平成28年2月定例県議会 発言内容(下沢議員)


◆下沢順一郎

 

 災害対策についてお聞きしていきます。

 1月29日、雨が凍てつく雨氷で多くの木が倒れて道路を塞ぎ、松本市や山形村の宿泊施設などが一時孤立状態となった倒木被害が発生しました。

 その際、松本地方事務所、建設事務所を初め復旧に関係した多くの方々には、迅速なる対応をいただき、大変お世話になりました。おかげさまで、一人のけが人を出すこともなく避難がスムーズにできたことは、危機管理対応が十分に発揮された証拠であったと思います。また、1月25日から29日15時まで142号が通行どめとなり、新和田トンネルを無料化したことは評価するところであります。

 さて、倒木被害の状況調査を国、県、市村が主に上空から調査を進めているようですが、余りにも被害が広範囲にわたり、雪が残る状況であり、全体像が判明するまでにはまだまだ時間がかかりそうです。現時点での状況がわかりましたら、林務部長、お知らせください。

 また、今回の災害の教訓として、災害時に孤立の可能性のある宿泊施設などは、十分な食料の備蓄とともに、長時間の停電に対応できる発電機など、災害対応設備の充実が欠かせないことがわかりました。災害時に必要な心構えとして、自助、共助、公助とはよく言われておりますが、自助の部分がかなり大切なことであることは、どのような災害への対応であれ、間違いのないところであります。

 したがって、県としてもこの教訓を生かしていただき、孤立の可能性のある宿泊施設などへ災害対応への指導をしてはどうかと思いますが、危機管理部長にお聞きいたします。

 2016年度予算編成についてお聞きします。

 2016年度の予算編成方針として少子化対策と経済対策を重視するとした阿部知事は、2期目も2年目となりますが、阿部カラーとは何かと心配する向きもあります。そうした中、今回の当初予算案には、阿部カラーが反映されたものとなっていると思われますが、そのポイントとして「信州創生の新展開」とあり、三つの新展開が掲げられています。

 この新展開には、「個人の能力を活かす郷学郷就県づくり」、「産業力で未来を拓く共創躍動県づくり」、「住んでよし訪れてよしの交流観光県づくり」とありますが、造語や新語が多く並んでいます。新展開のそれぞれの意味するところと、それに伴う六つの柱の意味、そして重点施策の加速化として挙げられている六つの重点施策との関連性についても、あわせて県民にわかるように知事の説明をお願いします。

 GDP600兆円といいます。しかし、GDPという計算でさえ国民の人口が基礎となっています。人口減少社会の中でGDPを成長させる、経済を成長させるというのは、極めて難題であると言わざるを得ません。この経済成長と少子化対策両立という課題に対して、県としても長野県人口定着・確かな暮らし実現総合戦略~信州創生戦略~を策定し、国の補正予算を最大限活用するとして2月補正予算に計上しています。

 しかし、昨年9月の地方創生に関する補正においても、国からの補助金の額が確定せず、一般財源で賄った事例がありました。

 そこで、2点お聞きします。

 今回の地方創生関連施策を推進するに当たり、地方創生加速化交付金が予算化されてはいますが、国からの財源は担保されているのか。総務部長にお聞きします。

 地方版総合戦略に基づく自治体の取り組みについて、上乗せ交付金での特徴的な事例についても先駆性を高め、レベルアップの加速を図るため、KPIとPDCAサイクルを組み込んだ自治体の自主的、主体的な取り組みに対して支援する加速化交付金の県内の市町村分の申請状況並びに県の支援状況について、企画振興部長にお聞きします。

 経済問題についてお聞きします。

 昨年暮れの12月17日にFRBはゼロ金利を解除し、0.25%の利上げを行うことを決定し、9年半ぶりの利上げに踏み切りました。これは、リーマンショックの金融経済危機を克服し、日本やユーロに先駆けて回復をなし遂げたためだとされています。

 一方、12月18日には、それに呼応するかのように、日銀が金融緩和の強化策を打ち出しました。「補完する」ということにより、ETFの新たな買い入れ枠設定など、量的、質的金融緩和の強化策を打ち出したものの、マネタリーベースの目標額は据え置き、そのため、市場は追加緩和なのかどうか迷い、日本株やドル・円は乱高下したのでした。

 日銀の黒田総裁は「補完する」と言われました。辞書を引きますと、補完とは、不十分な点を補って完全にすることと書かれています。とすると、アベノミクスの1本目の矢はここで完成したことになります。この点で、昨年暮れは経済的に見ると一つの大きな転換点を迎えたと言えるのではないでしょうか。

 その後の年明けの株式市場、為替市場も大荒れです。株式市場は年明け早々から下落し、戦後初めての年初来6日連続の下落を記録し、為替も116円まで円高の展開となっていました。そのような中で、円高圧力を消すために、1月29日にマイナス金利を導入すると日銀は発表しました。一時的に市場では10年物の国債が0.1%を割り込み、円安の流れを引き戻し、株式の上昇となりましたが、現在ではもとのもくあみとなっています。

 日銀のマイナス金利導入の影響は、身近な金融商品にも広がっています。10年物の国債の個人への販売やMMFの販売が中止、預貯金金利を引き下げる金融機関が相次いでいます。日銀がマイナス金利の導入を決めたことで国債の価格が上昇し、金利は低下、金融機関は安定的な利回りの確保が難しくなっています。いずれにせよ、ことしも日銀のかじ取りから目が離せないようですし、黒田日銀のより創造的な動きを今後も期待することになりそうです。

 また、ジェトロのレポートによると、輸出物価指数と為替の変化を見ると、輸送機器や一般機械などでは為替変動に比べて輸出物価の動きは小さく、円安下において採算性を重視する企業姿勢があらわれている。直接投資収益と知的財産権等使用料の受け取りを日本企業の海外進出に伴う収益とすると、近年は増加傾向にある。輸出総額に対する比率も2割近くに達したと書かれています。さらに、2015年の為替動向は、ほぼ10円幅で動いていたという1983年以来最も変動の少ない年でもありました。円安により余裕ができた大企業にとっては、企業本来の営業力、収益力が試された1年であったと言えます。

 そしてことしは、中国やアメリカなどの海外の経済状況の見方、原油相場の行方、為替相場の見方などがかなり不透明な年でもあり、企業にとって2016年は昨年以上に試練の年となりそうです。このように見てきますと、ここ数年の企業の増益傾向は、輸出の総量が増加したというより、海外資産の増加、運用や円安による恩恵であったというべきでしょう。

 そこでお聞きします。

 長野県経済にとって、今後のリスクとなる要因については何が考えられるか。また、好調だと言われている東海3県の製造業の2015年12月の想定為替レートは118円30銭となっています。長野県内の輸出企業の平成27年度製造業想定為替レートは117円74銭です。輸出依存度の大きい中国経済の回復には最低四、五年かかると言われています。県内の輸出産業が中国経済の減速による産業への影響をどのように見込むのか。また、これまでの企業収益の増益基調から減益が見込まれる県内の輸出関連企業への支援策について、以上3点、産業労働部長にお聞きします。

 日本IBMが、昨年、全世界70カ国、5,247人の経営者を対象にした調査では、最大の関心事にテクノロジーが挙げられています。ほとんどの経営者が、業界の外から参入してくる想定外の強豪が既存の業界秩序を破壊することを重要な脅威として認識しているとのことです。デジタルが業界の壁を壊し、新たな競争を生み、それが顧客の利便性につながるという状況をウーバライゼーションというようですが、経営者にとって見逃すことができない潮流になっています。県としても、そのような最先端産業、技術にも目を配り、長野県企業の発展につながるように手が差し伸べられるような体制づくりが必要だと思いますが、知事にお聞きします。

 会計検査報告についてお聞きします。

 会計検査院は、国の平成26年度の収入支出の決算などを検査して、平成26年度決算検査報告を作成しています。特に、平成9年に会計検査法が改正されてから、検査の観点は、正確性、合規性はもとより、広く事業や施策の評価が求められる中で、検査根拠を明確にし、事後評価を担う会計検査の機能の拡充強化に努めているとのことです。

 さて、そのように行われた検査結果の中に、法律、政令もしくは予算に違反し不当と認められた不当事項がありました。その不当事項に掲記された件数は450件に上り、指摘金額は164億6,537万円でありました。

 そこで問題になるのは、長野県関係分であります。補助事業の実施及び経理が不当とされたものとして、森林整備地域活動支援交付金である494万円の事業費そのものが不当とされた大北森林組合分があります。市町村関係分としては、国民健康保険の財政調整交付金の交付が過大とされたもの、介護給付に係る国の負担が不当とされたもの、障害者自立支援給付費負担金の交付が過大であるとされたもの、自立支援給付の介護給付費及び訓練等給付に係る国の負担が不当とされたものなどがありました。

 そこでお聞きします。

 これらの指摘事項に対して、長野県としての対処はどのようにされていくのか、また、市町村への指導方法はどのようにされていくのか。健康福祉部長、林務部長にお聞きします。

 大北森林組合に関しては、今回の国の指摘のほか、国庫補助金を活用した森林造成事業等において多額の不適正受給が確認されており、今月16日には4回目の補助金返還請求が行われ、組合から県への補助金返還額は合計で約8億7,000万円になっています。組合側はいつまでかけても返済していくと言っているようですが、森林組合に返済計画をどのようにさせるのか。そして実際にどのように計画に従って返済をさせていくのか。知事にお聞きします。

 

◎林務部長(塩原豊)

2点お尋ねをいただきました。

 まず、1月29日に発生いたしました雨氷による倒木被害の状況についてのお尋ねです。

 倒木被害発生後、国や市町村と連携いたしまして、3回にわたるヘリコプターによる上空からの調査のほか、可能な範囲で地上調査を行ってまいりました。国有林については現在調査中ですが、国有林以外の民有林では、2月22日現在で松本市など10市町村、約600ヘクタールの区域にわたって被害が確認されておりまして、被害はおよそ標高800メートルから1,300メートル周辺までで発生しており、カラマツやアカマツなどの人工林や広葉樹林が被害を受けております。

 現在確認している被害区域には、倒木被害がある程度まとまっている箇所と点在している箇所がありますために、今後は上空から撮影した画像の解析や地上調査の範囲を拡大して行い、より詳細な被害状況の把握に努めてまいります。

 また、被害を受けた森林については、被害の程度や場所などを踏まえ、優先度の高い箇所から治山事業や造林補助事業により復旧を図ってまいります。

 次に、2016年度の予算編成方針についてお尋ねいただきました。会計検査院からの検査報告、長野県関係として指摘された森林整備地域活動支援交付金への対処についてのお尋ねでございます。

 会計検査院からは、大北森林組合が交付金を受けた翌年度末までに森林経営計画を作成していなかったことや、同計画作成に当たり所有者から書面による合意を得ていなかったことから、国の交付金の使用が適切でないと指摘を受けたところでございます。

 県としては、二度とこのような事態を招くことがないように、事業者、また市町村、地方事務所の事業の留意点を十分周知するとともに、事業内容や実施状況の確認を徹底するための点検シート作成など、再発防止策を講じてきたところでございます。

 以上でございます。

 

◎危機管理監兼危機管理部長(野池明登公営企業管理者(小林利弘)

 

 災害対策ということで、孤立の可能性のある宿泊施設等への災害対応を指導してはどうかということでございます。

 今回の雨氷による災害対応でございますけれども、警察、消防の出動、道路の早期開通、観光客等の安全な移動、山形村ではヘリコプターによる必要な物資の搬送、これらに、地元自治体、現地機関と連携をして、迅速に対応をとったところでございます。

 一方、多数の倒木による道路の通行不能、長期間の停電、宿泊施設等の孤立化によりまして、現時点でも幾つかの教訓があったと認識をしているところでございます。それは、例えば、孤立集落との通信確保のあり方ですとか停電時における宿泊施設、公共施設等の電源確保のあり方、また孤立可能性の認識の共有などでございます。

 今後は、このような教訓につきまして、市町村や関係団体と認識を共有し、県、市町村の地域防災計画に照らしつつ、ともに対応策を検討いたしまして、宿泊施設等も含め一緒に改善に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

 

◎知事(阿部守一)

 

 2016年度の予算編成方針に関する御質問にお答えをしてまいりたいと思います。

 まず、信州創生の新展開、重点施策の加速化についてわかりやすく説明せよという御質問でございます。

 今回の予算編成をするに当たりまして、早い段階からその政策をパッケージ化しようということで取り組んでまいりました。そういう中で、当面の私ども長野県としての重要施策は信州創生、地方創生であります。

 そうした中で、まずやはり一番重要なのは人の問題だというふうに考えました。子育て支援戦略については、一昨年の12月に取りまとめて、今年度当初予算にかなり反映をさせていただいたところであります。その一方で、人口の定着、呼び込み、こうした部分を考えたときに、「郷学郷就」と今回名づけておりますけれども、やはり長野県で学び続けたい、働き続けたい人たちがしっかり定着できるように、そして、県外からも長野県に学びに、そして働きに来てもらえるような環境をつくっていこうと、そういう思いで、今回「個人の能力を活かす郷学郷就県づくり」と、新しい造語でございますけれども、一番最初の柱に掲げさせていただいたところでございます。

 県内の関係者、例えば大学、あるいは専門学校の皆さん、あるいは企業の皆様方とお話をしても、大学等は定員割れをしているところもあって、やはり学生の確保は重要だと、あるいは企業も最近人手不足、人材不足というところが多くあるわけでありますので、そういう意味では、私ども行政の取り組みと県民、関係者の期待する方向性は一致しているというふうに考えております。そういう意味で、この郷学郷就県づくり、多様な学びの場、雇用の場づくりを行って、県内外に、信州で学ぼう、信州で働こうということをしっかり呼びかけていきたいというふうに思っております。

 それから、2点目が、やはり人口減少下で活力ある地域を維持していく上で、やはり産業の振興ということが極めて重要であります。そういう中で、これまでの縦割り、あるいは単独の企業だけの取り組みではなくて、異業種間、あるいは産学官の連携で産業の振興を図っていくということが極めて重要だということで、「共創」という用語を用いて、「産業力で未来を拓く共創躍動県づくり」というものを2番目の柱に据えております。

 その中で、信州産業のイノベーション創出と、それから地消地産の推進と二つに分けておりますけれども、やはり人口減少下で新しい産業構造をつくっていく上では、これは産業のイノベーションは不可欠ということで、新分野への展開等も含めてこのイノベーション支援をしっかりと行っていきたいと思っておりますし、また他方で、グローバル社会が進展する中にあっても、やはり足腰の強い地域経済をつくっていくということが大変重要だというふうに思っております。そういう観点で、地産地消を進めるということとあわせて地消地産と、地元でできるものはなるべく地元で製造できるようにしていきたいと、そういう思いを込めて、この地消地産の推進ということを掲げているところでございます。

 それから、3点目の交流観光県でございますが、これは私ども長野県が今大きなチャンスの時期を迎えてきているというふうに思っております。一つは、高速交通体系、昨年の新幹線の金沢延伸、これからもこの新幹線のさらなる延伸のみならず、リニア中央新幹線も具体的な整備が始まろうとしているわけでありますし、また、三遠南信自動車道であったり、中部横断自動車道であったり、我々地域の皆さんと一緒になって取り組んできている事業の進捗も図られてきているわけであります。

 こうしたものをやはりしっかりと生かした交通ネットワーク、さらには町づくり、村づくり、こうしたものを進めていくと同時に、ことしから来年にかけてさまざまなイベントがめじろ押しの本県にとっては、この観光というものをいま一度質的な転換を図っていく必要があるだろうと、本当の意味での観光県に脱皮をさせていきたいと、そういう思いを込めて、交流観光県づくりということを3番目の柱に据えさせていただいたところでございます。

 これは、28年度にこうした観点で新たな政策展開を行っていこうというもののパッケージでございます。かなり新規事業も盛り込ませていただいたところでございますので、こうしたものの成果が上がるようにしっかりと取り組んでいきたいと思っております。

 また、重点施策の加速化については、今申し上げましたような信州創生というものとは別の観点で、新年度において、部局連携で、これもパッケージ化を図って取り組みを加速させていくものということでお示しをしたものでございます。

 次に、最先端産業、技術にも目を配るべきだと、そうしたものにも手を差し伸べる体制が必要だという御質問でございます。

 私もまさに同じような思いでございます。先ほど申し上げたように、イノベーションの創出ということを打ち出しているのも、そうした新しい技術を積極的に活用していくということも含めて考えるべきだというふうに考えております。IoTの話、あるいは人工知能、ロボット、ナノテク、こうしたものに対しても積極的に対応していかなければいけないと思っております。

 例えば、既にこれは最先端のナノカーボンの膜技術を開発して水浄化を創出する取り組み、これは信州大学、企業等とアクア・イノベーション構想ということで既に進めているところでございますし、また、現在、科学技術振興指針を策定中でございます。この中におきましても、IoTによります生産性の向上、ロボットによる生産の自動化など、今後挑戦すべき施策に位置づけて積極的に取り組んでいきたいと考えております。

 また、来年度、長野県テクノ財団によります自動運転車、あるいは介護ロボットへの参入セミナーも予定をいたしておりまして、こうした取り組みを通じて県内産業のさらなるイノベーション、技術革新を加速化してまいりたいと考えております。

 それから、大北森林組合の補助金返還についての御質問でございます。

 組合からの補助金の返還につきましては、組合としては元専務からの賠償金や役員からの報酬の返納金を原資とするほか、経営再建を行って毎年度の事業収益を確保することにより、何年かかっても誠意を持って返還するというふうにしているところでございます。今後の事業経営計画とあわせ、補助金返還計画を作成することになっております。

 県としては、組合みずからが管理費の削減などの徹底した改革を行うとともに、その内容を返還計画に的確に反映させるよう指導を行ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

◎総務部長(原山隆一)

 

 地方創生加速化交付金についてのお尋ねでございます。

 この交付金につきましては、総額1,000億円の範囲内で配分されるということですので、本県の計画どおり交付されていることが約束されているものではございませんが、この計画書の提出に当たりましては、内閣府に対しまして事前に本県の考えを丁寧に説明してきたところでございます。

 この本県が計画を提出した事業は、主には、人口定着・確かな暮らし実現総合戦略~信州創生戦略~に掲げる施策を具体化するために、平成28年度当初予算に計上して実施を予定していた事業を前倒すものでございますので、仮に交付金が減額された場合でも、原則として一般財源で事業を執行してまいりたいというふうに考えております。

 

◎企画振興部長(小岩正貴)

 

 地方創生加速化交付金の県内市町村の申請状況と県の支援についての御質問でございます。

 本県では、県内77全ての市町村から申請があり、県で取りまとめの上、去る2月17日に内閣府に提出をいたしました。申請の事業数及び申請額の内訳でございますが、市が77事業、約13億円、町村が149事業、約26億円、合わせまして226事業、約40億円となってございます。

 県では、申請に先立ち、県との共同申請の調整や市町村間の事業連携の調整、また実施計画策定に当たっての助言など、市町村に対しまして必要な支援を実施したところでございます。

 以上でございます。

 

◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹)

 

 三つの御質問、順次お答えいたします。

 まず、今後の長野県経済に対するリスクについての御質問でございます。

 我が国の経済情勢は、個人消費は総じて底がたい動きとなっていることなどから、緩やかな回復基調が続いております。また、本県経済におきましても、同様に回復基調にあると認識しております。

 しかしながら、最近では、中国経済の減速、原油安の急激な振興、為替レートの変動などのリスクがあるものと考えております。

 中国経済の減速は、中国向けの輸出や生産への影響にとどまらず、資源需要の減少を招くことなどから、世界的な経済の減速要因にもなるものと懸念しております。原油安は、ガソリン価格の引き下げや原材料価格の低下によりまして、本県経済にもよい影響をもたらしていますが、最近の急激な価格の下落は、資源国経済の失速や金融市場の混乱など世界経済の不安定要素になると認識しております。さらに、円高の進行は、原材料価格の低下などの効果があるものの、本県の基幹産業である電気機械など輸出関連産業におきましては、企業の収益や雇用などにマイナスの影響が出てくることを懸念しているところでございます。

 次に、中国経済減速の輸出産業への影響についての御質問です。

 現時点での中国経済の減速による県内産業への具体的な影響につきましては、工作、一般、建設機械向けの受注引き合いが減少しているとの情報がある一方、直接的な影響はないとする企業も同様にあるなど、全般的にまだら模様の状況となっております。

 ただ、県の調査によりますと、中国への輸出額は約3,000億円で県全体の4分の1を占めるなど、中国は長野県にとって大きな市場となっております。したがいまして、その中国の経済が減速することは、本県の輸出産業に大きな影響があるものと考えております。

 次に、輸出関連企業への支援についての御質問です。

 輸出関連企業への支援策といたしましては、ジェトロと連携した適切な情報提供や制度資金を活用した経営の下支え、中小企業振興センターによる国際展示会や商談会の開催、また出展経費の助成による新市場開拓、販路拡大の支援などを進めております。また、為替変動や価格競争の影響など経済変動にも強い産業分野への支援、例えば航空・宇宙、健康・医療、環境・エネルギーなど、日本が得意とする最先端技術を集約した次世代産業への取り組みにつきましても、中長期的な視点に立って鋭意進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

◎健康福祉部長(小林透)

 

 会計検査院からの指摘事項への対処についてお答えをいたします。

 今回、会計検査院から指摘を受けた市町村関係の事案は、国からの交付金などについて、額の算定に当たり、対象者の範囲、算定手順、減算の適用などに誤りがあり、過大交付が生じたものでございます。

 このような事態が生じたのは、頻繁な制度改正や算定方法の複雑さなどもあり、制度や算定方法などに対する市町村や事業者の理解が十分でなかったことに起因することが大きいと考えております。

 県では、従来から制度などの周知に努めてきたところでございますが、今回の指摘を受け、通知の発出や各種会議、研修会などを通じて、改めて制度の仕組みや算定上の留意点について説明を行い、一層の周知徹底を図ったところでございます。また、制度の複雑さとともに市町村や事業者の事務処理体制などにも配慮し、マニュアルの策定や算定額をチェックするための資料の添付、あるいは対面での書類の審査、指導など、きめ細かな再発防止策を講じたところでございます。

 県といたしましては、今後もこうした事務の適正化に向けて市町村とともに取り組んでまいります。

 以上でございます。

 

◆下沢順一郎

 

会計検査院の指摘の大北森林組合の件に関しては、この金額しか会計検査院が計上していないということは、逆に言えば、国が非常に県に対して信頼感を持っているというあかしともとれます。したがって、県はしっかりと今回のことに対して正面から取り組んで、国の信頼が得られるようにしっかりとやっていくことが必要かなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 知事より先ほど御案内がありましたので、非常に期待ができる本州中央部広域交流圏結節機能についてお聞きしてまいります。

 JR東海は1月27日に、リニア中央新幹線の2027年開業に向けて始発ターミナルとなる東京品川駅の地下駅建設に本格着手をしました。品川駅の地下駅建設工事と南アルプストンネルは、品川-名古屋間の286キロの最難関工事と位置づけられています。リニアが予定どおり開業できるかどうかの鍵を握るだけに、安全で順調な建設工事を祈願いたします。

 さて、本州中央部広域交流圏結節機能が今後充実していくためには、JR線の充実、高速交通網並びに県内外を結ぶ東西幹線道路の充実、整備、そして信州まつもと空港の活性化など、まだまだ充実した施策が必要であります。

 昨年の質問の際、2013年12月の会議設置以降、作業部会を含め8回開いている、北陸新幹線との円滑なアクセスの確保など総合的な検討を進めている、15年度の早期に考え方をまとめ、一定の方向性を出したいと答弁され、昨年12月に方針が決定されています。そこで、取りまとめた方針の内容、関係市町村との合意状況並びに新年度予算に会議の結論がどのように反映されているのか、企画振興部長にお聞きします。

 県営松本空港に就航するFDAは、夏期間の路線便数計画を発表し、福岡線について1日2往復と現行どおりの運航としました。松本空港の利用者も、FDAの就航以来、平成21年度の5万7,576人から平成26年度には9万6,885人へと増加しています。空港活性化に取り組んでいる長野県の努力に感謝申し上げるとともに、今後一層の施策展開を期待し、質問をさせていただきます。

 活性化は冬場の誘客、国内の新規路線開拓、外国人観光客に対応していくための国際化など、本州の中央に位置し、県内唯一の空の玄関口として、これからの長野県のビジネス、観光にとって重要な課題となっています。

 特に、外国人3,000万人以上の来日を予定する東京オリンピックを控え、既に羽田、成田などではこれ以上来日客をさばき切れない問題があり、地方空港の重要性が増している今こそ、信州まつもと空港にとって国際化のチャンスであることは間違いありません。このようなタイミングを逃すことなく、官民挙げて、また地元への説明も含め、しっかりとした対応をしていく努力が必要であります。信州まつもと空港の国際化に対する決意と、実現に向けた具体的な道筋をどのように考えているのか、知事にお聞きします。

 生活困窮者世帯の子育て支援についてお聞きします。

 知事は、全国知事会でもこの問題について提言されています。そして、これらを解決するには、直接的な支援と親の雇用対策が重要であると言っておられます。高校中退は中卒に分類されますが、生活保護受給世帯の子供の高校中退率は、厚労省によると5.3%となっており、一般世帯の高校中退率の1.5%より3.5倍も多くなっています。貧困率を見ても、中卒の貧困リスクが非常に高くなっており、子供の貧困対策大綱でも指標の1番目に生活保護世帯の高校進学率の向上が掲げられています。

 高校進学が就労を含む自立の重要なポイントでもありますし、学習支援事業により高校進学を果たした後、中退する対象者が依然多いことは残念であります。また、本人が複雑な課題を抱えていたり、家庭状況等により支援が必要だが、支援事業に参加できない子供がいたり、人間関係の形成に不安があって集団型の支援になじめない子供がいたりするため、家庭訪問により早期発見し、迅速に支援したいという声が現場でも聞かれます。学習支援に出てこれない子供のほうが、より支援が必要なケースが多いとも聞きます。訪問し、接見することにより、さまざまな端緒から親への支援につながることもあります。

 そこで、子供の貧困対策には直接的な支援、保護者への就業支援とともに、貧困の連鎖を防止するため学習支援策の充実を図るべきであり、高校中退防止の取り組みの強化や家庭訪問の強化、給付型の奨学金制度の確立が必要だと思われますが、知事にお聞きいたします。

 有効求人倍率についてお聞きします。

 安倍首相によると、地方の有効求人倍率の上昇について、働いている人の絶対数がふえた結果だとし、就業者数は107万人ふえ、地方税収入は6兆円ふえた。地方でも企業が最高の利益を上げているからだ。労働市場がよくなり待遇がよくなった結果、就業者の収入が上がっていると、アベノミクスが景気回復に結びついていることを強調されています。

 確かに長野県でも有効求人倍率は上がっています。しかし、待遇の改善は進んでいるのでしょうか。人材不足はさまざまなところから聞こえてきています。私立の保育現場や介護現場、建設現場などでも、どこでも人手不足だと聞かれます。また逆に、地域限定社員や短時間正社員などといって、正社員の名称でありながら、処遇状況は非正規同様の扱いがされている企業もあります。県としても検証が必要でしょう。表面的には地方の雇用が改善しているように見えますが、実は倍率の上昇は労働力の減少が原因となっているのではないかという指摘も出ています。

 そこでお聞きします。

 県内の非正規雇用の状況についてどのように認識しているのか。また、安倍首相が同一労働、同一賃金の実現を言及されていますが、いかがでしょうか。正社員の仕事をふやし、若者が県外へ出て行く状況を改善しない限り、有効求人倍率が1倍を超えても安心はできません。長野県らしい若者の就職支援について、若者の就職支援策についてどのようにお考えか。

 以上2点、産業労働部長にお聞きします。

 信州に戻る、信州に就職する若者の就職支援策として、私は、一つの方法に、ベンチャー企業を育成する、そして、将来上場を目指せる企業の成長を応援し、企業数をふやしていくことなども、若者が信州へのUターン・Iターンを考える際の重要な選択肢となると思っています。そういった意欲のある企業に対して、銀行など金融機関とともに応援していく施策も必要であり、2016年度予算にも反映させてはいかがか。知事にお聞きいたします。

 介護離職者ゼロについてお聞きします。

 民間企業40代以上の男女1,238名にオリックス・リビングがアンケートをとっています。このうち、仕事をしている男女842人では、仕事と家族の介護の両立ができるとしたのは10%、できないは58%、わからないは32%、特に40代女性では、両立できるとした人が3%と低く、子育てと親の介護が重なるダブルケアになりかねず、無理だと判断する人が多いとされています。

 そして、働いていない人も含め、家族の介護に不安を持つ人は全体で85%にも上ります。具体的には、精神的な負担で68%、費用面が67%、体力的な負担が59%、日常生活の変化が53%となっています。政府は、一億総活躍社会の実現に向け、2020年代初頭に介護離職者ゼロを目指すとしていますが、県として、介護離職者ゼロ関連の施策において、どのように長野県独自の工夫をされているのか、産業労働部長にお聞きします。

 男女共同参画社会実現についてお聞きします。

 政府は、昨年12月、一億総活躍社会の実現に向けて、子育てしやすい環境をつくるため、男女共同参画基本計画を策定しています。現在、民間企業で2.3%、国家公務員で3.1%にとどまっている男性の育児休業取得率を2020年までに13%までに引き上げる目標を掲げ、女性が活躍しやすい社会にするため、男性中心型の労働慣行を見直すとしています。

 長時間労働の是正に向けて、1週間に60時間以上働いている雇用者の割合を、現在の男性12.9%、女性2.8%から、20年までに男女平均5%にするとしています。連合は、2013年、全国の働く男性を対象に、パタハラと呼ばれているパタニティーハラスメント経験の有無について調査をしています。これは、育児休業などを取得する男性が職場で嫌がらせを受けているという問題が起きているからであります。

 調査によると、子供がいる525人の12%が「ある」と回答し、そのうちの約半数が育休などの制度利用を認めてもらえなかった、誰にも相談できず諦めたなどと答えています。NPO法人全日本育児普及協会のパタハラ対策プロジェクトによる調査では、育休や育児のために時短やフレックス制の勤務を職場に申請した40人のうち、23%が降格など不利益な待遇を受けていて、45%が上司から否定的な発言をされたという結果が出ています。このように見ても、男は仕事、育児は女性がするものという観念は相当に強いのではないでしょうか。

 政府案によると、中小企業の有給休暇の取得率向上や、月60時間を超える残業に対して50%以上の割増し賃金を支払うよう中小企業にも適用するとしています。

 出生率の向上には、一人一人が働きやすいと感じられる環境づくりが欠かせず、女性が安心して産み働ける社会になれば、結果として出生率の向上と雇用促進につながるはずです。この問題の解決には、長時間の労働の是正が必要です。そこで、長時間労働の是正を信州ならではの働き方の推進の中に据えてはいかがか。知事にお聞きします。

 また、男女共同参画社会実現のため、男性の育休対策を含めた県の考え方並びに男女共同参画社会実現のための施策展開の工夫について、中島副知事にお聞きします。

 IMFによると、日本の女性参加率を北欧並みの85%以上に引き上げるとすると、1人当たり国内総生産が8%伸びると言われています。これを前提としているのでしょう、女性の採用や昇進の機会拡大を図る女性活躍推進法が今春全面施行となります。従業員300人を超える企業は、4月1日までに採用者や管理職に占める女性比率の目標など行動計画を公表することになります。

 このような女性の雇用をめぐり、数値目標の設定や公表を企業に義務づける制度は初めてのことであり、女性を活用するのではなく、女性の活躍を目指すものになるようなことを望みます。そのため、仕事と家庭生活の両立に向けて、社会的な支援や職場環境の整備が必要であると推進法には明記されています。

 この法律は、2026年3月まで有効な時限立法であり、対象企業は全国で1万5,000社程度とのことであります。そこで、国や自治体にも義務を課されていることから、県として策定の推進状況を総務部長にお聞きし、県内の市町村の対応状況について県民文化部長にお聞きします。

 県内の対象企業213社は、計画期間や行動計画を、1月以降、労働局に届け出をします。その後、自社サイトや厚労省が運営する女性の活躍両立支援総合サイトなどで公表をし、さらに各社の実情に応じて2年から5年ごとに行動計画を検証し改定することになっています。

 大切なのは、検証の際、各企業にとっての課題を見つけることであります。そこで、県として、対象企業に対して今後どのように支援していくのか、県民文化部長にお聞きいたします。

 農業対策についてお聞きします。

 TPPについては、昨年10月の大筋合意から2月4日のニュージーランドのオークランドにおける参加12カ国の署名に至るまで、交渉経過の詳細や合意内容の日本語訳の掲示が一部にとどまるなど、国民に十分な情報開示がなされない中で、多くの地方議員の意見書や、医療、農業、労働関係など多くの団体や関係者の反対、懸念の声に耳を傾けることなく署名に至ったことは、まことに残念であります。

 今回、農林水産省が試算し、12月に公表した「農林水産物の生産額への影響について」では、試算の対象品目を、関税率が10%以上、かつ国内生産額10億円以上の農林水産物を対象にしており、農産物で19品目、林産物で14品目の合計33品目を対象として行われました。

 今回の大筋合意については、園芸品目の多くは関税の即時撤廃、もしくは段階的撤廃とされており、本県においては、これらの品目を対象としなければ、全体の影響評価にはつながらないものであります。

 このような状況の中で、県は2月8日にTPP協定にかかわる農林業分野対応方針を策定するとともに、同時に長野県の農林産物の生産額への影響を公表しました。この試算は、国の試算に準じつつも、県独自に園芸品目を追加し試算をされており、この点については一定の評価をするところですが、国と同様に、対策を前提として生産量の減少を見込まずに試算した24億1,400万円の影響額については、さきに公表されたJAグループの試算結果との違いから、農家では戸惑いが広がっています。

 しかし、現時点における試算値の数字の多寡を論じても始まりません。これからの本県の農業生産を維持し、農業農村の持続的な発展につなげていくことがより大切なポイントです。

 私は、TPP協定交渉の調印を受けて、米や畜産はもちろん、本県の主力な園芸品目においても、生産者が将来に希望を持って経営ができるよう、できるだけTPPの影響を緩和するための対策をきめ細かに実施していくことが重要であると思っています。

 一方で、TPPにかかわらず、農業を成長産業としていくため、攻めの農林水産業への転換を進めていくことも必要であります。県では、TPP協定にかかわる農林業分野対応方針を出されましたが、TPPの影響が懸念される農業分野において、今後総合的な対策をどう進めていくのか。知事の所見をお願いいたします。

 現場の農業者の皆さんからは、まだまだ不安の声も聞かれる中で、農家の不安を払拭し、将来に夢を持って取り組めるようにするためには、より具体的な攻めの農林業への転換に向けた支援策を講じなければならないと思います。

 そこで、中長期的な視点に立ち、他県に負けない農産物をつくり、付加価値を高めて売っていかなければなりません。技術開発や新品種の育成など試験研究の展開をどうしていくのか、また、攻めの農業の鍵となる輸出促進や6次産業にどのように取り組むのか。お聞きします。

 TPPの問題も大きな課題ですが、農業を支えている人口はここ10年で5万人弱の減少となっていることも大きな課題です。県は、新規就農里親研修や新規農業MBA研修など、他県に先駆けて企業的経営を目指す担い手の確保に取り組み、一定の成果を上げてはおりますが、このような担い手が持続的に農業を営むために、競争力の強化が必要であり、そのために担い手への農地の集積を一層加速するとしています。

 県では、平成26年から長野県農業開発公社を農地中間管理機構に指定し、農地集積の柱に位置づけ、取り組みを進めておりますが、昨年度の実績は目標を下回ったものでした。平成27年度の取り組みとその成果はどのようになっているのか、また、その結果を踏まえ、今後どのように展開していくのか。

 以上2点、農政部長にお聞きいたします。

 長野県の教育者育成方針についてお聞きします。

 内村鑑三著の「後世への最大遺物」は、明治27年に箱根の山頂で行われた講演を本にしたものでありますが、100年以上読まれている名著であります。その中で内村鑑三は、学校の先生は一種特別の天職であると言っています。そこでは、「先生になる人は学問ができるよりも、学問はなくてはなりませんけれども、学問ができるよりも学問を青年に伝えることのできる人でなければいかん。その伝えることは一つの技術であります。短い言葉でありますけれども、このなかに非常の意味が入っております。たとい我々が文学者になりたい、学校の先生になりたいという望みがあっても、これ必ずしも誰にも望むことができるものではないと思います」とあります。

 やはり誰しもが望むように、児童生徒にとって、当たり前ですけれど、学校の先生という職業ほど重要な職業はないのであります。そして、その先生が子供たちの自然な好奇心を育み、内面から出てくる興味に根差した教育をすべきだという教育哲学は、やはり教育者の基本であります。

 ノーム・チョムスキー博士も言うとおり、教育者が道筋をつくってやり、それに沿って生徒たちが自分のやり方で探検していくような教育方法を進化させていくやり方がいいのです。生徒たちがどきどきしてみずから知りたいと思うように励ます教育システムこそが最高ではないでしょうか。

 そこでお聞きします。

 最近は学力向上に力点が置かれていると言われていますが、学校教育の使命をどのように考えているのか。そのためにどのような対策を立てているのか。そして先人たちが言われているとおり、教育者こそ大切であります。そこで、その教育者の資質、能力を高めるために、教育者研修こそが大切であると考えますが、どのような施策を行っているのか。お聞きします。また、豊かな自然とものづくりの風土を持つものづくり長野県として、中学校の数学と理科はとても大切であります。いわゆる理科系の学力向上のためにどのような施策を考えているのか。 以上、教育長にお聞きします。

 また、教員の採用に当たっては、引き続き一芸に秀でた者など幅広い人材を採用していただきたいと思います。

 アルウィンについてお聞きします。

 アルウィンの整備と松本山雅の新スタジアム構想についてお聞きします。

 昨年、県内初のJ1クラブとなりました松本山雅FCは、残念ながら今期はJ2に活躍の場を移すこととなりましたが、引き続き幅広い世代の根強い人気を得ております。松本山雅FCのホーム開幕戦は3月20日に予定されておりますが、恐らく、地元ホームタウンを初め、県内各地から多くのサポーターがアルウィンに足を運ばれることでしょう。

 さて、昨年度の平成26年11月21日に松本山雅FCのホームタウンである松本市、塩尻市、安曇野市、山形村の4市村長が県庁を訪れ、アルウィンがJ1ライセンスを満たす施設となるよう改修を求める要望書を阿部知事に提出されております。そのような中、松本山雅は、1月20日より松本市の町なかに松本山雅FCの本拠地となる多機能複合型スタジアムの新設を目指す検討会議、松本山雅ドリームプロジェクトを開催しております。

 聞くところによると、この会議の第1回目では、松本山雅の加藤副社長が、収容人数が2万人のアルウィンでは大幅な収益増は望めないなど、クラブの成長に新スタジアムは欠かせないと説明したとのことです。

 そこでお聞きします。

 4市村長のアルウィン整備に関する要望に対し、県としてどのような検討をされているのか。また、今後何をどのように取り組むのか。お知らせください。また、アルウィンの改修を進めながら、同時に新スタジアム構想の推進を図ることは困難ではないかと指摘する声も多いと聞きますが、県の見解はどうか。

 以上2点、建設部長にお聞きいたします。

 

◎企画振興部長(小岩正貴)

 

 本州中央部広域交流圏結節機能の強化に向けた今後の方針についての御質問でございます。

 昨年12月に取りまとまりました方針では、県中央部における交通体系の強化について、ハード、ソフト両面の方策を盛り込んでおります。具体的には、新幹線との円滑なアクセスの確保や大都市圏等との円滑な移動の確保など、こういった観点から、17項目にわたり、いずれも関係市町村との合意として取りまとめたものでございます。

 この内容を受けまして、新年度予算では、松本糸魚川連絡道路のルート検討など事業化に向けた調査設計のための費用、国道143号青木峠トンネルの道路概略設計等のための費用、また、三才山トンネルの通行料の割引対象時間の拡大のための費用などの計上を行ったところでございます。

 以上でございます。

 

◎知事(阿部守一)

 

 順次御質問にお答え申し上げます。

 まず、信州まつもと空港の国際化についてでございます。

 信州まつもと空港の利用者数、FDA就航以降増加傾向にありまして、また昨年3月、福岡線の複便化ということもあり、本年度は10万人を超える見込みとなっております。グローバル化が進展する中にあって、県内産業の振興、地域経済の活性化等、本県活力向上のためにはこれまで以上に海外との交流連携の強化が重要だというふうに考えており、県内唯一の空の玄関口であります信州まつもと空港の国際化を図っていくということは、大変重要な視点だと考えております。

 他方で、信州まつもと空港については、標高が高く、周囲に山々が存在する立地条件や滑走路の長さから、就航可能な機材が限定されるなど課題もあるわけであります。こうしたことを踏まえて、一昨年12月から路線拡充調査を行っているわけでありまして、観光面、ビジネス面、両面からターゲットとする路線であるとか、航空会社の絞り込みの検討を行っているところでございます。

 今後、この調査結果が出てきた段階で、その調査をしっかり踏まえて、航空会社等に対する需要見込みをお示しするなど具体的な働きかけを行って、国際便の就航の実現に向けた取り組みを加速化していかなければいけないというふうに考えております。

 次に、貧困対策の関係で、学習支援策の充実についての御質問でございます。

 貧困の連鎖を防止する上では学習支援が重要だということは、下沢議員御指摘のとおりだと私も思っております。現在、パブリックコメントを募集しております子どもの貧困対策推進計画(案)におきましても、「すべての子どもが学びたいことを学ぶことができる」というあるべき姿を示させていただいているところでございます。

 この目標に向けた取り組みとして、今私どもが進めようとしておりますのが、例えば県内大学の就学継続のため、経済的困難を抱える子供を支援する給付型の奨学金の創設、これは新年度予算に盛り込ませていただいておりますが、また、生活困窮世帯等の子供の学習支援の拡充として、生活福祉資金の教育支援資金の拡充も行ってまいります。また、家庭での学習習慣が十分でない家庭環境の子供たちのために、学習支援を初めとする家庭の補完機能を持つ居場所づくりの促進も図ってまいります。

 また、アウトリーチ型支援によります要支援家庭の孤立化防止を重点的な取り組みとして掲げておりまして、具体的にはスクールソーシャルワーカー、今回の予算の中でも大幅に拡充させていただきたいと考えておりますが、学校と福祉等支援機関の連携が図られるよう取り組んでいくことで、御指摘がありましたような、例えば高校中退防止にも努めていきたいと考えております。加えて、教員OBや学生が貧困家庭を訪問し学習支援を行う取り組みなどについても、市町村と連携を図りながら充実を検討していきたいと考えています。

 次に、意欲あるベンチャー企業等への支援についてでございます。

 ベンチャー企業等への支援につきましては、平成24年度から長野県中小企業振興センター内にながの創業サポートオフィスを設置して、国の中小企業基盤整備機構や金融機関等と連携しながら、相談から経営改善に至るまで一貫したサポートを実施してまいっております。

 来年度もさらにベンチャー企業等への支援を強化いたしてまいります。具体的には、創業・ベンチャー推進員の充実や中小企業診断士等の専門家派遣事業の継続に加えまして、イノベーションを支えるプロフェッショナル人材のマッチングを支援してまいります。また、法人事業税を3年間全額免除いたします創業等応援減税を平成30年度までの3年間延長してまいりたいと考えております。また、創業支援向け資金、そして事業展開向け資金、それぞれ利率を引き下げ、創業支援向け資金は1.3%から1.1%、事業展開向け資金は2.1%から1.7%の利率の引き下げを4月1日から実施をするなど、資金面での支援も充実してまいります。また、4月1日からベンチャー企業への投資を促進いたしますエンジェル税制の事務が県に権限移譲されてまいります。投資環境も踏まえて意欲ある企業の成長、発展をサポートする契機にしていきたいと考えております。

 それから、長時間労働の是正を信州ならではの働き方の推進の中に据えてはどうかという御質問でございます。

 信州ならではの働き方の推進、これは新年度予算の重要な柱でございます。下沢議員御指摘の長時間労働の是正を初めとして、休暇取得の促進、多様な勤務制度の導入など働き方改革をしっかり進めていきたいというふうに思っておりますし、また他方で、一人多役の促進や人生二毛作社会の確立、こうしたものも実現することによって、多様な働き方、暮らし方、長野県から発信をしていきたいと考えております。

 この2月4日には、私が座長となりまして、経済団体、労働団体、そして労働局のトップを委員といたします働き方改革・女性活躍推進会議を立ち上げたところであります。働き方改革に共同してオール信州で取り組んでいこうということを宣言をさせていただいたところでございます。今後、県民誰もが生き生きと働き、人生を楽しむことができる信州ならではの働き方の定着、創造に向けまして、オール信州で取り組んでまいります。

 TPPへの対応でございます。

 本県農業農村が元気でなければ、長野県全体の活力が失われてしまうというふうに考えております。2月8日に県としてのTPP協定に係る農林業分野対応方針を策定をいたしました。品目別におおむね10年後の目指す姿と、生産、流通、消費、各分野における具体的な取り組み事項を明示させていただいたところでございます。

 取り組みの考え方といたしましては、まず、国の品目別対策も最大限活用して農林業への影響緩和を図ってまいります。また、次に、生産基盤や共同利用施設の整備など生産性の向上によりまして、攻めの農林業を展開するための体質強化を図ってまいります。また、さらに県内農産物等の市場競争力の強化に向けて、ブランド化、輸出促進を図ってまいりますし、また、食材の生産、加工、流通、各分野におきまして、県外産を県内産に置きかえる地消地産の取り組みも進めてまいります。

 今後とも、国の対策も最大限活用しつつ、県単独事業も活用して、必要な対策をしっかりと講じて取り組んでまいりたいと考えております。

 私に対する質問は以上でございます。

 

◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹)

 

 三つの質問、順次お答えいたします。

 まず、非正規雇用の状況と、同一労働、同一賃金制度についての御質問でございます。

 平成24年の国の調査によりますと、県内で雇用されている88万2,000人のうち、非正規雇用は男性が9万5,000人、女性が24万7,000人で、雇用されている人全体の約39%が非正規雇用となっております。

 非正規労働者につきましては、雇用が不安定、賃金が安い、能力開発の機会が少ないなどの課題があり、中でも正社員を希望しながらやむを得ず非正規で働いている方々の正社員化を促進することが大変重要と考えております。

 次に、安倍首相が表明しました同一労働、同一賃金の実現につきましては、趣旨は理解できるものの、具体的な内容や実現への道筋の詳細がまだ示されていないことから、当面は国の議論を見守ってまいりたいと考えております。

 しかし、県といたしましては、誰もが仕事に見合った収入を得て安定した生活を営むことができるよう、信州創生戦略に盛り込んだ非正規雇用の正社員化や短時間正社員制度を推進する施策などによりまして、正規雇用の着実な増加を図ってまいりたいと考えております。

 次に、若者の就職支援策についての御質問です。

 若者の県内就職を促進するためには、まずは企業の正社員求人をふやすことが基本と考え、ものづくり産業振興戦略プランやサービス産業振興戦略に基づきまして、県内産業の活性化による雇用の受け皿づくりを進めております。

 また、進学者の約7割が県外へ進学し、その4割がUターン就職しているという本県の特徴に鑑み、県外へ進学した学生のUターン就職の促進を図ることも重要と考えております。

 そのため、県内企業でのインターンシップに参加する県外学生への交通費の助成や、Uターン就職協定校や市町村と連携したインターンシップのモデル事業など新たな事業の予算を今回計上しているところでございます。

 さらに、松本と長野にあるジョブカフェ信州のサテライトといたしまして、東信地域に相談拠点を新たに新設するほか、南信地域での出張相談を重点的に実施するなど、若者の安定就労に向けた支援を強化することとしております。

 次に、介護離職者ゼロについての御質問でございます。

 国は、介護離職ゼロを目指し、介護サービスの充実に加え、介護と仕事の両立ができる環境整備、具体的には介護休業制度の充実や働き方改革を進めようとしております。

 県では、独自の取り組みといたしまして、これまでに5,000社に上る企業を訪問し、短時間正社員制度や在宅勤務など柔軟な勤務制度の導入を働きかけ、介護者が離職せずに仕事を続けられる職場環境整備に取り組んでまいりました。

 また、今年度からは、多様な働き方を導入・実践し職場環境の改善に取り組んだ企業を職場いきいきアドバンスカンパニーとして認証する制度をスタートさせ、現在までに7社を認定しております。来年度はこの認証企業を100社に拡大することを目指して取り組むなど、仕事と介護を両立しながら生き生きと働き続けることのできる職場環境づくりを引き続き推進してまいります。

 以上でございます。

 

◎副知事(中島恵理)

 

 男女共同参画社会実現のための県の考え方、施策展開の工夫について御質問いただきました。

 女性活躍推進法に基づく長野県全域における女性活躍を推進する計画として今般策定した第4次長野県男女共同参画計画では、固定的な性的役割分担にとらわれず、「多様なライフスタイルが実現できる信州」を基本目標に掲げております。その実現のため、職場や地域での女性の活躍を促進するとともに、男性の家事、育児等への参画をさらに進めていくことが必要でございます。

 男性の参画に向けた取り組みとしましては、男性を対象とした相談やセミナーに加え、新たに家事、育児等を積極的に行う男性のロールモデルを提示をし、好事例の普及を図ることとしております。また、議員御指摘の男性の育児休業の取得促進につきましては、社員の子育て応援宣言登録企業の拡大に加えまして、積極的に部下の子育てや介護を応援する上司を県内各地で広げていくイクボス・温かボス創出プロジェクト、イクボスは子育て支援、温かボスは介護ですけれども、イクボス・温かボス創出プロジェクトを連合婦人会と共同して進めていくことにしております。

 また、女性活躍推進法に基づく県職員対象の行動計画では、男性の育児休暇取得を促していくために、男性職員の育休取得率も目標の一つに掲げる方向で検討しています。

 また、女性の活躍推進に向けては、長野県働き方改革・女性活躍推進会議のもとに、県内で活躍されている女性によるプロジェクトチームを立ち上げて、女性の目線に立った政策提言や、女性の活躍を促す取り組みを県と共同して実施することで、県内女性ネットワーク化、または次世代の女性リーダーの育成を図っていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

 

◎総務部長(原山隆一)

 

 女性活躍推進法に基づく行動計画の策定についてでございます。

 県の事業主としての行動計画につきましては、年度内の策定に向けまして、庁内の検討組織により作業を進めているところでございます。

 この中では、ただいま中島副知事が答弁申し上げました男性の育休取得率でございますとか、課長級以上の女性職員の割合、こういったものを明確な数値目標として掲げるほか、具体的な取り組みとして、ライフステージを念頭に置いた新たな研修の実施による女性職員のキャリア形成支援ですとか、時差勤務制度の積極的な活用、テレワーク制度の本格的な導入など、仕事と暮らしの両立を支える取り組みを明記する方向で検討しているところでございます。

 計画の策定を契機に、男女を問わず全ての職員が意欲と能力を十分に発揮して活躍できる長野県組織を目指し、さまざまな取り組みを着実に進めてまいりたいというふうに考えております。

 

◎県民文化部長(青木弘)

 

 女性活躍推進法に基づきます行動計画策定の市町村の対応状況についてでございます。

 昨年12月に県内の市町村を対象にいたしまして行動計画の策定状況を照会してございますが、77の全ての市町村におきまして、本年度中に策定する予定との回答がありました。引き続き、県といたしましては、市町村からの相談に応じるなど支援に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

 続きまして、行動計画策定の対象企業への支援でございますけれども、行動計画に基づきます取り組みが優良な企業につきましては表彰制度がございまして、表彰制度の評価に活用することに加え県のホームページで紹介するなど、女性活躍推進に積極的に取り組む企業を応援してまいりたいというふうに考えてございます。

 また、女性の活躍を着実に推進するためには、法律では行動計画の策定が努力義務とされております300人以下の企業におきましても、計画を策定し実行していただくことが重要でございます。長野県働き方改革・女性活躍推進会議におきまして、企業等で活躍されている女性の意見をお聞きしながら、働きたいという希望を持つ女性や、職場で活躍したい女性がその希望をかなえることができるような仕組みについての検討を行いまして、こうした300人以下の企業も含めて、行動計画の策定とその実効ある取り組みが行われますように、経済団体や労働団体、労働局等と連携して取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

 

◎農政部長(北原富裕)

 

 農業対策に関する御質問に順次お答えをいたします。

 初めに、試験研究の展開についてでございますが、これまでにリンゴのブランド品種となりましたシナノスイートやシナノゴールドを初め、高品質で収益性の高い多くの品種を育成してまいりました。昨年は、高温下でも着色のよいリンゴ長果25、シナノリップでございますが、を開発しまして県内生産者から大きな期待を受けておりますので、早期の栽培拡大を図ってまいりたいというふうに考えております。

 また、コスト削減や規模拡大に向けまして、本年度から水田の畦畔除草機やレタス収穫機などの開発に着手したところでありまして、来年度からは新たに農業生産と両立できる太陽光発電装置などの開発に取り組むこととしております。

 今後も、長野県農業発展のため、中長期的な視点を持ちまして、国や大学などの研究機関や県内異業種のさまざまな企業とも積極的に連携し、農業者の経営安定と所得向上につながる新品種、新技術の開発を進めてまいります。

 次に、輸出促進や6次産業化への取り組みについてでございますが、農産物の輸出につきましては、リンゴやブドウなどの県オリジナル品種を牽引役にしまして輸出量と品目を拡大するとともに、対象国につきましても、従来の台湾、香港に加えまして、シンガポールなど東南アジアのTPP交渉参加国への販路を広げ、安定的で継続的な商業ベースでの輸出を拡大してまいりたいと考えております。また、新たに部局横断で設置されます、仮称ですが、海外販路開拓支援ネットワーク会議等を活用しまして、加工食品とのセットによる県産農産物の販路の開拓、拡大にも取り組んでまいります。

 6次産業化につきましては、より熟度の高い計画づくりへの支援、また2次・3次事業者との結びつきの強化、また規模の大きな事業化への取り組みの促進などを進めまして、6次産業化に取り組みます事業者の経営発展を支援してまいります。

 次に、農地中間管理機構の取り組みでございますけれども、平成27年度は機構と県がキャラバン隊を組みまして、全市町村を訪問し、農家への制度周知と事業の活用を強力に要請をいたしました。また、各種広報紙等を活用し、農家へのPR活動へも取り組んでまいりました。さらに130名余の事業推進協力員を市町村やJAなどに配置いたしまして、農地の出し手の掘り起こしを進めているところでございます。

 この結果、本年度は昨年度の約8倍に当たります1,600ヘクタール余りの農地が担い手へ貸し付けられる見込みとなっておりますが、ことしの目標の2,500ヘクタールには少し届かない状況でございます。この要因でございますが、いまだ農地の出し手が少ないこと、また中山間地域などの農地が狭小なところでは借り手が少ないことなどがありまして、来年度におきましては、新たに農業委員会に設置されます農地利用最適化推進委員と連携し、農地の出し手の掘り起こし活動を一層強化するとともに、機構を活用して担い手への農地集積を進めます農業基盤整備事業に対し支援の拡充をするなどの取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

 

◎教育委員会教育長(伊藤学司)

 

 教育に関しまして、3問お尋ねをいただきましたので、順次お答えを申し上げます。

 まず、学校教育の使命と、それに向けた対策についてのお尋ねでございます。

 学校教育の使命は、子供たちに確かな学力、豊かな心、健やかな体を身につけ、生きる力を育むことであり、第2次長野県教育振興基本計画においても、「知・徳・体が調和し、社会的に自立した人間の育成」を基本目標とし、掲げているところでございます。

 県教育委員会といたしましては、学びの郷信州の創造を目指し、全国学力・学習状況調査と県独自の学力実態調査の結果を踏まえ、PDCAサイクルにより授業改善を図る学力スパイラルアップ事業を行い、未来を拓く学力の向上に取り組むとともに、道徳教育の充実や長野県版運動プログラムの普及による体力の向上などによって、知・徳・体のバランスのとれた人間の育成に取り組んでまいる所存でございます。

 次に、教員の研修についてのお尋ねでございます。

 県教育委員会では、平成25年度に策定をいたしました長野県教員研修体系において、教員に求められる資質・能力を明らかにし、初任者研修、5年・10年経験者研修に加え、キャリアアップ研修を新たに導入するなど、ライフステージに応じた教員研修の充実に努めているところでございます。

 さらに、県教育委員会といたしましては、信州大学等と連携し、教員の養成段階を含め、採用、研修まで一体的に改善しながら教員の資質と能力の向上に努めてまいる所存でございます。

 次に、理数教育の充実についてのお尋ねでございます。

 教育委員会といたしましても、議員御指摘のように、豊かな自然とものづくりの風土があるという長野県の強みを生かし、子供たちの理数系の学力を向上させ、長野県のものづくりを支える人材を育成していく必要があると認識をしてございます。

 そこで、来年度新たに創設をお願いしてございます長野県こどもの未来支援基金を活用し、中学生や高校生を対象にした科学技術人材育成事業を展開していくこととしております。

 具体的には、全国の中学生が長野県に集い、科学の思考力、技能を競う科学の甲子園ジュニアを本県で継続的に開催するためのプレ大会の実施や、科学オリンピックなどの科学分野の大会で本県の中学生、高校生が活躍できるようにするための実力養成講座や強化合宿の実施、また、大学や企業等と連携し、高校生が実験、実習等の実践的な体験学習を行える機会の創出などにより、ものづくり県長野を担う理数系人材の育成に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

◎建設部長(奥村康博)

 

 アルウィンの整備と松本山雅の新スタジアム構想に関する二つの御質問にお答え申し上げます。

 平成26年11月、松本市など4市村長から改修の要望をいただきましたが、その時点でJ1基準を満たしていなかったのは、洋式トイレの数と屋根面積の2項目でございました。これらの基準につきましては、Jリーグからは目標基準として段階的な整備も可能であることが示されており、洋式トイレにつきましては、2015年のシーズン開幕前に一定の整備を完了しております。

 一方、屋根の整備につきましては、観客席の増設等ともあわせて昨年度から関係機関との協議を行いながら検討を実施してまいりました。しかしながら、松本空港の制限区域内にあることによりまして、高さや施工方法の制約を受けるほか、工事中のスタジアムの利用制限に伴う影響についても十分に考慮しなければならず、さらに慎重な検討が必要となっております。

 また、新スタジアム構想につきましては、松本山雅により検討が進められていることは承知しておりますが、これら屋根の整備などの大規模な改修は、Jリーグ基準を満たすためのものであることからも、新スタジアム構想と並行して行うことは難しいものと考えております。

 県といたしましては、新スタジアム構想についての検討の状況を見つつ、関係者とも協議しながら今後の対応を検討してまいりたいと考えております。

 なお、平成28年度につきましては、緊急性の高い大型映像装置の更新やトイレの拡充等を行いまして、より安全で利用しやすい施設となるよう取り組んでまいります。

 以上でございます。

 

◆下沢順一郎

 

 松本空港について、非常に知事からは簡潔なる答弁をいただいて、できればもう少し夢のあるところを一歩踏み込んで答えていただけると大変助かるなと思うんですけれども、例えばチャーター便の早期実現を目指しますとか、何か一言言っていただけると大変ありがたいと思うんですが、いかがでございましょうか。

 それから、上場の企業についてなんですけれども、やはり東京とか名古屋とか、大阪もそうですけれども、ああいった大都会にいるような学生がIターンなりUターンで長野県に戻るといったときに、そういう人たちの一つの基準として、やっぱりこういったものはあると思うんですよね。上場企業みたいなところがあると名前も売れていますし、入って安心かなというような気持ちもありますので、ぜひそういうところの支援、これからやっていこうというところの企業に対する支援というのは、私は充実していくべきだろうというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、続いてCOP21についてお聞きします。

 2006年にはアメリカのゴア元副大統領が「不都合な真実」を発表し、温暖化対策の必要性を説きました。そして2012年には、「成長の限界」を描いたローマ・クラブに所属しているヨルゲン・ランダース氏が「2052」を発表しています。その中で、地球の気候と人間との関係について指摘しています。今後40年間でこの問題を部分的に解決することで、概念、価値観、物の見方が幾らか変化する、システムの変化には時間がかかるが、パラダイムの変化が起きた後には、これまでと違う形の安定が訪れるとも書かれています。

 さて、先日、環境省中部地方環境事務所と長野県が主催した中部気候変動適応策セミナーイン長野の基調講演をお聞きしました。公益財団法人世界自然保護基金ジャパンの小西雅子さんと文部科学省の西川徹さんの講演を聞くことができました。

 小西さんの話によると、観測された世界平均地上気温は1880年から2012年までに0.85度上昇している。CO2は大気中に累積していく性質を持つので、解決するためには世界的な規模での対処が必要であるといいます。地球温暖化の影響によるものとして、世界各地で頻発している異常気象があり、海面上昇による海洋諸島の浸水があり、巨大台風の発生があるとのことでありました。日本でも35度以上になる猛暑日が急増し、熱中症で救急搬送される方が5万5,000人を超えるまでに激増しているとのことであります。

 このまま最悪のペースでいくと、2100年にはさらに気温は最高で6.4度上昇し、降水量は9から16%増加し、海水面は60センチ上昇し、洪水も被害額が3倍程度に拡大するとされ、熱中症で救急搬送される数は2倍以上に増加すると言われています。そして、そのようなことが実現しないために、昨年、パリ協定が結ばれています。

 1990年の京都議定書体制の後、新興国の著しい発展でCO2排出量が急増したため、その必要性から全ての国を対象とした新体制を構築することになったのがCOP21のパリ協定でありました。

 そのCOP21のパリ協定は、地球温暖化対策として、気温上昇を2度未満に抑えるために、今世紀後半に人間の活動による温室効果ガス排出量のゼロを目指すという目標を持つ初めての協定でありました。そして、今の排出削減目標のままでは、気温上昇を2度未満に抑えるというのは不可能ということで、5年ごとに目標達成のために各国がさらに目標を改善していく仕組みをつくっています。これには法的拘束力を有しています。

 また、この目標達成を促すため、全ての国は目標の進捗状況を報告し、公表しなければなりません。議長国のフランスのオランド大統領は、気候変動と闘うための最も美しく平和的な革命をなし遂げたと宣言しました。我々は希望を捨てず、来たるべき危機と折り合いをつけて、生きるすべを学んでいかなければならないのです。世界全体がまずは省エネから始め、低炭素社会へ、そして脱炭素社会へ向けて努力を重ねていく必要があります。日本はこれらの問題に対して技術的に一歩先んじているわけで、今後世界に対して大きな役割を果たすことができるでしょう。

 そこでお聞きいたします。

 気候変動に適応するには、詳細な気候観測に基づき、気候変動やその影響の把握と将来予測を行うことが重要です。そこで、最近の長野県の平均気温はどのように変化しているのか。また、将来の気候変動とその影響をどのように予測するのか。気候変動やその影響の予測に基づき、自然、生態系、農業、健康などさまざまな分野において適応策を講じる必要があるが、どのように取り組むのか。気候変動の影響はさまざまな分野に及ぶため、関係部局が連携を強化しながら推進することが重要であるが、どのような体制で適応策に臨むのか。

 以上3点、環境部長にお聞きいたします。

 現在、中国ではPM2.5による大気汚染問題が深刻です。何度も中国にトップセールスをされている阿部知事として、日本にも大きな影響を及ぼすこのような中国の状況に対して、これまで御自身が培われてきた経験、人脈を生かして、長野県の企業も参加できるような解決策を考えられてもよいのではないかと思われます。国際的なこのような問題に対して手を差し伸べる手段をお持ちでないのか。知事にお聞きします。

 美ヶ原台上問題についてお聞きします。

 信州ビーナスライン連携協議会が昨年11月13日に設立されました。ビーナスライン沿線の各観光地を戦略的につなぎ、広域的な面での観光施策を展開するために、県、沿線近隣8市町及び関係する観光協会等、計19団体・機関が連携し、設立の運びとなったものです。参画団体・機関が一体となって、住んでよし訪れてよしの地域実現に向けて、今後の展開が楽しみです。

 さて、そのビーナスラインは、昭和35年の着手以来、昭和56年に全線供用開始となるまでの間、自然公園法に基づき、国や県を含む関係団体と議論を重ね、建設に至りました。また、ビーナスラインの先線に関しては、平成12年に設立した、美ヶ原高原のあり方を考える21世紀の美ヶ原高原研究会において、行政や観光事業者、自然保護団体などさまざまな立場から議論を重ねてきた経過がありますが、環境問題など難しい問題があり、一定の結論が得られずに現在に至っています。

 自然保護の観点から、平成23年には、排気ガスが排出されずに環境に優しい電気自動車の導入を検討したとも聞いています。台上の環境問題への対応、台上通過の問題を解決するため、環境への配慮も含め、技術が発展している今日、美ヶ原台上の有効活用を地元と共同で研究をしていくことができる時期に来ていると思います。知事の所見をお聞きします。

 議員提案への対応状況についてお聞きします。

 信州・新風・みらいとして、この1年間、議員それぞれの個性を重んじながら、よりよい県政発展のため、多くの一般質問による政策提言をしてまいりました。しかし、我々の政策提案の中でも知事が同意されたものについて、その後の理事者の対応状況について、その後の動向であるとか、また、その進行状況がはっきりと見えないのも事実であります。

 そこで、この1年の中で、知事の前向きな答弁の中から、幾つかその後の対応状況について確認をしたいと思います。

 6月議会における小林議員の質問です。

 知事の言う現地機関が知事の目、耳としての役割を果たすということから、本庁組織のスリム化もあわせて検討すべきではないかという質問に対して、知事は、現地機関と本庁は密接に関係している部分もある。現地機関を支援する立場である本庁がどういった組織、機能を持つのが望ましいかについても検討していく必要があると答弁されています。その後の状況をお聞かせください。

 6月議会での依田議員の質問です。

 我が県として、リニア山梨県駅とその周辺地域での交通結節機能の的確な整備が円滑に推進されるよう山梨県側に何らかのアプローチができないかという質問に対して、知事は、山梨県知事に会う機会があるので、アクセスの向上を含め、山梨県駅が長野県にとって使いやすい駅になるよう働きかけたいという答弁をしています。

 その後の状況について、2点知事にお聞きいたします。

 

◎知事(阿部守一)

 

 松本空港についての御質問、決して消極的な答弁をしたわけではありません。今、路線拡充調査ということで委託調査を行っている結果を見た上でさらに踏み込んでいかなければいけないということで、現時点での具体的なお話は申し上げませんでしたけれども、例えば、先ほどお話がありましたような国際チャーター便、これは、中国を訪問した際にも、私からそうしたことについて関係方面にお話、要請をさせていただいてきておりますので、国際チャーター便の就航というものはもとより、今後ともしっかり取り組んでいきたいというふうに思っています。

 そうした上で、さらにどういう航空会社、どういう地域をターゲットにしていくかということを今絞り込んでおりますので、そうしたものも踏まえた上で、必要な対応について積極的に考えて具体化をしていきたいというふうに思っております。

 それから、環境問題についての御質問でございます。長野県も国際的な環境問題に協力をしていくべきではないかという御質問でございます。

 しあわせ信州創造プランの中での目指す姿、五つ掲げてありますが、一番最初に、世界に貢献する信州ということを掲げているわけであります。昨年、国際関係再構築年ということで位置づけていろんな取り組みを進めましたが、率直に言って、世界の国々との協力関係はまだこれからもっともっと拡大しなければいけないなという感覚であります。長野県、美しい自然環境を有する、そして、そうしたものを守っている県でありますので、こうした特性を生かして世界の環境問題に対応していくということは重要な視点だと思っております。

 環境問題に国境はないわけでありますので、例えば地球温暖化対策、長野県自身の取り組みが世界に貢献する部分でもありますし、例えば中国のPM2.5のお話がございました。河北省と長年友好交流を進めていく中で、この環境問題については中国側の期待は大変大きいものがございます。河北省との間の覚書の中にも、環境汚染改善等の分野での協力を積極的に推進するという1項目を掲げておりまして、現在、環境保全研究所への研修生の受け入れ等、技術交流の推進を図っているところでございます。

 また、オーストリア、昨年訪問させていただきましたが、木材産業の振興中心ではありますが、自然エネルギーの分野、そして自然環境の分野においても、私どもが学ぶべきもの、そしてともに情報交換を行っていくべきものを位置づけておりますが、例えば生物多様性の保全等については相互に情報交換を行っていこうという位置づけにさせていただいております。また、先ほども申し上げましたが、世界の水問題解決のためのアクア・イノベーションプロジェクト、これは県も参画して、信州大学、企業と連携して取り組みを進めているわけであります。

 今後、山の日記念全国大会にあわせて国際会議の開催を検討しているところでございますし、また、駒ヶ根にはJICAの訓練所があるわけでありまして、こうしたものとの連携、協力ということも視野に入れて、今後さらに環境問題に関連して自治体間の連携協力、我々の知見が活用できるものについては積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 それから、美ヶ原台上での電気自動車の通行についての御質問でございます。

 美ヶ原台上については、昭和51年に国の自然環境保全審議会で歩道に位置づけられまして、昭和52年には、県はこれを踏まえて、美ヶ原台上保護利用計画を策定して、美しい展望と草原景観を歩いて楽しむべきエリアというふうにしているところでございます。

 この台上一帯は、八ヶ岳中信高原国定公園の中にあり、自然公園法上の第1種特別地域に指定され、自然環境保全上特に重要なエリアになっております。また、台上においては一般車両の通行は原則禁止になっておりますが、地権者であります森林管理所や牧場管理組合、あるいはホテル関係車両や障害者の利用車両など一部の車両については、現在でも例外として運行を認めているところでございます。

 美ヶ原台上は、歩いて楽しむエリアとして関係者の理解が得られている状況であります。車両の通行については、地元の皆様や関係の皆様方のお考えも含め、慎重に考えるべき問題だというふうに考えております。

 次に、県議会で私が答弁したことについてのその後の対応状況についての御質問でございます。

 まず、現地機関の見直しについては、まだこれは全体的には検討中ということで、その詳細をお知らせできる段階には至っておりません。昨年の11月から県下10地域において現地機関の職員を対象とした討議を行ってきておりますが、職員からも、地域が連携した提案を横断的に取り扱う本庁組織が必要だと、また本庁組織改正について、この現地機関の見直しとあわせて考えていくことが必要だと、さらには、現地で事務処理を完結させるために本庁から十分な権限移譲を行う必要があると、こういった現地機関の見直しにあわせて本庁についても検討する必要があるという意見も寄せられているところでありまして、私どもとしても検討課題だというふうに考えております。

 こうしたことを踏まえまして、例えば、現在企画振興部の現地機関となっております地方事務所の組織的な位置づけのあり方、あるいは、現地機関の機能強化を図る場合に、現地をサポートするために必要な本庁の組織体制をどう構築するかなどの視点から引き続き検討を進めているところでございます。

 県民のために現地機関と本庁が一体となって取り組む体制づくりを目指して、今後ともしっかり検討していきたいと考えております。

 それから、昨年の6月県議会での依田議員の御質問、山梨県知事に対しての働きかけ、山梨県駅へのアクセス向上も含めた使いやすい駅になるような働きかけということでございます。

 このことにつきましては、昨年の6月県議会の後、8月24日に中央東線高速化促進広域期成同盟会総会がございました。その際に、山梨県知事にも時間を割いていただいて、私から何点かお話をさせていただきました。

 リニア山梨県駅の周辺整備の検討に当たっては、中央東線とリニア中央新幹線を一体的に利用できるよう、甲府駅から山梨県駅へのスムーズなアクセスの確保、また中央自動車道を経由した山梨県駅の利用のため、スマートインターチェンジ及び高速バスの乗降場の設置、またパーク・アンド・ライド用駐車場の十分な台数の確保、こうしたことについて、長野県にとっても使いやすい駅にしていただきたいということを要望をさせていただいたところでございます。こうしたことを踏まえて、現在山梨県においてリニア駅周辺整備について検討を進めているというふうに承知をしております。

 岐阜県を含めた3県リニア連絡調整会議も活用して、さらに隣接県と連携を強化する中で、長野県にとって利用しやすい駅になるよう取り組んでまいりたいと考えています。

 以上でございます。

 

◎環境部長(青柳郁生)

 

 COP21について、3点の御質問に順次お答え申し上げます。

 初めに、長野県の最近の平均気温の変化と将来の気候変動及びその影響についてでございます。

 長野県の平均気温は、環境保全研究所の研究によれば、100年間で1.3度、そのうち最近10年間では0.3度から0.4度と急速に上昇しており、本県でも温暖化の傾向が進んでいるものと認識しております。

 気候変動の影響につきましては、平成22年度から5カ年にわたり環境保全研究所が環境省の研究プロジェクトに参画し、幾つかのことが明らかになってまいりました。

 まず、気温は今世紀末までには最大で約5度上昇するおそれがあること、そして、松枯れが標高の高い地域まで拡大するおそれがあること、そして、県内の多くの地域で現在よりも最大積雪深が減少してスキー産業に影響が出るおそれがあること、さらに、リンゴは現在の栽培地における栽培方法では品質の維持が困難になるおそれがあることなどが予測されているところでございます。

 続きまして、気候変動に対する適応策についてでございます。

 広範な分野で精度の高い気候変動の影響を評価するには、気象データを幅広く収集することが重要であり、昨年度、環境保全研究所を中心として、県内にある国の機関や大学など51機関で信州気候変動モニタリングネットワークを立ち上げました。また、今年度から文部科学省の気候変動適応技術社会実装プログラムのモデル地域に指定され、収集した気象データを生かして広範な分野で精度の高い影響評価を促進しております。

 さらに、来年度、大学や企業などと信州・気候変動適応プラットフォームを構築し、適応技術の研究開発を促進することとしております。これは、技術や製品、サービスの研究や開発を行っている大学や企業、そして試験研究機関に対し、気候変動の影響に関する情報を的確に提供することを通じて、例えば農業分野では高温に耐える農産物の開発、防災分野では局地的な大雨の予測、情報提供技術など、適応技術の開発促進を目指す取り組みとなっております。

 続きまして、適応策の県における推進体制でございます。

 県では、知事を本部長とする産業イノベーション推進本部におきまして、主要な取り組みの一つに気候変動適応策を位置づけ、部局横断で、先ほど申し上げました産学官連携による信州・気候変動適応プラットフォームへの取り組みを推進してまいります。さらに、環境保全研究所を中心として、農業関係試験場や工業技術総合センターなど試験研究機関同士の連携を引き続き深めながら取り組みを進めてまいります。

 以上でございます。

 

◆下沢順一郎

 

 美ヶ原台上に関しましては、この「慎重」というところをぜひ「研究」というところに移していただければ大変ありがたいというふうに思いますので、御検討をまたいただければと思います。

 さて、その後の経過につきましては、さまざま丁寧な御答弁をいただきました。この問題解決のために、我が会派では先進地である鳥取県に視察してまいりました。鳥取県では、片山知事のときに改革を行って、県議会からの県政への提案事項に関して、知事が賛同した提案に関しては、議会のホームページ上でその後の対応状況が閲覧できるようになっています。

 このように、理事者が賛同する議員の提案事項をホームページ上などで明らかにすることは、県民にとっても県政がより身近になり、メリットが大きいのではないかと思います。

 ただし、職員の過度の負担となることは本意ではありませんので、運用に当たっては工夫が必要だと思われます。今後の検討課題として提案とさせていただきます。

 以上をもちまして、代表質問とさせていただきます。御清聴、ありがとうございました。