平成29年2月定例県議会 発言内容(寺沢功希議員)


◆寺沢功希

   

 昨年6月、信州まつもと空港の発展・国際化に向けた取組方針が示され、信州と全国各地、東アジアを結ぶ空の玄関口であるとともに、その立地を生かした観光、にぎわいの拠点を目指す姿とし、現在、取り組みはまさにテイクオフ段階であります信州まつもと空港。今回の取り組みによる空港の活性化は、観光分野のみならず、商工業の分野におきましても大きなビジネスチャンスであると期待されており、ぜひとも県には部局横断で取り組んでいただきたいと思うところであります。
 そこで、企画振興部長にお聞きします。
 国は、平成29年度末で国土交通省東京航空局松本空港出張所内にある航空機安全運航支援センターの撤退を決めたようであります。さらに、今後航空局まで撤退してしまえば、航空管制運航情報官もいないリモート運用空港となってしまい、国際化が厳しくなるのはもちろん、重大事故等が発生した場合には適切な対応ができないおそれがあります。県が国際化を進めようとしている中、国はどのように考えているのでしょうか。また、県としては国に対して積極的支援をお願いしていくべきと思いますが、いかがでしょうか。
 2点目に、羽田空港及び成田空港では、既に離発着機数が満杯状態にもかかわらずビジネスジェットの受け入れを行っています。特に、羽田空港においては、年間1,000回以上のビジネスジェットの着陸があるようです。当然、航空機整備施設・事業者の誘致が必要になってまいりますが、国際ビジネスジェットの積極的な受け入れを進めてはいかがでしょうか。
 3点目に、滑走路南側延長線上にある公園内、玉石広場に設置された多くの巨大な石について、空港敷地外とはいえ、航空機の運用上、障害物がないほうが安全対策としては望ましいのではないかと懸念を示す方もおられますが、この件についての見解をお聞かせください。
 4点目に、訪日外国人観光客を平成32年には4,000万人を目標としている中においては、もっと大胆な路線の開設が必要ではないでしょうか。例えば、北陸新幹線を絡めた観光ルートを見据え、富山空港、小松空港への路線を開設するなど、現在検討中の関西、成田への路線も含めればハブ空港としての発展の可能性もあると思いますが、いかがでしょうか。
 5点目に、取組方針の中には2次交通の充実も盛り込まれております。昨年度から、安曇野市、大町市、北安曇郡の6市町村の負担金により完全予約制のシャトルバスの運行を行っており、今年度は通年運行とし、利用者が増加した一方、運行経費も増加し、各市町村の負担も大きくなっております。こうした既存の2次交通への財政上の支援も含めた協力のお考えはありますでしょうか。
 次に、産業労働部長にお聞きします。
 先ほどビジネスジェットの受け入れを提案いたしましたが、これには、並行してビジネスジェットを所有する国際企業の誘致が必要であります。また、隣接する臨空工業団地と空港との関係を今以上に密接にする必要もあります。精密機械や電子部品、医薬品など、小型、軽量、高付加価値の製品を生産する工場を誘致することにより、生産された製品はビジネスジェットや小型、中型の貨物機で輸送することが可能であり、九州地区の空港はこうした関係がかなり築かれているようであります。こうした企業、工場の誘致により、雇用の拡大、地域経済の活性化などが図られると思いますが、今回の取組方針に合わせたお考えをお聞かせください。
 加えて、危機管理部長にお聞きします。
 当然ですが、有事の際、いち早く救助活動を始めることにより多くの人命を救うことができます。例えば、甚大な被害が出て陸路が全て寸断され救助のための人員と機材が陸送できない場合には、空路に頼るしかありません。実際、東日本大震災では、救助のための人員と機材の受け入れのため山形空港を24時間運用にした実績があり、熊本地震の際の熊本空港も同様でありました。災害時に備え、松本空港の重要性を考えるべきであり、空港側の受け入れ態勢や周辺施設の整備も必要ではないかと考えますが、見解をお聞かせください。
      

◎企画振興部長(小岩正貴)

 

 寺沢功希議員から信州まつもと空港についての御質問を私には大きく5点いただきました。順次お答え申し上げます。
 まず、航空機安全運航支援センターの撤退についてでございます。
 現在、松本空港には国の航空管制運航情報官が常駐し、航空機に関しまして天候や滑走路の状況など離着陸に必要な情報を提供しております。この情報官の業務のうち、運航計画の受付業務等につきまして、一般財団法人航空機安全運航支援センターに委託されております。こうした委託は、松本空港のほかに国内9の空港で実施をされております。
 国に確認いたしましたところ、議員御指摘のとおり、平成29年度末をもって、松本空港では航空機安全運航支援センターへの業務委託を終了する予定とのことでございました。この対応の理由につきましては国から明らかにはされておりませんが、背景には、国の限られた人員体制の中で、全国的な配置のやりくりの中での動きというふうに推測をしているところでございます。
 空港における航空機の運航管理につきましては、一般論として、航空機の発着便数に応じて必要な体制が定められるものと承知をしております。県といたしましては、松本空港の発展、国際化に取り組む中で、必要な人員の配置など引き続き適正な運航管理体制がとられるよう、国に対して要望してまいります。
 次に、ビジネスジェットの受け入れについてでございます。
 空港運営を行っていく中、近年、旅客定期便だけではなく、民間の小型ジェット機、いわゆるプライベートジェットやビジネスジェットと言われる航空機の存在感が高まっております。松本空港におきましても、平成27年度、定期便以外の小型ジェット機は53機着陸をしておりまして、今年度は1月末で54機が着陸をしております。しかしながら、議員御提案の国際ビジネスジェットの着陸につきましては、過去、平成26年度に2機、今年度1機の計3機のみとなっている状況でございます。
 松本空港の発展、国際化に取り組む上で、国際ビジネスジェットの受け入れは、考え得る有効な選択肢の一つと認識をしております。今後は、国際ビジネスジェットについて、どのような機材で、またどの程度の頻度で運航が見込まれるかといった需要動向も把握しつつ必要な施設整備も含めて検討してまいりたいと考えております。
 公園内の石群についてでございます。
 松本空港南側の松本平広域公園内にある玉石広場は、平成6年の松本空港ジェット化開港に合わせて整備されたものでございます。このモニュメントは、航空法で規定する空港周辺の構造物等の高さ制限には抵触しておらず、また滑走路の南端から250メートル以上離れているところに存在をしております。国の基準では、過走帯と滑走路端安全区域合わせて150メートルが必要とされているところでございますので、県といたしましては、航空機の安全運航上支障を来すものではないと認識をしております。引き続き、利用者や関係者の意見には真摯に耳を傾けながら、より利用していただける空港となるよう取り組んでまいります。
 続いて、新たな路線の開設についてでございます。
 松本空港の国際化を進めるためには、国際チャーター便や国際定期便を誘致するだけでなく、基盤となります国内路線の充実も重要でございます。国内路線が充実することで、国際便との乗り継ぎ利用によるインバウンドの需要の拡大も期待できるところでございます。昨年策定いたしました取組方針にもありますように、現在の福岡、札幌線と大阪線についてさらなる増便や運航期間の延長を目指すとともに、平成27年度に実施した需要調査の結果も踏まえ、新規路線の開設に取り組んでまいります。
 また、新規路線の開設だけでなく、近隣の他空港とも連携して広域的な観点で空港の利用者を取り込むといった方向性につきましても検討してまいりたいと考えております。
 最後に、2次交通への支援でございます。
 議員御指摘のシャトルバスは、松本空港からの重要な交通手段として、空港の利便性の向上に大きな役割を果たしていただいているものと認識をしております。県でも、空港のホームページや路線PRチラシに運行情報を掲載し、広報宣伝に努めてきたところでございます。
 松本空港を拠点とした2次交通のあり方につきましては、昨年9月に地元市や航空会社と設置しましたプロジェクトチームの検討課題の中の一つでございます。新年度からは、地域振興局も加わり、観光地域づくりに資する県内交通ネットワークの整備という視点も持ちながら、効果的な実施方法や運行事業者への支援の方策等について検討を行ってまいります。
 以上でございます。
      

◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹)

 

 松本空港周辺への企業誘致についての御質問でございます。
 お話のありました信州まつもと空港の発展・国際化に向けた取組方針の中では、企業視点での松本空港の利用方法として、海外向けのビジネスでの利用や航空機貨物室の空きスペースを活用した少量貨物の輸送の検討などが挙げられております。御提案のように、実際に国際ビジネスジェットの受け入れなどが実現すれば、国内外への輸送方法や人の動きの選択肢がふえるなど、松本空港のみならず県内の産業全体に大変寄与するものと考えております。
 今後、具体的な路線拡充や国際化の実現状況を見ながら、ビジネス面での松本空港の利便性や優位性を適宜県内外に周知するなど、将来の企業誘致も視野に入れ、取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
      

◎危機管理監兼危機管理部長(野池明登)

 

 信州まつもと空港につきまして、災害時のその活用と体制整備についてでございます。
 大規模災害発生時には、ヘリコプター等の空路を活用した迅速な救急救助活動と救援物資搬送が生命線でございます。このため、県地域防災計画では、松本空港及び松本平広域公園周辺を広域防災拠点として選定をし、有事の際は現地指揮本部を置きまして、消防、警察、自衛隊、災害派遣医療チーム、DMAT等による全国的な広域応援活動の受け入れが可能となるよう、関係機関との活動エリアのゾーニング等の調整を行っているところでございます。
 一方、熊本地震で当初想定した物資拠点が使用できなかった状況、また、糸魚川―静岡構造線断層帯等の第3次長野県地震被害想定などを踏まえまして、空港周辺の備蓄倉庫、物資集積拠点の充実ですとか、さらには県全体の広域防災拠点の配置や機能につきまして、来年度から新たに広域受援計画策定事業に取り組んでまいりたく、そのための予算を今議会にお願いしているところでございます。
 今後、松本空港及びその周辺施設を含めた広域防災拠点につきまして、関係機関とも連携を図りながら、総合的、体系的に検討を進め、大規模災害に万全の備えができますように取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
      

◆寺沢功希

 

 引き続きの取り組みをお願いいたします。
 続いて、昨年10月、国による地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金に係る補助事業が実施されました。既存施設のスプリンクラー設備等整備を初め、防災・防犯設備整備を補助対象事業とし、民間事業者が実施する事業に対して市町村がこの交付金を財源として補助金を交付するものであり、多くの事業者は市町村のホームページによりこの補助金について情報を得たようです。
 安曇野市は、10月26日にホームページに掲載し、申請書類提出期限を11月2日必着とされ、決して余裕はないものの、何とか提出できる1週間が設けられておりましたが、ある市では掲載日の翌日が提出期限とされていたようであります。提出書類の中には業者の見積書も必要とされており、申請は実質不可能か、もしくは何らかの方法で事前に情報を知り得た事業者しか申請できなかったようであります。
 そこで、健康福祉部長にお聞きします。
 こうした国の事業は県を通して各市町村へ情報発信されると思いますが、どのような方法で行われているのでしょうか。また、今回の交付金事業のスケジュールはもともとタイトなものだったのでしょうか。加えて、県は市町村に対し、募集方法や期間等について指導や指示は行わないのでしょうか。お聞かせください。
 介護事業者は、厳しい経営状況の中、こうした補助金を利用しながら施設整備を行う一方、介護人材の確保にも非常に苦労されております。今後、人口減少下において出生率もなかなか向上しない中で、さらに労働力の確保が難しくなるという深刻な状況が予想されます。国の政策としても、外国人労働力に頼ろうという方向性は専門的知識のある層についての取り組みに終始し、経済産業省や産業界の意向としては外国人労働力を確保したいとする反面、法務省の意向としては単純労働者は基本的に入れたくないという姿勢を堅持しており、根本的な解決策を見出せないまま現在に至っております。
 そんな中、昨年11月18日、在留資格に介護を新設する改正出入国管理・難民認定法が成立し、11月28日に外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律が公布されました。いずれも、現在細部の詰めが行われ、施行を待つ段階です。
 今後、介護人材の確保ができなければ、最悪の場合、多くの介護事業所の倒産が発生する可能性があり、そのような事態が起これば、介護が必要な高齢者は行き場を失い、また、若い世代は今以上に介護と仕事の両立を強いられることになります。
 2006年2月1日、京都市伏見区の桂川の遊歩道で、区内の無職の長男(当時54歳)が86歳の認知症の母親の首を絞めて殺害し、自身も死のうとしたが未遂に終わった事件のような悲劇が起こらないとも限りません。現在、県内でも、大小含め、既に海外労働力確保に向け模索している介護事業所もあります。
 今後、県としても、各事業所の存続のため、情報提供だけではない努力をする必要があると思います。そのための方策として、現在のところどのようなものをお考えか。健康福祉部長にお聞きします。
 先ほども申しましたとおり、産業労働力確保のためには外国人労働力確保が必要となってきますが、外国人労働者に来てもらうためには、その家族、とりわけ子供たちの教育についても基盤整備等が求められるところです。この点では、愛知県名古屋市や岐阜県可児市などが先進的地域であり、教育委員会が積極的に日本語指導が必要な子供たちのための施設を整えたりNPOやNGOと協働するなど、抜本的な対策に乗り出しているようであります。この点の対策がおろそかになれば、労働力確保の点で大都市圏との地域間競争に負けて、結局あらゆる分野で産業競争力を失うことにつながる問題であります。
 現在、県内では、例えば佐久市のタイ人の方々など、外国人未就学児童の実態が把握できていないところも多くあると聞いております。また、文部科学省では、平成27年12月から、学校における外国人児童生徒等に対する教育支援に関する有識者会議を開催し、この問題に関する方向性を打ち出しております。これに基づき、今後、各都道府県や市町村はそれぞれ対応を迫られることになりますが、この点について、実態調査、児童生徒の把握、予算措置を含めたお考えはいかがでしょうか。とりわけ、初等教育については、ぜひとも充実させるべきという国連の勧告も加味すべきであり、教育を受ける権利、学習権の充足を図り、多文化共生教育を推進する必要があると思いますが、教育長、県民文化部長にそれぞれの観点からのお考えをお聞きします。
      

◎健康福祉部長(山本英紀)

 

 介護分野について2点御質問をいただきました。
 議員御指摘の事業については、厚生労働省から県を通じて市町村に周知し、実施を希望する市町村は県を通じて協議書類を関東信越厚生局へ提出することとされておりました。
 また、スケジュールとしては、厚生労働省から県へ10月21日に電子メールにより照会があり、11月11日が提出期限とされておりました。県からは、当日10月21日に、市町村に対して11月4日を提出期限として電子メールにより照会を行っております。厚生労働省の照会から提出までの期間は21日間であり、前年度の25日間と比べると短いスケジュールでありました。
 今後も同様の対応が求められることが想定されるため、4月に開催する予定の市町村の介護保険担当者会議等において、国が補正予算を編成する場合は緊急かつ短期間での事務処理もあり得ることを周知し、適切な対応をお願いしてまいります。
 外国人を確保する事業所への支援についてのお尋ねがございました。
 昨年11月に、技能実習制度へ介護職種を追加するための関係法律が成立、公布され、今後、国において技能実習の範囲、業務内容の明確化、必要なコミュニケーション能力の確保策などの制度の詳細について検討していくこととされております。
 県では、これまで、EPA、経済連携協定に基づき、外国人介護福祉士候補者を受け入れた施設に対して、日本語・介護技術研修等の費用を助成してきております。今回の動きを踏まえて、EPAで実際に外国人介護人材を受け入れた施設に対して課題や対応策について聞き取り調査を実施しており、生活全般にわたって外国人の支援を行うこととなる受け入れ施設へのサポート、職場内のコミュニケーションを円滑にするための語学支援、現場で技術的な指導を行う日本人介護職員の負担軽減などが必要であるとの意見をいただいているところであります。
 こうした国の動きや現場の課題等を踏まえ、今後、外国人の語学や介護技術の向上、生活全般のサポート体制の構築などについて受け入れ施設の支援が必要であると考えており、国に対して支援策を講ずるよう要望を行ってきているところでございます。今後も、要望を継続するとともに、国の動きを踏まえつつ、支援のあり方を検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
      

◎教育長(原山隆一)

 

 公立学校における外国人児童生徒に対する教育支援についてのお尋ねでございます。
 これからの日本社会を考えますと、労働人口が減少する一方で、グローバル化の進展により外国人人口は確実に増加し、社会を支える労働者としての必要性も高まってくるというふうに思っております。このような中では、外国人の児童生徒が日本社会における必要な知識や技能を習得し、社会に溶け込んでいくための教育環境の整備を進めることは重要な課題だというふうに認識しております。
 現在、県教育委員会では、小中学校に在籍する外国人児童生徒の状況は把握しておりまして、加配教員の配置によって日本語指導等を行っているところでございます。また、学校にとどまらず、NPO等と連携しながら教育支援に取り組んでいる市町村もあるということは承知しております。一方で、小中学校に在籍していない児童生徒の把握は十分とは言えませんので、この点につきましては、来年度、市町村教育委員会と連携して実態把握をしていきたいというふうに思っております。これらも含め、引き続き日本語指導から教科指導につながるよう、知事部局とともに教育環境の充実に向けて検討してまいりたいというふうに考えております。
      

◎県民文化部長(青木弘)

 

 県民文化部が所管をいたします私立学校における外国人児童生徒に対する教育支援についてまずお答えをしたいと思います。
 県内の私立学校には、昨年5月現在、インターナショナルスクールを除きまして、小学校に7名、中学校に8名、高等学校に88名の外国人児童生徒が在籍しているということを把握しております。私立学校に在籍いたします生徒は、日本語による入学者選抜を経ておりますことから、日常生活上は日本語の理解に支障がないというふうに考えておりまして、特別な予算措置は講じていない段階でございます。ただ、高校の国語や地歴公民などの教科におきましては、内容の困難度に応じましてその教科の教員が個別指導で対応している場合があるものと承知をしているところでございます。
 また、多文化共生の推進というお尋ねでございますけれども、平成27年3月に策定をいたしました多文化共生推進指針におきましては、国籍や文化の違いを尊重し合い、誰もが参加し、協働して、多様性を活用した豊かな地域を創造することを目指しておりまして、この中で、多文化共生推進のための施策をそれぞれ実施をしているところでございます。
 このうち、外国籍県民の方々が教育を受けることへの支援につきまして、これまではブラジル人学校への就学支援を中心に行っておりましたサンタ・プロジェクトを今年度拡充いたしまして、公立学校等へ通います他の国籍の児童生徒も対象としたところでございます。具体的には、3名の学習支援コーディネーターが全県をカバーする中で、学校や地域の日本語支援者と連携しました日本語学習支援を開始しているところでございます。
 引き続き、地域や有識者の方々の御意見を伺いながら、実情に即した支援に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。
      

◆寺沢功希

 

 今後避けては通れない課題でありますので、引き続きの支援、対応をよろしくお願いいたします。
 続いて、現在、県では、建設工事及び委託業務の総合評価落札方式を含む受注希望型競争入札が年間約4,000件行われています。積算ミスの防止に努められてはおりますが、昨年度、積算ミスによる入札中止が88件発生し、落札決定前に積算ミスが確認された案件に関しては、原則として以降の手続を中止し、落札候補者を取り消した上で改めて入札を行ったと聞いております。
 今回、入札の透明化及び契約の適正化を図る目的で、4月公告案件から、開札後、落札候補者通知前に予定価格を公表し、公表日を含めて3日間入札参加者からの疑義申し立てを受け付ける期間を設け、積算ミスが確認された場合は、このミスが公平な競争を妨げないと判断され、かつ、この誤りを修正した結果でも落札候補者が変わらない場合は入札手続を継続し、それ以外の場合は以降の入札手続を中止する取り組みが実施されます。
 そこで、建設部長にお聞きします。
 積算ミスによる入札中止件数は、近年ではどのように推移し、今年度は何件発生しているのでしょうか。また、昨年度の88件中、落札候補通知書が落札業者の手元に届いてから入札中止とされた案件は何件でしたでしょうか。
 そもそも、応札者からの疑義を受け付けるために公告から入札までの間に質疑応答期間が設けられているわけであり、新たに疑義申し立て期間を設ける必要があるのでしょうか。また、開札後は予定価格が公表されるだけであり、なぜ応札者はそれだけで積算ミスを指摘できるのでしょうか。
 今回の取り組み、また今までの入札中止、再入札は、積算ミスにより落札できなかった業者を保護するものであり、それも当然必要なものだと思います。しかし、一方で、せっかく落札候補者となったのに取り消されてしまった業者もいるわけです。中には、落札候補者になったのでほかの仕事を断ったり新たな仕事をとらなかった後に取り消されてしまった業者さんもおられます。こちら側の業者の保護や対応についてはどのようにお考えでしょうか。
 また、今回の取り組みは、積算ミスが確認されないまま本来の落札者以外の業者と契約することがないようにするものです。しかし、本来やらなければいけないのは、この88件を減らす、そしてゼロにすることではないでしょうか。この点への取り組みについて、お考えがあればお聞かせください。
      

◎建設部長(奥村康博)

 

 入札における積算ミスについて4問御質問をいただいております。順次お答え申し上げます。
 まずは、入札中止件数についてのお尋ねでございます。
 積算ミスによります入札中止は、平成24年度から26年度は65件ないし66件と横ばいで推移しておりました。昨年度は88件、本年度は先月1月末までに74件という状況になっております。また、昨年度の88件のうち、落札候補者通知後の入札中止件数は7件となっております。
 次に、疑義申し立て期間を設けることの必要性についてのお尋ねでございます。
 入札書提出前に設けている質問回答期間は、工事内容や施工条件、県の積算の考え方について質問を受け付けるものでございまして、県の回答を踏まえて入札者は入札額を決定することとなります。したがいまして、この段階では金額に関する質問、回答は行っておりません。
 これに対しまして、今回の取り組みでは、従前どおり開札し、予定価格を公表した後に新たに疑義申し立て期間を設け、金額に対する疑義を受け付けるものでございます。
 また、予定価格の公表のみで積算ミスを指摘できるのかとのお尋ねにつきましては、現在までに積算の透明化が全国的に進んでおりまして、標準的な土木工事の積算基準や材料価格、労務単価が公表されております。また、契約後には設計金額の内訳も公表しておりますので、類似の工事の積算内容を参考にすることも可能となっております。これらのことから、多くの応札者が高い精度で県の予定価格を推定できるものと考えております。
 次に、落札候補者の取り消しについてのお尋ねでございます。
 やむを得ず落札候補者の取り消しを行う場合には、十分な説明を行い、御理解をお願いしているところでございますが、議員御指摘のとおり、多大な御迷惑につながっているものと考えております。今後は、正式な手続として疑義申し立て期間を設け、その後に落札候補者へ通知することとなりますので、候補者の取り消しは大幅に減少するものと想定しております。
 次に、積算ミスの削減対策についてのお尋ねでございます。
 従来からの取り組みといたしまして、積算段階におきましては審査チェックリストを活用し、複数職員による審査を行っております。また、再発防止対策としましては、ミスの原因等を記した連絡シートによりまして組織間で情報共有するとともに、積算システムにおいて過去のミスを表示するなどの改善を行っております。さらに、平成27から28年度にかけましては、国に合わせまして新しい積算基準を導入したこともありまして、職員への説明会の回数をふやしまして、計16回行っております。
 公共事業におきましては、御指摘のとおり、入札のやり直し等は入札参加者に多大な影響を与えるとともに、事業効果の発現がおくれることにもつながります。ミスの縮減には、何よりも私ども職員一人一人の意識が重要であると考えておりまして、既に、本年度、所長会議、技術課長会議、積算担当者会議を開催し、ミスがもたらす影響の大きさについて認識を強く求めたところでございます。今後、従前からの取り組みを徹底するとともに、職員全体で積算ミスをなくすように頑張っていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
      

◆寺沢功希

 

 続いて、昨年の11月定例議会一般質問において、西沢議員を初め何人かの議員が今年度多発した教職員の非違行為について質問され、文教企業委員会においても議論されました。しかし、その後、12月24日、松本市で小学校教諭が逮捕され、1月12日、飲酒運転で上田市の中学校教諭が、酒気帯び運転で佐久市の小学校教諭がそれぞれ懲戒免職処分され、そして先週22日、わいせつ行為の疑いで小学校講師が逮捕されました。大変残念であるとともに、小中学生の子を持つ親として強い憤りを感じております。
 代表質問への答弁にもありましたが、現在、信州教育の信頼回復に向けた行動計画に加え、昨年10月に策定されたわいせつ行為根絶のための特別対策に基づき、二度と子供たちに悲しい思いをさせないという強い決意のもと、非違行為根絶に向け取り組んでおられると思いますが、県教育委員会には、原山教育長のもと、さらなる努力、取り組みを強くお願いいたします。
 しかし、こうした問題が起こるたびにテレビに映し出される、非違行為をした教職員が勤務する学校長が謝罪をし、その学校がある市町村の教育委員会が謝罪し、そして県教育委員会が謝罪する風景に違和感を覚えます。こうして何人もが謝罪をしているが一体誰に責任があるのか。問題を本当に重く受けとめているのか。他人事だと思っていないか。誰に謝罪をしているのか。そして何より子供たちに対して心から申しわけないと思っているのかと。
 まだまだ教育現場は教職員独自の閉鎖的な社会という印象があります。そんな中、来年度、原山教育長が直接教育現場に出向き、県内全ての公立小中学校長と対話を行うと議案説明で表明されました。これは非常によい取り組みだと思いますし、期待をするところではあります。しかし、裏を返せば、今までは教育現場と県教委がそれだけ遠かったと言えるのではないでしょうか。そして、学校、市町村教委、県教委がそれぞれ独立した組織でそれぞれの考えを持っているため、子供たちを第一に考えるという思いの共有にずれが生じてしまったのではないでしょうか。
 そこで、知事にお聞きします。
 以前も一般質問で取り上げさせていただきましたが、私は、こうした問題の背景の一つに、義務教育の教職員に対し県教委が任命権、罷免権を持つ一方、市町村教委が服務監督権を持つといったことを初めとする複雑な制度があると思います。多くの自治体を見、またその中に入り御活躍された経緯をお持ちの中で、独自の取り組みをしているところはありましたでしょうか。また、現在の複雑なこの制度にどのような見解をお持ちでしょうか。教育委員会制度のある中、なかなか難しいところではありますが、長野県独自の制度を含め、方策の検討をするお考えはありますでしょうか。お聞かせください。
      

◎知事(阿部守一)

 

 教育委員会制度について御質問を頂戴いたしました。
 私も寺沢議員と基本的に同じような問題意識を持っております。お話にありましたように、この教育、特に市町村立学校のことを考えたときには、非常に責任、役割が複雑だなというふうに思っております。教員の皆様方は県費負担教職員になっておりますので、その教員の数をふやす、減らすの最終的な決定権は、私、知事が持っているわけであります。しかしながら、教員の採用については県の教育委員会が行っておりますし、御質問にもありましたように、服務監督は市町村教育委員会が持っている、また、市町村立学校の予算にかかわることは市町村長の権限にもなっているということで、権限が非常にふくそう化していることによって、御指摘があったように、最終的に誰が責任を持っているのかということがなかなかわかりにくい構造になっているというふうに思っています。ただ、この県費負担教職員の制度は、一方で市町村の規模とか財政力によらず必要な教職員を確保できるようにしていくという考えのもとにつくられた制度でありますので、そういう意味では、ある意味やむを得ない部分もあるということで、非常に悩ましい課題だというふうに思います。
 全国的な状況を見ますと、例えば大阪の豊能地区というところでは、事務処理特例制度を活用して、大阪府から教職員の人事権の委譲を受けているというケースもございます。また、私がかつて勤務しておりました横浜市においては、基礎自治体ではありますが、市立学校を500校以上抱えているという極めて規模が大きいということもありまして、市ではありながら方面別の学校教育事務所をつくってきめ細かな指導をしているといったような例もございます。
 こうした課題、問題意識を持つ中で、やはり県と市町村がもっと率直に意見交換をしていく必要があるということで、県と市町村との総合教育懇談会、これは長野県独自で他県には余り例がないと思いますけれども、私と教育長、それから市町村長の代表者と市町村教育委員会の代表者が集まって問題意識を共有していこうという場を昨年11月につくらせていただきました。今後、この場を活用し、市町村や市町村教育委員会の皆様方とも問題意識を共有しながら一つ一つ制度の限界を乗り越えていく努力をしていきたいというふうに考えております。
 以上です。
      

◆寺沢功希

 

 御答弁をいただきました。
 複雑な制度の中、さまざまな縛りがあると思いますが、何とかその中でできる限りのことをお願いをしたいと思います。
 本日、中信地区では、私立高等学校一般入試選抜の合格発表が一斉に行われ、合格した子供たちのもとには一足早く桜の便りが届きます。長野県教育が旧態の教育県長野という呪縛から一日も早く抜け出し、現在策定中の第2次高校再編、学びの改革基本構想とともに新たな一歩を踏み出し、新教育県長野、教育先進県長野と、子供たちにとって花咲く未来となりますことを期待いたしまして、私からの一切の質問を終わります。ありがとうございました。