平成28年6月定例県議会 発言内容(今井愛郎議員)


◆今井愛郎

   

 信州・新風・みらいの今井愛郎です。通告に従いまして、順次質問をさせていただきたいと思います。

 昨年12月、国が直接町内会等に補助金を交付することについて質問したのに対し、阿部知事は、地方分権についてはまだまだ道の半ばであるが、今回の事例は、外交、防衛上等の観点から特別な事例であり、直ちに国と地方の関係一般に当てはまる事例ではない旨の答弁をされております。

 しかしながら、国は今般、特措法の期間延長に合わせて、特措法上に、知事が特別な事例であるとした町内会等への直接交付を法律に明記しようとしております。補助金をぶら下げて事業協力を仰ぐのは、地方分権に逆行し、議会制民主主義を軽視するばかりでなく、税金の使われ方のチェックにも大きな疑問が残ると思います。

 また、仮に、今回も外交、防衛上の特別な措置だとしても、直接交付金を明示することはあしき先例となり、例えば放射能汚染土壌の処分に困っている国が同様な特措法をつくらないとも限りません。

 地方分権や地方自治の観点から町内会等への直接交付金を明文化しようとしている国の姿勢に対し、阿部知事の御所見を再度お伺いしたいと思います。

 次に、中学校における運動部活動と社会体育のあり方について、以下4点、原山教育長にお伺いいたします。

 一つ目としまして、県教委は平成26年2月に長野県中学生期のスポーツ活動指針を策定し、部活と社会体育の一本化に取り組んでこられました。昨年7月の髙島議員への答弁では、74%の学校で一本化されたとの答弁がありましたが、指針公表から2年経過した今でも、地域や学校、あるいは顧問によりこの指針への取り組みが異なるという声を聞いております。県教委として、指針の遵守状況についての御見解と今後の遵守方法について御所見を伺いたいと思います。

 二つ目に、本年3月31日、文部科学省より学校事故対応に関する指針が示され、県教委は5月26日に学校事故対応に関する講習会を開催したと聞いております。内容は、学校の危機管理等への対応に力点が置かれ、部活動などでの事故発生の未然防止に向けた取り組みについての記述は非常に少ないと思います。今後、部活動での事故防止などについてどのように取り組んでいくおつもりなのでしょうか。さらに、講習会への参加者は200名弱だったと聞いております。どのように全教職員に周知していくのでしょうか。

 また、昨年12月の寺沢議員への答弁の中で、県下188中学校中、運動部活のうち158校で外部指導員を活用しているとの答弁がありました。こういった外部指導員の方にもどのように周知徹底を図っていくのかの御所見につきましても、あわせて伺いたいと思います。

 三つ目に、野球やサッカーなど集団スポーツの部活動についてお尋ねします。

 少子化が進行し、生徒の趣向が多様化する中で、野球やサッカーといった大人数を必要とする部活動の存続が危ぶまれていると聞きます。活動指針では、部活動の課題解決のために各中学校区にスポーツ活動運営委員会を設置するとありますが、実際には、学区ばかりか市町村を超えての取り組みが必要になると思います。学区を超えた部活動の調整には、市町村の教育委員会や、場合によっては教育事務所などによる調整が必要かと思いますが、いかがお考えでしょうか。また、平成26年11月の堀場議員への答弁の中で、運動部活運営マニュアルを作成し、各校へ助言、支援をしてまいりたいというふうに答弁がございますが、その後の進行状況についてお伺いしたいと思います。

 四つ目、最近、教員にとって部活動が負担という声をよく聞きます。3月には、全国の公立教員6人が部活動の指導が教員にとってブラックであるというネット署名を行い、2万3,000人余の教員が署名され、文科省に提出されたというニュースもありました。

 県教委は、平成26年10月の本郷議員への答弁で、公立小中学校の時間外勤務を26年度から毎年10%削減し、本年で30%の削減を目指すとしておりますが、部活動の適正化などを通じて、これらの削減目標の進捗率をお伺いしたいと思います。

 

◎知事(阿部守一)

 

 私には、国の補助金等の自治会への直接交付について御質問をいただきました。

 御質問の中で引用されておりました駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法、この法律の考え方、詳細については承知をしているわけではありませんけれども、このことについては、昨年11月の県議会でも御答弁したとおりでありまして、国としては、あくまでも外交、防衛上の観点から対応がとられた特別な事例だというふうに考えております。直ちに国と地方の関係一般に当たると、そういうものではないというふうに考えております。

 以上です。

 

◎教育長(原山隆一)

 

 4点質問をいただきました。

 まず、中学校の運動部活動に関してでございますけれども、昨年8月に調査した取り組み状況では、運動部活動の延長として行われている社会体育活動を運動部活動に一本化することについて、実施するとした中学校は77.5%と増加しておりまして、スポーツ活動指針への理解が深まってきているものと考えております。

 残りの42校になりますけれども、そちらに対しては、個別に具体的な事情をヒアリングするなどした上で、長時間に及ぶ活動による生徒への負担を軽減し、適切な活動となることを目指して策定された本指針の趣旨を踏まえて、粘り強く働きかけてまいりたいと考えております。 部活動における事故防止についてでございます。

 県教委では、毎年各校に対しまして体育活動中における事故防止等についての通知を出して、安全管理を徹底するよう学校長に依頼しております。また、各中学校の体育主任を対象に毎年行われています学校体育スポーツ研究協議会において、部活動を含めた安全管理、安全教育について指導しておりまして、この体育主任から所属中学校の教職員に周知をしてもらっているところでございます。

 さらに、一般教職員対象には、コンディショニングの研修会等を毎年実施するとともに、昨年度からは、新たにスポーツ傷害の予防や頭部外傷等重大事故の未然防止に関する研修会を実施するなど、その時期に問題となっている事案を検証しながらニーズに合った研修会も実施しているところでございます。

 それから、外部指導者に対しては、これも昨年度から新たに指導者研修会を実施しまして、その中で安全管理について理解を深めるよう説明してきておりますけれども、さらに、各校に対しては、外部指導者と契約を結ぶ際に、安全管理、安全教育について十分理解した上で適切な指導を行うよう依頼していくこととしております。

 3点目、学区を超えた部活動の調整等についてでございます。

 少子化の影響によりまして、集団競技において単独でチームを編成し大会に出場することができない学校があることから、県中学校体育連盟において合同チームの編成基準を緩和してきておりまして、さまざまな編成が可能となっております。

 どのように合同チームを編成するかは、原則学校間で調整するものでありますけれども、市町村教育委員会が調整を行っている場合もあるというふうに認識しておりますが、さらに市町村を超えて合同チームを編成する場合については、必要に応じて教育事務所など県の教育委員会としても協力してまいりたいと思っております。

 それから、運動部活動指導運営実践マニュアル集でありますけれども、平成27年5月に全中学校に配布したところであります。各中学校において活用してもらっておりますけれども、特に担当競技の経験がない顧問からは、マニュアル集を参考にして指導内容を工夫、改善でき、大変ありがたいという声が届いております。今年度さらに内容を吟味し、リニューアルしたものを作成、配布する予定としております。

 最後に、教員の時間外勤務時間の縮減の進捗率でありますが、県の教育委員会が設定した時間外勤務の縮減目標は、学校で最も業務が忙しい年度当初の1カ月間の時間外勤務時間を指標としております。

 これによりますと、26年度当初の1カ月間の1人当たりの時間外勤務は約67時間でございましたけれども、27年度当初1カ月間を見ますと、約62時間ということで、7.5%の縮減となっております。各学校で業務改善に取り組んでおりますけれども、目標とする10%には足りなかったところであります。

 28年度当初1カ月間については、現在集計中でありますけれども、引き続き各種会議や調査等の見直し、中学生期のスポーツ活動指針に沿った適切な運動部活動の推進などによりまして、業務改善に取り組み、目標達成に向けて努力してまいりたいと考えております。

 以上であります。

 

◆今井愛郎

 

 条例の改正については、先ほど申し上げたのですが、明記されるということであります。知事として、知事をあずかる人間として、やはりその辺についてはよく注視していっていただきたいと思います。

 そして、部活動についてですが、例えば私の家のそばの中学校になりますが、野球部はことし3年生が10人いて、2年生は5人、1年生は3人しかいません。そうすると、もう新人戦に出られない。そういう状況があることが事実で、私の母校の中学校も、私は諏訪市出身ですが、実は茅野市の学校と一緒になって中体連に参加して、ことし南信予選に行けるようになったんですけれども、そういうことがあるということを、現実を考えると、やはり教育委員会がもうちょっと主導的な役割をしていかないと、教育の場として部活動があるわけですから、その辺の指導をしっかりしていただきたいなと思います。その辺についてもう1回、教育長よろしいですか。

 

◎教育長(原山隆一)

 

 学校を超えた部活動の調整についての再度の質問でございます。

 少子化の影響で、先ほど申し上げましたように、単独チームの編成が困難という状況、それに対しまして、できるだけ弾力的な、柔軟な運用をしようということで改正を進めております。そういう趣旨を生かして、教育活動の一環として行われる部活動でございますので、教育事務所など、県の教育委員会としても必要な協力をしてまいりたいというふうに考えております。

  

◆今井愛郎

 

 続いて、大北森林組合補助金不適正受給に関連して、4点ほど阿部知事にお尋ねします。

 まず一つ目としまして、今回の予算計上につきましては、県の財政負担を最小限に抑えるためであって、決して組合側と延滞金の有無を含めた返還総額や返還方法の協議が調ったわけではないということでよろしいか。再度確認をさせていただきたいと思います。

 二つ目としまして、知事は議案説明で、加算金3億5,000万円余について、しごと改革を断行して加算金以上の人件費削減に取り組むと提案理由を説明されましたが、しかし、人件費はもともと税金であり、幾ら業務改善による削減効果が出たとしても、加算金が県民負担であることには変わりはないと思います。さらに申し上げるならば、不正受給がなくても業務改善をして人件費の抑制に努めるべきであり、業務改善して返済原資にしたいという説明は、県民に向けた適正な議案説明でないと思いますが、いかがお考えでしょうか。

 三つ目、3月の一般質問でも指摘いたしましたが、延滞金について組合は免除を求めております。この取り扱いについては、さまざまな事情を勘案して結論を出すべきことと思いますが、法令上は、原則延滞金を徴収しなければならないものと伺っております。仮に、今回、国に対する返還金について、組合が求めているように延滞金を科さずに長期分割返済を認めるとするならば、少なくとも組合に対する損害賠償請求額には、補助金とは別に、大北森林組合関係の補助金に係る加算金3億円余を加えた10億円余の返還を求めるということこそが、県民負担を生じさせないための最低限の返還請求額と考えますが、いかがお考えですか。

 四つ目、組合の返済計画についてですが、組合の事業継承を前提にするならば、まず組合は責任のある中村被告や理事役員に森林組合法に基づいて損害賠償請求をし、それでも足りない部分があれば、銀行融資や組合員の負担を行うべきで、県に分割返済や延滞金免除を求めていくのは最後の手段であると思います。

 大北森林組合には、4,000人を超える組合員がいらっしゃると言われております。単純に1組合員が出資または貸し付けという形で10万円を出してくれれば5億円近くが集まります。賠償額の半分程度を賄うこともできます。また、出資金も1円に減額して返済原資に充てるという方法もあると聞きます。

 今回、大北森林組合は、国から返還請求された補助金ばかりでなく、信州の里山を守るためにと県が独自に課税している森林税さえも不正受給しています。延滞金免除や長期分割返済といったことに県民理解を得るためには、まずは組合自身の厳しい自助努力がなければならないと思いますが、いかがお考えですか。

 続いて、以下2点につき林務部長にお尋ねします。

 一つ目としまして、2月10日の必要措置命令に対し、3月17日、再度指導通知を発出し、4月28日までに報告を求めている事項のうち、責任の明確化についてお尋ねします。

 平成27年6月の小林議員の答弁にあるように、森林組合法第49条の3では、役員の組合に対する賠償責任等について、当該役員が職務を行うにつき、善意でかつ重大な過失がないとき以外は無限責任を負う旨を定めております。組合からはどのような回答があったのでしょうか。

 二つ目としまして、専務理事の水増し請求に加担したとされる業者側の弁護士は、中村被告以外の組合幹部や組合職員も請求書の金額が水増しされていたのを知っていたと指摘しています。これが事実であるならば、組合の役員は間違いなく組合に対し無限責任を負う必要が出てくると思いますが、いかがお考えでしょうか。

 

◎知事(阿部守一)

 

 大北森林組合に関連する御質問について順次お答えを申し上げたいと思います。

 まず、国への返還金を補正予算案に計上した経緯、考え方という御質問でございます。

 国に対しては、これまで県が行った調査の結果を1件1件説明をさせていただき、国が県に対して返還命令を行う金額を県として見込める状況になりましたことから、本定例会に補正予算を計上いたしたところでございます。これは、国からの返還命令後、直ちに国庫補助金の返還を行う必要があると考えたものでありまして、大北森林組合の補助金返還への対応とは関係がないものでございます。

 それから、人件費の削減についてでございます。

 県としては、これまでも、職員数の削減等厳しい行財政改革に取り組んできたわけであります。しかしながら、今回の事態を重く受けとめて、加算金相当額については、人件費を削減して相当額を捻出しようというのが私どもの考えでございます。

 それから、大北森林組合に対しての補正予算計上額の全額請求ということでございます。

 今回の事案に対しましては、当然のことながら法令に基づく対応をしていくということが基本だというふうに考えております。こういう中で、法的に最大限可能な約8億7,400万円の補助金の返還請求を行ったわけでございますし、また、時効の考え方、時効の起算点が国と県とでずれている部分については、今後、民法上可能な限り損害賠償請求を行っていくという方針でございます。

 基本的には、法的に理由のない負担を県としては行う考え方はございませんし、また、法的な根拠のない請求を行うこともできないというふうに思っております。

 大北森林組合の自助努力についてでございます。

 大北森林組合が不適正に受給した補助金については、これは補助金を受領した法人としての大北森林組合に返還請求を行っているところでございます。また、時効のずれで生じた損害については、これは民法上可能な限り、組合あるいは元専務に対して損害賠償請求を行う考え方でございます。

 大北森林組合が県に対する補助金返還等をどのように行うかということについては、これは役員に対して、組合自身が損害賠償請求を行うかということも含めて、組合がみずから責任を持って御検討いただくことというふうに考えておりますが、補助金等返還計画においてしっかりと説明責任を果たしていただきたいというふうに考えております。

 引き続き抜本的な経営改善、そして早期の返還を組合には求めてまいります。

 以上でございます。

 

◎林務部長(池田秀幸)

 

 大北森林組合の補助金不正受給問題につきまして、2点御質問をいただきました。

 初めに、役員の賠償責任等について、県の必要措置命令に対する組合の回答についてのお尋ねでございます。

 大北森林組合からは、元専務理事には損害賠償請求を行っており、補助金不適正受給期間中の元専務理事以外の役員につきましては、道義的な責任があるため、平成24年度から3年分の報酬の自主返納を受けたなどの報告があったところでございますが、県では、林務部改革推進委員会委員の意見も踏まえまして、この報告が十分ではないと考えているところでございます。

 次に、組合役員の責任についてのお尋ねでございます。

 現在、当該事案につきましては、長野地方裁判所におきまして係争中でございまして、詳細は不明でございますが、一般論として申し上げれば、森林組合法第49条の3第1項の規定によりまして、役員は、職務遂行上、故意または過失がある場合には、任務を行った行為と相当因果関係がある範囲で無限責任を負うと考えております。

 以上でございます。

 

◆今井愛郎

 

  いずれにしましても、まだまだ組合との協議が必要だと思います。

 法に基づいてというのであれば、延滞金は本来免除できないわけですから、その辺もまた委員会でもよく討議してもらいたいものです。

 その中で、2月の一般質問でも指摘したとおり、今の組合の状況を鑑みると、とても一括返済は見込めませんし、仮に組合が提案した50年という返済期間を認めるとしても、どのような会計処理をすべきとお考えでしょうか。

 阿部知事を含め、この議場にいらっしゃるほとんどの方が完済を見届けることができない中でこの事実を伝えていくためには、例えば特別会計を設置するとか、常に県のホームページに返済状況を公表するなどして、組合からの返済状況が常に県民から見えるようにしておく必要があると思いますが、いかがお考えでしょうか。

 また、組合からの分割返済などの方法については、契約書にして県と組合で書面を取り交わす必要性がないと聞いております。すなわち、県が組合の提出した弁済計画書を了承すれば、その弁済方法は認められたということになり、議会の議決も不要です。しかし、事の重大さを勘案すれば、県が組合に了承を出す前に議会に諮り、理解を得る必要があると考えますが、いかがお考えでしょうか。

 以上、阿部知事にお伺いして、質問とさせていただきたいと思います。

 

◎知事(阿部守一)

 

 大北森林組合の債権についての可視化等について御質問いただきました。

 まず、債権管理については、これは地方自治法の規定があるわけでございます。地方自治法240条によりまして、債権については、これは知事が必要な措置をとるということが定められているわけでありまして、それに基づいて財務規則等で具体的な手続を定めているところでございます。

 もう少し具体的に申し上げれば、財産管理者であります北安曇地方事務所長が財産管理簿に債権を登記します。そして、組合等から補助金返還があった場合には、同所長は、総務部長に対しまして債権異動報告書を提出することになります。そして、報告を受けた総務部長は債権台帳を整理するとともに、会計管理者に対しまして債権異動通知書を提出するということになっております。そして、通知を受けた会計管理者は、債権の増減を債権記録簿に記録すると、こうしたことで組織的に債権管理を実施してまいります。

 そして、その上で、債権の管理状況については、御承知のとおり決算書にも記載をされるわけでございます。県議会の審査、あるいは監査委員の皆様方の監査を受ける形になります。その際、毎年度十分御説明をさせていただかなければいけないというふうに思っております。

 特別会計という御質問がありましたが、この事案は、地方自治法でいう特別会計の設置要件には該当しない、なじまないものというふうに考えておりますので、一般会計においてしっかり管理をしていくことが重要というふうに考えております。

 また、債権管理に当たりましては、単に現状把握ということではもちろんないわけでありまして、組合の事業経営計画あるいは補助金等の返還計画、こうしたものの見通し等も含めて十分把握をしていく必要がありますし、また、県議会に対しましても、その都度必要な説明をしていくことが必要というふうに考えております。

 以上でございます。