平成29年9月定例県議会 発言内容(荒井武志議員)


◆荒井武志 

 

 初めに、次期総合5カ年計画についてであります。

 このことについて、知事は既に設置済みの総合計画審議会を通じ、昨年の11月から延べ5回にわたり会議を開催し、県を取り巻く現状や課題、県内で活躍されておられる方々との意見交換などを踏まえ、重点政策の方向性、基本目標などについて議論されてこられました。県議会でも研究会を立ち上げ、並行して検討を重ねているところです。
 そして、それらの検討を踏まえ、このほど、政策評価案構成素案が提示されました。過日の議案説明では、現行計画の「確かな暮らしが営まれる美しい信州」という基本目標をベースに、創造的な学びの推進以下五つの大きな政策の方向性が示され、県民一人一人の主体的で創造的な学びと、みずから考え行動していくための基盤となる実力こそが必要欠くべからざるものであるとされました。いずれも重要であり、自己をしっかり律しながら取り組んでいきたいものだと思ったところであります。加えて、構成素案では、政策を推進するために、検討例ではありますが、重点プロジェクトが示されました。
 そこで、知事にお伺いします。
 一つに、働く場所の確保や移住・定住策などの社会増を目指すもの、出産から子育てを充実させ自然増につなげようとすることなどが人口や働き手の急激な減少への対応策であるのだろうと思います。着実に進むと目される人口減少に対し、その抑制策の柱として社会増を目指すことも大事でありますが、自然増の最たる取り組み、出生率をどう引き上げるのかに重点を置くべきと考えますが、いかがでしょうか。
 二つに、将来像は現行計画を基本として構築するとしていますが、基本目標「確かな暮らしが営まれる美しい信州」は、信州という地域名だけ変えればどこの自治体でも通用してしまうのではないかとして、現行計画の策定段階においていかがなものかと指摘してきた経過も踏まえ、いっそこの際再考すべきと考えるが、いかがでしょうか。
 続いて、企画振興部長に伺います。
 現行計画のしあわせ信州には目標人口の設定がされていなかったと承知していますが、たとえマイナス人口になろうとも、計画最終年度における目標人口はしっかり示していくべきと考えますが、いかがでしょうか。
 二つに、県内各市町村にはそれぞれ総合計画があり、加えて創生戦略があるわけですが、とりわけ目標人口や人口減少抑制策などについて、これらの計画との整合性をどのように考えておられるかお聞かせください。
      

◎知事(阿部守一)

 

 次期総合5カ年計画について2点御質問を頂戴しました。
 まず、出生率の引き上げに重点を置くべきではないかということでございます。
 現在、次期総合5カ年計画を策定途中でありますので、まだめり張りのつけ方が明確にはなっていないところもあろうかと思います。また、今回、信州創生戦略と5カ年計画を合体させるということで、御指摘のとおり、今の信州創生戦略に掲げている内容もしっかり引き継ぎながらめり張りのあるものにしていかなければいけないというふうに思っております。
 そういう中で、この自然減の歯どめというのは、現行信州創生戦略の中の大きな柱になっているところでありまして、結婚支援、子育て支援などさまざまに取り組む中で、本県の出生率は何とか1.59まで上昇してきたということであります。これから引き続き上昇に向けた施策を講じていかなければいけないというふうに考えておりますので、今後の検討の中で、この出生率についてどう記載して取り組んでいくかということについては、御指摘も踏まえてしっかり検討していきたいというふうに思います。
 それから、基本目標をこの際再考すべきではないかということでございます。
 これについては、現在、総合計画審議会で御審議いただいているところでございます。私は、個人的には、確かな暮らし、あるいは美しいというのは、余りほかの県では使われていない。いきいきとか、元気とか、輝くとか、ほかの県の計画を見るとそういうのは大体使われておりますけれども、本県が使っているこの「確かな暮らし」であるとか「美しい」というのは余り使われてないわけでありまして、どこの自治体にも通用するというようなことでは必ずしもないんじゃないかというふうに思っています。
 ただ、総合計画審議会の御議論の中でも、もう少し前向き感というか、ポジティブな感覚が出ていたほうがいいんじゃないかというようなさまざま御意見もいただいているところであります。この基本目標につきましては、現行のものをベースとしながらも、学び、自治力、提案説明でも申し上げているように、こうしたものをしっかり加味することによって、より長野県らしいものにしていきたいというふうに考えております。
 以上です。
      

◎企画振興部長(小岩正貴)

 

 人口目標の設定についてお答え申し上げます。
 次期総合5カ年計画の最終年度となります2020年の人口につきまして、さきに策定しました信州創生戦略の人口見通しに基づいて申し上げますと、約200万人となる見込みでございます。次期計画は、信州創生戦略を統合するものとしております。平成27年の国勢調査の結果も織り込みまして人口見通しを掲げた上で、創生戦略に掲げております合計特殊出生率や社会増減数など人口に関する数値を目標として設定することを検討してまいりたいと考えております。
 次に、県と市町村の計画の整合性についてでございます。
 人口減少対策に限らず、多くの政策は、県行政のみならず市町村を初めさまざまな主体との協働なしでは実行できないものでございます。このため、信州創生戦略の策定に当たりましては、地域戦略会議において知事が出席して市町村長と意見交換を行い、子育て支援や移住促進、観光振興など、県と市町村が連携して実行する施策を構築したところでございます。
 次期総合5カ年計画の策定におきましても、この地域戦略会議を初め市町村との協議や意見交換を重ねながら、10の広域ごとの地域重点政策などについても検討しているところでございます。こうしたプロセスを通じまして、県と市町村との間で大きな目標と方向性を共有していただけるような政策を構築し、計画に盛り込んでいきたいと考えております。
 以上でございます。
      

◆荒井武志

 

 将来像の基本目標でありますが、ぜひ多くの声を大事にしてつくっていただきたいと、こういうふうに思っております。
 次に、2027年国民体育大会・全国障害者スポーツ大会への取り組みについてであります。
 国民体育大会と言うからには、まさに77市町村、200万県民がもろ手を挙げて歓迎し、万全な体制で取り組んでいかなければならないものと考えます。前回のやまびこ国体と違うのは、時の違い、経済状況の違いだけではありません。そこに全国障害者スポーツ大会が国民体育大会の直後に開催されるということであります。
 国民体育大会については、長野県が内々定となった7月18日、知事は、全ての県民がスポーツに親しむ契機となるのみならず、健康増進や観光、経済への波及効果など、本県が目指すスポーツを通じた元気な長野県づくりに大きな力を与えてくれる。今後、両大会の成功に向け、市町村や関係団体等の皆様と力を合わせて準備に取り組んでまいりますとコメントされました。
 補正予算案にも計上されたとおり、まずは準備委員会を立ち上げ、大会の基本方針や競技会場の選定方法、当面の進め方等が検討され、順次取り組みを進めながら、ある時点からは準備委員会から実行委員会へと移行し、大会開催に向かうと思っているところであります。
 そこで、教育長に伺います。
 一つに、設置予定の準備委員会は国民体育大会と障害者スポーツ大会を包含した組織と理解してよいのでしょうか。
 二つに、準備委員会の事務局はどこにどのように設置されるのか。競技種目の決定時期、会場地の選定時期、実行委員会への移行時期など、時系列的な流れをどのように取り組もうとしているのか、お答えください。
 次に、教育長並びに健康福祉部長に伺います。
 次期総合5か年計画の構成素案の重点プロジェクト例にも掲げられている両大会の競技力向上について、大会競技種目への選手強化策をどのように取り組んでいこうとお考えでしょうか。
 続いて、知事にお伺いします。
 会場地となる市町村への支援は極めて重要と考えます。市町村や関係団体等の皆様と力を合わせて準備に取り組んでいくとの知事コメントを踏まえ、77の全ての市町村が参画できる体制づくりや会場整備などへの支援策について、知事の力強い決意をお聞かせください。
      

◎教育長(原山隆一)

 

 お答えいたします。
 まず、2027年国体と全国障害者スポーツ大会への準備委員会の組織についてであります。
 国体直後に開催されます全国障害者スポーツ大会は、特に会場地の選定や広報活動のほか、大会運営要員の養成計画など、国体と共通して検討を要する内容も多いことから、準備委員会には障害者スポーツの関係団体にも加わっていただきながら、両大会を対象とした準備を進めていく予定でございます。
 準備委員会の事務局や会場地選定等のスケジュールでございますが、現在、準備委員会の設置に向けた事務は、健康福祉部との連携のもとで教育委員会で担当しておりますが、将来的には、今後策定する大会基本方針や全国障害者スポーツ大会との関連のほか、健康増進、地域振興といった観点も踏まえ、必要な体制について検討してまいりたいと思っております。
 なお、準備委員会は、中央競技団体や日本体育協会の視察などを経て、順調にいけば3年前の2024年に開催が正式決定されるので、その後、実行委員会に移行していく予定でございます。
 次に、会場選定等のスケジュールについてでありますが、まずは準備委員会の中に専門の委員会を設置して、会場地の選定の考え方や基準などを検討した上で、できれば来年度初めには市町村や関係競技団体に対し希望調査を実施してまいりたいというふうに考えてます。
 また、国体の実施競技でありますが、日本体育協会が4年ごとに見直すとされておりまして、本県が開催する2027年の大会では、7年前になります2020年に最終決定される予定でありますので、会場地の正式決定はそれ以降となる見込みでございます。
 選手強化策でありますが、本県の競技力向上に関しましては、ジュニア選手の発掘育成体制や練習環境、有望選手の県外への流失でありますとか特定種目への競技者の集中のほか、指導者の高齢化や女性指導者の不足などの課題がございます。他の国体の開催県を見ますと、準備委員会とは別に知事等を本部長とする競技力向上対策本部を設置して、医科学分野の専門家等による競技力の現状分析を行った上で、ジュニア選手の強化策や一貫指導体制の構築等のほか、若手指導者の資質向上策など、長期的な競技力向上基本計画というものを策定し、毎年評価検証を加えながら選手強化に取り組んでいる状況でもございます。
 本県におきましても、こうした開催県の例を参考にしながら、県体育協会、学校体育団体、医科学分野の専門家等と連携しまして、2027年の国体に向けた選手強化策を検討してまいりたいというふうに考えております。
      

◎健康福祉部長(山本英紀)

 

 全国障害者スポーツ大会の成功に向けては、まず多くの本県選手に参加いただけるよう、障害者スポーツの裾野を広げることが必要であるため、障害者スポーツの普及に取り組むとともに、障害のある方が地域の身近な場所でスポーツを行うことができる環境づくりを進めてまいります。
 その上で、競技力の向上に向け、障害のある選手が障害に理解のある指導者のもと、競技を行うことができるよう、障害者スポーツ指導員の養成を行うとともに、一般スポーツ指導者の皆様にも障害への理解を深めていただくよう取り組んでまいります。2027年の本大会で多くの本県選手が活躍できるよう、障害者スポーツ関係団体のみならず、一般スポーツ関係団体とも連携して競技力の向上に取り組んでまいります。
 以上でございます。
      

◎知事(阿部守一)

 

 国体、そして全国障害者スポーツ大会に向けた市町村との連携あるいは支援についての御質問でございます。
 この両大会は、極めて大規模な大会、催しであり、スポーツの振興のみならず、障害者の社会参加の促進であったり、あるいは県民の健康づくりであったり、大変大きな意義を持ったものだというふうに考えております。そのため、全ての県民の皆様方に一丸となっていただき、オール信州で取り組んでいくということが重要だと考えております。
 年内に設置を予定しております準備委員会におきましては、全ての市町村長の皆様方にぜひ委員として参画をしていただきたいというふうに考えております。その上で、できる限り多くの市町村で競技を実施していただく機運を高め、また、会場整備のあり方等の課題についても共有をさせていただきながら、市町村のみならず多くの関係団体の皆様方の協力をいただきながら準備に万全を期していきたいというふうに考えております。
 以上です。
      

◆荒井武志

 

 競技を県内全ての市町村で行っていくことには難しさがあると認識しておりますけれども、宿泊とか歓迎交流事業など、そういう面でも参画できるんではないかと、こういうふうに思います。そういうことを含めまして検討が深まることを強く期待して、次の質問に移ります。
 次に、緊急情報伝達手段のあり方についてであります。
 去る8月29日午前6時過ぎ、北朝鮮からミサイルが発射された模様。頑丈な建物や地下に避難してくださいと全国瞬時警報システム、いわゆるJアラートが長野県を含む12道県で避難を呼びかけました。外にいた私は、携帯電話と屋外スピーカーから情報をキャッチ。でも、周りに頑丈な建物や地下はなく、右往左往でございました。
 そこで、以下、危機管理部長に伺います。
 北朝鮮による弾道ミサイル発射に伴い伝えられた全国瞬時警報システム、Jアラートに関し、8月29日の際は頑丈な建物や地下に避難をとする文章や、結果として広範囲に周知し過ぎたのではないかなどについて、実態に合わないとの苦情等があったようでありますが、これらについて再考すべきなどとの要望を県から国に対して行ったのか伺います。
 二つには、9月15日にミサイルが発射された際に、国ではJアラートの文章を見直して避難指示を出したとのことでありますが、どのように見直しをしたのか。今後の国の対応についてもあわせてお聞きします。
 三つに、今回のような重大事態にかかわる県民への周知は、200万県民に確実に届かなければならないと考えます。Jアラートの情報は県の防災行政無線で仲介し、市町村の防災行政無線に伝達される仕組みと伺っていますが、市町村の防災行政無線の整備状況はいかがでしょうか。また、これらへの整備に対する国や県の支援策はどのようになっておりますか。
 四つに、市町村では戸別受信機や屋外スピーカー等を活用し、住民への周知を高めようとしていますが、それらの整備状況と支援策についてはいかがか、伺います。
      

◎危機管理監兼危機管理部長(池田秀幸)

 

 緊急情報伝達手段のあり方についての御質問をいただきました。順次お答え申し上げたいと思います。
 最初に、全国瞬時警報システム、Jアラートの情報伝達に関する要望についての御質問でございます。
 議員御指摘のとおり、8月29日、Jアラートによる情報伝達が行われた際には、避難の呼びかけ内容がわかりにくい、周知範囲が実態に合っていないのではないかなどの県民の皆様の御意見を直接または市町村を通じてお聞きをしております。
 これらの意見を踏まえまして、9月14日に国が開催いたしました国民保護に関する会議におきまして、当県から3点の要望を行いました。
 1点目は、頑丈な建物や地下に避難という呼びかけは、中山間地などの頑丈な建物や地下が周囲にない地域では、避難先が不明確で適切な避難行動につながりにくいおそれがあることから、文言を検討されたい。
 2点目は、この地域の上空をミサイルが通過した模様という呼びかけをもって避難解除としてよいのかわかりにくいことから、避難解除を判断できる呼びかけを検討されたい。
 3点目は、Jアラートによる情報伝達の範囲が広過ぎるといった意見もあることから、送信の対象となる範囲について検討されたい。
 以上の3点の要望を行いまして、国に対し検討を求めたところでございます。
 次に、Jアラートの情報伝達についての国の対応についての御質問でございますが、国では、都道府県等から寄せられた意見などを踏まえまして、呼びかけの文章としていました「頑丈な建物や地下に避難」を「建物の中または地下に避難」と変更いたしました。ミサイルが近くに着弾した場合、爆風や飛散物から身を守るため、できればコンクリートづくりの建物など頑丈な建物がよいわけでございますが、近くにそういった建物がない場合は、まずは屋内への避難を呼びかけるものというものでございました。
 また、「この地域の上空をミサイルが通過」としていた文章を、9月15日の際には「ミサイルは北海道地方から太平洋へ通過」とこれまでよりもわかりやすく見直しを行いました。
 なお、国では、Jアラートで情報を伝達した12道県の617市町村に対しまして、北朝鮮によるミサイル発射に関する住民アンケート調査を行っておりまして、今後の国民保護施策の参考としていくこととされております。
 県といたしましては、これらの国の動きを注視していくとともに、必要な意見につきましては今後も国に対して伝えてまいりたいと考えております。
 次に、市町村の防災行政無線の整備状況と支援策に関する質問でございます。
 Jアラートによりまして自動的に起動する市町村防災行政無線は、平成29年3月末現在、県内では68市町村、88.3%で整備をされておりまして、全国平均は81.2%となっております。
 なお、防災行政無線を有しない市町村では、自動的に起動する有線屋外スピーカーでありますとか、コミュニティーFMなどにより住民への情報伝達を行っているところでございます。
 防災行政無線の整備に対する支援策でございますが、国が進めておりますデジタル方式で整備する場合、元利償還金の7割が交付税措置されます緊急防災減災事業債等の活用が可能となっております。
 次に、戸別受信機と屋外スピーカーの設置状況でございますが、平成29年3月末現在、屋外スピーカーを設置している県内市町村は67となっております。戸別受信機を一部または全戸に配備している市町村は、平成27年3月末時点の統計でございますが63となっておりまして、戸別受信機を配備する市町村の割合は81.8%でございまして、全国平均69.4%を上回っている状況でございます。
 また、戸別受信機や屋外スピーカーの整備に対する支援策でございますが、屋外スピーカーや先ほど申し上げました防災行政無線と一体で整備する戸別受信機につきましては、緊急防災減災事業債等の活用が可能でありまして、また、戸別受信機のみを整備する場合は特別交付税措置の対象となっております。
 災害時において、住民の皆様の生命を守るためには、市町村から住民などに対しまして避難情報等の災害関連情報が迅速かつ確実に伝達されなければなりません。県といたしましても、市町村の要望をしっかり踏まえながら、関係部局と連携をいたしまして、支援制度の周知など住民の皆様への情報伝達手段の充実について努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
      

◆荒井武志

 

 答弁をいただきました。
 これからまだまだ自然災害、予期せぬ地震等も当然あると思われますので、うまく機能しますように願いまして、一切の質問を終わります。