平成29年2月定例県議会 発言内容(荒井武志議員)


◆荒井武志

   

 信州・新風・みらいの荒井武志でございます。初めに、地域活性化への取り組みについてであります。
 昨年の11月定例会では、種々議論の末に地域振興局の設置に関する条例案などを可決し、いよいよ本年4月から地方事務所を改組して地域振興局が設置されることになりました。この地域振興局は、局長に予算や人事面で幾つかの権限を付与し、管轄地域の現地機関相互の連携を強化して、地域の横断的な課題解決に向け取り組むこととしております。知事は、閉会後の記者会見で、組織をつくること以上に、局長や職員の動き方、働き方を変えていくことが大事。地域の県民、市町村と一緒になって地域振興に取り組んでいくと決意を表明されました。
 県内各市町村が総じて人口減少に直面していく中、いかに地域に元気や活気をつくり出していくのかが重要なポイントになるわけで、設置される地域振興局のありようが今後の市町村活性化に大きく影響してくると言っても過言ではないでしょう。
 そこで知事に、以下2点、お伺いします。
 一つは、各地域振興局が各地の地域要望等をどのように把握し、受けとめ、それを整理し、どのように具体策へつなげていこうとお考えでしょうか。
 二つに、各地域振興局へ幾つかの算定基準のもと、1億円が割り振られるとお聞きしておりますが、具体的な地域要望等がどのように生かされていくのでしょうか。先にお金があってではなく、要望があってこその1億円でなければならないと思うのですが、いかがでしょうか。
 次に、ハード的な整備について取り組む場合、県や市町村、関係団体等と連携して整備をした施設等の帰属先はどこになっていくのでしょうか。企画振興部長に伺います。
 次に、地域おこし協力隊についてであります。
 総務省は、都市部から過疎地に一定期間移住して当該地域の活性化に取り組む地域おこし協力隊制度を設け、取り組んでいますが、当初目標の4,000人を4年前倒ししてこれを達成したとのことであります。
 平成28年における長野県内の地域おこし協力隊員は64市町村に319人で、受け入れ自治体数、隊員数とも北海道に次いで2番目に多かったとされていますが、県のまとめでは、昨年の4月1日現在で59市町村、241人とお聞きしているところです。
 これらを受けて、高市総務大臣は記者会見で、隊員の活動を円滑にするためのサポート体制強化と任期後の定住につながる起業支援に取り組みたいとする報道がありました。
 一方、受け入れ自治体側の取り組み例では、採用時に何をしてもらいたいのか不明瞭で、若くて元気な人みたいなことぐらいでの対応になっていることもあるようですし、参加しようとする若者も、何ができるかわからないですというようなお話もあるなどお聞きしているところです。
 そこで、以下、企画振興部長にお伺いします。
 一つに、そもそも地域おこし協力隊を各市町村がなぜこれほど躍起に活用しようとしているとお考えでしょうか。
 二つに、やりたいことができないと任期途中でやめてしまった隊員もあるとお聞きしていますが、県内におけるこれまでの定着状況、また活躍されている活動状況等をどのように受けとめておられるか。それらの状況についてお答えください。
 三つに、県として、任期中の3年間あるいはその後のサポートをどのように取り組んできたのでしょうか。あるいは、市町村への取り組み指導をどのように行ってきたのでしょうか。また、部長の議案説明では、「隊員や市町村への相談・サポート体制を構築し」としているわけで、今後取り組むべき具体的方策をどのようにお考えですか。
 次に、ふるさと信州寄付金についてであります。
 近年、高齢者の増加に伴って社会保障関係費が増大している中にありながらも、投資的経費財源も着実に確保していかなければならないと思います。これらを踏まえ、新年度予算案では、歳入確保に言及し、ふるさと信州寄付金を初めとした寄附金収入の確保などに積極的に取り組むとしています。
 そこで、総務部長にお伺いします。
 最近、返礼品競争の過熱化が問題となっていますが、本県における返礼品の取り組みを含め、ふるさと信州寄付金収入の現状と課題はいかがでしょうか。また、ふるさとや長野県の取り組みを応援したい方々のお気持ちとして、使途希望の状況をお聞きいたします。あわせて、新年度のふるさと信州寄付金の取り組み方針についてもお伺いいたします。
      

◎知事(阿部守一)

 

 地域活性化への取り組みに関連して、私に2点御質問をいただきました。
 まず、地域振興局における地域要望の把握等をどうするのかという御質問でございます。
 何よりも、地域振興局のトップであります局長が率先して地域の課題や要望をしっかり的確に把握してもらうように努めてもらうということが重要だと思っております。局長には、タウンミーティング、ランチミーティング、あるいは地域戦略会議、こうしたことを活用して、待ちの姿勢ではなく、積極的に地域に出向いて、市町村、関係団体、県民の皆さんと交流をしてもらいたいというふうに思っています。
 その上で、そうした中で出てくる県民の皆様方の考え、思い、こうしたものを地域振興会議や部局長会議を通じて関係する現地機関や本庁ともしっかり情報共有をしてもらいたいというふうに思っています。地域のトライセクターリーダーとして地域振興推進費も活用して具体的な対応へとつなげてもらうということも期待をしているところでございます。
 こうした考え方は、これまでも地方事務所長会議等で伝えてきておりますが、今後、地域振興局長となる職員が内定した際には、年度がわりを待つことなく、改めて私の考え方を伝えて、地域振興局がスタート当初からしっかりと県民の皆様方の考えを伺える体制になるように努めていきたいと考えております。
 それから、地域振興推進費についてでございます。
 地域振興推進費につきましては、現地機関の見直しの議論の過程におきまして、予算のあり方についても地方事務所長を交えて数度にわたって意見交換を行い、検討してきたものでございます。予算額につきましては、これまで行ってまいりました地方事務所長からの施策提案で提案が出された事業の規模等を踏まえて、初年度として、まずは総額1億円という形にさせていただいております。
 来年度の地域振興推進費の各地域振興局への割り振りに関しましては、総額の半分を人口や面積、市町村数等の客観指標によって配分し、残りの半分は均等に配分ということで考えております。それぞれの地域振興局には、こうして算出した額をあくまでも活用可能額として内示をしていきたいというふうに思っております。地域振興のために有効に活用するという強い目的意識を持ってもらい、地域の課題や要望に的確に対応した効果的な事業実施になるように各局には求めていきたいと考えております。
 以上でございます。
      

◎企画振興部長(小岩正貴)

 

 いただきました御質問に順次お答え申し上げます。
 まず、地域において整備されました施設等の帰属先についてでございます。
 一般的には、県や市町村、関係団体等が共同で整備する場合には、支出額に応じた持ち分を設定するなど、関係者の協議により所有権を決定していくこととなります。また、地域振興推進費により県が整備した施設等につきましては、県の財産となり、県が管理していくことが一般的であると考えております。
 いずれにいたしましても、地域振興推進費によりハード事業を行う場合には、事業の効果のみならず施設等の所有や管理のあり方につきましても十分に検討した上で進めるよう取り組んでいくこととなっています。
 続いて、地域おこし協力隊についての御質問でございます。
 まず、各市町村での隊員受け入れの積極姿勢の要因についてということでございますが、地域おこし協力隊は、人口減少や高齢化の進行により活力の減退が懸念される地域へ新たな担い手として都市住民が移住し、農林業の応援や住民の生活支援などの活動に従事しながら、地域への定住、定着を図る取り組みでございます。こうした制度の趣旨が県内市町村のニーズに合致していることから積極的な受け入れにつながっているものと受けとめているところでございます。
 次に、隊員の定着及び活動状況についてでございます。
 地域おこし協力隊は、地域の特産品開発や農業支援、観光振興といった産業面における取り組みを初め、伝統文化の復興や高齢者の生活支援など、幅広い分野で地域に根差した活動をしていただいております。任期終了後の県内への定着につきましては、平成27年度末までの7年間で、任期が終了した110人のうち73人、率といたしましては66.3%ということでございまして、これは全国平均よりも高い状況でございます。農産加工施設などへの就職や農林業への従事、古民家を改修してカフェを開業するなど、それぞれの地域で活躍をいただいております。
 ただ一方で、隊員が希望する活動と採用市町村での実際の業務が一致しないとの理由や地域のコミュニティーに溶け込めないなどの理由により、任期途中で退任する事例も幾つか聞いているところでございます。こうしたことから、協力隊募集時における業務の明確化や受け入れ態勢づくりが課題と考えております。
 最後に、県としてのサポートの状況と今後の方策についてでございます。
 県といたしましては、これまで隊員の活動年数に応じた研修会や隊員同士の交流会などを開催してまいりました。また、銀座NAGANOでの市町村合同募集説明会や市町村担当職員の研修会なども行ってきたところでございます。新年度は、新たに設置される地域振興局ごとに隊員によるネットワークを構築し、そこに隊員OBや地域振興局の職員が加わる形で、情報交換のみならず隊員や市町村からの相談にも応じられるサポート体制をつくっていきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
      

◎総務部長(小林透)

 

 ふるさと信州寄付金についての御質問について順次お答えをいたします。
 まず、ふるさと信州寄付金の現状と課題についてでございますが、ふるさと納税制度は、ふるさとなどを応援する気持ちを形にする仕組みといたしまして平成20年度に創設されたものでございますが、本県では、平成24年度から返礼品の贈呈を始めるとともに、議会の皆様の御理解を賜り、ふるさと信州寄付金基金を創設することなどによりまして積極的に取り組みを進めてまいりました。
 その結果、本県への寄附金の状況は、平成27年度に1万2,428件で1億5,400万円と過去最高額を更新し、ふるさと納税の件数における都道府県別の順位は第3位となったところでございます。本年度は、寄附受付等の一連の業務を委託し、民間事業者のノウハウを生かしたプロモーション事業の展開などによりまして、12月末の時点で、既に昨年度の2倍近い2億8,000万円に達しているところでございます。
 一方で、自治体の中には、より多くの寄附金を集めるため、換金性や資産性の高い返礼品を提供するなど、全国的に返礼品による自治体間競争が加熱していることや、これに伴いまして経費も増加傾向にあることなどが課題であると考えております。
 次に、使途希望の状況と今後の方針についてでございますが、寄附者の使途希望といたしましては、例えば平成27年度の実績を見ると、自然環境の保全や山岳高原観光地づくりといった当県の持つ高いポテンシャルを応援していただけるもののほか、子育てや子供への支援などが多くを占めてございます。
 また、いただいた寄附金は、寄附者の思いに沿って、平成29年度当初予算においても山岳環境整備推進事業など58事業の財源として計上しているところでございます。
 今後も、本来のふるさと納税制度の趣旨に沿って、返礼品には資産性や金銭類似性の高いものは取り入れずに、信州ブランド品などの県産品や信州らしさを体験していただける場を提供するなどによりまして、工夫を凝らして長野県の魅力を発信していくとともに、県外のイベント等さまざまな機会を利用し効果的なPRを行うことでさらなる寄附の拡大を図ってまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
      

◆荒井武志

 

 地域振興局にかかる地域活性化につきましては、県が市町村より遠いというようなお話をいろいろな場面で伺っておりますので、この際、そういうものの払拭がこういう場面を通じてできるように大いに期待をさせていただきたいと思います。
 また、地域公共交通の充実策につきまして、過日の代表質問でも取り上げられ、その答弁にありましたように、県や市町村、交通事業者などで構成する「地域における移動手段の確保・補完に関する検討会」を設置し、生活交通、県内観光の二つの部会を設け、地域での日常生活を支える持続可能な移動手段の確保や観光客の流動を踏まえた公共交通ネットワークなどについて検討していく旨をお聞かせいただきました。よく、住めば都と言われるように、愛着のある地にずっと住み続けたいと願う県民が大多数ではないかと思うところです。
 県交通運輸関係の皆さんからも強い要望としてお聞きしておりますので、今後設置される検討会におきまして、充実した議論のもと、しっかりとした方向性が見出せますよう要望させていただき、次の質問に移ります。
 次に、文化芸術の振興についてであります。
 平成27年度に文化振興元年としてスタートした文化振興への取り組みは、当初が決算剰余額の1%、昨年度は3%、本年度も3%を積み立てる予定の文化振興基金の活用を図りながら、人材育成や文化芸術に親しむ人々の拡大、文化芸術の創造性を生かした地域づくりを進めようとしていること。また、県民一人一人が人生を楽しむことができる文化県を目指し、長野県文化芸術振興ビジョン(仮称)を策定するとしており、これらは大変重要なことであると私も認識しているところであります。
 そこで、県民文化部長にお伺いします。
 文化芸術振興の課題にはどのようなものや事があるとお考えでしょうか。そして、それらの解決に向けてどのように取り組んでいくのでしょうか。
 続いて、知事に2点お伺いします。
 一つに、文化県を目指し、長野県文化芸術振興ビジョン(仮称)を策定していくわけですが、それらの具体化、実現に向けて諸施策が立案されていくものと思います。そのためには、基金財源の充実が欠かせないでしょう。決算剰余額の3%をさらに拡充する必要性についてどのようにお考えでしょうか。
 二つに、全国各地で国民一般の皆さんが行っている各種の文化活動を全国的規模で発表し、競演し、交流する場を提供することにより、国民の文化活動への参加の機運を高め、新しい芸術文化の創造を促すことを狙いとして開催されている国民文化祭でありますが、来年度は第32回国民文化祭・なら2017として奈良県で開催されます。
 若干概要を申し上げますと、9月1日から11月30日までの3カ月間にわたり、国民文化祭に加えて、第17回全国障害者芸術・文化祭なら大会が同時に全国で初めて一体開催されます。奈良県内39の全市町村で障害のある人もない人も一体になってイベントを盛り上げるとのことであります。すばらしい取り組みであると思います。
 文化県を目指す長野県とすれば、文化芸術の底上げを図る絶好の機会となり得るこの国民文化祭の招致を、文化芸術団体の皆様とともに県を挙げてその実現に向かっていくべきと考えますが、いかがですか。
 次に、教育長にお伺いします。
 伝統文化の継承、活用の範疇には県の指定文化財がありますが、有形無形を問わず、これらの指定の状況と支援策の現状はいかがでしょうか。また、支援策の充実に向けたお考えはいかがでございましょうか。
      

◎県民文化部長(青木弘)

 

 文化芸術振興の課題と解決に向けた取り組みについてお尋ねいただきました。
 文化芸術振興におきましては、議員からも御指摘がございましたけれども、大きく三つの重点的に取り組むべき課題があると認識しております。
 一つ目は、文化芸術による人づくりでございまして、子供たちがすぐれた文化芸術を観賞し体験できる機会の充実や、文化施設のスタッフなどの文化振興を担う専門的な人材の育成が必要だというふうに認識しております。
 二つ目は、文化芸術に親しむ人々の拡大でございまして、障害や年齢にかかわらず、より多くの県民が文化芸術活動に参加できる環境の整備が必要と考えております。
 三つ目は、文化芸術の創造性を生かした地域づくりであり、文化芸術と観光の融合など文化資源を生かした地域の活性化やクリエーティブ人材が活躍できる社会づくりの推進が必要と考えております。
 このような課題に対応するため、来年度は、芸術監督団の企画による先駆的な音楽・演劇公演や若手美術作家展などの取り組みを本格化するとともに、新たに、議員から御指摘もございました平成30年度から5カ年の計画期間とする長野県文化芸術振興ビジョン(仮称)を策定いたしまして、その具体化を図ってまいりたいと考えております。
 ビジョンの策定に当たりましては、有識者や文化芸術団体等で構成する文化芸術振興懇話会を設置し、市町村や関係団体、アーティスト等とも幅広く意見交換を行う中で、文化芸術施策の今後の方向性を初め、県文化振興の中核を担います文化振興事業団の体制整備等についても検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。
      

◎知事(阿部守一)

 

 文化芸術に関連いたしまして、2点御質問いただきました。
 まず、文化振興基金の拡充についての考え方という御質問でございます。
 心の豊かさを求める意識が県民の中に広がっている中で人生を楽しむことができる社会をつくるためには、文化芸術の振興は大変重要だというふうに思っております。
 そういう観点で文化振興基金を設置したわけでありますが、御質問にもありましたように、初年度決算剰余金の1%積み立て、その後3%ということで拡充をしたところでございます。この文化振興基金の積み立てのあり方につきましては、これまでの取り組みを検証した上で、来年度新たに長野県文化芸術振興ビジョン(仮称)を策定していく予定でございます。今後の文化芸術振興施策の方向性を検討することとあわせて考えてまいりたいと思っております。
 それから、国民文化祭誘致をしてはどうかという御質問でございます。
 国民文化祭は、音楽、美術はもとより、生活文化まで幅広く展示、発表する国民文化の祭典でございます。昭和61年度から文化庁が開催都道府県との共催で実施をしてきており、本県の文化を全国に発信する機会ということで意義あるものというふうには考えておりますが、開催には、県だけではなくて、市町村や文化芸術団体等の御協力も不可欠でございます。現段階で開催に向け全県的な機運が醸成されているというふうには言いがたい状況でございます。誘致につきましては、市町村あるいは文化芸術団体などの御意見を幅広くお伺いする中で検討していきたいと考えております。
 以上でございます。
      

◎教育長(原山隆一)

 

 県指定文化財の指定状況と支援策についてのお尋ねでございます。
 県の指定文化財は、現在、長野県宝228件、長野県無形民俗文化財29件、長野県史跡70件など444件が指定されておりまして、これらの指定文化財の所有者等が行う保存、修理などの取り組みに対して助成を行っているところであります。
 この補助金につきましては、平成25年度に補助率の引き上げなど制度の拡充を図るとともに必要な予算額の確保に努めているところでありますが、平成27年度までの6,000万円台から本年度は8,000万円台へと大幅に増額し、さらに平成29年度の予算案では約750万円を増額し8,973万円としているところであります。
 また、文化振興元年と位置づけた平成27年度には、文化財の所有者等が行う情報発信・活用事業に対する補助制度を創設いたしましたし、また、南信州地域をモデル地域として、伝統芸能継承のための後継者確保や企業連携などの取り組みへの支援を開始したところであります。市長会等からは、補助制度のさらなる拡充を求める声もありますことから、今後、市町村の御意見をお聞きしながら補助制度の見直し等についても検討してまいりたいというふうに考えております。
      

◆荒井武志

 

 国民文化祭についてもお話をいただきました。振興ビジョンを検討していく中で、多くの声をお聞きいただきながら検討の一つにぜひ入れていただきたいと、こんなことを要望させていただきます。
 次に、障害者施策の推進についてであります。
 初めに、昨年3月14日に全会一致で可決成立した手話言語条例への取り組み状況についてですが、県議会としまして、全議員が参画する手話言語普及促進議員連盟を昨年6月立ち上げ、手話を学ぶ勉強会に取り組んでいるところであります。
 私も、本年元旦早々から、「皆さん、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。」、こんなようなことを一つ覚えのごとく各種会合で取り組んでまいりました。県におかれましても、種々の取り組みがなされてきているものと推察する次第であります。
 そこで、健康福祉部長にお伺いします。
 一つは、手話言語理解への取り組みの現状はいかがでしょうか。
 二つに、一層の普及促進に向けた新たな取り組みをどのように進めていきますか。
 次に、要約筆記や点字などを含めた障害のある方々への情報保障やコミュニケーション支援などの施策の充実について、平成27年9月定例会において、健康福祉部長は、当事者の方々を含めた関係者の皆様とともに、障害のある方々の情報保障やコミュニケーション支援のあり方などについても、課題を整理しつつ、早急に検討することといたしたい旨表明されました。
 そこで、健康福祉部長にお伺いします。
 これら情報コミュニケーション支援施策拡大への取り組み経過と今後の方向性をどのようにお考えでしょうか。
      

◎健康福祉部長(山本英紀)

 

 手話の理解に向けた取り組みについてのお尋ねをいただきました。
 県では、手話言語条例制定初年度となる今年度は、聾者との交流などを通じ、手話に対する理解促進と県民の手話に親しむ機会の拡大に重点を置いて事業を実施してまいりました。
 具体的には、県内のプロスポーツチームを手話で応援するイベントや「信州山の日」に聾者と交流しながら登山を楽しむイベントを開催するとともに、手話サークル等が行う交流事業への支援を行い、手話に親しみながら聾者と交流する機会の提供を図ってまいりました。
 また、県下10圏域ごとに開催した県民向けの手話講座には約500名の参加をいただいたほか、日常の挨拶や窓口での会話を掲載した手話ガイドブックを作成し、コンビニ、公共交通機関などに配布し、活用していただいております。
 このほか、県の部局長会議で手話講座を実施するなど、知事を初め職員が手話を学ぶとともに、会議や行事において手話で挨拶するなど、県職員から率先し手話の普及に取り組んでおります。
 手話の一層の普及促進に向けた新たな取り組みについては、来年度は、新たに観光関係者向けの手話講座の開催や手話や字幕をつけた観光PR動画を作成し県内外に本県の観光情報を発信するなど、障害者にも優しい観光地づくりにより一層取り組んでいくこととしております。
 また、プロスポーツ団体を手話で応援する取り組みについて、本年度実施したバスケットボールチームへの応援に加え、新たに、より大きな会場となるサッカーチームへの応援を実施するほか、「信州山の日」の交流イベントの開催回数もふやすこととしております。
 さらに、県民向け手話講座については、休日や公民館での開催をふやし、より多くの方々が参加できるようにするなど、今年度の成果を踏まえ、改善を図りながら効果的に取り組んでまいります。
 情報・コミュニケーション支援施策については、障害者に対する情報保障や障害特性に応じたコミュニケーション支援等のあり方を研究するため、当事者団体や学識経験者等で構成する「情報保障・コミュニケーション支援研究会」を平成27年10月に設置し、これまで3回にわたり検討を行ってまいりました。障害特性の理解や特性に応じた配慮がさらになされるよう取り組みを進める必要性があるとの意見や、盲聾者の社会参加のための支援拡充や、災害時における障害特性に応じた情報提供が必要であるとの意見など、検討会で出されたさまざまな意見について課題解決に向けた検討を行ってきております。
 これまでの議論を踏まえ、来年度からは盲聾者に対する通訳介助員派遣事業を拡充するなど、新たな情報・コミュニケーション支援に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、研究会における支援のあり方の検討を引き続き進め、取りまとめを行った上で、来年度策定する次期長野県障害者計画に反映し、施策の充実を図ってまいります。
 以上でございます。
      

◆荒井武志

 

 手話言語理解につきましては、本当に小さいことからでもつないで、つないでやっていかなきゃいけないと思います。それぞれの地域における取り組みが一層進みますように私からもお願いをさせていただきたいと思います。
 次に、農林業の振興についてであります。
 来年度は、意欲ある農業者の目標たる夢の実現と人と人との交わりによる農村の新たな活力の創出を目指した第2期長野県食と農業農村振興計画の仕上げの年と承知しておりますが、食っていける農業にしていくためにも、いかに付加価値を高めていくのかが重要であると思うところであります。その取り組みの重要な一つと言える6次産業化のさらなる推進が求められていると思うわけであります。
 また、鳥獣被害対策についてですが、狩猟者への支援とともに、侵入防止柵の設置支援など、関係地域の皆様には大変ありがたいと喜びの声を耳にするところですが、松くい虫被害木や強度な風雪による倒木で施設を損壊している現状がままあるようであります。これらを修復する費用への支援など、しっかり充実、拡大していくべきと考えます。
 そこで、農政部長にお伺いします。
 一つに、経営状況を含め、6次産業化への取り組みの現状はいかがでしょうか。また、部長の議案説明で、6次産業化について、事業者に対する支援を効果的に進めるとしている今後の支援方策は具体的にどのようなものなのでしょうか。
 二つに、侵入防止柵の修復費用への支援の現状と支援策の充実拡大に向けてはどのように考えておられるでしょうか。
 次に、林務部長にお伺いします。
 林業振興に関しましては、戦後植栽された木々が大きく成長し、これらの利活用が今まさに求められております。森林県から林業県への飛躍に向けて、素材生産活動の効率化や信州カラマツを中心とした県産材の需要拡大を重点に取り組みを強化していこうとされています。
 一つに、なりわいとしての林業を確立していくために目指すべき方向性をどのようにお考えでしょうか。
 次に、相当額が使い切れていない森林税のあり方についてお伺いします。
 既に森林づくり県民会議でも議論が進められていますが、一つは、2期9年間取り組んできた森林税の課題は何であるとお考えでしょうか。
 二つに、国が進めようとしている森林環境税との整合をどのように考えていくのでありましょうか。現在、地方税制研究会でも検討が始まったと聞いておりますけれども、森林をどう生かしていくのかなどの観点での検討も必要ではないかと思います。研究会での議論の現状について総務部長にお伺いいたします。
      

◎農政部長(北原富裕)

 

 農業振興についての御質問に順次お答えをいたします。
 初めに、6次産業化の取り組みの現状と今後の支援方策についてですが、国が認定する6次産業化総合化事業計画の認定件数は本年1月末時点で93件となっており、認定事業者に対して、商品力向上研修会による魅力ある新商品づくりなどへの支援や専門家の派遣による計画策定、商品開発、販路開拓など、一貫した支援を実施してまいりました。
 一方、認定事業者のうち、販売目標額が1億円以上の事業者は15%程度にとどまり、多くが小規模で零細な経営となっております。今後、他産業との連携や資金調達方法の改善などにより、規模の大きな事業体を育成することが重要と認識しております。そのため、食品企業の製造施設等で体験実習を行う機会の提供、信州6次産業化推進協議会の6次産業化推進員と県内金融機関が連携したファンドの活用や、農業者と2次、3次事業者とのマッチングなどを効果的に進めまして、より規模の大きな事業体を育成してまいりたいと考えております。
 次に、鳥獣被害対策の侵入防止柵の修復への支援についてですが、侵入防止柵の壊れた部分の修復を初め、維持管理に要する経費については、国、県、市町村が支援する中山間地域等直接支払交付金や多面的機能支払交付金の活用が可能となっております。平成27年度は県内71市町村において、中山間地域等直接支払では約370集落、多面的機能支払では約200組織で交付金を侵入防止柵の維持管理などに活用しております。
 今後、これら制度を有効活用していただけるよう制度の一層の周知を図り、侵入防止柵の維持管理、修復が円滑に実施されるよう支援してまいります。
 なお、豪雨、豪雪などによる大規模な損壊につきましては、被害状況に応じ、国の鳥獣被害防止総合対策交付金の活用が可能となっております。
 以上でございます。
      

◎林務部長(池田秀幸)

 

 林業の振興についての御質問でございます。
 初めに、なりわいとしての林業を確立していくための目指すべき方向性に関する御質問でございます。
 議員御指摘のとおり、収益性を確保し、自立型の林業構造に転換を図っていくことは、本県が森林県から林業県へ飛躍するための最重要課題と認識をしております。なりわいとしての林業を確立していくためには、県産材の需要拡大を図るとともに、生産段階での生産性を向上させコストを低減させることにより、森林所有者の所得を向上させることが必要となってまいります。このため、林地台帳の整備や伐採と造林を一体的に行う一貫作業システムの導入でありますとか、ICTを活用したスマート林業の実践などにより集約化、伐採搬出、運搬流通の各分野での生産性向上に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、県産材の需要拡大に向けましては、信州の木自給圏構築事業による地域ごとの強みを生かした付加価値の高い加工流通のモデルづくりや、林業総合センターの設備を強化し、特に品質にすぐれたカラマツの特徴を生かした新たな製品開発を進めてまいりたいと考えております。
 こうした施策の着実な推進により、本県の林業生産活動を活性化し山村地域における雇用を確保するとともに、森林所有者の所得を向上させられるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、森林づくり県民税の課題についての御質問でございます。
 森林づくり県民税を活用し、平成20年度から28年度までの9年間で約2万9,000ヘクタールの手入れがおくれた里山の間伐を進めてきており、山地災害を防止するなど、県民の皆様の安心、安全な暮らしの確保に一定の成果を上げてきたと考えているところでございます。
 他方で、現在未整備で残されている里山につきましては、所有が細かく、大きくまとめて整備を行うことが困難な状況となってきていること、森林税を活用した事業は多くが山の中で行われていることから、県民会議などにおきましても、負担をお願いしております県民の皆様から見ると実態がわかりづらく、取り組みの成果をもっと身近に感じていただけるようにするべきではないかといったような指摘を受けていることなどの課題が明らかになってきているところでございます。
 次に、国が進めようとしております森林環境税についての御質問でございます。
 昨年12月に発表されました与党の平成29年度税制改正大綱におきましては、市町村が主体となって実施する森林整備等に必要な財源に充てるため、個人住民税均等割の枠組みの活用を含め、都市、地方を通じて国民にひとしく負担を求めることを基本とする森林環境税の創設に向けまして、地方公共団体の意見を踏まえながら、具体的な仕組みなどについて総合的に検討し、平成30年度税制改正において結論を得るとされたところでございます。
 県といたしましては、国における新たな仕組みの検討状況等を念頭に置きつつも、森林づくり県民税の今後のあり方につきましては、まずは何を目的としてどのような事業を行っていくのか。そのためにどれぐらい財源が必要になってくるのか。さらには、その財源を超過課税という形で御負担いただくのは適切なのかといったことをしっかり検討していく必要があると考えております。
 以上でございます。
      

◎総務部長(小林透)

 

 地方税制研究会での議論についての御質問にお答えをいたします。
 先月27日に開催されました本年度第1回の地方税制研究会におきまして、大北森林組合が補助金不正受給事案の一部に森林づくり県民税が充てられていたことから、まずはこの事案における県の対応状況及び再発防止策が報告されるとともに、第2期における平成28年度までの事業の実施事業等が議論となりました。この中で、第2期の計画目標が未達成になる見通しであることや基金残高がふえ続けていること等が指摘され、次回以降、第2期での間伐計画目標の根拠などについて議論が行われる見込みとなってございます。この研究会と並行して、みんなで支える森林づくり県民会議でも検証が行われているところであり、議員御指摘の観点も含め、それぞれの議論についてその動向を把握してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
      

◆荒井武志

 

 お答えをいただきました。侵入防止柵の修復関係で地域では大変に困っているという話を先ほどお話ししたところでありますが、いろいろな活用策がある、制度があるというお話でございますので、ぜひその辺の周知をさらに徹底していただきますようにお願いをさせていただきたいと思います。
 次に、教育の振興についてでありますが、初めに第2次高校再編についてであります。さきの代表質問でも考え方を伺っているところでありますが、私からもお伺いをいたします。
 教育委員会では、昨年10月に学びの改革基本構想案を公表され、県議会での議論やパブリックコメントの実施、高校生や若手教員との意見交換、高校の校長会や教頭会など諸団体との意見交換を行ってきたと伺っているところであります。それらを踏まえた主要な論点が先ごろ示されました。具体的には、信州学の意義や全県一律実施への疑問、少人数学級の実施の要望、高校の枠組みの定義が曖昧、中山間地校の学びについて、都市部校の規模についてなどでありました。
 そこで、以下、教育長にお伺いします。
 一つは、各教科の基礎的、基本的な学びは、中山間地校と都市部校にかかわらず全ての高校で共通して展開すべきものとしており、私もそのとおりと思います。そんな認識がありながらも、中山間地校と都市部校の二極に分化し取り組もうとしていることに違和感を感じているところであります。何ゆえ二極に分化するのでしょうか。改めてお尋ねさせていただきます。
 二つに、学年別クラス数の考え方についてです。
 これまでは、一貫して6学級が望ましいとされてきたと思うところでありますが、方向では、規模の大きさを最も生かせる8学級規模の学校の設置も目指して検討を進めるとしていることについて、生徒数が減少状況の中で、なぜと思わざるを得ません。考え方をわかりやすく御説明ください。
 次に、信州学についてですが、みずから生まれ育った地域を理解し、その課題について考える学習の機会を与える信州学は、私も大切なことと承知しております。
 ただ、主要な論点では、その内容について各校独自に定めていくべきものと考えるとしているわけで、それでは信州学とは一体何なのかと問い直さざるを得ません。信州学という以上、一定の基本事項のもとに各校独自の取り組みがあるべきと考えます。これが信州学であると端的に御説明をいただきたい。また、これまでの成果と課題は何であるとお考えでしょうか。
      

◎教育長(原山隆一)

 

 学びの改革基本構想案に関連して御質問いただきました。
 まず、中山間地校と都市部校を設けることの理由についてでありますが、学校がどこに立地していようと、全ての県立高校は学習指導要領にのっとった教育課程を展開しておりまして共通した学びの内容は保障されるわけですが、その上で、義務教育を終了した生徒に対してみずからの進路や生き方を見据えた多様な学びの選択肢を提供することが大切であり、学校規模や設置されている学科などによりましてそれぞれの学校の特色や強みを生かして新たな社会を創造する力を育むことが重要であるというふうに考えております。
 これらのことを大前提とした上で、少子化にどう対応するかということでありますが、少子化のさらなる進行に対して現状の高校数のまま推移すれば全ての高校の規模が縮小することは必至の状況でありまして、学びの質の低下が危惧されているところであります。
 一方で、中山間地が多く県土が広い本県の地理的特性を考えると、都市部にも中山間地にも高校が存立し、それぞれの高校においてこれまでの学びから転換した新たな学びを全ての子供たちに保障することが望ましいというふうに考えております。そこで、今回の学びの改革基本構想案では、都市部校と中山間地校という新たな枠組みを導入したところでございます。
 8学級規模を最適化基準というような根拠でありますけれども、第1期の再編計画では、学校の適正規模について1学年6学級を標準とし、2から8学級の間で設定というふうにしておりますが、本県の地理的特性を踏まえた言及がなかったところであります。これについての検証を平成27年度に長野県高等学校将来像検討委員会で行い、それを踏まえて、今回の学びの改革基本構想案では、都市部校と中山間地校という新たな枠組みを導入したところであります。
 都市部の普通校の学級規模につきましては、パブリックコメント等の御意見を踏まえて、2月の教育委員会定例会において、「6学級以上の規模が望ましく、規模の大きさを最も生かせる8学級規模の学校の設置も目指して検討する」としたところでありますけれども、8学級規模の学校が規模の大きさを最も生かせるというふうにした点につきましては、現行の法律に基づき教員を配置すると、例えば理科では8人から9人の教員を配置でき、物理、化学、生物、地学の全ての分野で専門性を有する教員から学ぶことができる環境が整い、そして、それぞれの分野の発展科目も100%開講が可能であると。あるいは、規模が大きくなることで、生徒が希望する多様な活動も可能となり、クラブ活動、クラスマッチ、文化祭等が一層活性化することなどをその理由としてお示ししたところでございます。
 最後に、信州学の捉え方とこれまでの成果と課題についてでありますが、信州学は、地域に根差した探究的な学びの総称でありますけれども、その狙いは、生徒が自己のアイデンティティーを確立する上で重要なバックグラウンドとなる信州というものの価値を客観的な視点から捉え、新たな価値を発見したり、創造、発展させたりする、そうした探究的な学びを通じて、新たな社会を創造する力を育成しようとするものであります。
 最近の具体的な事例で申し上げますと、松本県ケ丘高校の1年生がリーサスを活用し、ビックデータに基づいて本県の人口減少や耕作放棄地等についての実態を客観的に分析した上で、課題解決の方策として、信州の伝統食である昆虫食の価値を再発見し、さらにそれをサプリメントという形に発展させたビジネスモデルを提案しましたところ、内閣府主催の地方創生政策アイデアコンテストにおきまして、全国213件の応募の中から満場一致で最優秀賞を得たということがございます。県内各地の高校で、地域というフィールドを生かしたさまざまな取り組みが始まりつつあるというふうに承知しております。
 一方で、こうした探究的な学びを進めていく教員の指導力をさらに高めていくことが課題でありまして、今後は、有識者や教育関係者からなる信州学推進委員会を設置するなどいたしまして研究を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 以上であります。
      

◆荒井武志

 今、昆虫食の話がございましたが、実は私、「こんにちは県議会です」でたまたまそのグループにおりまして、本当にすばらしい発想だなと、こういうふうに思ったところであります。この地域のこれまでのよさをこれからも生かせるように、地域の中でぜひ取り組まなければいけないと、こういうふうに思ったところであります。ありがとうございました。