平成27年 9月定例県議会 発言内容(埋橋茂人議員)


◆埋橋茂人

   

 信州・新風・みらいの埋橋茂人です。よろしくお願いします。6月の定例県会に引き続きまして、地方創生について伺いたいというふうに思います。

 多くの議員が触れられておられましたけれども、16日に公表された人口定着・確かな暮らし実現総合戦略については非常に的確な現状分析がなされているというふうに思います。予測の評価はいろいろあろうと思いますけれども、多くはかなり精度の高いものだというふうに思っていますが、これを今後どうやって実践していくかということが一番大事な点だというふうに思います。

 残念ながら、長野県の工業製品生産額については企業の海外移転など産業構造が変化し、また農産物についても価格低迷が続いています。輸入等の増加の中で価格低迷が続いているということで、この流れ、簡単に覆すことはできないと。残念ながら、傾斜の強弱はあれ、今後とも人口減少の中では減少傾向が続くことを覚悟せざるを得ないというふうに思います。

 さまざまな組織の方やいろんな人から意見を伺っても、地方創生に対する温度差が非常にございます。何をネタに飯を食ったらいいんだというようなことを含めて、具体的な対応に非常に悩んでおられる実態がございます。

 そこで、幾つか質問いたしますので県のお考えを示していただきたいと思います。

 地方創生において、市町村の単独で進めるものと、広域的に、クラスターとおっしゃっていますが、連携して進めるものがあると考えられますが、広域的な取り組みを進めるに当たり県としてはどのように調整を進めているのか伺いたい。企画振興部長にお答えをいただきたいというふうに思います。

 答弁の効率化を図るために一連のものを少し続けますので、お願いします。

 その中で、農山村部において特に重要だという施策であります6次産業化について、現在の進捗状況、また、今後どのように対応していくお考えなのか。これは農政部長にお伺いしたいというふうに思います。

 また、人口減少と財政状況の厳しい中で、今後の公共施設、インフラのあり方、これも多くの議員触れられておりましたが、維持対策、先ほどは職員の住宅の問題等も出ておりましたけれども、今後の集約化とか具体的な目標、インフラの整備についてどんなお考えか。お聞かせをいただきたいというふうに思います。

 市町村の譲渡は果たして有効なのかと。インフラとしては県が持っていようが市町村が持っていようが同じなわけでありますから、その辺もお伺いしたいというふうに思います。これは総務部長にお願いします。

 四つ目でございますが、6月の県会で御説明がありました、市町村の推進母体となります組織の組成状況がどうなっているか伺いたいというふうに思います。

 私のところへは、想定している組織から、市町村から参加要請がないというようなお話もかなり聞いておりますので、実態はどうなのか。ここは企画振興部長にお願いをしたいというふうに思います。

 とりあえず以上でございます。

 

◎企画振興部長(小岩正貴)

 

 埋橋茂人議員からの地方創生についての御質問、私には大きく二ついただきましたので御答弁申し上げます。

 まず、広域的な取り組みに関する県の調整についてでございますが、7月に各広域圏で開催いたしました地域戦略会議におきましては、一市町村では完結しない広域的課題とその進むべき方向性についても議論を行ったところでございます。

 会議の場におきまして広域圏ごとに連携して取り組むものとして挙がりましたのは、例えば長野地域では移住・交流の推進、諏訪地域ではものづくりに関するSUWAブランドの創造などでございます。

 こうしたことにつきましては、11月以降に開催予定の地域戦略会議に向けまして、現在、地方事務所が中心となって議論をさらに深めているところであります。今後、県、市町村それぞれの総合戦略に反映できるよう取り組んでまいりたいと考えております。

 市町村に設置されます推進組織についての御質問でございます。

 各市町村におきましては、総合戦略の策定に当たり、住民や地元産業界等から成る推進組織を設置することとなります。具体的なメンバーや進め方は市町村によってさまざまでございますが、それぞれ産官学金労言の6分野の意見を聞きながら総合戦略の方向性や具体性を検討し、実行につなげていくものと承知をしております。

 現在のところ、63の市町村におきましてこうした組織が設置済みであると承知をしております。このうち6分野全てからメンバーが参画しておりますのは33市町村でございます。それ以外の市町村にありましては、メンバーとして参画していない分野からは個別に意見を伺う方式をとるというふうに聞いているところでございます。

 以上でございます。

 

◎農政部長(北原富裕)

 

 6次産業化に対するお尋ねでございますけれども、地域資源を徹底的に活用し、活力と循環の経済の創出を図ることは地方創生を進める柱の一つでありまして、農業分野においては農畜産物に付加価値をつける6次産業化の強化が重要な施策と考えております。

 取り組みの一例を挙げますと、長和町では、ダッタンそばという地域資源を活用し、農事組合法人による、生産から加工、販売、レストラン経営までの6次産業化の取り組みを町が積極的に支援し、遊休農地の解消や地域の活性化に成果を上げております。

 本県における6次産業化に取り組む総合化事業計画の認定件数は本年8月現在で90件と全国3位となっておりますけれども、今後、長和町のような地域活性化に寄与する事例をふやしていくことが重要と考えております。

 このため、県といたしましては、優良事例集による情報提供のほか、10広域に設置いたしました地域推進協議会において、市町村、農業団体、金融機関等と一体となりまして、6次産業化に取り組む事業体に対しまして、相談や研修会を通じた支援施策の周知と活用の促進、また6次産業化プランナーによる商品開発や販路開拓支援など、きめ細かな支援を行いまして地域活性化につながる6次産業を育成してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

 

◎総務部長(原山隆一)

 

 公共施設、インフラのあり方と維持対策についてのお尋ねでございます。

 こうした公共インフラにつきましては、老朽化の進行によりまして今後10年間で全県有施設の約15%が築50年を超え、人口減少も相まって1人当たりのインフラの維持経費の増大が不可避という状況になっております。

 こうしたことから、今回の長野県人口定着・確かな暮らし実現総合戦略案では、人口減少下の地域の活力確保という基本目標達成に向けまして、長期的な視点で公共インフラの適切な管理と人口減少社会に適応した最適配置に取り組むこととしております。

 本県では、既に平成23年に、県有財産の総量縮小、県有施設の有効活用、県有施設の長寿命化を基本とするファシリティマネジメント基本方針を策定するとともに、施設の有効活用・転用集約化計画、または職員宿舎の管理戸数適正化実行計画といった計画を策定し、具体的な取り組みを進めているところでございますが、さらに、今後、公共施設等総合管理計画及びこれに基づく個別施設計画を策定しまして長期的な視点で全ての県有施設について維持管理、更新や配置の最適化を具体的に進めていく所存でございますが、その際には、市町村の有する公共インフラについてもしっかり連携をとりながら全体的な最適化を進めていきたいというふうに考えております。

 

◆埋橋茂人

 

 今のお話を承りましたので、また、非常に分厚い総合戦略ですので、県民にもわかりやすい形でビフォー・アンド・アフターを見せていただければというふうに思います。

 今の質問とも関連いたしますけど、TPPと今後の県農政について伺います。

 TPPの問題、けさの新聞にも、小麦の関税45%削減、米国産の米について5万トン優遇枠を設けるというような報道がなされておりますけれども、閣僚会議がほぼ大筋合意かとまで報じているマスコミもございます。

 仮にそうでなくても、これは日米2国間交渉でのFTAと同じ意味を持ってくるということで、JAグループが言っております重要5品目もかなりな段階まで数字がもう出てきている状況です。県内農業には本当に甚大な影響もありますし、無論、日本農業にも大きな影響があります。

 6月県会で答弁いただきまして、試算数字は出せないということでございますが、それはそれとして、大変大きな影響が出るわけですから、またこの問題は農業問題だけではないわけでありますから、部局横断、また関係組織と早急に対応いただかなければならないというふうに考えます。

 このまま十分な対策がなければ、地方創生も本当に絵に描いた餅に終わりかねないというふうに強く懸念をしております。あしたから豚をふやすというようなわけにはいかないわけでありますから、農政部長にその辺のところをお聞かせいただきたいというふうに思います。 

 

◎農政部長(北原富裕)

 

 TPPにおける農業関係の対応についてのお尋ねでございます。

 TPP交渉につきましては、本日からアメリカにおいて閣僚会合が開催され交渉が行われているというふうに聞いております。

 本県といたしましては、農畜産物重要5品目について、衆参両院農林水産委員会の国会決議を遵守し、国内農業に影響を及ぼさないよう要望してきたところでありまして、引き続き適切な対応を求めてまいりたいと考えております。

 一方、本県農業においては、近年、担い手の減少、生産構造の脆弱化が進んでおりまして、TPPのあるなしにかかわらず喫緊に対策に取り組まなければならない課題があると認識をしております。

 このため、例えば米については、本年度より、水田農業所得向上緊急支援事業により担い手の規模拡大、コスト低減に向けての対策をスタートさせたところでありますし、また、畜産につきましても、国のいわゆる畜産クラスター事業を活用して地域の中核的な畜産農業者の規模拡大、経営体質強化などを進めているところでございます。

 今後も、国の動向を注視しつつ、新たな情勢が生じた場合には迅速に対応できるよう、関係部局との連携を密にしてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

 

◆埋橋茂人

 

 恐らく、生糸の自由化、米の自由化に続く第3の一番大きな山になるというふうに思います。ぜひ十分な対応をお願いをしたいというふうに思います。

 続きまして、医療・看護・介護職の要員確保対策についてお尋ねをいたします。

 6月県会でもお話をいただきましたが、種々の施策を講じて確保対策を進めていただき増員が得られたことは大変評価をいたしますけれども、現場の実態を伺えばまだまださまざまな課題を抱えているということでございますので、さらなる対応をお願いをしたいと思います。

 安倍総理も、介護のための離職をゼロにするという方針を打ち出されました。これについては大いに歓迎をしたいところでございます。さらなる対策を講じて今後の地方創生の重点策にしていただきたいというふうに思いますが、具体的にこれから健康福祉部長にお答えを頂戴したいと思います。

 一つ目は、県の医学生修学資金貸与医師は、初期臨床研修修了後、専門研修を受ける医療機関への配置が決まっております。医師不足の、特に山間僻地を中心にした医療機関への赴任がいつごろになるのか。お示しをいただきたいというふうに思います。

 また、看護師さん、介護士さんの確保のために、介護・看護職員が働き続けられるための環境整備について現状と対策を伺いたいというふうに思います。

 県内の医療機関、介護施設等への夜間保育の実施状況はどうなっているか。データを示していただきたいというふうに思います。

 また、夜間保育の充実、現場では最低週1回は何とかしてほしいという声が非常に看護師さん等から上がっております。現状も支援策を講じていただいてはおりますが、さらなる事業所内保育への支援策を講じていただいて、育児をしながら安心して働ける環境を順次整備していただきたいと思います。

 また、介護・育児休暇への支援と補助の充実等の施策が必要ではないかと思いますので、この辺も御検討いただきたいというふうに思います。

 三つ目、県内の要支援・介護者の介護度別人数と介護職の従事者数と充足状況、離職率はどうなっているか。お答えをいただきたいというふうに思います。

 四つ目でありますが、平成24年度から内閣府の所管で始められ、現在は厚労省の所管となっております介護プロフェッショナルのキャリア段位制度、剣道みたいな話でありますが、この制度はOJTと言われる職場内学習、訓練による資格取得のために、評価者、アセッサーと言われている方の負担が非常に重くなっています。同じ職場内にその評価者がおられるわけであります。この辺、どんな進捗状況になっているのか。

 また、同じく、厚労省の指針に基づいて、県もこの介護問題についてはキャリアパスモデルを制定されておられてそれぞれの機関が実施に移しておりますが、この制度との整合性や、これからの県内対象組織に対してどう指導していくのか。県の考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。

 また、5番目でありますが、介護の専門家として不可欠な介護福祉士養成校の入学者が定員に満たない状況が続いております。ちなみに、県のベースで言うと、平成22年が78%、平成27年は48%、国においても76から58というようなことで、急速に充足率が低下しております。

 今でも修学資金貸与制度はございますけれども、さらに充実を図って介護のプロフェッショナルを育成していくことが必要かと思いますので、その辺をお聞かせをいただきたいというふうに思います。

 以上、5点、お願いいたします。

 

◎健康福祉部長(小林透)

 

 医療・看護・介護職の要員確保対策についての御質問に順次お答えをいたします。

 まず、医学生修学資金貸与者の医師不足病院への配置についてでございますが、医学生修学資金は、将来長野県の地域医療を担う意欲のある全国の医学生に対し貸与し、大学卒業後、貸与期間の1.5倍の期間、例えば大学入学から卒業までの6年間貸与を受けた場合には9年間となりますが、この間、県内の医療機関で知事の指定する業務に従事した場合に返還を免除されるものでございます。

 この場合、議員御指摘のとおり、最初の2年間は初期臨床研修、次の3年間は専門研修をそれぞれ県内の医療機関で受講し、その後、県が定めた配置先において4年間の勤務に入ることになりますが、勤務の4年のうち1年は地域において高度先進的な医療を担う中核的病院で勤務し、残り3年間を僻地などの医師不足病院で勤務することとしてございます。

 この勤務につきましては、本年度から3名の医師を初めて配置をしたところでございまして、今後勤務に入る医師は徐々に増加し、平成37年度には80名以上を見込んでいるところでございます。

 これらの医師を、地域の実情に沿って、僻地などの医師不足病院やそれを支える中核病院に効果的に配置することによりまして地域医療が確保されるよう努めてまいります。

 次に、夜間保育の実施状況についてでございますが、現在把握しているところでは、医療機関については、病院内保育所の運営に補助を行っている33病院のうち4病院で夜間保育を行っております。また、介護施設については、夜間保育を行っている施設を1カ所把握しているところでございます。

 次に、夜間保育の充実についてでございますが、病院内保育所を運営する医療機関などに対しましては施設整備の費用や運営費の補助を行っておりますが、特に夜間保育については24時間運営を行っている医療施設について補助の加算を実施し支援を行っているところであり、今後とも、介護職員を含め勤務形態に応じたニーズ等を把握する中で、病院や地域の連携協力なども図りつつ、育児を行いながら医療現場などで働き続けられる環境の整備に取り組んでまいります。

 次に、介護・育児休暇への支援と補助の充実についてでございます。

 介護や育児を行いながら勤務を継続するためには一定期間休業することが認められてございますが、看護・介護職においては勤務環境が厳しい現状がございます。このうち、看護職員については、制度の活用も含め、就労環境改善に関して相談窓口の設置やアドバイザーの派遣などによりまして医療機関の取り組みを支援してございます。

 また、勤務環境の改善に向けた取り組みを行う医療機関に対する総合的な支援を行うため本年度より医療勤務環境改善支援センターを設置する予定としてございまして、このセンターなども活用して今後とも勤務環境の整備を推進してまいります。

 次に、県内の要介護者、介護職員の状況についてでございます。

 平成27年7月現在の県内の高齢者の要支援・要介護認定者数は10万9,922人で、このうち介護度別には、最も軽い要支援1が1万2,256人、要支援2が1万4,984人であり、続いて要介護といたしましては、要介護1が2万2,452人、要介護2が1万8,721人、要介護3が1万4,726人、要介護4が1万4,810人で、最も重い要介護5が1万1,973人となっております。

 次に、県内の介護職の従事者数は平成26年現在で3万4,000人と、介護保険が導入されました平成12年に比べ3倍に増加してございます。

 充足状況については、例えば平成26年度の介護分野の有効求人倍率が1.88倍と全職種平均の1.14倍に比べて高い状況にあること、また、平成26年に行われた調査では県内の50.8%の事業所において職員が不足していると感じていることなどから、慢性的な人材不足の状況にあると認識してございます。

 また、県内の介護職員の離職率は近年になって改善傾向にありまして、平成26年は11.7%で県内の全産業平均の14.5%より低く、また全国の介護分野の離職率16.5%を大きく下回ってございます。

 次に、介護プロフェッショナルキャリア段位制度の状況についてでございます。

 この制度は、介護職員の実践的スキルを7段階で評価し、キャリアパスの明確化や処遇改善につなげることを目指すものでございますが、現在、評価を実施しているのは初任の1から4段階までであり、上位の5から7段階の評価基準は今後国で検討することとされてございます。

 それに加え、事業所において評価者を確保する必要があることなどから、平成27年9月現在、この制度の評価者、いわゆるアセッサーは全国で7,817名、県内100名で、段位のレベル認定者は全国で688名、県内では15名にとどまっているところでございます。

 一方、長野県版のキャリアパスモデルは、新任職員から上級管理者まで5段階の職層ごとに求められる能力や必要な資格、研修などを示したもので、本年度、それに職層ごとの給与額の目安を加えることにより一層の労働環境、処遇の改善に資するものとなるように充実に努めてございます。

 キャリア段位制度は介護職員のスキルアップに有効な手段であると考えますが、県としてはまずは制度全体の設計に向けた国の動向について情報収集に努めてまいります。その上でこの制度と長野県版キャリアパスモデルとの整合を図るとともに、それらを県内事業所へ普及啓発することで介護職場におけるキャリアパスの構築を促してまいります。

 次に、修学資金貸与制度の充実についてでございます。

 介護福祉士等への修学資金につきましては、制度を開始した平成4年度から本年度までに1,348人に貸与を行ってございます。貸与後、その9割近くの方が県内の介護事業所に就職しており、介護の中核を担う職員の育成に大きな役割を果たしているものと考えております。

 この貸与制度は、これまでも、貸与額の増額や、経済的に困窮する学生に対する生活費の上乗せなどにより制度の拡充を図ってまいりました。平成25年度から27年度までの3年間では、希望者210名の66%に当たる138名に貸与を行ってございます。

 今後、介護需要の増加に伴う人材確保に向けて、より多くの希望者への貸与が可能とできるかなどにつきまして検討してまいりたいと思います。

 以上でございます。

 

◆埋橋茂人

 

 いずれにしろ、医療、看護、介護ということでそれぞれ根っこは同じですけれども、体系が異なっている部分がございますので、大きなデザインを描いてお進めをいただくように強くお願いをいたします。

 続いて、非正規雇用者対策についてでございます。

 労働者派遣法が改定されて、偶然ですが、本日施行となっております。現状の雇用実態を踏まえると非正規雇用の拡大につながる可能性が非常に高く、懸念をしているところでございます。したがって、これから産業労働部長にデータを申し上げた上で対応策をお願いをしたいので伺います。

 総務省の平成24年就業構造基本調査によりますと、初めて職につく皆さんの非正規労働者率は、25年前の1987年に比べまして男性が8.0%から29.1%に、女性が18.8%から49.3%、全体としても13.4%から39.8%とおおむね3倍前後までといずれも急増しております。

 また、同じく総務省の労働力調査、これは平成25年の平均値でございますが、非正規雇用者は男性610万人、女性1,296万人、このうち特に問題であります不本意非正規雇用は、男性で169万人、30.6%になります、女性で172万人、14.1%に上ります。

 長野県の実態がどうなっているかお聞かせをいただいて、その上で、改善に向けてどんな施策が、6月県会でもお話をいただきましたけれども、踏み込んだ話をお聞かせいただければというふうに思います。

 以上です。

       

◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹)

 

 お答えいたします。

 非正規労働者の実態とその対策についての御質問でございます。

 平成24年の総務省の調査では、県内で雇用されている方88万2,000人のうち非正規雇用の方は、男性が9万5,000人、女性が24万7,000人となっており、雇用されている人全体の約39%が非正規雇用となっております。

 また、過去5年間に初めてついた仕事が非正規雇用だった方の割合は、男性が28.4%、女性が48.5%となっており、全国平均よりもわずかに低い状況です。

 また、平成25年の県の調査によりますと、非正規雇用者のうち非正規雇用の選択を余儀なくされた方の割合は、男性が25.1%と全国平均より低く、女性は16.7%とやや高い数値となっております。

 県といたしましては、こうした状況の改善に向けまして、まずは正規雇用の求人をふやすことが基本と考え、ものづくり産業振興戦略プランに基づく新しい産業の創出など、県内産業の活性化による雇用の受け皿づくりを進めております。

 また、非正規雇用者を正社員に転換することも重要でありますので、労働局とともに県内の経済団体に対し正社員化への取り組みを進めるよう要請を行いました。

 さらに、ことし7月には、多様な働き方の制度を導入し、正規雇用や正社員への転換などに積極的に取り組んでいる企業を職場いきいきアドバンスカンパニーとして認証する制度を新たにスタートさせたところでございます。

 県といたしましては、最近の雇用情勢が着実に改善しているこのタイミングを捉えまして、正社員の雇用を拡大し、雇用の質を向上させ、生産性を上げ、県内の経済の成長につなげてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

  

◆埋橋茂人

 

 引き続きお願いします。

 浅川は、本川のほうは関係者の御尽力で仕上げ段階に入っております。豊野の浅野地区の排水ポンプ等を除いて仕上げ段階に入っているわけでありますが、駒沢川を初めとします支川も天井川が非常に多うございまして河川改修が必要と考えております。今後どのような計画で臨むのか。お聞かせをいただきたいと思います。

 

◎建設部長(奥村康博)

 

 浅川の支川の河川改修に関するお尋ねでございます。

 浅川の本川では、現在、ダム、河川改修、内水対策の三つの事業を実施しておりまして、河川改修は今年度、ダムは来年度の完成を予定しております。内水対策についても、床上浸水防止を目的として早期完成を目指しております。

 浅川の支川には駒沢川、三念沢など5河川があり、議員御指摘のとおり、これらの支川には天井川の区間も多く、一たび氾濫した場合は家屋への浸水等甚大な被害が想定されるため、本川の改修事業に引き続き、平成29年度から河川改修に着手できるよう国と協議しているところでございます。

 また、維持管理として、巡視や点検により施設の損傷や樹木の繁茂、土砂の堆積等が確認された場合は、緊急性の高い箇所から順次対応しております。

 今後も、こういった維持管理を適切に行うとともに、本支川の河川改修等の事業を進め、浅川流域全体の安全、安心の確保に努めてまいる所存でございます。

 以上でございます。

 

◆埋橋茂人

 

 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 続きまして、今回、国で成立しました安全保障法案の関係で知事の御見解を伺いたいと思います。

 この6月県会で慎重審議を求める意見書を採択し、長野県が全国で一番多くの意見書を採択した県でありますが、これが顧みられることなく、国会論議不十分なまま、多くの国民や憲法学者が懸念の声を上げる中で採決されたことにつきましては大変遺憾で残念に思っています。

 これからまださまざまな関連法案も出てきましょうし、いろんな実行ベースの中では問題が出てこようというふうに思いますけれども、当座、この件について、今までの経過、知事の所見をお聞きしたいというふうに思います。 

 

◎知事(阿部守一)

 

 安全保障関連法の成立についての所見という御質問でございます。

 さまざまな世論調査等を見ますと国民の理解が広がったとはいえない状況の中で、国の安全保障の根幹にかかわる重要法案が混乱の中での採決となったことは極めて残念な事態だというふうに受けとめています。

 今回、安全保障関連法、憲法解釈を変更した上での立法でありますので、政府・与党には法律の必要性のみならず合憲性についても国民に対し丁寧で納得できる説明を行う重い責任があるというふうに考えています。

 今回、私も改めて憲法全体を見直しさせていただきましたけれども、全世界の国民の平和のうちに生存する権利を確認した日本国憲法であります。その前文及び9条が掲げる平和主義の理念、これをどう実現するのかということを我々自身もしっかり考えなければいけないというふうに思っています。

 特に、前文には、二つ、日本国民の決意が記載されています。政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることの決意、そして平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して平和と安全を保持しようとする決意、この前文、日本国憲法、堅持されているわけであります。私ども公務員は尊重擁護義務が課されているわけであります。

 こうした前文あるいは第9条が掲げる平和主義の理念を主権者である私たち国民一人一人が改めて真剣に考える必要があるというふうに考えています。

 以上です。

 

◆埋橋茂人

 

 高い見識で御答弁を頂戴しましたので、次に移ります。

 最後ですが、現地機関の見直しについてお伺いします。

 県の現地機関の見直しにつきましては、地域振興局、仮称でありますが、のような形で総合性を高めるという形で話も一部進んでおりますけれども、こういう視点も大事だというふうに思います。私も、県全体の仕事をしていく中で、そういう組織の仕事をやる中で、地元と現地のそれぞれが総合性がないと困るということでありますが、技術等や専門的なもの、例えば労政事務所、農業改良普及センターなど単独機関が必要な部分もあるというふうに思いますので、この辺のお聞かせをいただきたいというふうに思います。

 以上です。

 

◎総務部長(原山隆一)

 

 現地機関の見直しに関するお尋ねでございます。

 今回の現地機関の機能、役割等の検討に当たりましては、地域の課題を総合的、横断的な視点を持って対応できる組織体制について主な検討の課題の一つとしておりますが、同時に、長野県行政経営理念に掲げます最高品質の行政サービスの提供のためには、技術力や専門的知識を有する専門性が高い組織が重要でありますので、この点についても主な検討課題に含めて議論しているところでございます。

 議員御指摘の労政事務所やあるいは農業改良普及センターなどの単独現地機関につきましても、行政機構審議会において、総合性の視点からだけではなくて、専門性などの視点を含めて組織のあり方を御審議いただいているところでございまして、県民の信頼と期待に応えられる組織体制となるよう検討してまいる所存でございます。