平成29年2月定例県議会 発言内容(小林東一郎議員)


◆小林東一郎

 

 順次質問をしてまいります。
 最初に、県組織のコンプライアンス確立について伺います。
 大北森林組合事件は、3月28日に組合及び組合の元専務理事に対する刑事裁判の一審判決が予定をされており、本件についての一つの区切りを迎えようとしています。その判決を前に、知事は、補助金の国庫返還にかかわり国から課された加算金について、これまでに表明していた県債権の時効成立により返還請求ができなかったものや県単独事業費の不正流用分に加え、関係した県職員への損害賠償請求を検討するとの新たな方針を今定例会開会日に明らかにされました。
 昨年12月22日に提出された組合事件等にかかわる県職員等に対する損害補△に必要な措置を求める住民監査請求の監査結果は、去る2月22日に知事への勧告という形で示されたところですが、監査の際に1月25日付で監査委員に提出された総務部長及び林務部長名による陳述書においては、従前からのしごと改革の断行により相当額以上の人件費を2018年度までに削減し対応すると説明されていました。その後、半月余りの間に県職員への損害賠償を法的に検討する方向に踏み出すことが示されましたが、これはいかなる判断に基づくものなのか。知事にお聞きします。
 総務部長にもお聞きしますが、しごと改革による人件費削減の本年度現時点での達成状況と、来年度の項目別目標はどうなっていますか。また、2018年度については未定とされていますが、それは県が9月12日までに策定するとしている損害賠償請求の方針を待って考えるとのことでしょうか。
      

◎知事(阿部守一)

 

 大北森林組合に関連して、私には法的課題の検討について、監査委員事務局、監査委員に対する陳述書の中身とこれまでの対応との関係という観点での御質問だと思います。
 まず、大北森林組合、役員、県職員を含めた関係者は広く存在するわけでありますけれども、関係者に対する損害賠償請求については、これまでも弁護士とも相談しながら検討を行ってきているところでございます。大北森林組合の新たな補助金等返還計画が提出され、また刑事裁判の判決も3月下旬に予定されているという状況の中で、関係者に対する損害賠償について検討を加速する段階に来ているというふうに考えております。こうした観点から、弁護士等の法律の専門家による委員会を設置して、法的な考え方の整理を行っていこうというふうに考えております。
 この加算金への対応については、先ほど御質問にもありました監査委員に対する私どもの陳述書に加えて、昨年の6月の段階で国庫補助金返還等への対応というペーパーもお出しをさせていただいておりますが、基本的にその際の内容と監査委員に出したものは同じであります。加算金については、人件費の削減で対応しようということで記載をしているわけでありますけれども、これは関係者に対する損害賠償責任というものとは別の次元のものだというふうに考えているところであります。
 以上です。
      

◎総務部長(小林透)

 

 しごと改革による削減の取り組みについての御質問にお答えをいたします。
 大北森林組合に係る加算金に関しましては、組織全体で事態を重く受けとめ、平成30年度までに超過勤務の縮減や採用の抑制といった人件費で当該加算金相当額以上に対応する方針のもと、取り組んでいるところでございます。
 本年度の現時点までの取り組み状況についてでございますが、超過勤務に関しましては、しごと改革の推進により平成27年度の実績時間から8.4%削減を目標に取り組んでございますが、1月までの実績では前年度比5%程度の縮減となっているところでございます。また、平成29年度春に向けた採用に関しましては、28年度採用者数と比べ、大卒、高卒、社会人などを合わせまして20名程度の減少となる見込みとしてございますが、これによる財政的な効果は平成29年度以降に生じると考えているところでございます。
 平成29年度の超過勤務手当につきましては、現時点では本年度と同程度の縮減を目標とする方向で考えております。さらに、平成30年度の超過勤務及び平成30年度採用者に関する目標につきましては、本年度の決算等が判明した段階で把握する達成状況を踏まえ検討するとしているところでございまして、平成29年9月12日までに検討結果を説明することとされている損害賠償請求にかかわる検討の結果を待つということは考えてございません。
 以上でございます。
      

◆小林東一郎

 

 知事は、今議会の議案説明で、大北森林組合事件の関係者に対する損害賠償請求については、本件が長期間にわたり膨大な件数の補助金交付がなされている案件であるため、弁護士とも相談しながら1件1件の案件について事実確認を行ってきているところとされましたが、それはどこが所管してどのように行っているのでしょうか。
 組合に補助金を交付した側の北安曇地方事務所担当職員が補助金適正化法第29条第2項に該当するか否かについて、すなわち、組合の違法な申請に対し、情を知って交付したか否かについての県検証委員会の結論は何だったのでしょうか。また、県はこれまでにこの結論に沿った事実確認を行ってきたのでしょうか。以上、知事に伺います。
      

◎知事(阿部守一)

 

 まず、事実確認について、どこが所管してどう行っているのかということであります。
 この事案につきましては、御質問にもありましたように、大変多くの件数の補助金交付がなされているわけであります。そういう意味で、私どもとしては、事実関係の整理については林務部が、そして職員の責任がどうあるべきかということについては総務部が行ってきているという状況でございます。1件1件個別に確認をしながら進めてきたところであります。
 それから、適化法違反についての検証委員会の結論と、その結論に沿った事実確認をどうしてきたかという御質問でございます。
 平成27年7月の検証委員会の報告書におきましては、補助金の受給のうち少なくとも全くの架空申請に当たる補助金受給については補助金適正化法第29条第1項に該当するとの評価を免れない。そして、北安曇地方事務所の担当職員が同条第2項に該当するか否かに関しては、個別の補助金申請が同条第1項に該当する違法な申請であると情を知って交付したか否かについて、申請ごとに慎重に事実認定をする必要があると考えられ、本報告書では明言することができないという形になっております。
 検証委員会の最終報告後も、職員に対する聞き取り、返還に係る1件ごとの調査、こうした事実確認を行ってきたところでございます。そうした中で、この議場でも申し上げているように、全く事業を行わないというふうに考えていた、認識をしていた職員はいなかったというようなことと確認をしてきているところでございます。
 以上でございます。
      

◆小林東一郎

 

 監査委員は、住民監査請求について監査を行った結果、県はこれまで着実に検討を進めてきたとしながらも、現段階においていまだ県としての結論が得られていない状況にあり、多くの県民がその動向を注視しているとし、その上で、補助金の国庫返還にかかわり国が県に課した3億5,300万円の加算金を納付したことによる損害の県職員への損害賠償請求について、9月12日までに法令にのっとって検討し、賠償責任が認められる職員に対しては厳正に対処し、結果を県民に説明することとし、この勧告を知事に対して行っています。今回の勧告に至った経緯とその判断の考え方、勧告が履行されることへの思いを監査委員にお聞きします。
 監査委員は、知事への勧告の中で、一つ、期限制限により監査対象としなかった事項についても損害賠償等の検討をすること、二つ、長期間にわたり財務関係法令を逸脱した行為がなされていたこと、この行為が組織の中で見過ごされてきたこと、現時点において多額の県民負担が生じていることなどを踏まえると、法的責任にとどまらず、道義的責任も含めて県民負担を軽減する取り組みを進めるとともに、その説明責任を果たすべきとの意見を述べています。この意見をいかに受けとめ、どのように対処していかれるのか。知事に伺います。
      

◎監査委員(田口敏子)

 

 お答えします。
 本件の住民監査請求につきましては、私ども監査委員として公正不偏の立場をもちまして監査を行ったところでございます。監査における事実関係の確認の中で、県では県職員の賠償責任について検討を進めてきたこと、また、今後弁護士等による委員会を設置する予定であることについて確認をいたしました。しかしながら、いまだ県としての結論が得られていないという現状について重く受けとめざるを得ないということから、本件につきましては期限を区切って職員への賠償請求の検討を求める旨の勧告が相当であるという判断に至ったものでございます。
 知事におかれましては、今回の勧告を真摯に受けとめていただくとともに、監査結果の中にも意見としてお示し申し上げてありますが、県組織全体が一丸となって、県民本位の本来の県政のためのその改革をスピード感を持って進め、県民の信頼回復、向上に努めていただくことを期待しております。
 以上でございます。
      

◎知事(阿部守一)

 

 監査委員からの勧告、あるいは御意見についてどう受けとめ、どう対処するかという御質問でございます。
 当然、勧告についてはしっかり受けとめて対応していきたいというふうに思っております。今回の事案について、私は県民の皆様方の御負担を最小にするという観点で取り組んでまいりました。昨年6月に公表した本事案に係る国庫補助金返還等への対応についてにおきましても、国庫補助金返還についての方針を県民の皆様方にお示しすることとあわせて、大北森林組合に対する抜本的な経営改善、早期補助金返還を求めるとともに、人件費の削減等を通じた県としての経費の削減、あるいは職員の努力による収入の確保、こうしたことを取り組んでいくということを明らかに方針として掲げさせていただいているところでございます。これは法的な対応の部分では必ずしもないわけであります。県として今回の事態を重く受けとめてそうした対応を行っていこうというものでございます。
 また、監査委員から今回いただいた勧告、そしてその中で出されている御意見、こうしたものにつきまして改めてしっかり受けとめていきたいというふうに思っております。今回の事案を県組織全体の問題としてしっかりと捉え直し、また県民のための県政を行っているという原点に立ち返って職員一丸となっての意識改革、組織風土改革、しごと改革、こうしたものにしっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。
 以上です。
      

◆小林東一郎

 

 地方自治法が定める賠償命令の規定では、予算執行職員等が故意または重大な過失により法令に違反して当該行為を行ったり、怠ったことで自治体に損害を与えたとき、損害を賠償しなければならないとしています。重大過失とは、甚だしく注意義務を欠くことを言い、わずかな注意さえすれば結果を予測し、未然に防止するための措置を講ずることができるにもかかわらず、これを怠った状態を指すとの最高裁の判例解釈があります。
 組合事件において懲戒処分を受けた県職員の処分理由には、交付申請時までに完了していないことを知りながら補助金を交付し、適正な検査業務を行わなかった。交付申請時までに完了していないことを知り得る立場にありながら、その事実を認識しないまま補助金を交付していたとの認定がされております。重過失との関連がうかがわれる事態となっているわけであります。県民負担の軽減のためには、損害と故意または重過失との関係について厳正な法的判断が必要と感じますし、コンプライアンスを確立するためにも県民にわかりやすい結論を出すことが欠かせないと考えます。厳正な対処と県民への説明責任を果たすことへの知事の決意をお聞きいたします。
      

◎知事(阿部守一)

 

 お答えします。
 小林議員からも重大な過失等についてしっかり判断しろという御指摘をいただいているわけでありますけれども、この問題は非常に論点が多いなと率直に感じております。そういう中で、御指摘がありましたように、県民の皆様に対する説明責任そして信頼回復と、これは私どもの大きな責任だというふうに思っております。そういう意味で、厳正な対応をこれまでもしてきておりますし、この損害賠償請求の検討に当たりましても、私は組織の代表であると同時に県民の代表でもありますので、そうした観点でまず厳正な判断、厳正な対応をしっかり行っていきたいというふうに思っております。
 また、説明責任につきましても、これは非常に法的に複雑な論点があるというふうに思っておりますので、今回、弁護士の皆様方を中心に委員会をつくっていただいて、その中で法的な方向づけをしっかり行っていただきたいと。そうした検討を踏まえて県民の皆様方に説明をしていくことが御理解をいただく道でもあるというふうに思っております。そういう意味で、御指摘いただいた厳正な判断、そしてしっかり説明責任を果たせということについては、私としても当然行うべきことというふうに考えておりますので、しっかりと責任を持って進めていきたいと考えております。
 以上です。
      

◆小林東一郎

 

 2月13日に公表された財政的援助団体等監査報告書では、観光誘客課内に事務局のある信州キャンペーン実行委員会の物品調達等において不適切な事務処理があったことが指摘されています。その指摘に基づいた改善も求められているところですが、これは観光部内でのコンプライアンス推進に何が欠けていた結果なのでしょうか。今後の防止策徹底への決意もあわせて観光部長にお聞きします。
 私は、大北森林組合事件においても、観光部の一連の不適切な事務処理においても、教員の非違行為においても、それぞれが公務員としての本分をおろそかにしてきたこと、あるいは定められた手順を無視してきたことが根底にあるように思えます。監査委員も、知事への勧告で、職員一人一人が公務員としての原点に立ち返り、全体の奉仕者としての使命を深く自覚し、県民本位の行政推進に向けて真摯に取り組むことを求める意見を述べています。行政経営改革で示されているキーワードは共感であり対話ですが、公務員としての自覚こそが第一義であり、それなくして共感や対話はあり得ないのではありませんか。知事の御見解をお聞かせください。
 一昨年の11月定例会で、知事は、私の質問への答弁で、監査事務体制の充実強化を図る方向で考えていきたいとされましたが、来年度いかなる体制充実が図られる予定なのか。知事にお聞きします。
      

◎観光部長(吉澤猛)

 

 信州キャンペーン実行委員会の不適切な事務処理についてお答えいたします。
 平成27年度事業に関して、監査委員からの指摘事項は2点ございました。まず1点目は、イベントで使用する物品調達に関して、納品が平成28年の4月と6月であったにもかかわらず同年3月31日に納品があったとして給付完了検査を行い、同年5月に契約金額全額を支払ったというものです。2点目は、信州デスティネーションキャンペーン事業に関して、事業計画及び予算が総会において承認される前にキャッチフレーズやロゴマークの制作などの事業に着手したというものです。
 全庁的にコンプライアンスの推進に取り組んでいる中、今回の事案が発生した原因としては、観光部内でコンプライアンスを自分のこととして考える意識改革が不十分であったために事業の適正な執行に関する意識の徹底ができていなかった結果と言わざるを得ず、非常に重く受けとめておりますとともに、まことに申しわけなく思っています。
 観光部としては、今回の事案を部内で共有するとともに、部内コンプライアンス委員会において部内の団体会計事務の適正化方針を新たに定めて実施しているところでございます。その主な内容は、まず事業執行については、総会で承認された事業計画及び収支予算に基づいて適正に行うとともに事業内容の変更、追加、あるいは予算の補正や流用等については必要な承認を得ること。次に、チェック体制の強化という点では、収入支出を伴う会計処理については主管課である山岳高原観光課企画経理係に合議を行うこと。また、物品の調達については、原則として次年度の予算編成時に調達計画を立て、適切な時期に調達することとし、やむを得ない理由で年度後半に物品を発注する場合は、事前に納期を確認の上、年度内納品を徹底することなどでございます。
 観光部としては、ただいま申し上げたルールを日ごろの業務の中で徹底していくことで、二度と今回のような不適正な事案を起こすことがないよう、再発防止に部で一丸となって取り組んでまいります。
 以上でございます。
      

◎知事(阿部守一)

 

 こうした一連の不適切事案は、公務員としての本分をおろそかにしてきたことが根底にあるのではないかという御指摘は、私も真摯に、謙虚に受けとめさせていただきたいというふうに思います。
 コンプライアンスの推進ということでこの間取り組みを進めてきているわけでありますが、私どもは、単なる法令遵守にとどまらず、市民、社会の要請に応えるということをコンプライアンスの取り組みに位置づけているわけでありますが、こうしたことが起きるということは、その基本の法令遵守すらできていないんじゃないかという御指摘を受けてもいたし方ないというふうに率直に感じております。そういう意味で、県組織全体の危機感をもっとしっかり持っていかなければいけないというふうに思います。
 私初め関係各部局長、そして管理職がまずこうした状況をしっかりと認識をするということから改めて進めなければいけないなというふうに思っております。そうした上で、他部局の問題とはいえ、やはり自分事化することが足りていないというふうに思っています。社会の組織、県も社会の大きな組織でありますけれども、そうした組織が信頼や信用を失うということがどれだけ大きな問題であるかということをやっぱり我々はしっかりと自覚していかなければいけないというふうに思います。こうした点について具体的にどう取り組みを進めるかということについて、今後改めて各部局長としっかり検討して、取り組みをさらに進めていきたいというふうに思っております。
 それから、監査事務体制の充実強化についての御質問でございます。
 来年度から、専門的知見を活用することによって監査力を向上していこうという観点で、新たに公認会計士の方を非常勤で採用させていただくということにしております。所要の予算案を今議会に提出をしているわけでありますけれども、具体的には、監査委員、監査委員事務局が行う定期監査、あるいは財政的援助団体等に対する監査に当たりまして、対象機関が作成した監査調書に基づき、あらかじめ着眼点などの指導や助言を行っていただく、あるいは事務局職員に同行して関係書類や財務諸表等から問題点を抽出する、こうした業務を担っていただく予定でございます。今後とも監査委員の御意見もお伺いしながら、事務局体制のあり方について検討していきたいと考えております。
 以上です。
      

◆小林東一郎

 

 次に、森林づくり県民税について知事に伺います。
 知事は、来年度、2期目の最終年を迎える森林づくり県民税のその後について、森林づくり県民会議や地方税制研究会での議論を見据えながら判断したいと繰り返し説明されています。
 1月27日に開催された地方税制研究会では、冒頭、大北森林組合による森林税の不正使用や、税を集めても事業消化できていない状況に批判が集中し、その後、税事業の組み立て方への疑問が示され、税の妥当性に議論の方向が向かったと私は傍聴していて感じました。その方向は、知事の意図と同じ向きなのでしょうか。森林整備を加速させ、林業県への転換を図る前提で、税の必要性や課題克服のための活用法を議論してもらうことこそが本筋と思いますが、知事の御見解を伺います。
 次に、地球温暖化防止のための事業のさらなる加速について伺います。
 来年度当初予算案に示されている環境部の県有施設の照明LED化推進事業や流域下水道スマートエネルギー事業、建設部の道路照明LED化事業、あるいは企業局の県管理ダムを活用した発電所建設といった環境対策事業は、地球温暖化防止効果の発現と財政負担の軽減が同時に見込まれることから、来年度以降示されている事業計画の前倒しによるさらなる加速が図られるべきです。県内の省エネ対策の機運やエネルギーの地消地産への意識を高めることへの期待もあります。事業加速への意気込みを環境部長、建設部長、公営企業管理者にそれぞれお聞きをいたします。
      

◎知事(阿部守一)

 

 税制研究会における森林づくり県民税の議論のあり方についての御質問を頂戴いたしました。
 地方税制研究会におきましては、自主財源としての地方税のあり方を検討するということを目的に設置をしているわけであります。この森林づくり県民税のあり方というものについても主体的に御検討を行っていただくということが基本だと思っております。私としては、森林づくり県民税、これは、普通の他の法定税に加えて県独自に超過課税という形で県民に御負担をいただいているものでありますので、そうした観点では、再三林務部長からも御答弁させていただいておりますように、まず何を目的としてどういう事業を行っていく必要があるのか。そしてそのためにどれぐらい財源が必要なのか。さらにはその財源を超過課税という形で御負担いただくということが適切なのか。こうした検討が必要だというふうに思っております。こうした点も踏まえてしっかり御議論いただくということを期待しているところでございます。
 以上です。
      

◎環境部長(関昇一郎)

 

 地球温暖化防止のための事業のうち、環境部関係2事業について前倒し実施ができないかというお尋ねでございます。
 議員御指摘のとおり、温暖化防止効果の発現と財政負担の軽減が同時に見込まれる事業につきましては、可及的速やかに事業を実施することが財政面からも、そして施策推進面からも必要なものと考えております。
 1点目の県有施設の照明LED化推進事業は、全ての県有施設を対象としてLED化を展開するものでありまして、これは全国的にも初めてのケースとなり、事前の準備作業も膨大なものとなることから、4期に分けて実施することといたしております。2期目以降の事業実施のスケジュールにつきましては、1期目の事業の実施状況を検証しながら、前倒しが可能かどうか検討してまいりたいと思っております。
 2点目の流域下水道スマートエネルギー事業は、下水汚泥から発生する消化ガスや下水熱の利用など最新のエネルギー創出技術や省エネ技術の調査を行うとともに、利用可能な潜在エネルギーの量と削減可能なエネルギーの量の試算を行い、これらの技術導入の工程表を策定するものであります。
 いずれの事業も、県民の省エネ対策の機運醸成にも寄与するものと考えられることから、スピード感を持って取り組んでまいりたいと思っております。
      

◎建設部長(奥村康博)

 

 道路照明等LED化事業の計画の前倒しについてのお尋ねでございます。
 LED灯は、従来道路照明に利用しております水銀灯やナトリウム灯に比べて消費電力が少なく交換周期も長いため、維持管理経費が抑えられるとともに、二酸化炭素排出量の削減による環境負荷の削減が図られます。
 建設部では、今年度からLED化事業に着手し、まず松本地域の約1,200灯を先行してLED化し、道路面の明るさや積雪等の気象条件による影響等を検証しているところでございます。現時点では特に問題は把握されていないことから、来年度はさらに佐久、上田、千曲地域の約2,500灯のLED化に取り組むこととし、そのための予算を来年度予算に計上しております。
 県内全ての道路照明灯は約1万3,000灯ございますが、これがLED化された場合は、年間7,900トン分の温室効果ガスと7,300万円の維持管理経費の削減を見込んでおります。計画では、平成31年度までに全県に導入することを予定しておりますが、引き続き検証を行う中で、円滑な導入が可能と判断された場合には取り組みの加速化を検討してまいります。
 以上でございます。
      

◎公営企業管理者(小林利弘)

 

 私には、県管理ダムを活用した新たな発電所建設に関するお尋ねをいただきました。
 この事業につきましては、経営の安定の確保の観点から、十分な利益が得られることに加え、何よりも地域住民の皆様の御理解が前提となりますことから、昨年2月に策定をいたしました長野県公営企業経営戦略におきましては、新規開発の可能性を調査研究するとの位置づけにとどめていたところでございます。しかしながら、昨年来、横川、箕輪及び片桐の各ダムごとにそれぞれ数回にわたり説明会を開催いたしまして、このたび、全ての町の御理解をいただくことができましたことから、企業局といたしましても自然エネルギーの地消地産の確保に積極的に取り組むため、経営戦略の位置づけを前倒しし、新年度から発電所の建設に着手することとしたものでございます。
 発電所の完成につきましては、発電機が特注品であり製作に約2年を要しますことから、建屋の建設も含めますと、横川ダムについては平成31年度末を、箕輪及び片桐ダムについては平成32年度中を予定をしておりますが、今後とも地域住民の皆様の御理解を得ながら一日も早い完成を目指し、建設を進めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
      

◆小林東一郎

 

 事業加速をすべきと申し上げました。いわば一挙両得と言える事業の資金調達については、現在、日銀の金融緩和政策による超低金利が続いているため、自治体の資金調達には追い風が吹いている状況ではありますが、昨年東京都が売り出し話題となった東京環境サポーター債のように、環境や社会貢献を重視する投資家や市民に向けたアピールも今後必要になってくると考えられます。
 ロンドンに拠点を置く国際NPO気候ボンドイニシアチブによると、昨年発行された企業や自治体が地球温暖化防止などの環境対策のための資金を集める債権、グリーンボンドは、810億ドル、約9兆円と前年から倍増、急速に拡大しています。環境省もグリーンボンドの日本版指針を年度内に策定するとしています。グリーンボンド等による環境対策資金の調達導入へのお考えを環境部長に伺います。
 次に、残土条例について伺います。
 全国の多くの自治体が、一定面積以上の土砂の埋め立て行為を規制する土砂条例、別名残土条例を制定しています。国に土砂の埋め立て等を包括的に規制する法律がない中、建設現場等から発生する残土が適切に処分されず、災害や環境汚染を引き起こす事故が全国各地で起きています。例えば、2014年10月、関東地方で残土が崩落し、住居に浸入、住民が死亡した例を初め、山林に大量の土砂を不法投棄する。解体廃材を土砂にまぜ、残土として処分する。トンネル残土から環境基準値を超える重金属が検出されるなど、2001年から14年までに30件の事故が報告されています。
 残土条例は、残土が引き起こす事故を未然に防ぎ、住民生活を守るため、自治体が自主的かつ積極的に制定しているものです。多くの山林を有し、過去産廃問題にたびたび悩まされてきた本県でも残土条例を制定すべきと考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
 残土問題の大きな課題は、処分地に置かれた膨大な量の土砂の維持管理にあります。先ごろ、県民の皆様から直接御意見をお受けし県が回答する県民ホットラインで、リニアの残土問題に対処するため残土条例の制定を求める意見が寄せられました。県は、これに対し、条例という画一的な規制ではなく個別に対策を講ずるべきであり、JR東海と地元で十分に協議を行うことが適当と回答しています。そこには、県民生活を守るという県の主体的な姿勢が感じられません。条例をつくらないというならば、残土に対する県の監督責任はどうなるのでしょうか。また、処分場の維持管理はどこが責任を持って行うのが適当とお考えですか。知事に伺います。
      

◎環境部長(関昇一郎)

 

 グリーンボンド等による環境対策資金の調達についてのお尋ねでございます。
 グリーンボンドについては、海外では民間を中心に普及が進んでおりますけれども、日本では今後普及が見込まれる段階でございます。御指摘のとおり、現在環境省では、企業や地方自治体におけるグリーンボンドの普及のために有識者による検討会を設置し、今年度中のガイドラインの策定を予定しております。
 県の資金調達という点から考えますと、環境関連事業に限定した県債の発行は、現在の低金利局面においては手数料などのコストが相対的に大きくなることが想定をされ、必ずしも有利な条件とならないことも考えられます。一方で、グリーンボンドの発行により環境施策の積極的な展開をアピールできるという効果もございますので、その活用の可能性について研究を行ってまいりたいと考えております。
      

◎知事(阿部守一)

 

 残土に関連して2点御質問を頂戴いたしました。
 まず、残土条例についてでございます。
 残土条例、これは建設工事等で発生する土砂の適正な処理あるいは埋め立てに伴う災害の発生防止等を目的にして、一定規模以上の土砂の埋め立て、堆積を許可等の対象とする制度であります。これは、現在24の都府県で制定されてきているわけでありますけれども、一方で、近年余り制定されなくなっています。平成21年に国が大量の土砂の放置により環境保全上の支障が生じている事案に対応するため、土壌汚染対策法を改正して規制の対象にしたということも一つの要因ではないかというふうに思っております。そういう意味で、隣接する山梨県、岐阜県、これらはいずれも平成22年度以前に制定をしてきているわけでありますけれども、これは改正土壌汚染対策法の施行前であり個別の課題が生じて、それを契機に制定されてきたものが多いというふうに考えております。
 こうした法整備等が進んでいる中でかつてほど必要性はなくなってきつつあるのではないかというふうには考えておりますが、他県の状況等も十分調べた上で、長野県として条例が必要かどうか考えていきたいというふうに思っております。
 それから、リニアの関係でございます。残土に対する監督責任、それから処分場の維持管理ということであります。
 これは、条例のあるなしにかかわらず、住民の皆様方の安全性を確保していくということは重要な課題だというふうに考えております。残土条例を御引用いただいたわけでありますけれども、リニア沿線、例えば神奈川県、山梨県、岐阜県、各県残土条例を制定しているわけでありますけれども、リニア事業については国の許認可を受けた公的な事業という位置づけになっている関係上、条例に基づく認可の対象外とする方向で進めているというふうに伺っているところであります。
 長野県としては、この発生土の置き場の安全性の確保については、関係法令を厳格に適用しつつ対応していくということを基本に考えております。具体的には、森林法に基づく林地開発あるいは保安林解除の手続、砂防法に基づく指定地内行為の手続、環境影響評価法に基づく技術審査などの許認可、こうしたことによりまして発生土置き場の安全性は十分確保できるというふうに考えております。
 なお、現在候補地となっている場所については、全てこうした法令いずれかの対象となる地域だというふうに考えております。
 また、維持管理についてでありますが、1月23日には、柘植社長と会談をする中で、残土置き場については完成後の維持管理も念頭にJR東海として検討していくという表明がなされたわけであります。この方針を前提として、地権者の意向等に配慮しつつ、発生土置場の将来にわたる適切な維持管理が行われるよう、県としてJR東海に求めてまいります。
 また、置き場の将来的な維持管理や安全性の確保をしていく上では、JR東海と関係者が文書による責任、管理のあり方、こうしたものを明確化していくということも必要だというふうに思っております。そうした観点での役割、県としての調整役を果たしていきたいというふうに考えております。
 以上です。
      

◆小林東一郎

 

 ただいまの知事の答弁の中で、JR東海の柘植社長との会談のことが述べられたわけでありますけれども、そのJR東海の柘植社長なんですが、会談の後に、まあ新聞報道でありますけれども、土地は地権者に返し、有効活用してもらい、管理してもらう原則に変わりはないんだというふうに述べておられます。知事は、今定例会の議案説明で、JRが埋め立て後の管理責任について従来の方針を転換したと言われましたが、JRの認識とのずれがあるように私には思えてなりません。知事の御見解をお聞きします。
 建設発生土は、循環型社会形成推進基本法に言う循環資源と位置づけ、リデュース、リユース、リサイクルの3Rを適用し、循環できない発生土については事業者がみずからの責任において適正に処分する排出者責任を求めるべきではないでしょうか。
 山梨県笛吹市では、山梨リニア実験線の工事で排出された約160万立方メートルもの残土がもとは谷であった場所に処分され、平たんな土地に変わりました。1990年、山梨県土地開発公社は、民間の金融機関から借り受けた39億円を投じて21.9ヘクタールの土地を購入、宅地造成をし、分譲する事業を始めましたが、購入者がほとんどあらわれず、年7,000万円の利払いに苦慮したあげく、最終的に山梨県に土地を売却、その後、宅地造成計画は白紙に戻されましたが、現在もこの土地の利用計画は進んでいない状態だそうです。
 豊丘村本山にリニアの残土処分地が計画されていますが、JR東海は、埋め立てによってできる約8ヘクタールの土地について、使う前提で次のステップに入らせていただきたいと述べています。これは、JR東海が木を植え、20年から30年間管理し、森に戻すという意味だと私は捉えていますが、他の候補地についてもその都度個別に埋め立て後の土地を誰がどのような目的で利用、活用していくのか明確にしていく必要があると思いますが、リニア整備推進局長に伺います。
      

◎知事(阿部守一)

 

 残土の置き場について、JR東海と認識が異なっているんではないかという御指摘であります。
 先ほども御答弁申し上げたように、JR東海の柘植社長からは、残土置き場は処理後の維持管理を念頭に検討するというお話があったわけでありまして、未来永劫維持管理するとか、そこまでの明確な表現ではありません。そういう中で、ケース・バイ・ケースの対応になってくるだろうと。土地所有者の皆さんが、将来的に返していただいてそれを自分たちで有効活用したいというケースもあるわけでありますので、そういう意味では、ケース・バイ・ケースという形にはなってくるわけでありますけれども、私ども長野県としては、これは地元の皆様方の御意向というものも十分伺いながら、JR東海に求めるものはしっかり求めていくというスタンスで対応していきたいと考えております。
 以上です。
      

◎建設部リニア整備推進局長(水間武樹)

 

 残土処分候補地の利用目的などの明確化に関するお尋ねでございます。
 議員のお話にありました豊丘村の本山は先行事例となるものでありまして、将来的にも地権者が森林として保有管理したいという意向を踏まえまして、JR東海では森林機能回復までの20年から30年の間、維持管理を行っていくというふうにしているところであります。
 ほかの候補地につきましては、地権者が農地あるいは山林としての利用をする場合、また公共事業として道路の築造やグラウンドのかさ上げなど幾つかのケースが考えられますが、いずれの場合におきましても利用目的や管理責任などを明確にしていくことが必要と考えます。県としまして、JR東海と関係者との間で適切な協議が行われるよう助言をしてまいります。
 以上でございます。
      

◆小林東一郎

 

 校長としての再任用について教育長に伺います。
 学力、体力の向上や保護者、地域との連携など、学校を取り巻くさまざまな課題への対応を迫られ、かつ学習指導要領の改訂によって学校全体の教育力向上のための条件整備も必要とされる中、校長のリーダーシップ、マネジメント力が一層求められています。その一方で、本県では校長職の大量退職時代を迎え、義務教育の校長530人のうち毎年100人以上の退職が続く状況にあり、本県教育の継続、安定を目指す目的で、来年度から校長職としての再任用の試行を行うとのことですが、本格実施の場合、再任用の規模をどの程度と見込んでいますか。
 また、大量退職時代の到来は降って湧いた事態ではないはずです。管理職の養成にどのような手段をこれまで講じ、備えてこられましたか。大量退職時代だからこそ管理職の養成に力を尽くすべきです。であれば、校長職としての再任用よりも、主幹指導主事、あるいは副校長で再任用し、新任校長や教頭のOJT指導に当たってもらうほうが望ましいのではありませんか。
 教員の非違行為が続いており、管理職、特に校長の力量が問われています。にもかかわらず、会議等による学校不在が多いことにより、教職員の不安や悩みに寄り添うための一番の基本となる校長と教職員が向き合う時間が奪われていないでしょうか。職務の整理によって学校運営に専念できるようにすることも管理職養成に欠かせない視点ではないでしょうか。以上、教育長に伺います。
      

◎教育長(原山隆一)

 

 校長職としての再任用について3問いただきました。
 まず、再任用の規模と管理職の養成のための方策についてでございますが、試行で始める校長職としての再任用につきましては、来年度は県内4ブロックで各1名を再任用いたします。今後の規模については、2年間の試行の結果を踏まえて研究してまいりたいというふうに考えております。
 県教育委員会では、教員の大量退職時代を見越しまして、管理職への若手登用を促進するなどの取り組みを進めておりまして、例えば昨年度、教頭は44歳から昇任、校長も49歳から昇任するなど、早い段階からマネジメント力を養成してきたところでございます。しかし、学校現場においては、教員の大量退職等の影響によりまして年齢構成や経験年数の不均衡が生じ、従来の学校組織において行われてきた先輩教員から若手教員への知識、技術等の伝達が困難となるなど、学校の環境が大きく変化しております。さまざまな手段を講じていく必要があるというふうに考えております。校長職としての再任用もその手段の一つでありまして、教員としての高い能力や校長としての高いマネジメント力を発揮してもらい、直接的、間接的に若手管理職やミドルリーダーに伝承できるようにしてまいりたいというふうに考えております。
 それから2点目、主幹指導主事や副校長として再任用したらどうかというお話でございます。
 管理職の養成は一層重要となっております。大量退職時代を迎える中、人事と研修の両面からさまざまな方策に取り組む必要があるというふうに考えております。議員御提案、御指摘の点も念頭に置きながら引き続き研究してまいりたいというふうに考えております。
 そして、校長の職務の整理についてでございますが、現在、学校を取り巻く課題は複雑化、多様化しております。さらに、新しい時代の教育に対応するためにも、校内、校外の人的、物的資源を生かした特色ある教育課程づくりや組織体制の整備等、校長の学校マネジメントはより一層重要になっているというふうに考えております。そのために、多岐にわたる学校の業務を、学校が本来行うべきものと学校以外の機関と連携して行うものなどに整理するなど、業務改善を進めていくことは重要な課題だと思っております。これまでも校外の会議の精選等に取り組んできたところでありますけれども、従来行ってきた当たり前であるとか例年どおりであるとかそういったことも再検討して、校長が学校経営に専念できる体制をつくるよう市町村教育委員会と連携して取り組んでまいりたいというふうに考えております。
      

◆小林東一郎

 

 ただいまの教育長の答弁によれば、校長としての再任用が一番現実的な対応なんだというような御説明であったかというふうに思うんですけれども、本格実施の際にちょっと担当課から聞いたところでは、1割ぐらいを充てていきたいというような話もあったわけで、そういうようなことが現実になった場合に、現役で管理職を目指される教員の皆さんの意欲をそぐという懸念についてはどのようにお考えになっておられますか。教育長に伺いたいと思います。
 最後に、特別支援教育について伺います。
 一向に解決に向かう気配のない特別支援学校の過大化、過密化の状況や、施設の老朽化による環境の悪化は本県特別支援教育の大きな課題であり、課題解決を図りながら支援の仕組みの基盤強化を進めることが共生社会形成に向けたインクルーシブ教育の推進には欠かせません。そこで、喫緊の課題である以下5点について、その解決に向けいかに取り組まれるか、教育長にお聞きします。
 築後45年を経過していてかねてから保護者からの強い建てかえ要望のある松本養護学校の体育館と寄宿舎について、現在の中信地区特別支援学校再編計画の中で位置づけをし、建てかえを進めていかれるお考えはありますか。
 高等部卒業生の就職率を引き上げるため、「働きたい」支援事業の強化を図るとのことですが、実習先の開拓とともに、自立の可能性を伸ばすための学習活動充実が欠かせないとお聞きしています。学習活動改善の取り組みのおくれが課題とされていますが、就労コーディネーター配置2年間の成果と、高等部生徒が学習成果を実感できる機会の拡大をいかに図っていかれるかを伺います。
 第2次長野県教育振興計画には、特別支援学校に在籍する児童生徒が小中学校に副次的な学籍を置いて、同時代の友と学ぶことのできる体制づくりを進めるとありますが、地元の小中学校との交流が深まるにつれ、教職員や保護者の引率負担が膨らんできています。そのために交流を諦めるとなれば、地域化推進に逆行することになりますが、状況をどのように認識されておられますか。また、いかに支援し、課題解決を図っていかれますか。
 特別支援学校のスクールバスの乗車時間に関し、教育長は昨年の9月定例会で、距離的に困難な場合等やむを得ない場合を除き、通学時間は限りなく短くすべきだと答弁されていますが、目を向けなければならないのは距離的な困難さではないでしょうか。例えば、大町市内に安曇養護学校の分教室を設置することで児童生徒の負担は大きく改善されるはずです。須坂特別支援学校を参考に、市町村との連携を模索しながら分教室の展開を考えるべきではありませんか。
 飯田養護学校と飯山養護学校の小学部トイレは男女共用のままですが、県内の小中高で男女共用のトイレが使用されている学校はあるのでしょうか。このような状況を放置してきたのはなぜなのか問われている時代です。重度重複障害者用のトイレ設置も急がれるのですが、教育上問題のある共用トイレの改修も早急に進めるべきではないかというふうに思いますが、教育長のお考えをお聞きしたいと思います。
      

◎教育長(原山隆一)

 

 まず、校長職としての再任用に関する再質問でございますけれども、今後の規模については、2年間の試行の結果を踏まえて研究してまいりたいと考えておりますので、規模の問題と、それが後任の者に与える意識はどうかということに関しては、それらも含めて研究してまいりたいというふうに考えております。
 それから、特別支援教育についてでございますけれども、松本養護学校の体育館と寄宿舎の建てかえについてでありますが、松本養護学校におきましては、平成15年度から17年度に校舎の大規模改修を行い、体育館につきましては19年度から24年度の間に屋根や外壁の全面補修等、耐震補強、床の改修等を実施したところであります。また、寄宿舎については20年度に屋根の改修を行ったほか、23年度以降、外壁といった施設とボイラーやエアコン等の設備の改修更新を行ってきたところであります。
 現在、松本養護学校については、中信地区特別支援学校再編整備計画によりまして、まずは過大化、過密化の解消に取り組んでいるところでございまして、再編後の学校の状況を踏まえつつ、引き続き教育環境の整備改善に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 特別支援学校高等部の就労支援についてでありますが、就労コーディネーターは、受け入れ企業の開拓、生徒の希望と企業とのマッチング、企業への生徒受け入れに関する助言を主な役割として、企業に積極的に働きかけております。実習受け入れ企業の増加や、実習をした生徒のうち就職した生徒の割合の増加など着実に成果を上げておりまして、卒業生の就職率は昨年度19.8%でありましたけれども、本年度は見込みではございますが約24%に上昇するということであります。
 さらに、就職率向上を目指す上では、あわせて生徒の就労への意欲を育てて、働く力と自信を高める学習活動の充実が課題であるというふうに認識しておりまして、生徒自身が目標を明確に持ち、課題や成果を確認しながら積極的に学習活動に取り組めるようにするために、新たに技能検定をモデル校で研究するとともに、企業の皆様にも御協力をいただきながら、作業学習など高等部の学習活動のあり方についても検討し、職業教育の充実に努めていきたいというふうに思っております。
 それから、副次的な学籍についてでありますけれども、本県では副次的な学籍を導入する自治体がふえておりまして、特別支援学校に通う子供が居住する63市町村のうち21の市町村で実施され、今後も広がっていく見込みであります。特別支援学校の保護者からは、子供も親も地元の学校の一員と感じたという喜びの声も聞いております。副次的な学籍による交流は、インクルーシブな教育を進めていく上でも重要な取り組みだというふうに考えています。
 先行して取り組んでいる市町村におきましては、学校や保護者が年度当初に交流回数や内容の調整を行いまして、年4回程度、お楽しみ会などの学級活動や運動会での交流が可能な範囲で計画的に行われているところであります。県といたしましては、副次的な学籍による交流が無理なく継続的に進められることが重要であるというふうに考えておりますので、そのためにも、こうした先行事例を紹介するなどして、保護者や教職員にとって過度な負担とならないように取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 それから、遠距離通学者の負担改善のための分教室の設置ということでございます。
 分教室の設置につきましては、一定規模の学習集団が継続的に形成される見通しがあるかどうか、設置場所や地域ごとの連携などに関して地元自治会の理解や協力が得られるかどうかなど、丁寧な検討が必要であると思っております。
 現在、小中学校内の分教室は佐久穂町と駒ケ根市に設置しているところですが、それ以外にも、過去、大北地域を含め幾つかの自治体からの要望を受けて検討してきた経過がありますけれども、最終的には分教室を希望する人数が少なかったなどによりまして設置につながるケースはありませんでした。また、現時点では市町村からの新たな要望は聞いていないというという状況です。
 他方、須坂支援学校は、須坂市の強い意向に基づきまして、市みずからが学校設置者として環境整備、運営を行う市立の学校として創設されたところであります。特別支援学校の遠距離通学者に対する支援につきましては、分教室以外の方策も含め、個々の状況や地域の実情を把握しながら検討してまいりたいというふうに考えております。
 それから、男女共用トイレの改善についてでありますが、男女共用トイレについては、ごく一部の小学校で低学年用トイレの中に残っているようでありますけれども、いずれも解消する方向で取り組まれております。それ以外の小中高校ではありません。
 御指摘のあった飯田養護学校につきましては、車椅子を利用する複数の児童の在籍が見込まれたことから、可能な範囲でトイレスペースを広くとった廊下と段差がない現在のトイレが整備されております。このトイレについては来年度中に改修し、男女別のトイレとする予定であります。
 また、飯山養護学校については、小学部低学年の児童を見守りやすいという現場の要望に応える形で共用のトイレが設置されております。来年度は、高等部における多目的トイレの設置とともに、男女別トイレ化につきましても、地下配管等の工事も行うことから現在精査しておりますけれども、早急な対応に努めてまいりたいというふうに考えております。
      

◆小林東一郎

 

 障害者差別と言われることのないよう、対策を急いでいただくことをお願いをいたしまして、質問といたします。