平成29年11月定例県議会 発言内容(石和大議員)
◆石和大
健康に関する統計によると、50歳のときに結婚を経験していない人は、男性でおよそ4人に1人、女性で9人に1人ということです。しかし、未婚の方は結婚を望んでいないかというと、約9割の方が結婚を希望しており、その多くが適当な相手とめぐり会わないと考えているという結果があるということです。適宜的確な出会いのサポートが必要だと実感します。
国も県も市町村も婚活支援にかかわっています。平成29年度当初予算でも、県のながの出会い応援プロジェクト事業で2,470万円余り、国からの交付金で市町村の結婚支援事業等へ補助しているものが6,580万円余りという計画です。
そんな中で、28年度、県内では婚活サポーターが活躍し、お見合いが542件行われ、52組が結婚したということです。とてもめでたいことです。また、婚活ポータルサイト、ハピネスナビ信州によると、28年度掲載件数が302件、参加者数5,035名、カップル成立数638組となっており、市町村等も活発に婚活イベント等を開催し成果を上げているということが読み取れます。県が婚活に取り組み始めたのが平成23年、5年を経過し、成果は右肩上がりで、結婚された方々も100組を上回っております。よい成果だと感じています。
そこで、県民文化部長にお聞きをいたします。
これまでの婚活施策の成果をどのように評価し、課題をどう捉えているのかお聞きをいたします。
私も、時々、男女ともによいお相手を紹介してほしいという親御さんの要望に接しますが、なかなか思うようにはいきません。まず適当な相手が思い浮かびません。参考に、婚活サポーターの方がどんなふうに適当だと思う人を人選し、こんなふうにお見合いを設営し、出会い、そして交際へのアドバイスをこんなふうにして成婚に至ったという具体例を、個人情報に触れない範囲で御披瀝いただきたいと思います。
民間事業者が展開している婚活事業はどのように推移し、成果としてはどのようなものか把握はあるのか。また、婚活事業は民間の活力を活用することが有効な分野であるとも感じますが、委託等どのような状況か。以前は県も開催していた婚活セミナーはどんな総括をしたのか。現在は市町村が開催しているとお聞きしますが、役割分担をしているのかどうか。また、成果はどうか把握しているか。お聞きをいたします。
次に、少子化対策、人口減少対策について企画振興部長にお聞きをいたします。
少子化対策、また人口減少対策という観点で見ると、上小地域は人口動態として35歳から39歳の流入人口が多い。必然としてゼロ歳から5歳の流入人口も多い。つまり、子育て世帯が流入しているということになります。それらの人々の移住の動機や移住を決めた要素を把握しているのかどうか。また、把握する工夫はしているのかどうか。さらに、移住後の暮らしはどのようなものか把握はあるのか、お聞きをいたします。
移住者のうち、3割がUターン、Iターンが7割とされています。やはりなぜここを選んだのかが大事です。自然が豊か、首都圏に近い、雪や雨が少ない、仕事や学校、医療体制、ほかにもどんな魅力があったのか、これらのことを把握、分析し、魅力を捉えて地域の魅力として発信できれば、子育て世代の移住推進、少子化対策と人口減少対策につながると考えますがどうか。お聞きをいたします。
これまでの婚活施策の成果と評価と課題でございますけれども、議員に御紹介いただいたとおり、本県では、これまで、市町村や企業と連携いたしましてさまざまな婚活支援事業を積極的に進めてきております。その結果、公的な結婚支援によります成婚数は、平成23年度に97組であったものが平成28年度には233組に増加しているところでございます。
一方、課題といたしましては、結婚を希望している若者に出会いの機会が少ないことや、公的な相談所の支援員や婚活サポーターなどが結婚を希望する若者から相談を受けたときの支援力の強化、さらには大学生等に対するライフプラン教育の充実などがあるものと考えております。
婚活サポーターの具体的な取り組み例というお話でございましたけれども、これまで婚活サポーターがかかわった成婚数は、平成28年度の1年間で52組、平成25年度からことし9月末までの累計では138組となっているところでございます。婚活サポーターの熱心な活動がこうした実績に結びついていると考えておりますが、具体的には、相談者の人柄や結婚条件をよく知るため、面接に時間をかけまして信頼関係を築くこと、それから、本人や親から相談中の異性だけでなく、独自の婚活パーティの参加者や別のサポーターからの紹介者等の中から相談者にふさわしいお相手を探すこと、さらには、お見合い後のおつき合いでも適切なアドバイスを続けることなどさまざまな工夫をしていただきながら成婚に至るまでのサポートをしていただいていると承知しております。
続きまして、民間事業者の婚活事業の推移や成果でございます。
長野県内の民間事業者は、長野県結婚相談事業協同組合に加盟いたします16相談所や、一部上場企業が運営する日本結婚相談所連盟に加盟する9相談所のほか、これら組織に加盟しない相談所がそれぞれにお相手の紹介や婚活パーティなどを行っております。また、近年、店舗を持たずネット上で婚活を行います婚活サイト、婚活アプリが急速に普及している状況でもございます。これら民間の婚活サービスにつきましては、国等の統計データはございませんが、婚活支援に熱心な民間団体を県が婚活応援団として登録を進めてございまして、その登録者数は、平成25年度の50団体から平成29年10月末現在は198団体と年々増加しております。
本県では、昨年10月に県婚活支援センターを開設する際に、県内の民間事業所と意見交換を実施し、その際、事業者からは、県が婚活に取り組むことにより社会全体で結婚を支援する機運が盛り上がることで業界全体が発展すると肯定的な評価をいただいたことから、民間とウイン・ウインの関係となるように事業を展開しております
民間事業者への委託といたしましては、民間のすぐれた婚活ノウハウを県内で生かすため、県婚活支援センターの職員や公的相談所の支援員、婚活サポーター等を対象としたスキルアップ研修事業や婚活イベントの企画運営について行っているところでございます。
最後に、県の婚活セミナーの総括等でございます。
県では、平成25年度から3年間、婚活セミナーや交流会を開催し、これまで延べ23回、843名の参加者、142組のカップル成立という実績を上げておりまして、それと同時にノウハウを蓄積してまいりました。平成28年度の県婚活支援センターの発足に当たりまして、県は、この3年間で蓄えました運営等のノウハウを広く普及することといたしまして、市町村等が開催します婚活セミナーや婚活パーティ等の企画への助言、婚活情報ポータルサイト、ハピネスナビ信州を通じました情報発信、広報PRに重点を移してきたところでございます。成果といたしましては、冒頭申し上げました公的支援によります成婚件数233組のうち、市町村の結婚支援事業によるものが145件となっている状況でございます。
今後とも、市町村あるいは民間事業所と役割を分担しつつ、婚活支援に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
少子化対策、また人口減少対策についての御質問にお答えをいたします。
まず、移住の動機や移住後の暮らしの把握についてでございます。
本県では、平成27年度から県内市町村の協力を得まして、転入者を対象にアンケート調査を実施をしております。この調査結果を分析しますと、移住者の世帯主の約3分の2は20代から40代であり、これらの年代の移住理由としましては、転職、転業や信州の生活環境といったものが多くなっております。市町村に対しましては、こうした分析結果を有効に活用してもらえるよう、結果をフィードバックすることとあわせて、アンケート調査の回収についてさらなる協力を求めているところでございます。
また、移住後の暮らしにつきましても、ふだんから市町村と情報共有を密に図るとともに、年4回開催しております移住者交流会を通じまして移住者の生の声を聞くなど、その把握に努めているところでございます。
続いて、子育て世代の移住推進についてでございます。
先ほど述べましたとおり、本県では移住者の多くが若い世代の世帯であることから、移住希望者への情報発信の一環としまして、U・Iターン転職支援セミナーや信州型自然保育のセミナーを開催をしております。また、ことしの7月には、こうしたこれまでのセミナーに加えまして、信州での働き方の相談を充実させた「信州で暮らす、働くフェア」を首都圏で初めて開催をいたしました。今後は、移住者との意見交換の機会をふやすなど、移住者視点での本県の魅力をさらに細かく把握し、移住者体験談などの形で効果的に情報発信できるよう、引き続き市町村と連携して取り組んでまいります。
以上でございます。
移住政策についてはぜひ細かな分析をしていただいて、より魅力につながるように御努力をお願いしたいと思います。
次に、長野県総合計画審議会の答申では、産業の生産性が高い県づくりという項目が明記されています。今後の県の総合5カ年計画にも反映されていくでしょう。その中に、成長期待分野の産業クラスターの形成についてとありますが、県として具体的にどのように形成を図っていこうとされているのか。さらには、その中の大きなものの一つである南信州を中心とした航空宇宙産業については、長野県が国内をリードしていく体制ができてきているのか。産業労働部長にお聞きをいたします。
先般、会派の視察で飯田に伺って、信州大学の柳原正明特任教授のお話をお聞きしました。JAXAでの実験用航空機開発などでプロジェクトマネジャーをお務めになられた経験などから、技術力や信頼力により航空機装備品事業などでボーイングやエアバスの選択肢として食い込めるチャンスがあるという夢のあるお話をいただきました。
そこで、知事にお聞きします。
信州大学が飯田サテライトキャンパスで開講している航空機システム共同研究講座などにより人材育成に関しても充実していくと考えられますが、伸びゆく姿をどう描いているのか、知事にお聞きいたします。
次に、現在、国の国際戦略総合特区、アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区として、飯田、下伊那の5市町村、34社、諏訪、上伊那地域の10市町、23社が内閣府から指定をされています。これらが県内他地域に拡大することはあるのか。また、特区ではなくても、関連する県内企業がこれらの産業に参画しているような状況はあるのか、産業労働部長にお聞きをいたします。
次に、上小地域においては、具体的に平成28年度の2次補正予算で、信州大学と県が提案した地域科学技術実証実験拠点整備事業、仮称ですが、ファイバー・ベンチャーエコシステム形成拠点のプロジェクトが採択され、信州大学繊維学部校内のレンタルラボが平成30年度から稼働予定ということで、既に入居者の募集が始まっているとのことです。人と環境にやさしい材料や生活アシスト機器、デバイスの研究開発及び製品化を目指す企業向けという募集ですが、ここに参画する研究機関や企業は県内外から集うような形で広がりがあるのかお聞きをいたします。
さらには、次世代自立支援機器、産業機器製造業の集積など地域の特性を生かす形が考えられますが、産、この地域で言うとAREC、学、信州大学、官、東信州次世代産業振興協議会、さらには金融の連携はどう機能していくのか、また、県はどのように参画しているのか、産業労働部長にお聞きをいたします。
産業の生産性が高い県づくりについて4点御質問をいただきました。
まず、成長期待分野の産業クラスターの形成についてでございます。
県では、健康・医療、環境・エネルギー、次世代交通など、今後成長が期待され、また、県内企業の参入希望が多い産業分野をターゲットとして、大学が持つ研究シーズと県内企業とのマッチングや、各産業分野が抱えている技術的課題を大学の研究テーマに反映するなどの取り組みを通じまして、産業クラスターの形成を図っていきたいというふうに考えてございます。先行事例として、飯田、下伊那地域における航空機システム産業の集積を目指す産学官金の取り組みが始まっており、これを一つのモデルとして他の地域においても展開してまいりたいというふうに考えております。
例えば、諏訪地域では、地域の強みである超精密加工技術を生かし、医療・ヘルスケア機器分野への参入企業の集積を図るプロジェクト、長野地域では、信州大学のアクア・イノベーション拠点の強みである水浄化関連技術について、食品関係などの県内企業による用途開発等を促進し、関連産業の集積形成を図るプロジェクトなどを実施してまいる予定でございまして、成長期待分野の産業クラスターの形成へとつなげてまいりたいというふうに考えてございます。
次に、国内の航空宇宙産業をリードする体制づくりについての御質問でございます。
昨年、長野県航空機産業振興ビジョンを策定いたしまして、機体やエンジン以外の部分、いわゆる航空機システム産業に特化した集積の形成を推進しているところでございます。具体的には、旧飯田工業高校跡地に整備している航空機システム拠点において、県工業技術総合センターの航空機産業支援サテライトを開設し、産業技術総合研究所との連携による技術支援体制を整備していくこと、また、南信州・飯田産業センターでは、ことし4月から、国内唯一、ここだけという着氷試験機の運用が開始され、航空機メーカーに直接部品を供給する県外のティア1企業が利用をしているといった状況、さらに、今年度は、県が支援して、これもやはり国内初の防爆試験機を導入する予定としております。
こういった取り組みによりまして、着実に県外企業からも注目される体制づくりが進んでいるというふうに考えているところでございます。県外から長野県への立地や工場の増設を行う企業というものも見られますほか、工場移転に関心を寄せる県外企業もふえつつある状況でございます。経済産業省の重点的支援も受けながら、JAXAや産業技術総合研究所などの外部機関との連携を図りまして、航空機システム分野で国内をリードする体制、そういったものをさらに充実させ、アジアの航空機システム拠点というものを目指してまいりたいというふうに考えてございます。
次に、アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区の拡大と特区外の企業への支援についてのお尋ねでございます。
この特区につきましては、平成26年度に飯田、下伊那地域が指定をされ、平成28年度には上伊那、諏訪地域まで拡大したところでございます。特区の税制優遇措置が今年度末までとなっておりますことから、現在は、愛知県など関係自治体とともにその延長を要請しているところでございます。こうした状況も踏まえつつ、特区の指定拡大に当たりましては、当該地域の企業の参入意向であるとか航空機等関連産業の一定の集積状況といったものが必要とされますことから、これらを促進する取り組みを進め、地域の拡大について検討してまいりたいというふうに考えてございます。
現在、指定を受けている特区以外にも、例えば佐久には大手航空機備品メーカーがございますほか、長野、上田地域などでも航空機産業への参入を目指している企業がございます。先日、茅野市で開催をいたしました航空機産業拡大フォーラムには約200人の参加者がございまして、特区地域内外から航空機産業への関心の高さというものが感じられたところでございますけれども、今後、航空機産業に活用できる県内企業の有望な技術というものを発掘し、ビジョンで目標としている100社の集積を目指して企業の航空機産業への参画を誘導してまいりたいというふうに考えてございます。
最後に、ファイバー・ベンチャーエコシステム形成拠点と産学官金の連携についてのお尋ねでございます。
さきに採択を受けました文部科学省のファイバー・ベンチャーエコシステム形成拠点では、国内唯一の繊維学部を有する信州大学のファイバー技術を活用したレンタルラボが整備される予定でございます。現在その入居者を募集しているところでございますが、対象者は県内に限らず広く集うことを想定してございます。県外の研究機関や企業の中には、県内で保有していない技術を有している機関、企業もございまして、これと東信地域で優位性のある機械や電気技術といったものとの連携、融合を図ることによりまして新たな技術やアイデアが生まれる可能性も高いと考えているところでございます。これを一つの産業シーズと、そういったものになり得るというふうに捉えているところでございます。
こうした中で、東信州次世代産業振興協議会では、ARECや金融機関と連携し、産学連携研究開発、人材育成、ネットワーク強化などの事業を展開しているところでございます。県といたしましても、工業技術総合センターの技術支援などを通しましてこれらの取り組みに参画し、この地に根差した産業集積を促進してまいりたいというふうに考えてございます。
以上でございます。
航空機産業に関連して、人材育成についてどう充実して、その伸びゆく姿をどう描いているのかという御質問でございます。
航空機産業は、長野県のこれから将来に向けての産業分野として極めて重要で有望な分野だというふうに考えております。そうした観点で、昨年、分野別にしっかり力を入れていくべきものと位置づけて長野県航空機産業振興ビジョンを策定したわけであります。アジアの航空機システムの拠点づくりのため、航空機システムに係る人材育成から研究開発、実証試験までの一貫体制の構築を目指すと、これは目標として掲げているところでありまして、この人材育成は大変重要なテーマだというふうに考えています。
御質問にもありましたように、ことしの4月には、信州大学がJAXA出身の専任教授を招聘する中で、共同研究講座を開設いただきました。大学院の教育課程は、来年度、定員を上回る6名の入学が予定されておりますし、また、企業技術者を対象とした社会人スキルアップコースも開設をされている状況でありまして、順調に事業を進められているというふうに受けとめております。
また、私どもとすれば、信州大学あるいは産業支援機関などと連携をしながら高度な人材の育成にも取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。そのために、技術、品質保証力の向上を図るための専門研修を開催いたしまして、民間航空機の国際規格を踏まえた航空機システムの開発ができる人材を育てていきたいというふうに思っております。
また、南信州地域、リニア時代を見据えた取り組みが重要になってきているわけであります。この航空機産業に関連した産学官の連携、あるいは人材育成を一層進めていくという観点で、JAXAあるいは関係大学、航空機産業が集積をしております首都圏、そして中京圏とのネットワークの構築についてもしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。こうしたことによりまして、アジアの航空機システムの拠点づくりを進めていきますし、その中でも人材育成ということについては、特に長野県として学びの県づくりということを位置づけてまいりますので、今後ともしっかりと力を入れて取り組んでいきたいと考えております。
以上です。
次に、収益性の高い農林業への転換について、現在行われている施策と今後の展開についてお聞きをいたします。
まず、農業については、やはり農業所得向上が目標となります。主な施策はどのようなものか。特に、スマート農業のような機械化、省力化が人口減少社会の中で担い手不足に対応する上で不可欠と考えますが、どんな施策があるのか、農政部長にお聞きをいたします。
林業については、産学官連携によるスマート精密林業技術の開発として、レーザー計測データを活用して、森林における立木の位置情報や材積情報等の高度化を図り、正確なデータに基づく森林整備や素材生産を進めているとのことです。実証実験は北信州森林組合を核とした北部でなされているということですが、どんな成果が上がっているのか。また、これらの技術が全県に波及するにはどんな課題があるのか。林務部長にお聞きをいたします。
県内における獣医師の役割と緊急事態対策についてお聞きをいたします。
一般業務として、県職員としての獣医師の業務の内容と必要な人員はどのようなことか。また、定員の充足については安定的に持続可能な体制かどうか。お聞きをいたします。
獣医師の国家資格を取るためには獣医学部のある大学を卒業する必要があり、かかる費用も多額だと思いますが、県の待遇は十分なものと考えているのかお聞きをいたします。
民間の動物病院を開業する、就職するという場合との待遇の差による離職、就職という異動の状況はどうか、健康福祉部長にお聞きをいたします。
次に、先般、鳥インフルエンザ発生時の対応訓練が開催されたということですが、獣医師は十分な体制かどうかお聞きをいたします。また、今後起こり得る口蹄疫やほかの流行性の病気への対応という事態が発生した場合、獣医師の体制はどんな形になるのか、農政部長にお聞きをいたします。
さらには、ペットに関しては相当数がふえているように感じていますが、万が一の災害、つまり地震などの大災害が発生した場合のペットの避難や保護という対策はあるのかお聞きをいたします。民間の開業獣医師との連携などの協議はどのようにされているのか、また、ペットを飼っている人々への緊急時の対応などの周知はあるのか、健康福祉部長にお聞きをいたします。
御質問に順次お答えをいたします。
初めに、収益性の高い農業への転換にかかわる施策についてですが、稲作経営では、農地の利用集積等による規模拡大や、タマネギ、キャベツなどの業務用野菜の導入等による複合化の推進などに取り組んでおります。また、園芸作物では、リンゴ新矮化栽培への改植、「リンゴ長果25」など新品種の導入、また、ブドウ「シャインマスカット」などの冷蔵施設導入による長期出荷体制、夏秋イチゴ等の施設栽培などを支援しておりまして、高単価、高収益が期待される品目、品種への戦略的な拡大を進めております。
特に、機械化、省力化への対応といたしましては、水田畦畔の自動草刈機やレタスの収穫機など革新的技術の開発に取り組むとともに、ICTを活用した圃場管理やトヨタのカイゼン手法の導入などによりまして、生産現場における省力化、低コスト化、高品質化に取り組んでいるところでございます。
今後、これら取り組みのさらなる拡充を図り、収益性の高い農業への転換、農業者の所得向上を支援してまいりたいと考えております。
次に、高病原性鳥インフルエンザ等の家畜伝染病発生時における獣医師の体制ですが、万一県内農場で高病原性鳥インフルエンザが発生した場合の防疫体制については、全庁的に農場ごとの動員計画を策定しておりまして、獣医師が担う殺処分や防疫措置の現場総括などの業務は、県内5カ所の家畜保健衛生所の獣医師で対応できるものとなっております。
一方で、高病原性鳥インフルエンザの複数箇所での発生ですとか、口蹄疫のような急速に感染が拡大する家畜伝染病が発生し、家畜保健衛生所の獣医師のみでは迅速な対応が困難となる場合には、平成25年6月に長野県獣医師会と結びました家畜伝染病等伝染性疾病に関する基本協定書に基づきまして、民間獣医師の派遣を要請するほか、農林水産省など国関係機関や他県へも派遣を要請し、必要な人員を確保することとしております。
今後とも、家畜伝染病発生防止のための指導を徹底するとともに、万一の発生に対しては迅速的確に対応できる体制の確立に万全を期してまいりたいと考えております。
以上でございます。
生産性の高い林業に向けてのお尋ねでございます。
信州大学や北信州森林組合、あるいは大手企業等によるスマート精密林業の開発は、昨年10月から平成31年9月までの期間において、国の支援のもとで全国モデルとして実施しており、県はレーザー測量データの提供や技術の普及等の立場で参画しております。
この実証実験による成果では、森林内の1本1本の木の樹種、高さ、太さが把握され、詳細なデータが取得できることとなってきております。また、こうした技術とともに、GISを利用した効率的な素材生産の計画作成システム、あるいは労務、機械配備の最適化システム、さらには高性能林業機械等にセンサーを取りつけ、どのような木材が何本生産されたかインターネットを通じリアルタイムで把握する技術の開発が同時並行で進められておりまして、それぞれ実現に向けた一定の成果が得られつつあるところでございます。このシステム等の開発により、市場のニーズに即時対応できる効率的な林業が実現でき、あわせて中間過程のコスト削減にもつながります。
技術の全県への波及に関する課題は、GIS等の開発技術を利用できる人材の育成と林業事業体におけるIT関連機器や高性能林業機械等の配備等と考えておりまして、今後、人材育成のための研修会の開催や、IT関連機器等の配備に向けた指導、支援等を信州大学と関係機関と連携して進め、生産性の高い林業を実現してまいります。
獣医師に関連して2点御質問いただきましたので、順次回答させていただきます。
県職員としての獣医師は、現在、健康福祉部に86名、農政部に67名、環境部に2名の計155名が勤務しております。業務の内容としては、健康福祉部では食品衛生、動物愛護、屠畜検査業務、農政部では家畜の伝染性疾病の予防や蔓延の防止、畜産振興等の業務、環境部では感染症の検査等の業務に当たっております。
定員の充足状況については、全国的に公務員獣医師の不足が指摘される中で、本県においては大きな欠員がなく推移しており、今後も必要な業務を実施するため、定期的に採用を行っていく予定です。
また、待遇につきましては、職員採用において競合すると考えられる関東甲信越地域の中でも低い水準にはないと認識をしております。待遇差による離職、就職については、詳しい状況は承知しておりませんが、過去3年間の新規採用者25人のうち8人が動物病院の勤務経験者となっております。
災害発生時に動物救護活動を行うため、動物愛護センターにおいて災害時に必要な物資等を備蓄するとともに、実際の救護活動にはボランティアの協力が不可欠なことから、災害時ボランティア登録要領を作成し、現在までに26名の方に登録していただいているところです。また、関係機関が連携して被災したペットの救護や飼育者の支援をするため、一般社団法人長野県獣医師会、長野県動物愛護会と災害時における愛護動物の救護活動に関する協定を締結するとともに、避難施設でのペットの受け入れ方法などを示した動物救護対策ガイドラインを策定し、市町村に対応をお願いしているところです。
ペットを飼育している者に対しては、保健所から所有者の明示、動物用避難袋の準備などを周知しているところであり、今後とも犬のしつけ方教室や動物愛護フェスティバル等の機会を有効に活用し周知をしてまいります。
以上でございます。
今回質問した産学官の連携のクラスター形成や林業や農業の技術開発等に関しては信州大学が大きく寄与しています。教授を初めとする研究者や巣立つ人材が将来の長野県、日本、そして世界をリードする人材となりますことを期待をいたします。
さらには、来年4月に開学する長野県立大学、公立大学としてスタートする諏訪東京理科大学、4月から公立化された長野大学などが地域と連携したり、また地域に貢献できる大学、さらにはそんなすばらしい人材が育つ大学となることを期待し、長野県との連携がより充実したものとなることを期待し、質問を終わります。