平成27年 6月定例県議会 発言内容(山岸喜昭議員)


◆山岸喜昭

   

 順次質問に入ります。県立高校の特色学科についてお伺いいたします。

 少子・高齢化や本格的な人口減少時代の到来、社会のグローバル化や情報化のさらなる進展など教育を取り巻く環境が大きく変化する中、高校教育には、社会の変化や人々のニーズに対応し、高校生一人一人の個性や能力、卒業後の進路などに応じて多様な魅力ある教育が求められております。

 本県においては、魅力ある高校づくりを推進し、多様な学びの場を生徒に提供することを目指し、理数科、英語科などのいわゆる特色学科が設置されてきたところであります。また、新たに白馬高校については国際観光科を新設し、全国から募集する特色学科が開設します。特色学科は、これまで学力向上や学校の活性化の牽引的な役割を果たしてきており、今後も学校の魅力づくりの一つとして大きな要素であり、充実、発展させるべきと考えます。

 そこで、初めに、現在の特色学科の設置状況と学校での取り組みや成果について伺います。

 また、白馬高校は、新たに学校運営協議会を立ち上げ、地域連携を図り、地域が学校運営にかかわるというが、国際観光科の内容と今後の期待度はいかがか。お聞きします。

 地元小諸市にあります小諸高校音楽科は、平成7年に設置され、ことしで20年の節目を迎え、生徒も600名を超え、音楽の専門の学習を通して、専門家としてだけでなく、幅広く社会に貢献できる人材の育成を目指してきたところであります。

 音楽のプロとして第一線で活躍する有能な講師陣によるレベルの高いレッスンや施設設備の整った環境のもと、信州に根差した世界に通用する人材育成の場として高く評価しているところであります。

 毎年のように、県、東海、中部など大きな大会で金賞、グランプリなど受賞するとともに、進学についても、難関の東京芸術大学を初めとする有名公立、私立の音楽大学へ多数進学するなど大きな成果を上げており、今後も大いに期待をしているところでございます。

 しかしながら、こうした魅力ある特色学科においても、少子・高齢化や本格的な人口減少時代の到来を迎え、改めて成果を検証しながら、問題解決のための改善充実が必要と考えます。

 小諸高校においては、全県の中学校や音楽教室に対し、学校案内、体験入学、定期演奏会等さまざまな機会を利用し学科の魅力や情報発信に積極的に取り組み、御努力されていることは十分承知をしているところであります。しかしながら、音楽科は平成27年度募集定員がいずれも定員に満たないのが現状であり、これは近年同様な状況でもあるわけであります。

 そこで、魅力ある特色学科としてこれだけの成果を上げてきた音楽科において、こうした定員割れが生じてしまう原因とその解決策についてどうお考えか。教育長にお聞きします。 

  

◎教育委員会教育長(伊藤学司)

 

 県立高校の特色学科についてのお尋ねに順次お答えを申し上げます。

 まず、特色学科の設置状況でございますが、現在、県立高校の特色学科は、理数科6校、探究科1校、スポーツ科学科1校、音楽科1校、英語科1校、国際教養科3校の計13校に設置しているところでございます。

 それぞれ弾力的な教育課程の編成による特色ある教育を通じて伸びる力をより伸ばす指導の充実を図り、より高度な専門的学習を深めるとともに、グローバル化に対応し、また社会への貢献ができるような人材育成を目指す取り組みを行っております。

 次に、その成果についてでございますが、いずれの学校におきましても特色学科には目的意識を持った意欲ある生徒が多く入学し、他学科の生徒にもよい刺激を与えております。また、多様な学びの場を生徒に提供することで学力向上や進路の実現などに一層の成果を上げているところでございます。

 音楽科やスポーツ科学科におきましては、実技の向上だけにとどまらず、大会、発表会等の参加など他学科にはない特色ある教育活動を通して豊かな人間性を育み、地域に貢献できる指導者の育成はもとより、国内のみならず世界でも活躍する人材の育成がなされているところでございます。

 次に、白馬高校国際観光科の内容と今後の期待についてお答えをいたします。

 県内初の高等学校における観光系学科として設置を決定いたしました白馬高校国際観光科は、信州の特色を生かした魅力ある高校づくりのフラッグシップとし、地元観光資源を最大限活用したカリキュラムを編成、展開する予定であります。具体的には、地元観光業界等の支援によるデュアルシステムや白馬の山々を活用した山岳実習、高校生の企画立案により白馬の魅力を商品化するハクバビジネス等、特色ある教育内容を検討しているところでございます。

 また、運営体制面においては、先日、白馬村長、小谷村長と知事と私との間で連携協定を結んだところであり、高校では県内初となるコミュニティースクールを導入し、両村長もメンバーとなる学校運営協議会を設置することを予定しております。

 両村の全面的な支援のもと、全国募集や教育活動の充実等に取り組み、地方創生のモデルとなる新しい学校づくりを進めるとともに、本県の目指す世界水準の山岳高原観光地づくりを担う有為な観光人材の育成に努めてまいりたいと思っております。

 次に、小諸高校音楽科の定員割れの原因と解決策についてのお尋ねでございます。

 定員に届かない原因といたしましては、音楽の専門科へ進学することで高校卒業後の進路選択の幅が狭まってしまうのではないかという心配があること、また、音楽大学への進学に当たっては保護者の経済的負担が大きいこと、さらに、小中学生にとっては音楽科の生徒が実際に活動している姿を見る機会が少ないためその魅力を十分に伝え切れていないことなどが影響していると考えております。

 今後の解決策といたしましては、卒業後の進路について、音楽大学のほか教員養成大学や幼児教育科への進学など、音楽の技術を生かしたさまざまな進路に対応可能であることを周知をしていきたいというふうに思ってございます。

 また、東北信地区以外の演奏会開催を検討したり、地域の音楽文化の発信拠点とし小諸高校音楽棟を利用し、地域の子供たちの発表会、小中学校の吹奏楽部、合唱部との交流、コンクールの開催を行うなど、音楽科の存在を周知する取り組みを検討しているところでございます。

 以上でございます。 

  

◆山岸喜昭

 

 答弁いただきました。

 さて、遠距離の中南信地区から入学を希望される生徒や保護者の方にとっては、住まいをどう確保するかが最終的に志願をする際最も重要な課題ともお聞きしています。今後、生徒のための必要な住まいが確保できるのか、私自身も少し心配な点でもあります。こうした点につきましての不安も解消いただけるよう、地元と連携をとりながら、受け入れできるような環境整備を強く要望するところであります。

 最後に、志願者、入学者をふやすためには、レベルが高く、各大会で優秀な成績をおさめている活動や成果の課題研究の発表の場をたくさん設け、広く県民や中学生に知ってもらうことも必要であります。私自身も、音楽科最大の行事であります定期演奏会を拝見させていただき、生徒の皆さんが日ごろの練習の成果を存分に発揮し、全員が一体となってすばらしい演奏、歌声を会場中に響かせ、非常に感動いたしました。もっとたくさんの人にこの感動を味わっていただきたいと思っているところでございます。

 こうした定期演奏会など学校独自の取り組みに加え、県教育委員会としても、学校の取り組みを支援し、音楽科を広く知ってもらうための場を確保する努力が必要だと考えております。以前もこの点につきましては質問させていただき、教育長からは、こうした学校の取り組みを支援し、さらに努力していくとの御答弁をいただいておりますが、発表の場の確保についての学校並びに教育委員会の取り組みについてどうお考えか。教育長にお伺いいたします。    

      

◎教育委員会教育長(伊藤学司)

 

 小諸高校音楽科の発表の場の確保についてのお尋ねにお答えを申し上げます。

 小諸高校音楽科では、ただいま議員からも御紹介をいただきましたが、毎年小諸市と長野市の2カ所で定期演奏会を行うほか、年7回校内演奏会を開き、それを地元ケーブルテレビで放映をしているところでございます。また、地域の幼稚園、保育園や福祉施設で訪問演奏を行うなど、発表の場を工夫をしてございます。

 県教育委員会の取り組みといたしましては、定期演奏会開催の支援に加え、平成25年、26年には県庁ランチタイムコンサートに出演する機会を設定し、多くの県民の方々に小諸高校音楽科の演奏を楽しんでいただいたところでございます。

 さらに、今後についてでございますが、県教育委員会としては、ことし12月に銀座NAGANOを活用してクリスマスミニコンサートを開催することとしており、その様子を県のホームページ等で発信するなどし、小諸高校の音楽科をより広く知ってもらう取り組みを進めてまいりたいと考えております。   

 

◆山岸喜昭

 

 ただいま御答弁いただきました。ぜひ活躍の場を与えていただきたいと思います。

 取り組みを進め、引き続き多くの優秀な人材の発掘、志願者の増加に努めていただきたいと思います。信州の芸術文化は音楽であり、希望の持てる未来は特色ある学科に県内、広域から優秀な人材を集め育てることであります。

 続いて、浅間山噴火警戒レベル2への引き上げによる観光業への影響について伺います。

 今、噴火警戒レベル2以上の警報が出ている火山は全国で10カ所余りあり、大変活発化しております。地元小諸におきましても、浅間山が6月にごく小規模な噴火が2回確認されました。国内110を数える活火山のうち浅間山は国内で最も監視体制が整備され、日本の火山噴火予知は浅間山が切り開いてきたと言われております。

 先般の噴火が予知できたのは、火山ガスや火山性地震の活発が予測され、噴火警戒レベルを2に引き上げた5日後の出来事であり、24時間体制の監視やこれまでのデータをもとに察知できる蓄積があったからであります。浅間山に関しては予知がある程度できるわけであります。

 過度な報道のために風評被害で地元観光関係事業者等に被害が続出しております。小諸側登山口や周辺観光施設には、小中学生の林間学校、サマーキャンプなどキャンセル、グループの登山も見合わせ、団体バスのキャンセル等が多く見られています。知事も、災害への対応と同時に風評被害を防止していく努力も必要だと言われております。

 地元におきましては、「小諸出てみりゃ浅間の山に 今朝も煙が三筋立つ」と歌にもありますように、雄大な浅間山からの煙、昔からこれが歓迎であり、おもてなしでもあるわけであります。

 浅間山は生きている山であります。次世代への教訓として伝える必要があり、火山とともに共生していることを学ぶことが大切であります。

 これからの夏山シーズンを迎え、風評被害を防止するために、正しい情報発信、対策はどのように取り組むのか。観光部長にお聞きします。

 続いて、昨年11月定例会におきまして、浅間山の登山者の安全対策、火山監視体制の強化について質問し、山間部における携帯電話の不感地域の解消は登山者のさらなる安心、安全の確保につながることから山間部におけるサービス提供の拡大について早急に携帯電話事業者へ強く要望すると答弁をいただきました。その後の進捗状況をお知らせください。企画振興部長にお聞きします。 

           

◎観光部長(吉沢猛)

  

 浅間山の噴火にかかわる風評被害を防止するための対応についてのお尋ねでございます。

 風評被害を防止するためには、まず正確な情報を迅速に発信することが極めて重要であると認識しております。県におきましては、今回の噴火警戒レベル引き上げ直後からホームページを通じた情報発信を行っております。具体的には、県の公式ホームページ、ウエブサイト信州と県の公式観光サイト「さわやか信州旅.net」、そして外国人旅行者向けサイト「Go!Nagano」におきまして、今回の規制範囲内に観光施設はなく、周辺の観光施設と交通機関も通常どおり営業していることを発信しているところでございます。

 議員からも御指摘がございましたが、県としても浅間山の火口に比較的近い宿泊施設の中にはキャンセルが発生しているところもあるとお聞きしております。

 今後につきましては、引き続き正確な情報発信と状況把握に努めながら、国の交付金による新たなバス旅行の造成など、地元の市町村や観光関係者と連携を図りながら、状況に応じた適切な誘客対策を行ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。 

  

 企画振興部長(小岩正貴

 山間部における携帯電話サービスの拡大についてでございます。

 昨年12月、県から、携帯電話事業者主要3社に対しまして、市町村から要望があった県内32カ所の不感地域の解消を要望したところでございます。その際、特に山間部の不感地域解消については早急な取り組みを要請いたしました。事業者からは、山間部における環境規制や採算性などからハードルが高い地域も存在するものの、引き続き努力していきたいとの回答を得たところでございます。

 その後、要望箇所のうち3カ所で一部事業者がサービスを開始し、またそのほかにも改善について検討している箇所があるとの情報をいただいているところでございます。

 また、これとは別に、事業者独自の取り組みにより山間部の登山道において順次通信エリアが拡大してきていることも確認できております。

 今後とも、市町村と連携しながら実態の調査を行い、事業者に対して不感地域の解消を強く要望してまいりたいと考えております。

 以上でございます。


◆山岸喜昭

 

 ぜひ携帯電話の不感地域のないようなお取り計らいをお願いしたいと思います。

 続きまして、サミットに伴いまして関係閣僚会議の開催も注目をするところであります。2016年に開催されます主要国首脳会議会場に軽井沢が名乗りを上げておりましたが、残念ながら三重県に決まりました。

 首脳会議に先立って関係閣僚会合が日本の各地で開催される予定になっており、関係閣僚会合をめぐっては誘致を希望している自治体がさまざまな誘致合戦を繰り広げてまいりました。既に、財務相会合が仙台市、外相会合も広島市での開催が決まっておりましたが、本日早朝に長野県軽井沢において交通相会合が開催されることに決定しました。

 この交通相会合の開催は、知名度の向上や国際化の推進などから多くの経済効果をもたらすことが期待されており、その効果は、軽井沢町だけでなく、浅間山麓、佐久地域、ひいては長野県全体にも波及するものと考えております。

 また、軽井沢で開催することにより、浅間山の安全性を世界に発信できるよい機会となります。このことにより観光業の風評被害対策にもなるわけであります。

 県は閣僚会合の誘致に当たって軽井沢と情報共有をしながら積極的に取り組んでこられたと思いますが、交通相会合が決定した今、知事はどんなお気持ちか、そしてまた今後どのように取り組んでいかれるのか。所感をお聞きします。           


◎知事(阿部守一)

 

 本日、太田国土交通大臣から直接お電話いただきました。G7交通大臣会合を長野県軽井沢町で開催するという御連絡をいただいたところであります。

 昨年の7月4日にサミット誘致を正式に表明して以来、県内の経済団体の皆様、市長会、町村会の皆様、そして軽井沢の皆様方と一緒になって、官民一体となって誘致推進協議会を立ち上げ、そして県関係の国会議員の皆様方の御支援もいただく中で、サミット、そして関係閣僚会合の誘致に向けてさまざまな活動を行ってまいりました。

 県議会の先生方にも、去る2月定例会におきましてサミット開催に向けた決議をいただくなど、多大な御尽力を賜ってきたところであります。

 こうした関係者一丸となっての取り組みが今回の交通大臣会合の開催に結びついたというふうに考えております。この場をおかりして、御協力を賜りました全ての関係者の皆様方に心から感謝を申し上げたいと思います。

 今後は、交通大臣会合の成功に向けて、主管省庁であります国土交通省とも十分連携を図りながら開催支援を行っていきたいと思います。また、あわせて、長野県の魅力を国内外に幅広く発信していくため、入念に開催準備に取り組んでいきたいと考えております。

 議員各位におかれましても、引き続きの御支援と御協力を賜りますよう心からお願いを申し上げます。

 以上でございます。


◆山岸喜昭

 

 ただいま知事から閣僚会合に向けた力強いお言葉をいただきました。

 先ほども述べましたとおり、浅間山の噴火警戒レベルが引き上げられて以降、当地域は夏の観光シーズンを前に観光産業を中心に大変心配をしているところであります。こうした中、世界規模のイベントが誘致できたことは、観光業はもちろん、地域に住む住民にとって大変大きな光となり、あすへの活力となるわけであります。閣僚会合の開催が県民の大きな成果になりますことを御期待申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。