平成27年 9月定例県議会 発言内容(寺沢功希議員)


◆寺沢功希

   

  今回の知事提出議案にあります中信地区特別支援学校再編整備計画について質問いたします。

 本年2月3日、長野県特別支援教育連携協議会において検討結果が取りまとめられ、8月27日、教育委員会定例会において中信地区特別支援学校再編整備計画が決定されました。

 そこで、教育長にお聞きします。

 松本盲学校内に松本養護学校の高等部分教室と分教室重度重複障害部門を併設するなど、松本養護学校の過密化解消、高等部生徒の通学利便性等については効果を期待するところではありますが、一方で、先日、会派として松本養護学校において対話集会を行った際、保護者の皆さんと意見交換をさせていただき、その中に松本盲学校の保護者の方もおられました。受け入れる側の保護者の立場より、静かな環境が必要である盲学校において共存ができるか、むしろ知的障害の子供たちが伸び伸びと学校生活を送れず負担になってしまうのではないか、施設面においてもどちらの障害にも対応した整備が行われるのかといった不安の御意見をいただきました。

 来年度より松本盲学校へ併設されるスケジュールとなっておりますが、先ほどの保護者の方が持っておられる不安点を含め、現時点で、双方の教職員、保護者、あるいは子供たちへの説明は十分で、不安は取り除かれ、皆さん納得されておられるのでしょうか。不十分とお考えの場合、今後の対応はどのようにお考えでしょうか。

 また、今回提出された予算案の中に松本盲学校の施設整備が盛り込まれております。来年4月の受け入れに向け、どのようなスケジュールでどの程度の施設整備をお考えでしょうか。

 加えて、この計画の中には、安曇養護学校については、「平成22年度に南安曇農業高校内に高等部分教室を設置して以降、児童生徒数は減少傾向にあり、過密化は緩和されつつあります。」という一文があるのみで、今後の方針について触れられておりません。また、この計画についての意見募集した結果の安曇養護学校についての幾つかの御意見、質問に対する県の回答もこの一文となっております。

 事実、児童生徒数の推移を見ると平成22年度以降減少傾向にありますが、来年度は増加の見込みのようです。計画にあります先ほどの一文では県のお考えを読み解くことができません。このまま何も手をつけず、ただ自然に子供たちの数が減るのを待つということでしょうか。

 今後についてどのようにお考えか。お答えをお願いします。

 

◎教育委員会教育長(伊藤学司)

 

 特別支援学校関係につきまして3点お尋ねをいただきました。

 まず、中信地区特別支援学校再編整備計画の関係者への説明についてのお尋ねでございます。

 中信地区の再編整備につきましては、計画案策定前から、関係する学校の保護者など学校関係者と丁寧な懇談を重ねてきたところでございます。また、本年6月に再編整備計画案を公表後も、地域懇談会の開催やパブリックコメントの実施に加え、関係校の保護者、教職員、同窓会の方々と複数回にわたり丁寧に懇談を重ねた結果、再編整備の基本的な方向について関係者の御理解が得られたことから、8月に計画を正式決定したところでございます。

 今後も、再編計画を推進するに当たりましては、学校関係者や地域の方々に説明をし理解を得ながら丁寧に進めてまいりたいというふうに考えてございます。

 次に、松本盲学校における4月の受け入れに向けた施設整備についてのお尋ねでございます。

 平成28年4月から、高等部の1年生と医療的ケアを必要とする児童生徒数名の受け入れを現在予定をしているところでございます。これらの児童生徒を万全の体制で受け入れられるよう、今年度中に一部教室の配置がえと作業学習用の教材などの備品や医療的ケアに必要な器具などの整備を行うものとしておりまして、必要な経費について今議会に補正予算をお願いしているところでございます。

 次に、安曇養護学校の今後の児童生徒数の見込みについてのお尋ねでございます。

 安曇養護学校につきましては、先ほど議員御指摘のとおり、南安曇農業高校内に高等部分教室を設置したことなどにより本校の児童生徒数がピーク時の202人から本年度は165人と約2割減となり、過密化は緩和されつつあるというふうに認識をしてございます。

 また、今後、中信地区の再編整備に伴いまして、現在、安曇養護学校に通学している区域に住んでいる子供たちのうち、松本市に近い者が松本盲学校に設置される分教室を選択することも想定をしているところでございます。

 こうした状況を踏まえ、今後については少子化により児童生徒全体の減少が進む中で安曇養護学校の児童生徒数は中長期的に減少傾向は続くというふうに見込んでございまして、学習環境はさらに改善をしていくものというふうに教育委員会としては認識をしているところでございます。

 

◆寺沢功希

 

 どこの特別支援学校においても、スクールバスについて、一番遠い子供は1時間以上もバスに乗らなければならない、利用人数が多く利用したいが利用できない、座席に余裕がないなど、少なからず問題を抱えております。しかしながら、単にバスをふやせば解決する問題ではなく、バスの購入費はもちろん、維持費、人件費やバスに同乗する介助員の確保など新たな負担が生じるため対応に苦慮しているところだと思います。

 そこで、教育長にお聞きします。

 今日、市町村等におけるデマンド交通が整備されてきておりますが、このシステムに子供たちの送迎に一役買っていただくことはできないでしょうか。地域外の運行ができない等の制約があるようですので、学校までの送迎というわけではなく、各地域にバス停を設け、地域内とバス停の間の送迎をお願いできれば子供たちのバスの乗車時間も短縮できますし、学校のスクールバスの走行距離、時間も削減できるのではないでしょうか。

 スクールバスの現状、また、地域デマンド交通との連携の可能性についてお答えをお願いします。 

 

◎教育委員会教育長(伊藤学司)

 

 特別支援学校のスクールバスの現状及びデマンド交通との連携の可能性についてのお尋ねにお答えを申し上げます。

 スクールバスについては、利用する児童生徒の増加にあわせ、これまで順次増車や大型化を進めるなど送迎環境の改善を図り、現在、12校に34台を配置しているところでございます。

 バスの運行に当たりましては、利用を希望する児童生徒の居住地や地域全体の交通事情等を踏まえ毎年度各学校において適切な運行経路を定めており、全てのスクールバスに学校の職員が添乗し、児童生徒のケアを初めとした安全確保に当たっているところでございます。

 御提案のデマンド交通についてでございますが、付き添いや介助の必要な児童生徒の利用には課題があるものの、一部の市町村においては自力で通学が可能な生徒についてコミュニティーバスにより通学を支援していただいているところもあることから、今後、デマンド交通を含め、市町村との連携が可能かどうかを研究してまいりたいというふうに思っております。

 

◆寺沢功希

 

 さきに触れました再編整備計画に基づき、今後、中信地区の特別支援学校の環境改善は進められていく予定ではありますが、他地域については未定であり、そもそも、音楽室やプレールームが教室として使用されているなど、本来あるべき施設が本来の目的以外で使用され、なくなってしまっている時点で根本的な解決には至っていないのではないでしょうか。

 先日、北海道教育庁特別支援教育課より、特別支援学校への取り組みについてお話をお聞きしました。北海道では、毎年、年度当初に、次年度特別支援学校への進学を希望する小中学校の特別支援学級等の卒業予定者の状況を把握し、希望者数以上の間口を確保するなど、子供たちが十分な環境で学べるよう、毎年、配置計画、施設整備等を行っているそうです。

 長野県の特別支援学校の現状は、こういった常の取り組みが十分ではなかったことによるものではないでしょうか。また、他県におけるよりよい取り組み、施策については、プライドを捨て、どんどん取り入れていくべきだと考えます。

 そこで、教育長にお聞きします。

 中学校から高校進学時に特別養護学校へ入学する子供たちが多いことも過密化の一因であります。現在、県内には高等養護学校がありません。過密化解消、就労支援の充実、卒業後の自立等を考えれば高等部単置校は必要であると考えますが、今後新設するお考えはありますでしょうか。

 加えて、例えば安曇野市でいえば、県の安曇野庁舎の空きフロアや合併により利用されなくなった市の施設など県や市町村所有の空き施設を利用しての新たな学び場の設置等、環境改善には一つの方法ではないかと思いますが、御見解をお聞かせください。

 続いて、知事に伺います。

 教育委員会制度改革により首長の教育行政に関与する権限が強まりました。また、知事は、昨年の9月定例議会において小林東一郎議員の質問に対し、今問題意識を持っているのは障害がある子供たちの支援であり、福祉的と特別支援学校での対応の両面である、また、学校はある意味で地方創生の中では地域の拠点的な機能も有しているわけであり、教育委員会と知事部局両方が知恵を出し合って考えていかなければならないと考えていると答弁されております。

 ある程度知事主導により教育行政が運営できるようになった現在、特別支援学校の現状についてのお考えと今後の取り組みについて。

 また、先ほど触れましたが、今後はソフト、ハードの両面において市町村との連携が重要になると思いますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

 そろそろ、その場しのぎではなく、抜本的な見直しが必要な時期に来ていると思われますが、お答えをお願いいたします。

  

◎教育委員会教育長(伊藤学司)

 

 高等養護学校の新設及び利用されなくなった市町村施設の活用についてのお尋ねにお答えを申し上げます。

 まず、高等養護学校の新設についてでございますが、本県では高等養護学校は設置はしてございませんが、過密化の解消や就労支援の充実などにそれぞれの地域で対応するため高等学校内等への養護学校高等部分教室の設置を進めてきたところでございます。

 平成17年度に更級農業高校内に設置したのを初めとし、平成26年度までに4通学区に1校ずつ高校内に高等部分教室の設置を進めるとともに、長野地区においては平成22年度に長野盲学校内に長野養護学校高等部分教室を設置し、それぞれの学校において就労や社会自立がなされるよう進めているところでございます。

 また、平成28年度には、須坂商業高校内への高等部分教室、また松本盲学校内への松本養護学校高等部分教室の設置を計画をしているところでございます。

 こうした取り組みによりまして、それぞれの地域において、就労支援の充実、同世代の生徒同士の交流の実現、本校の過大化、過密化の緩和などの成果が得られていくものと考えてございます。

 次に、利用されなくなった市町村施設の活用についてでございますが、本県では、これまで、児童生徒が減少した高等学校や特別支援学校の教室を有効に活用し、各地域において特別支援学校の分教室を設置してきたところでございます。

 御提案の、合併した市町村が所有する庁舎等の空き施設を学校として利用する場合は、教室のほかに、体育館や校庭、実習用の屋外作業スペースなどの確保が課題となることから、今後の施設の必要性も勘案しながら個々の状況に応じ検討してまいりたいというふうに考えております。

 

◎知事(阿部守一)

 

 特別支援学校の現状と今後の取り組みについてという御質問でございます。

 特別支援学校、先ほども答弁申し上げましたけれども、教員の配置も今計画的に増員をしておりますし、まだまだ施設整備も取り組まなければいけない部分が多いというふうに認識しています。そういう意味で、現状、子供たちにとって改善すべき点が多々あるという認識を持っています。

 先ほども総合教育会議についても触れていただきましたけれども、私は、子供たちを中心に、縦割りというか、組織の壁を取り払っていかなければいけないだろうというふうに思っています。まず、今まで、教育委員会は教育委員会が議論して、そしてそれを我々が例えば予算であれば教育委員会の予算要求を受けて対応してきていますけれども、総合教育会議という場ができたわけでありますので、もっと早い段階で教育委員の皆様方と率直な意見交換をしていかなければいけないだろうというふうに思っています。

 それと同時に、県と市町村との関係も、子供という観点ではしっかりと連携をしていかなければいけないわけであります。例えば須坂市のように特別支援教育に非常に積極的にお取り組みいただいているところもあれば、必ずしもそうではない市町村もあるわけでありまして、これは、県と市町村との関係においても、県行政と市町村行政のはざまに子供たちが落ち込んでしまうことがないように市町村とはしっかり連携をしていかなければいけないというふうに考えております。

 そういう観点で、新しい総合教育会議の場も十分活用しながら、教育委員会とはこれまで以上にしっかりと連携協力しながら、特別支援教育の充実、そして学校施設のあり方、一緒に考えていきたいというふうに思っております。

 以上です。 

 

◆寺沢功希

 

 次に、内閣府の調査によると、18歳以下の自殺人数を日付別で分析すると夏休み明けの9月1日が最も多く、そのほかの人数の多い日を見ても長期休暇の明ける時期に集中しているようです。

 そこで、教育長にお聞きします。

 夏休みも終わり、2学期が始まって1カ月がたちましたが、県内の小中学校における不登校児童生徒の現状はどうでしょうか。また、夏休み前と比べるとその状況に変化はありますでしょうか。お答えをお願いいたします。 

 

◎教育委員会教育長(伊藤学司)

 

 夏休み明けの不登校の状況についてのお尋ねでございます。

 不登校の状況を把握し適切に施策に反映していくために、国では1年ごとなんですが、本県では半年ごとの状況調査を行っているところでございますが、月ごとの調査というものは実施をしてございませんので、2学期が始まって1カ月が経過した数値について県では数値的には把握をしていないところでございますが、各市町村や学校においては月ごとに現状を細かく把握しながら必要な対応をしているものと認識をしてございます。

 学校における状況を伺いますと、1学期に不登校であったが登校できるようになる子供がいる一方、長期休業明けに休みがちになる子供もいるという状況だというふうに聞いてございます。

 各学校においては、悩みを抱える子供が新学期のスタートをうまく切れるよう、休み明けの様子を的確に把握し、相談体制の充実やきめ細やかな対応など子供に寄り添った対応がなされるよう、県教育委員会としても各学校、市町村教育委員会に求めていきたいというふうに思っております。

 

◆寺沢功希

 

  ただいまの御答弁によりますと、県が把握されている状況は半年ごとのものということであります。つまり、子供たちの、あるいは教育現場の現状は把握できていないということになります。問題解決のためには情報共有あるいは現状把握は必須であると考えます。今後、調査方法あるいはサイクル等の見直しが必要であると思いますが、御見解をお聞かせください。

 続いて、不登校という形で自己表現ができ、信号を発信してくれれば、周囲も救いの手を差し伸べることができます。しかし、問題なのは、心配をかけさせまいと家族にも言えず、一人悩んでいる子供たちであり、いかに周囲がささいな変化に気づき、思い詰める前に手を差し伸べることができるかが課題であります。

 そこで、教育長にお聞きします。

 残念ながら、ほぼどこの学校においても大小を問わずいじめは存在します。一方で、あらゆる理由により、先生あるいは学校がいじめと認めないということがあるのも事実です。いざ解決に向けて動き出したとしても、時間がかかるのはもちろん、当事者同士の話し合いでは感情のもつれによりさらなる亀裂を生じることもあります。担任の先生が解決に向けて取り組まなければいけないのはもちろんなのですが、その問題にかかり切りになってしまえば、ほかの子供たちへの目が行き届かなくなってくるなど日々の学級運営にも支障が生じます。

 そこで、有識者、教育経験者、弁護士、カウンセラー等で組織し、子供の心のケアを同時に行いながら直接問題解決に携わる、机上ではなく、現場介入型の第三者的組織の存在が必要かつ重要であります。これにより、早期に問題解決に向け取り組むことができるほか、現在の話し合いの末に生じる被害者である子供たちが置き去りになり、親対親、親対学校といった構図も少なくなると思われます。

 長野県にも、平成25年度より、このような取り組みを行ういじめ等学校問題支援チームが設置されておりますが、現在までの活動状況をお聞かせください。

 また、残念ながら、このチームの存在が子供たちあるいは保護者の皆さんに周知されていないと思われますが、今後どのように広めていくお考えでしょうか。

 加えて、現在、この取り組みは全県を対象として、生徒指導総合対策会議委員12名、学校事故被害者等支援相談員25名の中から5名程度のチームを組織しておられますが、今日の教育現場の状況を考えれば少なくても地方事務所単位に設置し、より幅広く柔軟に対応すべきであると考えますが、御見解をお聞かせください。

 

◎教育委員会教育長(伊藤学司)

 

 まず、児童生徒が学校を休みがちになったときの状況の把握に関する新たな調査を毎月行うべきではないかというお尋ねにお答えを申し上げます。

 児童生徒の休みの状況というものは、これは役割分担だと思いますけれども、まずはしっかり個々の学校で把握をしながら対応をとっていく、そして個々の学校を管理運営する市町村教育委員会が一義的に責任を持って対応していく、県としては全体の傾向等を分析しながら新たな施策に反映していく、こうした役割分担が基本的にあるというふうに考えてございます。

 学校現場、さまざまな調査で大変多忙化をきわめているという状況もございまして、新たに児童生徒の休みの状況を毎月県教育委員会に報告をしなければいけないと、これがかえって学校現場で先生方が子供たちに向き合う時間を削減をしてしまうということにもなりかねない面もあろうかと思いますので、調査をどう行うかということについては慎重にあるべきだというふうに思ってございます。

 しかしながら、個々の学校において生徒が数日間連続して休む、こういうような兆候を出したときには、どの学校においても速やかに不登校のおそれがあるのではないかというようなことを察知しながら対応していく、こういうような対応を充実していくことは大変重要だというふうに考えてございますので、現在、県の教育委員会では、学校や市町村の意見も聞きながら、いわゆる不登校対応にどう取り組んでいくかということについて、詳細な事例、またいい事例を集めながら、どう取り組むかという報告をまとめているところでございまして、この報告の中できめ細やかな対応ができるようなものというものをまとめ、各学校のほうにも伝えていきたいというふうに思ってございます。

 次に、いじめ等学校問題支援チームの活動状況についてのお尋ねでございます。

 議員御指摘のとおり、県の教育委員会では、弁護士、医師、臨床心理士等の専門家によりますいじめ等学校問題支援チームを平成25年度より設置をしてございまして、いじめの重大事態に限らず、解決困難と思われる事案について、学校等に専門家を派遣したり、また相談をすることにより対応しているところでございます。

 チームの活動状況といたしましては、事務局との相談、電話、メールによる学校との相談、現地への派遣などの種類がございますが、平成25年度は8回、平成26年度も8回の対応をしているところでございます。

 次に、いじめ等学校問題支援チームのあり方についてのお尋ねでございますが、児童生徒、また保護者への周知が十分ではないのではないかという御指摘でございます。

 いじめ等学校生活の問題について子供たちや保護者から直接相談を受けるということについては、学校生活相談センターというものを県教育委員会のほうで設け対応することとしてございまして、これについては、全ての子供たち、また学校を通じ保護者の皆様のほうにもこの情報の周知を図っているところでございます。

 学校生活相談センターのほうに子供、また保護者から寄せられた相談の中で、専門家による支援の必要があると認められるものについては市町村教育委員会や学校と相談した上でいじめ等学校問題支援チームを派遣し、解決に向けて取り組み、課題を抱えている子供たちの支援につなげる、このような形で取り組んでいるところでございまして、その意味で学校生活相談センターについてまずは周知の徹底を図っていきたいというふうに思ってございます。

 また、支援チームの置く場所でございますが、支援チームというのは常駐の組織ではなく、課題が生じた際に学校に派遣をするいわば人材のリストでございますので、迅速な課題解決に向け全県からそれぞれの分野の専門的な人材をリストとして幅広く確保する観点からは県教育委員会のほうで一元的に行っていくことが望ましいと考えてございますが、具体の要請があった場合には教育事務所との連携を図りながら速やかに派遣できるよう努めてまいりたいというふうに思っております。

 

◆寺沢功希

 

 今日、中1ギャップというものがこのいじめ問題の一因と言われております。しかし、このギャップという点では子供たちの環境において別のところにも生じております。

 現在、子供たちの障害は、学習障害、発達障害、注意欠如多動性障害等、種類も程度もさまざまです。小学校においては、子供たちの状況に応じて保護者と学校との話し合いにより、通常学級に籍を置き、授業ごとに特別支援学級か通常学級で受けるかを選択できる通級による指導が受けられ、柔軟に対応していただいておりますが、中学校になると専科型教育になるため難しい部分があるのかもしれませんが、多くの学校において特別支援学級か通常学級かの選択、ゼロか100かの選択を迫られるそうです。

 そこで、教育長にお聞きします。

 現在、県内の中学校において、このような通級指導教室を設置していない学校はどのくらいあるのでしょうか。また、その割合は他県と比べるとどのような状況なのでしょうか。

 さらに、多種多様な障害、また子供たちの希望に対応した教育を行うべく、今後、この通級指導教室の設置についてどのようにお考えか。お答えをお願いいたします。

 

◎教育委員会教育長(伊藤学司)

 

 発達障害に対応した中学校への通級指導教室の設置についてのお尋ねにお答えを申し上げます。

 発達障害に対応する通級指導教室は、小学校につきましては、昨年度5教室、今年度10教室増設し、現在28教室を設置をしているところでございますが、中学校については本県ではまだ未設置でございます。

 中学校につきましては、議員御指摘のとおり、授業が教科担任制となり、通級による指導と教科の専門的な教育の確保に課題があることから、中学校において通級指導を受けている生徒は全国的に見ましても小学校の3分の1程度と減少をしているところでございまして、本県を含め、利用している生徒が20人未満となっている県は8県に上っているところでございます。

 このため、今年度、小学校2校の担当教員が中学校にも巡回支援を試験的に行い、中学校における今後の望ましい支援のあり方について研究を始めたところでございます。

 今後、巡回支援の課題や効果を把握した上で、中学校への通級指導教室設置や指導、支援のあり方について検討してまいりたいと考えております。

 

◆寺沢功希

 

 設置状況がゼロという現状に非常に驚いております。子供たち、保護者のニーズに沿ったさらなる支援の充実を切に願います。

 最後に、現在、14疾患群、704疾病を対象とした小児慢性特定疾病に係る医療費助成制度が設けられており、自己負担割合が3割から2割になるほか、自己負担の限度額が所得に応じて区分され、無料から1万5,000円となっております。また、対象年齢は原則18歳未満の児童等でありますが、18歳到達時点で助成を受けており、到達後も引き続き治療が必要と認められる場合は20歳未満まで延長されます。

 そこで、知事にお聞きします。

 病と闘う子供を持つ親としては大変心強い制度ではあります。しかし、この助成の適用を受けられるのは申請書の受理日からとなっており、つまり、なかなか病名がわからず、それまでに行った検査や治療、あるいは、診断後、親が申請書を保健所に提出するまでの間の治療については適用にはならないのです。福祉医療費受給の対象年齢であればその分は福祉医療費で給付されますが、その対象範囲は市町村により異なり、対象年齢を超えていれば自己負担になります。

 助成適用開始を、その病気の疑いを持って受診したときまでさかのぼるべきではないでしょうか。

 また、18歳あるいは20歳到達後は指定難病の医療費助成へ移行できるわけですが、対象が306疾病と減ってしまうため引き続き助成を受けることができない方もおられます。

 子供のころから病気を患い、大人になって普通に仕事につけるのか、また、まともに収入が得られないまま助成が受けられず治療費の負担がかかることに不安を持っている方が多くいらっしゃいます。

 国の制度のため県としての取り組みとしては難しい部分があると思いますが、制度の見直しについて国に要望していただけないでしょうか。また、同時に、この制度の不十分な部分を県としてカバーすることはできないでしょうか。お答えをお願いいたします。

 

◎知事(阿部守一)

 

 小児慢性特定疾病に係る医療費助成についての御質問でございます。

 御質問の中にもありましたように、平成27年の1月から小児慢性特定疾病に係る医療費助成制度が改正されたところであります。対象疾病が514疾病から704疾病に拡大されるとともに、難病についても56疾病から306疾病へ拡大の措置が一体的に行われたところでございます。

 二つ論点をお話いただきましたけれども、まず適用開始日のお話がございました。

 他の公費負担医療と同様、確定診断書を添えた申請書の受理日という形になっているわけであります。

 私もかつてギランバレー症候群という病気になったときに、最初は一体何の病気だかよくわからなかったということもありますので、確かに御指摘のような論点があるのではないかというふうに思います。

 ただ、さまざまな疾病において、遡及適用日、いつまでさかのぼれるのかという特定はなかなか実務的には難しい部分もあるのではないかというふうに思っております。実際上そういう対応ができるのかどうかということについてはよく考えていく必要があるんじゃないかというふうに思います。

 それから、対象年齢を過ぎても引き続き助成をできるようにというお話でございます。

 今回の難病対象疾病の拡充によりまして、成人期以降も指定難病として医療費助成を受給できる小児慢性疾病は15疾病から347疾病ということで、数は格段に増加をすることとなっています。

 しかしながら、例えば悪性腫瘍であるとか糖尿病等のように、小児慢性疾病ではあるけれども成人の患者数が多いことから希少な疾病を対象とする指定難病の対象にならない、そして医療費助成の対象にはなじまない疾病もあるというふうに認識しております。

 御指摘のような課題、制度的な部分と実態的な部分、両面捉えなければいけないと思いますが、今回、新制度スタートしたところでございます。まずは関係者の皆様方の御意見を十分お聞きした上で課題を整理していきたいというふうに思います。その上で、国に対して必要な見直しについて要望するとともに、県としての対応の必要性を判断していきたいと考えております。

 以上です。

 

◆寺沢功希

 

 少子化を食いとめるためには、新たな施策だけでなく、子育てにおいて親が抱えるさまざまな不安を取り除くことも重要であると考えます。かつて教育県と称された長野県、またこども病院を有する長野県が、子供たちの教育環境、あるいは障害、病を持つ子供たちを取り巻く環境において今後常に先進的であることを願い、全ての質問を終わります。