平成30年9月定例県議会 発言内容(堀場秀孝議員)


◆堀場秀孝

 

 順次質問をいたします。

 上田市の平井寺トンネル有料道路が去る8月25日午前0時に無料化されました。私もその瞬間を現場で多くの地域住民とともに体験することができました。長年にわたる地域住民、通行者、利用者の要望がやっとかないました。2020年夏ごろ、三才山トンネル有料道路が無料化になれば、上田市と松本市、東信と中信地域はより活性化され、観光はもとより物流等においても広域的な道路としての効果が一層期待されるところです。
 平井寺トンネルが無料化されて1カ月余が過ぎました。地域の住民からは、無料化の後、交通量がふえたとの声が聞こえてきました。無料化になれば、迂回していた車が利用するので交通量は増加すると思われます。県としてはどのように想定していたのか、また、自治体はどのような状況なのか、建設部長にお聞きします。
 三才山トンネルの無料化に向け、上田市の東内地域では、国道254号のミニバイパス工事が和子、荻窪、平井のそれぞれ地域で、進捗状況はばらばらですが、ミニバイパス運用に向け進んでいます。平井寺トンネルの塩田側では、公立長野大学入り口までは上田市街地からバイパスが整備されていますが、その先は以前と変わらない状況で、途中に生島足島神社、保育園、小学校等もあります。2020年夏ごろの三才山トンネルの無料化に向け、国道254号のミニバイパスの早期整備及び塩田側のバイパス等の整備が必要と考えますが、どのような計画か、建設部長にお聞きします。
      

◎建設部長(長谷川朋弘)

 

 平井寺トンネル有料道路の無料化後の交通量に関するお尋ねでございます。
 平井寺トンネル有料道路は、三才山トンネル有料道路、新和田トンネル有料道路とともに、上田地域と松本、諏訪地域との交流を促進し、県内産業等の発展に寄与してきた有料道路です。本年8月24日をもって30年間の料金徴収期間が満了し、翌25日の無料開放後は県道として上田建設事務所が管理しております。
 平井寺トンネル有料道路の交通量は、平成29年度の実績では1日当たり平均約3,400台であります。県では、無料開放後の交通量を1日当たり約6,000台と試算しています。現在の状況についてですが、10月2日に周辺道路も含めた交通量調査を実施したところであり、速報値としては、平井寺トンネル付近で1日約5,700台でございます。
 次に、三才山トンネル有料道路の一般道路化に向けた道路整備に関するお尋ねでございます。
 三才山トンネル有料道路については、昨年度の2月定例会において、2020年夏ごろには償還が完了し、一般道路化となる見込みであることを公表したところです。
 国道254号については、上田市東内から西内地籍の間において進めている三つのバイパス事業について、和子地区については2019年春ごろに完成する予定です。平井地区については一部の用地取得に時間を要している状況であり、2020年春ごろの一部供用を目指しております。また、荻窪地区については、ルートについての地元調整を行っているところであり、今後計画への御理解をいただき、事業に着手してまいります。引き続きバイパス全区間の早期の効果発現を目指して事業の進捗を図ってまいります。
 また、上田市塩田地区の県道上田丸子線については2車線が確保されていますが、地域からは歩道が狭いなど安全対策に関する御要望をいただいているところです。今後の道路整備につきましては、周辺道路を含めた交通量調査の結果や周辺の道路状況、緊急性などを踏まえ検討してまいります。
 以上でございます。
      

◆堀場秀孝

 

 答弁いただきました。定期的に交通量の把握に努めていただき、安心で安全で暮らしやすい地域につながる道路整備が住民の希望ですので、一日も早い運用開始を要望いたします
 次の質問に入ります。
 先月28日に発表になった2018年8月の有効求人倍率は、全国で1.63倍、県内では1.72倍と引き続き高水準で、県内中小企業の人手不足はなお一層深刻な状況と推測されます。県においても、就業促進・働き方改革戦略会議等において県内労使を交えた論議が進んでいるとお聞きしているところです。国も県も働き方改革こそが就業促進を図る大きなファクターであることは一致するところですが、多様な働き手の活用が大きく議論されています。その中では、女性、若者、高齢者、障害者とともに外国人の活用が挙げられています。外国人の活用については全面的に否定するものではありませんが、多くの懸念、課題があると認識しています。外国人労働者問題について産業労働部長にお聞きします。
 アメリカ大リーグ、エンジェルスの大谷翔平選手は、肘の故障により話題の二刀流はお預けとなっています。私が以前所属していた日本プロ野球でも、多くの外国人選手が来日し、活躍しました。現在、日本プロ野球規定により、出場選手登録は4名で、高額な給料で通訳、宿舎など恵まれた条件でプレーしています。プロ野球でも外国人雇用者がいるということです。
 今年6月15日、政府は、経済財政運営と改革の基本方針2018において、即戦力となる外国人材を幅広く受け入れるための新たな在留資格を設けることを明らかにしました。この外国人材の受け入れに関する新たな在留資格の創設は、今まで専門的、技術的分野に限って外国人材を受け入れるとしてきた政府方針と大きくかけ離れています。
 外国人技能実習法が2017年11月に施行され、2017年、労働基準監督署等が監督指導を実施した実施機関のうち、7割を超す事業所で労働基準関係法令違反が認められているところからすれば、まずは外国人技能実習生を含む日本で働く外国人労働者に対する労働関係法遵守、人権侵害が発生しない職場環境の実現こそが先決であると考えます。
 県内では、どのくらいの事業所で外国人労働者が働いているのか。国別、地域別、産業別にわかればお聞きします。同様に、県内の外国人技能実習生受け入れ事業所、管理団体の状況についてもお聞きします。
 県では、長野県海外人材の活用に関するプロジェクトチームによる海外人材の活用に関するプロジェクト報告書を本年3月に公表し、県としても、海外人材の受け入れ、活用について積極的に検討していく必要があるとしていますが、根幹の問題として、労働力不足への対応は、働き方改革を通じて生産性の向上、女性や高齢者等の就業環境の整備、全国2位と言われる介護離職率への就労対応、非正規労働者の処遇改善等について最優先で取り組むべきであると考えます。中長期的な労働力不足への対応については、単に労働力確保策としての外国人労働者の受け入れは抜本的な解決策とはならず、非正規労働者の問題や若年雇用の問題、女性や高齢者も含め希望者の誰もが安心して働き続けることが可能な職場環境整備を最優先に取り組むべきと考えますが、いかがですか。
 外国人労働者の問題では、労働条件や離職率の高さから介護分野における受け入れが常に話題となっています。介護職は、高齢者介護の基本理念である自立の支援と尊厳の確保を実践する利用者の生命、身体に直接かかわる分野であり、十分な意思疎通や正確な業務引き継ぎ、緊急時の対応を確実に行う必要があり、個々の要介護者に応じたきめ細やかな配慮も求められる極めて重要な業務であります。介護分野の受け入れの検討に当たっては、専門的技術、知識や日本語能力がきちんと担保されるような制度の運用を要望します。
 外国人技能実習制度についてお聞きします。
 現状で、制度の目的から離れ、技能実習生を実質的に低賃金労働者として扱う不適正な受け入れ事案が多発していると認識しています。2016年11月に外国人技能実習法が成立し、長野市に外国人技能実習機構東京事務所長野支所が設置されたところです。県としても、技能実習機構との連携により、県内における外国人技能実習制度の現状と課題の把握や外国人技能実習法に示された制度適正化策を確実に履行し、技能実習生が低賃金労働者として扱われることのないよう、また人権侵害を受けることのないように技能実習生の保護に向けた取り組みを強化すべきと考えますが、いかがですか。
      

◎産業政策監兼産業労働部長(内田雅啓)

 

 順次お答えをいたします。
 まず、県内の外国人労働者の状況でございます。
 県内における外国人労働者数は、平成29年10月末時点で1万5,786人、外国人雇用事業所数は3,114カ所でございます。国籍別人口は、中国が4,465人で最多であり、次いでフィリピン、ブラジルとなっております。ハローワークが所管する地域別は、伊那が2,669人で最多であり、次いで松本、佐久となっております。産業別は、製造業が8,227人で最多であり、次いでサービス業、農業林業となっております。
 次に、県内の技能実習生等の状況でございます。
 県内の技能実習生数は5,177人で、外国人労働者全体に占める割合は約33%であります。国籍別は中国の1,768人が最多であり、次いでベトナム、フィリピンとなっております。ハローワークが所管する地域別での人数は公表されておりません。産業別は、製造業が3,301人で最多であり、次いで農業、林業、建設業となっております。
 なお、受け入れ事業所数は公表されておりません。受け入れ企業と技能実習生の雇用契約のあっせんや企業に対する訪問指導など行う管理団体は県内に47団体ございます。
 次に、職場環境整備関係でございます。
 今後、少子化が進み、人手不足が深刻化する中で、若者、女性、高齢者及び外国人など多様な人材の労働参加がますます必要になると思われます。そのため、留学生など外国人材の受け入れは人手不足を解消する上で有効な手段と考えておりますが、多様な人材が安心して働き続けることは、人材の確保定着のためには極めて重要でありますので、働きやすい環境づくりに取り組む企業を県が認証する職場いきいきアドバンスカンパニー制度の充実や、産学官労で構成する長野県就業促進・働き方改革戦略会議での議論を踏まえた魅力ある働きやすい企業づくりなどを積極的に進めてまいります。
 次に、外国人技能実習制度についてでございます。
 技能等の移転による国際協力という技能実習制度の本来の趣旨に沿った適正な運用により、技能実習生の健康で快適な生活が守られることは極めて重要であると認識をしてございます。技能実習生を含む外国人労働者等の現状と課題に係る情報共有を目的に、県や県警、東京入国管理局長野事務所及び長野労働局で、長野県外国人労働者問題対策連絡会議を毎年度逐次開催してございまして、今年度から外国人技能実習機構長野支所もオブザーバーとして参加をいたしております。ここでは、賃金の不払い、違法な長時間労働、不法就労など全国の不適正事案の報告もなされており、県としても技能実習制度が適正に運用されるよう、外国人技能実習機構や関係機関とともに現状や課題の把握などに努めてまいります。
 以上でございます。
      

◆堀場秀孝

 

 答弁いただきました。
 安易に人材不足で安い賃金で外国人を雇用するというのはどうかと考えます。非正規労働者や若手の雇用、女性や高齢者や働きたい人が安心して働き続けることが可能な職場環境整備のさらなる取り組みを続けられるよう要望いたしまして、終わります。