平成29年2月定例県議会 発言内容(花岡賢一議員)
◆花岡賢一
中国に行き、無事に戻ってまいりました花岡でございます。皆様におかれましてはお疲れとは思いますが、いましばらくおつき合いいただきます。
多くの方々の御参加をいただき、先日22日に長野県議会海外調査報告会を行うことができました。内容については県議会ホームページに掲載されておりますが、非常に濃い内容と変わりゆく中国経済の実態、高度なITインフラに触れ、今後の日本、長野県の可能性を新たに考えるきっかけとなりました。先進地に習うことは多いわけですが、10年ほど前に行った上海と比べ激変し続ける状況を目の当たりにした中で、政治、行政のかじの切り方、その早さを感じてまいりました。やはり、政治、行政は時にダイナミックでなくてはならないと考えさせるような機会をいただいたことに感謝し、今後の長野県の発展につながる手がかりを持ってまいりましたことを踏まえながら、順次質問を申し上げます。
第4次産業革命と全世界的に進む次世代産業の波に本県も決しておくれをとってはならない中、おとといの清沢議員の質問の答弁で、全国的にも進んでいるほうだとの内容の答えがありました。日進月歩の次世代産業の進展に対して、常に攻めの姿勢で臨んでいかなくてはなりません。
私は、IT先進国の中国における次世代産業、IoT化の例で、モバイクなるものに触れ、小島代表の質問でも取り上げたシェアリングエコノミーの先駆的事例を感じてまいりました。これは、施錠された自転車にQRコードがついており、スマートフォンでそのQRコードを読み込み簡単な手続を踏むと、自然に鍵が開き、乗り出すことができるものですが、驚くことに、現在どこにあいている自転車があるのかをスマートフォンの地図画面で確認することができるのです。すなわち、自転車自身がみずからの位置をユーザーに知らせて、そこに人が向かうシステムなのです。もちろん、乗り捨てが可能で、施錠をすると1回の使用は終了します。支払いも電子決済で、履歴も残り、移動距離でマイルのようなサービスも受けられます。東京の一部などでも導入されているようですが、このような物のインターネットは確実に我々人間の生活に変化をもたらしています。
そこで、提案いたしますが、来年開学予定の長野県立大学の後町キャンパスから三輪キャンパス間の足として導入してみたらいかがでしょうか。中核市である長野市での試験が整えば観光地におけるシェアサイクルのモデルとなることを考えますが、その御所見を県立大学設立担当部長にお伺いいたします。
また、本県における次世代産業の中核となるべく予算計上がされている航空宇宙産業集積促進事業について、産業労働部長にお伺いいたします。
当初予算に寄せられた御意見、御提案に対する見解及び対応に関して、長野県テクノ財団とのやりとりについては一応の決着が見られたようですが、内容を考察すると、今まで取り組まれてきた方々と具体的な議論が行われていないように見受けられます。事業として集積させるのか、それとも拡散させるのかがわかりづらいことと、まだ集積されていない状況で拡散、全県への波及は、地理的な範囲を考えると余りにも風呂敷を広げ過ぎているように感じるのですが、どのように進めていくのか。お伺いいたします。
また、全県への波及を目指すのであるのならば、中核的な機関が当然必要になります。県として推進していく中でそれぞれの産業を支援するのならば、調整組織として設置された長野県航空機産業推進会議は重要性を増すと思われますが、率先して牽引していくのならば運営機関が必要ではないのでしょうか。お答えください。
続いて、文化遺産についてお伺いいたします。
昨年末、ユネスコ無形文化遺産に「山・鉾・屋台行事」が認定を受けました。もともと、京都祇園の山鉾行事と日立風流物が認定を受けていた中、同じ分野として新たに31件が加えられ、合計18府県、33件での認定を受けました。ユネスコが既に登録済みの案件と同じ分野として新たに追加したということは、日本全国に広まる文化としての理解が深まったことと捉えますが、残念なことに長野県の認定はありません。今回新たに認定を受けた31件は、いずれも国の重要無形文化財の指定を受けています。長野県においても国の指定を受けているものもありますが、登録に向けての動きはありましたでしょうか。また、今後の登録の追加もあるようですが、長野県においてその予定はありますでしょうか。そして、先人たちが残された数々の遺産やその後も脈々と継承されてきた文化を財産として、県はどのようにそのすばらしきものとして発信していくのか。以上2点、教育長にお伺いいたします。
長野県立大学の後町キャンパスと三輪キャンパスとの間の通学手段に関してのお尋ねでございます。
1年次の学生が居住する寮のある後町キャンパスと三輪キャンパスとの間の通学手段は、徒歩のほか、路線バス、自転車などが考えられます。そのうち、利用が多いと思われる自転車による通学に備えて、両キャンパスには寮生全員分の駐輪場を整備する予定でございます。しかしながら、2年次には原則として寮を出て自宅あるいはアパート等からの通学となるため、1年次に利用した自転車が不要になるといったケースもある程度出てくるものと思われます。こうした状況を踏まえますと、寮生同士、あるいは上級生、下級生の間でシェアできる供用の自転車があれば、学生の利便性も高まり、自転車の有効活用にもつながるものと考えております。
議員御提案のIoTを活用した自転車の共有につきましてただいま御説明をいただきましたが、大変便利なシステムであると思いますが、例えばアプリケーションの開発、自転車や機器の調達、管理を公立大学法人が行うとすれば、投資の是非や、利用対象者が限られる中で事業の採算性をどう確保するかなど課題も多いのではないかと思われます。学生の自転車利用に関しましては、国内の六つの大学で既に導入されているシステムがあり、必要な電子機器や自転車本体を大学側で用意することにより学生が無料で利用できるという事例がございます。ただ、こちらの方式では、自転車が行方不明になったり機器のふぐあいが発生するなどといった課題もあると聞いております。
県立大学といたしましては、こうした課題や費用負担の問題、あるいは安全性といった点も踏まえまして、利便性の高い通学手段を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
2点、順次お答えいたします。
まず、航空機産業の集積と今後の対応についての御質問でございます。
航空機システムの分野は、国のビジョンにおきましても、機体やエンジンに比べこれまでの取り組みが限定的であったという認識であり、今後重点的に取り組む分野として国が支援強化を明言しております。この機会を捉えまして、航空機システム産業への参入の方向性を示したものが長野県の航空機産業振興ビジョンであり、意欲の高い県内の企業群が共通の目的に向かって取り組むことは、県内の新しい産業の集積につながるものと考えております。
現在、航空機産業は、国境を越えてグローバルな部品調達が行われていることや多彩な技術が求められていることを考えますと、集積エリアを余り狭めないことが得策と考えております。また、テクノ財団のNAGANO航空宇宙プロジェクトの参画企業も全県に及んでおりますし、今回特区の拡大が認められた上伊那、諏訪地域の企業を中心に、新たに航空機産業への取り組みをスタートさせた県内企業もございます。全県展開を狙った今回の県のビジョンは、国からも高く評価されております。この機会を逃すことなく、国の専門研究機関などとの連携を一層強化して、新たな産業づくりに全力で取り組んでまいりたいと考えております。
次に、航空機産業の中核機関についての御質問です。
航空機産業の振興に当たりましては、人材育成、研究開発、販路開拓、環境試験など多くの支援が必要です。そこで、この4月からは、信州大学航空機システム共同研究講座の開講、県の工業技術総合センター機能の設置、南信州・飯田産業センターの環境試験機の運用などがスタートすることになっております。
これには、多くの機関の協力が不可欠であり、一丸となって推進する組織として、昨年、長野県航空機産業推進会議を設置いたしました。この推進会議には、テクノ財団など県の機関のほか、経済産業省、宇宙航空研究開発機構、JAXA、産業技術総合研究所など、日本を代表する研究機関、専門機関が参画しております。また、この推進会議には、JAXA出身の柳原正明氏を事業推進の中心に据え、運営機能を担うとともに、それぞれの機関がその専門性を生かして得意とする役割を担当することになっております。現在、国内外に本県の航空機産業への取り組みに高い関心を示している企業や研究機関がありますので、これらの企業も加えながら長野県の航空機ビジョンの実現に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
ユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」についてでありますが、この「山・鉾・屋台行事」というのは、華やかに飾りつけられた山車の巡行を中心とした祭礼行事のことを指しておりまして、国の重要無形民俗文化財に指定されている33の「山・鉾・屋台行事」が、昨年末、ユネスコ無形文化遺産として登録されたところであります。
そもそも、ユネスコ無形文化遺産は、国の文化財として指定されている伝統芸能や民俗行事を対象として推薦登録がされているところでありますけれども、本県には「山・鉾・屋台行事」として国の重要無形民俗文化財に指定されているものがないということから、このユネスコの遺産登録に向けての動きでありますとか今後の追加の予定といったことはないという状況でございます。
それから、文化遺産の発信についてでありますが、本県には多くの文化遺産が残されておりまして、それらを未来に継承する上でも、それを発信、活用していくことが大切であるというふうに考えておりまして、さまざまな形で情報発信に取り組んでいるところであります。
伝統芸能継承のモデル地区として支援している南信州地域では、今年度事業で南信州の伝統芸能をPRするホームページを制作し、近く公開する予定となっております。また、日本遺産の認定を受けた木曽地域では、関係市町村や関係地方事務所を中心に、テレビ番組の制作など日本遺産による情報発信の取り組みを進めております。
県教育委員会としても、2件目の日本遺産認定を目指しまして市町村と共同で準備を進め、先月、縄文遺産や教育遺産などを日本遺産に申請したところでございます。さらに、平成29年度以降は、県立歴史館におきまして、縄文関連の企画展開催などにより、縄文王国信州を積極的に情報発信していくこととしております。
今後も、市町村や4月から設置される地域振興局などと連携しながら文化遺産の魅力を情報発信してまいりたいというふうに考えております。
シェアサイクルについて申し上げますと、幸運にして、来年度、上海の駐在員が戻ってきます。当然先駆的事例のノウハウを持って帰ってくるはずです。この機会に、大胆なかじを切ってみることも視野に入れていただければ、県勢発展の足がかりとなる次世代産業の創出につながると思いますので、また前向きに御検討いただければと思います。
また、先ほど村上議員が触れられておりましたけれども、世界かんがい施設遺産というものがあります。昨年、茅野市の滝之湯堰・大河原堰、安曇野市、松本市の拾ヶ堰の2件が世界かんがい施設遺産として登録されています。登録を逃してしまいましたけれども、私の地元の五郎兵衛用水も先人が残した遺産として地元では大変重要なものと言われております。そのすばらしきもの、そういったものにより光が当たるように引き続き取り組んでいただきますことをお願いしながら、質問を移ります。
産前産後の不安解消について御質問申し上げます。
先日、産前のパパ・ママ教育に参加する機会がありました。実体験から産前産後の不安解消に取り組まれている方々の意見を聞く中で、佐久医師会が発刊している「教えて!ドクター」のことを聞きました。非常にわかりやすく、当事者目線で作成されたよいものと感じたのですけれども、作成までのコンセプトもすばらしいものでありました。それは、3歳までの子供を持つ家族に焦点を絞った子育ての不安の軽減と、不用意に医療機関を受診することを抑制することによる救急医療の負担軽減、経済的負担抑制を三つの柱として掲げ、より多くの保護者の方の意見も酌むべく、医師が病院の外に出て保育園などへの出前講座も行っている現状もありました。傾向を分析して無料アプリの配信も行うなど、利用者目線のすばらしい内容と考えますが、御所見を健康福祉部長にお伺いいたします。
また、コンセプトの中の子供の健康を守る主役は医療者ではなく保護者であることはとても共感が持てたことと、救急医療の負担軽減は医療関係の急務と思われます。その両方に対して確実なアプローチを行える活動と思ったことと、冊子もしくはアプリを手元に持っていることで、まず冷静に子供と向き合い、状況の判断を保護者が行うことができるファーストコンタクト、もしくは初めの一歩としてとてもよいものと考えますが、このような活動を県内に広めてはいけないものでしょうか。健康福祉部長にお伺いいたします。
産前産後の不安解消に向けた取り組みについて御質問をいただきました。
お尋ねの「教えて!ドクター」につきましては、平成27年度に佐久市が佐久医師会に委託して作成した育児を行っている家庭向けのマニュアルであり、スマートフォンで閲覧可能となっていると承知をしております。子供の病気やけがなどについて症状に応じて医療機関を受診すべきか否かの見きわめや、自宅でできるケアのポイントを理解することにより、親御さんの不安の解消や医療機関の適正な受診につながるといった効果が期待できるものと考えております。
各市町村が創意工夫をして母子保健や保育に関する取り組みを進める中で、好事例について幅広く情報共有することは重要であると考えており、佐久市の取り組みを含めて、母子保健の担当者研究会等の機会を捉えて情報提供してまいりたいと考えております。
以上でございます。
人口減少社会と言われる中で、お産は恐らく人生で最大の変化のあるときであるはずです。そのときの不安を少しでも和らげ、子育てに専念できる努力を行政が連携を強めて進めていただけるよう、知事にはともに推進していただけるパートナーとしての御理解をお願いいたします。
続いて、若者の発表の場についてお伺いいたします。
全国高等学校総合文化祭が長野県において平成30年に開催されます。ことしは宮城県で開催され、規定19部門、協賛4部門で行われる中、協賛部門の軽音楽において、私の地元の野沢南高等学校が県を代表して出場します。
先日、同窓会主催のワークショップに参加させていただき生の演奏を聞かせていただいた際に、とてもエネルギッシュで活力をいただいてきたわけですが、総合文化祭のことしの軽音楽は協賛部門であり、この部門は開催県で決定ができるとありますが、平成30年開催の全国高等学校総合文化祭の協賛部門は何部門が行われるのでしょうか。また、新たに加えられた部門もあるようですが、決定の経緯をお聞かせください。
その後、出場メンバーに伺ったところ、部員が多く、練習室がなかなか使えない現状があるようです。先ほど申し上げた生演奏の感想で、地元の区長さんが、軽音楽とはいいますが私の心には重く響いてきましたとの意見がありました。大きい音が生じることから、近隣の理解と練習場所の確保はほかの部活と異なるものがあります。一般文化部と比べてその措置が必要ではないかと考えますが、対策などありましたらお聞かせください。
また、年3回程度の高校文化連盟の大会で発表しているとのことも伺いましたが、発表会は定期的に行われているのでしょうか。そして、どの程度でどのぐらいの参加があるのか。
以上、教育長にお伺いいたします。
以前ニュースになりましたが、ミュージシャンの坂本龍一氏のクラブはサブカルチャーのるつぼとの発言がありました。クラブは、その営業形態から風営法の遵守が求められるのは当然でありますが、現在至るところで行われるようになってきておりますプロジェクションマッピングのはしりのようなものを20年近く前に目にしたことがあることと、今は紅白歌合戦に出場するまでになったボーカルダンスユニットのリーダーが、過去の栄光を捨ててクラブを回り、プロモーションしていたことなどを考えると、今日当たり前のように目にしている文化の下支えとなっていることは間違いないと思います。
ほかにも、県内にあるライブハウス的なものは重立ったものでも30軒程度であり、しかもチケットショップで扱っているところは2軒程度しかないそうです。また、高校生にとっては、出演料がかかるためなかなか出場はできない現状もあるようです。若者に何度でも出番を持たせてあげられる状況が理想ではありますが、現状、理解は進みません。経営側の努力も当然必要ですが、行政がすべきことは、若者の芸術文化に対する興味、関心を喚起することにあると思います。また、アーティストの芽を伸ばしてあげることが重要と考えますが、県の考えや現状の取り組みはどのようであるのか。県民文化部長にお伺いいたします。
また、地元佐久では、毎年、佐久ミュージカルが開催されております。昨年は、郷土の偉人、市川五郎兵衛真親伝奇として、「黄金之郷」と題して、時代考察のもと、子供たちとともにつくり上げられていました。このような活動も発表の場があればこそであり、こうした発表の場の確保を進めていくことが重要と考えますが、県民文化部長はどのようなお考えをお持ちなのか、お聞かせください。
ここまで、発表することについて、またその活動を大人が理解し推し進めてあげることで次世代を創造する下支えの可能性についてお伺いしてきましたが、ここで、私が常に疑問に思っていることについて質問をいたします。
ことしの1月9日、NHKで「ONE OK ROCK18祭(フェス)」という番組が放送され、反響を呼びました。内容は、ONE OK ROCKというロックバンドが全国から応募された1,000人の18歳と共演するものなのですが、出演した18歳は、音楽を得意とする人ばかりではありませんでした。中には、母親のために自分のお店を持ちたい料理人を目指す人や自己表現のために書道に打ち込む人、サッカーのリフティングを得意とする人や絵画で自分をアピールする人、中にはけがによりみずからの夢を諦めた人もいました。そんなさまざまな人たちが自分をPRする動画をロックバンドに送り、審査することで、1,000人が集まった中、イベントは始まります。オープニングは和太鼓を演奏する高校生、その後、書道パフォーマンスでタイトルを書き出し、演奏へと移行していきます。見ていただければわかるのですが、そのパワーたるやすさまじいものがありました。
何を言いたいかというと、最近の若者は自己肯定感に乏しいとよく言われますが、先ほどのミュージカルに出演していた人やこのイベントに参加した人を見る中で、自己肯定感が低いと感じられる人はほとんど見られませんでした。もちろんドキュメンタリー番組ですので自信がなさそうな人も映ってはいましたが、この企画に参加して何かが変わったという出演者の声もあります。
また、企画に参加したスタッフの声を紹介します。アーティストの能力も当然ありますが、観客がアーティストを育てることもあります。若者のパワーを引き出したアーティストもすばらしかったですが、観客のパワーがアーティストの能力以上のものを生み出すこともあります。そのよい例だったのではないでしょうか。やはり若い世代をよくしていくのは大人の力があってこそと思いますとのことでした。
そこで、平成24年3月に長野県で行われた青少年生活意識調査では、さまざまな事例が浮き彫りになったことと思います。調査の中で、自分のことが好きですかとの設問がありました。これからさまざまなことに挑戦して、当然挫折もあるでしょうし、絶対にかなえたい夢を抱く子供もいる中で、いきなり大人から、あなた自分のこと好きと聞かれて、はい、大好きですと言える子がそれほど多くいるとは思えません。むしろ、自分のことはそんなに好きじゃないよねと聞いているようにも感じられます。さまざまな意識調査の中、若者は自己肯定感が低いものだと決めつけているのはむしろ大人なのではないでしょうか。逆に、大人に自分のこと好きですかと聞いたほうがもっと衝撃的な結果になるかもしれません。かなうとかなうまいと、夢というものは恋い焦がれるものであります。夢に支えられ、夢に苦しみ、夢に裏切られることもありながら夢に生かされる。そんな一生を抱いたことはないでしょうか。
そんな思いの中、長野県青少年問題協議会の資料には自己肯定感が低いと記載されていますが、長野県次世代サポートプランでは、若者の自己肯定感についてどのように捉えているのでしょうか。県民文化部長にお伺いいたします。
そして、次世代サポートプランの冒頭で、知事の「彼らの自信を回復させ」との言葉があります。そもそも若者は自信がないのでしょうか。自信がない、自己肯定感が乏しい、そういった課題が明確になっているのであるならばそれを伸ばしてあげることが重要なはずですが、多くの若者と接する中で、若者の自己肯定感についてどのように感じているのでしょうか。また、自己肯定感を高めるために長野県としてどのような取り組みを行ってきたのでしょうか。阿部知事にお伺いいたします。
最後に、平成30年開催予定の全国高等学校総合文化祭について聞き取りをした高校生からは、長野県のよさをアピールしてほしいことと、長野県の高校生にもっと活力が出るような企画をしてほしいとの意見を聞きました。どのようなお考えがあるのか、阿部知事にお伺いいたします。
全国高等学校総合文化祭の協賛部門についてでございますけれども、協賛部門は、開催地の事情により独自に決定できるものでありまして、長野県では、特別支援学校、ボランティア、軽音楽、ダンス、産業、人形劇の6部門を開催することとしております。
この決定の経緯でありますが、特別支援学校は、特別支援学校の高等部の生徒に活躍の機会を与えるため近年の先催県では必ず開催しておりまして、長野県でも開催することといたしました。ボランティア、軽音楽、ダンスにつきましては、県高等学校文化連盟に加盟しているこれらの部門の生徒数が本県では多く、県内での大会や活動も盛況であることから協賛部門として設定いたしました。また、専門高校の生徒にも日ごろの活動の成果を発表してもらうため産業部門を設定し、人形劇につきましては、平成30年が飯田市で開催される人形劇フェスティバル世界大会と重なることからそれにあわせて開催することとしたところでございます。
次に、軽音楽部の練習場所の確保についてでありますが、高校の軽音楽部は、一般的に部室やクラブ練習室で練習していることが多く、練習環境は学校によってさまざまでございますが、部員数が多い高校では校内での施設の確保に工夫を凝らしていると思います。軽音楽部に限らず、高校で大きな音を発する部活動については、近隣住民の理解を得る努力が重要だと思います。例えば松本深志高校では、生徒が主体となって「深志から出る音」意見交換会実行委員会というものを組織して、生徒と近隣住民との意見交換会を実施しておりまして、こうした活動が必要であると思っておりますし、また、多くの高校では、校外の公共施設を練習場所として借用したり高原で合宿したりする工夫などもしています。こうした練習場所の確保についても、生徒がみずから取り組み、社会とかかわることが、生徒の主体性や社会性、協調性等を育む大切な学びにつながるものだというふうに思っております。
それから、軽音楽部の発表の場についてでありますが、県高等学校文化連盟では、軽音楽の大会として、全県の生徒が参加する軽音楽系クラブ合同演奏会、軽音楽専門部県フェスティバルのほか、野沢南高校が属する東信地区の生徒が参加する東信支部芸術フェスティバル軽音楽専門部交流会、この三つの大会を開催しております。このうち、最も規模が大きく全県の生徒が参加する合同演奏会の今年度の地区大会の参加校数は42校、エントリーバンド数は157バンドという状況であります。また、各高校では、文化祭や部内ライブ、地域の音楽祭への参加など、各校の実情に応じて発表の場を設けているというふうに承知しております。
以上でございます。
若者の芸術文化に対する興味関心の喚起についてからまずお答えを申し上げたいと思います。
子供や若者が文化芸術を通じまして豊かな感性や想像力を育んでいくことは大変重要と認識しております。県といたしましては、まずは子供たちに質の高い文化芸術に触れてもらう機会を提供するため、セイジ・オザワ松本フェスティバルにおきまして全県下の小学6年生を対象とした音楽会でございますとか中学1年生を対象としたオペラを毎年開催し、本年度は1万5,000人余の児童生徒が鑑賞したところでございます。
また、昨年度の県民芸術祭から、次世代に向けた啓発事業といたしまして、県美術展において高校生に一日学芸員を委嘱したり、県書道展におきまして親子書道教室や初心者向けのギャラリートークを行うなど、新たな試みも始めたところでございます。さらに、今年度は、夏休み期間中、県内の美術館、博物館106館に御参加をいただきまして小中学生の料金無料化を実施するなど、若い世代が文化芸術に親しむ環境づくりに努めているところでございます。
また、若手芸術家への支援につきましては、県ゆかりの若手芸術家の活動を支援していくため、長野県若手芸術家支援事業を実施しているところでございます。さまざまなジャンルのプロまたはプロを目指す30代までの芸術家を募りまして、昨年11月時点で197名が登録をされているわけでございますけれども、こうした皆さんの活動をウエブサイトを通してアピールいたしますほか、各種イベント等にこうした若手芸術家を紹介させていただきまして、発表の場の開拓に努めているところでもございます。
また、来年度は、芸術監督団による県内ゆかりの若手美術作家展の開催を予定しておるなど、引き続き県として若手芸術家の活動を支援してまいりたいというふうに考えております。
2点目の地域における文化活動の発表の場の確保についてでございます。
本県には、地域ごとに多様かつ独自の文化が存在してございまして、議員御指摘のとおり、住民主体によります地域に根差した文化芸術活動の発表の場を確保していくことは重要であると認識してございます。県内には、地域の文化拠点といたしまして、約60の文化会館、ホールが設置されており、若者を含みます文化芸術活動の発表の場となっているところでございます。県といたしましては、県内の文化施設の企画運営を担うスタッフの研修を実施するなど、地域の文化振興を担う人材の育成を通じまして、文化会館、ホールの活性化を進めてまいりたいと考えております。
また、地域の文化活動への取り組みにつきましては、地域発元気づくり支援金の助成対象となってございまして、お話のございました佐久ミュージカルにつきましても、平成22年度から3年間にわたり事業の定着を県として支援もさせていただいたところでございます。今後とも、これらの取り組みを通じまして、地域における文化活動の発表の場の確保を図ってまいりたいと考えております。
3点目でございます。次世代サポートプランにおきます若者の自己肯定感についてのお尋ねでございます。
本県では、子供・若者支援施策の指針といたしまして、平成25年3月に長野県次世代サポートプランを策定いたしました。このプランでは、その基本理念を「全ての子どもと若者たちに“出番と居場所”を、そして“自信と夢”を」と定めております。
プラン策定に当たりましては、県内の青少年の生活意識を把握し、計画策定に向けた基礎資料とするため、平成23年度に小中高校生を対象に青少年生活意識調査を行っております。この調査の調査項目は9項目74問で構成したものでございまして、生活習慣や学校生活、家庭生活、規範意識などのほか自己肯定感についても回答をいただいたところでございます。
お尋ねの自己肯定感につきましては、年齢に応じてどのような変化があるかを分析したところでございまして、その結果、小中高校と学校段階が上がるに従いまして自己肯定感は低くなってきていると捉えておりまして、プランでもその旨を記載させていただいたところでございます。なお、こうした傾向につきましては、国立青少年教育振興機構が行いました青少年の体験活動等に関する実態調査結果でも同様の傾向が見られるところでございます。
この県の調査につきまして信州大学教育学部の越智教授にお願いした考察によりますと、自己肯定感、家庭生活、学校生活の間には相互に深い関係があるとされ、自己肯定感が低くなる高校生に関しまして、高校生といえば好奇心旺盛で活動的な年齢である。彼、彼女らの多くは何がしかの活躍の場を求めているといった指摘もされたところでございます。こうした考察も踏まえまして、プランでは、子供、若者の活躍の場への支援やさまざまな課題を抱える若者の支援の両面から、夢に向かって自立した社会生活を営めるよう、総合的に施策を推進するとしたところでございます。
以上でございます。
私に対しましては、若者の自己肯定感をどう受けとめている、どう感じているかということについて御質問をいただきました。
私もいろいろなところで長野県内の若者と出会い、そして語り合う機会があるわけでありますけれども、例えば若者1000人会議とか、あるいは高校生のプレゼン大会のふろぷろとか、そうした活動をしている若い世代の皆さんとお話をすると、皆さん非常に前向き、ポジティブ、非常に積極的な取り組みをしており、自己肯定感が弱いという印象は私も受けません。
他方で、内閣府が行った調査を見ると、例えば海外と比較すると、日本の若者の自己肯定感、私は自分自身に満足しているという問いに対して、これは平成25年の調査ですが、日本の若者は45.8%が肯定的ですけれども、例えばアメリカ86%、イギリス83%、フランス82%ということで相当程度違いがあります。これは、それぞれ国の文化の違いというものもあり得るかと思いますが、私が個人的に感じているのは、どうしても日本は子供たちにできないことを強く意識させることが多いんじゃないかというふうに思います。他者との違いというものを余り肯定的に考えない、どちらかというと違っていることが余りよくないことというふうに感じる場面が私自身の子供の時代を振り返ると多かったような気がします。
こうした意識だけではなくて、ニート、発達障害、さまざまな困難を有する若者たちがいるということもこれは事実でありますので、そうした子供たちがしっかりと自立できるように県としても応援をしていくということは大変重要だと思いますし、そうしたことを通じて、より自分自身を大切に思う、また自分自身を大切に思う心が他者を大切にする心にもつながっていくというふうに私は思っています。
そういう意味で、例えば職業的自立のためのジョブカフェ信州の運営であったり、あるいは社会的自立に結びつける取り組みを行っている団体の皆さんと協働しての若者支援の取り組みであったり、あるいは先般も一般質問の中で御質問がありました翔和学園、いわゆるギフテッド教育ということで、これはでこぼこの能力の特に優れた能力を伸ばしていこうと。悪いところを引き上げるというより、むしろいいところを伸ばしていく、こうした取り組みをしている長野翔和学園の取り組みに対する支援、こうしたことを行ってきているわけであります。
これからも、全ての若い人たちが前向きに、そして自分自身を大切に思い、そして他者も大切に思う心を持ってもらえるように県としても取り組みを行っていきたいと思っています。
それから、全国高等学校総合文化祭について、花岡議員が聞き取られた高校生の声についてどう考えるかという御質問でございます。
花岡議員に御意見を出された高校生は2年生ということで、この総文祭開催のときには既に高校生ではなくなっていることから、後輩に対するエールでもあるというふうに受けとめております。大会成功に向けては、やはり当事者である子供たち、高校生の声を大切にして、高校生みずからが企画をしていくということが重要だというふうに思っております。
現在、生徒実行委員会の生徒が、大会コンセプトあるいは大会テーマをもとにして、みずから積極的にこの大会に参画するためのあり方、そして全国への発信、大会の企画、こうした検討を行っているわけであります。長野県としての特色を出そうと、県歌「信濃の国」を使ったイメージソングであったり、あるいは松本城を背景にステージを設け演奏してはどうか、こうしたいろいろなアイデアが出てきているというふうに聞いております。長野県のよさをアピールしてもらいたい、そして長野県の高校生にもっと活力が出る企画をしてほしい、こうした点については私も全く同じ思いであります。教育委員会を通じてこの実行委員会の生徒の皆さんにもこうした思いを伝えて、ぜひこの生徒の思い、そして私の思いでもありますけれども、やっぱり長野県らしい、そしてこの総文祭を通じて長野県の高校生全体がより元気に、活力が出るような文化祭にしていってもらうことを期待をし、そうした方向で私どもも取り組んでいきたいというふうに思っています。
以上です。
御答弁いただきましたけれども、自己肯定感が低いと大人が言い続けてしまえば、やはり自己肯定感が低いのかなと子供が思ってしまう可能性もあります。その中で、私の思いと阿部知事の思いは一緒だなというふうに思わせていただきましたので、この先もますます子供たちの可能性を伸ばしていける県になっていってほしいと思います。
この項目のタイトルに「若者の発表の場」とつけてありますけれども、全国高等学校総合文化祭を中心に質問いたしましたが、高校に進学していない若者も含めた全ての若者に居場所と挑戦の場を与えられるのは大人の理解であると考えます。柔軟な発想から生まれる想像力に大きな期待を寄せる次第であります。
先ほど申し上げた1,000人の大合唱の中で一番言われたフレーズがカラー・イン・ザ・ダークという言葉です。暗闇の中にあってもあなたは一つの輝きを持っていますよ、全ての色の可能性を否定しないでということだったそうです。私もその可能性を伸ばせる、そんな大人の1人になりたいと思っています。
今回の第400回長野県議会定例会において、充実した一般質問により、来る来年度のさらなる発展を期待いたしますとともに、新年度の発展が礎となり、次世代に大きな実りをもたらしますことを願い、トリとしての一切の質問を終了いたします。