平成30年2月定例県議会 発言内容(寺沢功希議員)
◆寺沢功希
県では、平成20年度不登校調査において、小学校で全国最高位、中学校で全国5位となったことをきっかけに、不登校対策を県の最重要課題とし、平成21年9月に長野県不登校対策検討委員会を設置し、平成22年3月、不登校対策の行動指針を策定、平成24年10月、同指針を改定するなどさまざまな取り組みを推進し、この間、県教育委員会も全ての児童生徒の笑顔で登校を目指した不登校対策に取り組まれた結果、不登校児童生徒数は減少傾向にありましたが、残念ながら平成25年度調査より増加に転じております。
全国的にも不登校児童生徒数が高水準で推移している状況を受け、国においては、平成28年9月14日付で、文部科学省より、不登校児童生徒への支援のあり方についてという通知により、今後の不登校児童生徒への支援に対する基本的な考え方等が示されたとともに、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律及び基本指針では、不登校児童生徒への支援は、学校に登校するという結果のみを目標にするのではなく、児童生徒がみずからの進路を主体的に捉え、社会的に自立することを目指す必要があることが明記されました。
子供たちは、さまざまな要因、背景により不登校になっており、それを問題行動と判断することなく、また、不登校児童生徒が悪いという根強い偏見を払拭し、子供たちや保護者を追い詰めるようなことがないようにしなくてはなりません。決して強引に登校させるということはせずに、要因、背景等を把握した上で、適時適切に状況に応じて対応し、学校、家庭、社会が子供たちに寄り添いながら社会復帰、自立へとつなげていくことが重要であります。
こうした不登校児童生徒の多くが、市町村教育委員会により設置されている中間教室、教育支援センターや民間団体によるフリースクール等を利用しているようであります。そこで、教育長にお聞きします。平成28年度県内不登校児童生徒数は、小学校で530人、中学校で1,689人となっておりますが、このうちどのくらいの割合の子供たちがフリースクールを利用しているのでしょうか。
フリースクールには、義務教育期間は、もともと通っていた、または通うことになっていた学校に籍を置いたまま通うことになっております。そのため、フリースクールでは卒業資格が得られないため、籍を置く小中学校の学校長が判断をし、許可を出した場合、在籍校を卒業することになります。中には、一度も登校したことがない、担任や学校長が一度も会うことができない児童生徒もいると聞きますが、学校長はどのような基準で卒業の許可を判断しているのでしょうか。
また、義務教育段階においても原級留置制度がありますが、この制度が適用され、卒業許可がおりなかった例はありますでしょうか。同様に、フリースクールに通うことを在籍校で出席扱いとするか否かも学校長の判断によるものですが、県内の状況はいかがでしょうか。また、判断基準はありますでしょうか。例えば、出席扱いされなかった場合、その後の人生において考えられる影響は何かありますでしょうか。
インターナショナルスクールのような特定の教科に特化した学校も、各種学校としての認可のハードルが高いこともあり、その多くが無認可校であり、フリースクール同様、義務教育段階においてはそことは別に在籍校が存在します。この場合の学校長の卒業許可、出席扱いの判断基準はフリースクールと同じでしょうか。また、無認可校に対しては授業内容や施設整備について指導権限はないのでしょうか。
本来、フリースクールは、不登校児童生徒の居場所として存在するものであり、学校への復帰や児童生徒の自立を助ける場所であると思います。しかし、中には毎日遊んで過ごせると履き違えた自由をうたい、小学校入学時から一度も学校に行くことなく通わせたり、自立支援を考えることなく児童生徒の囲い込みをしている施設も存在します。しっかり活動している施設の陰でのこのような施設の存在や、もともと学習指導要領に拘束されない何でもありの無認可校が出てきてしまっては公教育の否定になりかねませんが、御所見をお聞かせください。
本年3月策定予定の不登校未然防止および不登校児童生徒への支援のための行動指針案の中にもフリースクールが随所に明記されており、支援施設として重要な位置づけをされていると理解できます。しかし、現在、県にはフリースクールを明確に所管する部署がないと聞いております。県内の施設、利用者数の把握はもちろん、施設整備、支援方法等への指導、施設との連携が必要であり、ぜひ既存部署内での担当決定も含め、所管部署の設置をお願いしたいと思いますが、知事のお考えをお聞きします。
フリースクールについてのお尋ねでございます。
まず、利用状況についてでありますが、そもそもフリースクールとは何かということについて明確な定義がございません。ただ、文科省が設置したフリースクール等に関する検討会議では、その検討対象となる民間団体につきましてこのように規定しています。不登校児童生徒を受け入れ、相談や学習機会の提供等を行っている民間の団体施設というふうにしているところです。
県においても、そういった不登校の児童生徒が学校以外で指導、助言を受けている事例があることから、文科省の児童生徒の問題行動・不登校諸課題に関する調査に附帯して、不登校児童生徒の不適応等に対する相談、指導を行うことを主目的として設置された民間の団体施設に関して調査を行ったところであります。この調査によりますと、平成28年度においては、県内の公立小中学校の不登校児童生徒のうち、そうした民間の団体、施設に通っている小学生は15名、不登校児童に対する割合は2.8%、また中学生は21名、不登校生徒に占める割合は1.2%という状況でございます。
小中学校の卒業の認定についてでありますが、そうした小中学校の各学年の課程の修了、あるいは卒業の認定は、学校教育法施行規則によりまして、児童生徒の平素の成績を評価して行うというふうにされていますが、その判断は教育的判断であるとされ、学校長の裁量に委ねられているところであります。
義務教育におきましては、単純な学業成績の評価や出席日数の多少だけでなく、児童生徒本人の性格、資質、能力、健康状態、生活態度、今後の発展性を考慮した教育的配慮のもとで総合的判断によらなければならないとされているところでございます。
次に、原級留置制度についてでありますが、義務教育では、心身の発達に応じて教育を施すことを目的としております。年齢により精神年齢、運動能力、体格等心身の発達に顕著な開きがあることから、年齢別の教育が最も適するとされてきているところであります。その上で、外国籍児童生徒等教育的な配慮の上で原級留置となっている例もありますが、その際も、児童生徒、保護者に対して不利益とならないよう、十分な説明をすることが求められているところでございます。
民間施設に通う不登校児童生徒の出席扱いの県内の状況及び判断基準についてであります。平成28年度県内の公立小中学校では、小学校7名、中学校16名で出席扱いとされております。出席扱いの判断基準につきましては、文科省の28年度通知、「不登校児童生徒への支援のあり方について」に基づいて校長が判断いたします。具体的な判断基準は、その通知によりますと、当該施設への通所または入所が学校への復帰を前提としていること。不登校児童生徒の自立を助ける上で有効、適切であると判断されること。公的機関での指導の機会が得られないあるいは公的機関に通うことが困難であること。保護者や学校との間に十分な連携、協力関係が保たれていることなどの要件が全て満たされている場合に、校長は指導要録上出席扱いにすることができるとされているところであります。
出席扱いされる、されないにかかわらず、学校外の施設において十分な支援が受けられない状況が継続することがあれば、本人の自己肯定感の低下を招くなど影響があるというふうに思われます。したがいまして、そういう状況に至らないよう、各学校において不登校児童生徒及びその保護者に対する必要な情報の提供、助言、その他の支援を行うよう県教委としても指導、助言してまいりたいというふうに思っております。
次に、インターナショナルスクール等の取り扱いについてでありますが、こうした無認可の学校についての卒業許可や出席扱いの判断基準は、フリースクールと同様でございます。
無認可校に対する指導権限でございます。地方教育行政の組織及び運営に関する法律によりまして、公立の小中学校、高等学校等は教育委員会が所管し、大学及び私立学校等は知事が所管することになっておりますが、いずれも、学校教育法に定める学校が対象であります。したがって、学校教育法に定める学校以外のものに対しては、教育委員会、知事とも法的な権限は有しておりません。
次に、不登校児童生徒の社会的自立につながらないような運営を行う民間の団体施設があるという御指摘でございますが、そうした民間の団体施設が行う不登校児童生徒に対する相談や学習機会の提供などの活動につきましては、申し上げましたとおり、公的な権限が及ばないところでございます。
一方、昨年施行されました義務教育の段階における普通教育における教育の機会の確保等に関する法律におきましては、地方公共団体に対して、不登校児童生徒の状況を継続的に把握するとともに、不登校児童生徒及びその保護者に対して必要な情報の提供を助言、その他の支援を行うというように求めておるところから、不登校児童生徒の個々の状況によりまして、児童生徒やその保護者に対して必要な支援がなされるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
フリースクールを所管する部署についての御質問でございます。
教育長が御答弁申し上げましたとおり、そもそもフリースクールについては法的に明確な定義がないということで、所管が曖昧な現状でありました。不登校児童生徒に対して学校以外の場において多様で適切な学習活動が行われるということは、私も大変重要なことだというふうに思っております。
しあわせ信州創造プラン2.0案におきましては、不登校を含む困難を有する子供、若者を支えるため、民間団体との連携による支援のあり方を検討するということにさせていただいておりまして、今後は県民文化部次世代サポート課が中心に、フリースクールとの連携を図ってまいりたいと考えています。
不登校の児童生徒は小中学校に籍を置いていることから、学校との連携ということも重要になってまいります。したがいまして、教育委員会とも十分連携を図りながら取り組んでいきたいと考えております。
以上です。
それぞれ御答弁をいただきました。
フリースクールに通う子供たちもいずれは社会に出るときがきます。そのときに、一度さまざまな要因により傷ついた子供たちに再び傷を負わすわけにはいきません。県としてもぜひ自立に向けて寄り添った支援を引き続きお願いをいたします。
次に、学びという観点から質問させていただきます。
当時小学校長を務めておられた竹下和男先生が提唱し、2001年、香川県の滝宮小学校でスタートした「弁当の日」という取り組みがあります。この日だけは子供が自分でお弁当をつくって学校に持ってくるという取り組みで、何をつくるか決めることも、買い出しも、もちろん調理、弁当箱に詰めるのも、そして最後、片づけまで全て子供が行い、親も先生もそのできぐあいを批評も評価もしない約束です。
この取り組みを実施している中学校の校長先生は、竹下和男先生の講演会に参加したとき、お話を聞きながら涙がとまらず、周りの聞いている方々も皆さん涙を流されており、これからの子供たちにはこれが必要だと深く感じ入ったことを覚えています。台所に立つということがどんな意味を持ち、子供たちにとって何を与えてくれるのかを感じたとおっしゃっておりました。
子供たちは、この取り組みにより、生きる力を学びます。そして、生きる力の要素である感謝する心を育成し、命の大切さを感じ、「与えてもらう」から、「ほかに与える」生き方のできる人間へ成長し、家族のきずなを強めることができるのではないでしょうか。
そこで、教育長にお聞きします。
この「弁当の日」の取り組み校は、全国で昨年度時点2,000校を超えており、これだけでも教育的な価値を持っているという証明になっていると思います。県内では34校ほどで、伊那市、駒ヶ根市で多くの学校が取り組まれておりますが、中信地区では公立小学校、中学校、高校でそれぞれ1校ずつのみと聞いております。この取り組みを知り、実施したいと思っている校長先生、先生方、PTAの皆さんは多くいらっしゃるようであります。しかし、どんなよい取り組みでも、10人が10人、100人が100人賛成というわけにはいかないのが現実で、さまざまな点で懸念する意見を唱える方もおられ、先ほどの校長先生のように、涙を流すほど感銘を受け、熱い思いを持っておられれば別ですが、なかなか実施に踏み切れない学校も多いようです。
そこで、この取り組みについて県教育委員会で推奨していただくことはできないでしょうか。それにより一歩踏み出せる学校も少なくないと思いますが、いかがでしょうか。
また、この「弁当の日」のようなよい取り組みが全国にはまだまだたくさんあると思いますが、教育現場ではなかなか情報収集が難しいようです。県教育委員会で全国の実践事例の調査、紹介、情報発信をしていただけないでしょうか。御所見をお聞かせください。
次に、ことしもお正月が明け、県内各地で三九郎、どんど焼きが行われたと思いますが、こうした伝統行事も時代とともに変わってきております。例えば、1月7日より前に行われ、松の内にもかかわらず正月飾りを集めてしまったり、昔は子供たちが一輪車を押して近所を回り、地域の皆さんに挨拶をし、会話をし、時にはお年玉をいただきながらだるまや正月飾りを集めたものですが、少子化を理由に集めることが難しいということで、各家庭で近くのごみ集積所へ出し、それを役員さんが集めたりと、行事の歴史や本来の意味が忘れられ、またこうした地域が少なくないという現実に驚くと同時に、非常に残念でなりません。
そこで、教育長にお聞きします。
県立高校では、昨年度より信州学が授業で取り入れられており、地域の歴史や行事、文化を詳しく掲載したテキスト「わたしたちの信州学」が配付されておりますが、授業での利用状況はいかがでしょうか。
また、現在行われている信州学は、生徒自身が関心のある地域課題を見つけて解決策を探る探究的な学びの一つで、すばらしい取り組みだと思います。しかし、これはワンランク上の学びで、その基礎には地域の歴史、伝統行事、文化を学ぶことが必要不可欠だと思いますが、現在の小中学校での地域についての学習状況や学習内容はどのようになっておりますでしょうか。お聞かせください。
現在策定中の長野県文化芸術振興計画の原案の中にもありますが、長野県は多様な民族芸能、祭事、食文化と自治の基盤となる地域ごとに育まれた多様な文化を有しております。しかし、残念ながらその地域に住む者にとってはそれが当たり前になってしまっており、その価値や重要性に気づくことができないということがあります。
そこで、改めて、県内の多様な伝統行事、文化についてどのようにお感じか、そして、次期総合5カ年計画で学びと自治の力を推進エンジンとする中で、この文化を学び、守り、継承していくためにはどう取り組んでいくお考えか、知事にお聞きをします。
まず、「弁当の日」の取り組み等についてのお尋ねでございますが、「弁当の日」の一連の取り組みは、子供たちが食の大切さを学ぶとともに、家庭や地域とも連携したさまざまな取り組みを継続的に実施することによって生きる力を身につけることができる食育の重要な取り組みの一つであるというふうに思っております。
県教育委員会では、平成22年度に、駒ヶ根市をモデル推進地域として文科省の委託事業を受託して「弁当の日」事業に取り組んで以降、毎年、研修会等を通じまして、その成果を伝えながら、具体的な実践方法の研究やアドバイスを行っているところであります。
学校では、社会科や家庭科などの教科や総合的な学習の時間、給食などを通じまして、それぞれの地域や学校の実情に応じて工夫し、食育の推進に取り組んでいるところでありますが、今後も引き続き「弁当の日」の取り組みも含めて支援してまいりたいというふうに思っております。
また、全国の実践事例につきましては、教職員の研究協議会などの機会を捉えて随時県教育委員会が収集した情報を県内に発信していますが、さらに、毎年、現場の教員を文科省などが主催しているさまざまな全国研修会に派遣するなどいたしまして、全国の取り組み事例を学ぶ機会もつくっているところであります。今後も、引き続きまして情報収集や情報発信に努め、学校や地域の取り組みを支援してまいりたいというふうに考えております。
「わたしたちの信州学」の利用状況についてであります。
このテキストは、長野県の成り立ちや産業文化など、県全体のことを概観するとともに、探究的な学びを進める上で必要となる課題設定の仕方や追求の手法などを示し、各校で行う信州学の参考となることを意図して作成いたしておりまして、平成28年度と29年度、県内高校の1年生全員に配付いたしました。
具体的な活用例としては、テキストの内容につきまして各自がレポートにまとめる、あるいは課題の設定や調査活動で利用する、県内の他地区へのフィールドワークの事前学習に使用するなどの報告が寄せられているところであります。
このテキストは、各校での実践事例を取り入れ充実していくことが重要だというふうに思っていまして、29年度版では新たに5校の取り組みを掲載したところであります。さらに、今年度は、信州学のポータルサイトを開設し、テキストの電子版を掲載するとともに、3校の取り組みを追加しております。来年度は合計16校の取り組みを掲載する予定でありまして、これを活用いたしまして、各校の信州学がより充実したものとなるよう推進してまいりたいというふうに思っております。
小中学校での地域についての学習状況や学習内容であります。
学習指導要領に基づきまして、小学校1、2年生の生活科で地域の行事にかかわる活動、それから3、4年生の社会科で自分たちの住んでいる地域の文化財や年中行事などについて調べること、そして、中学校の社会科では、自分たちの住んでいる地域の諸課題について調査することなど、発達段階に応じまして地域について学んでいるところであります。
さらに、県内全ての公立小中学校において、総合的な学習の時間で地域にかかわる題材について追求しているところでありまして、全国学力・学習状況調査によりますと、地域の行事に参加している県内の児童生徒の割合は、小学生は88%、中学生は63%で、小中とも全国より20ポイント以上高い、そういう状況であります。
県内各地域には、伝統行事を初め固有の歴史や文化がありまして、こうした資産を生かして地域と深くかかわる学びができること、これは信州教育の強みの一つであるというふうに思っております。小中学校におきまして体験を通して身近な地域を知る学習を積み重ねていくことで、高校で行う信州学の素地を培ってまいりたいというふうに考えております。
伝統行事や文化をどう認識し、どう継承のために取り組んでいくのかという御質問でございます。
本県は、県内各地域にそれぞれが誇るべき伝統行事、文化を持っている、こうした地域の伝統芸能、文化が非常に多彩な県だというふうに思っております。こうした伝統行事や文化は、それぞれの地域の皆さんが誇りを持って引き継いでこられた、まさに地域の宝だというふうに思っておりますし、また、地域のみならず県民全体の財産でもあるというふうに思っております。
また、私もさまざまな文化を継承されている皆さんとお話をさせていただくと、なかなか担い手がいなくて大変だという課題がある反面、こうした行事があるから若者が戻ってくるとか、また、若者の中には、地域のお祭りを継続したいがゆえに地域に戻ってきたというような若者もいるわけでありまして、そういう意味では、地域を元気にしていく上で大変重要な要素だというふうに思っております。
また、加えて、グローバル社会、私たち自身のアイデンティティーというものが問われてくる世の中になってくる中で、こうした伝統行事や文化というものは、それぞれの地域の歴史であったり、これまでの産業であったり、あるいは気候であったり、こうしたものを体現しているわけでありますので、こうした伝統行事や文化を守っていくということが私たち自身のアイデンティティーを守っていくということにもつながってくるというふうに思っております。そういう意味で、県としても、この伝統行事や文化の積極的な支援に努めていかなければいけないというふうに思っております。
県としては、今の時点で、祭りや神楽など29件を無形民俗文化財として指定させていただいております。今年度、平成29年度文化財保護事業補助金によりまして、松本市の里山辺お船祭りのお船の修理を支援させていただいておりますほか、元気づくり支援金についてもそれぞれの地域の伝統芸能の支援に活用させていただいているところでございます。
また、これまで、南信州地域におきましては、地域で守る伝統行事継承モデル事業というものを行ってきております。地域や企業の協力を得て担い手を確保する取り組み等を行ってきているわけでありまして、今後、各地域振興局においてこの成果や課題を共有させていただき、地域ごとに伝統、文化を多くの皆様方の支えの中で守り育てていきたいというふうに考えております。
こうしたことを通じて、県としても、このさまざまな伝統、文化が次世代に継承されるように取り組んでまいりたいというふうに思っておりますし、また、多くの皆様方の御協力が得られるようにこれからも努力をしていきたいというふうに考えております。
以上です。
伝統行事、文化が地域の宝だという知事からの御答弁がありました。ぜひその宝を守り、継承していく、まさに地域の宝である子供たちにそういった教育を引き続き行っていっていただきたいというふうにお願いいたします。
「弁当の日」についてお話をお聞きした学校では、お弁当を持ってこなかった生徒は今までにたった一人だったそうです。その生徒は、朝弁当をつくっている途中、母親と大げんかになってしまい、完成できなかったようで、弁当がないから昼食の時間は保健室にいたいと訴えたそうです。しかし、お昼前に、母親が、生徒がつくったおかずに母親がつくったおかずを足したお弁当を届けてくれ、親子仲直りもでき、笑顔でクラスのみんなとお弁当を食べたそうです。この取り組みの裏で、学校が想定しないようなさまざまなドラマが生まれ、子供たちは想定していなかった学びを得ているようです。
農林水産省では、職員の中で「弁当の日」を実施しているそうです。ぜひこの取り組みがここ県庁内でも取り入れられ、知事を初め部長の皆さんが台所に立たれることを想像し、期待をいたしまして、一切の質問を終わります。