平成28年11月定例県議会 発言内容(小林東一郎議員)


◆小林東一郎

 

  順次質問してまいります。最初に、大北森林組合問題について伺います。

 県は去る15日、大北森林組合事案の県民向け説明会を開催しました。この事案が、補助金の不正受給がいかになされたかであったり、それに関与した職員処分の問題であったり、さらには刑事事件としての側面であったりと多岐にわたっており、全体像を丁寧にわかりやすく示し、県民の理解を得たいという目的で実施されました。

 私も参加いたしましたが、林務部や第三者の林務部改革推進委員会からの説明の後、この問題に特段の関心を持って参加をされた約30名の方々からの疑問や要望をお聞かせいただいての印象は、これまで知事が説明に努めてこられた内容への理解が余りに薄いということです。

 知事が就任早々に実施をされた浅川治水対策についての意見を聞く会で、浅川ダムの建設を求める方々からの多くの意見が、ダム建設の目的である中流域の外水対策とは相入れないものであったことと重なるように思えてなりません。

 そこで、知事にお聞きします。

 この問題についての県民理解は進んできているとお考えでしょうか。県民の理解を得るためにこの問題の全体像を示すというのが今回の説明会の目的であったはずですが、説明会の開催告知は前日の、しかも午後にまでずれ込み、誰に対する説明会なのか、平日の、しかも夕方からの時間では、参加できる人間が限られるとの批判も相次ぎました。知事は後日、この事態について、私の責任と表明されておられますが、どのような経緯によって告知がかくもおくれることになったのかお聞きします。

 説明会では、知事みずからが全体像をわかりやすく県民に再度説明する必要があるとの要請に、林務部長は、開催については検討すると答えています。知事も15日の説明会と同様の説明の場を設ける可能性については否定をされていませんが、開催すると明言されてもおられません。

 隣国の状況を見るまでもなく、知事みずからが県民に向き合って説明されることが県民理解を進める最善の方策と考えますが、今後説明会を開催する予定はおありか、お伺いをいたします。

      

◎知事(阿部守一)

 

 大北森林組合の問題に関して、県民の皆様への御説明についての御質問をいただきました。

 まず、大北森林組合等補助金不適正受給事案につきましては、これまで組合への補助金返還請求、組合及び元専務に対する刑事告発、県職員に対する懲戒処分など、県としてその都度適切な対応に努めてまいりました。また、県としての考え方、認識についても、その都度、知事会見、あるいは県議会等への御説明で、できるだけ丁寧にわかりやすくお伝えをするように努力をしてまいりました。

 しかしながら、御質問にもありましたように、今回の事案は論点が非常に多岐にわたっております。さきの定例会で御質問等をいただいたことも踏まえて、全体的にこれまでの県としての対応状況を御説明すること、それから事案の全体像について林務部改革推進委員会の委員の皆様方から改めて第三者の視点で御説明をいただくということで、今回説明をさせていただきました。

 この事案への対応に当たりましては、県民の皆様方の御理解が私は大変重要だというふうに思っております。引き続き丁寧な説明に努めていきたいと考えております。

 開催告知が前日までずれ込んだ経緯ということであります。

 私自身、この責任者として、前日の告知になったということは、これは反省をさせていただいております。

 今回の経過でございますが、林務部、総務部で、前の週に告知をするべく準備を進めておりました。しかしながら、改革推進委員会、第三者の方にも今回出席をいただくということで、日程、あるいは当日の段取り等についての調整に手間取った結果、決定、それから告知自体が週をまたいでしまって前日になったものというふうに報告を受けております。

 今回のことを教訓にして、これから県としていろんなイベント等を行うときには、できるだけ御参加いただく皆様方の立場に立った告知に努めていきたいというふうに思います。

 それから、今後の説明会の開催予定という御質問でございます。

 冒頭申し上げたように、私としても、今回の件については、会見等でも御質問にも最後までしっかりお答えして、丁寧にわかっていただけるように努力をしてまいりました。11月15日の説明は、これは第三者の視点で全体像を御説明いただきたいということでお願いをして、第三者の方から御説明をしていただいたわけであります。

 今後この説明をどうするかということでありますが、刑事裁判、現在進行形でもあります。どういう時期にどういう形で県としての考え方、取り組み状況を説明していく必要があるのか、説明していくべきか、そういうことについては十分検討していきたいというふうに思っております。県民の皆様方から理解と信頼が得られるように、これからもこの事案にしっかりと向き合っていきたいと考えております。

 以上です。

      

◆小林東一郎

 

 大北森林組合の補助金不正受給がなぜ7年もの長期にわたって続けられたかの鍵は、県職員が組合の架空申請を容認していたからではないか、いわばあうんの呼吸が県と組合の間にあったのではないかということです。この点について、検証委員会は、県職員が個人的な利益を得ていた事実はなく、情を知って交付したとは明言できないとしています。これにより県は架空申請を容認した事実はないという説明を繰り返してきました。

 9月14日と15日、組合と組合前専務理事の裁判に、当時北安曇地方事務所林務課に勤務していた8人が証人として出廷、県職員としての規律が疑われる証言が続出しました。具体的には、本庁職員が未完了事業の実施を認識していたと想像する。本庁は未完了となることを前提に予算消化を押しつけてきたと私は捉えた。組合の申請に不適切な点を見つけ、上司に相談したところ、何とか通す理由を考えるのが役目でしょうと不適切な申請を認めるように求められたといった証言であり、これらの証言について県の再確認がされたところです。

 林務部からは、これまでに明らかになっている事実関係と食い違うものではないとの説明がされましたが、林務部改革推進委員会の高橋委員長は、てんまつ書及び裁判での証言と再確認のどちらにも確証なしと認めるしかなく、したがって、検証委員会の報告のとおりと結論づけています。つまりは、本庁職員から予算消化圧力等により架空申請を容認したか否かについて認定するのは難しいということなのです。

 そこで、以下3点についてお聞きします。

 一つに、県職員への再確認は裁判での証言を重視し、その内容に即して進めなければならないはずですが、聞き取りはそのように行われたのでしょうか。総務部長に伺います。

 二つに、予算消化を地方事務所に押しつけたという認識が本庁職員になかったということなら、裁判での証言が偽証ということになるのではありませんか。これも総務部長に伺います。

 三つに、これは知事に伺いますが、確証がなく認定することが難しいことが林務部改革推進委員会の結論であるならば、この点はグレーのまま残されていることになります。これをいかに解明され県民に説明されますか。また、解明に当たっては透明性が欠かせず、公開を原則とすべきですが、御見解をお聞きします。

      

◎総務部長(小林透)

 

 御質問に順次お答えをいたします。

 まず、県職員への再確認についてでございますが、公判の中で北安曇地方事務所に在籍した職員から本庁職員の認識にかかわる発言があったため、再度確認するための聞き取りを行ったものでありまして、先月10月下旬に北安曇地方事務所職員と本庁職員9名から、それぞれ事実の認識について客観的な立場から事実確認を行ったところでございます。

 事実確認に当たりましては、北安曇地方事務所職員と本庁職員の考えにつきまして、議員御指摘のとおり、裁判の証言にのっとり一人一人徹底して聞き取りを行いました。その上で、その状況につきましては、11月15日の説明における資料で、要旨を一歩踏み込んで、県民の皆様になるべくわかりやすいということを心がけてお示しをしたところでございます。

 次に、裁判での証言についてですが、今回の本庁職員からの聞き取りにおいて、予算の執行は進めたが、不適正な処理を前提に予算消化を押しつけたことはないということを確認してございます。

 一方で、北安曇地方事務所林務課の職員は、公判で、当時の本庁職員は不適正な処理を前提に予算消化を押しつけてきたと私は捉えたとしているものでございます。そうした裁判での北安曇地方事務所職員の証言は、そのように受けとめたと本人は捉えたと述べたものでございまして、偽証には当たらないものと考えているところでございます。

 以上であります。

 

◎知事(阿部守一)

 

 お答えします。

 私への御質問は、11月15日に高橋委員長が説明の場で発言をされた、検証委員会としても確証はなく認定するのは難しいという部分を捉えての御質問でありますが、ここの受けとめ方が、小林議員と私どもとの捉え方がまずちょっと少し違っているということを申し上げたいと思います。

 これは、高橋委員長にもこの発言の趣旨を確認させていただいておりますけれども、認定するのは難しいというふうに御発言されているのは、本庁職員が不適正申請を認識していたことを認定するのは難しいと。不適正申請を認識していたことを認定するのは難しい、認定はできないと言っているわけですよね。

 そういう趣旨の御発言で、説明要旨のテープ起こしを私も拝見していますが、ここの文章だけ読むと確かに少しわかりづらいんですけれども、これは高橋委員長に御確認させていただいたところ、そういう認識での御発言ということでございますので、御理解いただければと思います。

 以上です。

      

◆小林東一郎

 

 先週23日までに、大町市や池田町、静岡県に住む27歳から64歳までの男女計22人が大麻取締法違反容疑で逮捕されました。この中には、森林整備事業で補助金を不正受給し、県から1,500万円の返還を求められている池田町の林業事業体の社長と従業員が含まれていると報道されています。

 今後、この事業体が存続不可能となれば、返還は宙に浮き、既に解散している小谷村里山整備促進協議会への補助金270万円余に続き、県民の負担の増加が懸念される事態となっています。

 さきの説明会でも、大久保コンプライアンス推進参与から、林務部のコンプライアンス確立についてはさらに踏み込んだ対応が必要との指摘がされています。林務部改革に向け、どのようにリーダーシップを発揮されていかれるのか、知事の覚悟をお聞きします。

      

◎知事(阿部守一)

 

 大北森林組合の問題に関連しては、この今回の事案に対する適切な対応とあわせて、小林議員御質問ありましたように、林務部の再生、県民の皆様方からの信頼の回復ということが、あわせて極めて重要な我々の取り組むべき事項だというふうに考えております。

 コンプライアンスの推進、全体としては本年をコンプライアンス元年と位置づけて、県庁全体で意識改革、組織風土改革に取り組みを始めております。まずはそうした中で林務部の徹底した再生から進めていこうということで、林務部とも協力して、林務部と一緒に取り組んでいるところであります。

 特に、組織風土の改革をしていくということで、林務部の中でコミュニケーションの円滑化というようなことで、テレビ会議等の積極的な導入等を行いまして、本庁と現地機関とがこれまで以上に意思疎通を図るようにしてきております。

 また、これは林務部だけではなくて、私の立場としては、林務部の風通しをよくする、あるいは林務部固有の視点だけではなくて、ほかの視点も入れていくということで、林務部内に林業技術職以外の職員をふやすというような人事も始めています。

 また、そもそも仕事自体のあり方、今回のような問題を引き起こすことがないように、例えば造林事業におきましては、2人体制での厳格な調査を実施始めておりますし、また、森林組合に対する検査も公認会計士に同行を求める検査も始めております。こうしたことで具体的な改善を進めていきたいというふうに思っています。

 私としては、まずは林務部の再生、そして今回の事案を契機として、もう一回根本から長野県という組織、行政組織全体のコンプライアンスの推進に全力を傾けていきたいというふうに思っております。

 大きな組織であります。いろんな具体的な取り組みは始まっているとはいえ、県民の皆様方の目から見たときには、必ずしもまだ十分ではないだろうというふうに思っております。県民の皆様方から選ばれた知事として、責任を持って県の組織風土改革、コンプライアンスの推進、これからも全力で取り組んでいきたいというふうに考えております。

 以上です。

      

◆小林東一郎

 

 昨年度の会計検査院実地検査において、2013年度、信州・長野県観光協会、現長野県観光機構でありますが、県から委託された楽園信州ファンクラブ事業について調査がされたところ、実際には納品されていない物品が納品されたように装う架空の納品書や請求書が作成されていたことが判明、267万円余の不当な支出を会計検査院から指摘をされています。しかも、この物品納入の担当者は、県が同協会に派遣していた県職員であったこともわかっています。なぜこのような事態が起こったのか、観光部長に説明を求めます。

 また、この委託事業にかかわる会計局の審査でなぜ見落としがされたのか、会計管理者にお聞きします。

      

◎観光部長(吉澤猛)

 

 今回の事態発生の要因についてのお尋ねでございます。

 今回の事案は、県が当時の信州・長野県観光協会に委託した平成25年度楽園信州ファンクラブ事業に関して、昨年6月の会計検査院の実地検査において指摘をされ、今月7日に会計検査院から公表されたものでございます。

 県観光協会から県に対して製作されたと報告されていたのぼり等6物品のうち2品目が年度を越えて製作され、また4品目については全く製作されていなかったという事案で、極めて遺憾でございます。また、県からの派遣職員がかかわっていたことを非常に重く受けとめております。

 今回の事態を招いた要因としては、県観光協会において物品製作の確認をサンプルで行うなど完了検査が形式的であり、加えて、協会内のチェック体制が十分機能していなかったこと、また担当職員による会計処理に関する誤った認識があったことと考えております。

 今回このような事態が発生してしまったことを重く受けとめ、県観光機構においては、製作物を伴う契約についての納品確認の厳正化などの再発防止策を実施していくこととしており、また、観光部におきましても、委託業務の進捗状況の確認の徹底や完了検査の厳格化に取り組んでまいります。

 以上でございます。

 

◎会計管理者兼会計局長(清水深)

 

 会計局の審査に関する質問にお答えをいたします。

 会計局におきましては、支払いに当たって、執行機関に対して履行の確認に関する帳票類の提出を求め、適否を審査した上で支払いの手続を行っているところであります。

 御質問の委託事業に関してですが、観光部から会計局に回付されました支出命令書に契約どおり履行されていると認める旨の検査調書が添付されており、会計局ではこれをもって県の債務が確定していると判断、支払い手続を行ったものであります。

 以上です。

      

◆小林東一郎

 

 会計管理者の答弁では、観光部からの検査調書には契約どおり履行されていると認めるとの検査所見が付されていたとのことです。

 観光部長に伺いますが、架空の物品納入であったことは明らかなのですが、何を確認して契約どおりとされたとお考えですか。

      

◎観光部長(吉澤猛)

 

 観光部における審査についてのお尋ねでございます。

 県観光協会から県に対しまして提出された事業実施報告書に添付されていました収支決算書でございますが、この中には、人件費、旅費、通信運搬費、印刷製本費等の経費と同様に、イベントPR経費、あるいはノベルティーとして6品目の経費が支出されたものとして計上、記載されておりました。

 通常、ソフト事業に係る委託料の確定手続は、提出された書類の審査をもって行われることが一般的であるため、観光部における審査の過程で今回の事案に気づくことができなかったというものでございます。

 以上でございます。

      

◆小林東一郎

 

 観光部長に再度伺います。

 これは、大北森林組合問題と二重写しというべきです。委託先から納入されたとの報告に対し、検査なしに検査調書を作成したということでよろしいですか。

      

◎観光部長(吉澤猛)

 

 検査の関係でございますけれども、財務規則に給付の検査というのが150条に記載されておりますけれども、そちらで納品書等において確認するということが書いてございまして、その中に完了報告書というものが一つの種類として記載されております。

 私どもは、当時の県観光協会から提出されました事業実施報告書、こちら書面でございますけれども、こちらをきちんと審査させていただきまして、事業を確定させていただいたというものでございます。

 

◆小林東一郎

 

 観光誘客事業、楽園信州ファンクラブの物品納入をめぐって、架空納入とされた6品目のうち4品目については現在に至るまで納品されていないと報道されておりますし、また、今、部長もそれをお認めになりました。年度末に発注され、しかもその後3年近くも失念していたという説明のとおりであるとすると、事業そのものの必要性が疑われることになります。観光部長、いかがでしょうか。

 同機構によれば、支払い済みの代金について流用や横領の事実は確認していないとのことですが、この構図は裏金づくりの手口に類似するものです。また、物品が納入されていないのに受け取ったことを示す検収印が押されていたのであれば、虚偽公文書作成に当たるとも考えられます。

 このような疑念について、徹底した調査がなされるべきですが、既に着手をされておられるのか、知事にお聞きします。

 

◎観光部長(吉澤猛)

 

 楽園信州ファンクラブ事業の必要性についてのお尋ねでございます。

 楽園信州ファンクラブ事業は、長野県への誘客を図るため、県内の観光施設等で割引特典などを受けられるファンクラブを開設する事業で、平成24年度中に会員、協賛施設の募集等の準備を始め、平成25年度から事業を開始したものでございます。

 関係職員への聞き取り調査では、追加発注した6品目につきましては、楽園信州ファンクラブ事業において次年度以降も使用する前提で、会員の更新等に必要なものとして製作することになったとの説明を受けておりまして、発注段階におきましては必要性があったものと考えております。

 しかしながら、結果として、そのうちの4品目が製作されなかったことは事実であり、極めて遺憾なことと受けとめております。

 以上でございます。

      

◎知事(阿部守一)

 

 この事案について、徹底した調査に着手したのかという御質問でございます。

 昨年6月の会計検査院による指摘の後、県の観光協会によります関係職員等への聞き取り調査、それから観光部における協会の関係職員、物品の受注業者並びに県側の担当職員への聞き取り調査が行われてきております。

 今回の事案はこうした対応をしてきておりますが、今後担当職員等の処分を行っていく必要があるというふうに思っておりますので、引き続き事実確認を厳正に行っていきたいと考えています。

 以上です。

      

◆小林東一郎

 

 盗撮や酒気帯び運転で逮捕されるといった教員の非違行為もやむところなく続いています。ついには準強姦の疑いで逮捕者を出す事態にまでなっています。

 本年度、破廉恥行為によって捕まった教員は、20歳代や30歳代の若い層に集中する傾向も出てきています。県教育委員会は、わいせつな行為根絶のための特別対策を10月26日に示したところですが、これについて教育長に伺います。

 検討結果の背景・要因に列挙されている「自己を認識することや他者を理解する力が欠如している」、「自分の心を開けるような人間関係が築けていない」との指摘は、すなわち採用のあり方を問うものとも思うのですが、御見解を伺います。

 信州教育の信頼回復に向けた行動計画に基づいた取り組みによっても、不祥事を起こした教員の心には届くことがなかったという事態を受け、特別対策がまとめられたことになります。教員の心に響かせるための要点はどこにあるとの結論に至ったのでしょうか。

 真面目に勤務する大多数の教員にとって、非違行為を起こした教員は、同僚としての痛みを感じさせる存在であると同時に、子供と向き合う教育者として許すことのできない存在でもあるはずです。そこを起点とすれば、今回の特別対策は教員の多忙化に追い打ちをかけることがあってはなりません。コンプライアンスの確立と多忙化解消は並列で推進されなければならないと思いますが、いかに図っていかれますか。

 6月定例会での一般質問で、知事部局でこのような事案がなぜ起きないのか分析し、再発防止に役立てるべきとの提案をいたしました。教育長からも、知事部局職員と教職員の勤務環境を比較し、そこがこの問題にどのような影響を与えているのか、専門家の知見をもらいながら検討するとの答弁をいただいたところですが、検討結果は特別対策にどのように反映されているのかお聞きします。

            

◎教育長(原山隆一)

 

 まず、教員採用のあり方への見解でございます。

 教育委員会では、平成25年7月に信州教育の信頼回復に向けた行動計画を策定し、教員不祥事根絶に向けた取り組みを総合的に進めてまいりましたが、この中で教員採用選考のあり方についても検討し、教員としての資質、人間性を多面的に把握することが必要であることから、面接においては、企業の経営者や人事担当者等、幅広い人材を面接官に起用するほか、学校で起こる具体的な場面を想定した、対応力を見きわめるテストなども導入したところであります。

 しかし、今回のわいせつな行為根絶のための特別対策策定に当たりまして、専門家からは、自己認識力や他者理解力、自分の心を開ける人間関係形成力の重要性について指摘を受けているところでございます。

 そういった点につきましても、より一層見きわめることができる採用のあり方については、検討してまいりたいと思っております。

 次に、特別対策により教員の心に響かせていく要点であります。

 西沢議員にもお答えしましたとおり、性の問題は個人の内面に深くかかわるもので、他人が踏み込みにくく、他人からはなかなか見えにくいものであるということから、今回の特別対策の中では、同世代、あるいは同性の小グループでのワークショップや自己分析支援チェックシートの導入等の対策を策定し、ワークショップについては実施に移しているところであります。

 既に実施した学校現場の声としては、同世代、同性の小グループで行ったことに対して、自分の意見を出しやすく、活発な発言ができたという報告は受けております。みずからが主体的に話すことによって今まで気づかなかった自己を知るとともに、同僚と心の開ける関係づくりにより教員同士が理解を深める取り組みを実施し、一人一人の心に届くようなものにしていきたいというふうに思っております。

 それから、次に、コンプライアンス確立と多忙化の解消です。

 今回の特別対策は、わいせつな行為の背景、要因の分析をもとに新たな研修を導入するものではなくて、現行の研修にワークショップ形式や世代別、男女別を導入するなど、新たな視点を取り入れる改善を図っていくものであります。

 教育委員会では、教職員の業務を改善し、子供と向き合う時間の確保充実を図るための総合的な方策を策定し、多忙化解消に取り組んでおります。これを一層進めるとともに、コンプライアンスの確立と両立させる形で取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 最後に、行政部門と学校現場の勤務環境の違いと特別対策への反映についてであります。

 行政部門は、学校現場と比べ、社会とのかかわり合いが圧倒的に多く、その中で社会が自分に何を求め社会の一員としてどう行動するかを常に意識しております。これに対して、学校現場では、大学を卒業するとすぐに学校に入り、子供と保護者との関係は築かれますが、他の社会との関係性が希薄になってしまうという点があると思います。

 そのほか、専門家によると、教員のように保護する立場にある大人は、子供の持つ心理的、身体的な境界線を容易に侵害するパワーを持っているということでありまして、教員の中には、そのような子供との関係性を社会でも同じであるというふうに誤解してしまう者もいるのではないかというふうな意見をいただいております。

 これらを踏まえますと、社会との関係性をより意識させ、学生から社会人への切りかえをしっかり行うことが必要であると考えておりまして、特別対策では、まず一つとして、みずからを客観視し、社会との関係性を常に意識することができる内容を研修に盛り込む。二つとして、同世代や同性による小グループでのワークショップ形式を導入します。三つ目として、採用前にわいせつ行為防止研修を実施する。四つ目、教員養成大学と連携した法令遵守意識を養う講習の検討等に取り組んでいくこととしております。

 以上でございます。

      

◆小林東一郎

 

 1まさにトップの覚悟が試されるというべき事態であります。

 現場に足を運び、教員の心に響かせる努力を重ね、同僚性を深めるための喚起に努めるべきではありませんか。ここは教育長の任命権を持つ知事にお聞きをいたします。

 

◎知事(阿部守一)

 

 教員の不祥事が相次いでいるということ、私も大変重く受けとめています。

 原山教育長とも、この問題への対応については教育委員会としてしっかり対応してもらいたいということを私からも要請をさせていただいていますし、教育長も、これまで以上に踏み込んだ対策をとっていく必要があるという認識を私には伝えてもらっています。

 多くの人たちが働いている組織でありますので、これだけ行えば十分ということには必ずしもならないというふうに思いますけれども、しかしながら、子供たちに接する職場の人間として、やはり基本的に守ってもらうべきことはあると思いますし、また何よりも子供たちを中心に考えてもらうのが教員の皆様方の役割と責任だというふうに思っています。

 議員のお話にもありましたように、やはり先ほどの総合教育会議の話もありました。どうしても、例えば市町村立学校の先生は、人事権は県の教育委員会、しかしながら身分は市町村、非常に身分的にも私は明確ではないところもあるというふうに思っています。

 そういう意味で、これは総合教育会議でも議論するべき問題でもあると思いますし、また、本当に信州教育を再生する上では、教員の皆さん自身が自主的に組織風土を変えてもらうという取り組みも重要だというふうに思っています。だから、私の立場から個々具体的にこうすべき、ああすべきというふうに直接申し上げる権限はありませんけれども、引き続き教育長、教育委員会とも問題意識を共有して、最大限県としてできる取り組みを行っていきたいというふうに思っております。

 以上です。

 

◆小林東一郎

 

 次に、知事を団長とする総勢65名によるベトナム経済交流調査団派遣の成果について伺います。

 産業振興の国際的な視点、グローバルNAGANO戦略プランに基づく取り組みの嚆矢として、ベトナムに本県の公式訪問団が派遣されました。ベトナムが選ばれた理由として、ASEAN諸国の中では3番目の人口規模を抱え、市場としても一定の規模があること、比較的賃金水準が低いことから企業進出に伸びしろがあること、川上村が人材育成面での交流を行っていることが挙げられています。

 今回の調査団派遣によりどのような成果が得られたと知事はお考えでしょうか。お聞きをいたします。

 

◎知事(阿部守一)

 

 今回のベトナム訪問の成果についての御質問でございます。

 まず、ベトナム中央政府では、チャン・ダイ・クアン国家主席、グエン・スアン・フック首相と懇談を行いましたが、この懇談では、本県の魅力、強みをアピールするとともに、農産物の輸出拡大に向けた要請等を行いました。

 あわせて、ベトナム政府側が本県に期待することについてもお伺いすることができたところであり、今後のベトナムと長野県との交流のベース、基盤となるべき懇談だったというふうに考えております。

 また、計画投資省の副大臣、それから農業農村開発省の大臣との間で覚書を締結いたしました。今後の製造業、あるいは農業分野での具体的な経済交流を促進していく上での基本的なベースができたというふうに思っております。

 特に、農業農村開発大臣との意見交換におきましては、具体的な取り組みを進めていこうということで、ワーキンググループの共同設置ということが合意されました。このことについては、覚書にも記載をさせていただき、現在設置に向けた調整を行っているところでございます。

 また、中央政府との間でも懇談しましたが、特にベトナム第1の都市でありますホーチミン市との間でも、交流促進について私と市長との間で話し合いをさせていただきました。その結果、現時点では、経済交流促進のための覚書の締結についてホーチミン市と調整をさせていただいているところでございます。

 また、今回の訪問以後、特に国家主席、首相と懇談したこと、あるいは私が訪問したことにより、長野県についてベトナムのマスメディアが報道していただいております。

 これに関連して、帰国後、早速ベトナムの二つの省、トゥエンクアン省、それからカオバン省から、省のトップであります人民委員会委員長を団長とする訪問団が11月、相次いで長野県にお越しいただいて、農業分野等について意見交換をさせていただいております。長野県という存在をベトナムの地方政府の皆様方に認識していただいた結果として、これも間接的な成果ではないかというふうに思っております。

 このほか、訪問先との懇談内容も踏まえて、製造業、農業、観光等の各分野で今後の取り組みの対応方向、関係部局と確認をしているところでありまして、具体的な成果に着実にそれぞれつなげていくように取り組んでいきたいと考えております。

 以上です。

 

◆小林東一郎

 

 私も農業班の一員として参加をさせていただきましたが、若年層が分厚く経済的な成長を遂げる潜在力を秘めていると同時に、持続可能な社会発展のためには解決すべき課題も多いと感じました。

 例えば、国の研究機関が持っている農業技術を末端の農家に届けるための仕組みづくりとか、物流を円滑にするための鉄道の活用と拠点ターミナルの整備等がその代表的なものです。これらの課題は、人的交流によって本県が誇る農業技術を習得したベトナムの若者が自国でそれを生かすことができるかとの疑問にも直結するものであります。

 農業分野での貢献や交流においては、ベトナムからの労働力への期待は大きいと思いますが、それに加え、ベトナムの地域社会を豊かにするための視点が欠かせないと強く感じたところです。

 そこで、農政部長にお聞きをいたします。

 本県のベトナムからの農業分野技能実習生の受け入れの現況はいかがなのでしょうか。また、今回、ベトナム農業農村開発省との覚書締結やタイグエン省との協議によって、ベトナムからの技能実習生の派遣などによる人材育成支援の拡大に向けた取り組みの加速が見込まれますが、受け入れ団体等の指導や監督の厳格化や、パスポート取り上げなどの実習生への人権侵害に対する罰則を規定した法律も定められたところです。現状は、実習とは名ばかりで、農家の都合に合わせた労働現場にほかならないとの指摘もあります。人材受け入れに必要な視点はどこにあるとお考えでしょうか。

 先ほども述べましたように、本県で技能実習した若者が将来ベトナムの農村振興に貢献していくという観点からの研修プログラムの模索が必要です。例えば、本県が誇る公民館制度、これによりまして、多くの進んだ農業技術、あるいは社会衛生に対する概念が農村社会に広く行き渡っています。このような公民館活動などの社会活動や、医療、介護の現場を知るなどの体験ができるよう、市町村と共同して進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

 以上お聞きをいたしまして、私の質問といたします。