平成29年9月定例県議会 発言内容(寺沢功希議員)


◆寺沢功希

   

 先日、県の名古屋事務所、大阪事務所に伺ってまいりました。私がおりました2時間弱の間に何人もの一般の方がまさにふらっと立ち寄り、県内各地域のチラシやパンフレットを手にされておられ、長野県の情報発信の場として活用されている姿を見ることができました。また、名古屋事務所内で運営されております信州名産ショップでは、県内各地域の特産品や県内各地域から届いた野菜や果物などを求めるお客さんがひっきりなしに訪れている光景に、驚きと同時に大変うれしく思いました。

 そこで、産業労働部長にお聞きします。
 現在、名古屋事務所が入居しておりますビルは建てかえ工事が予定されており、それに伴い、平成31年2月に退去が決定されているようですが、今後の予定はどのようになっておりますでしょうか。
 また、聞くところによりますと、この退去に際し、現在のビルに入居中の他県と一緒に近くのビルに移るという計画もあるようです。現在入居中のビルは、駅から地下道でつながっている環境から、誰でも自由に立ち寄ることができますが、その移転検討されているビルは、独立した、形態が完全なオフィスビルのため、ショップの運営ができないのはもちろん、一般の方がふらっと移住相談や観光の問い合わせに立ち寄っていただくことができなくなります。現在の利用状況から考えると、そのような利用形態の事務所に移行するべきではないと考えますが、いかがでしょうか。
 続いて、知事にお聞きします。
 長野県には、東京、名古屋、大阪に事務所がありますが、どうしても東京に、銀座NAGANOに重きを置いているという印象を持ってしまうのは私だけではないはずです。名古屋、大阪はスキーや修学旅行等で長野県とはなじみも深く、特に南信地域と名古屋は生活圏であると言っても過言ではありません。リニア開通も踏まえ、名古屋、大阪事務所の運営に対してももっと力を注ぐべきだと思いますが、御所見をお聞かせください。
      

◎産業政策監兼産業労働部長(土屋智則)

 

 名古屋事務所の移転に関する御質問でございます。
 まず、今後の予定についてですが、現在、賃借により入居しております中日ビルの建てかえ工事に伴いまして、ビルの管理運営をしている中部日本ビルディング株式会社から平成31年2月末までの退去を求められております。本県と中京地域をつなぐ組織としての名古屋事務所の必要性から、今後も継続して事業を実施していくため、現在、移転先について検討しているところでございます。
 次に、その移転先についてでございますが、中日ビル側からは、建てかえ期間中、現在の中日ビルから南へ100メートルほどの場所にある久屋中日ビルへの仮移転を提案されているところでございます。現在、中日ビルに県外事務所を構えております他の18道県の動向や、久屋中日ビルに移転するとした場合の事務所面積、賃料等の条件の確認を行っているところでございます。
 現在の名古屋事務所の利用者につきましては、同じビル内にございます中日文化センターへの来訪者、他県事務所との顧客の共有による効果というものも大きいと考えられますことから、移転先につきましては、立地条件やコストに加え、こういった利用状況といったものも踏まえつつ、事務所の機能を十分に発揮できるように検討してまいります。
 以上でございます。
      

◎知事(阿部守一)

 

 県外にあります事務所について、大阪事務所、名古屋事務所にもっと力を注ぐべきであるという御指摘でございます。
 基本的に私も全く同じ思いであります。長野県は発信力が弱いということを長らく言われていて、そういう中で、まずは東京でほとんど存在感がないと、何とかしなければいけないということで銀座NAGANOをつくったわけであります。おかげさまで多くの皆様方にお越しをいただき、また、県内市町村を初めいろんな皆様方にも活用いただいているわけでありまして、ある意味一つの成功モデルになってきているんじゃないかなというふうに思っております。
 他方で、御指摘のとおり、名古屋、大阪が今の状況でいいのかということについては、我々もしっかり御指摘を踏まえて考えなければいけないだろうというふうに思っております。特に、南信州であったり、木曽に伺った際に感じるのは、やはり長野市目線で考えているのとは全く違う地域とのつながりがあるわけでありまして、そうしたことを我々はもっともっと意識をしなければいけないだろうというふうに思っております。
 また、大阪との関係は、夏だけJALが飛んでいるという状況でありますけれども、しかしながら、関西の皆様方は、信州に対して比較的いいイメージをお持ちの方々も多いわけですし、また、北陸新幹線も金沢からさらに延伸すべく我々は取り組んでいるわけでありますので、そういう意味では、名古屋あるいは関西との関係性の構築ということについては、実は未来を見据えて力を入れていかなければいけないものだというふうに思っております。
 名古屋事務所については、御質問にありましたように、移転先をどうするかという検討を行っているところでもありますので、そのあり方については早急に検討していきたいというふうに思っております。
 以上です。
      

◆寺沢功希

 

 知事から前向きな答弁をいただきました。リニアが開通してからでは遅いと思いますので、ぜひとも取り組みのほうをよろしくお願いいたします。
 続いて、歩行者の安全確保のため設置しております横断歩道橋ですが、平成26年7月の法改正に伴い、5年に一度の点検が義務づけられ、県の長寿命化計画の対象にもなっております。しかし、設置当時とは大きく環境が変わり、中にはほとんど利用されていない箇所も見受けられます。
 そこで、建設部長にお聞きします。
 横断歩道橋に対しては、点検はもちろんですが、利用状況の調査は行っておられるのでしょうか。
 また、極端に利用者が少ない箇所については、横断歩道橋の撤去を検討されるのでしょうか。
 また、松本市内にある国道と国道が交わる大きな交差点には横断歩道橋が設置されていますが、横断歩道が設置されておりません。先日、この交差点で信号待ちをしている際、高齢者が横断歩道橋の上りおりが困難なため横断歩道がないところを横断し、自動車と接触しそうになる大変危険な場面を目撃しました。
 こうした箇所に対しては早急に安全対策が必要だと思いますが、交通規制基準の中では、横断歩道は、信号機が設置されている交差点においては横断歩道橋等の立体横断施設のある場所の直近部については原則として設置しないものとすると規定されております。しかし、これはあくまでも原則であり、例えば、長野市内の下氷鉋の交差点には横断歩道橋と横断歩道が併設されております。また、一方で、横断歩道を設置することにより新たな渋滞を生んでしまうという懸念もあります。
 このような状況を踏まえ、横断歩道の設置や横断歩道橋へのエレベーター設置などあらゆる可能性を考慮した上で、県警と協議、連携した早急な対応が必要と考えますが、現状をどのように考えており、また、今後どのように対応されるお考えか、お聞かせください。
 また、道路整備が進めばもちろんですが、公共施設や商業施設が新たにオープンするだけで車の流れは大きく変わります。平成24年度に通学路の合同一斉点検が行われましたが、5年がたった今、状況はかなり変わっております。平成27年11月議会の建設部長答弁では当面行わないということでしたが、現在の環境変化、また、次期総合5カ年計画の策定も踏まえ、再度の実施を要望いたしますが、御見解をお聞かせください。
      

◎建設部長(油井均)

 

 横断歩道橋についてのお尋ねでございます。
 現在、県では130橋の横断歩道橋を管理していますが、平成27年12月に横断歩道橋長寿命化計画を策定し、計画的に修繕を実施しているところでございます。また、本年度、道路法改正により義務づけられた近接目視による点検を全ての横断歩道橋について実施し、健全度の診断を行う予定です。
 歩行者等の交通量調査は行っておりませんが、小学校の統廃合により児童の利用がなくなるなどして不要となった横断歩道橋を、地域の御意見をお伺いして撤去した事例があります。一方で、利用者が少ない横断歩道橋でも、地域の交通安全上必要な歩道橋もございますので、今後も、地域の皆様の声をお伺いしながら、修繕時に合わせて撤去等の対応を検討してまいります。
 次に、横断歩道橋や横断歩道などの道路横断施設の現状と今後の対応についてのお尋ねでございます。
 横断歩道橋につきましては、地域の御意見をお伺いし、通学路など特に歩行者の安全に配慮すべき箇所に設置しております。そのうち、エレベーターが設置されているのは、遮断時間の長い踏切をまたいで社会福祉施設に通じている箇所などの2カ所のみとなっているところでございますが、設置と維持管理に多額の費用を要することから、新たな設置については困難と考えています。
 また、横断歩道につきましては、警察庁が制定した交通規制基準において、先ほど議員がおっしゃったとおりと承知しております。しかし、近年、高齢化が進む中で、地域の御要望もあり、横断歩道を併設している事例もございます。道路横断施設については、歩行者の安全と交通の円滑化の両面から、利用者の状況等を考慮の上、箇所に応じた適切な設置を努めているところであり、今後とも引き続き警察と連携し、地域の皆様と十分協議を行った上で、横断歩道の設置の可能性などについて検討してまいります。
 次に、通学路の合同点検に関するお尋ねでございます。
 平成24年度に、通学中の児童の交通事故を受け、小学校の通学路について全国一斉に警察、道路管理者、学校関係者等合同による緊急合同点検が実施されました。その点検を踏まえ、取り組みを継続して推進するため、市町村において地域ごとの通学路の安全確保に向けた取り組みの基本方針である通学路交通安全プログラムを作成しております。このプログラムに基づき、関係者と連携の上、対策を行うとともに、必要に応じて新たな箇所の追加を行うなど、通学路ごとの道路環境の変化にも個別に対応してきているところであります。一斉に行う合同点検につきましては、プログラムの進捗状況を見ながら関係機関と協議してまいります。
      

◆寺沢功希

 

 交通弱者に対する十分な安全対策をよろしくお願いいたします。
 次に、全国中学校体育大会、インターハイも終わり、中学校、高校の部活動は3年生が引退し、新体制で秋の新人戦に向け頑張っております。
 そこで、教育長にお聞きします。
 現在、部活動において県代表になった場合、県では旅費に対して補助を出していると思いますが、大会の規模や補助割合など、その規定はどのようになっておりますでしょうか。
 また、現在、中学校の部活動への旅費の補助は、県が中体連に補助を出し、中体連から学校へ、そして家庭へという流れのようでありますが、そのためか、一旦各家庭が旅費を全額支払った後、補助分が返ってくるという形になっているようであります。ちなみに、ことしの全日本中学校陸上競技選手権大会は熊本県で行われましたが、このように開催地が遠方の場合は家庭への負担が非常に大きくなりますが、補助分を先払いしなくてもよい仕組みにはならないでしょうか。
 加えて、部活動の大会において全国優勝するなど好成績を残した場合、知事や教育長のもとへ表敬訪問をしますが、この場合、その学校から申請しなければならないようであります。中には謙遜して申請しない学校もあるようですが、主役は学校でも顧問でもなく、生徒、子供たちであります。表敬訪問を受ける、受けないは、知事あるいは教育長サイドの判断でありますので、成績の基準を設けた上で、学校からの申請だけでなく、保護者や地域からの申請も認めていただけないでしょうか。御見解をお聞かせください。
      

◎教育長(原山隆一)

 

 順次お答え申し上げます。
 まず、全国大会等へ派遣する生徒の旅費の補助でございます。
 県教育委員会では、県中学校体育連盟、県高等学校体育連盟が行う全国大会や北信越大会への派遣事業及び県高等学校文化連盟が行う全国大会やブロック大会への派遣事業に係る生徒の旅費につきまして、対象経費の3分の2を限度に補助金を交付をしているところでございます。
 全国大会等の旅費に係る補助金支払いの仕組みについてのお尋ねでございます。
 現在、派遣事業の主体である県中学校体育連盟では、全ての大会が終了した年度末に旅費額が確定した段階でまとめて補助金を出しております。補助金という仕組みの中で議員の御提案を実現するということになりますと概算で前払いということが考えられますが、これに関しては、出場決定から大会までの期間が2週間しかない場合も多い中で、全国大会では400名、北信越大会では900名の対象者がおり、日程的に困難であること、また、大会の勝敗により滞在日数が減少した場合戻入の手続が必要となりまして、かえって保護者の負担になるということも考えられます。
 そういった点を考慮すると難しい点が多々あろうかと思っておりますが、御指摘の趣旨を踏まえる中で、今後、年度末の一括支払いの方式を年度途中で支払いができるように検討していくなど、家庭の御負担が少しでも軽減できるような方法を中学校体育連盟とともに研究してまいりたいというふうに思っております。
 それから、知事や教育長への表敬訪問であります。
 公立学校の児童生徒の諸大会等に係る表敬訪問については、知事が対応していただく案件も含め教育委員会が窓口になっておりますので私から答弁させていただきますが、国際大会への出場や全国大会で好成績をおさめた場合など、表敬訪問の希望をお申し出いただいたときは、学校教育の一環である部活動に係るものについては学校を通して申請いただくことが原則でありますが、そうでない場合には、申請者が学校であるか否かにかかわらず、知事または私が日程に配慮し、可能な限り対応させていただいております。表敬訪問が子供たちの励みや頑張りにつながることは私たちにとっても大きな喜びでありますので、今後もできる限り御希望に沿うよう努めてまいりたいというふうに考えております。
      

◆寺沢功希

 

 御答弁をいただきました。
 表敬訪問についても前向きな答弁をいただいたと思っておりますが、とはいえ、何でも受け付けるというわけにはいかないと思います。先ほども申しましたが、やはり原則的な成績や大会規模等の基準を設けることはもちろん、そもそも、県民の皆様の中には、どうすれば表敬訪問ができるのか、よい成績を残した場合待っていれば知事や教育長のほうから声をかけてもらえるのではないかという、システムを知らない方が多くいらっしゃいます。ホームページで申請方法の掲載、また、申請書のダウンロードを可能にするなど、環境整備も必要だと思いますが、再度御所見をお聞きいたします。
      

◎教育長(原山隆一)

 

 表敬訪問の申請の仕方等というお話でございました。申請というものではないというふうに思っております。基準というお話もありましたが、スポーツや文化の各種大会では、その目的や運営方法によりましてさまざまな形態があり、例えば、一口に全国大会と言っても、大会の規模、競争性の高い低い、地区予選会の有無などが異なって一律に基準をつくるのは難しいと思っております。
 私としては、ルールをつくって何かしらの制限を課すというのではなく、これからも時間の許す限り子供たちの訪問はお受けしたいという気持ちでおりますので、そうした希望がある場合は、ぜひ教育委員会の担当課に御相談をいただきたいと思いますし、私としても改めて教育委員会の職員にも周知していきたいというふうに思っております。
      

◆寺沢功希

 

 せっかく勝ち取った上位大会の出場が、金銭的負担が大きくなり、子供たちや保護者の不安や障壁となってはいけませんし、また、頑張った子供たちに対して手放しで賞賛してほしいものです。子供たちが不安を抱くことなく、日々切磋琢磨し、高みを目指し、練習に打ち込むことができる環境整備を再度お願いいたしまして、私からの一切の質問を終わります。ありがとうございました。