平成28年6月定例県議会 発言内容(山岸喜昭議員)


◆山岸喜昭

   

 おはようございます。順次質問に入ります。森林資源の育成について伺います。

 未来に向けて森を守り育てる「ひと ゆめ みどり」、美しいふるさとが将来に継承することを願い、「信濃から 未来へつなぐ 森づくり」をテーマに、第67回全国植樹祭が本県で開催され、多くの県民が参加し、県民植樹祭が開催されました。

 天皇皇后両陛下御臨席のもと、信州から森を育てる心、森林資源を次世代につなぐと、決意も新たに発信することができました。関係された皆様には感謝と敬意を表するところでございます。

 本県の民有林では、昭和20年代からカラマツ、スギ等針葉樹の一斉造林が進められてきました。その結果、現在では成熟期を迎えている50年生以上の高齢林が全体の62%、およそ20万6,000ヘクタールを占めるようになり、偏った齢級構成になっております。これは、長野県だけに限った話でなく、全国的に同じような傾向にあります。そのため、平成28年5月に閣議決定された森林・林業基本計画においても、主伐後の再造林対策の強化などにより森林資源の循環利用を進め、林業の成長産業化の早期実現を図るとしております。

 また、本県においても、平成23年度から平成32年度までの10年間の長野県森林づくり指針の中で、計画的に主伐、再造林を行い、偏った齢級構成を平準化して持続的に資源を利用できる状態にすることとしております。

 しかしながら、本県の現状では、主伐が一向に進んでおりません。20年生以下の林分は全体の0.6%、およそ2,000ヘクタールしかありません。このまま主伐が実施されなければ、再造林も進まず、林齢の平準化はできないのではないでしょうか。

 北海道、岩手県では、先進的に平準化に取り組んでおり、着実に主伐、再造林の成果があらわれ、生産量に差が出ていますが、本県の現状をどのように理解しているのか。今までの間伐主体の保育施業から計画的な主伐、再造林へシフトしていかなければ、子供や孫たちの世代へ森林県長野の持続可能な循環型資源を引き継ぐことはできません。今や、植えるために伐採する新たな時代に突入しているのではないでしょうか。

 平成27年、佐久管内においては、伐採が595ヘクタール、植栽については61ヘクタールとなっており、1割しか植栽されず、この20年間ほとんど再造林が行われておりません。今となっては、この20年はもう取り戻せません。

 この主伐、再造林がおくれている要因としまして、幾つかの課題があると思いますが、その一つとして、造林事業は間伐が90%を占め、皆伐されてこなかった点、だから再造林が進んでいない。農作物は1年周期であるが、森林は50年から60年、80年かかりサイクルが長いわけであります。

 今こそ、森林資源の循環利用を進めるために、植えて育てて利用する森林・林業のサイクルを取り戻していかないと長野県林業の未来はないと思いますが、森林資源管理のあり方から、主伐、再造林についてどのように進めていくのか。

 また、再造林を進めるに当たっては、苗木を安定的に供給する体制づくりが非常に重要となってきています。そのためには、優秀な母樹林の育成管理、優良な苗木を育てるための苗畑の確保、そして、高度な知識と技術を持つ後継者の育成が急務であると思いますが、現在の母樹林の状況、苗木の生産者数や年齢構成、苗畑面積等を踏まえ、具体的な施策はされているのか。

 以上、林務部長にお聞きします。

  

◎林務部長(池田秀幸)

 

 森林資源の育成についての御質問に対しまして、順次お答えいたします。

 初めに、本県の主伐、再造林の現状についてのお尋ねでございます。

 長野県の森林は、その多くが戦後植栽され、先人たちのたゆまぬ努力により、現在、伐採して利用できるまでに育っております。森林資源の充実を背景として、本県の素材生産量は平成27年には44万8,000立方メートルとなり、平成21年の約30万5,000立方メートルと比べまして大きく増加をしてまいりました。

 一方で、議員御指摘のとおり、本県の森林資源は高齢級に偏っており、主伐、再造林による平準化に取り組むことが重要と考えております。

 しかしながら、本県の民有林における再造林につきましては、平成24年以降増加傾向ではありますものの、年間220ヘクタール程度にとどまっております。去る6月5日に第67回全国植樹祭を開催いたしましたが、この開催理念に掲げました「植えて・育て・利用する「森林・林業のサイクル」」を実現し、本県が林業県として飛躍すべく取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、今後の主伐、再造林の進め方についてのお尋ねでございます。

 伐期を迎えた人工林につきまして主伐、再造林を進めていくことは、長野県において、素材生産量の拡大や将来にわたり持続的に森林資源を活用していくため、欠かせないものと考えております。一方で、伐採後に植栽など適切な更新が行われない場合、森林資源の循環利用が進まないばかりでなく、山地災害の発生リスクが増加することなども懸念されております。

 こうしたことから、県では、適正な更新技術や方法への理解を広めつつ、森林資源の積極的な活用を進めるため、平成27年3月に「皆伐施業後の更新の手引き」を作成をいたしました。また、本年5月には森林法が改正され、森林所有者に対しまして伐採後の造林状況の報告が新たに義務づけられたところでございます。

 県といたしましては、手引きの普及などを通じ、森林所有者や林業事業体とともに適切かつ計画的な主伐、再造林を推進することにより、森林・林業のサイクルを取り戻すべく取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、林業用苗木の安定供給に向けた施策についてのお尋ねでございます。

 現在、県では、良質な種子を苗木生産者に安定供給するために、県下10カ所、約34ヘクタールの母樹林を設置しておりますが、母樹が高木となり、約半数の母樹で種子の採種が困難となっております。このため、今後苗木の需要がふえた場合、特にカラマツの種子が不足するおそれがあることから、平成27年度から新たな採種園の造成や採種可能な母樹をふやす既存採種園の改良などを開始したところでございます。

 林業用苗木の生産は、現在、約14ヘクタールの苗畑で、20代1名、40代4名、50代8名、60代以上23名の合計36名が行っておりまして、徐々に生産者の高齢化が進んでおりますが、生産意欲を持つ後継者の参入等も見られるところでございます。

 県といたしましては、今後の主伐、再造林の増加に伴う需要増に対応した生産技術の継承と生産量の増加が必要と考え、苗木需要の情報を生産者に的確に伝えるなど、苗木不足が生じないよう計画的な生産拡大に対して積極的に支援をしてまいりたいと考えております。

 また、1年を通して植栽が可能なコンテナ苗木の需要の増加に対応するため、今年度、国庫補助事業を活用いたしまして、苗木生産者が行う基盤整備事業に助成を行うこととしております。

 今後とも、関係する皆様との連携を一層密にし、林業用苗木の安定供給に努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

◆山岸喜昭

 

 育成の支援につきましては、ぜひ支援をしていただきたいと思います。

 続きまして、しなの鉄道の駅、車両の整備についてお伺いいたします。

 しなの鉄道は、平成9年10月開業以来、来年で20周年を迎えます。沿線住民の生活路線として重要な役割を果たすとともに、沿線の個性的で魅力的な観光スポットへは多くのお客様が訪れ、新幹線で本県を訪れるお客様の2次交通として、本県と大都市圏とを結ぶ上でも重要な役割を担っています。また、平成27年には、北しなの線として長野―妙高高原間が新たに開業したところであります。

 輸送人員の推移を見ますと、平成10年度は年間1,224万人、平成22年度は沿線人口の減少により年間998万人と1,000万人台を割り込みましたが、翌23年度は年間1,004万人に回復し、以降は経営目標であります1,000万人を確保し、平成27年度においても、しなの鉄道1,081万人、北しなの線453万人の利用となっております。

 この間、しなの鉄道では、観光列車ろくもんの導入やラッピング車両、イベント列車の運行などいろいろな企画に取り組み、利用者の確保に向けた努力に努めていることは評価をするところであります。

 しかし、沿線の高齢化が進み、バリアフリー法も施行される中、これまで、ホーム段差の解消やエレベーター設置を進めてきていると思いますが、現在の状況について、企画振興部長にお聞きします。

 来年には、JR6社と連携し、信州DCキャンペーンが展開されます。ことしはプレDCとしてPR活動や受け入れ態勢の整備を進めていますが、山岳高原、山、アウトドア、健康長寿など、地域の魅力を高め発信することによる滞在型、周遊型観光の推進が期待されるところであります。また、急増する外国人旅行者の誘致に向けた積極的な取り組みにも大いに期待をするところであります。

 しなの鉄道沿線は、軽井沢を初め本県を代表する観光地が点在し、最近では海外からの旅行者が多く乗車されるのがよく見受けられます。しかしながら、間もなく開業20年を迎えようとしているしなの鉄道には、いまだに車両にトイレが設置されておりません。対応は、各列車でトイレが設置されていない旨を車内アナウンスをするなど、トイレ運用の中止を利用者に理解と協力を求めているのが現状であります。

 先般、6月10日に、一番混雑する時間帯の長野発午後6時、小諸行き6両編成、300人乗車、午後7時15分ごろ、小諸―滋野間にて踏切人身事故が発生しました。人身事故の発生は、現場検証が終わるまで運休、車両外に出ることはできません。運転再開は午後9時33分、現場検証には2時間以上かかり、ダイヤが乱れ、運休と大幅なおくれが発生しました。事故の通報を受け、小諸駅では、急いでポータブルトイレを現場まで持ち込んだとお聞きします。

 また、野生動物等の接触事故もよく聞く話であり、地域の要望が大変多いトイレの問題は早急な対応が必要と考えますが、いかがですか。

 沿線の人口の減少や車両や設備の老朽化など大きな課題があることはわかりますが、であればこそ、交流人口の増加を進め、日本一のおもてなし県を発信するには、利用者の利便性向上策としてしなの鉄道車両にトイレの設置が必要であると思うが、この課題につきましては何年も何回も議論されておりますが、知事の見解をお聞きします。

      

◎企画振興部長(小岩正貴)

 

 しなの鉄道に関する御質問にお答え申し上げます。

 まず、ホーム段差の解消についてでございます。

 軽井沢駅から篠ノ井駅までのしなの鉄道線につきましては、平成14年度から順次ホームのかさ上げ工事を実施しております。その結果、平原駅、西上田駅を除き、全ての駅でホームの段差が解消されております。

 一方、昨年開業しました北しなの線につきましては、いまだホーム段差が解消されていない状況であります。この北しなの線につきましては、ステップ高の低い飯山線の列車が乗り入れているという事情もございますことから、今後具体的な対応策を検討していく予定と承知しております。

 次に、エレベーターの設置についてでございます。

 バリアフリー法に基づく国の基本方針では、1日当たりの平均的利用者数が3,000人以上の駅につきまして、平成32年度末までにエレベーター設置等により段差の解消を図ることとされております。

 しなの鉄道におきましては、既にエレベーターが設置されております上田駅に加え、今年度中には屋代駅、来年度中には小諸駅に設置される予定であり、平成32年度末までにはバリアフリー法の対象となる駅全てで整備されるものと承知をしております。

 以上でございます。

 

◎知事(阿部守一)

 

 しなの鉄道の車両トイレについての御質問でございます。

 しなの鉄道は、通勤通学の足として、あるいは観光客の足として、地域に大きな役割を果たしているわけでありますが、さらにサービスの向上に努めていただくということは、大変重要だと思っております。

 このトイレの問題は、これまでも県議会で御質問等をいただいてきた経過があるわけでありますけれども、車両トイレ使用に当たっては幾つか課題がございます。汚水処理施設の確保が必要であること、建設する場合には、しなの鉄道の試算では億単位の初期投資が必要であること、また、JR側の施設を利用する場合には十分な調整が必要になって、今JRと調整している限りでは、なかなか今の現有施設の対応でJRが受け入れられるような環境にはないというふうにも聞いております。また、長年使っていなかった車両トイレについては改修も必要になってくるということでさまざま課題がありますし、今後車両更新の時期も迎えてまいりますので、そうしたこととの兼ね合いも必要だというふうに考えております。

 新社長玉木氏が就任されて、新しい視点でしなの鉄道の経営改革に取り組まれるわけでありますけれども、このトイレの問題は、私もサービス向上という観点では極めて重要な課題の一つだというふうに思っております。

 最終的には、もとよりしなの鉄道の経営判断の問題だというふうには考えますが、現在、将来的な設備投資計画の策定を検討しているというふうに伺っておりますので、その中で、この車両トイレの設置については前向きに検討いただくように要請をしていきたいというふうに考えております。

 以上です。

 

◆山岸喜昭

 

 車両更新の時期が来ているという御答弁でございます。

 6月15日に新たにしなの鉄道の社長に就任されました玉木社長は、沿線住民の声に耳を傾け、リスクマネジメントの観点、また新鮮な五感と柔軟な発想、行動力を発揮すると言われております。早期実現を要望いたしまして、質問を終わります。