平成28年11月定例県議会 発言内容(荒井武志議員)


◆荒井武志

   

 信州・新風・みらいの荒井武志です。

 初めに、急な質問となりますが、昨日の、我が会派寺沢功希議員の芸術文化活動推進事業の予算が通らなかったらどうするのかという趣旨の質問に対し、県民文化部長は、事業の実施主体は事業団ですからとする答弁をされました。けさの信濃毎日新聞報道によれば、去る25日には内閣府が既に不採択を公表しているとのことであります。

 そこで、質問いたします。一つは、いつ不採択となったことを知り得たのですか。二つに、昨日の答弁で十分説明を果たされたとお考えでしょうか。三つに、今回、歳入にも歳出にも補正予算計上されている当該芸術文化活動推進事業に係る負担金について、とりわけ歳入については穴があいたということですけれども、今後どのように対処していくのでしょうか。

 以上、県民文化部長にお伺いします。

 また、知事には、予算成立前に事業団がウエブサイトに公表したことについて、議会軽視ではないかとの寺沢議員の質問に対し、まずは事実確認を行った上で必要な対応を行っていきたいと答弁されたことに関して、今、どのようにお考えでしょうか。お伺いいたします。

 

◎県民文化部長(青木弘)

 

 ただいま、交付金の不採択の関連で、3点、御質問を私のほうに頂戴いたしました。

 まず1点目、いつ不採択となったことを知り得たのかということでございますけれども、今回の地方創生加速化交付金の内示につきまして、芸術監督団事業が採択されなかったことにつきましては11月25日に内示がありまして、情報を得たところでございます。これを受けまして、直ちに担当する内閣府に不採択となった理由や今後の取り扱いについて確認するなど、現在、国補確保の可能性を模索しているところでございます。

 次に、昨日の答弁で十分な説明を果たしたかというお尋ねでございます。

 昨日の寺沢議員の御質問に対しまして、ちょっと重複する部分がありますがお許しをいただきまして、まず、事業の実施主体は長野県文化振興事業団である点、それから、事業は伊那市、飯山市、長野市の3カ所で開催するために必要な経費を負担金という形で支援するという点、それから、開催に当たりましては、単なる演劇公演を行うということではございませんで、障害のある方や高校生を招待し鑑賞機会の拡大を図る点、さらには、文化活動の基盤となります人材を育成するため、文化会館のスタッフ研修も予定をしている点、さらには、文化芸術の創造性を生かした地域づくりを目指しまして、芸術監督団と地域づくり関係者や高校生等との座談会等も予定する点等を説明させていただいたところでございまして、これらは地方創生に資する事業であると考えている点を御説明させていただいたところでございます。

 その上で、さらに寺沢議員からは、仮に予算が通らなかったらとのお尋ねがあったところでございまして、これにつきましては、県予算が認められなければ県としては執行できないというのは当然であろうというふうに思いますというふうにお答えをさせていただいた上で、ただ、これはあくまでも事業団の事業でございますので、事業を行うかどうかにつきましては、それは事業団の判断となるということを当然の理として申し上げたところでございます。

 3番目の、今後どのように対処していくかということのお尋ねでございますけれども、補正予算案に計上している事業につきましては、県内における芸術鑑賞機会の拡大とか、文化芸術を担う人材育成の上からも大変重要な事業ではないかというふうに私どもは考えてございまして、先ほども申し上げましたように、地方創生に資するものと認識をしているところでございます。引き続き国の情報収集に努めますとともに、財源確保につきまして、総務部などとも相談しながら、実施に向けて検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

 

◎知事(阿部守一)

 

 昨日の文化振興事業団に係る予算についての私の答弁について、その後どう考えているかという御質問でございます。

 基本的な考え方は、今、県民文化部長から御答弁したとおりであります。昨日は、本会議終了後、状況把握をするため、直ちに関係部局を集めました。財政課等も入って関係者で協議をいたしましたが、特に問題ないというふうに考えておりまして、決して議会軽視であるという御指摘は当たらないというふうに思っております。

 また、こうした点については、御質問いただきました寺沢議員にも既に御説明をさせていただいたところでございます。よろしくお願いいたします。

 

◆荒井武志

 

今、答弁をいただきましたが、今回、補正に上がっておりまして、歳入は来ないということがほぼ明白になっております。そんなことを含めまして、それでも事業執行をするのか、するとすれば、国からの交付金がのっていることがどうなのかという点があろうかと思います。改めて、県民文化部長に、その辺を含めて、事業を執行する場合の考え方をもう一度お願いしたいと思います。

 

◎県民文化部長(青木弘)

 

 再度の御質問をいただきました。

 私どもといたしましては、この事業の必要性については先ほども申し上げたとおりでございまして、地方創生に資する内容であるというふうに考えているところでございます。そういう面で、執行をしていきたいというふうに考えているところでございますけれども、財源面につきましては、先ほども御答弁させていただきましたとおり、引き続き国の情報収集に努めさせていただくとともに、財源確保につきましては、総務部などとも相談しながら実施に向けて検討してまいりたいというふうに申し上げたところでございまして、そのとおりと考えているところでございます。

 以上でございます。

 

◆荒井武志

 

 今、お話ありましたけれども、実際に国からの交付金が予算化されるという状況の中で事業をやるということであります。前提が全く変わるわけですから、これに対する対応は改めて考え直していただいて対処いただかなければならないと、こういうふうに思うところでございます。

 次に、現地機関の見直しについてであります。

 さきの知事議案説明では、現地機関の見直しについて、9月定例会の議論や県民意見を踏まえ、予算や体制のあり方について、より明確化した上で、今定例会に地域振興局の設置に関する条例案等を提出したと伺いました。

 市町村へのアンケート結果では、積極的なリーダーシップを期待する、市町村との連携を密にした機関とするべき、許認可権限や執行可能な予算の拡大への期待なども披瀝されました。私も、去る9月定例会の一般質問におきまして、幾つも質問させていただきまして、大方の方向性はお聞きをしているところでありますが、今回の定例会に条例案や予算案も提出されましたので、もう少し具体的にお示しいただきたいと思います。

 そこで、以下5点について、改めて知事にお伺いいたします。

 一つは、地域振興局及びその局長を、知事、副知事に直結する組織、ポジションとするとしていますが、どのような手法をお考えなのでしょうか。

 二つに、地域振興局内における人事、組織上の権限の強化の具体策をどのようにお考えですか。

 三つに、町村との連携を密にした機関とするべきとの意見に対する対応策をどのようにお考えですか。

 四つに、総合調整推進費を廃止して、地域振興推進費(仮称)でありますが、これを創設し、その予算規模を10局長合計で1億円規模とすると表明されましたが、この金額の根拠及び考え方をお示しください。

 五つに、地域振興推進費及び地域発元気づくり支援金を一体的な予算として充実することについて、その本旨はどのようなものなのでありましょうか。

 次に、以下2点について企画振興部長に伺います。

 地域発元気づくり支援金については、地域振興局ごとに重点テーマを設定する方向のようですが、いつどのように設定していくのでしょうか。スケジュールを含め、お示しください。

 また、県と市町村との人事交流の拡大に取り組むとしていますが、現状と拡大策をお聞かせください。

 

◎知事(阿部守一)

 

 現地機関の見直しに関連して、5点、私に御質問いただきました。

 まず、知事、副知事に直結する組織、ポジションとしているが、どのような手法を考えるかということでありますが、まず、地域振興局の組織機構上の位置づけについては、これは、今現在、地方事務所は企画振興部の現地機関という扱いであります。組織図をごらんいただきますと、企画振興部の下にぶら下がった形になっております。これを改めて、本庁部局と同等な扱いにさせていただき、知事、副知事にそのままくっつく、各部局と同等の並びにしていきたいと思っています。こうしたことによって、対外的にも、知事、副知事に直結する組織であることを明確にしたいと思っております。

 また、県政全般に対するいろんな事務事業、政策に関する局長のかかわり方ということも変えていかなければいけないというふうに思っております。例えば、部局長会議にも、今後、局長にもテレビ会議等で出席してもらおうというふうに思っております。地域からの情報、意見、こうしたものも部局長会議の場において出してもらい、双方向で対応していきたいと思っております。

 また、特に重要な分野横断的な課題については、私や副知事と常に情報、問題意識を共有して取り組んでもらいます。局長が管内の現地機関の統括、調整を行って、主体的に課題解決に当たってもらうということを考えているところであります。

 こうした仕事の仕方を組織に定着していく上では、これは単に組織図をいじるだけではいけないと思います。職員の意識、組織風土、こうしたものの変革もあわせて行わなければいけないというふうに考えております。このため、現地機関を重視した人事管理などにも取り組んでいきたいというふうに考えております。

 それから、地域振興局内の人事、組織上の権限の強化の具体策ということでありますが、まず、人事上につきましては、局職員の業務の繁閑に応じた自由な再配置、それから横断的な課題に対応するための当該地域の現地機関職員の兼務発令、また局内の組織変更、職員数の増減についての本庁への直接的な要求権限、こうした権能、権限を新たに局長に付与していきたいというふうに思っております。このことによって、地域振興局長が、みずからの権限と責任の中で、できる限り最適な組織体制をつくっていってもらいたいと思っております。

 また、組織上は、局長に管内の現地機関を統括、調整する権限を付与することとあわせて、新たに政策づくり、現地機関相互の調整を担う企画振興課を設置してまいります。あわせまして、各地域振興局の中に、局長を中心として管内の現地機関の長で組織をいたします、これは名称を今検討中ですが、情報交換、連絡調整の場を新たに設けさせていただき、分野横断的に取り組む課題を中心として、情報の一層の共有化、さらには現地機関相互の連携強化を図っていきたいと考えております。

 続きまして、町村との連携の対応策についてでございます。

 長野県は、小規模町村が多く、面積が広いということで、県と市町村との連携協力は他県以上に重要だというふうに私は思っております。

 さきに開催いたしました県と市町村との協議の場におきましては、市町村単独では処理が難しい事務についての市町村に対する支援、補完であったり、あるいは市町村への権限移譲につきまして、継続的に事務レベルで協議する県・市町村事務連携作業チームを設置しようということになりました。できるだけ早く具体的な検討を進めていきたいというふうに思っております。

 また、地域の課題解決力を向上させる観点から、県と市町村との人事交流も活発にしていきたいと思っておりまして、地域振興局における管理監督の立場の職員にも交流を広げていきたいというふうに考えております。

 地域振興局初め現地機関の職員には、市町村の仕事に対して積極的に協力するということが県の役割だということを十分認識してもらうと同時に、広域的な調整等には、時には市町村の支援という立場だけではなくて、積極的に踏み込んでリーダーシップをとる、積極的な対応をとると、そういう意識を持ってもらえるように取り組んでいきたいと考えております。

 それから、地域振興推進費(仮称)についてでございます。この金額の根拠及び考え方ということでございます。

 この地域振興推進費に関連して、現地機関の予算のあり方については、現在の地方事務所長を交えて数度にわたり意見交換を行い、検討してまいりました。その結果、地域振興局長のリーダーシップのもとに、現地機関の枠を超え、連携して課題解決に取り組むための経費ということで、地域振興推進費を創設いたしたいというふうに考えております。この予算規模は総額で1億円ということにいたしましたが、このことにつきましては、以前から、地方事務所長からは、現在の地方事務所長総合調整推進費は大幅に増額すべきだという意見が出ています。

 また、これまで、地方事務所長から施策提案をいただいて実施に移しておりますが、こうしたこれまでの提案事業の規模、こうしたものを勘案した上で、地域振興局立ち上げの初年度として、まずは第一歩を踏み出すために総額を1億円程度ということにさせていただいております。

 今後も、地域振興局が行う事業の内容や執行状況、課題等を見きわめつつ、適切な予算規模を追求をしていきたいと考えております。

 それから、総合調整推進費と元気づくり支援金を一体的な予算として充実することについての本旨という御質問でございます。

 地域振興局は、それぞれの地域の強みや特性を生かした地域振興を進めていかなければいけません。そうしたことを進めていく上では、まず地域で取り組むべき重要課題について、これは県の現地機関はもとより、市町村あるいは地域の団体と共通の認識、理解をしていくと。そして一緒になって取り組んでいくということが重要だというふうに考えております。

 こういう観点で、地域振興局は、先ほど申し上げた地域振興推進費を活用して、みずから事業主体となって行う事業をこれまで以上に進めてもらいたいというふうに思っておりますし、また、地域発元気づくり支援金を活用して、今回、地域ごとの重点テーマも設定をできるようにしていきたいと思いますので、そのテーマ等を活用して、市町村や公共的団体と同じ方向を向いて取り組んでいける体制をつくっていきたいと。そのための地域振興推進費であり、地域発元気づくり支援金の見直しの方法であります。局長には、こうした財源もぜひ有効に活用していただいて、市町村や公共的団体との連携をしっかりと図っていってもらいたいと考えております。

 以上です。

 

◎企画振興部長(小岩正貴)

 

 地域発元気づくり支援金に関しまして、地域ごとの重点テーマの設定という点での御質問でございます。

 地域発元気づくり支援金につきましては、これまでも県、市町村、地域住民が同じ方向を向いて重点課題に取り組むため、県全体でテーマを定めて、重点的に支援をしてまいりました。

 今回の現地機関の見直しを見据えまして、今後は、先ほど知事からも御答弁ありましたように、県全体で推進するテーマに加えて、地域ごとの重点テーマを各地域振興局において設定し、重要な地域課題への対応を強化したいと考えております。こうした方向性につきましては、先般の県と市町村との協議の場におきましても議論を行い、市町村側の御理解をいただいたところでございます。

 地域テーマにつきましては、新年度に地域振興局長が決定することとなりますが、事業を実施する市町村や団体の事業計画に支障が出ないよう、年明けから行う事業募集を見据えまして早目に方向性を示すなど、事務的に工夫をしていきたいと考えております。

 現在、テーマの設定に向けまして、各地方事務所において、市町村の御意見も伺いながら検討を進めているところでございます。

 県と市町村との人事交流の現状と拡大策についての御質問でございます。

 今年度につきましては、全部で48名の県職員を市町村に派遣をする一方で、46名の市町村職員を県において受け入れてございます。このうち、12名が現地機関に勤務をしていただいております。こうした人事交流につきましては、来年度からは対象とする職員を拡大する予定でございます。具体的には、先ほど知事答弁にもありましたように、県職員を市町村の管理監督職へ派遣するとともに、新たに市町村の職員を地域振興局などの管理監督職に受け入れるという方向で現在調整をしているところでございます。

 以上でございます。

  

◆荒井武志

 

 答弁をいただきました。私たち会派、信州・新風・みらいでは、11月7日から9日にかけまして北陸方面に調査に出向き、福井県の嶺南振興局、石川県の中能登・奥能登総合事務所の様子を伺ってきました。設置趣旨や今後の役割としては、市町村や関係団体との地元密着型の調整役であったり、広域観光圏づくりやバランスのとれた産業構造への転換が重要であるとのことでありました。

 県内各地で人口減少がこれから進行していく中、それぞれの地域振興局が管内市町村との良好な関係構築を図りながら地域振興や地域活性化を先導していただき、1年後には、長野県ってこんなに身近な存在なんだと言われるようになることを期待し、次の質問に移ります。

 子育て・子育ち支援についてであります。

 少子高齢社会にあってとりわけ大切なのは、将来ある子供たちをどのようにして産み育てられるのかということだと思います。

 県では、ながの子ども・子育て応援総合計画を策定し、その実現のために取り組んでおられますが、なかなかそれらの改善に結びついていないというのが現状ではないでしょうか。

 また、本年3月には、さらに詳細な実態調査を通じ、子供の貧困対策に特化して、長野県子どもの貧困対策推進計画が策定されました。実態調査によるひとり親の自由記載や支援関係者からの声によれば、子育てに関する不安や生活に関する不安などに多くの切実な声が寄せられておりました。

 例を挙げれば、土曜や日曜、祝日、仕事で遅いとき、出張時に子供を預ける場所がない。仕事が遅番で家事ができず、仕事をしないと生活費がないので、子供といることができない。ガス・電気・水道料等の減免があると助かる。医療費負担をゼロにしてほしい。離婚を決意したひとり親は住宅の確保に困難がある。県営・市営住宅を対象としても募集が限られていて、すぐには入居できないなどであります。

 また、あるとき、地域回りをしておりましたら、年配の女性が、孫の友達がパートで働いて100万円そこそこ、その御主人は正規で働いているのに200万円にもならない中子育てしているのに、県営住宅や市営住宅が6万円も7万円もして、申し込んでもすぐ入れず、子育てに困っているというお話をお聞きしました。

 そこで、まず県民文化部長にお伺いします。

 一つに、子育てしやすい職場環境への取り組み支援の課題と今後の取り組み対策はいかがでしょうか。

 二つに、子育てに優しい生活環境への取り組み支援の現状と課題、今後の取り組み対策はいかがでしょうか。

 続いて、建設部長にお伺いします。

 収入の少ないひとり親家庭の県営住宅への入居の現状と今後の対応策、これらへの配慮に係る市町村への指導等についてはどのように行っているでしょうか。

 

◎県民文化部長(青木弘)

 

 子育て支援につきまして、2点お尋ねをいただきました。

 まず、子育てしやすい職場環境への支援についてでございます。

 子育てと仕事の両立は、子育て支援の重要な柱の一つと認識しておりまして、この取り組みを進めるには、企業等がみずから行う職場環境づくりと、県や市町村が行う子育て環境整備の両面が必要と考えております。また、それが課題ではないかというふうに考えております。

 企業等々の取り組みといたしましては、子育てをする従業員を支援する職場環境づくりの推進のため、組織としての取り組みと、企業、事業所のトップ、現場の上司、それぞれの段階での取り組みが行われますよう、県としても施策を推進しております。

 組織の取り組みといたしましては、仕事と家庭の両立ができる多様な働き方制度の導入を積極的に働きかけますとともに、制度を導入、実践した企業を、職場いきいきアドバンスカンパニーとして認証し、認証企業に融資における金利優遇、入札参加資格審査における優遇等のインセンティブを付与することで拡大を図る取り組みを進めております。

 また、企業、事業所のトップに対しましては、従業員の子育てを支援するための具体的な取り組みを宣言していただく社員の子育て応援宣言の普及を推進しておりますし、さらに、現場の上司につきましては、部下の子育て等に配慮できるイクボス・温かボスの普及に向け、関係団体等と協働して周知を図っているところでございます。

 次に、県や市町村が行います子育て環境の整備といたしましては、一つには、子育て中の親が必要なときに子供を預けられますよう、保育所、幼稚園、認定こども園などの整備、運営の支援でございますとか、ファミリーサポートセンター、病児保育等の事業の支援を行っております。

 また、年度中途の保育需要にも対応できるよう、潜在保育士の復帰支援や保育士人材バンクの設置等の取り組みを市町村とともに検討しているところでございます。

 これに加え、昨年度実施いたしましたひとり親家庭実態調査に寄せられた、仕事で帰宅が遅いときの子供の居場所や無料学習塾等のニーズに対応するため、今年度、学習支援、食事提供、相談対応等の複数の機能をあわせ持つ、子供の居場所であります信州こどもカフェを県内2カ所にモデルで設置いたしました。来年度以降、県内全域への普及に取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、子育てに優しい生活環境への取り組み支援についてでございます。

 まず、現状といたしましては、例えば子育てに伴う経済的負担を軽減するために、本県では、市町村とともに、第三子以降の保育料の軽減や子供の医療費助成の対象年齢の拡大等を行ってきたところでございます。

 また、子育ての孤立化の防止を図るため、保護者からのさまざまな相談に対応する体制の充実とともに、支援を必要とする家庭の早期発見、早期支援が必要となっていることから、県では、昨年4月に信州母子保健推進センターを設置し、市町村が行います母子保健サービスの水準を向上し、妊娠から子育てまで一貫してきめ細やかに相談や支援が受けられる体制づくりを推進するとともに、子育て支援センターを設置し、子供や保護者等の相談体制の充実を図ってきたところでございます。

 課題といたしましては、子供の貧困対策、働き方改革の推進など、さらなる取り組みが必要と考えられる事項への対応がございます。これらを含め、子育て支援の充実には市町村との連携が必要であることから、来年度で計画期間が満了となります長野県子育て支援戦略の改定につきまして、去る11月22日に開催いたしました県と市町村との協議の場で、県・市町村合同検討チームを設置し、協議することとしたところでございます。

 今後、市町村とともに、子育て安心県ながのを一層充実させるため、子供の貧困などの新たな課題への対応を含め、子育て支援施策の充実に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

 

◎建設部長(奥村康博)

 

 県営住宅におけるひとり親家庭の入居の現状と対応策等に関する御質問にお答え申し上げます。

 初めに、県営住宅へのひとり親家庭の入居の状況につきましては、平成28年4月1日現在で、全入居世帯1万2,447世帯のうち、ひとり親家庭は1,779世帯で、構成比は14.3%となっております。

 ひとり親家庭の入居支援といたしましては、抽選の際に2回くじが引けるよう当選率を上げる方法、またはあらかじめ優先枠を設けまして住宅に困窮する状況を評価して選考を行う方法、これらによりまして優先的な取り扱いを行っているところでございます。

 また、収入の少ないひとり親家庭に対しましては、収入額に応じまして、家賃の2分の1、または3分の1を減額し、経済的負担の軽減にも配慮をしているところでございます。

 今後とも、ひとり親家庭を初め住宅に困窮する方々に対しまして、応募倍率の状況や居住ニーズを勘案しつつ、入居支援に努めまいります。

 公営住宅につきましては、入居者の募集、選考方法や家賃の減免などは、公営住宅法の趣旨に沿って、各事業主体において定めるべき事項となっております。このため、市町村に対しましては、国の動向や県営住宅における取り扱い等を情報提供し、住まいのセーフティーネットとして適切な管理運営ができるように支援しているところでございます。

 以上でございます。

 

◆荒井武志

 

 答弁をいただきました。

 子育てに優しい生活環境等のところでは、やはり課題とすれば、貧困、働き方対策ということをお話しいただきました。ぜひこの辺について積極的に対応いただきますようにお願いしたいと思っております。

 それから、県営住宅の入居の関係ですが、先ほどアンケートのことも若干申し上げましたけれども、自由記載のことですが、公営住宅に入りたいがなかなかくじが当たらないと。あるいは、先ほども言いましたけれども、県営・市営住宅を対象としても、募集が限られていてと、こういうようなこともございました。この辺に対する対策とすればどのようなことをこの間やってこられたのか、この点について、再度お願いをしたいと思います。

 

◎建設部長(奥村康博)

 

 県営住宅に対するひとり親家庭等の入居に関する優先的な取り扱いについてというところでございます。

 県営住宅につきましては、全般的に入居しやすいような形の、先ほど御答弁申し上げましたが、優先枠を設けたりとか、くじを2回引けるような形をやっておりますし、またさまざまなニーズを伺いながら、入居の状況等も見ながら、当選しやすいような形の対応をしてきたというところでございます。

 以上でございます。

 

◆荒井武志

 

 今、ひとり親家庭についてお話をいただいておりましたが、収入の少ない夫婦共働き家庭もたくさんあるというふうに認識しておりまして、その辺につきましても、充実されるように要望いたしまして、次に移らせていただきます。

 次に、信濃美術館の改築計画についてであります。

 信濃美術館の改築、改修につきましては、去る18日に信濃美術館整備基本構想が取りまとめられ、改築、改修が決定されましたが、私自身、このことを評価するものであります。

 今後の進め方等につきましては、仮称でありますが、信濃美術館整備委員会、これを設立して、県民の声を聞きながら着実に進めるとしており、これも是としたいと思います。

 そのような中、現状認識をしっかり踏まえることが重要であるとの観点から、以下について、県民文化部長にお伺いします。

 一つは、既存施設の入館者数の現状をどう捉えているでしょうか。その要因を含め、お答えいただきたいと思います。

 二つに、その目指すところを、国内外の人々が集い、信州の魅力を発信する文化・観光の一大拠点として、信州と世界の交流ステージとしていますが、到達点の姿やイメージはどのようなものなのでしょうか。観覧者のターゲットをどのように設定していくのか、改築後の入館者数の考え方を含め、お答えください。

 三つに、集客効果をいかに高めるのかが重要と考えますが、これを実現するための施策についてどのようにお考えでしょうか。お願いいたします。

 

◎県民文化部長(青木弘)

 

 信濃美術館につきまして、3点のお尋ねを頂戴いたしました。

 まず、入館者数の現状分析でございますが、信濃美術館の入館者数は、過去5年間の平均で約16万人と横ばい傾向となってございますが、年間600万人の来訪者があります善光寺に隣接する有利な立地条件を集客につなげていないという、その点が課題ではないかというふうに認識もしております。

 長野市と善光寺を含めたプロジェクトチームの検討におきましては、集客につながらない原因としまして、一つに、施設が古く、展示室が極めて狭隘であることから、集客力が期待できる展覧会の開催が難しいことに加えまして、善光寺から美術館の場所が見通せず、場所がわかりづらいことが主な原因と分析をされているところでございます。このため、全面改築を行いまして十分な展示スペースを設けますとともに、善光寺と美術館のある城山公園との回遊性を高めるための周辺整備を行いまして、互いの見通しをよくし、人の行き来をしやすくすることを検討しているところでございます。

 次に、目指す姿等でございます。

 新美術館が信州と世界の交流ステージとして目指すイメージにつきましては、四季折々で違った姿を楽しめます信州の豊かな自然や、地域ごとに異なる風土で培われました信州の文化芸術を国内外の多くの人に発信し、人と人、地域と地域を結ぶ役割を果たす美術館にしていくことを想定しておるわけでございますが、新美術館の利用者といたしましては、これまで美術館に足を運ぶ機会が少なかった子供や若者、障害のある方、外国人を含む国内外の観光客にも訪れていただけますよう、ユニバーサルデザインやWi-Fi環境の整備などの施設面での配慮や、若者に関心の高い現代美術を取り入れた展示内容の工夫、子供を中心とした美術館教育プログラムの充実などを図ってまいりたいと考えております。

 なお、年間の利用者目標につきましては、施設の設計や事業の概要が固まった段階で、今後設置いたします、仮称でございますが、整備委員会におきまして検討してまいりたいと考えております。

 続きまして、集客効果を高めるための施策についてでございます。

 新美術館では、これまで開催が難しかった全国規模の魅力的な巡回展が可能となることや、常設展示室、県民ギャラリーの新設によりまして、多様なジャンルの美術を一堂に鑑賞できることなどから、リニューアルする東山魁夷館とも相まって、集客が期待できると考えております。

 また、美術館の建物自体でも人を呼べるよう、建築家の選考や基本設計の段階から集客を意識した整備に取り組んでまいりますほか、城山公園や善光寺を含めた周辺一帯のまちづくりや観光との連携、公共交通を利用したアクセスの充実などの取り組みも重要であると認識しております。

 さらに、設計段階から意見交換やワークショップ等を行いまして、広く県民の参加、協働を得て、県民の誇りとなり、何度も訪れていただける美術館づくりに力を入れてまいりたいと考えております。

 集客戦略は大変重要でございます。先ほど申し上げました利用者目標とも密接に関連いたしますので、今後設置いたします整備委員会におきましてしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

 

◆荒井武志

 

 答弁いただきましたが、集客効果を高めるためのということでお話もいただきました。その中で、公共交通をしっかり活用するという、こういうことがありましたけれども、車社会から公共交通へという動きもあるかと思いますが、まだまだ車の関係が重要だと思うわけであります。そんな点も頭に入れていただいて、そして大勢の人が楽しめる、そういう美術館にしてほしいと、こういうことをお願いしまして、一切の質問を終わります。