

◎林務部長(山﨑明)

 

 大北森林組合に関連して3点お尋ねをいただきました。
 初めに、民間を準用しての説明は不適切ではなかったかとのお尋ねでございます。
 株式会社と森林組合の役員は、性格は異なりますが、ともに民法の善良な管理者の注意義務の規定に従うこととされているため、株式会社の取締役についての判例を参考に、森林組合の理事の善管注意義務について御説明させていただいたところでございます。
 次に、組合役員や組合員の責任のあり方についてのお尋ねです。
 森林組合は独立した法人であり、森林組合内部における責任のあり方につきましては、第一義的には組合がみずから判断すべきものと考えております。
 一方で、森林組合法において、県は組合の健全な運営と発達について助言及び指導を行うこととされています。また、毎年1回の常例検査も行うこととなっていることから、今後も必要な指導、監督を行ってまいります。
 続いて、県が被害者であることに変わりがないのかというお尋ねでございます。
 大北森林組合は、過去において極めて多数の不適正申請を長期にわたり主体的、能動的に行ったところであり、県は引き続き補助金返還請求等について厳正に対応する立場に変わりはございません。
      

◆今井愛郎

 

 被害者でありながら、県は、知事や職員の処分、採用抑制等による加算金の捻出、職員有志による募金活動などを行ってまいりましたが、加害者である組合は、専務理事が逮捕されるなどの混乱があったとはいえ、その責務を明確にするどころか、昨年から補助事業者として復活しています。
 過去の一般質問で、私は、組合自身はもちろん、役員、出資者がこの問題に真摯に取り組まなければ県民理解は得られない。県民理解を得るためにも、役員への損害賠償、組合員による増資や賦課金の徴収を提案させていただきました。事件発覚から3年以上が経過し、職員に加算金の損害賠償を行う時期にまで来ていることを考えると、組合役員の責任の明確化、組合員の増資、賦課金徴収に向けた取り組みを明らかにすべきタイムリミットは既に来ていると考えますが、林務部長にお尋ねいたします。
 また、長野県職員の賠償責任に関する監査結果が監査委員より提出されました。監査委員は独立性が担保されているにもかかわらず、今回はさまざまな諸条件をつけられた監査となり、大変御苦労いただいたことと思います。この監査結果について、以下3項目、阿部知事の御所見をお尋ねします。
 一つ目、監査結果で、賠償責任を監査対象になった職員のみに負わせることは、損害の公平な分担という観点から均衡を失すると記載されていますが、この記載についていかがお考えですか。
 二つ目、賠償額の算出に当たって、財務会計職員10分の1、非財務会計職員20分の1としていますが、この割合の妥当性についていかがお考えですか。
 職員の賠償金額は懲戒処分も考慮しているとありますが、携わった事業への加算金が基準で決定されているのに対し、懲戒処分は職務権限や関与度を基準に実施しております。結果として、処分対象の職員間で懲戒処分の重さと賠償金額が逆転しているケースがあると聞きます。このまま損害賠償請求すると懲戒処分との均衡を失することになると思いますが、いかがお考えですか。
      

◎林務部長(山﨑明)

 

 大北森林組合の再建に向け、その取り組みを明らかにする時期に来ているのではないかとのお尋ねでございます。
 県は、補助金不適正受給期間中の役員の責任の明確化や増資等による経営基盤の安定などを求めて指導しており、大北森林組合からは、年に2回、事業実施状況等についての報告を求めているところでございます。
 12月の報告では、元専務理事の責任については、組合が請求していた約2億1,500万円の損害賠償請求全額を元専務理事が認めたことから、昨年12月に訴訟上の和解が成立し、今後、賠償金の回収に全力を尽くすこととされるとともに、他の役員に対しても報酬の返納等を求めているとの報告がございました。
 また、組合員に対する増資要請につきましては、5月の通常総代会において、組合員に対して出資を要請する方針を決める方向で検討中との報告がありました。さらに確認したところでは、組合では、5月末までに役員が率先して100万円の増資を行うこととしていたものを、前倒しして2月末までに100万円を超える増資を行ったと聞いております。
 このように、県の指導に沿って大北森林組合の取り組みは一定の進捗が図られているところですが、これらの課題について、より早期に図られるよう引き続き指導してまいります。
      

◎知事(阿部守一)

 

 職員に対する賠償責任についての監査結果に関して3点御質問いただきました。
 まず、損害の公平な分担という観点から均衡を失するという記載についてどう考えるかという御質問でございます。
 県職員に対する損害賠償請求につきましては、昨年8月の法的課題検討委員会の報告書におきましても、使用者たる県の被用者たる職員に対する求償権の制限ということで、使用者は、損害の公平な分担という見地から、信義則上相当と認められる限度において被用者に対し損害の賠償を請求することができるという最高裁判例を引用して、信義則を踏まえた適切な金額を請求することが考えられるというふうにされているところでございます。
 監査委員におかれましては、こうした考え方も参考にされた上で、損害の公平な分担という見地から、使用者である県と被用者である職員の間の均衡を図るため御判断いただいたものというふうに考えています。
 次に、監査結果の賠償額であります。
 具体の賠償額の決定につきましては、監査委員におきまして、法令に基づき、判例等も踏まえ、慎重に御判断いただいたものというふうに受けとめております。
 懲戒処分と賠償額の均衡という御質問でございますが、職員の懲戒処分は、御承知のとおり、地方公務員法に基づいて、組織における規律と公務遂行の秩序を維持するために職員の一定の義務違反に対して責任を問うものであります。職員の非違行為について総合的に判断して処分をするものでございます。
 一方で、賠償責任につきましては、地方自治法あるいは民法の規定に基づきまして、職員の故意または過失による行為によりこうむった損害の補填を求めるものでありまして、それぞれの行為によって生じた損害に応じた額の賠償を求めるものであります。
 以上のように、懲戒処分と賠償責任はおのずとその性格が異なるものでありまして、必ずしも処分内容と監査委員が判断された賠償額とが比例するものではないというふうに考えています。
 以上です。
      

◆今井愛郎

 

 今回の監査請求で損害賠償請求の対象となった職員は既に懲戒処分を受けております。また、監査委員も、監査対象職員にのみ負わせることは損害の公平な分担という点から見ても均衡を失すると明記しています。職員もまた林務部長先頭に募金活動を行い、賠償額の2倍近い820万円を県に納めております。
 そもそも、知事は、加算金は働き方改革で捻出するとし、採用抑制もして、少なからず職員にも負担を強いていると思います。地方自治法243条の2第8項には、監査委員が賠償責任があると決定した場合であっても、一定の条件のもと、議会の同意を得て、賠償責任の全部または一部を免除することができるという趣旨の規定があります。県がこの大北問題によって行ってきたさまざまな取り組みを県民に訴え、御理解をいただき、懲戒処分以上の負担を職員に求めていかないというのも、県政のトップとして今後も県政を担い続けていくための大切なファクターかと思いますが、今回の監査結果に対し243の2第8項の適用をすることについていかがお考えか、阿部知事にお尋ねいたします。
      

◎知事(阿部守一)

 

 地方自治法第243条の2第8項の適用についての御質問でございます。
 まず、今回の監査は、私から監査を求めさせていただき、その上で報告をいただいたところでございます。議員御指摘の地方自治法第243条の2第8項につきましては、これは職員が損害がやむを得ない事情によるものであることの証明を行い、それを相当と認める場合に、監査委員の意見を聞くとともに、議会の同意を得て免除できるというふうにされているところであります。こうした厳しい要件を満たさなければならないものというふうに認識をしております。
 現在、監査結果に対する対象職員の意見を求めているところでありまして、法にのっとり適切に対応していきたいと考えています。
 以上です。
      

◆今井愛郎

 

 今回の監査結果の賠償額は、3,000円台から100万円を超えるケースと、その格差は300倍以上あります。たまたま携わった事業の結果でこれだけの格差を生じさせることに本当に妥当性があるのか、私は疑念を抱かざるを得ません。また、阿部知事就任前のケースがほとんどですから、阿部知事に責任があるとは思いませんけれども、知事の金銭的なペナルティーは、減給を含めて10%、約40万円前後と聞きます。監査結果のまま請求することは、知事の処分との均衡も失していると言わざるを得ません。
 改めて、自治法243条の2第8項を適用して減額、免除の検討をしていただけるよう申し上げて、一切の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。