平成29年9月定例県議会 発言内容(山岸喜昭議員)


◆山岸喜昭

   

 順次質問に入ります。軍事的挑発への危機管理体制についてお聞きします。

 8月29日に続き9月15日早朝にも、北朝鮮による弾道ミサイルの発射により日本列島に緊張が走った。また、9月3日には核実験を行ったと見られ、おさまる気配を見せない北朝鮮のこうした行為に、国民の怒りと不安の声が上がっています。
 日本が北朝鮮の核と弾道ミサイルの脅威にさらされ、アメリカとの激しい言論が飛び交い、有事が現実に起こり得るかもしれない現状をどう見ているか、まず知事にお聞きします。
      

◎知事(阿部守一)

 

 北朝鮮の核と弾道ミサイルの脅威についての見解について御質問いただきました。
 北朝鮮によります核実験、あるいは我が国の上空をミサイルが通過するといったようなことは、かつてなかったことであります。こうしたことが行われているという現状に対しまして、多くの県民の皆様方が不安を感じていらっしゃるというふうに思っております。
 こうした行為は、我が国に対する重大な脅威だというふうに考えております。こうしたことが繰り返されることがないよう、国際社会がぜひ結束して対応してもらいたいというふうに思っております。
 本県といたしましても、県民の皆様方の安全、安心を守っていかなければいけないわけであります。必要な情報提供等をしっかり行っていかなければいけませんし、また、国とも連携をしながら万が一の事態に即応していかなければいけないというふうに考えております。訓練等を行いながら体制整備をしっかりと行っていきたいというふうに考えております。
 以上です。
      

◆山岸喜昭

 

 Jアラートは、国民に危険を伝え、迅速な避難を促す。弾道ミサイル発射情報や大規模テロ、地震、津波など、総務省消防庁から実際に送信するシステムであり、自治体は防災行政無線などを通じ、住民に周知します。
 今回、情報を伝えた全市町村が正常に受信したことを確認したが、9道県の24市町村で防災無線やコミュニティFMの自動放送、事前登録者へのメールなど、住民に伝える全ての手段が機能しなかったと聞いています。
 県内でも、初めてJアラートを通じてミサイルの発射や日本上空の通過などの情報が発信されました。全77市町村で情報を確認したが、住民に知らせる防災行政無線が作動せず音声が流れなかったり、Jアラートと連動する事前登録メールが登録した利用者に届かなかったり、ケーブルテレビのテロップに緊急情報が流れないといったトラブルが発生した地域もあるとのことであります。
 9月15日にはそのようなふぐあいはなかったと聞いていますが、県内市町村の防災行政無線や防災ラジオ、野外告知放送、登録制メール、ケーブルテレビなど、情報伝達体制の充実と職員の知識の習熟度はどのような状況か。
 Jアラートのメールメッセージは、8月29日の際は、頑丈な建物や地下に避難を呼びかけられ、9月15日は、建物の中または地下に避難せよと見直された。どこに避難をすればいいのか県民が十分理解しているとは考えにくい。緊急情報をどう受け取ってよいか、警報が鳴ってもどう行動すべきかを知らない県民が多い。これから、そのわずかな時間にどう行動すればいいかをどのように県民に周知していくのか。
 次に、県内では、災害対策基本法、地域防災計画に基づき、各防災関係機関と地域住民が相互に連携して各種の訓練を実施し、災害に即時対応できる体制と防災意識高揚と地域防災力の向上を図るために総合防災訓練が実施されていますが、国と県が共催するミサイルを想定した避難訓練は、8月末までに12県で行われ、訓練では、小学生、幼稚園児も防災頭巾をかぶっての防空訓練が行われた地域もあると聞いております。県内でも、軽井沢町が弾道ミサイルを想定した住民避難訓練を国、県と共同で実施するとしているが、どのように計画をしているのかお聞きします。
 避難訓練は必要と考えるが、国ですること、県ですること、市町村がすることがあります。住民参加型の避難訓練を実施する自治体もふえていますが、県内の市町村危機管理部局と連携して、県警や関係機関の避難訓練を実施し、緊急時の対応も確認すべきと考えます。
 また、Jアラートでどんな情報が流れるのか、どう対応したらいいのか、正確に理解している国民は少ない。県民の危機管理意識を高めることが重要であり、先ほど申し上げましたとおり、全国でも住民参加型の避難訓練を実施する自治体もふえております。有事への備えには、Jアラートの活用法を広く周知し訓練を積み重ねる必要があると思うが、訓練についてはどのように考えているのか。また、今後、県はどのような取り組みをしていくのか。
 以上、危機管理部長にお聞きします。
 次に、Jアラートが発信され、北陸新幹線初め在来線の通勤、通学列車にも影響が出た模様であります。また、教育現場も混乱が生じ、小中高にも、安全に配慮して休校や集団登校が発生した事例もあるとお聞きしています。いつボタンを押されるかわからない弾道ミサイルにどう対応するのか学校の判断が問われていますが、子供や学生たちの安全、安心について今後どのように取り組まれるか。教育長にお聞きします。
      

◎危機管理監兼危機管理部長(池田秀幸)

 

 軍事的挑発への危機管理体制についての御質問でございます。順次お答え申し上げたいと思います。
 最初に、全国瞬時警報システム、Jアラートの情報伝達体制の充実と市町村職員の習熟度等に関する御質問でございます。
 8月29日、北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けまして長野県でJアラートの警報が流されましたが、この際、県内の市町村におきましても、防災行政無線が作動しなかったなど住民の皆様への情報提供に支障が発生いたしました。
 当該市町村では、直ちに原因となった機器の交換や設定の変更などの改善を行いまして、Jアラート警報の2回目となりました今月15日におきましては、県内全ての市町村で支障なく情報伝達がなされたところでございます。
 今後、住民の皆様への情報発信をより確実に行われますよう、市町村における設備の更新や複数の情報発信手段の確保について情報提供や相談に応じるなど、必要な支援を地域振興局と連携して行ってまいりたいと考えております。
 また、職員の習熟度向上等に向けては、国では、地方自治体担当職員向けの研修会でありますとか、全国一斉のJアラート情報伝達訓練を実施することとしております。
 今後、市町村において情報伝達手段の動作確認を毎月実施することも予定されておりまして、これらの機会を活用し、市町村や県の担当職員の習熟度向上が図れるよう努めてまいりたいと考えています。
 次に、Jアラート警報時にとるべき避難行動の周知についての御質問でございます。
 弾道ミサイルは、発射からきわめて短時間に到着するため、Jアラートによる情報を受け取った場合は迅速に避難行動をとっていただくことが大切となってまいります。
 具体的には、住民の皆様が身を守るための行動といたしまして、屋外にいる場合は近くの建物、できれば頑丈な建物の中または地下に避難をする。近くに建物がない場合は、物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守る。屋内では、窓から離れるか、窓のない部屋に移動するということになっております。これらの避難行動の周知につきましては、県のホームページや広報ながのけんといった県の広報媒体のほか、出前講座での周知をしております。
 また、市町村ホームページ等での広報や、国におきましてもテレビや新聞を活用した広報を行ってきておりまして、これら関係機関とも連携いたしまして、引き続きさまざまな媒体を活用して周知に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、軽井沢町で実施する弾道ミサイルを想定した住民避難訓練についての御質問でございます。
 弾道ミサイルを想定した住民避難訓練につきましては、国の呼びかけによりまして全国で実施されているところでございますが、長野県内では、軽井沢町の意向を受けまして、国、県、軽井沢町が共同して県内では初めてとなる弾道ミサイルを想定した住民避難訓練を実施する予定となっております。
 訓練の実施時期につきましては10月下旬を予定をしておりますけれども、詳細につきましては、現在、軽井沢町を初め関係機関において検討中でございまして、調整ができ次第、速やかに公表させていただきたいと考えております。
 次に、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練に対する県の取り組みについての御質問でございます。
 議員御指摘のとおり、有事に備え、平時に訓練を実施していくことは、自然災害と同様に大変有効な手段だと考えております。今後も、住民避難訓練が県内で実施できるよう、市町村の意向を踏まえながら必要な情報提供や相談に応じるなど、引き続き国と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
 また、住民の皆様には、Jアラートの情報を受け取った際に適切な避難行動をとっていただけるよう、わかりやすく丁寧な説明に努め、理解を深めていただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
      

◎教育長(原山隆一)

 

 弾道ミサイル発射を想定した学校の取り組みについてでございます。
 学校では、緊急事態が発生した際の具体的な対応手順を定めた学校危機管理マニュアルや学校安全計画を策定して、児童生徒の安全確保と安全、安心な学校づくりを推進しているところでございます。
 県教育委員会では、弾道ミサイルへの対応につきましても、学校危機管理マニュアルに織り込み、全教職員の共通理解を図っておくよう、9月中旬に県立学校や市町村教育委員会等に通知をしたところでございます。
 弾道ミサイルが発射された場合は、児童生徒が既に学校に登校しているときは教職員が的確に避難誘導し安全確保を図る。また、登校前の時間帯であれば、自宅待機や、学校ごとに設置者と協議して定めた手順に基づいて臨時休業を決め、児童生徒とその保護者に正確に伝えることが必要であります。さらに、登下校中など児童生徒だけで行動している場合には、近くの建物内や地下などへ避難するよう、みずからの身を守るための留意事項や具体的な行動例をあらかじめ注意喚起していくことも重要だというふうに思っております。
 県教育委員会からの先ほどの通知を受けて、既により具体的な対応を市町村教育委員会の指導によりましてマニュアル等に追加した学校があることも承知しております。
 いずれにしましても、弾道ミサイルの発射の危惧があることから、速やかに各学校や市町村教育委員会が危機管理部局や関係機関と連携を強化して児童生徒の安全確保に万全を期すよう働きかけてまいりたいというふうに考えております。
      

◆山岸喜昭

 

 次に、平和なハローアニマルの取り組みについてお聞きします。
 今週は、動物を愛し、動物と人間のきずなを深めることを目的として定められた動物愛護週間であります。
 長野県では、平成12年に全国に先駆けて殺処分施設を併設しない動物愛護センターが小諸市に設置され、17年が経過しています。全国的に見ても、長野県は、動物を介在させた人に対する取り組みなど先進的に動物愛護行政に取り組んでおります。
 今まで、動物愛護センターを中心として、どのように動物愛護の普及啓発に取り組み、どのような成果が得られているのか。
 また、読書介助犬プログラムなど幾つかの新しい事業展開をしているが、子供、高齢者、障害者などへのアニマルセラピーはどのような取り組みをされているのか。
 また、ペットブームが盛んな中、動物愛護の理念について、動物愛護管理推進計画の犬、猫の保護、引き取り、譲渡、返還状況など、動物に対しての県民の理解度はいかがか。
 動物愛護センターで行われている動物が持つ癒やしの力を活用した不登校の児童生徒等が居場所の一つとして利用している子どもサポート事業は、教育機関や他の関係機関とも連携し、成果を上げていると聞いております。また、この子どもサポート事業は、ほかの自治体の動物愛護センターでは行っていない長野県独自の取り組みとして注目をされているとお聞きします。
 今後、困難を抱える子供たちに対する支援の重要性が高まっていく中で動物愛護センターへの期待と役割は大変大きなものと考えますが、どのように関与していくのか。
 また、浅間山麓の眺望のすばらしい場所に位置し、子供たちや地域の交流の場として多くの皆さんに活用されておりますが、動物愛護の底上げと、県と地元を代表する観光資源としての事業展開はできないものか。
 以上、健康福祉部長にお聞きします。
      

◎健康福祉部長(山本英紀)

 

 動物愛護センターの取り組みについての質問に順次お答えをさせていただきます。
 動物愛護センターは、平成12年4月の開設以来、人と動物が共生する潤い豊かな社会の実現のため、犬、猫の飼い方教室の開催、動物の持つ癒し効果を活用した高齢者、障害者施設や学校、保育園への訪問活動、飼い主のいない猫への不妊手術、保健所に引き取られた犬、猫の譲渡、野外に放置された負傷動物の治療等に取り組み、毎年9万人以上の方に利用していただいております。
 長野県の動物愛護管理推進計画では、平成35年度までに致死処分数を1,000頭未満にすることを目標に取り組んでいるところであり、平成28年度には475頭と、既に目標を達成している状況であります。また、犬、猫の譲渡率等についても同様に目標を達成しており、さらに改善されるよう取り組んでいるところであります。こうした成果は、長野県動物愛護会等のボランティア団体だけでなく、県民一人一人の動物愛護に対する理解度の高さのあらわれであると考えております。
 困難を抱える子供たちへの今後の動物愛護センターの関与についてお尋ねがございました。
 動物愛護センターの開設当初より、教育機関、医療福祉機関との連携のもと、子どもサポートプログラムを作成し、不登校やひきこもりの児童生徒への居場所を提供しており、平成28年度までに287名の子供たちを受け入れてまいりました。昨年受け入れた33名のうち、約7割の方が中間教室や学校の相談室等に通えるようになるといった大きな効果が見られております。
 本取り組みについては、今月15日に開催いたしました長野県いのち支える自殺対策戦略会議において、本県の重要な課題である未成年者の自殺対策における生きることへの包括的支援の一つとして重要な取り組みであるといった御意見をいただいたところであります。
 今後も、動物愛護に関する取り組みだけでなく、困難を抱える子供たちを支援する事業についても一層取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 次に、動物愛護の底上げと観光資源としての事業展開についてのお尋ねがございました。
 動物愛護センターは、小諸市飯綱山公園の一角に位置し、公園内の小諸高原美術館とともに、小諸インターチェンジの周辺の観光資源の一つとして位置づけられております。また、観光ガイドブックや観光関係のホームページ上にも掲載されているとともに、小諸市の観光パンフレットにも紹介されております。
 今後も、人と動物が共生するための拠点施設としてその役割を高めるとともに、小諸市とともに周辺地域の観光資源の一つとして知名度向上に努めるほか、各種事業にかかわる施設の充実や物品販売の拡充などの魅力向上を図り、県内外から多くの方に訪れていただける施設にしていきたいと考えております。
 以上でございます。
      

山岸喜昭

 

 御答弁いただきました。国の安全、安心があってこそ地方の安全、安心があるわけでございます。北朝鮮の核、ミサイル開発を外交の力でとめることはできるのか。脅威は、かつてない重大で差し迫った状況であり、必要なのは対話ではない、圧力しか道はないと言われているが、融和解決を願い、質問を終わります。