平成29年9月定例県議会 発言内容(小島康晴議員)


◆小林東一郎

 

 所属する委員会に関連する質問事項でございますので、全て知事にお尋ねいたします。

 まず、長野県らしい予算執行についてですが、4月に発足いたしました地域振興局が新たな気持ちと体制でそれぞれの地域課題に真摯に取り組んでいただいていることに敬意を表するところです。
 しかしながら、この地域振興局の地域振興推進費1億円の執行の仕組みを見ますと、予算説明書では、企画振興部地域振興課の片隅に物件費1億円と載っておりまして、予算の再配当も地域振興課から受けております。事実上、地域振興課の下部組織となってしまっているように感じます。地域振興局長は本庁の部長と同等という副知事直結の地域振興局の姿はどこへ行ってしまったのでしょうか。名実ともに地域の課題を地域振興局が責任を持って担えるよう、予算執行手続等のあり方を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、平成28年度の決算確定により、2月の中期財政試算に比べ約40億円の基金が増額できたとのことです。2月定例会の代表質問でも私が要望し、今回補正予算案でも高校のトイレ改修など計上されたところですが、この増額できた基金を生かすなどして、11月補正予算等でより積極的に地域に仕事を回す対策を行っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
 また、次期総合計画策定に当たり、その長期的な財源を示すためにも、現段階で2月時点の中期財政試算を見直して、いわゆる最新版にして県民の皆さんに示すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 長野県らしい地域組織支援について伺います。
 地域組織に対する国の施策は、例えば内閣府等からは地域運営組織とか小さな拠点づくり、厚生労働省からは「我が事・丸ごと」地域共生社会実現などと縦割りで地域の取り組みが求められています。地域組織が国の縦割り施策に振り回されているように感じます。
 補完性の原理と言われますが、地域組織が何らかの行政の支援を求める場合、自主自立の長野県らしく、地域組織みずからがまずは身近な市町村へ、それから県へ、さらに国へと要望を出していく、それに行政の側が対応するということがあるべき支援と考えます。モデル事業とかひもつき補助などいわゆる上からの縦割りの支援はやめるべきだと思いますし、そのことをこの際国に強く求めていっていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
 長野県らしい総合5カ年計画策定に関連して2点伺います。
 総合計画の実効性を高めるためには、県民の皆さんにこれが自分自身の計画であると考えていただくことが理想であります。そのためには、策定の段階からの県民の皆さんの参加が肝要であると考えます。
 知事御自身も先頭に立って県民との意見交換に努められ、また各地域振興局でもさまざまな取り組みがされていると承知はしておりますが、現時点での計画策定への県民参加について知事の手応えはいかがでしょうか。
 各施策の中には、総合計画と施策ごとの計画の2本立てでつくられているものがあり、県民の皆さんからはわかりにくいし、事務作業も二度手間となっています。次期総合計画策定に当たり、今回、5カ年の半分まで来ている信州創生戦略を一本化、統合していくという方針が示され、私はこれを歓迎したいと思います。
 そこで、これと同様に各種計画をこの際総合計画に一本化する、あるいは、施策ごとの計画をつくるなら総合計画は簡単な記載とするなど簡略化していくべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、国から補助金等を得る前提に計画づくりを求められることがありますが、総合計画にその種の施策の計画を一本化した場合も、それをもって補助金等の前提の計画とみなすよう国に要望していくべきと考えますが、いかがでしょうか。
 以上、1回目の質問といたします。
      

◎知事(阿部守一)

 

 長野県らしい予算執行、地域組織支援、そして5カ年計画と推進体制について御質問をいただきました。
 まず、地域振興推進費の執行の関連で、地域振興局が地域振興課の下部組織になってしまっているんじゃないかという御指摘でございますが、そうしたことではないということでぜひ御理解いただきたいというふうに思います。
 地域振興推進費の予算の執行につきましては、限られた人員の中で地域振興局全体の事務負担を軽減しようという観点で、本庁の地域振興課が再配当を含む執行管理事務を一括して行っているところでございます。事務処理を行っているということでございます。どういう内容で使うのか、幾ら使うのかといったようなことについては、地域振興局がみずから決定し、地域振興課はその決められたとおりの再配当を行うという形にしております。したがって、本庁の地域振興課と地域振興局が何やら上下関係になっているのではないかということではないというふうに認識をしております。
 もとより、地域振興局は設置したばかりでございますので、これからその真価が問われてくるというふうに思っております。より一層地域の皆さんの期待に応えられるような組織になるように全体で努力をしていきたいというふうに思っております。
 それから、基金が中期財政試算に比べてふえているので、積極的な対策、地域に仕事を回す対策をと、それから、現段階で中期財政試算を見直して最新版にすべきという御質問でございます。
 まず、基金の状況でございますが、平成28年度末の残高、2月の試算時点で528億円というふうにお示しをし、決算段階で569億円となっており、御指摘のとおり41億円増加という形にはなっております。これは、相当努力をして財源確保に努めてきた結果でもあります。
 また、この数字は、平成27年度末の568億円と比べますとほぼ横ばいという形でございます。加えて、議会の皆様方は十分御承知のとおり、本年度当初予算におきましては97億円の基金取り崩しを見込んでいるところでございまして、今後、社会保障関係費の増加等が見込まれる中、引き続き県の財政状況は厳しいものというふうに認識をしております。
 他方で、県内経済は、日銀松本支店によりますと、本年4月以降、緩やかに回復しているという判断がなされておりますし、また、製造業、建設業を中心に求人をふやす傾向も続いてきておりまして、7月の有効求人倍率は1.63倍ということで極めて高い水準になっております。
 こうした中で、9月補正予算案におきましては、災害への対応あるいは学校トイレの改修等の事業を計上させていただき、こうしたものは地域経済の活性化にも資するものというふうに考えております。今後とも、県内経済の状況あるいは国の動向等も注視しながら必要な対応を考えていきたいと思っております。
 中期財政試算の見直しについてでございますが、これにつきましては、歳入の根幹であります県税、あるいは年末の地財対策で明らかになる地方交付税の動向などを踏まえまして、例年2月に、当初予算案をベースとして今後5年間の収支を試算して公表させていただいております。
 現段階でこの試算に平成28年度決算による基金残高の増加を反映させるということは、単純にオンさせることは可能だと思いますが、しかしながら、本年度の県税の動向はまだ流動的でございますし、また国の予算編成の動向、あるいは平成30年度の地方財政対策の姿が不透明であります。こうしたことから、現時点で中期財政試算全体を見直して公表するということはなかなか難しいものというふうに考えております。今後、当初予算編成、あるいは次期総合5カ年計画の策定に合わせまして新しい中期財政試算をお示ししていきたいと思っております。
 それから、国の施策、とりわけ地域組織に対して縦割り、トップダウン、こうしたものをやめるべきであり、国に要望してはどうかという御質問であります。
 私も基本的には全く同じ思いであります。国が各省庁縦割りで仕事をしているおかげで地方において事務が煩雑化したり、実際に取り組みを行う地域での混乱を招くケースもあり得るというふうに考えております。
 こうした観点から、昨年秋の関東地方知事会におきましても、本県からの提案で、中山間地域の活性化に向けた基盤整備に関して、内閣府、経済産業省、農林水産省など複数にまたがっている申請の窓口を一本化することなどを国に対して要望しようということを提案して、要望しているところでございます。こうした政策は、本当は国のレベルでしっかり調整をしてもらうことが重要だというふうに思っておりますので、そうした趣旨を国に対して要望していきたいというふうに思っております。
 それから、総合5カ年計画策定段階からの県民参加についてでございます。
 できるだけ多くの皆様方と対話をして、それを踏まえて計画をつくろうということで、私のみならず地域振興局長を初め各部局も全庁挙げてこれまで250回を超える県民との意見交換を行わせていただいております。
 私自身も、首都圏の県出身学生との意見交換、あるいは県内でのタウンミーティングなどに出席をさせていただき、直接多くの皆様方の考え、思いというものを聞かせていただいてきております。
 そうした中で、やはり長野県は学びの風土がしっかり根づいているなと、あるいは自治力があるなというふうに改めて思っております。多くの皆さんが自分たちの経験に照らしてはっきりと意見を出される。自分たちが意見を言うだけではなくて、自分たちで行動していると。こうした思い、考えに触れることができ、私としても、改めて、県として多くの皆様方の思いをしっかり形にすると同時に、一緒になって実現できる計画にしなければいけないなというふうに考えております。今回、相当丁寧なプロセスでつくっておりますので、このプロセスで出てきた意見をこの計画自体にしっかりと盛り込むことができるように取り組んでいきたいと思っております。
 それから、5カ年計画の策定に当たっての各種計画の統合について御質問いただきました。一本化するか、あるいは個別につくるなら総合計画は簡単な記載にすべきじゃないかということでございます。
 総合5カ年計画は県の最上位の計画でありますので、個別計画と政策の方向性は合致させるようにしております。今回、総合計画と個別計画が併存しております。多くの個別計画がありますので、併存すると県民へのメッセージが伝わりにくくなるなという懸念もございます。
 ただ、全て一本化ということになりますと、総合計画自体が膨大な中身になってしまいますし、また、法定計画で県議会の議決が必要な計画でありますので、個別計画を改定する都度総合計画全体の改定の議決という話にもなりかねませんので、全部一本化するというのはいささか現実的ではないのかなというふうに思っております。
 そうした観点で、私としては、個別計画で記載している部分については総合計画においてはできるだけ簡潔な記述とさせていただくとともに、個別計画と総合5カ年計画の計画期間をなるべく合わせて県の政策の方向性が県民の皆様方にわかりやすいものになるよう工夫をしていきたいというふうに思っております。
 それから、国が地方に求める計画についてでございます。
 国が計画策定を地方に求めるという部分、これはございますが、計画を統合することについては必ずしも国は排除していないものというふうに考えております。ただ、新たな政策をつくるたびに県や市町村に○○計画をつくってくれというふうに求められるケースが多いというふうに受けとめておりまして、このこと自体は私も小島議員と全く同じ問題意識で、問題ではないかというふうに思っております。
 過日の全国知事会におきまして、私のほうからこの点について問題提起をさせていただきました。要するに、地方の声が反映されないまま国が地方にいろんな計画策定等を義務づけているのは問題だという提案をさせていただき、この点について全国知事会からの提言にも盛り込んでもらったところであります。
 これは、県としてもそうでありますが、全国知事会においても問題意識を共有して、国の政策決定プロセスの中に地方の声がもっとしっかりと反映できるシステムを構築してもらうことができるように国に対して求めていきたいというふうに思っております。
 以上です。
      

◆小島康晴

 

 御答弁いただきました。
 まず、最後のほうから申し上げますと、現行の総合計画策定時の附属資料によりますと、関連する主な個別計画等が68件あり、そのうち、本年度、平成29年度を終期、いわゆる最終年度とするものが19件ほどあります。主なと言うので、実際はもっとあるかもしれません。これらを次期総合計画策定と並行して現在策定作業をしておられるのではないでしょうか。まことにエネルギーの浪費と言わざるを得ません。
 知事からも国等に要望していただくという御答弁でしたのでそれで結構でありますけれども、計画行政と言いながら毎年のように計画づくりに追われ、まさに計画づくり行政に陥って、やがて計画倒れ行政になってしまいかねない、そんなことを危惧するものでありまして、引き続き地方の代表としてこの悪弊を断ち切るように大胆な取り組みをお願いしたいと思います。
 それから、40億円の財源について言いますと、使わなくて済んで繰り越せたと言えばプラスというか、メリットでしょうが、県民のために使い切れなくて残してしまったと考えると、マイナスというか、残念なことになります。仮に40億円全て使えるとすれば、1,000万円ぐらいの仕事、事業が400個くらいできるわけでありまして、40億円は毎年の予算総額からすれば0.5%足らずですが、されど0.5%です。ぜひ県民生活、県民経済を直視し、1円でも多く積極予算を展開されるよう、再度お願いしておきます。
 2点再質問いたしますが、次期総合計画策定に当たって、財源を、私は最新版をつくれとお願いしたわけですけれども、それ以外の方法で、総合計画に並行して5年間でどれぐらい財源があるというようなことをお示しするお気持ちはあるかということを確認させていただきたいと思います。
 それから、地域振興推進費につきましては、地方分権とか組織内分権の流れからしますと、ことしは1億ですけれども、いずれ2億、3億、5億、10億というふうにふえていっていただくべきものだと思いますので、ぜひそれにふさわしい仕組みをお考えいただきたい。例えば、せめて予算説明書に本庁部署と対等というんですか、地域振興局という款というか、項目を設けるということはお考えいただけないでしょうか。
      

◎知事(阿部守一)

 

 2点、追加で御質問いただきました。
 総合計画をつくるに当たっての財政的な見通しということでございます。
 これは、率直に申し上げて、一番重要な頭の悩ましい部分だというふうに思っております。総合計画には新しい取り組みも積極的に盛り込んでいきたいというふうに思っておりますけれども、しかしながら、他方で、それを実現していく上での財源をどう確保するかということも重要な問題だというふうに思っております。
 そういう観点で、これから総合計画策定に向け、あるいは来年度予算編成に向け、今の事務事業のあり方についてもやっぱりしっかり見直していかなければいけないというふうに思っておりますし、先ほど申し上げたように、次期総合5カ年計画の策定とあわせて、国の財政がどういう状況になるか、総選挙を控えて正直見通しづらいわけでありますけれども、ある程度見えてくると思いますので、そうしたものも含めて新しい中期財政試算をお示ししていきたいというふうに思っております。
 それから、地域振興局の予算計上のあり方、地域振興推進費の予算計上のあり方でございますが、先ほど申し上げたように、これはあくまでも形式的な部分であります。ただ、御指摘のように、そうはいっても見た目がそうは見えないぞという御指摘だろうというふうに思います。
 私としては、やはり地域振興局のポジショニングは高めていきたいというふうに思いますが、ただ、実際の予算づけについては、地域振興課に現状行わせていただいているということもありますので、御意見として受けとめさせていただきながら、地域振興局の意見をできるだけ反映した予算にしていこうという思いもありますので、地域振興局の位置づけをどうするかということについてはトータルで考えていきたいというふうに思います。
 以上です。
      

◆小島康晴

 

 事務手続といえども、見た目というお話ですけれども大事なことだと思います。
 長野県らしさをキーワードに何点か申し上げてきましたが、長野県らしさとは、誤解を恐れず言いかえれば、リーダーである阿部知事らしさでもあるわけでありまして、それだけのリーダーシップを持ってあと1年県民のために頑張っていただきたいと思います。
 私自身、一番多いときでも11人の部下しか持ったことがないのでおこがましいことは言えませんが、あるべきリーダーシップは、信じて任せるということだと考えています。
 以上で終わります。