平成27年 6月定例県議会 発言内容(今井愛郎議員)


◆今井愛郎

   

 諏訪市選出、信州・新風・みらいの今井愛郎でございます。昼食後の心地よい時間帯になっておりますけれども、初質問ということで少々緊張しております。今回の質問は、大きく分けまして二つの項目について質問をさせていただきたいと思っております。何とぞ前向きな御答弁をお願い申し上げます。

 それでは、まず一つ目の項目といたしまして、私の地元諏訪市にあります諏訪湖周における水害対策と、それに関連して天竜川の河川改修状況等についてお尋ねしたいと思います。

 この問題につきましては、平成25年2月や19年6月の定例会におきまして、5月から諏訪市長に就任されております金子前県議も質問されております。そのときの質問と重複する部分もあるかもしれませんが、その後の進捗状況等を踏まえまして御答弁いただけたらと思います。

 さて、県下では、県民の安心、安全を守る、そして財産を守る、そんなところから、100年に一度の治水対策が進められている箇所がある一方で、諏訪市内におきましては、この60年間を振り返ってみましても、床上浸水があった回数は、昭和34年8月の台風、9月の伊勢湾台風で2回、昭和36年6月、昭和42年7月、昭和50年7月、ともに梅雨前線豪雨で3回、昭和57年は8月、9月の台風で合計2回、58年は9月の大雨で1回、昭和62年、昭和63年は9月の集中豪雨で合計2回、平成18年は7月の梅雨前線豪雨で1回あり、合計11回の床上浸水が発生しております。

 この60年という数字は改選後の県議会議員の平均年齢57.8歳に非常に近いわけですけれども、この60年間の諏訪市における床上浸水の発生確率は5.5年に1回、そういうことになります。

 また、床上・床下浸水家屋が1,000軒を超える大規模な水害に限ってみましても、直近は平成18年7月ですが、約20年に1回の間隔で延べ6回発生しております。その全てにおいて諏訪湖が氾濫しております。すなわち、諏訪湖が氾濫しますと諏訪湖周では大規模な水害が発生するわけであります。

 そこで、以下三つの項目について建設部長にお尋ねいたします。

 県下において河川等の水害対策を進める中で、災害発生の期間や頻度という観点から統一基準があるようでしたらお示しをいただきたいと思います。

 二つ目といたしまして、平成18年の水害は諏訪湖のオーバーフローが大きな原因だったことを鑑みると人災の要素も排除できないと思います。災害以降、天竜川の河川改修、釜口水門の放流水量の見直し等が行われた結果として、少なくとも現在はオーバーフローによる水害は起こらないと言える対策がとられているということでよろしいでしょうか。

 また、昨今は異常気象が多発というよりは恒常化しております。エルニーニョ現象が発生している本年、鹿児島県では6月の降雨量が平年の3倍を超えたとも聞いております。現行、水害が起こらないだろうと想定している時間及び継続降雨量とともに、現行の整備計画や内水処理問題について課題点等がございましたらお示しいただきたいと思います。

 3番目といたしまして、18年の水害以降、水門や排水ポンプの改修、移動式ポンプの設置が進み、ことし7月11日には初めて水門を完全閉鎖して移動式排水ポンプの実習を行うと聞いております。

 減災の一つの手段として、恒常的に水害に対する啓発活動を続けることは有意義かと思います。こういった活動に対する今後の取り組み方とともに、諏訪湖の水害を減らすためにかなり細かく精度の高くなったアメダス情報等を利用して釜口水門の予備放流を再検討することも必要かと思いますが、この辺についていかがお考えでしょうか。御答弁、よろしくお願いいたします。 

 

◎建設部長(奥村康博)

 

 諏訪湖における水害対策と天竜川の河川改修について順次お答え申し上げます。

 最初に、治水対策における期間的な基準についてのお尋ねでございます。

 県では、治水事業に関しまして、期間的に基準と言えるようなものは定めてはおりません。 天竜川の河川改修事業は、100年に一度の降雨に対応する釜口水門の計画放流量毎秒600トンに見合う整備を最終目標として計画しておりますが、上流の辰野町から下流の浜松市までの治水安全度を考慮して事業を進める必要があります。また、下流の天竜川を整備している国との事業調整を図る必要もあるため、完成までには多額の費用と時間がかかります。

 このため、当面、戦後最大の洪水であります昭和58年9月洪水に対応する釜口水門の放流量毎秒500トンに見合う整備を平成21年度策定の河川整備計画に位置づけております。この計画につきましては、おおむね30年後の完成を目指しまして段階的に整備を進めております。

 次に、課題点等についてのお尋ねでございます。

 平成18年7月豪雨による災害を受けまして、激甚災害対策特別事業などを導入し、天竜川の改修を初め、新川や承知川などの流入河川の改修や水門の設置を集中的に実施し、平成23年に釜口水門の放流量を400トンから430トンに増加させました。

 これらの対策によりまして、時間雨量31ミリ、連続雨量391ミリを記録しました平成18年7月豪雨を初め、特に被害が大きかった昭和36年6月洪水、昭和58年9月洪水について現在の操作規則で洪水調節をした場合をシミュレーションしてみましたところ、オーバーフローはしない結果となっております。

 また、それ以外、議員もおっしゃいました戦後重立った洪水につきましても、データの欠損等がございまして詳細なシミュレーションは行っていないところがございますが、ただ、降雨量、諏訪湖流入量が平成18年7月洪水に比べると小さいということから、断言はできませんがオーバーフローはしないんではないかというふうな推測をしております。

 現行の課題といたしましては、天竜川の改修には時間がかかることや内水処理計画が未整備であることが挙げられます。このため、河川、下水、用水、小規模な水路など、水を管理する関係者が一体となって知恵を出し合いながら対策を講じる体制づくりを進めてまいります。また、天竜川下流の整備を実施している国に対しまして早期の整備を要望するとともに、県としても浸水被害軽減に向けた河川改修事業を着実に進めてまいります。

 次に、水害対策の啓発活動等についてのお尋ねでございます。

 県といたしましても、水害対策の啓発活動は県民の皆様の水害に対する意識の向上につながるもので非常に重要なことだと考えております。このため、諏訪市武井田川において、地域の皆様とともに、排水ポンプ車を用いた水防訓練を予定しているところでございます。今後も、ハザードマップを用いた避難訓練を市町村とともに実施するなど、さまざまな機会を捉え啓発活動を続けてまいりたいと考えております。

 次に、釜口水門の予備放流についてのお尋ねでございます。

 今後の降雨を予測してあらかじめ水位を下げる予備放流は、洪水被害を軽減するため諏訪湖の治水に有効な手段の一つと考えております。このため、平成13年度及び23年度に釜口水門の放流量を改定した際にも、予備放流について降雨や流入量のさまざまなケースで検討を行いましたが、高い割合で放流前の水位に回復できないとの結果となりました。諏訪湖の観光や自然環境、漁業や下流の農業用水への影響が懸念されたことから予備放流の採用を見送ったところでございます。

 しかしながら、議員御指摘のとおり、最近は降雨の観測精度が向上しているということから、今後、予備放流について再度検討してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。 

 

◆今井愛郎

 

 先ほど申し上げましたように、湖周では60年に6回、20年に1回の程度で延べ1,000軒を超える大規模な水害が起こっております。

 建設部長からの御答弁を踏まえまして、諏訪湖周の治水対策に関する阿部知事の御所見をお伺いしたいと思います。 

 

◎知事(阿部守一)

 

 諏訪湖における水害対策についての御質問でございます。

 「信濃の国」にも歌われている諏訪湖、海なし県長野県としては大切な資源として環境面、観光面で活用していかなければいけないと思いますが、その反面、今、今井議員からもお尋ねありましたように水害の歴史もあるわけでありまして、地域の皆様方の大変な思いというものをしっかり我々も共有して取り組んでいくということが重要だと思っています。

 これまで、長野県として、諏訪湖の水害対策、天竜川で事業実施をしている国とも連携をしながら、諏訪湖あるいは諏訪湖の流入河川の改修を実施してきております。一歩一歩ではありますが、着実に諏訪地域の治水安全度の向上を進めてきています。

 引き続き、天竜川の改修について事業の進捗が図られますよう国に強く要望していくとともに、浸水被害軽減に向けた河川改修事業を着実に進めてまいります。

 また、こうしたハード対策とあわせて、氾濫危険水位あるいは浸水想定区域の見直しを通じて避難体制の充実を図る等、ソフト対策も実施していくことで安全、安心な地域づくりに取り組んでいきたいと考えています。

 以上です。 


◆今井愛郎

 

 ありがとうございました。ぜひとも、少しでも災害が減る、そんな観点で引き続き取り組んでいただきたいと思います。

 続きまして、二つ目の質問に入らせていただきます。

 私を含めまして、この議場にいらっしゃる議員は、投票の有無にかかわらず4月の選挙を通じてこの場所にいるわけですが、残念ながら今回の県議会議員選挙の投票率は、期日前投票率こそ1.8%ほど上昇したものの、全体の投票率は10回連続して前回の投票率を下回ってしまいました。そればかりか、48.92%と初めて50%を下回ってしまいました。

 投票率の低下の一義的な責任は我々県議会議員にあり、方法論は別といたしましても何らかの改革が必要だということについては異論がないところだと思います。しかし、議会内での改革さえすればよくなるというものではないと思います。

 そこで、知事にお尋ねいたします。

 知事選挙や県議会議員選挙にかかわらず常に選挙というものは大切だと思うわけですが、県政を委ねるいずれの直近の選挙も投票率が50%に満たなかったこと、そしてまた10回連続して投票率が低下している今回の県議会議員選挙に対する率直な御感想とともに、投票率向上に向けて取り組んでいくことがありましたらお聞かせいただきたいと思います。

 あわせて、選挙管理委員長にお尋ねいたします。

 選挙を統括する立場として、選挙に対する現況についていかがお考えでしょうか。今後も、従前から行われているような横断幕の設置、ポケットティッシュの配布、あるいはCMなどで投票率の向上が図れるものとお考えでしょうか。御所見をお聞かせいただきたいと思います。

 また、先般、公職選挙法の改正が行われ、18歳以上が有権者となることが決定いたしました。昨今、主権者教育が話題になっておりますが、そもそも、教育基本法第2条第3項では、教育目標として、「公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。」とうたわれているにもかかわらず、第14条の政治的中立を維持する等の立場からとかく主権者教育は腫れ物にさわるような扱いをされてきたのではないかと思います。

 私自身、大分前のことになりますが、しっかりと主権者教育を受けてきたという記憶がないのが正直な記憶であり、教育現場で主権者教育と真っ正面に向き合ってこなかった結果が若者の投票率低下に拍車をかけている、そう言える部分があるのではないでしょうか。

 そこで、教育長にお尋ねいたします。

 高校生に対する取り組みにつきましては我が会派の石和幹事長からもありましたので割愛させていただきますが、私が少々かじっておりますサッカーでは小学校高学年から中学校1年生くらいの年代を指してゴールデンエージと言います。体ばかりでなく、考え方がしっかりする世代でサッカーの戦術等を理解させていくことこそが名選手の育成につながるというものです。

 私は、主権者教育においても、こういった何でも吸収できる世代において、特に小学校高学年から中学校にかけて行う主権者教育こそが重要であり、教育現場で連続して継続的に行っていくことで必ずやその成果が将来あらわれてくるものだと思っております。

 義務教育課程への主権者教育に対する教育長の御所見と今後の対応についてお考えをいただきたいと思います。 

 

◎知事(阿部守一)

 

 県議選の感想、それから投票率改善に向けた取り組みという御質問でございます。

 県議会議員選挙も、前回、投票率50%を切ってしまったということではありますが、私が選ばれた昨年の知事選挙も50%を切ってしまったということで大変残念な状況だというふうに思っております。

 もちろん、我々政治に携わる者、あるいは選挙で県民の理解、支援を受けるべき立場の人間がもっともっと有権者の皆様方にしっかりとアプローチをしていかなければいけないというふうに思いますし、私とすれば、本当に自分の1票で世の中がいい方向に変わっていくのかということが余り実感として思っていただけていない部分もあるんじゃないかなというふうに思います。

 そういう意味では、知事の立場とすれば、選挙のときに訴えた公約についてはしっかりと責任を持って推進していく、投票行動を通じて自分たちの思いも政治の場で、県政の場で実現していくんだということをしっかり県民の皆様方に伝えていく努力をするということが一つ重要だというふうに思いますし、もう一つは、県民に身近に感じていただける県政にしていくということで、県民参加と協働ということを県として進めてきているわけでありますけれども、私もいろんな地域に出かけていって県政課題について対応はさせていただいております。また、タウンミーティング、ティーミーティング、さまざまな形で県政の課題について県民の皆様方と広く語り合わせていただいております。

 そうしたことを通じて、自分たちの暮らし、自分たちの働き、そうしたものと県行政とが連携しているんだ、密接に関係しているんだということを一人でも多くの皆様方に感じていただくということも大変重要ではないかというふうに思っております。

 もとより、投票率の向上に向けては、選挙管理委員会初め関係の皆様方、いろんな努力をしていただいているところでありますし、そのことに対して私としては大変敬意を表したいというふうに思います。ただ、私も、一政治家としてできることはしっかり行っていかなければいけないというふうに考えているところであります。

 以上です。 

        

◎選挙管理委員会委員長(深沢賢一郎)

 

 選挙を統括する立場から所見を求められました。

 戦後の長野県の県議会議員一般選挙の投票率は、第1回の昭和22年が85%台、ずっと80%台が続いていますが、2回目は91%という史上最高の投票率でありました。第9回の昭和54年でも81%でありました。それ以後は、年々、70%台、60%台と毎回最低を更新しておりまして、ことし4月の第18回の選挙では48.92%と過去最低となりまして、若者の投票率の低下の問題ばかりでなくて、全有権者の2人に1人が棄権している状況でございます。

 近年の各種選挙の投票率は国政、地方選挙を問わず長期低下傾向にありまして、深刻な状況と受けとめております。

 これだけ長期低落傾向が続いていることからすれば、選挙があることを知らない人がいたり、選挙があることは知っているけれども、忙しかったり、関心がなかったり、政策の違いがわからなかったり、何らかの理由で投票に行かない人も多くいるように感じております。選挙があることを十分承知しているのに行かないという人に対しまして投票所に足を運んでいただくということは大変難しい課題でございますが、選挙管理委員会としましてはより一層そのような方々に対しても啓発に力を入れていかなければならないと考えています。

 その意味で、投票日直前に、選挙管理委員会や地域の明るい選挙推進協議会の方々が直接有権者に声をかけながらポケットティッシュなどを配布することも投票を促す効果があるものと考えております。テレビスポット広告や横断幕は多くの有権者の目に触れているという調査結果もございますので、こうしたものを含め、さまざまなツールを活用して効果的な啓発活動に努めてまいる所存であります。

 以上であります。  

  

◎教育委員会教育長(伊藤学司)

  

 義務教育段階における主権者教育についてのお尋ねにお答えを申し上げます。

 議員御指摘のとおり、主権者としての素養を身につける上では義務教育段階から主権者教育を行っていくことが大変重要でございます。そのため、県教育委員会では、県選挙管理委員会と先ごろ締結をいたしました連携協定の1項目に、「義務教育段階における選挙の意味や政治参加についての学習に関すること。」を入れているところでございます。

 小中学校におきましては、まずは、学習指導要領に基づき、選挙や政治参加の意義、重要性などについて授業の中でしっかりと学習することが重要であると考えてございます。その上で、児童生徒が県議会を見学したり、地域において開催される子供議会に参画したり、実際に選挙で使われている投票箱を用いて児童会や生徒会の選挙を行ったりするなど、政治を身近に感じる体験的な学習を取り入れていくことが有効だと考えてございます。

 今後、県教育委員会といたしましては、国の動向も注視しながら、県選挙管理委員会や市町村教育委員会と連携し、義務教育段階においても主権者教育の推進に努めてまいる所存でございます。 

 

◆今井愛郎

 

 ありがとうございました。

 投票率を上げるという観点でいきますと、私たち、昨年の知事選において投票済み証なるものを発行させていただいて地元の商店街で割引が受けられる、そんな制度も活用しております。また、お年寄りがふえる中で、投票所に行けない、そんな方が多くなる中で、移動投票所等の検討もぜひしていっていただきたい、これは要望とさせていただきたいと思います。

 その中で、1点、主権者教育についてお尋ねしたいと思います。

 主権者教育、さまざまな角度からやる、これは大事だと思います。これは、一般の小中学生であれば、あるいは高校生であれば非常に受け入れやすいものがあると思いますけれども、特別支援学校への取り組み、これについて教育長はいかがお考えでしょうか。

 普通の方々と同じことをすればいい、そういうわけにはいかないと思います。ましてや、この方々も高校に在学しております。そういう方々に対してどのような取り組みを行っていくかをお伺いいたしまして、質問を終了させていただきたいと思います。  

 

◎教育委員会教育長(伊藤学司)

 

 特別支援学校における主権者教育に関しましてのお尋ねにお答えを申し上げます。

 小中高等学校と同様に、特別支援学校における主権者教育も非常に重要であるというふうに認識をしてございます。これまで、特別支援学校におきましても、児童生徒の障害の状況や発達段階等を考慮しながら選挙の意味や政治参加について学ぶ機会を設けるとともに、児童会、生徒会選挙において体験的に投票について学習するほか、例えば盲学校では点字投票の制度や手続について学ぶ機会なども設けてきたところでございます。

 今後、県選挙管理委員会が実施をいたします選挙出前授業を活用するとともに、障害のある児童生徒にとってよりわかりやすい教材を用意することなどにより特別支援学校における主権者教育の充実にも取り組んでまいりたいと考えております。