平成29年9月定例県議会 発言内容(小林東一郎議員)


◆小林東一郎

 

 法的課題検討委員会の報告書に基づく加算金の納付による損害等の賠償請求の対応方針が示され、それを受け、監査請求がされましたが、一連の損害賠償請求の動きは余りに問題が多過ぎると感じております。

 「長期にわたり財務関係法令を逸脱した行為がなされたこと、この行為が組織の中で見過ごされてきたこと、現時点において多額の県民負担を生じていることなどを踏まえると、法的責任にとどまらず道義的責任も含めて、県組織全体としての責任について、深刻に受け止めるとともに今後の実効性のある取組を考える必要がある。」との監査委員意見が反映されていないと考えられる幾つかの疑問点について伺ってまいります。
 最初に、知事にお聞きいたします。
 法的課題検討委員会の碓井委員長は、報告書の提出後、時間的な制約があり、加算金を中心に損害賠償請求を検討するのが精いっぱいで、諮問された県単事業の損害賠償請求までは踏み込むことができなかった旨の発言をされています。加算金についての検討は中間報告として監査委員が定めた期限に間に合うように先行させ、その他の諮問事項についてはより慎重に検討を続ける必要があったのではありませんか。
 次に、損害賠償請求についての対応方針では、事業主体等に対する請求について、法的課題検討委員会が可能だとの判断を示したことに基づき請求する、あるいは請求することを基本とするとしていますが、同委員会報告書の「大北森林組合等が過失相殺、あるいは、国の加算金が県の指導監督の不備に対して課せられたものであり、刑事事件判決でも県職員に重大な落ち度があると触れられたことなどから、信義則上請求することは適切でないとの主張をする可能性があることに留意する必要がある。」との指摘を受け、求償関係をできるだけ残さないようにするため、県職員と重複する部分は2分の1としました。いわば均等に償えということですが、不正受給を主体的、能動的に進めてきたのは組合とするこれまでの県の説明からすれば、事業主体等に軽く県職員に重い配分となっていないでしょうか。
 次に、決裁権のある地方事務所長及び副所長については、「交付決定書類のすべてを自らが確認することが困難」等の理由で重大な過失があったとは言えないとの判断ですが、それならば、同様の問題が再発したとしても決裁権を有する者の責任は問えないことになり、組織のあり方をゆがめることになるのではありませんか。
      

◎知事(阿部守一)

 

 大北森林組合事件に関する損害賠償請求の方針について御質問いただきました。
 今回の方針は、私どもも相当丁寧に慎重に検討させていただいた上で取りまとめたものでございます。
 まず、県単事業などについてさらに慎重に検討を続ける必要があったのではないかという御質問でございます。
 関係者に対する損害賠償請求につきましては、法的課題検討委員会において事案全体について御説明をさせていただいた上で、委員の方々とも協議の上、特に判断が困難であった課題である事項を中心に御検討いただくという形にしております。
 ただし、報告書におきまして、「県単補助金で時効により消滅した分については、損害賠償請求によって回復することは困難である。」という考え方が示されておりまして、県単補助金の流用事案につきましては事業主体に対して請求はできないというふうに考えております。また、県職員につきましては、これまでの県としての検討をもとに、対応方針において、「課長等の指示や了解の下で行われたもので、財務会計職員の責任に帰すべきものと考えられますが、財務会計職員については地方自治法上の時効が成立しており、損害賠償請求を行うことはできないものと考える」というふうに整理をさせていただいているところでございます。
 次に、事業主体に2分の1というのは県職員に重い配分ではないかという御質問でございます。
 今回の対応方針におきましては、関係者相互間の求償関係をできるだけ残さないようにしようということを基本方針にしております。事業主体等に対する請求につきまして、県職員と重複する部分については、その2分の1を請求することを基本に対応することとしたものであります。
 加算金につきましては、組合等の行為がなければ発生しなかったものでございますが、その一方で、県の補助金交付に係る指導監督の不備が問われ、課されたものでございます。こうしたことを考えれば、損害の公正な分担の見地から妥当なものというふうに考えております。
 自治法に基づきます財務会計職員に係る賠償額の決定は監査委員の権限でございますが、監査委員には使用者の被用者に対する求償制限の法理などについて御留意をいただくよう要請をさせていただいているところでございます。
 決裁権を有する者の責任についてという御質問でございます。
 今回の事案におきまして、地方事務所長、そして副所長に対しましては、指導監督に適正を欠き、不適正な事務処理を招いたことに対しての責任を問うという観点から、平成27年12月に地方公務員法第29条に基づく懲戒処分を行っているところでございます。
 今回の法的課題検討委員会の報告書におきましては、この自治法243条の2第1項に基づく職員の賠償責任につきましては林務課において検査の結果適正と認められるという復命書が作成され、さらに課長の確認を経て決裁に供されており、所長、副所長としてはこうした検査結果を前提として補助金の交付決定を行っていることがうかがえ、膨大な決裁書類の全てを確認することは事実上困難であり、不適正案件を見抜けなかったとしても重大な過失があったとまでは言えないというふうにされております。
 こうしたことを踏まえまして、県としては監査委員への監査請求の対象職員に含めないという形で整理をいたしているところでございます。
 以上でございます。
      

◆小林東一郎

 

 法的課題検討委員会報告書において、地方事務所林務課長が、検査野帳に不備があり竣工の確認ができない場合、書類のチェックを怠り、交付決定を認めた事案については重大な過失があったとしているのですが、そのような不適正な事務手続を最終的にチェックするのが所長、副所長のはずです。
 また、法的課題検討委員会や不正受給等検証委員会の職員へのヒアリングで、最終的に課長が責任を負うべきと述べられていることから、具体的な審査、指導については、特別なことがない限り各課の職員に任せていたのが実情とされています。決裁権を任せていた、それが実情だというなら、そもそも組織としての機能が働いていないことの証左としか考えられません。それでも重大な過失がないとされますか。知事にお聞きいたします。
 大北森林組合事件に関し、林務部本庁職員2名が上司への報告を怠り誤った指示をしたとして減給処分を受けています。また、職員のこの行為により早期に調査を開始する機会を逸したとの説明もされています。にもかかわらず、法的課題検討委員会報告書の「林務部の特定の職員の行為又は不作為と損害との間の相当因果関係の存在を認めることはできない」を引いて「重大な過失なし」としたことには納得できません。それでは、平成26年4月に北安曇地方事務所林務課から林務部に未完了事業があることの報告がされてから同年12月の発覚までの間の加算金は課されなかったのでしょうか。林務部長に伺います。
      

◎知事(阿部守一)

 

 決裁権を有する者の責任について改めて御質問を頂戴いたしました。
 法的課題検討委員会は、この分野での実務家あるいは学者としても第一人者の方に御参画をいただいて御議論いただいたわけであります。そういう意味で、かなりさまざまな角度から御議論いただいた結果だと思っております。
 今御指摘があった部分につきましては、最高裁の判決で、平成20年の静岡県の教育委員会の事案でございますけれども、同じように、個々の文書の起案をその都度部下に指示することをせず、処理を各担当の部下に任せていたということに関連して、これは特にそのことは非難されるべきものではないという判断が最高裁で行われています。もちろん、ケース・バイ・ケースで判断するべきものだというふうに思いますけれども、先ほど申し上げたように、職員の損害賠償のあり方について専門的に検討されている皆様方が、過去のケース等も勘案した上で、そして、先ほど申し上げたように、今回の事案の概要についても私どもからしっかり御説明をした上でそうした考え方が示されているところでありまして、私どもとしてはこうした考え方を踏まえて先ほど申し上げたような対応をしているという状況でございます。
 以上です。
      

◎林務部長(山﨑明)

 

 加算金の算定期間に対するお尋ねでございます。
 補助金適化法に基づく加算金については、補助金の受領の日から納付の日までの日数に応じて算定されております。今回の事案では、補助金を受領した平成22年3月18日から26年3月20日を起算日として、返還金を納付した日の平成28年9月12日までの日数に応じた金額が課せられております。平成26年4月からの期間も含まれております。
      

◆小林東一郎

 

 早期に調査を開始する機会を逸していた間にも加算金は増大しています。県が国に提出したてんまつ書には、平成26年6月に造林緑化係長に北安曇地方事務所林務課からその時点で判明していた52件の未完了事業の状況が報告されていたが、森林づくり推進課長には報告されなかったと記述されています。
 一方、法的課題検討委員会の碓井委員長は、積極的にそういう認識をしていたかということまでは私どもは考えなかったと言われていますが、報告があっても放置したとなれば「甚だしく注意義務を欠く」に該当します。なぜこれが重大な過失ではないのか、知事にお聞きします。
 県の指導監督に不備があったとの理由で平成21年度から25年度の補助金返還命令により加算金が課されています。その期間は、それ以前に形づくられていた不正受給の仕組みが回り続けていた時期に当たり、賠償請求対象となっている11名の県職員は、組織風土の中でいわば歯車の一つとして動いていたと推測され、トカゲの尻尾切りではないかとの報道もされているところです。
 事件のキーポイントは、北安曇地方事務所において未完了事業の補助金申請を容認していたことにあるとの説明が知事からありましたが、行き過ぎた助言を端緒とする未完了事業容認の仕組みがいかに形成され、ひとり歩きしていったのか。いまだに具体的な説明はされておらず、県民の疑問もここにあります。損害賠償請求の検討と同時にこの部分の説明責任を果たし、責任の所在を明確化しておく必要があったのではありませんか。知事にお聞きいたします。
      

◎知事(阿部守一)

 

 平成26年4月の段階、報告時点で調査を行わなかったということに対しての責任を問うべきではないかという御質問でございます。
 懲戒処分の問題と法的に損害賠償請求するかというのは、これはまた違う話ですので、そこはぜひしっかり分けて考えていただきたいというふうに思います。要するに、不法行為の要件に該当するのかどうかということでありますので、そこは法的に混同されると議論がおかしくなるなというふうに思っています。
 この北安曇地方事務所の報告時点におきましては、本庁の林務部職員が長期にわたる大量の補助金不適正案件があるということを予見できたということまでは言えないというふうに考えております。また、仮に直ちに調査を開始していたとしても、加算金に対してどのような影響をしたかということを確定することは困難だというふうに考えております。したがいまして、このことについて林務部の個別の職員の損害賠償責任を問うということは難しいと考えております。
 それから、説明責任をより果たせということでございます。
 何度もこの議場でも申し上げてきておりますけれども、それぞれの局面においてしっかりと我々が認識していることについてはつまびらかに御説明するよう努めてきているところでございます。
 今回の事案の契機は、検証委員会の報告書でも御指摘をいただいておりますように、予算消化のために未完了事業の申請の容認を行うという県側としては誤った取り扱いを行ったということであります。そのために適正な検査を行うことをしなくなってしまったということであります。長期にわたって継続してしまったことも問題であるわけでありますけれども、これも既に御説明をしておりますが、検証委員会報告書で御指摘を受けておりますように、まずは検査業務においての前例の踏襲、今までこうだったからということがあります。この年度末の未完了申請を黙認するという取り扱いが引き継がれ、また業務が多忙だったということもあってこうしたことが改められなかったというものでございます。
 また、今回の法的課題検討委員会でも御指摘をいただいておりますけれども、未完了申請があり得るという認識があった職員について、後日必ず事業が実施され、このような運用も許されるものという誤った認識を有していたというふうにされております。要は、行為の違法性に対する認識が乏しかったということが言われているわけであります。こうした組織風土や職員の認識などが相まって長期にわたって不適正な受給が継続してしまったものというふうに考えております。
 こうしたことは、県民に対して本当に大変申しわけない事態だというふうに思っております。こうした問題を二度と起こさないためにも、全庁的にコンプライアンスの推進をしっかり図るとともに職員の意識改革を図って、こうした補助金の不適正事案を我々は重く受けとめて信頼回復に努めていかなければいけないというふうに思っております。
 以上です。
      

◆小林東一郎

 

 知事に再度お聞きいたしますが、林務部職員が「甚だしく注意義務を欠く」という認識はいかがでしょうか。そこのみお答えをいただきたいと思います。
 未完了事業を容認していたことがこの事件の発端であり7年も続いたということは、北安曇地方事務所林務課の職員個々の対応に問題があったという範囲を超えております。また、今の知事の答弁でも、そのようなことであったのではないかというふうに感じられるところであります。そこが解明されていないんだというふうに県民が感じているんです。
 ところが、今回の損害賠償請求の検討においては、個々の職員の重大な過失や責めを負うべき過失があったかどうかが基本であり、それは法的課題検討委員会報告書の「上司、本庁に報告し、適切な対応を職員に対して指示すべきものである。」、「上司の判断を誤らせ、上司に誤った行為を行わせたことが問われるべきものである。」にあらわれていますが、その前に、本件では組織自体にさまざまな問題が内在しており、そこが問われるべきなのです。そこを明らかにすることなく個々の職員の法的責任を問うのならば、まさにトカゲの尻尾切りと言わざるを得ませんが、知事にお聞きいたします。
      

◎知事(阿部守一)

 

 お答えします。
 法的な整理の上で、先ほど損害賠償請求の御質問をいただいているかと思いますけれども、損害賠償請求につきましては、先ほど申し上げたような観点でこの対象とはなりがたいというふうに考えております。ただ、処分はしているわけでありますので、そこは不法行為の構成要件と我々職務上の処分というものは違っているということでございます。
 トカゲの尻尾切りではないかという御指摘でございますが、ここで申し上げたように、私もこれは組織全体で重く受けとめなければいけない課題だというふうに思っております。職員処分も、私、あるいは管理監督職員も行わせていただいたところでございます。ただ、この損害賠償の部分になりますと、どうしても相当因果関係があるとか不法行為に該当するのかどうかという形の検討になるわけでありまして、そういう検討をすると今回のような結果に法的にはなるということでございます。
 もっと申し上げれば、例えば時効にかかっている補助金の返還請求もありますので、その部分については加算金が課されないと。したがって、そこの部分まで仮に課されたとすれば対象となる職員は現在よりももっと多くなる可能性もあるわけであります。
 そういうことではなくて、今回、我々は全力でこの対応にしっかり取り組んできたわけでありまして、そうした一連の取り組みの中で、法的な検討を専門家の皆さんがしっかり行った上で判断した方向が今回のものだということでございますので、ぜひその点については御理解いただければというふうに思います。
 以上です。
      

◆小林東一郎

 

 私は、その法的課題を検討と同時にこの事件の全容の解明というものがまずないといけないと思うんですよね。そこの部分が解明されていないのに職員の法的問題をいろいろ追及するというのは、非常に職員にとっては酷なことだろうなと思います。
 その解明の方策の一つとして、職員処分の際のてんまつ書を個人情報に配慮しながら公開する考えはおありでしょうか。知事に伺います。
 知事は、今回の方針決定に当たって、県組織を統括する立場としての責任に鑑み、特別職の給与を削減する条例改正案を今議会に提出されましたが、削減額はいかなる根拠により算出されたのですか。また、給与の減額が監査に予見を与える可能性について考慮をされたのでしょうか。
 以上、知事に伺います。
      

◎知事(阿部守一)

 

 事案の全容解明が必要だということでありますが、これは、検証委員会でも第三者に入っていただいて、法的課題検討委員会の皆さんにも職員にも聴取をしてもらって、これは全く利害関係がない方にそうした取り組みをしていただいているわけであります。なおかつ、私が先ほど御答弁申し上げましたように、相当丁寧に御説明をさせていただいているわけでありまして、何が解明されていないという御指摘であるのかというふうに思います。
 私どもは、それぞれの側面で、補助金の返還請求であったり刑事告発の部分であったり、県として責任ある対応を行ってきたわけでありますので、そういう意味では、私もこの問題に相当時間をかけて誠心誠意取り組んでいる中で、全容がわからないというふうに単に言われても非常に困惑するというのが正直なところでございます。
 もとより、県民の皆様方に私どもの取り組みがまだまだ伝わり切れていない部分もあろうかというふうにも思います。また、これは非常に多面的な側面があるので全体像がわかりにくいということはあろうかと思います。しかしながら、ホームページでもこれまでの一連の取り組みをしっかりオープンにさせていただいているところでありますし、私どもとしては、包み隠さずこれまでの取り組みを会見等でもお示しをさせていただいているところであります。
 職員の調書について情報公開すべき、提供すべきということについては、少し慎重に考えさせていただきたいと思います。この職員個々の聴取については、公表を前提に聴取したわけではないだろうというふうに思いますので、そこはよく検討させていただかなければいけないと思いますけれども、率直に言って、少なくとも私は別に隠すべきことは全くないと。私が受けとめていることについては全て皆さんに御説明をさせていただいているというふうに思っておりますので、ぜひ御理解いただければというふうに思います。
 それから、特別職の給料減額について御質問いただきました。
 今回の対応は、清沢議員の御質問にもお答え申し上げましたとおり、本県職員が県に損害を与えたものと認められるという判断をさせていただいたということを重く受けとめて、職員の懲戒処分に関連して私自身に科させていただいた給料減額と同程度の対応ということにさせていただいたところでございます。
 監査委員に対しては、これは地方自治法の規定に基づいて、本県職員の賠償責任の有無、賠償額の決定等を求めさせていただいたものでありまして、これは独立した機関でございますので、今回の給料減額が監査結果に影響を与えるもの、予見を与えるものというふうには考えておりません。
 以上です。
      

◆小林東一郎

 

 知事は丁寧に説明されてきたとおっしゃる。一生懸命説明してきた、解明に努めてきたというふうにおっしゃるんだけれども、多くの県民はまだ疑問を持っているわけです。一体そこの疑問が何なのかというところを真摯に受けとめていただいてこれからの説明責任を果たしていっていただきたいというふうに思います。
 また、ただいま、削減額はいかなる根拠により算出されたんですかというところにお答えをいただいていなかったと思いますので、お答えいただきたいと思います。
 この方針で示されたことは法的責任でありますけれども、給与減額は道義的責任によるものです。それをおやりになるならば、林務部の幹部職員や地方事務所長等の道義的責任に━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 さらには、去る9月11日、加算金の支払いにつき、知事、関係した歴代林務部長及び本庁林務部幹部に対する損害賠償請求を怠っていること等についての住民監査請求もされているところであり、知事みずからの責任については監査結果を待って判断すべきで、時期尚早ではありませんか。
 以上、知事にお聞きいたします。
      

◎知事(阿部守一)

 

 1点目は先ほどお答えをさせていただいたつもりだったのでありますが、伝わらずに申しわけございません。
 今回は、職員の行為が県に損害を与えたものと認められると判断させていただいたことを重く受けとめさせていただきました。これは、28年3月から給料削減を行わせていただいておりますが、このときの考え方は、県政の責任者である知事として、管理監督者の処分で最も重い処分よりも重い対応という形で対応させていただきました。今回は、その時点の考え方と同じ程度とさせていただいたところでございます。
 それから、もう1点御質問をいただきましたけれども、今回の対応というのは非常に法的な観点から検討させていただいてきたところでございます。道義的責任については、私あるいは副知事のとっている対応というのはいわば道義的責任の部分というふうになろうかと思います。
 法的責任につきましては、損害賠償請求という観点から今回方針をお示しさせていただいたものでございますし、その他の職員に対して道義的責任をとらせるということになりますと、公務員は身分保障がされているわけでありますので、そういう意味で極めて慎重の上にも慎重に判断しなければいけない問題だというふうに思っております。
 今回は、法的課題の検討を踏まえてこういう対応をさせていただいておりますし、また、その道義的な部分におきましては、これは林務部の有志を中心として寄附金を集めようという動きが出てきているわけであります。こうした動きは、私は大変ありがたい、組織全体でそうした思いを共有していただけているということは大変ありがたいなというふうに思っているところでございます。
 したがいまして、この道義的責任という問題については、これは知事として法的な対応を踏み込んで行うと、私がやりますと法的な対応になりますので、それとはまた別の次元で、今回、特別職についてはこうした対応をさせていただこうというものでございます。
 住民監査請求につきましては、これは内容については全く承知をしておりません。私どもとしては、今まで取り組んでいることにつきましてこれからもしっかりと対応を進めていくと同時に、県民の皆様方からの理解と信頼が得られるような県政の推進を図っていきたいというふうに思っております。
 以上です。
      

◆小林東一郎

 

 知事が道義的責任をとられるのは全ての事態が解決してから、そうであるべきだと思います。撤回なさったほうがよろしいのではないかと、これだけは申し上げておきます。
 財務会計職員への損害賠償請求について、地方自治法243条の2第3項の規定により、その事実があるかについての監査と賠償責任の有無及び賠償額の決定を監査委員に求める監査請求がされていますが、そこには決定に当たっての留意事項が付されています。しかし、独立機関である監査委員への監査請求はそもそもフリーハンドであるべきであり、同条第8項の規定によれば、留意事項を付すことは監査に対する介入ともなりかねません。その点はいかなる精査がされたのか、知事にお聞きします。
 また、非財務会計職員への損害賠償請求について、地方自治法199条の6項の規定により監査請求がされていますが、賠償責任の有無及び賠償を求めるべき額はそもそも知事が決定すべき事項であり、そこまで監査委員に判断を求めるのなら監査委員への丸投げになってしまっているのではありませんか。これも知事にお聞きいたします。
      

◎知事(阿部守一)

 

 監査委員に対する留意事項ということでございます。
 私の立場は、県民の代表という立場と、それから、県職員が一丸となって取り組んでいかなければいけないということで県組織を束ねる立場と、両面有しているわけであります。今回、御指摘のとおりやや異例な部分ではあろうかというふうに思いますが、監査委員に監査を求めるに当たりまして留意事項ということを付させていただいたところでございます。
 今回、法的課題検討委員会の専門家の皆様方の御議論も経て、私どももかなり多角的に検討を行った上で対応方針を決めさせていただいたところでございます。そういう意味で、今回、先ほど知事は無責任だみたいなお話がありましたけれども、全くそれとは逆で、私がしっかり責任を持って対応しなければいけないということで、これまで私どもが判断に当たって考えてきたことも含めて監査委員の皆様方にしっかりお伝えして御判断いただきたいということでこのような要請という形をとらせていただいたところでございます。
 それから、非財務会計職員に対する損害賠償請求はそもそも知事が決定すべきじゃないかという御質問でございます。
 全くそのとおりであります。最終的には私が決めるという形になるわけでありますけれども、ただ、このことについては、御承知のとおり、財務会計職員については監査委員が決めるという形になっているわけであります。そして、今回、法的課題検討委員会の皆様方からも、財務会計と非財務会計職員の賠償責任の分配について、両者間の損害の公平な負担割合については第三者の意見または判断に委ねるべきと、この私のもとではなくて第三者の意見、判断に委ねるべきという御指摘をいただいているわけであります。
 そうしたことから、A職員とB職員が賠償請求にちゃんと応じていただいたときに、さらにA職員とB職員間に求償関係が残るというのは、これは人事管理上極めて問題になりかねないということもあって、非財務会計職員につきましてもあわせて監査委員の皆様に対する要求監査を行うことも考えられるという御指摘を踏まえてそういう対応をさせていただいたところであります。これは、私が責任をとらないということではなくて、公平な判断を行っていただくために監査委員の皆様方に監査を求めることとしたものでございます。
 以上です。
      

◆小林東一郎

 

 最終的な判断を下すのは知事なんです。知事がその決定を他者に委ねる、それは県民にとって大変不幸なことだと私は思います。どうか毅然として御自身が決断を下す、そのような姿を県民に明らかにしていただきたい。このことをお願いをいたしまして、質問といたします。