平成28年2月定例県議会 発言内容(竹内久幸議員)


◆竹内久幸

   

 まず、子供の貧困対策について伺います。

 県では、県内におけるひとり親家庭の実態を把握し、ひとり親家庭の行政ニーズに対応するため、実態調査を行いました。この調査の中で、あわせて、ひとり親家庭の子供や児童養護施設、里親のもとで暮らす小学校4年生から高校3年生を対象に子どもの声アンケートを実施し、約4,700人から回答を得た結果を公表いたしました。

 アンケートの内容は、将来なりたい職業、将来行きたい学校、希望をかなえるのに必要なもの等ですが、私は、子どもの声自由記入を読み、心が痛み、締めつけられる思いをいたしました。そこには、貧困ゆえに将来への夢に不安を持っていることや、諦めることを受け入れざるを得ない現実、勉強への不安や悩み、いじめや学校での人間関係の悩み、先生への不信感、生活のため頑張っている母への思いやりなどが実直に書かれておりました。

 子供たちは、生まれ、生活する場所を選択することはできません。なのに、なぜこんなに苦しい思いをしなければならないのでしょうか。貧困家庭に育つことになった子供たちは、貧困ゆえに日常の生活が不自由にさらされ、将来の夢への希望を失っていく、そして、自分の生活を負い目に感じてしまったのか、学校では友達関係も崩れていくというイメージを想像してしまい、読むに従っていたたまれない気持ちになりました。

 子どもの声に寄せられた意見のうち、主な経済的なものについて少し引用をいたします。

 まず、小学生です。

 なりたい職業は塾の先生、カフェ。大学まで行けるか心配。中学はできればよいところに行きたいが、受験が心配。お母さんがお金ないし、水道代などを払うのにすごく困っているので心配。アレルギーを持っているので定期的に病院に行きたいが、病院代がなくて困っている。 なりたい職業、サッカー選手。僕はサッカーが好きでクラブに入りたいが、母子家庭で生活するのにも大変で、お金がないので入りたくても入れません。会費もユニホームもないところがあればいいなと思います。

 なりたい職業、医者、人助け。習い事をしたいができない。お金があれば、周りの子と同じで、夢はかなえたい。自分も頑張るが、お金は支援してほしい。

 なりたい職業、美容師。専門学校へ行くお金がない。

 次は、中学生の声です。

 なりたい職業、料理人。家族のこと、兄が自閉症なので、母が死んでしまったらどう生きていくか、兄をどう支えていけばよいか心配。

 なりたい職業、オーケストラ。お金がないから将来の夢はかなわない。お母さんが入院したとき、家にずっと一人でとても困ったけれども、誰も助けてくれなかった。もしお母さんが死んでしまったら、高校へも行けないと思う。お母さんは私の学校の用事で会社を休むと嫌な顔をされてしまい、すぐに会社をやめてしまう。かわいそうだから、学校に来なくてもいいように、参観日とか役員をなくしてほしい。

 なりたい職業、未記入。父の体が心配。仕事が忙しく、自分が負担になっていないか、お金は足りているか心配。

 なりたい職業、未記入。母がぐあいが悪くても会社に行くので体を壊さないか心配。母に何とかお金を払ってもらうのが申しわけない。

 なりたい職業、看護師。母が朝早くから夜遅くまで働いていて、母と話す時間がなくて寂しい。仕事が終わった後、母に話しかけても反応が薄い。

 なりたい職業、未記入。勉強は好きでそこそこできるほうだと思うので、大学へ進学したい。しかし、大学へ行くと、奨学金を借りても生活を苦しくさせると思うので、親に言えない。母は体が弱いので、離れることも心配。

 次は高校生です。

 なりたい職業、塾講師、美術系。大学に行きたいが、家の事情で短大がぎりぎりです。奨学金も、借りるまではいいですが、卒業した後返さなければならないというのがひっかかり、親が使わせてくれません。もう少し奨学金を見直してほしいです。

 なりたい職業、美術関係。母子家庭で、大学進学はしたいけれども、無理なのはわかっている。本当は進学したい気持ちはあるが、母には言わず、私は高校を卒業したら働くからねと言っている。

 なりたい職業、未記入。大学進学希望だが、お金がかかり諦めるしかない。貧乏が理由で高校、大学進学を諦めなければならない人を助けてほしい。

 なりたい職業、未記入。進学のこともそうだが、母子家庭という環境のせいで将来が決まってしまうのか。金銭的に厳しいということで、将来の選択肢が少なくなってしまうのか、怖い。 なりたい職業、栄養士。母子家庭だから自分で働いて学校に行っている。毎日が大変。姉も働きながら短大に行っているが、高校以上の学校に行くのは難しいので、私は高校までにするつもりだ。母子手当が18歳までなのはなぜなのか。

 なりたい職業、安定した生活ができる職業。先生は奨学金をもらってと簡単にいうが、奨学金はいつか返さなければならないから、簡単には考えられない。特待生も、ひとり親家庭ではなく、塾に行っているような人よりも成績が高くならないととれない。そうなれるお金も環境もない。夢がないと言われるが、夢を持っても何もならない。劣等感が大きくなり、消えたくなるだけ。劣等感に勝てる気がしない。長期休みになると母がどこかに行こうと言ってくれる。でも、どこかに行くのにもお金がかかり、そのお金を使わなければ少しはたまるのではないかと思う。息抜きのときでもそんなことを考えてしまうのが嫌だ。せっかく楽しませてくれようとしているのに、心の底から楽しめない。普通の生活がしたかった。

 なりたい職業、未記入。進学をしたかったが、お金がないというので就職の予定。どうしたら学校に行けるのか悩んだが諦めた。誰でも進学できるような日本になってほしい。

 ここに紹介した声はほんの一部ですが、多くの貧困家庭の子供たちが、夢を抱きながらも大学や専門学校へ進学を諦めざるを得ない現実があると思います。知事もこの子どもの声アンケートを読まれたと思いますが、どのように感じられたのか。まずお聞かせをいただきたいと思います。

 県では、この実態調査を踏まえ、新年度予算案に長野県子どもの貧困対策推進計画案を前倒しする形で、貧困家庭やその子供たちを支援する予算を計上していますが、私は、県が子供たちに将来への夢や希望を聞く実態調査を行った以上、財政の許す限り、とことんまで貧困の連鎖を防ぐため、子供たちの夢をかなえる対策を講ずるべきであると思います。

 その意味で、新年度予算に給付型奨学金等の充実、資格取得のための返還免除型貸付金の拡充、子供の居場所づくりの促進、ひとり親就職支援などの事業を新設したり、拡充していることを高く評価をするものであります。

 ただ、子どもの貧困対策推進計画案では、基本目標から見た「あるべき姿」で、「すべての子どもが学びたいことを学ぶことができる」とする姿に、今回の予算案で、特に大学進学についてどこまで向上させることができるのか、いささか心配になるわけであります。

 そこで、教育委員会が今年度から行っている県内大学進学のための入学金等給付事業の成績等の基準値を一定程度下げるとともに、支給人員30人程度の枠をさらに拡大すべきではないでしょうか。また、今回新設する県内大学就学のための奨学金給付事業についても、1年生30人程度としている定員をふやすべきではないかと思いますが、知事に御所見を伺います。

 次に、子どもの声アンケートに寄せられたいじめや教師に対する気になった声を幾つか引用いたします。

 まずは、いじめに関する小学生の声です。

 クラスに乱暴な男の子がおり、よくたたかれる。私物も盗まれる。けがをした際、本当かどうか疑われた。

 3年のときにいじめられて、とても嫌な思いをした。4年のときは違うクラスの人に悪口を言われている。

 クラスがにぎやか過ぎて授業が聞こえない。暴力や暴言等で友達が傷ついている。クラスに来られなくなっている人がいて悲しい。

 友達がばかと言ってきたり、先生と話をしているときうるさいと言ってきたりして悲しい。私の悪口を言って他の子とばかり遊んでいて、私はひとりぼっちでいる。

 次は中学生の声です。

 同じクラスには私をいつもチェックしているような嫌な子がいて楽しくないので、今学校へ行っていない。好きな英語も先生が嫌いで嫌いになった。今のクラスには仲のよい人がおらず、休み時間に隣のクラスに遊びに行くと、隣のクラスの先生たちが、違うクラスの人は来ないでと戒厳令をしいてくる。隣のクラスの仲のよい人も、別のクラスだから遊びに誘ってくれなくなった。来年クラスがえされないと、学校に行きたくない。先生もかえてほしい。

 LINEを使ったいじめ、仲間外し、暴力を振るう子、キモい、死ねなどの暴言が多いこと。集団に弱い者いじめをされて困る。

 不登校なので勉強が心配。今後のことを考えたくない。家族からは学校へ行っていないのでいろいろと言われる。思い出したくない過去を思い出してしまう。

 不登校になった生徒への接し方を先生がもう少し学んで、知ってほしかった。今の状況が先生のせいではないと思うが、もう少し接し方が違っていたらと考えてしまう。

 次は、教師に関する小学生の声です。

 学校の先生がちょっとしたことですぐに怒って、どなったり肩を押したりして、されるのも見るのもつらい。家のことを言われ、自分を否定されているような気持ちでとても嫌。

 担任の先生が男女差別をしたり、発言をしなければ立たせる。休み時間を潰すなどをする。やめてほしいと言ってもやめてくれない。

 担任の先生が授業中よく漢字などを間違えている。隣のクラスのほうが授業が進んでいて、そのことが心配で友達と先生に言ったら、言いわけを言っていた。黒板の字が汚くて読めないことがある。隣のクラスがいけないことをしていたから先生に言ったけど、注意せず、隣のクラスの味方をしている。隣のクラスのパクリばかり。クラスの人に注意するだけで授業が潰れ、そのために授業がおくれていると思う。先生がいけないのに私たちのせいにする。

 自分がわかるようになるまで教えてくれる先生がいない。

 クラスがうるさく担任の先生の声もうるさい。先生のお説教で授業が潰れる。

 自分は自閉症があり、いじめられている。飛び降り自殺をしたいという気持ちを先生に相談したが、相談に乗ってくれず嫌だった。

 学校の女の先生に、雑巾を片づけ忘れたとき、すぐにパーッと怒って言われ、とても傷ついた。そのため余り学校に行きたいとは思わない。

 次は、中学生の声です。

 学校の一部の先生が通知表のだめなところの理由を書いてくれない。テストの点数や発言が僕より悪い人の成績が僕よりもよかった。その理由がわからず、悲しくて悔しい。

 不登校になっていたときの学校の対応がひどかった。どんな理由で不登校かは人それぞれだけど、それしか選択の余地がない場合、児童の頭数で付加される国から学校への90万円を母の給料にするなどのシステムをつくらないと、子供の居場所は確保できないと思う。

 学校の先生を選べるようにしてほしい。

 友達が信用できない。LINEが嫌いでやっていない。やっていないとばかにされる。先生にサインを出しても、そんなことみんながうまくいくはずがないと、特定の子には言わず、我慢する子には言い、扱いが違う。相談しても解決しない。不登校の人は大事にされるから不公平。

 最後は高校生の声です。

 母が病気を持っているので心配。先生が、アルバイトしているようなやつは要らないと言って、部活に入部させてもらえなかった。

 学校の先生の教え方が下手。教員をもっと指導してほしい。

 進学するのにどのように勉強したらいいかわからない。担任が適当過ぎて困る。

 先生が問題や面倒なことをたらい回しにしている。生徒とのかかわりが少な過ぎる。

 以上、いじめや教師への不満の声を引用しましたが、これも一部を紹介したにすぎません。しかし、寄せられた子どもの声のアンケート全体を読んで感じたことは、いじめで悩んでいたり、教師への不満を抱いている子供たちが多くいるということであり、このことは、何も貧困家庭に育つ子供たちの孤立感ゆえではなく、多くの子供たちの声ではないかということであります。そこで、知事と教育長はこのアンケートを読んだと思いますけれども、どのように感じておられるか。伺います。

 また、この調査結果を踏まえ策定した長野県子どもの貧困対策推進計画案の中には、子供たちから寄せられたいじめや教師への不信や不満の声に対する対策が見えてきません。アンケートを県が行った以上、そこに寄せられた声を真摯に受けとめ、具体的に改善策を講じたのか。また、今後どのような対策を行うのか。あわせて伺います。

 さらに、教育委員会で行っているスクールソーシャルワーカー活用事業は、長期欠席、暴力、中退、いじめのうち、その主たる要因や背景に家庭的な問題があり、学校だけでは解決困難なケースに対応するとともに、学校をプラットフォームとした子供の貧困対策も可能にするとして、スクールソーシャルワーカーの配置を、今年度8人から来年度18人にする予算を計上しています。

 この事業の内容は、端的に言えば、家庭内で貧困等のさまざまな問題があれば、学校内で長期欠席や暴力、いじめなどの問題行動として表に出るので、教員が子供の困り事を発見し、スクールソーシャルワーカーに相談し、支援を行うというものです。しかし、さきに紹介した子どもの声アンケートに寄せられた教師への不満の声から、教師自身が無頓着な場合があり、教師からスクールソーシャルワーカーにつなぐことができていない、できないのではないかと心配をいたします。

 この事業の目的を、「長期欠席、暴力、中退、いじめのうち、その主たる要因や背景に家庭的な問題があり、学校だけでは解決困難なケースに対応する」としていることは、その原因が学校ではなく家庭にあると、教育現場の教師の責任を家庭に転嫁しているように思われてなりません。この点について、スクールソーシャルワーカー増員の理由と、子どもの声アンケートに寄せられた意見から、教師自身が子供たちに信頼され、その声が受けとめられる取り組みについて具体的な対応を行っているのか。教育長に伺います。

 次に、バス、電車などの県内公共交通利用者の利便性を高めるための共通で使えるICカードの導入について伺います。

 長野地区では、アルピコバス、長電バス共通のICカードKURURUが導入されていて、私も利用していますが、気軽にバスに乗ることができ、大変便利であります。

 このICカードの導入は、利用者の利便性を高め、公共交通の利用促進に欠かせないサービスとなっており、今、県内各地でも導入の動きがあるとお聞きしています。しかし、県内各地で導入されたとしても、県内全体で共通で使えるカードでなければ県民生活全体への利便性は高まってまいりません。

 そこで、電車も含めた県内共通のICカードの導入に向け、県がバスや鉄道事業者、市町村に呼びかけ、検討に着手すべきと思いますが、企画振興部長に伺います。

 次に、信濃美術館の整備について知事に伺います。

 信濃美術館は、昭和41年10月に財団法人信濃美術館として開館し、ことしで50年となります。県では、老朽化した信濃美術館の建てかえに向けて、信濃美術館整備検討委員会を設置し、新たな美術館のコンセプトや機能について幅広く検討してきました。そして、信濃美術館整備方針案がまとまり、現在パブリックコメントが行われているところであります。今後は、新年度基本構想を策定し、基本設計を予定しているとお聞きしています。

 信濃美術館の整備については、長野市城山公園や善光寺庭園との一体的な整備を検討していますが、長野市からは、美術館を観光の拠点として発信するためにも、遅くても次回の善光寺御開帳までには開館させてほしいと言われております。そこで、今後の取り組みについて伺います。

 私は、ことしの9月議会に基本設計予算を提案しないと御開帳に間に合わなくなってしまうのではないかと心配しています。この点も含め、答弁をお願いいたします。

 次に、美術館は、県立大学同様に、担う人材の確保が大切です。新美術館の館長予定者や優秀な学芸員の方々の先行した確保を行い、一緒に美術館整備や運営を準備することが必要と思います。お考えをお聞かせをいただきたいと思います。

 さらに、信濃美術館の整備は、当初は民間資金によって整備された歴史を考えれば、これから行う整備についても、広く民間からの資金援助を呼びかけるべきと思いますが、お考えをお聞かせをいただきたいと思います。

 次に、国民体育大会の開催について、教育長に伺います。

 国体の開催については、全国の都道府県を東、西、中地区に区分し、順番に開催しています。本県は、昭和53年の第33回大会を開催して、既にことしで38年が経過し、現時点で既に開催が内定している状況を見ると、平成39年の順番が有力視されています。あと11年後ではありますが、これまで、10年前には手を挙げるのが通例であることからすれば、来年には手続を進めなければならないことになります。そこで、国体の開催への現況の取り組みと今後の予定について伺います。

 最後になりましたが、文化芸術振興指針の改定について伺います。

 県では、文化芸術の方向性を明らかにし、計画的に施策を展開するため、平成21年度からおおむね10年間を対象期間とした文化芸術振興指針を策定しました。そして、ことしの3月で策定から7年目になります。この間、村井県政から阿部県政となり、文化振興元年の取り組みや決算剰余金を生かした基金の創設、芸術監督団の配置、文化財の維持管理への姿勢など、文化芸術振興指針が進化してきており、本県のさらなる文化芸術振興のためにはそろそろ見直す時期が来ているのではないかと思いますが、今後の取り組みについてお伺いをいたします。

  

◎知事(阿部守一)

 

 私に対しては、子供の貧困対策、それから信濃美術館の整備について御質問を頂戴いたしました。

 まず、子供の貧困対策のうち、ひとり親家庭の子供等に対するアンケートをどのように感じているかという御質問でございます。

 竹内議員から個別の御紹介をるるいただいたわけでありますけれども、私としては、全般的に、やはり自分の未来に対する不安というものが出ておりますし、また、経済的な理由で夢を断念せざるを得ないつらさ、さらには、これは子供たちのアンケートではありますけれども、自分の親に対する気遣い、本当に切実な思い、胸が痛むような声が多数寄せられているというふうに考えています。この子供たちの声を受けとめて心が動かない人はいないだろうというふうに私は思います。

 昨年の11月に政府主催の全国知事会議がございました。政府主催でありますので、各省庁の大臣、副大臣、政務官が並んでいる場でありますけれども、私からは、子供の貧困対策の重要性を訴えようということで、この子供たちの声の一部もその場で御紹介をさせていただきました。その上で、奨学金等教育費負担の軽減の話、あるいは、子供たちの学びの場、居場所への支援、こうしたことを政府としてもしっかり考えてもらいたいということをお願いをしております。

 本来、子供たちが、夢や希望を持って日々前を向いて過ごしていくということが望ましい環境でありますけれども、経済的な問題で最初から夢を諦めざるを得ない子供たちがいるという状況は、これは決して放置しておくわけにはいかないというふうに思っております。これは、子供たちにとってはもちろん重要な問題でありますし、社会全体にとっても大きな課題だというふうに思っております。こうしたことから、私ども長野県としては、あらゆる手段を講じて子供の貧困対策に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 それから、子供の貧困対策に関連して、県内大学進学のための入学金等給付事業の成績等の基準の引き下げ、支給人数の拡大、そして県内大学就学のための奨学金給付事業の定員増という御質問でございます。

 こうした奨学金は、意欲や能力があるにもかかわらず、経済的な理由で大学への進学が困難な子供たちを対象としているわけであります。貸与でなく、返済不要の給付という形にさせていただいておりますので、支援に当たりましては、やはり一定の基準は必要というふうに考えております。

 短大、大学を目指す経済的に困難な生徒に対する県の支援につきましては、これまで進学時のみでありましたけれども、来年度の予算案の中には、入学後についても就学継続のための奨学金を給付するということにさせていただいております。一体型の給付型奨学金として、経済的な理由でこれまで進学を断念していた御家庭の子供たちの県内大学等への進学の道を開くことにつながるということを期待をしております。

 こうした奨学金の対象者、あるいは内容の充実ということにつきましては、事業を実施する中で、教育委員会ともよく連携をしながら、効果等を検証する中で考えてまいります。

 それから、いじめであったり、教師に対する不信に関するアンケートに関連して、どう受けとめ、どう改善策を講じていくのか、あるいは講じたのかという御質問でございます。

 竹内議員御指摘のとおり、今回のアンケートの中でも、いじめの問題あるいは教師への不信感を含む学校に関する記述というものが少なからず見られております。こうしたことは、私ども県としても真摯に受けとめて対応していくということが重要だと思っております。

 ただ、こうした問題は、どちらかというと、制度の見直しで対応するというよりは、やはり個別的に丁寧な対応が必要なものというふうに考えております。そういう中で、これは県議会の皆様方にも御理解いただく中で、長野県の未来を担う子どもの支援に関する条例に基づいて、本年度から子ども支援センターを設置をさせていただいております。まさにこうした子供たちを支援しようという趣旨で設置をしたわけでありまして、この子ども支援センターにも、いじめあるいは学校関係の相談が寄せられているところでございます。こうした相談につきましては、本人の希望を踏まえて学校生活相談センター等につないでおりまして、教育委員会においては、学校とも一緒になって改善に対する取り組みを行ってきてもらっております。

 また、子ども支援委員会を条例に基づいて設置をさせていただいておりますけれども、これまで5回開催をしております。委員には、児童精神科医あるいはスクールカウンセラーといった専門家にも参画をいただいておりまして、個別の案件に対しても御助言をいただいておりまして、効果的な相談対応ができるように取り組んでいるところでございます。

 今後とも、学校や地域における相談体制の充実、あるいは、これは教育のみならず、福祉、医療を初めとする関係機関の連携ということが大変重要だと思っています。関係機関相互の一層の連携の促進等によりまして、困難を抱える子供たちの支援を一層充実していきたいと考えております。

 次に、信濃美術館の整備についてでございます。

 今後の取り組みについてという御質問が、まずございました。

 来年度50周年を迎える信濃美術館につきましては、施設設備の老朽化、あるいはバリアフリー化のおくれということで、美術館としての機能に不都合が生じていることから、早期の建てかえが求められている状況でございます。

 このため、昨年4月に信濃美術館整備検討委員会を設置をいたしまして、これまで委員会を4回、作業部会を3回開催いたしまして、新しい美術館のコンセプト、あるいは施設整備の考え方について検討を重ねてまいりました。このたび、その検討結果を整備方針案ということで取りまとめていただき、現在パブリックコメントを実施をしているところでございます。3月末には整備検討委員会から御報告をいただく予定というふうになっております。

 また、あわせまして、善光寺、城山公園と一体となった新たな美術館の整備に向けまして、長野市、あるいは善光寺と県の関係部局によるプロジェクトチームを立ち上げまして検討を進めているところでございます。

 来年度は、この整備検討委員会におきまして、引き続き新美術館の管理運営を含めたソフト面を御検討いただき、年度の早い段階で新美術館の基本構想の案を取りまとめていただく予定となっております。

 建設までのスケジュールにつきましては、できる限り早くというふうには考えておりますが、この整備検討委員会での検討状況、あるいは長野市、善光寺との周辺整備等に関する協議の状況等を踏まえつつ検討していきたいと考えております。

 次に、館長予定者、学芸員の確保の重要性について御指摘いただきました。

 新しい美術館を担う人材の確保につきましては、竹内議員御指摘のとおり、重要な課題だというふうに考えております。整備検討委員会、あるいは美術関係者との意見交換会におきましても、館長の早期選任、あるいは学芸員の増員等を求める御意見を多くいただいているところでございます。

 とりわけ、新しい美術館の管理運営の中心を担うこととなります館長の選任は大変重要だというふうに考えております。でき得る限り早く選任をさせていただき、基本構想に基づいた整備運営に関する具体的な検討を進めていくことができますように努力をしていきたいと考えております。

 それから、民間からの資金援助の呼びかけについての御質問でございます。

 信濃美術館につきましては、御質問の中にもございましたとおり、民間放送事業者が中心となって広く寄附を呼びかける中で整備をされてきたわけで、その後県に移管された経緯がございます。そういう意味で、県民の皆様方の熱い思いでできた美術館だというふうに考えております。

 新しい美術館におきましても、多くの県民、企業を初め、広く民間からの資金的な支援が得られますよう、他県あるいは海外の事例も参考としながら具体的な方策を検討したいというふうに考えております。

 こうした資金的に御支援をいただく仕組みなどさまざまな工夫を行うことによりまして、信濃美術館が多くの皆様方に一層愛される美術館となりますよう、県として取り組んでまいります。

 以上です。

  

◎教育委員会教育長(伊藤学司)

 

 子供の貧困対策に関しまして、子どもの声アンケートで寄せられたいじめや教師不信に関する回答に対する所見と、今後の対策についてのお尋ねにお答えを申し上げます。

 私も、この子どもの声アンケートの自由記述欄、全て読ませていただきました。全体的には、子供たちが将来の夢を抱きながらも、貧困の中で現実とギャップなどさまざまな問題に悩み、心配や不安を抱えているという大変切実な心情が寄せられているとともに、議員御指摘のとおり、一部の子供たちからは、いじめや教師の対応への不満など、学校に対する問題も寄せられており、私としてもこうした子供たちの切実な声というものを重く受けとめております。

 教育委員会としては、長野県いじめ防止対策推進条例に基づき、本年度4月より学校生活相談センターを設置したところであり、いじめや教師への不満にかかわるような相談を受けた場合には、市町村教育委員会や学校と詳細を確認しながら対応しているところでございます。

 また、先ほど知事の答弁にもございましたが、知事部局のほうで設けました子ども支援センターに寄せられた相談につきましても、具体的なものにつきましては、学校等と連携をとりながらその改善に取り組んでいるところでございます。

 また、学校におきましては、教員が何よりも第一に子供の心に寄り添い丁寧な対応をすることが大切なことから、研修の充実など教員の資質向上を図るとともに、スクールカウンセラーの充実など組織的な相談体制の整備を推進しているところでございます。

 次に、スクールソーシャルワーカーの増員の理由と、子供の悩みを受けとめる取り組みについてのお尋ねにお答えを申し上げます。

 スクールソーシャルワーカーは、学校と医療や福祉が協力して困難を抱える子供たちを支援するためのコーディネーター役でございます。今回の増員につきましては、いじめや不登校の背景に、医療や福祉的な支援を必要とするケースが増加しており、これまでのスクールソーシャルワーカーの取り組みが効果的であったことから増員を計画しているところでございます。

 議員御指摘のとおり、悩みを受けとめるためには、まず教師と子供の信頼関係が築かれることが重要でございます。そのため、日々の教育活動のほか、各学校における生活アンケートや面談などを実施することによって、子供たちに丁寧に寄り添い、担任だけでなく、校内いじめ防止委員会など組織的な対応を図っているところでございます。

 また、各学校において、生徒、保護者による匿名性を担保した学校評価を実施するなど、学校に対する率直な意見をお聞きし、学校運営や授業改善につなげるよう努めております。

 今後も、教員が子供の悩みに適切に対応できるよう、スクールカウンセラーによる教員に対するカウンセリングマインドを高める研修や、拡充するスクールソーシャルワーカーを講師とし、子供の支援の視野を広げる研修を行うなど、教員の資質向上に取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、国民体育大会の開催への現状の取り組みと今後の予定についてのお尋ねにお答えを申し上げます。

 国民体育大会本大会の開催につきましては、議員御指摘のとおり、平成38年の第81回大会までの開催順が事実上決定している一方、開催県がまだ決まっていない平成39年の第82回大会は、本県が含まれる中地区の開催順となっているところでございます。

 本県は、昭和53年のやまびこ国体開催後、約40年が経過しており、公益財団法人長野県体育協会では、平成39年の本大会の招致に向け、県内競技団体など加盟89団体に本大会開催の検討を呼びかけていると承知をしてございます。

 国体の開催は、競技力の向上や体育施設の整備のみならず、活力ある地域づくりにも大きく寄与することから、競技団体とあわせ、会場となる市町村の皆様の御意見をお聞きすることが重要と考えております。

 まずは、来年1月から2月にかけて9年ぶりに県内で開催する冬季国体、ながの銀嶺国体の成功に向けて取り組むとともに、平成39年の本大会招致について、知事や関係団体とも連携を図りながら検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

        

◎企画振興部長(小岩正貴)

 

 公共交通対策に関しまして、県内共通の交通系ICカード導入についての御質問にお答え申し上げます。

 交通系ICカードに期待されます効果は、竹内議員御指摘のとおりでありまして、交通政策基本法に基づき昨年2月に策定されました国の交通政策基本計画におきましても、交通系ICカードの普及や相互利用の推進が位置づけられているところでございます。

 現在、県内ではJR東日本管内の一部でSuicaが、また、長野市及び須坂市内の路線バス等でKURURUが導入されております。

 一方、利用者からは、利用範囲の拡大を求める声のほか、昨年の善光寺御開帳の際には、観光客を中心にこれらカードの相互利用を求める声が多く寄せられたとお聞きをしております。

 こうしたことを踏まえまして、県といたしましては、今月17日に開催する長野県公共交通活性化協議会におきまして、市町村や事業者などと意見交換を行うなど、交通系ICカードの普及に向けた検討を進めてまいります。

 以上でございます。

 

◎県民文化部長(青木弘)

 

 文化芸術振興指針の改定についてのお尋ねでございます。

 この文化芸術振興指針は、平成21年度からおおむね10年間を対象に、中長期的な視点に立って文化芸術振興施策を展開するために定めたものでございまして、「「文化力」で人や地域が輝く信州の創造」という基本目標のもと、文化芸術の振興とともに、文化芸術を地域づくりや産業、観光の振興などにつなげ、地域活性化を目指しているところでございます。

 県では、今年度を文化振興元年と位置づけまして、文化振興基金を活用した新たな取り組み、セイジ・オザワ松本フェスティバルの支援の拡充、信濃美術館の整備検討への着手など、積極的に文化芸術振興策の充実を図っているところではございますが、文化芸術振興指針の見直しにつきましては、今後の検討課題とさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

 

◆竹内久幸

 

 子どもの声アンケートにつきましては、ぜひこの子供たちの声を実直に受けとめていただいて、そして行政に反映していく、そして子供たちに結果として戻していくということで、ぜひこの子供たちのアンケートを教訓にしていただきたいということをお願いを申し上げたいと思います。

 そして、教育長に申し上げておきたいことは、教師の皆さんもぜひこのアンケートを全員読んでいただいて、そのアンケートから学び、そして学校を居心地のいい場所にしていくということに取り組んでいただくことを最後にお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。