平成28年6月定例県議会 発言内容(荒井武志議員)


◆荒井武志

   

 信州・新風・みらいの荒井武志でございます。

 初めに、林業の振興についてであります。

 まずは、大北森林組合等の補助金不適正受給事案についてお尋ねいたします。

 県は、去る6月10日に本定例会に提案する補正予算を決定し、その際、今回の事案に係る国庫補助金返還等への対応を公表しました。私は、昨年度、農政林務委員長としてこの問題の全容解明やその後の対応について調査を行ってきたところですが、国庫補助金の返還は、今回の事案に関し、大きな節目になるものと考えております。そこで、本事案に対する県の対応について順次お尋ねいたします。

 一つに、県は、これまで、今回の事案に関し厳正に対応を行ってきたとのことですが、具体的にはどのようなことに取り組んできたのでしょうか。林務部長に伺います。

 二つに、本定例会には約11億5,000万円の国庫補助金の返還額等を計上しましたが、これはどのように金額を算定したものなのでしょうか。さらに、なぜこのタイミングで計上することとしたのか。林務部長に伺います。

 三つに、県は大北森林組合等に約9億7,000万円の返還請求を行っているとのことですが、これに対し組合は、何年かかっても返還するとし、5月末の組合総代会において返還計画を立てられました。しかしながら、この計画期間は50年間と大変長期にわたるものであり、長過ぎるのではないかと考えております。そして、マスコミ報道によれば、県は16日に、この返還計画は現状では認められないとして大北森林組合に対し経営改善を求めたとのことですが、県は、返還計画期間の短縮を含め、どのように組合を指導していくお考えですか。林務部長に伺います。

 四つに、約11億5,000万円の国庫補助金の返還について、その財源の多くは大北森林組合からの返還金となっており、当面は県が立てかえるような形をとりながら国へ返還することにもなるものと思います。多額の国庫補助金を返還することにより、他の実施すべき施策が取りやめになるなど影響が生じているのではないかと推察しますが、いかがでしょうか。多額の返還金を一時肩がわりすることについて、県としてはどのように対応していくお考えですか。総務部長に伺います。

 五つに、県の負担を極力小さくするため、法令に基づき必要となる国庫補助金の返還等については早期に対応せざるを得ないという県の考えは理解できますが、今回の事案では、大北森林組合による意図的な不正が原因とはいえ、不適切な現地調査等県側の問題も大きかったと考えます。大北森林組合に対する損害賠償請求等により可能な限り公費の回復を図ることはもとより、県としても経費を徹底して削減し、県民にツケを回さないよう取り組むことは大変重要なことと思います。その中で、職員のしごと改革を通じ、人件費削減や職員の努力により収入を確保するなどに取り組むようですが、職員の採用抑制など将来へのツケ回しがあってはなりませんし、やみくもな労働強化があってもいけないと考えます。具体的にはどのような取り組みを想定しているのですか。総務部長に伺います。

 

◎林務部長(池田秀幸)

 

 大北森林組合等の補助金不適正受給への対応に関する御質問に対し、順次お答え申し上げます。

 最初に、今回の事案に対しての取り組み状況についてのお尋ねでございます。

 大北森林組合等の補助金不適正受給に関しましては、有識者によります検証委員会を設置いたしまして、事案について詳細な検証をいただき、その報告を踏まえ、厳正な対応を行ってまいりました。

 まず、事案に対する刑事責任につきましては、大北森林組合及び元専務を補助金適正化法違反で刑事告発いたしましたが、両者とも同法違反で起訴をされ、その事実を認めるに至っているところでございます。また、関係しました県職員の責任の明確化につきましては、県職員25名に対し、停職、減給等の懲戒処分等を行うとともに、元職員1名に対しましては、退職手当を返納させる処分を行いました。

 不適正に受給された補助金につきましては、公費の損失回復を図るため、大北森林組合等に対し、一部今後請求するものも含め、法的に最大限可能な約9億7,400万円の補助金返還請求を行ってまいりました。さらに、補助金返還請求に加え、大北森林組合及び元専務の不法行為により県に生じた損害につきましては、民法上可能な限り損害賠償請求を行ってまいります。

 次に、国庫補助金の返還額等についてのお尋ねでございます。

 金額の算定につきましては、国に対して、これまで個別の不適正受給案件につきまして県が行った調査の結果を1件1件説明してきたところでございますが、国が県に対して補助金の交付決定を取り消し、返還命令を行う金額を県として見込める状況となりました。

 加えまして、国が補助金の返還を命ずる際に、補助金適正化法第17条第1項で交付決定を取り消される場合には、年率10.95%の加算金が課されることとなります。これらを踏まえ、関係法令に照らし、県として事業費等の返還金を約7億9,900万円、加算金を約3億5,400万円と算定したものでございます。

 現時点では、国からの返還命令は出されてはおりませんが、加算金によります国庫返還額等の増加を極力抑制するために、国から返還命令後直ちに国庫補助金の返還を行う必要があると考え、本定例会において補正予算案をお願いしたところでございます。

 次に、補助金等返還計画に係る森林組合指導に関するお尋ねでございます。

 大北森林組合が5月末の総代会におきまして策定した補助金等返還計画につきましては、従来の事業の延長線上で作成をされており、返済期間が長期に及ぶことから、組合に対して見直しを求めてきたところでございます。

 大北森林組合では、県の指導を受け、既に役員報酬の辞退や返還期間の短縮に取り組むことを理事会で決定をし、公表をしたところでもございます。

 提出のありました補助金等返還計画は、その実現性、確実性の観点から精査が必要と考えられますので、組合に対しまして、役員の責任の明確化、新たな発想による事業展開、徹底した管理費の削減、増資等による経営基盤の安定化などの観点から、経営改善を抜本的に進め、計画を見直すよう文書で通知したところであり、引き続き大北森林組合に対しましては厳しく指導してまいります。

 以上でございます。

 

◎総務部長(小林透)

 

 御質問に順次お答えをいたします。

 まず、補助金返還の影響と県の対応についてでございますが、今回の返還金は、11億5,000万円余と極めて多額であると真摯に受けとめているところであり、6月補正予算において計上させていただいているところでございますが、この予算案において、一般財源として前年度からの繰越金を計上することで対応し、財政運営上直ちに支障が出るものとは考えてございません。

 また、その返還の対応に当たっては、林務部長から御答弁いたしましたとおり、組合からの返還金及び組合や元専務理事への損害賠償請求分を財源に充てることを基本とし、補助事業者に対して法的に最大限可能な9億7,400万円の補助金返還請求を行っているところでございます。組合及び元専務の不法行為により生じた損害については、民法上可能な限り損害賠償の請求を行ってまいります。

 それとともに、損害賠償請求を行うことができない不用萌芽除去や指導監督費の4,500万円に関しましては、懲戒処分対象職員の給与減額等の1,900万円に加え、旅費、その他の事務的経費の削減により、平成29年度までの2年間で対応いたします。

 さらに、指導監督の不備による加算金約3億5,400万円については、二度とこうした事案を起こさないという決意でしごと改革を断行し、加算金相当額以上の人件費を平成30年度までに削減いたします。

 また、組合に対しては、早期の補助金返還を強く求めているところでございますが、現時点においては、組合からの返還が多額で相当の期間を要すると見込まれることから、林務部のみならず、全ての職員が今回の事案をみずからの問題として捉え、県組織全体として業務の進め方やルールの見直しを通じた人件費削減など徹底したしごと改革を断行し、さきに述べました経費削減にとどまることなく、さらなる県費の削減及び収入の確保に取り組んでまいります。

 次に、しごと改革による取り組みでございますが、ただいま申し上げましたように、今回の事案を契機として、積極的に仕事のやり方、働き方を変えていくしごと改革に徹底して取り組み、自律的に行政コストを削減することとしております。それとともに、こうしたしごと改革が労働強化や過重負担ということにならないよう、職員にとって働きやすい職場づくりにも取り組んでまいります。

 具体的な取り組みといたしましては、各部局、地方事務所ごとに設置したコンプライアンス委員会を中心に、7月中に全庁一斉に業務の棚卸しを行いまして、会議の見直しやICT活用を通じた事務の効率化、経費の節減等を検討し、進めてまいりますとともに、1時間早く出勤し早く退出するという朝方勤務やテレワークの活用など、個々の職員のワーク・ライフ・バランスに配慮した働き方の改革などを進めることで人件費の削減を図ってまいります。

 以上でございます。

 

◆荒井武志

 

 答弁をいただきました。

 しごと改革は日常ふだんから行うことが重要でありますし、そういう観点でいけば、なかなかこれまでの仕事から方向転換するというのは難しい部分もあろうと思います。その辺を職員との理解を深める中で取り組んでいただきたいと、こういうふうに思います。

 それから、組合からの補助金返還に関しましては、償還期限等が年次ごとに定まると思いますが、それを年度ごとにしっかりチェックをする、これが重要だと思っております。

 一方で、森林が県土の8割を占める本県において、森林・林業行政の停滞は許されるものではありません。事案の再発防止を含め、今後の森林・林業行政をどのように進めるお考えか。知事にお伺いいたします。

 また、現在5年間の時限措置で取り組んでいる森林づくり県民税については、来年度平成29年度限りで第2期の終期を迎えることになりますけれども、1期目の税制度をどうするのかという再検討に当たっては、最終年度前年の平成23年8月以降議論を始められたと承知しております。そのことを参考にするならば、そろそろ今後のあり方を検討し始める時期ではないでしょうか。

 そこで、林務部長に伺います。

 これまでの森林税の実績や課題をどのように評価しておりますか。また、今後の森林税の方向性についてどのように取り組んでいくお考えでしょうか。お尋ねいたします。

         

◎知事(阿部守一)

 

 大北森林組合の事件を受けての再発防止に向けた取り組みという御質問でございます。

 今回の事案は、組合が元専務の主導のもとで、主体的、能動的な不適正申請を行ってきたということに最大の要因があるわけですが、県側としても、指導監督の不備等多くの問題があったということで、このことについては重く受けとめなければいけないというふうに思っております。

 6月10日の部局長会議においても、こうしたことについて、これは林務部の問題ではありますけれども、とはいえ全庁的に問題意識を共有してほしいということで、各部局長の皆さんにも私から直接お願いをしております。

 行政経営理念が掲げているビジョンとは全く対極の出来事だというふうに思っておりますし、本当に1円たりとも軽視せずに、県民の皆様方からお預かりしている税金をどう有効に使うのか、無駄はないのか、そういう観点で、改めて各部局徹底した取り組み、今回、義務的経費の削減、人件費の削減に取り組んでいこうということで方向づけしたわけでありますけれども、いま一度、改めて我々が税金によって仕事をしているということをしっかり共有をさせていただいたところでございます。

 そういう中で、林務部におきましては、二度とこうした事案を起こさないという決意のもと、林務部の意識改革あるいはしごと改革を進めてきているところでございます。具体的には、例えば施工地ごとの写真添付の義務化でありますとか、原則2人体制での現地調査など、補助金交付に当たっての調査を厳格に行うようにしてきております。また、森林組合に対する県の検査につきましても、公認会計士の同行を求めるなど、検査体制をこれまで以上に強化をさせていただいております。

 また、不適正が発生した事業だけではなく、林務部の事務事業全般に対象を広げまして、不要不急の業務、あるいは非効率な業務の進め方の見直しなど、林務部のしごと改革に現在取り組んでいるところでございます。

 議員御指摘のとおり、こうした改革は進めつつも、他方で、森林・林業行政が停滞することのないように取り組んでいきたいと思っております。

 特に、今回の事案を通じまして、林業経営の置かれた状況に対応した経営改革の必要性等森林組合の経営の課題も浮き彫りになったと考えております。林業の中核として森林組合が果たすべき役割は大変大きいというふうに考えております。森林組合の経営改革等を通じまして、本県の森林資源を最大限活用し、林業を地域を支える産業として育てていきたいと、県としても最大限の支援をして、森林県から林業県への脱皮を目指していきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

 

◎林務部長(池田秀幸)

 

 森林づくり県民税の実績や課題に関する評価と今後の検討方法に関するお尋ねでございます。

 森林税の活用によりまして里山の間伐を重点的に実施し山地災害を防止するなど、県民の皆様の安心、安全な暮らしの確保やまきの利用促進や商店街の木質化など、間伐材の利用を通じた地域が森林づくりに継続して取り組む仕組みの構築、そして、さらには企業と地域が連携して森づくりを進める「森林(もり)の里親」の取り組み等による里山を活用した交流促進など、着実に成果を上げてきたものと認識をしております。

 一方で、里山整備を進めてきた結果、所有者が不明であったり、あるいは所有者が地域に不在である森林など、施業の同意の取得がより困難になってきていること、また、地域によっては、林業事業体が搬出間伐の実施を優先する中で、里山の整備まで手が回りにくい状況があることなどの課題があり、今後は、地域において里山の資源を総合的に利用することにより、自立的、継続的に里山整備や管理が進むよう仕組みの構築が重要であると認識をしております。

 森林税の今後のあり方につきましては、里山の利用について積極的な展開をしている市町村や、地域で活躍をされている団体の皆様との意見交換を行うとともに、地方税制研究会や森林づくり県民会議などの御意見を伺いながら、県民の皆様の御理解が得られるものとなるようしっかりと検討してまいりたいと考えております。

 

◆荒井武志

 

 答弁をいただきました。

 森林・林業行政の振興は、信州の清らかな水や防災対策上などからも極めて重要であります。しっかりとした取り組みが展開されますよう期待をするところでございます。

 次に、教育行政の推進についてであります。

 戦後70年を迎えた昨年、大戦終結直後の教育改革の柱となった教育委員会制度が大きく改められました。その一つは、教育委員の間から選ばれてきた教育委員長が姿を消し、首長が議会の同意を得て任命する教育長がその役割を兼務するというもの、もう一つが、知事が教育行政に直接意見を述べることができる場、総合教育会議の設置でした。

 長野県も、これらにいち早く取り組み、任命による教育長が誕生、本年4月からは原山教育長が新制度による2代目の教育長として長野県教育の進展を図るべくその先頭に立たれております。

 また、総合教育会議は、制度発足を先取りする形で一昨年10月30日に長野県総合教育会議を設置し、知事と教育委員会が円滑に意思疎通を図り、教育課題や目指す姿等を共有しながら、同じ方向性のもと、連携して効果的に教育行政を推進されているものと承知をしております。

 そこでお伺いいたします。

 一つに、年3回ほど開催してこられた総合教育会議の議論を踏まえて、制度発足以前と比べどのような点について効果があったのか。今後に向けてどのような議論の場にしていこうと考えておられるのか。招集者である知事にお伺いいたします。

 教育長には、去る5月26日の1回しか御経験がないところでありますが、前教育長からの事務引き継ぎなどを踏まえ、総合教育会議に関し、御所見をお聞かせください。

 二つには、長野県教育のあり方、方向性についてであります。

 第2次長野県教育振興基本計画では、「一人ひとりの学びが生きる教育立県“信州”の創造」の基本理念のもと、重点施策に「学力の向上」、「全ての子供の学びの保障」、「体力向上とスポーツの振興」の三つの柱を据え、それを支える信州教育の推進体制づくりを着実に整備していくとしていますが、これらを推進していくための施策展開について、教育長の御所見をお伺いいたします。

 三つには、人間力の醸成についてであります。

 私が日ごろ思っていることは、社会生活を送る上で大切なことは一人だけでは生きていけないということ、誰かとかかわりながら、誰かの力を受けながら生きている、皆とともに生きていくための努力が必要なんだということであります。

 あるところでこんなお話を聞かせていただきました。人間力とは何か。一つは、当たり前のことを当たり前にできる力。もう一つが、自分が何かしてもらってうれしいと思ったことを他人にやってあげられる力であるということでした。

 教育長は、新聞等へのコメントで、いつの時代でも子供たちにつけなくてはならない力は、社会に出て一人で生きていける力と、人間は助け合わなければ生きていけないということを心に深く刻みつけることと述べておられました。このような人間力を児童生徒に育んでもらいたいとつくづく思うところであります。家庭でのかかわりは当然として、学校や地域社会でどのように取り組んでこられたのか。今後どのように取り組んでいこうとお考えか。教育長にお伺いいたします。

 

◎知事(阿部守一)

 

 総合教育会議についての御質問でございます。これまでどういう点に効果があったのか、そして、どういう議論の場にしていこうとしているのかということでございます。

 まず、私の問題意識としては、この場でも何度か御答弁しておりますけれども、やはり同じ子供を対象とした施策が教育委員会と知事部局にそれぞれ分かれていると、その間の率直なやりとりがなかなか十分行われてきていなかったという現状に対して問題意識を持っておりました。

 そういう中で、2期目の知事就任に当たりまして、できるだけ早い時期に教育委員会の皆様方と同じテーブルで子供たちの教育を中心にどういう政策を進めていくかということを一緒に考えていきたいということで、法施行前の平成26年10月に、全国に先駆けて総合教育会議を設置して、教育委員会の皆さんとの対話を始めたわけであります。

 これまで6回会議を開催しておりますが、内容としては、各年度の教育施策の方針についての意見交換、それから、連携して取り組むべき子供の貧困対策、あるいは産業人材の育成確保、こうしたことをテーマにして会議を開催してきております。

 例えば、子供の貧困対策については、細かい実態把握、関係者と連携した支援体制の充実、こうしたことの必要性を共通認識したことに加えまして、特に教育委員の皆様方からスクールソーシャルワーカーの拡充について強い御意見をいただきましたので、今回、新年度予算においては、この増員を県議会の皆様方にお願いをさせていただいたところでございます。

 また、産業教育についてもやりとりをさせていただいておりますけれども、やはり教育と産業界がしっかり連携していくということが重要だということで、今回の予算の中でも、学びと働きを連結させた事業、地方創生の交付金を使った事業として御提案させていただいておりますけれども、これまで以上に教育委員会側と産業側、あるいは私ども知事部局との連携が深まってきているという状況でございます。

 また、前回のこの総合教育会議の場におきましては、県と市町村との総合教育懇談会のようなものを検討してはどうかということで意思疎通をいたしましたので、今後市町村とそうした方向で調整をしていきたいというふうに思います。

 私は、全ての会議がそうですけれども、単に意見交換して終わりということでは全く時間とお金の無駄だというふうに思っておりますので、そういう意味では、総合教育会議が、子供たちをあくまでも中心にしながらも、教育委員の皆様方と私ども知事部局とが問題意識を共有して、そして具体的な方向づけをする場として機能するように今後とも努力していきたいと考えております。

 以上でございます。

 

◎教育長(原山隆一)

 

 3点質問いただきました。まず、総合教育会議についてでございます。

 私自身、企画振興部長時代に設置当初の2回にかかわってきたこともありますし、また、前伊藤教育長からその重要性について引き継ぎを受けていたところでございます。

 教育委員会にとりましても、総合教育会議が、信州教育の充実に向けて、知事部局と教育委員会が共通の認識を持ち、さまざまな課題解決のために、連携のあり方や効果的な施策の進め方等について議論し具体的な方向づけをする場であることは、非常に有益であるというふうに考えております。

 困難を抱える子供たちに学びの保障を社会全体でどう確かなものとするか、また、大きな時代の変化に直面する状況で、未来を切り開く能動的な学びの力を地域や社会とのかかわり合いの中でどう身につけていくのか、そうした学びと社会について考えるという点でも、総合教育会議の役割は大変重要であるというふうに考えております。

 今後とも、総合教育会議を通じ、知事部局との連携を深め、教育施策の充実に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 2点目が、施策展開についてでございます。

 本年度は、現行の長野県教育振興基本計画の計画期間の終盤となりますことから、成果を上げることにこだわりを持って施策を推進することは重要であるというふうに考えております。そのため、目新しい柱を立てるのではなく、重点施策については昨年度と同じものを掲げ、継続的な施策展開により着実に成果を上げることとしております。

 今までの取り組みをより加速させるとともに、スクールソーシャルワーカーの大幅な増員、白馬高校への国際観光科の設置、信州学の拡大、科学の甲子園ジュニア全国大会の本県への誘致事業などの新たな取り組みも推進し、目標達成に向け全力を尽くしてまいる所存でございます。

 最後に、人間力の醸成についてでありますが、議員御指摘のような人間力を醸成する上で大切なことは、子供時代に対象と向き合い、五感を通して納得いくまで取り組む体験を積むことや、自分が生まれ育った地域を理解し、郷土に対する愛着や誇りを持つことであるというふうに考えております。それによって、子供たちは自己肯定感を高め、物事を途中で投げ出さずにやり抜く力や、自分を取り巻く世界に対する感謝する心を育んでいくというふうに考えております。

 本県には、地域の子供は地域で育てるという気風があり、各学校は、教育熱心な保護者や地域の人々に支えられ、日々の教育活動を行っているところでございます。本県の特性を生かして、県の教育委員会としても、信州型コミュニティスクールの導入を積極的に進めているところでありますが、これからも、学校での学びの充実に加え、地域社会につながる学びを一層推進することにより、将来の地域社会の形成者となる児童生徒の人間力を醸成してまいりたいと思っております。

 以上であります。

  

◆荒井武志

 

 総合教育会議でありますけれども、知事部局と教育委員会部局がしっかり連携をしていろいろな議論を交わす中で新たな取り組みを始めていると、こういうことで、今後もぜひそんな観点で頑張ってほしいと、こういうふうに思います。

 そしてまた、人間力でありますが、これにつきましては、ともに生きるとかともに生きていくという、そういう思いを子供たちにはしっかり着実につけてほしいと、こんなふうに思うところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。