平成30年9月定例県議会 発言内容(高橋宏議員)


◆高橋宏

 

 質問をさせていただきます。

 来年、平成31年6月に日本で開催されるG20関係閣僚会議のうち、持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合が軽井沢町で開催されます。
 エネルギーは、多くの産業や国民生活を支え、経済成長には欠かせないものである一方、化石燃料が地球温暖化の原因とされる二酸化炭素を多く発生しています。
 現在、国では、太陽光、水力、風力発電などの再生可能エネルギーの導入を促進していますが、電気としてためておくことが難しく、低炭素、高効率で貯蔵可能な水素が地球温暖化防止への切り札として注目されているところであります。
 国では、平成29年12月に水素基本戦略を閣議決定し、水素利用において世界をリードしていくため、国を挙げて水素利用に取り組み、世界に先駆けて水素社会を実現するとしています。
 私は、水素を初めとする環境エネルギー分野が、成長産業として新たな需要とチャンスを創出し、県内産業の振興にもつながるのではないかと大いに期待もしているところです。
 そこで、水素エネルギーの利活用、施策についてお伺いいたします。
 今年1月に、企業局が平成30年度から県内初の水素エネルギーの活用、普及に着手する旨の新聞報道がありました。私は、夢かなと思うところであります。3年連続、モンドセレクション金賞を受賞した川中島の水で車を動かすという水素ステーション実証モデル事業ですが、水力発電所を持つ企業局の電気事業と川中島の良質で豊富な地下水源による水道事業が協力し、企業局が一体となって実施する大変興味深い事業であると考えています。
 そこで、今年度設置される水素ステーションの進捗状況と、今後はどのような実証実験を行っていくのか。また、この水素ステーションの利活用に関して、今後どのような展開、取り組みを考えているのか、公営企業管理者にお伺いいたします。
 長野県では、現在、商用水素ステーションの設置はありません。そして、燃料電池車の登録もない状況です。一方、水素関連市場は世界規模での拡大が見込まれ、今後、国内外での積極的展開により、付加価値の高い新たな成長産業として期待できるところであります。
 本県においても、水素ステーションや燃料電池車の普及を進めるとともに、水素関連産業への県内企業の参入等を促進すべきと考えますが、知事にお伺いいたします。
 次に、2027年に本県で開催予定の第82回国民体育大会に向け、競技会場地の選定や施設の整備の方針についてお伺いいたします。
 国体の開催に向けては、昨年12月、関係団体など300名で構成する長野県準備委員会が、また、本年4月には国体準備室が教育委員会に設置され、大会に向けた準備が鋭意進められていることと思います。
 私は、長野県ライフル射撃協会の関係者の一人として、マイナー競技とも呼ばれるこの競技において選手の育成や競技の普及に日々努力している関係者の方々の姿を間近で見てきました。こうした長い間の熱意と苦労の積み重ねもあり、例えば、砥石真衣選手という世界の舞台で活躍できる本県出身の選手が出てくるなど、選手育成の面で大きな実績を上げてきているところです。
 しかし、今後、砥石選手に続くアスリートをどのように発掘育成していくかは大きな課題ではありますが、それと同時に、競技関係者及び選手の皆さんが切実に感じている課題は、練習拠点となる施設に関することであります。
 現在、選手たちは長野市篠ノ井中尾山にあるライフル射撃場を中心に練習を重ねていますが、この施設は昭和25年ころ建設された長野県警の射撃場の跡地であり、70年余りが経過しており大変老朽化しているので、すぐにでも大規模改修などの対応が必要な状況にあると感じているところです。
 また、北信越5県の中でも国体の施設基準を満たす施設がないのは長野県だけであり、例えば、5年ごとに行う本県で開催する北信越国民体育大会では、他県にお願いをして施設をお借りして運営している状況であります。
 このような状況ではありますが、昭和53年に開催されたやまびこ国体においては、競技によっては、おらが町のおらがスポーツとして今も脈々と定着、そして発展しているものがあるなど、国体の開催は本県のスポーツ振興の歴史に大きな役割を果たしてきたと言えます。
 つまり、2027年の国体の開催は、その先50年間の長野県のスポーツ振興の姿、形をつくり出す大きな役割があるのではないでしょうか。
 こうしたことから、2027年の国民体育大会では、国体後の姿も見据え、ぜひライフル競技においては県内で実施してほしいと思っておりますが、基本的に国体の競技会場地の選定はどのような方針でいつごろ選定していくのか、教育長にお伺いいたします。
 また、ライフル競技の場合は、競技の特殊性もあり、新たな場所を探して整備することはなかなか難しい現状にあると思いますが、私としては、今競技会場がある場所に練習場所をさらに整備し、できるだけ早く対応していくことがよいと思います。
 そこで、国体の競技会場となる施設の整備は大きな財政的負担を伴うことから、県の全面的支援が必要であると考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします、
 また、要望として、ライフル射撃競技は国体の正式種目であり、ボアライフル、エアライフル、ビームライフルなど種目数が多く、競技得点も大きく、長野県の天皇杯や皇后杯の獲得に大いに貢献できる競技の一つでもあります。
 これまで長い間地道な努力を重ねてきても、なかなか競技人口がふえないマイナーな競技の関係者は、9年後の国体の開催に大いに期待を寄せているところです。こうした関係者の切実な思いに応え、一刻も早く競技施設の整備が実現するよう強く要望して、終わります。
      

◎公営企業管理者(小林透)

 

 水素ステーション実証モデル事業の進捗状況と今後の展開についての御質問でございますが、この事業は、議員御指摘のとおり、企業局の電気と水道を用いた100%再生可能エネルギー由来の県内初となる水素ステーションを民間企業と連携して企業局の川中島庁舎に整備しようとするものでございます。
 これまでに、実施体制を構築して環境省の水素ステーション整備に係る補助事業に申請を行い、8月31日に公募採択の決定がなされたところでございまして、現在、交付決定に向け、事務手続を進めているところでございます。
 本事業においては、水素の生成と燃料電池自動車等への利活用を通じて水素エネルギーの有効性や経済性の検証を行う計画としてございますが、これらにより、水素エネルギーの可能性を探りながら、関係部局と連携して利活用に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 とりわけ、来年6月に軽井沢で開催されるG20、関係閣僚会合においては、またとないいい機会でございますので、燃料電池自動車を活用するなど、こうした取り組みを広報すること等によりまして企業局が先導的役割を果たせるように取り組んでまいりたいと思います。
 以上でございます。
      

◎知事(阿部守一)

 

 本県における水素エネルギーの利活用についての御質問でございます。
 水素エネルギーは、今後の脱炭素社会の構築に向けて大変注目をされているところでございます。水素関連産業に関しましては、水素ステーションに必要な冷却装置や計測機器など、自社の技術力を生かして複数の県内企業が既に進出をしております。今後とも、高い技術力を持った県内企業がこうした分野に参入、活躍していくことを期待しておりますし、そうした取り組みを後押ししなければいけないと思っております。
 企業局におきましても水素ステーションの整備を図ることとしているわけでありますが、今後、民間事業者が水素ステーションの整備を進めていくことが円滑に行われるよう、県として年度内を目途に水素ステーション整備に関する方針を策定していきたいというふうに思っております。
 また、県内企業が水素関連産業へ参入していただけるよう、産業支援機関と連携をして、参入に向けた課題の明確化、そして課題解決に向けたコーディネートを強化していきたいと考えております。
 折しも、来年6月には、軽井沢でG20、エネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合が開催されるわけであります。これを単なる一過性のイベントに終わらせてはいけないというふうに思っております。
 これを契機に、私たち長野県の関係部局で、世界のエネルギー情勢あるいは地球環境についてしっかり学ぶ中で地方政府として果たすべき役割を考えていきたいと思います。
 そうした中で、今後の水素エネルギーの利活用あるいは水素関連産業の一層の振興が図れるよう取り組んでいきたいと考えております。
 以上です。
      

◎教育長(原山隆一)

 

 国体の競技会場地の選定についてでございますが、この選定は長野県準備委員会が行うわけでありますが、この準備委員会では昨年12月に基本方針を決定してございます。その中では、市町村の開催希望や大会後の地域振興に向けた考え方を考慮するとともに、実施競技団体の意向、競技施設の状況や交通の利便性などを含め総合的に判断するというふうにされておりまして、この競技会場地の選定に向け、基本方針を踏まえ、現在、市町村と競技団体に対し、希望調査、ヒアリングや現地調査を行っているところでございます。
 第1次選定を本年中に行いまして、以後、数次にわたり選定を進めていく中で、遅くとも2020年度末を目途に完了できるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 そして、競技施設の整備に対する支援につきましては、競技会場地の選定に向けた一連の作業の中で施設整備に関する課題を共有するとともに、先催県の状況も調査しながら県としての取り組みの方向性を検討してまいりたいというふうに考えております。
      

◆高橋宏

 

 それぞれ御答弁をいただきました。そのように順調に進むことを願って、終わります。