平成28年6月定例県議会 発言内容(竹内久幸議員)
◆竹内久幸
まず、中期総合計画と基本計画の議決等に関する条例について知事に伺います。
本県には、平成17年6月定例議会で可決された長野県基本計画の議決等に関する条例があります。この条例は、議会側が提案し、制定されたものですが、この条例制定の背景は、当時の知事の姿勢が思いつき県政と比喩されたように、計画性に欠け、各事業の予算編成過程が不透明であったため、県政や議会運営に多大な影響を及ぼしていたこと、また、当時、本県の基本構想として策定され、村井知事となり廃止された「信州からはじまるルネッサンス革命―未来への提言」は、当時は議会の議決事項ではなく、その内容は、その策定過程も不透明で、しかも本県の進むべき方向が極めて抽象的な内容であったこと等から、県議会として透明性の高い県行政の計画的かつ効率的な推進を求め制定したものであります。
私は、当時、この条例制定の提唱者の一員であり、深くかかわるとともに、条例提案者として責任を持つ立場でしたが、一つ、どうしても気になっていたことがあり、いまだにその気持ちを払拭することができません。それは、この条例はあくまで議員提案の条例である以上、知事が基本計画を策定、変更または廃止する場合は、議会の議決要件としており、あくまで知事が基本計画を提案する等の意思を表明しなければ、この条例は機能を発揮しないということであります。事実、当時の知事は、だったら計画を策定しなければいいんでしょうと語ったとされ、中期計画は策定されることはありませんでした。
当時、そんな知事の姿勢をなぜ許さざるを得なかったのか。それは、地方自治法の解釈では、議会側が中期計画を策定しなければならないという規定を定めれば、知事の執行権に抵触すると判断せざるを得なかったからであります。その後、村井県政、阿部県政となり、中期計画を策定する方針が示され、この条例の趣旨を踏まえ、執行部と議会が車の両輪で計画を策定する趣旨から、県議会に中期計画研究会が設置され、今日に至っています。
あれから知事が3人かわり、議員構成も大幅に変わっている今日、この条例制定で定めた透明で計画的な県政運営は当たり前のようになっているかと感じています。そして、この条例がこれまで果たしてきた意義は、各分野における基本的な方向を定める計画、指針等の報告を議会に報告することを義務化したことなど、役割を果たしてきていると思います。
しかし、この条例の規定の本質は、あくまで時の知事が中期計画を策定する場合の規定を定めたものであり、今後の県政が、誰が知事となっても、県民にとって透明で安心と信頼できる県政運営を継続するために条例を改正する方策が必要であると思っています。幸い、この間、阿部知事は、中期総合計画策定に当たっては、この条例に配慮し、県議会との両輪で計画を策定してきました。
そこで伺いますが、今後も、将来にわたって県民に信頼、安心される透明で計画的県政運営を不動のものとするため、既存の基本計画の議決等に関する条例について見直しする場を、議会と執行部が共同のテーブルを設置し、執行部側の合意を得た上で、「計画を策定しなければならない」規定を加える等の条例改正をすべきと思いますが、知事の御意見を伺います。
次に、県立高校施設の格差是正について教育長に伺います。
県立長野工業高等学校は、大正7年に長野市岡田町に開校し、昭和41年3月に県庁の建てかえ絡みで八十二銀行やバスターミナル会館用地として売却したため、現在の安茂里の現校舎に移転をいたしました。しかし、その後の時代の変化に対応し、新たな学科の新設などにより用地が狭隘となり、平成8年のシステム科新設時にはテニスコートがなくなってしまいました。長野工業高校にはテニス部がありますが、これまでも練習は約7キロ以上離れている東和田の長野運動公園まで自転車で通い続けてきました。県内にある県立高校でこのように生徒に苦難を強いている学校は一体何校あるのでしょうか。私は、県立高校のこうした施設で極端な格差があることは不公平であり、あってはならないことだと思います。
そこで、教育長に、こうした現実をどのように受けとめておられるか、また、同様の環境にある高校は何校あるのか伺います。
次に、長野市北部の東外環状線の整備促進について、建設部長に伺います。
この道路は、長野オリンピック関連道路として、国の直轄事業として整備された南外環状線や五輪大橋から北の国道18号アップルラインと結び、現在長野市が整備している都市計画道路北部幹線から西環状線を整備し、将来的には中心市街地を囲む長野環状道路構想の一部として位置づけられる長野市にとって大変重要な幹線道路であります。
この東外環状線は、平成12年度に国道18号バイパスとして国の直轄事業として着手することが決まり、平成18年度から用地買収に着手してから10年が経過し、用地買収率は96%となっており、4年ほど前からは一部で工事が始まっています。しかし、一時期10億円を超えていた予算は、このところ7億、4億、2億9,000万円と、県内の他の直轄事業と比較すると極端に減額されており、地権者や周辺住民からはいつになったら開通するのかと不満の声が多く聞かれる現状になっています。
この事態に、長野国道事務所は、今年度に入り、地元の対策委員会等で、地役権の問題も整い、早期開通のため新たな提案をしたいとして、当初説明していた暫定片側1車線の計画では、幹線道路の交差点が立体であり多額の予算を要し、開通までにさらに何年を要するかわからないので、早期開通を検討した結果、柳原北交差点を立体でなく平面交差とし、当初説明した暫定ではなく、当面暫々定道路として既に用地買収がおおむね完了している朝陽地区から柳原交差点間を整備することを認めていただければ、おおむね5年でこの区間が供用開始となるよう努力したい。お認めいただければ、設計変更を行い、来年度予算以降、早期整備のため予算を最大限確保するための努力をしたいといたしました。
私は、幹線道路整備には多額の予算を要しますが、税金を使って整備する以上、投資効果を有効にするため、用地買収の整った交通安全対策が担保できる箇所から供用を開始するのは当然であり、今回の提案には賛成するものであります。
そこで、県の取り組みとして、事業化から既に16年が経過しても開通の見通しが明らかになっていないこの道路について、長野国道事務所が当初計画を変更し、おおむね5年でこの区間が供用開始となるよう努力したいとしたことを重く受けとめ、そのための来年度以降の予算が確実に確保されるよう、長野国道事務所と連携を図りながら国に強く求めてほしいと思いますが、その決意について建設部長に伺います。
◎知事(阿部守一)
基本計画の議決等に関する条例についての御質問でございます。
中長期的な県づくりの方向性を明らかにして計画的に行政を運営していくということは、これは地方自治を推進する、あるいは地方自治をお預かりする立場として重要なことだというふうに認識をしております。
これまでも、この基本計画の議決等に関する条例の趣旨を十分尊重しながら、県議会の皆様方の御意見も伺いながら県政運営を行ってきたところでございます。私としては、こうした姿勢を今後とも変える考えはございません。
基本計画の議決等に関する条例については、議会の発議によって御制定いただいたものであるということも念頭に置きながら考えていきたいと思っております。
以上でございます。
◎教育長(原山隆一)
テニスコートが整備されていない高校についてとその受けとめでございます。
敷地内または借用地に専用のテニスコートが整備されていない高校は、長野工業高校を含め2校でございます。高等学校の施設は、文部科学省の定める高等学校設置基準に従って整備されているわけですが、部活動に係る施設については特に定めがなく、全ての県立高校で必要となる全ての施設が整備できているわけではないのが現状でございます。こうした中で部活動が運営できておりますのは、学校の努力や生徒、保護者などの関係者の協力によるものと認識しております。
近年、高校の施設整備は耐震対策を優先に実施してきたところでございますけれども、今後も厳しい財政状況が続く中でも、緊急性や必要性などを考慮しながら、学校要望を踏まえ、教育環境の改善に取り組んでまいりたいと考えております。
◎建設部長(奥村康博)
東外環状線の整備促進についてのお尋ねでございます。
長野環状道路の東外環状線は、長野市街地の通過交通を排除し、渋滞の緩和や交通安全の確保などを目的に計画された延長約9.4キロメートルの道路でございます。この東外環状線は、県で整備いたしました県道三才大豆島中御所線と国が整備する国道18号長野東バイパスで構成されておりますが、未開通となっております長野東バイパスの供用により道路のネットワークが構築されるものと考えております。
県といたしましても、県道三才大豆島中御所線の落合橋付近からエムウェーブまでの間について、拡幅整備に向け、調査に着手いたします。東外環状線全線の早期完成に向けて、今後も長野国道事務所と連携を図りながら県道整備に積極的に取り組むとともに、長野東バイパスの整備促進につきましては、これまでも国に対して要望しておりますが、さらに強く求めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
◆竹内久幸
県立高校の施設の格差是正について教育長に再質問いたします。
私は、長野工業高校の生徒にこのように苦難を強要している姿というのは本当にかわいそうでなりません。周辺にテニスコートを整備するための用地を早急に探すなど、環境整備対策についてさらに積極的に行っていただきますよう、改めて教育長のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
また、知事には、こうした県立高校の施設環境の格差により生徒に苦難を強いている現実をどのように受けとめられておられるか伺います。
◎教育長(原山隆一)
今後の環境改善策についてのお尋ねでございます。
生徒の遠距離の移動に伴う安全性の確保や練習時間が短くなるなどの課題があるというふうに考えております。テニスコートの整備につきましては、引き続き学校とよく相談しながら対応を検討してまいりますが、当面は生徒の負担軽減について具体的な手だてを考えてまいりたいというふうに考えております。
◎知事(阿部守一)
県立高校の教育環境についての御質問でございます。
高校の教育環境を常に充実させていくということは大変重要なことだと思っておりますし、著しい格差が生じることのないよう努力していくということが必要だと思っております。今年度から3年間、県立高校の施設整備に係る予算を増額させていただきました。今、校舎や体育館等、多くの生徒が利用する施設を優先して集中的な修繕を進めているところでございます。しかしながら、限られた予算の中で、部活動に必要な施設を直ちに全て満足いくレベルに整備していくということはなかなか難しい部分もあるというふうに考えております。
県立高校で学ぶ生徒たちが充実した高校生活を送ることができますように、引き続き教育環境の向上が図れるよう、教育委員会とも十分相談をしながら、まずは教育委員会で主体的に検討いただいた上で、私としては予算を査定する権限がございますので、教育委員会からの御要望に対して誠実に向き合っていきたいというふうに思っております。
以上です。
◆竹内久幸
格差の早期解消に向けてさらに御尽力をいただきたいということをお願いしておきたいと思います。
最後に、大北森林組合の補助金不適正受給問題について、疑問に思っていることを申し上げて質問を終わりたいと思います。
まず、今回多額の予算が計上されておりますけれども、その理由が、国庫返還金の増額が見込まれるということでございます。では、国に返還するのはいつなのか。9月議会補正では遅いのか。あるいは7月末の補助金返還の期限が近づいているのに、なぜ今回計上しているのか。
そしてまた、今返還計画の見直しが行われているというふうに言われておりますけれども、その見直し計画が整っていない段階で、私たちが議会で果たして審議ができるのかどうかという問題。そして、この議会の中でこのことが明確にならなければ、私はやっぱり議会に対して白紙委任したことになりはしないかと。議会人として、この予算をしっかり審議するに当たっては、この議場には40年、50年いる方はいませんので、将来にわたって担保できる仕組みを今回の議会の中でしっかり発議していく必要があるのではないかということを申し上げておきたいと思います。
執行部側には、今私が申し上げたことを委員会冒頭で明確にした上で審議させていただきますことを最後に要望いたしまして、私の質問を終わります。