平成29年2月定例県議会 発言内容(今井愛郎議員)


◆今井愛郎

   

 信州・新風・みらいの今井です。通告に従いまして順次質問させていただきたいと思います。
 一つ目に、昨年8月に松本市で開催された中央東線高速化推進広域期成同盟会の定期総会において、阿部知事が会長に就任されました。沿線に住む1人として、知事が、リニア、北陸新幹線だけでなく、諏訪、松本地域の鉄道網も考えてくれているんだと喜んだものでした。しかし、残念なことに、新年度の知事や部長の議案説明で、リニアや北陸新幹線の延伸は触れられていたものの、中央東線高速化については一言もありませんでした。諏訪、松本地域の県民にしてみますと、リニア接続駅まで1時間、リニア乗車時間30分の合計1時間半で東京まで行けたとしても、費用対効果を考えれば特急あずさを利用したいというのが本音だと思います。
 中央東線の高速化に長野県ができることは少ないと聞きますが、単線区間、2桁国道の平面交差、線路内の死亡事故、自然災害によるおくれなどの課題もあり、中央東線の高速化とともに、沿線の安心、安全に単線地域の複線化や高架化も有効な手だてと考えます。昭和50年代にも複線高架の計画が持ち上がったと聞きますが、北陸新幹線の開通、リニア着工など長野県内の鉄道網も当時と大きくさま変わりしている中で、中央東線高速化に対する知事の御所見をお伺いするとともに、単線区域の複線化あるいは高架化に対する御所見もあわせてお尋ねいたします。
 二つ目、新年度予算に諏訪湖の環境改善に向けた予算を計上いただいていることに大変感謝申し上げるところであります。第6期諏訪湖水質保全計画の一環として、上川河口流域に沈殿ピットを設置し、窒素、リン等の流入低減を実験しておりますが、諏訪湖浄化にはしゅんせつが必要という根強い声もまだまだあります。諏訪湖は大小31の河川が流入しているわけですが、諏訪湖内のしゅんせつを廃止して間もなく15年、諏訪湖に流れ込む多くの河口域でしゅんせつの要望が寄せられてきています。今さらしゅんせつ船を復活させるわけにはいかないかもしれませんが、諏訪湖内でのしゅんせつを再開するかわりに、河川における掘削をすることはできないでしょうか。おおむね20年に一度のサイクルで発生している諏訪湖の氾濫を低減させるためにも有効な手段と考えますが、建設部長の御所見をお尋ねいたします。
 三つ目に、地域振興局予算と元気づくり支援金についてお尋ねいたします。
 今回、地域振興推進費として総額1億円余が計上されております。議案説明等で、地域振興局長がその地域の課題に合った使途を考えているとしていますが、県民からすると、元気づくり支援金との違いがよくわかりません。配分のスキームを見ましても、割合は違うものの、コモンズ支援金から始まった元気づくりと同じスキームが使われています。小規模の地域振興局に一定の配慮をするということは理解できます。しかし、地域振興推進費は地域振興局に権限を委ねていきたいとする趣旨をかんがみれば、元気づくり支援金と同じスキームでいいのでしょうか。
 細かくなりますが、今回の地域予算を人口で割り返すと、長野の約25円から木曽地域の300円と10倍を超える格差があります。多少人口を配慮して長野、松本を除いたとしても、43円の諏訪地域と木曽では7倍の違いがあります。さらに申し上げますと、今回の予算配分の結果、人口20万人弱の諏訪、上田地域と約3万人の木曽地域では、人口差が15万人以上あるのに予算が逆転しております。今までの質疑で、予算の執行状況により他局から流用していく旨の説明もありましたが、そもそも地域振興局長は予算枠を考慮して事業を計画するわけですから、最初に予算総額を示されてしまえば、それ以上の要求をちゅうちょするばかりか、場合によっては予算消化に奔走してしまうことも心配されます。地域振興局を立ち上げた知事の思いから鑑みると、私は、元気づくり支援金のような差をつけず同額にしたほうが県民の理解は得られると考えます。また、予算の序列が地域振興局長の序列につながりかねないことも危惧しております。阿部知事の御所見を伺います。
 また、元気づくり支援金についてですが、平成の大合併のピークから10年が経過し、合併特例債などの優遇措置もなくなってきております。平成27年度の国勢調査の結果を見ても、松本市、御代田町、南箕輪村を除けば、人口流出に歯どめがかからない状況はどこの市町村も大差ないと思います。元気づくり支援金についても、配分方法の均等割の部分をふやすなどの見直しも必要と考えますが、あわせて知事に御所見を伺います。
 四つ目に、ジビエ振興費を含めた鹿対策の予算についてお尋ねいたします。
 本年度の鹿の捕獲状況は、昨年10月時点で前年比マイナス17.4%です。2012年度以来5期ぶりに目標捕獲数を達成できないばかりか、今年度は3万頭にも及ばないと思われております。要因に、人を避けるスレジカが増加したという見解もあるようですが、県の取り組み方法に問題はなかったのでしょうか。
 業者による捕獲を9月に1地域、12月に2地域追加したものの、一部地域ではいまだに業者が決まっていないとも聞きます。ニホンジカ捕獲の県単分を比較してみても、29年度は28年度比で半分以下の3,200万、27年度比に至っては4分の1しか計上されておりません。今年度から始まっている第4期計画を見ますと、適正生息数に誘導するためには4万頭の捕獲を5年続けるべきだとしておるのにかかわらず、実施初年度で1万頭近いマイナスが見込まれるのであれば、新年度予算にその対応策を計上すべきだと考えます。また、緒についたばかりのジビエ振興費を推進するには、補助金交付事業の有無ではなく、せめて前年度程度の予算を確保し、取り組む必要があると考えますが、鹿の捕獲とジビエ振興に対する林務部長の予算要求の真意をお尋ねしておきたいと思います。
 五つ目に、公益社団法人長野県林業公社への貸付金についてお尋ねいたします。
 監査委員から提出された平成28年度財政的援助団体等監査報告書によれば、事業最終年度の平成88年度には107億円余が回収不能になると記載されております。知事が目指す森林県から林業県、あるいは平成29年度中に存続の可否が決まる森林税への対応など森林に対する県民の理解を得ていくためにはこの問題は避けて通れないと考えますが、監査報告書を踏まえた上での今後の対応について阿部知事にお尋ねいたします。
      

◎知事(阿部守一)

 

 順次お答えを申し上げます。まず、中央東線高速化についてでございます。
 中央東線は、中南信地域と首都圏とを結ぶ大変重要な幹線鉄道だというふうに考えております。そういう観点で、これまでこの広域期成同盟会の会長は山梨県知事が務めておりましたが、私としては、中央東線の高速化、利便性向上に向けより積極的に取り組むべく、昨年8月に会長に就任をさせていただいたところでございます。そうしたことを受けて、昨年11月には、JR東日本本社に深澤副社長を訪ねて、中央東線の高速化、あるいは利便性の向上についても強く要請をさせていただいたところであります。
 こうした活動を通じ、最近の動きとしては、まず新型特急車両の導入を決定いただきました。また、東京駅始発の特急あずさを新設してもらいました。また、Suicaエリアの拡大、クルーズトレインの周遊ルートの決定、こうしたことが実現をしてきているところでございます。
 中央東線の高速化の実現にとりまして大きな課題は、首都圏の東京都内の過密ダイヤ、それから山梨県内の急曲線、あるいは急勾配でございます。現在、自民党中央東線高速化促進議員連盟、本県の後藤茂之衆議院議員が会長でございますが、ここにおきまして、財源確保あるいは事業スキームのあり方について、国の見地から御検討いただいているところでございます。また、唯一の単線区間であります岡谷―普門寺信号場、これは諏訪市でございますが、この間につきましては、現在、諏訪市とともに高架化、複線化、あるいは駅の橋上化をまちづくりの観点から検討しているところでございます。山梨県や沿線市町村、経済団体など関係の皆様とともに、中央東線の高速化、利便性の向上に向け、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、地域振興推進費についてでございます。
 予算総額を示されると予算消化になってしまうんじゃないかという御指摘でございますが、今回、地域振興局ごとに活用可能額をお示しをさせていただくことにいたしました。これは、各地域振興局が局長の責任において主体的に活用してもらいたいと、そういう思いでございます。地域の要望、課題がさまざまあるわけでありますので、そうした地域ニーズをしっかり踏まえて責任を持った運営をしてもらいたいというふうに思っています。仮に、これが可能額を示さなければ、いろいろ要求があって、結果的には本庁が差配するという形になりかねないので、そういう意味では局ごとにしっかり責任を持っていただくためにこういう方式をとっております。予算消化などという発想はあり得ないというふうに思っておりますが、今申し上げたような点をしっかり地域振興局長には伝えて、有効に活用をさせていきたいというふうに思っております。
 それから、地域振興推進費の配分についてでございます。
 これは、それぞれの地域の人口規模、あるいは面積、市町村数、こうしたものが大きく異なっているわけであります。それによって生じる地域課題や事業量も異なってまいりますので、私とすれば複数の指標に基づいて配分していくことがやはり適当ではないかというふうに考えております。
 今回、地域課題解決のための事業量を想定するに当たりましては、住民の数あるいは県土の広さ、こうしたものをベースとしながらも、過疎の状況あるいは基礎自治体の数、こうしたものも加味する一方で、各地域が一定の事業量を確保できますように、均等割を総額の半分ということで厚くしているところでございます。これは、あくまで地域振興推進費の配分の考え方でありますので、これが地域振興局の序列につながるというふうには全く考えていません。
 それから、地域発元気づくり支援金の配分基準の見直しについてということでございます。
 これについては、事業の実施主体が市町村あるいは公共的団体であるということに着目をして、市町村数や人口に基づく配分を厚くさせていただいております。各地方事務所における実際の要望状況は、配分額のおおむね1.5倍を中心として大きな開きは生じておりません。こうしたことから、現在の配分の考え方はおおむね妥当なものではないかというふうに考えております。
 それから、林業公社について、監査報告書を踏まえた今後の対応という御質問でございます。
 この林業公社は、御承知のとおり、厳しい経営状況の中でこれまで相当踏み込んだ検討を長年にわたって行ってきています。平成16年、平成19年、平成24年、行政機構審議会等におきまして、団体の存続、廃止を含めて検討いただき、方向づけをしてきました。その都度、県民の皆様方にも考え方を公表し、県議会にも御説明を行ってきているところであります。
 最近の検討は、平成24年度、県の外郭団体等検討委員会の最終報告に基づきまして、平成25年に新たに外部委員4名による林業公社経営専門委員会を設置して、存続した場合と廃止した場合について詳細な検討を行っていただいたところでございます。その結果、存続した場合、廃止した場合の差はわずかであって、金利上昇等の不確定要素あるいは公社の経営改革を考慮すると存続するほうが有利、そして、分収林を将来にわたり適正に管理していくには、現地の状況等を把握したプロパー職員が引き続き経営を担うことがより効果的、こうしたことから、存続することが望ましいという最終報告が示されたところであります。
 これを受けまして、平成25年の11月の県議会定例会に経営専門委員会の最終報告の内容を報告させていただいた上で、県出資等外郭団体改革基本方針を改訂し、林業公社の方向づけをさせていただいたところでございます。これは、26年5月に林業公社がこうしたことを踏まえて経営改革プランの策定をいたしているところでございます。
 組織的な対応としては、例えば職員の給与の削減等による人件費の削減であるとか、あるいは事業改革によります収支の改善ということで、例えば不採算林の契約解除でありますとか、あるいは分収率の見直しでありますとか、こうしたことを通じて県民負担の軽減に向けて徹底した経営改革を始めているところでございます。引き続き公社においてこうした取り組みを進めていただくということが必要でありますし、県としても必要な指導、支援を行っていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
      

◎建設部長(奥村康博)

 

 諏訪湖流入河川の河床掘削に関するお尋ねでございます。
 諏訪湖へ流入する河川におきまして、異常降雨等により河川内や河口付近に著しい堆積が見られた場合には、氾濫を防止するため、これまでにも堆積土砂の撤去等を行ってきたところでございます。上川を除く平成28年度の実績では、砥川ほか6河川で約1万8,000立方メートルの堆積土砂を撤去したところでございます。今後とも、流入河川や河口域の堆積状況に応じ、適切な維持管理に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
      

◎林務部長(池田秀幸)

 

 ジビエ振興を含めた鹿対策の予算についての御質問でございます。
 議員御指摘のとおり、平成27年度など、従前は捕獲の推進のために県みずからも捕獲に取り組むこととし、そのための予算を計上してまいりました。一方、従来の方法では捕獲が困難となっている状況が見えてきたことから、平成28年度からはより効果的な捕獲手法の検討のために、GPS発信機によるニホンジカの行動把握や新たな捕獲手法の実証のための予算計上をすることといたしました。平成29年度につきましても、引き続き行動把握や新たな捕獲手法の実証を行うこととしておりまして、前年度の成果が活用できることを踏まえ、必要な予算を計上したものでございます。
 なお、捕獲の主力であります市町村や地域の猟友会が捕獲を推進するための予算につきましては、市町村等からの要望を聞き、それに応じた金額を計上しているところでございます。また、ジビエ振興につきましても、信州デスティネーションキャンペーンにあわせたJR東日本と連携しての信州ジビエフェアの展開や、首都圏へのアクセスのよさを生かしたブランド力の強化に対する予算を計上させていただいているところでございます。いずれにいたしましても、その年度の状況に応じまして、鹿対策等に必要な予算を計上させていただいているところでございます。
 以上でございます。
      

◆今井愛郎

 

 ありがとうございました。
 そういった中で、地域振興推進費の割り振りについてちょっとお伺いしたいと思います。
 先ほど総面積が入っていると言いましたが、こちらの総面積を見ますと山林が入っております。長野県の面積の約4分の3は山林と言われていまして、私は可住面積で見るべきではないかと考えます。山林のための保護には森林税という新たな税も導入されているわけですから、そこを考慮する必要はないと思いますし、開発されているところの中でどういうことができるかというのを問うことがこういう目的になるんじゃないかと思います。その辺についての知事のお考えをいただくとともに、先ほど来、同額にして、例えばその先の余った部分をもっと皆さんでできるようにして、例えば500万くらいにしておいて、あと残りは皆さん提案してくださいと。そんなことを考えていかなければこの地域振興推進費は理解いただけないと思うんですが、御答弁をいただきたいと思います。
 続いて、大北森林組合の補助金不正受給等に関連して、去る1月27日、大北森林組合から提出された事業経営計画、補助金返還計画について、今後の対応についてお尋ねしたいと思います。
 昨年6月、大北森林組合が提出した事業経営計画書及び補助金等返還計画書は、県民理解を得られる内容ではなかったので、計画そのものの抜本的な見直しが必要との観点から再提出を求めたと私は理解しております。今回、再提出されたものが県の求めていた抜本的な見直しがされたものと評価しているのかどうか。阿部知事に伺いたいと思います。
      

◎知事(阿部守一)

 

 地域振興推進費の配分基準の考え方についてさらに御質問を頂戴しました。
 いろいろな考え方があり得ると私も思いますけれども、御指摘のように、例えば可住地面積とした場合には、これは森林、あるいは湖沼ですね、諏訪であれば諏訪湖の面積は除くという形になるわけであります。しかしながら、私は、長野県の場合、この森林であったり湖であったり、こうした部分についても地域振興の資産であるというふうに思っております。可住地面積とするということが全く理屈にかなわないというふうには必ずしも思いませんけれども、しかしながら、私どもが現在やっている方法が逆に極めて不合理だということでもないんではないかなというふうに思っています。地域振興推進費の配分の考え方については、先ほど申し上げたとおりの考え方で取り組んでいきたいというふうに思っております。
 それから、大北森林組合から出された補助金等返還計画書について、これをどう評価しているのかということでございます。
 これは、1月31日付で提出をされているわけでありますけれども、これはまずは林務部改革推進委員会の中でも御議論いただいております。そうした中で、計画の新たな発想による事業展開あるいは管理費削減等一定の進展が見られるけれども、さらに踏み込んで事業を進めるための資金計画、あるいは事業実現のためにスケジュール等を確認すべきという御意見も頂戴しているところでございます。
 こうした委員の皆様方の御意見を踏まえ、計画の詳細について精査をしているところであります。今月末までにはその妥当性を判断していきたいと考えております。
 以上です。
      

◆今井愛郎

 

 地域振興推進費については考え方がいろいろあるというのは御存じのとおりだと思うんですが、先ほど言った森林税も含めて考えるというのは私はどうかと思いますので、その辺もぜひ検討の余地にしていただいて、事前の検討課題にしていただきたいと思います。
 次に、提出された二つの計画書の詳細について順次質問してまいりますが、項目がたくさんありますので、3回に分けて林務部長にお尋ねいたします。
 県が補助金不正受給中の役員の責任の明確化について求めるとしていたのにもかかわらず、再提出されたものには、弁護士と相談中で判断は改めて示すと記載されております。この程度の回答で県民理解は得られるのでしょうか。また、森林組合法第49条では、役員の賠償責任を免除する最低限の規定がございますが、この規定を準用した場合の代表理事等の負担すべき賠償金額は幾らになると推察されますか。
 二つ目、増資等の経営基盤の安定について、こちらにつきましても、まずは役員が取り組みますと記載されているだけで、時期も金額も明記されておりません。また、組合員に対しても、努力する程度の記載しかありません。出資が難しければ、現在は徴収していない賦課金等を徴収させるべきとも考えますが、いかがでしょうか。
 三つ目、徹底したコスト削減についてですが、28年度の組合の事業利益が3,000万円なのに対し、事業管理費の人件費は総額で5,373万円で、28年度は人件費だけで2,000万円の赤字になる。にもかかわらず、次年度には1,000万円の増を見込んでおります。県の検証委員会の調査報告書では、組合専従の職員給与については、平成22年は県平均と同水準だったが、23年と25年に賃上げがされており、組合の不適正受給にあわせて職員給与も厚遇されたと指摘されております。補助金不正受給中にふえた分をもとに戻すのはもちろんですが、過日風間議員が御指摘されたように、民間の感覚を組合経営に反映させるならば、まずは大幅な人員削減と長期間の給与カットはやむを得ないなと考えますが、そうしなければ債権者と言っていい県民の理解は得られないと考えますが、御所見をお尋ねいたします。
      

◎林務部長(池田秀幸)

 

 大北森林組合の補助金不正受給問題について順次お答えを申し上げたいと思います。
 大北森林組合の役員の責任の明確化についての御質問でございます。
 役員の責任の明確化につきましては、昨年5月に策定された事業経営計画におきましては全く記載されていなかったところでございます。新たな計画におきましては、役員の責任の明確化について対応を行う前提で検討が進められ、まず元専務理事に対して1月に損害賠償請求の訴訟を行っているところでございます。また、元組合長、非常勤の役員については、責任を問う方針で弁護士と相談中の状況と聞いております。具体的な金額につきましては、現在弁護士と検討中ということを聞いているところでございます。
 次に、組合の増資等によります経営基盤安定についての御質問でございます。
 大北森林組合では、一口当たりの出資金額の増額による増資や組合員一律に課すこととなる賦課金につきましては、組合員に一律に影響を与えるため、組合員の理解を得る時間が必要であることから、まず役員から率先して出資口数を増加させる増資に取り組むとともに、組合員に対しまして今後粘り強く増資への理解を求めていくと聞いております。議員御指摘のとおり、賦課金の徴収も今後の経営において財政基盤強化のためにとり得る方法の一つであると考えておりますので、今後の指導に生かしてまいりたいと考えております。
 次に、組合のコスト削減についての御質問でございます。
 現在、大北森林組合では、常勤職員12名によりまして再生に向けて取り組んでいると聞いておりますが、1人当たりの人件費は約450万円となっておりまして、補助金不適正受給期間前に平成16年度から平成18年度までの3年間の1人当たりの平均人件費であります約740万円と比べましても約4割減の水準となっているとの説明を受けているところでございます。いずれにしましても、コスト削減について精査をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
      

◆今井愛郎

 

 一つ、役員の賠償金額について、今の給料で結構ですからどの程度になるかと質問してあると思うんですが、できるできないじゃなくて、この金額について賠償金額のお答えをいただきたいと思います。
 それから、人件費についていろいろありましたが、補助金不正受給が始まる前は9人だったと思います。そうすれば、やっぱりそこまで落とすという必要性もあるのではないでしょうか。人数を減らして少し頑張っていただく、そういうことを求めなければ県民理解は得られないと思います。そんなことについての御見解もいただきたいと思います。
 続けて3項目、林務部長にお尋ねいたします。
 今回再提出された計画書は、昨年5月に総代会で承認を得た事業経営計画を基本としていると記載されています。その計画がだめだったからこそ今回再提出させたのではないでしょうか。今回もベースが同じであれば基本的なスタンスは変わらない、そう思うんですが、いかがでしょうか。
 また、補正予算で計上した経営改善指導がどのように反映されているのか。そもそも論として、外部の方が作成した計画書を組合に認めていただく、そのような手法が必要かと思いますが、いかがでしょうか。
 二つ目、計画書には、時効の違いによる損害賠償金や県補助金に対する加算金の記載が一切ありません。以前の説明からすると、少なく見積もっても県が請求できる加算金は1億円を超えていると思います。こうした点について全く記載のない返還計画では県民理解は得られないと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 三つ目、計画書に役員の自主返納が2,611万円とありますが、県への返還が1,000万円、市町村への返還が500万円で、残り約1,100万円は運転資金に回っていると説明を受けました。これで県民理解が得られるのでしょうか。仮に、今後専務理事から賠償金が返還されたとしても、全額が返還に回されない可能性があると危惧するわけですが、いかがお考えでしょうか。
 以上、林務部長にお尋ねいたします。
      

◎林務部長(池田秀幸)

 

 再質問をいただきました。
 一人当たりの人件費でございますが、組合からお聞きしているのは、先ほど申し上げたとおり、現在、約450万円になっているということでございます。また、人数につきましては、現在常勤職員12名でございますが、かつて15名から3名減員しているという状況でございます。
 次に、組合の事業経営計画についての御質問でございます。
 大北森林組合が昨年5月に策定いたしました事業経営計画につきましては、実現性、確実性の観点から精査が必要であったことから、経営改善を抜本的に進め、新たな発想による事業展開など4項目の観点から計画の見直しを行うよう通知したものでございます。これを受けまして、大北森林組合におきましては、計画の見直しに当たって、公認会計士などの外部の有識者の意見が必要であると判断をいたしまして、昨年9月、外部の有識者を委員とした組合再生本部を立ち上げて、意見聴取をしつつ新たな計画を策定したと聞いております。
 昨年9月に補正予算をお認めいただきました森林組合経営改善支援事業につきましては、長野県森林組合連合会が、県内18組合の自立的な経営に向けまして、課題のある組合から業務実施体制の再構築などの指導を行う事業でございまして、大北森林組合に対しまして経営改善に向けた経営診断やアドバイスを行ったところでございます。
 次に、返還計画におきます損害賠償金と加算金についての御質問でございます。
 返還計画におきましては、組合の債務としての額が確定している補助金、元金等が計上されておりまして、加算金は、補助金等交付規則に基づき原則として課すものでありまして、組合にも通知をしておりますが、加算金の額は、補助金返還の実際の実施状況に応じて算定されるため、現時点ではその額は確定しておりません。
 また、県からの損害賠償につきましても、弁護士等によります委員会を設置し、法的に複雑なさまざまな論点に対しまして複数の専門家の視点で方向づけを行っていただくこととしておりまして、請求額等は未定の状況でございます。
 こうした中で、まずは不適正受給した補助金について組合から計画的かつ早期に返還されることが県の財政負担の最小化につながるため、そうした観点から新たな補助金等返還計画の内容を精査をしているところでございます。
 次に、役員報酬の返納及び損害賠償金と補助金返還についての御質問でございます。
 補助金不適正受給期間中の役員から組合へ返納された報酬につきましては、やむを得ず税金の納付や金融機関へ借入金返済に充てざるを得なかったものを除く全額を補助金返還に充てたと聞いております。また、1月に訴訟を提起いたしました元専務理事への損害賠償金等につきましては、新たな返還計画において回収できた金額は追加の返還財源とすることとされております。県といたしましては、もと専務理事から回収された賠償金等については、全額を補助金等の返還に充てるよう引き続き組合を指導してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
      

◆今井愛郎

 

 もう一度お尋ねしますが、私は、理事役員に対しての組合法第49条に基づく賠償金額が幾らあるか、それをお伺いしているわけで、その金額についてお答えいただきたいと思います。
 続いて、4項目、また林務部長にお尋ねいたします。
 計画書に年度別返還計画は記載されておりますが、これには金融機関への返還額も含まれており、補助金の返還計画が見えておりません。県民にわかりにくいものになっていませんか。補助金の返還を分けて記載すべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。
 次に、2年次の計画、平成29年度ですが、森林整備が1.5億円増となっております。その上で3,250万円の利益を見込んでいます。これは新年度での補助金再開を見越してのことだと思いますが、結果的に補助金で補助金を返すというスキームになっていませんか。いかがお考えでしょうか。
 三つ目、組合の総代会資料に貸借対照表に関する記載があります。補助金返還等については、BS、PLとも未計上で、返還金を前期損益修正損とし、簿外負債として処理しているとあります。返還請求額が簿外負債のままでは、組合脱退者に出資金を返還しなければならなくなり、組合法で定めている出資責任を問えないことになりませんか。いかがお考えでしょうか。
 四つ目、補助金返還計画にはまだまだ整合性がとれていない部分もあり、県民理解が得られるものとはほど遠いと思います。補助事業再開を望む声があることは承知しておりますが、この計画書をもって補助事業を再開しても県民理解は得られないと考えますが、補助事業再開の時期についてお尋ねいたします。
 以上、林務部長にお尋ねいたします。
      

◎林務部長(池田秀幸)

 

 再質問いただきました。組合法第49条の3の4項での最低限の賠償金額の関係でございますが、先ほど申し上げましたとおり、具体的な金額につきましては現在弁護士と検討中というふうに組合から聞いているところでございます。
 次に、返還計画において、補助金の返還分を分けて記載すべきじゃないかという御質問でございますが、債権者であります県、市町村及び金融機関の返還等につきましては、返還計画におきまして毎年度債権者によります協議の場を設け、組合の経営状況や資金繰りの状況等を説明し、その都度債権者間の返還額等の調整を図ることとされておりまして、組合からは事前に各年度の債権者ごとの返還計画額を記載することは難しいというふうに説明を受けているところでございます。
 次に、補助金で補助金を返還することになるのではないかという御質問でございますが、造林補助は、森林法等の規定に基づきまして、森林の持つ公益的機能等の維持増進を図るため、間伐等の森林整備に要する費用の一部を補助するものでございまして、大北森林組合に対し補助金の交付を再開した場合でも補助金返還の財源として交付するものではございません。
 補助事業の再開につきましては、組合が適切に補助事業を行い得る事業主体と認められるのか否か、現在、会計規定等の整備や内部牽制体制など必要な事項を一つ一つ精査しているところでありまして、林務部改革推進委員会の御意見等も踏まえ、適切に判断していく考えでございます。
 次に、平成28年5月の大北森林組合の総代会の資料に係る組合員の出資責任についての御質問でございます。
 森林組合法第38条第1項の規定によりまして、森林組合からの脱退者は定款で定めるところにより出資金の払い戻しを請求することができるとされております。また、同第2項の規定によりまして、脱退者の払い戻しの持ち分は、脱退した事業年度末におけるその出資組合の財産によって定めるとされております。大北森林組合の定款では、払い込み済み出資金の総額に相当する財産については各組合員の払い込み出資額とする。ただし、その財産が払い込み済み出資金の総額より減少したときには、各組合員の出資額に応じて減額して算定するとの規定を標準に定めるとされております。
 大北森林組合は、現在、この議員御指摘の方法で経理処理をしているところでございますが、これは専門家としっかり相談した上で処理しているところというふうに聞いております。現在、組合は、まずは組合再生に向けて、組合員の理解を求めつつ取り組んでまいりたいとしているところでございます。
 次に、補助事業の再開時期についての御質問でございますが、森林整備を進めることは、地域林業の推進のためだけではなくて、山地災害発生防止を初め森林の公益的機能の発揮の観点からも重要でございまして、大北地域においても補助事業等による適切な整備を推進していくことが必要であると認識をしております。大北森林組合が今後それらを担っていけるかどうか、事業経営計画、補助金等返還計画をしっかりと精査をしているところでもございます。
 一方、補助事業の再開につきましては、極めて重大な補助金不適正受給を引き起こした組合が、先ほど申し上げましたが、適正に補助事業を行い得る事業体に改善されている必要がありますので、昨年12月から組合が職制規程や会計規程を整備し、内部牽制や法令遵守を行うことができるのか、補助事業の執行をマニュアル化して、適切な事務処理や現場管理を行うことができるかどうかなどについて一つずつ丁寧に確認をしているところでございます。今後、これらの精査をできる限り早期に行いまして、林務部改革推進委員会等の御意見等も踏まえ、補助事業を再開することができるかどうか適切に判断をしていきたいと考えております。
 以上でございます。
      

◆今井愛郎

 

 賠償額については算定していないということですが、これは在籍期間と給料がわかればすぐ出せる話だと私は思います。別に請求するしないじゃなくて、幾らあるかということを聞いているわけですから、ぜひ委員会ではその資料を提供していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 それから、総代会のところの資料にありましたが、去年実は退会されている方がいらっしゃいまして、20万円ほど出資金が返されているんですね。そうすると、出資者に対して返しているわけですから、出資責任は問えていないということになるわけですね。損害はあるのにやめたい人には返しているということでは、これはやはり県民の理解は得られない。それを聞いているわけです。それについて大北森林組合がどう対応していくかということは大事だと思いますが、そこについてお伺いしたいと思います。
 ここまで、私が疑問に思った部分について何点か質問させていただきましたが、時間の関係もありますので、それ以外についてはまた委員会に委ねたいと思います。
 私は、今回提出された計画書は、まだまだ実現性や整合性のとれていない部分が多いと思いますので、長野県がこのまま受け入れるということにはとても同意できないです。また、12月の一般質問で、求償していくことが県民益につながり、組合が返還すると言っているのだから全額返還を求めていくという知事の姿勢は理解できないわけではないですが、やはり現実的ではなく、この問題を長期化させている一因だと私は思います。幾ら県職員の私的流用はなく、県が主導したわけではないと訴えてみても、国の加算金の対応を見れば、県に責任の一端があったことは明らかです。責任の所在やその背景を明確にし、二度と同じ過ちをしないようにと懸命に取り組んでおられる知事の姿勢は評価いたしますが、そもそもこの問題は阿部知事就任以前からのものです。停滞気味な森林行政に息を吹きかけ、知事がよく言われる森林県から林業県にしていくためにも、そろそろこの問題にけりをつける英断が必要でないかと思います。
 そのためには、以前の質問で、県としては書類等がなく精査できないと言っていた不適正受給となった未施工、一部施工の補助金の精査を組合に行わせ、県に提出を求め、それを第三者機関等で精査した上で、未施工部分の補助金のみを返還対象とし、それ以外は条件つきで返還を免除するといったスキームをつくり、県民に理解を求めていくことこそが必要ではないでしょうか。最初のうちはかなりの批判を受けると思いますが、必ず将来の県民益になる、そんな思いからの決断が必要と考えますが、阿部知事の御所見をお尋ねいたします。
      

◎知事(阿部守一)

 

 この大北森林組合の補助金不適正受給問題、これは非常に大きな問題でありますので、私としては一つ一つ課題、論点を丁寧に整理をしていくことが重要だというふうに考え、これまで取り組んできております。そういう中で、この補助金の返還の部分につきましては、これは今井議員も再三御質問の中でも触れられておりますように、県民の皆様方の御理解ということが私は極めて重要だというふうに思っています。そうしたことを考えたときには、やはり法令に従い、厳正に対応するということが基本だというふうに思っております。そうした観点で、補助金等交付規則に基づき補助金交付決定を取り消し、返還請求を行っているところであります。組合は、県から請求している補助金について返還するという意思を示しているわけでありますので、この補助金返還を着実に履行していただくことができるように取り組んでいくということが重要だというふうに考えております。
 以上です。
      

◆今井愛郎

 

 御答弁ありがとうございました。
 林務行政が長いというのはよくわかります。先ほどの公社の件も、平成88年、ここの議場にいる方は誰も生きていないだろうと思われるときに108億円の損失が発生するということなんです。そういうことの中で、大北森林組合も同じように30年、40年と、やっぱりそれはターンが長いんです。だから、やはり知事にしっかりと決断をしていただいて、次のステージに進めるようお願い申し上げまして、一切の質問を終了させていただきます。