平成27年 9月定例県議会 発言内容(花岡賢一議員)


◆花岡賢一

   

 順次質問をさせていただきます。まず初めに、次世代農業について御質問させていただきます。

 民間の調査会社の報告によると、2012年の植物工場の国内市場規模は29億円と、そういった形の結果を示したデータがあります。また、2018年にはその3倍の88億円に拡大するとの予測も同時に示しております。

 このデータが示す状況を考えると、単に植物工場と見過ごせない現状を感じるのと同時に、かつて大手企業がこぞって参入をしていた、そして撤退を繰り返してきた時代とは大きく異なる、そういった状況が起こっていることを示しています。

 その状況を示す一つの例として、ジャパン・フード・セレクションという、食品、食材の評価を業界関係者ではなく消費者が選ぶ機構が存在するのですが、その2015年2月のコンテストにおいて金賞を受賞した農産物に薩摩甘照というハイテクトマトがあります。

 ハイテクトマトというからには生育方法が当然次世代的なのではありますが、そのトマトをつくったのは半導体メーカーであります。そうなると、当然、お家芸的な発光ダイオード、すなわちLEDによって日照時間を調整した生育物なのでありますが、従来のおてんとうさま頼みの農法とは全く違った生育方法であることは確かであります。

 受賞の理由として挙げられていることの中に、繊細かつ野性味で生命力ある濃厚な味わいとの驚くべき内容がありました。屋内で、しかもLEDによって生育されたトマトが野性味があるとは甚だ信じがたい内容でもありました。また、ずっしりとした重量感、そして心地よい食感、そして食欲をそそる鮮烈な赤い色など、従来のトマトと遜色ない生育物としての評価を持ち、そして糖度が8度以上のもののみにネームブランドを使っているとはいえ、その栄養についても同様以上の生育物の評価がありました。

 その理由の中で注目すべきことが、安定した収穫が期待できる先進的な栽培方法とありますが、コンテストの大きい小さい、またその知名度のあるなしにかかわらず、金賞という評価を受けていることに対し、農業の6次産業化が全国的に叫ばれ、強い農業が求められ、農業従事者自身がその方向性を模索している中、長野県としてもおくれをとってはならない問題だと私は考えております。

 これは、従来の露地物野菜を完全に否定するものでは決してなく、天候に左右されない、ある程度安定した収入を得られる手段として考えていかなくてはならない課題と思われます。

 しかし、この植物工場で生育された農産物のみで食料自給率を100%までカバーできるわけでは当然なく、農業によって生計を立てられている方々が、農業をやっていてばかを見たという状況から、ある程度安定した収入を得られることによりみずからの生活が保障される状況をつくり出すことにもなってくるわけです。

 また、農作業イコール重労働のイメージを多少なりとも軽減することができれば、新規就農者の拡大にも向かっていく可能性を含んでいます。

 当然、マイナス面も存在します。それは、いわゆる葉物野菜、レタスやキャベツ、白菜、そういったものによっては植物工場でつくられたものは巻き込んでいかない、そういう現実があります。今後の技術の向上によっては改善される可能性はあるにしても、土で育った野菜と明確な違いが出てしまう現実もあります。

 しかし、今後、機能性に特化した植物工場産と自然の恵みの中で育ったそういったものとの区別も、食育として教えていくことができるのではないでしょうか。

 人体に影響が出てしまえば大きな問題となってしまいますが、現時点では心配はないようです。また、どちらをよしとするという意見も存在しますが、同じ国内産にあって、当然のごとく安心、安全を含む農作物同士を比較できることは、結果、消費者にとってメリットは大きくなると考えています。

 そこで、先ほど申し上げたとおり、国の基である農業に携わられる方々が天候に左右されないである程度安定した収入を得られる手段であり、全国的にも取り組みが拡大している植物工場について県としても進めていくべきだと考えるところが多いのですが、農政部長に御所見をお伺いいたします。

 

◎農政部長(北原富裕)

 

 次世代農業の中での植物工場についてのお尋ねでございますけれども、光や温度などの環境条件を制御して野菜などを施設内で生産する完全人工光型の植物工場につきましては近年全国的に増加傾向にあり、県内におきましても実験プラント的な小規模なものも含め6カ所が稼働しております。

 この中には事業者が営業ベースで販売まで取り組んでいるものもありますけれども、施設などの設備投資が高額の上、光熱費などランニングコストもかかりますので、現状では農業者が取り組むには経営的に難しいものと考えております。

 しかしながら、技術革新によるコスト低減、また、植物工場で得られるデータやシステムをハウス栽培へ応用することなどによりまして今後の取り組み拡大が期待されるところでもあります。

 県といたしましては、経営的に十分な検討を行った上で次世代農業に取り組む事業者に対しまして、国庫事業などを活用して支援してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

 

◆花岡賢一

 

 いろいろな問題を含んでいるとは思いますけれども、シンプルに申し上げれば腰の高さ程度に育てた石垣イチゴのイメージで、生産者にとっても負担を軽減できる状況があれば次世代の農業として強い農業に向かっていける手がかりとなるのではないかと思います。

 さて、さきの6月の定例会でも示したのですが、佐久市に本年度から開校した佐久平総合技術高等学校には、先ほど申し上げた植物工場を実践的に行えるカリキュラムを含んでおります。植物工場の名前のとおり、高校生のときから産業や経済に携われること、未来を担う次の世代として今取り組んでいかなければいけないこと、それが今求められていると思います。

 大学在学中に起業し成功をおさめるケースも存在するわけですが、若い世代からお金を生み出す、そういったことや、みずからの行動や活動が経済に影響していることを実践的に行えることが将来の長野県の産業振興に大きな影響力を持ち、かつ貢献できる人材の育成につながる可能性を多く含むと考えていますが、そういった実践的な攻めのカリキュラムを行う高校を推奨していく展望を教育長にお伺いいたします。

 

◎教育委員会教育長(伊藤学司)

 

 植物工場等のカリキュラムを推奨していくことについてのお尋ねでございます。

 高校段階における農業教育においては、議員御指摘のとおり、産業や経済活動にかかわる実践的な専門学習を通して、技術革新や6次産業化の進展など、時代の要請に的確に対応する能力、態度を育成していくことが重要であると認識をしております。

 その事例とし、佐久平総合技術高校や須坂創成高校においては、農業科、工業科及び商業科の学習領域が融合した植物工場の学習を実施する予定でございます。この学習では、工場内における水耕栽培等の高度な農業技術に加え、環境制御等に関する工業科の学習やマーケティング等に関する商業科の学習を行うことにより多面的で応用可能な職業能力を育成するとともに、異なる産業が融合した新たなアグリビジネスに挑戦する起業家精神の醸成を図ってまいりたいと考えております。

 今後、植物工場を初め、地域社会と連携した商品開発等の学習など、専門学習と産業社会をつなぐ実践的な学習活動を推進することにより本県の産業振興へ寄与し、産業社会に貢献できる人材を育成してまいりたいと考えております。

 

◆花岡賢一

 

 この植物工場といった言葉には私自身も違和感を感じています。それは、農業と工業の明確な垣根が存在していることと認識しています。口にするものは常に安全、安心でなくてはなりません。工場から出荷される2次産品にあっては検査を繰り返していることもあり安心して口へ運ぶことができますし、ためらうこともないでしょう。しかし、農産物が工場から出荷される状況を考えると、その農産物は果たして安全なのだろうかとふと思うときもあります。

 病気にもなりづらく、虫もつかないものへの抵抗は当然あるわけですが、その植物が栄養に特化されたものとして市場に多く出回る時代が来た状況でもう一度考えてみると、錠剤やカプセルでとるサプリメントに比べれば抵抗なく口へ運ぶ時代が来ても何ら違和感はありません。6次産業化を進めていく中にあって農業と工業の垣根を低くすることも、この次世代の農業の課題と考えています。

 また、工場の施設についても、公の施設、例えば廃校になってしまった校舎や、建てかえや取り壊しの進まない施設などの後利用の推進につながる可能性や、果ては空き家の利用にまでつながっていくことも想定されますので、今後の展開や夢のある農業の発展にこれからも注目し、状況に目を光らせていきたいと考えております。

 ちなみに、隣の県では大規模な野菜工場の進出が大きな話題となっておりますが、長野県の農産物の持つクリーンなイメージはブランド力としても高いことは多方面で証明されております。当県においてもお家芸をとられないように努めていかなくてはならないことを強く思い、次の質問へ移ります。

 県政モニターアンケートについて御質問させていただきます。

 平成24年から実施されているこのモニターアンケートについて、県民に県政に対する関心を高め、県政参加を推進するため、県政全般について広く意見を募る県政モニターを設置するとありますが、この目的達成のために、調査対象者1,204人、そのうち無作為での抽出が1,108人、公募によるものが96人というのは、果たして適正な人数なのか。また、現在の調査対象者からの回答で県政全般について広く意見を募れているのかどうか。また、本来、本人の承諾を得て回答をいただくのがモニターなのであって、その回答率、回収率は極めて100%に近くなくてはならないものと考えております。

 しかし、過去の回収率、およそ7割近くを推移している現状は満足できる値であるのか。また、回収率を上げる取り組み等、今後の展望を企画振興部長にお伺いいたします。 

  

◎企画振興部長(小岩正貴)

 

 県政モニターアンケート調査につきまして大きく2点御質問をいただきました。

 まず、調査対象者についてでございます。

 都道府県レベルで本県の県政モニターと同様の制度を実施しておりますのは28都府県でございます。このうち調査対象者が1,000名を超えるのは5府県でございまして、規模の面からは本県の取り組みは大きな部類に入るものと認識をしております。

 前身であります県政世論調査の規模や実際の運用管理等に照らしても現在の規模はおおむね妥当なものと捉えておりますけれども、よりよい制度となるよう調査対象者の数や選定の仕方などは常に工夫していく必要があるものと考えております。

 また、県政モニターアンケート調査は、その時々の県政の主要課題や県民意識の変化等について行っているものでございます。県政全般について広く意見をお聞きする方法としましては、この制度以外にも、県政タウンミーティングや県民ホットラインなども実施しているところでございます。こうした手法とのベストミックスで広く県民の皆様の意見を伺ってまいりたいと考えております。

 また、回収率についてでございます。

 県政モニターアンケートは、年4回程度、インターネット、もしくは郵送により回答をお願いをしております。制度創設から本年5月実施分までの回収率は議員御指摘のとおり7割前後で推移をしております。

 また、モニターの方個々に着目をいたしますと、回答率が100%の方もいらっしゃれば、かなり低い方もいらっしゃる状況でございます。

 同様の制度を実施している都府県のうち調査対象者が1,000名を超えている府県でもその回収率は7割前後でございますが、調査結果の確からしさという視点からは回収率の向上は重要と考えます。このため、これまでも郵送よりも回収率が低いインターネットによる回答者への対応や回答しやすいアンケート項目の設定に努めてきたところでございます。

 今後とも、結果の分析や他府県の事例等を参考に、回収率のさらなる向上に努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。  

 

◆花岡賢一

 

 県政への関心を高め、県民とキャッチボールをしながら県政をつくるといった知事の方針に従うならば、モニターの方々に施策の達成度、または満足度を問うことはよいとは思いますが、我々も含めて投票をいただいて県政に関与する側、また、執行権者の信任は4年に1回必ず来るわけであります。

 かつて私が子供のころ感じていた長野県政のように、完全なるワンマンブルドーザーでは決してあってはならないわけではありますが、この県政モニターアンケートが単なる大衆迎合とはならないこと、そして地方創生にあって決して弱気を思わせるようなリーダーシップがないよう強く求め、また、インセンティブがなくても回答してくれる真面目な県民性や、以前年1回行われていた県政世論調査に比べ安価で回数も多く行われているなどなど、その内容を他県に対して誇れるものとして、より広く意見を募れるものとして、最終的に長野県に暮らす全ての人の利益につながる施策の実現のために今後ますます発展することを願って、質問を移ります。

 次に、災害時の支援について質問させていただきます。

 今月の台風18号の通過に伴い9日の夜から10日にかけて北関東を中心に記録的な大雨をもたらしたことは記憶に新しいのですが、鬼怒川の決壊等にあるよう、本来自然災害というものは、十分な対策を講じてあったとしても、いつ、どこで、どのように起こるか、それを把握することは困難なことであります。

 また、自然の恵みに囲まれている長野県は常に自然の脅威にもさらされているわけであります。全国で4番目、1万3,000平方キロメートルを超える広大な面積を有する本県にあって、局所的に災害に見舞われた際には広域的連携をもって支援に当たらなくてはならないことは当然のことであります。

 そこで、NHKで放送されている「キッチンが走る!」という番組を見ていただけるとわかるのですが、昨今、急激に導入をする企業がふえているものの一つに移動調理施設、いわゆるキッチンカーというものがあります。もともと、外食産業にあって広く宣伝効果が見込まれることや、店舗のみではなく、待つ営業からお客様のもとに足を運ぶ営業へなどの営業努力の中から生まれてきたものではありますが、皆様も、この時期、各種イベント等で目にされた方も多いのではないでしょうか。

 このキッチンカーの機動性は、災害時の応急的な支援にも威力を発揮できることのほか、継続的に行われなくてはならない支援に対しても大きな力となります。実際に、私も、友人を頼って、東日本大震災の際にはこのキッチンカーで避難住宅や仮設住宅に入り、大いに喜ばれた経験があります。また、同様に、長野県北部地震においてはいち早く現地へと赴き支援を展開することにも成功しております。

 この時代の変化に伴い、企業として努力をしていくことではあるにせよ、その機動力を有事の際に派遣させていただく体制をあらかじめ組んでおくこと、その体制を重要だと思うわけですが、長野県としての考え方を危機管理部長にお伺いいたします。

 

◎危機管理監兼危機管理部長(野池明登)

 

災害時の支援につきまして、いわゆるキッチンカーによる支援についての御質問でございます。

 平成23年の長野県北部の地震、昨年の神城断層地震では、民間の方々によるボランティア活動の一環としてキッチンカーを初めさまざまな方法により温かい食事の提供がなされたところでございます。避難所等の厳しい環境の中でこのように被災者に寄り添った民間支援が提供されることにつきましては、県として非常に重要、有効でありまして感謝をしているところでございます。

 このようなキッチンカーを有事の際に派遣する体制をあらかじめ組み立てておいてはどうかという御提案でございます。

 災害時における民間支援につきましては、過去の災害の経験から、企業を初めさまざまな方々からそれぞれ提供可能な範囲で多種多様な方法により行われている現状がございます。そのため、キッチンカーにつきましても、単独で考えるということではなく、災害時における民間からの多種多様な支援をどのように効果的に生かしていくかについて、現在、企業、NPO等によるボランティアの連携調整を行うことを目的として来年設立予定の全国災害ボランティア支援団体ネットワーク、JVOADといいますけれども、そちらと協議をしておりますので、その中で有効な方策を検討してまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

 

◆花岡賢一

 

 災害の支援には、受け入れる側の状況を十分に把握しないとただのおせっかいになってしまうケースがあります。支え合いたい気持ちが相手にとって迷惑とならないよう、また、個々で行う支援の数々が統率を欠き収拾がつかない状況とならないよう、情報の把握から共有を願い、的確な支援の輪となることを強く思い、私の質問を終わらさせていただきます。