平成28年9月定例県議会 発言内容(今井愛郎議員)
◆今井愛郎
信州・新風・みらいの今井愛郎です。通告に従いまして、順次質問をさせていただきたいと思います。
人事案件が知事の専権事項であることは十分承知をしております。そしてまた、先ほど今井正子議員から質問がありましたが、もう少し細かく今回の教育委員会委員の任命について御質問させていただきたいと思います。
以下、阿部知事にお尋ねいたします。
教育委員会委員の関係者が、昨年10月の荻原委員、3月の原山教育長、今回の塚田氏と、3回連続で長野市からの提案となりました。また、東京在住ながら松本出身の耳塚氏を松本市とカウントするならば、教育委員会委員6名中5名が、長野市、松本市の委員となります。かなり都市部に偏在することになると思います。地域振興局の設置では広い県土を有することを考慮した一方で、教育委員会委員の地域や都市間のバランスについてはどのように考えて今回の提案に至ったのでしょうか。
また、この10年を見ますと、元清内路村村長櫻井氏の前任は元茅野市長の矢崎氏、その前任は元中野市長の綿貫氏と、市町村の理事者経験者が委員に任命されてきました。委員の職務経験のバランスについて、いかがお考えでしょうか。
三つ目に、阿部知事は日ごろから女性の活躍を訴えられ、積極的に登用されてきたと思います。残念ながら、生田委員、櫻井委員の後任はいずれも男性となり、櫻井氏任命時に3名を数えた女性委員が、今回の提案では1名となってしまいました。明らかに女性活用に逆行していると思いますが、御所見をお尋ねいたします。
続いて、国の省庁移転問題についてお尋ねいたします。
東京一極集中、防災対策、地方創生などが相まって、国は省庁移転を促し、大風呂敷を広げたわけですが、結果的に全面移転は文化庁の1件にとどまったことは、3月22日に知事がコメントされたように、大変残念な結果だったと思います。
一方で、知事は、引き続き国家戦略として政府関係機関の地方移転を含む地方創生を積極的に推進してほしい旨のコメントを発せられております。これからの地方移転をかけ声倒れにしないためには、国がもっと本気で取り組むことはもちろんでありますが、地方も声を上げ続ける必要があると思います。阿部知事の御所見をお尋ねいたします。
続いて、特別支援学校における通学時間について、原山教育長にお尋ねいたします。
この問題は、昨年9月29日、同僚の寺沢議員が質問に立たれておりますが、過日行った決算特別委員会での現地調査でもまだまだ1時間を超えての通学をしている児童がいらっしゃるという現状を伺ってまいりました。
寺沢議員への答弁では、デマンド交通を含めて市町村との連携の可能性を研究してまいりたい旨の答弁がありましたが、その研究結果についてお尋ねするとともに、特別支援学校34台のスクールバスのうち、運行時間が60分以内の台数と割合をお聞かせください。また、特別支援学校の通学時間に対する教育長の御所見をお尋ねいたします。
◎知事(阿部守一)
教育委員会委員の任命についての御質問でございます。
今井議員からは、地域バランス、あるいは職業、性別という観点で御質問いただきましたけれども、何よりも、やはり教育委員、これからの長野県の教育にこれまでの知見を十分生かしていただける方というふうに考えております。そういう観点で、まずは私どもしっかり選任をしていかなければいけないというふうに思っております。
また、先ほど申し上げたように、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の規定で、年齢、性別、職業等に著しい偏りが生じないように配慮するということとされておりますので、こうしたことについても勘案をしながら、バランスのとれた委員構成となるように努めてきているところでございます。
今回、産業界出身の塚田さん、同意をお願いをしているわけでありますけれども、今、長野県では、産業界と教育界がしっかり連携していくということが、郷学郷就県づくりの中でも大変重要だというふうに考えております。そういう観点で今回選任をさせていただいております。
なお、女性の登用についても御質問がありました。これは、審議会、県職員初めさまざまな分野で女性の登用を図っていくということは大変重要だと私も思っております。ただ、それぞれの一部だけではなくて、全体で進めていくということが重要だと思いますので、これからも引き続きさまざまな分野において女性が活躍していただけるように配慮をしながら人事等は行っていきたいというふうに考えております。
それからもう1点、地方創生の関係でございますが、国の省庁移転についてでございます。
今回の政府関係機関の地方移転、もともと地方が言い出したのではなくて、国がみずから取り組もうということで発案してきたわけでありますが、ことしの3月の基本方針においても、また現時点においても、全体的に踏み込んだ内容にはなっていないということで、大変残念な状況であります。
この政府機関自体が、そもそも政府機関はどうあるべきかという観点で、地方創生の本丸ではないのかなというふうには思いますが、国が言ったからにはもっとしっかりやってもらいたいというふうに思いますし、この政府機関以外について、例えば地方分権の推進であったり、あるいは私どもがほかの都道府県と一緒に最近求めているのが、地方大学に対する支援、それから東京の大学の定員抑制、こうした地方では取り組みづらい、そして地方創生につながるような取り組みについては、国が本腰を入れてしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思いますし、こうした観点については、引き続き強く国に対して働きかけをしていきたいというふうに思っております。
以上です。
◎教育長(原山隆一)
特別支援学校における通学時間についてのお尋ねでございます。
まず、市町村との連携の可能性の研究結果ということでございますが、付き添いや介助が必要で、自力による通学が難しい児童生徒については、これはスクールバスによる通学にならざるを得ないというところでございますけれども、自力による通学が可能な児童生徒につきましては、昨年9月議会での寺沢議員の御提案を踏まえまして、各学校で関係する市町村と通学利便性の向上に関して相談しながら対応してきております。
その結果、例えば諏訪養護学校におきましては、原村の運営するコミュニティーバスを通学時間帯に学校最寄りのバス停でも降車できるようにしていただいたことで、大変利便性が向上した事例もございます。
今年度、自力により通学している児童生徒は417名おりますけれども、そのうち、コミュニティーバスの利用者が74人、デマンド交通の利用者が2人となっております。引き続き市町村との連携を進めまして、児童生徒の通学利便性の向上を図ってまいりたいというふうに考えております。
それから、次に、児童生徒のスクールバスへの乗車時間のお尋ねでございますが、現在、特別支援学校につきましては、全18校中12校において34台のスクールバスを運行しております。
お尋ねの児童生徒によるスクールバスの乗車時間が全員60分以内におさまっている台数というお尋ねですが、これは34台中16台で47.1%ということですが、実態をより正確にお伝えするためには、児童生徒数でもお答えをしたいと思っております。
今年度スクールバスを利用して通学している児童生徒数は804人おりますが、乗車時間が60分以内の児童生徒数はそのうち699人ということで、割合にして87%であります。少し拡大して70分以内というふうに見ますと、770名の96%という状況です。
乗車時間が70分を超えている児童生徒は残り34人ということになりますけれども、その理由を見ますと、一つは、遠隔地からの通学となるために乗車時間が長くならざるを得ないケース、これが11名おります。近距離ですが、保護者の通勤時間の都合で早い時間に乗車して結果的に乗車時間が長くなるケース、これが17名。そして、三つ目として、停留所の確保の都合上、やむを得ず時間が長くなるケースが6名となっております。
通学時間に対する所見ということでございますけれども、通学圏が広範囲に及ぶ特別支援学校ですが、距離的に困難な場合などやむを得ない場合を除きまして、通学時間は可能な限り短くすべきだというふうに考えております。
そのために、先ほど申しましたように、自力による通学が可能な児童生徒につきましては、市町村と連携しながら、さらに通学利便性の向上に努めてまいりたいと思っていますし、また、スクールバスについては、常に運行経路を見直して短縮に努めることが必要ですけれども、停留所の確保が一つの課題となっています。といいますのは、特別支援学校の場合は、バスと保護者の車、双方が駐車できて、しかも、乗降の安全が確保できるという広いスペースが必要となっています。乗車時間の短縮につながるような停留所の確保につきましても、市町村の協力も得ながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
◆今井愛郎
教育委員会の委員の任命については、次は多分辰野の方が対象になるかと思いますが、ぜひ女性、あるいは地域バランスを考えて提案をしていただけたらなと思います。
そういった中で、地方移転につきましても、引き続きぜひ取り組んでいっていただきたい。一つは、やっぱり一極集中を解消することが大切だと思いますので、ぜひこれも引き続き知事会を通してでもお願いしておきたいと思います。
特別支援学校について、一つ再質問させていただきます。
先ほど1時間ということがありました。国の学校規模適正化・適正配置に関する資料がありまして、これは統廃合の基準なんですけれども、この統廃合の基準は、やはりバスを含めて通学は1時間以内を目安にするようにということが出されております。障害者、特にこの方々は、やはり長く乗れば乗るほど負担がかかる可能性がある中で、やはり1時間を超えての負担は、保護者理由という保護者の視点ではなく、生徒の視点、児童の視点で見るべきだと考えますが、再度その点については教育長に御答弁をいただきたいと思います。
続いて、大北森林組合等の補助金不正受給に関する質問をしてまいりたいと思います。
一つ目といたしまして、補正予算の新規事業として、森林組合連合会を通じた森林組合の経営改善支援策98万1,000円があります。会派の説明では、佐久、和合、大北の3森林組合に行うとのことでしたが、なぜ大北森林組合が含まれているのでしょうか。3団体で割ればわずか30万円ほどのものでありますが、大北森林組合は長野県から抜本的な経営改善を求められ、一度提出された返還計画書を見直すよう差し戻しをされている団体と思います。また知事も、過去の答弁で、まずは組合の自助努力による経営改善を強く求めております。大北森林組合の経営改善支援の補助金を計上してくる真意が理解できません。予算要望の真意をお尋ねしておきたいと思います。
二つ目といたしまして、国が9月9日付で発出した返還請求に関連して、6月定例会の説明では、国に1件1件説明、打ち合わせをする中で、補助金等の返還総額が見込まれ、加算金を少しでも減らし県民負担を最小限に抑えるために前倒しで予算計上した旨の説明がありました。
しかし、最終的な国の返還請求には、県が一部請求しているものを含め、大北森林組合で10件、佐久森林組合で16件、松本広域森林組合で6件、合計32件が返還対象に追加されました。6月の国と1件1件突き合わせをしてきたという説明にしては、余りにも件数が多くないでしょうか。
特に、佐久森林組合と松本広域森林組合の返還については、検証委員会では不適正としていたものの、林務部としては不適正と言いがたいということもあり、林務部が本当にここの問題に危機感を持って取り組んできたとは思えません。国との交渉過程、林務部の取り組みについてお尋ねしておきます。
三つ目に、午前中の今井正子議員の質問にもありましたが、補助金適正化法17条1項に基づく返還は6億9,500万円余とのことでした。加算金が課された期間をお示しいただきたいと思います。また、国の経理処理の都合で納付できなかった57万8,505円がありますが、なぜ今回納付できなかったのでしょうか。
四つ目、監査委員が提出した平成27年度歳入歳出決算審査意見書の概要版では、大北森林組合の組合債権の早期回収とともに、他の補助事業者の収入未済や返還請求が完了していないものについての指摘があります。今回、国への返還が終わったことで、県が返還請求を求める補助金も確定したと思います。大北森林組合以外の補助金の返還状況や加算金の扱いはどうなっていますか。事業者ごとの返還状況、金額、加算金の有無とともに、まだ返還請求をしていないもの、あるいは、返還請求をしたにもかかわらず音沙汰がないものなどがあるようでしたらお示しいただきたいと思います。
五つ目、大北森林組合の入札参加停止期間は9月16日までだったと聞いております。現在はどうなっていますか。
以上、林務部長の答弁を求めます。
◎教育長(原山隆一)
特別支援学校のスクールバスの乗車時間についての再質問でございます。
特別支援学校に通う児童生徒は、小中学生と比較しますと、通学圏が広範囲に及び、さらにスクールバスの乗降に要する時間も長くなってしまうという事情があります。
各学校におきまして、児童生徒による乗車時間をできるだけ短くするべく努力した結果、先ほど申し上げましたとおり、スクールバスで通学している児童生徒のうち、95.8%、96%が70分以内の乗車時間におさまっているというふうには理解していますが、議員御指摘のとおり、支援が必要な児童生徒でございますので、保護者の理解も得ながらスクールバスの乗車時間の短縮については引き続き努力してまいりたいというふうに考えております。
◎林務部長(池田秀幸)
まず最初に、森林組合経営改善支援事業についてのお尋ねでございます。
本県の森林資源は、成熟し、利用可能期を迎えている一方で、林業の中核的担い手であります森林組合は、効率的な森林管理に向けたICT技術の活用など多くの課題を抱えております。また、このたびの補助金不適正受給問題を通じましても、県内の森林組合の経営課題が浮き彫りになったところでもございます。
森林組合の上部団体であります県森林組合連合会では、森林組合の経営改善に向けまして、経営等の専門家を派遣し指導する取り組みを早急に進めていきたい意向でございます。県といたしましても、県森林組合連合会と連携をいたしまして、森林組合の経営改善を進めるために、今回補正予算案として提出をさせていただいたところでございます。
この事業では、課題改善に時間を要する県内の森林組合から順次改善指導を実施いたしまして、全ての森林組合の経営基盤の強化を図る計画となっております。
大北森林組合につきましては、自助努力による経営改善は当然でございますが、早期に自立的な経営を行うためには、より専門的な知見のもとで新たな事業展開等を戦略的に取り組む必要があるため、速やかな対策が必要であると考えております。
今後、県森林組合連合会が、森林組合の意向を踏まえて、早期に着手する森林組合を決定するものと考えておりまして、県森林組合連合会とともに森林組合の経営改善を進めてまいりたいと考えております。
次に、新たに補助金返還請求を行ったことについてのお尋ねでございます。
佐久、松本広域、大北森林組合ともに、不適正な受給につきましては、昨年の県の調査や検証委員会の検証を踏まえまして既に事案を公表いたしまして、その後、補助金返還額の確定等に向けて国との精査を行ってきたところでございます。
佐久森林組合の16件及び松本広域森林組合の6件に対する補助金返還請求につきましても、補助金の申請時点では間伐に着手していたものの、未完了部分があり、不適正に補助金を受領していたものでございます。このため、補助金の申請時点に間伐が完了していない部分の客観的な出来形について、国とのたび重なる精査の結果、補助金返還額が確定したことを受けまして、県として補助金の返還請求を行わせていただいたところでございます。
大北森林組合の追加の返還請求につきましては、作業道整備3件で、県が一部未施行と判断し返還請求をしたものについて、国との精査の結果、交付申請時の完了部分が客観的に確認できず、全額補助金返還を求めることとなりました。加えて、作業道整備7件につきましても、いずれも作業道整備そのものは適正に実施されていたため返還請求は行わなかったところ、国との精査の結果、補助要件上、作業道整備が適正であっても、一体として実施する森林整備が不適正である場合には、作業道整備も補助金返還の対象となり、全額補助金返還を求めることとなりました。
県では、2,000件を超える補助金申請案件につきまして、現地調査を重ねて調査を行い、さらに国と1件1件不適正の内容等を突き合わせて整理した結果として、補助金返還請求が必要となったものであり、国への補助金返還にあわせて事業主体への補助金返還請求を行ったものでございます。
加算金を課された金額とのお尋ねでございますが、まず基礎となった金額と返還金額に占める割合でございますが、平成28年9月9日に国から発出された補助金返還命令において、加算金の納付が必要となる補助金適正化法第17条第1項に基づき交付決定が取り消された金額は、約6億9,500万円でございまして、基金の積み立てを行ったものを含めまして、9月12日に国庫へ返還等を行った事業費約7億8,300万円に対する割合は、89%となっております。
加算金が課された期間でございますが、加算金は、補助金適正化法第19条第1項の規定におきまして、補助金受領の日から納付の日までの日数に応じ、年10.95%の割合で計算するということとなっております。
今回の国からの返還命令では、県が平成21年度から平成25年度に実施いたしました事業の一部で加算金が課せられることとなり、それぞれの事業について、国から補助金を受領した日から返還を行った本年9月12日までの日数に応じた加算金を納付をいたしました。
入札参加停止期間についてのお尋ねをいただきました。
大北森林組合につきましては、元専務が逮捕起訴され、契約相手として不適当であると認められたこと及び事案の重大性を考慮いたしまして、入札参加停止措置要領の規定に基づきまして、平成28年3月17日から9月16日までの6カ月間の参加停止措置を行ったところでございます。
したがいまして、6カ月が経過いたしましたので、規定により参加停止措置は解除されている状況となっております。
以上でございます。
◆今井愛郎
事業者ごとの返還状況、金額、加算金の有無についての御答弁をいただいていないので、もう一度御答弁を願いします。
◎林務部長(池田秀幸)
1件答弁漏れがございました。申しわけございません。
大北森林組合以外の補助金の返還状況等のお尋ねでございます。
これまで県では、一連の不適正受給に関連いたしまして、大北森林組合以外について6者、約5,000万円の補助金返還請求を行っておりまして、県が組合等に直接補助していたものについては、法的に可能なものの全てを返還請求し、加算金についても課す旨通知をいたしております。今後は、準備が整い次第、市町村を通じた間接補助について市町村と連携し請求を行う予定となっております。
事業者からの返還の状況でございますが、佐久森林組合、松本広域森林組合など5者につきましては、これまでに請求額全額の納付がなされております。残ります1社、ひふみ林業有限会社からは、全額返還するとの意向は示されましたが、これまでのところ返還は行われておらず、北安曇地方事務所を通じて督促を行うとともに、返還計画の作成や資産状況の提示等を厳しく指導をしているところでございます。
以上でございます。(発言する者あり)
◎林務部長(池田秀幸)
加算金につきましては、現在通知をしておりますし、あとは協議をしているところでございます。
◆今井愛郎
御答弁を踏まえまして、以下5項目、林務部長に再質問させていただきます。
一つ目、昨日の藤岡議員への答弁で、知事は補助金不正受給先を泥棒に例えていらっしゃいました。その泥棒の主犯格は、いまだ損害賠償に当たる補助金や罰金に当たる加算金を完済しているどころか、弁済計画すら出しておりません。そんな団体への補助金、県民理解が本当に得られると思っているのでしょうか。再度お尋ねします。
二つ目、国は加算金の計算期間に県が国と調整を行っていた期間も含めていることから、加算金の一部には国の受け入れ先が未定であるということを鑑みれば、国は今回の事案は県の指導ミス程度とは思っていないことは明らかです。国との見解の相違についての御所見をお尋ねいたします。
三つ目、既に返還された県単補助金には加算金を賦課していくということだと思いますが、昨年7月、検証委員会が不適正としたにもかかわらず、県の返還請求が出されなかったために、加算金が増加した部分があります。検証委員会報告後の加算金については、補助金交付規則第17条7項を適用して、加算金の一部を免除してもよいではないかと考えますが、いかがお考えでしょうか。
四つ目、今回の不正受給の中には、既に交付先の任意団体が解散しており、返還請求すらできないものがあります。再発防止のためにも、人格のない団体等への補助金交付について、補助金の時効期間が終了するまでは解散を禁止するなど、補助要綱の見直しが必要と考えますが、御所見をお尋ねいたします。
五つ目、大北森林組合の入札停止期間は終わったとのことですが、補助金で補助金を返すようなことがあっては本末転倒だと思います。せめて県が受理できる返還計画書が提出されるまでは入札に参加しないよう指導すべきと考えますが、御所見をお尋ねいたします。
◎林務部長(池田秀幸)
再質問でございますが、今ちょっとこちらのほうで再質問の確認ができなかったものですから、申しわけございませんが、もう一回いただければと思いますけれども。再質問の中身がですね、ちょっと確認できなかったものですから。
申しわけありません。よろしくお願いします。(発言する者あり)
○副議長(下沢順一郎 君)
池田林務部長に申し上げます。ただいまの質問に答弁できませんでしょうか。
◎林務部長(池田秀幸)
まず1点目、弁済計画すら出していない団体への補正予算の森林組合経営改善支援事業についてでございますけれども、先ほど答弁でも申し上げましたとおり、県内各地域の林業の中核的担い手である森林組合の経営改善を行うために、県森林組合連合会に対しまして補助金を交付して実施してまいるものでございます。
特に、大北森林組合につきましては、新しい専務理事のもと、さまざまなアイデアを取り入れまして、少しでも経営改善に資するよう自助努力を進めておりますが、より専門家レベルでのアドバイスを加えることで早期再生に寄与できるものというふうに考えております。
加算金に関する国との見解の違いでございますが、加算金の計算期間につきましては、先ほど答弁いたしましたとおり、補助金適正化法第19条第1項の規定により、返還金の納期までの期日となっております。これらにつきましても、法定上のルールに基づくものや、今回の事案が特別なものではなくて、この点につきまして国とも見解の相違はないものと考えております。
検証委員会報告後の加算金を免除すべきではないかということでございますが、今回返還請求を行った案件につきましては、補助金申請時点で一部未完了であったものなどであり、申請時点の客観的な出来形を証明する資料等を国へ提出いたしまして、1件ずつ丁寧な説明を行ってまいりました。この結果、一部については申請時点での完了部分が確認をされ、一部返還することが認められるなど、実態に合った適切な返還請求金額の確定のために必要な期間であったというふうに考えております。
人格のない団体等の解散についてでございますけれども、補助金を交付した団体が解散した後に、万が一補助金返還等が発生した場合、補助金返還債権の回収に問題が生じることは事実でございますので、国への通知等で団体等の解散について規制することは、法的な面から難しいのではないかというふうに考えております。
以上でございます。
○副議長(下沢順一郎)
今井議員に申し上げます。ただいまの答弁でよろしいでしょうか。
◆今井愛郎
今の御答弁、最後の、大北森林組合の入札停止期間は終わったもののというところについて、返還計画が提出されるまでは入札に参加しないよう指導すべきと考えますがという質問について、再度御答弁いただきたいと思います。
そしてまた、知事に最後この辺に関連してお伺いしたいと思いますけれども、今の林務部長の答弁を聞いても、まだまだ林務部の体制は、とても県民目線でやっているとは思えません。補助金をもう一回出すことについても明確な答弁をいただけない。
この中で、3月にも指摘しましたが、大北森林組合に県が加算金を賦課することのできる補助金の元本は3億円以上あります。加算金は少なく見積もっても既に1億2,000万円以上になり、本年度末にはさらに3,000万円ふえます。
3月の答弁で阿部知事は、まだ加算金の賦課を考える段階ではないと答弁される一方で、6月の答弁では、法令に基づいて対応していくことが基本だと答弁されております。
今回、国への返還手続が終わり、大北森林組合以外の業者の中には、補助金の返還、加算金の返還に応じているところもあり、県補助金への加算金をどうするのか判断すべき時期に来ていると考えますが、阿部知事の御所見をお尋ねいたします。
◎林務部長(池田秀幸)
入札参加についてのお尋ねでございます。
大北森林組合に対しましては、入札参加停止措置要領の規定に基づきまして、6カ月の入札参加停止を行いまして、措置期間が終了しております。
現在、先ほど申し上げましたように、入札に参加可能な状況ではございますが、入札への参加行為は事業者の判断になるというふうに現在考えているところでございます。
◎知事(阿部守一)
県の補助金に係る加算金の取り扱いについてということでございます。
返還請求する補助金についての加算金につきましては、これは補助金等交付規則に基づいて課すものであります。事業者は原則として納付しなければならないものというふうになっております。一方、やむを得ない事情があると認めるときは、補助事業者の申請によりこれを免除することもできるということの規定になっています。補助事業者の申請によりでございます。
大北森林組合については、補助金の早期返還、そして組合の再生に向け、現在抜本的な経営改善、補助金返還計画の見直しを行っている状況であります。県としては、法令に基づいて適切に対応していく考えであります。
林務部長の先ほどの答弁に関連して、林務部の姿勢がまだまだ十分じゃないんじゃないかという御指摘をいただきました。私も含めて、この問題は非常に重要な問題だというふうに思っておりますし、林務部も一生懸命取り組んでおりますが、議場での答弁はやはり正確な答弁をしなければいけないということで、先ほどちょっと手間取ったわけであります。ぜひ我々も正確な答弁を心がけていきたいというふうに思いますので、どうか御理解いただければというふうに思います。
以上です。
◆今井愛郎
加算金の判断について、知事はまだ法令に基づくと言いつつも、判断するかどうかわからないような答弁だと思います。
加算金の判断がなければ、1月に組合が提出するとしている返済計画、弁済計画の信憑性が損なわれるのではないでしょうか。また、今回加算金をかけないとするようなことがあれば、他の補助事業者に加算金を全てかけることになっており、大北だけ別扱いすることが許されるのでしょうか。
さらに、先ほどの総務部長の答弁は、県民目線という言葉が欠けていたような気がします。知事の目線から見て、今回の経営支援補助を出すことについてどのようにお考えか、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
◎知事(阿部守一)
お答えします。
加算金の取り扱いも含めて、私ども県としては、恣意的な取り扱いではなくて、法令、規則、こうしたことにのっとって対応していくということが極めて重要だというふうに思っております。
そういう観点で、先ほども申し上げましたが、加算金は原則として賦するという形になっているわけであります。そういう意味で、私どもとしては、この返還請求を行った際には、補助事業者へも加算金を課しますよということで通知をさせていただいているわけであります。
やむを得ない事情があるときは免除はあり得るとしていますが、これは補助事業者等の申請に基づく、我々が恣意的に考えるものではないという状況でございますので、ぜひそうした法令に基づく手続を一つ一つ着実に行っているということは御理解いただきたいというふうに思います。
それから、先ほどの補助金の支給、県民目線ということでありますが、私は県民目線、非常に重要だと思います。ただ、情緒的な部分ではなくて、やはり先ほど来申し上げているように、法令に基づいて対処をする。確かに悪いことを行った者に対して、感情的におもしろくないという部分は、これは人間誰にもあるというふうに思います。しかしながら、我々行政を執行している人間でありますから、法律や規則、こうしたものをしっかり踏まえて適切に対応していくと、そういう中で県民の皆様方の御理解が得られるように努力をしていくということが重要だというふうに思っています。
以上です。
◆今井愛郎
知事は法令に基づいてということだとするならば、やはりそれはかけるということだと私は思います。そして、先ほど1月にやはり計画書が出るというときに、これを指導しなければ、先ほど言ったとおり、組合はもともとそんなに大きなお金があるところではない、そこに1億5,000万、2億の加算金がもしかかるということになれば、それを加味しない弁済計画書は何の意味もなさないのではないでしょうか。そのことを踏まえて組合に指示していく必要があると思いますが、いかがお考えか、もう一度お考えをいただきたいと思います。
そしてまた、補助金交付規則の第18条では、納付されていない補助金、延滞金、加算金がある場合には、同種の交付すべき補助金等の交付停止をすることができるという規定があります。知事は法令厳守と言いますが、もし法令厳守とするならば、大北森林組合が今後補助事業を行った場合、これを執行停止するお考えでいくということでよろしいのでしょうか。
また、法令の中には損害賠償請求等の規定もあります。まだまだ県は損害賠償請求を行っていないと聞きます。法令遵守と言うならば、損害賠償請求も行っていくべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。
◎知事(阿部守一)
さまざまな取り扱い、加算金も含めて、私どもしっかりと法令を守りながら、規則を守りながら進めていくということが重要だと思っております。
もちろん、もとより、我々が進めているコンプライアンスは、単なる法令遵守ではないというふうに申し上げているわけでありまして、もちろん今の時代状況に合っていないようなルールは変えていくということが必要でありますが、少なくとも今回のケースを考えるに当たっては、やはり現行のルールをベースにして対応していかなければ、それは御都合主義のルールをつくってしまうという話になりますので、そういう意味で、法令遵守、法令、規則にのっとって取り組んでいきたいと思います。
そういう中で、補助金交付規則18条で、交付すべき補助金の一部を県で差し押さえるという意味で交付しないこととして相殺するべきではないかという御質問でございます。
確かに補助金交付規則18条の規定は、同種の事務事業について交付すべき補助金の交付を一時停止することがあることを定めていますが、これは交付すべき補助金を交付せずに納められていない補助金返還金と相殺するということは認められていません。これは我々もかつて検討したことがありますが、そういう意味で、議員御指摘のような対応をするということはできないというふうに考えています。
また、損害賠償請求については、林務部長等からも答弁させていただいているように、法的な可能な損害賠償請求は今後行っていく考えでございます。
以上です。
◆今井愛郎
知事は、法令厳守という1点が一番私は強いと思うので、私はそれはそれでいいと思うんですが、それであれば、やはりちゃんとした森林組合法もございます。そういった中での法令が厳守されているのか、もっと確認すべきではないでしょうか。
役員の責任、こういったものに対して応えることこそが県民目線であり、それをやってからこそ初めて次の手段、手だてが得られる、あるいは補助金によって救済する、こういったことがあるのではないでしょうか。まだまだ返済がないところに対して、補助金を使って事業計画をつくってください、こんなことで県民理解が本当に得られるのでしょうか。
私はやはりそうではなく、まずは知事が言われているように、組合自身がまず自分の自助努力をどう見せるか、これをしっかりやっていただいた上での次の問題だと私は思っております。今回の予算、私はやはり考えるべきところがあるのではないか、そんなことを申し上げて質問を終わらせていただきます。