平成28年2月定例県議会 発言内容(石和大議員)


◆石和大

   

 現代社会を生きる子供たちにとって、インターネットはもはや生活の一部であります。県教育委員会が昨年7月から8月にかけて行ったアンケートを見ても、インターネットを利用できる環境にある児童生徒の割合は、小学生84.4%、中学生94.3%、高校生99.1%であります。つまり、ほとんどの子供たちがインターネットを利用しているのです。

 私はネットリテラシー教育、これはネットからの情報を批判的に読み解く力をつけることというものでありますが、その重要性について何度か質問で取り上げましたが、県の取り組みはもっと積極的で全県に広がりを持てるものでなければならないと感じています。報道等で見ていると、市町村では本格的に保護者、児童生徒、学校、そして地域を巻き込んだ取り組みをしているところがふえてきました。

 一番の課題は、その依存性です。ゲーム機、スマホといった携帯端末を体から離せないのです。1日3時間とか6時間とか、もっと長い時間それに触れていなければいられない子供たちがふえています。子供たちは実はそれを自覚しています。何とかしなければならないと思っています。今対策が必要です。自覚があるうちなら改善できると思います。

 県は、対策として、ネット事業者に依頼をして相談体制をとるとしています。事業者は当然ネット事業がまず大事で、利用促進の立場だと考えていますが、子供たちにとって本当に有効な対策となるとお考えか。県民文化部長にお伺いをいたします。

 日進月歩のネット社会で、子供たちへのリテラシー教育については、専門性の高い人材が適時的確にかかわることが求められると考えています。しかし、各市町村で対応するには無理があります。県というスケールメリットを生かすべきです。つまり、県としてそういった人材の登用、もしくは確保が必要です。これまでも指摘してきましたが、人材の確保と的確な配置の現状と今後の対応について、県民文化部長にお聞きをいたします。

 子供たちも危機意識を持っています。保護者も持っています。家庭内のルールがない家庭も少なくはありませんが、ルールがあれば守っているという傾向があります。一昨年、県教委やPTA等で各家庭に配布した家庭でのルールづくりの紙面、市町村教委と連携してルールづくりの指導を徹底すれば効果はあると思いますが、お考えはいかがか。教育長にお伺いをいたします。

 次に、高校生のほとんど全員がスマホを持っている時代です。特に、現在は、高校3年生が1年生のときに、いわゆる折り畳みのガラケーからスマホに転換した、爆発的に普及した学年です。つまり、高校1年生のときからスマートフォンを持ち高校3年間を過ごしてきた生徒たちということであります。これから、卒業後の進学の状況など、新年度に変化がなかったかどうか調査する必要を感じていますが、教育長に御所見を伺います。

 さらに、私立高校の一部では、教室棟への持ち込みを制限しているとお聞きをしています。県立高校でも一部にはあるとお聞きしますが、現在の状況をお聞かせください。また、本来授業中には不必要なものですから、授業中は手にしないという原則を徹底するという県教委の取り組みはいかがか。お聞かせをください。できれば、生徒会が主体となって自主的なルールとして確立をすれば、高校生にとっても、自覚を伴い、実効性が高いと考えますが、いかがでしょうか。教育長に御所見を伺います。

 

◎県民文化部長(青木弘)

 

 ネットに関します相談支援についてのお尋ねでございます。

 子供がインターネットを適正に利用するための実効性ある取り組みを官民協働で検討し実施するため、PTAの皆様や携帯電話事業者やネットリテラシー教育支援機関などの民間事業者、それから国、県警など含めました行政機関などからなります青少年インターネット適正利用推進協議会を昨年10月に設置したところでございます。

 お尋ねの新年度に予定いたしますネットトラブル相談支援モデル事業はこの協議会が行う事業でございまして、学校の長期休みの期間中に、日ごろネット関係の相談支援を専門に行っている民間団体が、子供のインターネット利用により親子、家庭が抱える悩みや相談に対応する窓口を開設する内容でございます。

 相談窓口の設置場所などの内容につきましては、相談される方の利便性や、ただいま御指摘の御懸念等を踏まえまして、今後協議会で検討してまいりたいと考えておりますけれども、この相談窓口や子ども支援センター等におけるネット関係の相談事例などを収集いたしまして、個人情報に最大限配慮した上で事例検討を行い、今後の相談窓口での対応が適切に行えるよう生かしてまいりたいというふうに考えております。

 ネットリテラシー教育に係る専門性の高い人材についてのお尋ねでございます。

 御指摘のとおり、インターネットの情報技術は日々進化してございまして、子供に対し、適正な情報リテラシー教育を行うには、最新の知識を持った人材が必要でございます。教育委員会では、毎年、中学校、高校の生徒指導主事を対象とした研修会を実施しておりますほか、28年度には、新たに初任者研修におきましてもネットリテラシー教育に関する研修を実施することとしてございます。また、地域におきましては、民間のネット教育支援機関等の協力を得ながら保護者等に対する情報モラルに関します研修会を開催するなど、学校以外での取り組みの充実を図ってまいります。

 インターネットは日々進化し、常に専門性の高い知識が求められますことから、県教育委員会や県警本部のみならず、民間団体、情報通信事業者等との連携を図りながら、専門性の高い人材の確保を含め、子供のネットリテラシー向上に適切な助言、支援ができる体制づくりにつきまして、先ほど申し上げました協議会の場で検討してまいりたいというふうに考えてございます。

 以上でございます。

 

◎教育委員会教育長(伊藤学司)

 

 ネットリテラシー教育に関するお尋ねに順次お答えを申し上げます。

 まず、市町村教委と連携したネット利用のルールづくりについてでございますが、県教育委員会では、先ほど議員に御指摘いただきましたように、平成25年度から県PTA連合会、県高等学校PTA連合会とともに、家庭におけるインターネットのルールづくりを促進するため、インターネットの安全な利用に関する共同メッセージを発信しているところでございます。

 今年度はその3年目のメッセージを発出したところでございますが、特に今年度のメッセージは、ルールづくりを家庭任せとせず、まず学校、PTA、地域が一体となって子供とともにルールをつくり、これをきっかけに家庭での話し合いが進むことを目指す内容と改定をしたところでございます。さらに、このメッセージをもとに、市町村教育委員会に対し、地域において積極的な取り組みを推進するよう呼びかけたところでございます。

 こうした動きを踏まえ、既に幾つかの市町村でも取り組みが始められてございまして、県としてもそのような市町村教育委員会と連携を図り、家庭におけるルールづくりの普及に努めてまいりたいと考えております。

 次に、スマホが普及した学年の進学状況等についてのお尋ねでございます。

 議員御指摘のとおり、スマートフォンの所持率は、現在の高校3年生が1年生だった平成25年度の調査で90.4%でございまして、その前年度の1年生の所持率72.8%と比較しても大きく増加をし、御指摘のとおり、現高校3年生からはほぼ全員がスマホを所持する世代になったところでございます。

 進学状況のお尋ねにつきましては、現在大学入試が続いているところでもございまして、確定的なことは申し上げられませんが、高校3年生の大学入試センター試験の結果を各学校から聴取する限りにおいては、現時点では全国における本県の成績はむしろ例年よりも向上しているという状況でございまして、スマホとの直接の関連は現段階ではまだ必ずしも明らかではないというふうに思ってございますが、スマホの長時間の利用というものは、高校生の生活のあらゆる面に影響を与えると考えられますので、県教育委員会としても、スマホの利用が高校生の生活全体にどのような影響を及ぼすかについて、今後適切に把握に努めてまいりたいというふうに考えております。

 次に、スマートフォンの教室棟への持ち込みの制限についてのお尋ねでございます。

 スマートフォンや携帯電話については、県教育委員会では、既に県立高校に対し授業中の使用を禁止するよう指導しており、全ての県立高校において使用を禁止してございます。

 具体的には、各学校において学校への持ち込み自体を禁止したり、授業前にスマートフォンを提出させ、教員が管理したり、ロッカーやかばんにしまわせるなど各校の実情に合わせた取り組みがなされているところでございます。

 次に、生徒の主体的なルールづくりについてでございますが、県教育委員会の調査でも、高校生の約3割が自身のネット依存傾向を課題と考えており、生徒の自覚を伴う取り組みが重要であると認識をしてございます。

 このため、今年度、インターネットの適正利用を生徒みずからが考える高校生ICTカンファレンス長野大会を初めて開催し、生徒による主体的なルールづくりが他の高校にも広がるよう、出された意見をメッセージとし、県内全ての高校生に伝えたところでございます。

 現在、生徒会を中心に動き始めた高校もあり、県としては今後もこうした高校生の主体的な活動を支援し、子供たちがインターネットを適切に利用できるよう取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

  

◆石和大

 

 答弁の中で、本当に耳ざわりはいいわけですが、具体的にこうやるんだということを本当に連携して実現していただきたいというふうに要望しておきたいと思います。

 次に、移住政策についてお聞きをします。

 先日、東京交通会館にあるふるさと回帰支援センターに伺ってお話をお聞きしました。土曜日の夕方でしたが、南信州の自治体セミナーが行われていたり、相談者も多数来訪されて活気がありました。

 4年ほど前だったと思いますが、このセンターが交通会館に移転し、長野県の移住相談窓口も交通会館に開設をされ、そのときも伺いましたが、現在は2フロアに拡張されていました。近々さらに広げられる予定とお聞きをしました。

 一昔前、都会に暮らす団塊の世代を中心にした年代層が、田舎に帰りたいという気持ち、自分の田舎ではなくてもふるさとに帰りたい、晩年はふるさとのような豊かな心で暮らせる環境に暮らしたい、そんなニーズからふるさと回帰支援センターと名づけられたのでしょう。

 現在は地方創生で何となく田舎に興味があるとか、おじいちゃんやおばあちゃんがいる田舎で暮らしたい孫ターンとか、もちろんIターンやUターンの希望も多いそうです。特に最近はUターンの希望が多いということであります。

 さて、都会で暮らしている若者が信州に帰りたいと、ふと思った。仕事はあるかなというふうに考えます。そうしたら、まず親に電話をすることでしょう。「そろそろ信州へ帰りたいとも考えている。仕事ある」、親は、「ない」、そういうふうに答えて、話はそこで終わってしまうわけであります。親は、ふだんから考えていない限りはそんな情報は知りませんから、素直にないというふうに答えてしまいます。

 都会のふるさと回帰支援センターや銀座NAGANOでのセミナーや移住に関する情報は、都会ではもちろんですが、その地元で流さないと効果は半減してしまうということです。例えば、新聞やマスコミ紙などに地元で記事にしてもらうとか、リリースしていく必要があります。親も本気で考え始めます。都会で暮らす子供に、こんな移住セミナーがいつここであるから行ってみたらと電話をするでしょう。地元の就職情報にも敏感になります。地元の意識も変わります。都会から帰ってくる、または移り住もうという人々を迎えるという意識が芽生えます。受け皿は地元の住民の皆様なのです。

 そこでお聞きします。

 長野県へのUターン就職のための説明会や移住に関するセミナーの開催等の情報、これは各市町村が主催するものとか、いろいろな形態があると思いますが、県内に住む親を初め地元の人に広く知ってもらい、子供や若者に地元から発信することも大切であると考えます。県内就職や移住を促す相談会の開催情報を県内外にどう告知しているのか。企画振興部長に伺います。

 県内市町村の中には、非常に積極的かつ熱心に移住促進事業を推進しているところがあり、活発だということです。県の具体的な取り組みと各市町村との連携について、所見を企画振興部長に伺います。

 ふるさと回帰支援センターと銀座NAGANOには移住相談員が配置され連携しているということですが、やはり移住は人です。この移住相談員が長野県へもたびたび来て地元の人と接し、現在のリアルな情報を肌で感じてもらうと、相談にもさらに的確に対応できると考えていますが、現在の研修状況と今後の工夫について、企画振興部長にお聞きします。

 次に、子育て世代の移住についてお聞きします。

 都会で暮らす子育て世代の中では、地域コミュニティーの中でコミュニケーション能力を醸成したい、森のようちえんに興味がある、防犯カメラの監視より見守りの目に守られたいなど、都会にはないものを夢見ているというニーズがあるようであります。これらには多分に女性の視点が含まれています。夫が田舎で暮らしたい、故郷に帰りたいと言っても、妻が賛同しなければ実現はしません。移住推進のターゲットはやはり女性です。県の取り組みに工夫はあるのか。県民文化部長に伺います。

 ひとり親の移住というアプローチが事業化の予定ですが、どんなことを考えているのか。幼い子供は親といたい。そんな気持ちに応える親の働き方の工夫や、サークルのような仲間の組織で仕事を分担し合えるような体制づくり、テレワークなどの拡大も必要だというふうに考えますが、どんな手法を考えているのか。県民文化部長に伺います。

 

◎企画振興部長(小岩正貴)

 

 移住促進事業について、私には3問御質問いただきました。

 まず、相談会の告知についてでございます。

 長野県では、U・Iターン就職や移住のための相談会を、今年度、これまで東京で31回、名古屋、大阪でそれぞれ3回ずつ開催をしております。より多くの方に参加していただくため、県やふるさと回帰支援センターのホームページ及びフェイスブックでの告知を初め、御登録いただいている方へのメールの配信、県内ハローワークや銀座NAGANOでのチラシの配布などさまざまな媒体を活用して告知をしているところでございます。また、プレスリリースも行い、マスメディアを意識した情報発信に取り組むとともに、県政広報枠を活用して県内のテレビ・ラジオでの告知も行っているところでございます。引き続き各種媒体を活用し広報するとともに、今後は市町村の広報紙等でも広く周知していただきますよう働きかけてまいりたいと考えております。

 次に、県の取り組みと市町村との連携についてでございます。

 県内市町村の中には、移住体験ツアーの開催や田舎暮らし体験施設の設置、さらには住宅取得のための補助制度を設けるなど、移住者の誘致に積極的に取り組んでいるところがございます。移住希望者の多くは複数の市町村を比較検討した上で移住先を決めることから、市町村単独ではなく、県全体でプロモーションすることが大切と考えております。

 そこで、平成18年に、県、市町村、民間事業者で構成する田舎暮らし「楽園信州」推進協議会を立ち上げ、3大都市圏での移住相談会の開催やホームページでの情報発信に取り組んできたところでございます。また、都道府県で唯一、東京、名古屋、大阪の3大都市圏全てに移住専門の相談員を配置し、相談に訪れた希望者を市町村に取り次いでいるところでございます。

 新年度におきましても、引き続き市町村と連携して移住相談会を開催するほか、豊かさを実感できる信州暮らしを紹介する動画作成などに取り組んでまいりたいと考えております。

 3点目、移住相談員の研修についてでございます。

 移住相談は、市町村の地域情報にとどまらず、仕事や住まい探しの紹介など多岐にわたるため、相談員にはさまざまな知識や情報のほか、相談に的確に応じる能力も求められるところでございます。

 そこで、移住相談員を採用するに当たっては、長野県に関する基礎的な知識や相談業務の経験があることを条件としております。また、相談員には県内を順次視察してもらい、市町村の移住担当者等と意見交換をしながら情報収集する機会を設けてまいりました。

 今後は、移住した方や受け入れ支援団体との意見交換のほか、就農や起業、創業支援に関する勉強会を充実させることにより、相談員の一層の資質向上を図ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

◎県民文化部長(青木弘)

 

 子育て世代の移住についてのお尋ねをいただきました。

 本県の子育て環境は、待機児童がゼロであること、地域で子供たちを見守るきずなが強いこと、また生活コストが安いことなど、都市部の環境と比べて優位な点が多いというふうに考えてございます。また、信州やまほいくに代表される自然環境を生かした保育は、都市部の子育て世代の多くが希望する保育のあり方であり、女性に高い関心を持っていただける内容ではないかなと考えているところでございます。

 こうした本県の子育て環境の特徴や魅力を、県の子育て支援ホームページにより、また「信州で学ぼう!」魅力発信事業によるSNSを活用しての取り組みによりまして県内外に発信してまいりたいと考えておりますし、さらには、都市部の女性に向けまして、女性購読者層の多い子育て支援の情報誌でございますとか、移住専門誌等を活用したり、銀座NAGANOでの移住セミナーにおきまして自然保育の取り組みや県の子育て環境等の紹介をするなど、今後とも工夫を続けてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 それから、ひとり親家庭の移住につきましては、この事業の実施に当たりましては、求人の情報でございますとか、公営住宅などの住まいの情報のみならず、学校や保育所その他の子育て情報をパッケージにして提供させていただきますとともに、具体的には、お試しツアーでございますとか現地採用の面談会、あるいは採用先事業所における研修費用等の補助の支援を行う市町村に対しましての支援を行うという形での事業推進を考えているところでございます。

 個別のニーズへの対応ということが大変重要な観点でございまして、お尋ねにございましたように、生計の維持と子育てを一人で担うひとり親家庭が希望する生活スタイルに配慮するという観点からも、移住先の市町村と十分に連携して取り組むことが肝要ではないかと考えてございます。

 今後事業を進める中で、新しい課題でございますとか取り組みにつきましては、どんな工夫ができるかを検証しつつ、今後の対応につなげてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

 

◆石和大

 

 観光大県づくりについて伺います。

 貸し切りバスツアーへの助成については、平成12年に自動車運送事業の規制緩和が実施され、貸し切りバスについても事業参入時の免許制を許可制とするなど、規制緩和が行われました。この規制緩和を行って以降、全国のバス事業者数は倍増し、過当競争状態に突入したと言われております。

 このような過当競争状態の中で、平成24年4月に関越自動車道で高速ツアーバスが道路側面に激突し、乗客7名が死亡するという重大事故が発生しました。この事故を受け、国土交通省では、高速・貸切バスの安全・安心回復プランを策定し、交代運転者の配置基準の厳格化や運賃料金制度の明確化などの貸し切りバスの制度改正が実施されました。この制度改正により、貸し切りバス料金が上昇し、長野県を訪れる貸し切りバスが減少したことにより、県内の観光施設や宿泊施設に大きな影響が生じていると感じています。

 県では、このような状況を受け、今年度貸し切りバスツアーに対する助成制度を実施したところでありますが、助成制度の目的、そしてその成果はどのようなものであったのでしょうか。また、来年度も貸し切りバスツアーへの助成をテーマ別ツーリズムを軸に実施するとのことですが、どのような助成を考えているのか。観光部長に伺います。

 先日、軽井沢町でスキーツアーバスが道路外に転落し、15人もの方が亡くなるという非常に痛ましい事故が発生しました。亡くなった方々の御冥福をお祈りするとともに、負傷された方々に御見舞いを申し上げます。

 さて、このツアーは県が実施している助成制度の対象ツアーであったのでしょうか。また、来年度の助成事業実施に当たっては、事業者の安全対策を条件にするべきではないかというふうに考えますが、観光部長に所見を伺います。

 次に、私はかねてから浅間サンラインを活用し東信地域の観光地をめぐるバスの運行を提案してきたところであります。来年度、県では東御市を初めワイナリーが集積した地域でのワインツーリズムを検討しているということですが、事業の狙いはどのようなものなのでしょうか。また、どのようなスキームを考えているのか。観光部長に伺います。

 また、信州ブランド再構築・発信事業の狙いは何か。統括ディレクターの役割と事業内容について、観光部長に伺います。

 さらに、信州・長野県観光協会のDMO移行のため、マーケティング及びインバウンドの専門人材を採用するというふうにしていますが、どのような目的によるものなのか。観光部長に伺います。

 

◎観光部長(吉沢猛)

 

 観光大県づくりにつきまして、五つ御質問をいただいております。

 1問目が、貸し切りバスツアーに対する助成制度についてでございます。

 本年度実施した貸し切りバスツアーへの助成制度は、運賃料金の制度改正に対応し、新たな試みを追加する形でツアーを実施する旅行会社に対して助成を行うことにより、来年度以降の貸し切りバスツアー造成につなげていくことを目的としたものでございます。

 具体的には、出発地を長野県内の目的地に近づけたり、行程の途中で鉄道を利用するなどの新たな試みを行った貸し切りバスツアーを対象として、現在までのところ約1,700台、1億2,000万円余の助成を行ってきております。

 本年度事業の成果でございますが、助成を行った旅行会社に対しヒアリングとアンケート調査を行ったところ、80%以上の旅行会社が来年度も同様のツアーを実施するか、または行程を一部変更して実施すると回答しておりまして、来年度以降につなげるという所期の目的がおおむね達せられるものと考えております。

 来年度におきましては、本県の強みである、山、アウトドア、健康長寿などのテーマ性を持った観光地を利用することや、県内での宿泊を伴うなどの条件を満たすバスツアーへの助成を行うことで、県内の周遊促進とリピーターの確保を図ってまいります。

 2問目が、貸し切りバスツアーの安全運行についてでございます。

 軽井沢でのスキーツアーバス事故についてでございますが、このツアーは県が本年度実施している助成制度の対象とはなってございません。県としては、今回このような痛ましい事故が起きてしまったことから、安全、安心に長野県を訪れていただくことを今まで以上に重視して、来年度事業の審査に当たりましては、旅行業者とバス事業者との契約関係や運賃料金水準などを含めて、事業者の安全対策について確認を行うよう検討してまいります。

 3問目が、ワインツーリズムの振興についてでございます。

 ワイン産地という特色を生かして観光客を県内へ誘導することは、観光消費の拡大や地域の活性化につながる重要な取り組みと認識しております。特にワインツーリズムを進める観点からは、最寄りの駅からバスやタクシーなどを利用するか、あるいは自家用車の場合はハンドルキーパーを確保する必要があり、ワイナリーをめぐる交通手段をその地域に合わせて検討する必要があります。

 現在東御市が含まれる千曲川ワインバレー東地区におきましては、新幹線軽井沢駅の乗降客や別荘などの長期滞在者が地域内のワイナリーをめぐることができるバスの運行を実証的に行うことを検討しております。

 今後、地元市町村、運行事業者、ワイナリーなどとともに、ルート、乗降場所の検討を行い、ことしの夏場から秋口の休日に軽井沢駅と上田駅を結ぶバスの運行を行い、利用状況や運行にかかる時間、経費などを検証してまいります。

 4問目が、信州ブランド再構築発信事業の狙いと、統括ディレクターの役割などについてでございます。

 信州ブランドの確立につきましては、しあわせ信州をキャッチフレーズに、市町村、企業の皆さんと信州の魅力発信として取り組んでまいりました。取り組みから3年が経過する中、しあわせ信州が県内で一定程度浸透してきている一方、全国、海外に目を向けると、まだまだ知られていない現状があることから、信州ブランドを確かなものとする必要性を感じております。

 そこで、しあわせ信州をより具体的な言葉で打ち出すことで信州のイメージを浮き彫りにしていくため、地域や企業のブランディングに実績のある方を統括ディレクターにお願いし、信州らしい統一感のあるイメージづくりを行ってまいります。

 事業内容としては、まず信州の強みである健康長寿、山、アウトドアといったしあわせ信州の具体化によるイメージの形成、次にこれらを使ったプロモーションビデオなど発信素材の制作、そしてウエブを中心とした各種媒体や手段による発信などを行ってまいりたいと考えております。

 5問目が、信州・長野県観光協会のDMO移行についてでございます。

 DMOは、地域の稼ぐ力を引き出し、地域経営の視点に立って観光地域づくりを担う主役となる組織体として期待されているものであり、その中でも、マーケティングの実施が最も基本的で重要な機能とされております。

 信州・長野県観光協会におきましては、来年度DMOに移行するためにマーケティングの専門人材を採用し、科学的な手法によるマーケティングを実施し、それに基づいて今後は経営戦略の策定と達成目標を設定して事業を運営していくことになります。

 あわせて、インバウンドに関する営業ノウハウやネットワークを持つ専門人材を採用し、マーケティングの結果を踏まえながら、事業者との連携を強化し、事業者の稼ぐ力につながる効果的な旅行商品の造成やプロモーションを実施してまいります。

 以上でございます。

 

◆石和大

 

 若い世代に対する結婚支援の推進についてお伺いをいたします。

 結婚を希望する若者の出会いの機会の拡大、結婚に関する機運の醸成といった結婚支援を県全体でしっかりと取り組むべきとこれまでも申し上げてきました。若者の希望がかなえられるよう、さまざまな視点から応援することが、少子化対策としても大切な取り組みであります。

 県は、平成25年から、ながの出会い応援プロジェクト事業として、結婚支援について本格的な取り組みを始め、開始から3年が経過します。本事業は県民との協働が重要であり、行政と身近な人々と連携が深まり、広がりが求められます。

 町なかで結婚に関する相談に乗り、そして結婚することのすばらしさを伝え機運を醸成する婚活サポーターの活動を中心に、これまでの成果はいかがであったのでしょうか。また、その成果から課題をどう認識し、その課題を踏まえて新年度に向けて何を目指していくのか。県民文化部長に伺います。

 特に、ながの結婚マッチングシステムは、広域的な出会いの機会を拡大する手段として重要であると考えます。しかし、一昨年質問した際の現状では、十分機能しているとは言えない状況でした。その後、セキュリティー対策を講じて利便性を向上させる改善をされたということでございますが、特にシステム改定後の成果と今後の取り組みについて、県民文化部長に伺います。

 また、結婚できない理由では、適当な相手にめぐり会わないが最も多い中で、次いで、結婚資金が足りないとする経済的な理由を挙げる若者も多いわけであります。また、二十歳から34歳の男性のうち、正社員は47.6%が結婚しているのに対し、非正社員は16.8%にとどまっており、正規雇用と非正規雇用では有配偶者率に顕著な差が認められるものであります。

 結婚支援のためにも、若者の安定就労の支援、正社員を目指す若者を応援することが重要と考えますが、どう取り組まれるのかについて、産業労働部長に伺います。

 

◎県民文化部長(青木弘)

 

 ながの出会い応援プロジェクト事業の成果と課題についてのお尋ねでございます。

 この事業では、出会いの仲立ちなどをボランティアで行っていただきます婚活サポーター、出会いを成婚につなげるためのさまざまな講座、交流会による婚活セミナー、結婚を希望する方のデータベースであるながの結婚マッチングシステムの普及、推進等を行ってございますけれども、主な成果について順次お答えいたします。

 婚活サポーターは、2月15日現在で個人の方が582人、団体は141団体の方に登録をいただきまして、この2年間で40組の成婚を支援いただいております。また、婚活セミナーではこれまでに二組の成婚報告があり、今年度も40組のカップルが成立しているところでございます。

 一方、課題といたしましては、婚活サポーターでは、相談対応に悩まれたり、相談者の情報が少ない等の御意見があることから、引き続き婚活コーディネーターがその活動を支援してまいりたいと考えております。また、婚活セミナーでは、市町村等が行う同様の事業との重複、女性の参加者の拡大が課題となっております。

 こうしたことから、来年度は婚活支援センターを設置し、県としての支援体制の強化を図りますとともに、新たに企業間交流によります若者の出会いの場づくりなど、市町村等が行う事業との重複などの見直しを行った上で取り組みを進めますほか、移住等の連携も視野に入れる中で、県外におけます情報の発信強化、それから交流会の開催を実施してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 ながの結婚マッチングシステムについてでございますが、結婚を希望する方のプロフィールをデータベース化いたしましたながの結婚マッチングシステムは、システム改修や市町村、企業等への普及推進などに取り組んだ結果、登録者はこの2年間で約3倍の655名、年間のお見合い件数は、昨年度と今年度を比べますと、倍以上の93件に増加してございますし、成婚数は平成25年度までは1組でございましたが、この2年間で8組にふえているところでございます。

 県内には公的結婚相談所が66カ所ありますけれども、システムの利用団体は30カ所にとどまってございまして、広域での情報が得られるこのシステムの利用は、相談所の体制強化にもつながることから、来年度は婚活支援センターを中心に利用団体の拡大にも努めてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

 

◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹)

 

 お答えいたします。

 若者の安定就労の支援についての御質問でございます。

 これから結婚、子育てをしようとする若い世代におきまして、雇用が不安定で収入面での不安がある非正規雇用は切実な問題であると認識しております。そのため、県では、正社員を希望する若者を対象に、座学と職場実習を経て直接正規雇用に結びつける取り組みをこれまで進めてまいりました。これまでに260人を超える正社員を生み、具体的な成果を上げていることから、来年度も継続して実施する予算を計上しているところでございます。

 また、来年度は、若者の就職相談にワンストップで対応しているジョブカフェ信州の新しいサテライトを東信地区にも増設するほか、南信地区への出張相談回数をふやすなど、全県で正社員を目指す若者の相談体制を強化してまいります。

 県といたしましては、このような取り組みを通じて若い世代の雇用の安定を図り、ひいては結婚支援につなげてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

◆石和大

 

 長野県への移住の促進、観光振興による交流人口の増加、そして結婚支援と若者の就労支援の充実、人口定着・確かな暮らし実現総合戦略の実効性を高めるのに不可欠な要素であります。そして、本日質問の中で申し上げましたとおり、そこに共通するのは人材であります。そこでいかに人材が育つか、また、いかに有効な希有な人材をしっかりと登用し的確に配置するか、それによってこの事業の成果があらわれると確信をいたします。どうかその確かな実行による成果に期待をしまして、質問を終わります。