平成28年 2月定例県議会 発言内容(埋橋茂人議員)
◆埋橋茂人
信州・新風・みらいの埋橋茂人でございます。
TPPについて伺います。
会派の下沢代表から県の基本的な考え方を伺いましたので、私は農業問題等についてさらに県の考え方や具体的な施策、工程等をお尋ねしたいと思います。
巷間、TPPは、安政の不平等条約になぞらえて、平成の不平等条約と言われていることを御存じでしょうか。昨年の大河ドラマ「花燃ゆ」の時代であります安政5年、1858年にアメリカ合衆国初め5カ国との間に結ばれたこの条約は、江戸幕府の終わりを告げるものとなりました。関税自主権がなく、領事裁判権を相手国に認めるなど不平等条約そのものでした。日清・日露戦争を経て、ようやく1911年にこの条約の撤廃に至ったことは御案内のとおりです。50年以上かかって撤廃に至りましたが、この間、先人たちの涙ぐましい努力と多くの犠牲者が出たことを忘れてはならないと思います。
関税は、それぞれの国の異なる立地条件や歴史を踏まえて、それぞれの国柄を守るための国の主権そのものであり、国家間の貿易の基本ルールだと思います。それから100年余、せっかく手にした関税を今度はみずから捨てようとしています。安政条約は、当時の江戸幕府が外交の基本を知らずに結んだものですが、平成の不平等条約、すなわちTPPは医療、農業分野を初めとして、こちらが本命だとも言われていますが、日米投資協定により、アヒルの保険がいきなり郵便局の窓口で売られている事案が示しますように、郵便貯金、簡易保険に続いて農協貯金、各種共済も同様の規制改革の対象となるなど、危険な条項がてんこ盛りであります。それを百も承知でみずから選択している点では、安政条約よりはるかに罪深いものであり、国境を越える新自由主義のまさに総仕上げと言うべきものであると言えます。
都市と地方の格差は一層進行し、地方創生に真剣に正面から向き合おうとしている地方に冷水を浴びせるものと言わざるを得ません。TPPは、基本的には全ての関税をゼロとすることが原則です。今後も再交渉で関税が減少、撤廃となる懸念が拭えません。現に、アメリカの養豚業界は、政府が今回のTPP対策として養豚経営安定対策事業、通称豚マルキンと申しますが、の拡充を打ち出したところ、TPPの合意に反すると早くも声明を出しています。
また、大筋合意に係る政府文書によれば、米などの農産品の関税の漸進的撤廃などが盛られており、7年後に行われることになっている再交渉時のさらなる関税の削減、撤廃の方向性に、生産現場の不安は深くなるばかりであります。加えて、一貫して交渉の責任者でありました甘利経済再生・TPP担当大臣のスキャンダル辞職がございました。これは交渉のクリーンハンドの原則を大きく損ない、正当性が激しく問われるというふうに思います。
ここで、少し数字を上げてみます。平成22年11月に政府が交渉した全面関税撤廃を前提に試算した金額は、GDP増加率0.66%、増加額3.2兆円、農林水産の生産減少額は3兆円でございましたが、今回の大筋合意の数字は、御案内のとおり、GDP増加率2.59%、増加額13.6兆円、農林水産の減少額は1,300億円から2,100億円となっています。
輸出拡大の主要品目であります自動車部品の自由化が25年後以降に先延ばしされたにもかかわらず、GDPの増加額は4倍になっている一方、農林水産生産減少額は実に20分の1です。過去の大幅な自由化の経過を踏まえれば、残念ながら農業分野におけるこの数字を素直に受け入れることはできません。かつて牛肉、オレンジの大幅関税削減でミカン果汁とオレンジ果汁が競合し、ミカン栽培に大きな影響を与えたことは周知の事実です。また、米のミニマムアクセスで輸入量が毎年80万トン近く、77万トンにも及んでおりますけれども、現在の主食用米価に著しい影響を与えていることも、これまた事実であります。ちなみに、今の米価は昭和50年代前半の米価水準になっております。
増減額の算出に当たりましては、時系列に沿って、現状生産額から影響額を引いて、対策を講ずるべき額を足して、イコール増減額となるべきものと思いますが、今回政府は影響額と対策を明確に示さず、いきなり増減額のみを提示しています。TPPへの賛否は別にして、負の影響を受ける分野への影響額とその対策内容、想定効果がわからなければ、実効性のある対策を立てることは困難であり、極めて遺憾です。
そこで、知事に以下2点お尋ねします。
国民生活、県民生活、万般にわたって大きな影響が出ることは必至ですが、政府から影響の出る分野とそれへの対応について十分な情報開示が県当局になされているのか。お伺いいたします。
また、長野県において、農林業のほかマイナスの影響が出るであろう分野はどの分野と想定しておられるのか伺います。
二つ目として、農林業に対する影響額についてはさまざまな試算がなされていますが、額の多寡はともかくとして、基本的な問題は、農家の不安をどう払拭し、どう生産高を維持し、より高品質な農畜産物を生産していくために、どういう対策をどのような方向づけと時間軸の中で実践するかということであると思います。数字はその結果としてついてくるものでありますから、県として万全の方策を講じるよう求めるところです。中長期にわたり本県農業を守るための考え方を、平成28年度予算を含めてお聞きします。
◎知事(阿部守一)
TPPに関連して、2点御質問いただきました。
まず、TPPにかかわる県への情報提供と農林業以外への影響についてという御質問でございます。
これまで全国知事会等も通じまして、TPPの合意内容、あるいは影響についての丁寧な説明を行うよう国に求めてまいりました。国からは、昨年10月の大筋合意以降、都道府県担当者を対象として複数回説明会が行われております。この説明会におきましては、TPP協定交渉の大筋合意内容、国が策定したTPP関連政策大綱、経済効果分析、農林水産物に対する影響や対策等についての説明が逐次行われてきているところでございます。
国からは、農林水産業以外の分野についても説明がなされております。残留農薬、食品添加物の基準等、食の安全や安心に関する制度、あるいは混合診療の全面解禁など医療保険制度、また単純労働者の受け入れを義務づける規定など、こうしたことについて説明がありますが、制度の変更はないということで説明がされております。また、医薬品の価格へも影響がないということなどが説明されております。
TPP協定、世界のGDPの約4割という巨大な経済圏を構築する試みであります。今後、県民生活への影響が明らかになってくるものもあり得るというふうに考えますので、引き続き必要な情報収集に努めてまいります。
続きまして、TPPに関する今後の県の方針でございます。
TPP協定は、農畜産物の品目によりましては段階的に関税が削減されていくわけでありまして、中長期にわたる対策が重要だと考えております。このため、品目ごとにおおむね10年後の目指す姿をお示しした上で、生産、流通、消費、各分野における具体的に取り組む事項を盛り込んだ対応方針を策定して、力強い農業の実現に向け全力で取り組んでまいります。
来年度は、この対応方針に沿いまして、体質強化策といたしまして、産地の競争力を強化するための共同利用施設や畜産施設の整備、コスト低減や省力化等革新的な技術開発、生産の土台となる農業基盤整備、また担い手農業者が行う施設、機械導入への支援、こうしたことを行います。また、流通販売の強化策として、県外産の食材を県内産に置きかえる地消地産の取り組み、さらには長寿世界一NAGANOの食としての輸出の拡大、こうしたことを進めてまいります。
こうした農業分野の予算として、27年度補正予算と合わせて45億9,000万円余を計上いたしたところでございます。今後とも農業関係者の皆様方の御要望、御意見をお伺いする中で、本県農業の成長産業化を進めるため、必要な対策をしっかりと行ってまいりたいと考えております。
以上です。
◆埋橋茂人
続いて、企画振興部長に伺います。信州創生戦略への影響でございます。
信州創生戦略の中でも大課題であるということで、人口減少が挙げられています。当然のことであります。それとTPPの影響が最も顕著にあらわれるのは中山間地であるということは疑いのないところだというふうに思います。
そこで、三つお伺いします。
信州創生戦略に盛られたコンパクトシティ構想や小さな拠点構想に基づき、人口減少が進む中山間地をどのように維持・活性化していくのか。お伺いいたします。
二つ目として、農山村地域の人口減少に歯どめをかけるため、半農半Xや農ある暮らしなど、多様なライフスタイルを打ち出していくことが必要であると信州創生戦略の中でもありますが、より成果を上げるための具体策をお伺いします。
三つ目として、中山間地にかかわる予算として、農政部、林務部など部局単位にさまざまなものが措置されています。それぞれの予算を総合的、複合的に活用して地域づくりに取り組んでいく必要があると考えます。中山間地固有の資源に人材、そして予算、すなわち、人、物、金、情報を十分に活用して地域づくりを進めなければ中山間地を維持することは難しいのが現状ではないでしょうか。そこで、県として中山間地みずからが主体的に地域づくりを進めるためどう支援していくのか。お伺いします。
また、地域住民みずからが地域づくりに取り組んでいる優良事例があったら御提示をいただきたいと思います。
以上です。
◎企画振興部長(小岩正貴)
中山間地に関します御質問に順次お答えを申し上げます。
まず、中山間地の維持・活性化についてでございます。
コンパクトシティ構想や小さな拠点構想は、人口減少下でも持続可能で移住者も呼び込める暮らしの基盤づくりと考えております。御質問にありました中山間地につきましては、商店や診療所など日常生活に不可欠な施設や、地域活動の場を歩いて動ける範囲に集めた小さな拠点の形成を進めることとあわせまして、こうした拠点と周辺集落との交通ネットワークの整備に取り組んでまいりたいと考えております。その際、単なる施設の整備だけではなく、その運営の担い手となる住民組織の形成についても支援を行い、中山間地の維持・活性化を県としても後押ししてまいりたいと考えております。
次に、半農半Xなど多様なライフスタイルを実現する具体策についてでございます。
県では、農業を志す人を支援するため、栽培技術を基礎から学べる農ある暮らし入門研修や熟練農業者の指導を受けられる新規就農里親制度などに取り組んでまいりました。また、小規模農地の取得が可能となるよう、市町村農業委員会に農地取得の下限面積の引き下げを働きかけておりまして、農ある暮らしを実践できる環境整備に取り組んでいるところでございます。
加えて、人生を楽しむことができる働き方、暮らし方を広くPRするため、新年度には農ある暮らしの体験講座や信州から多様なライフスタイルを発信する国際会議を開催する予定でおります。自分らしいライフスタイルが実践できる長野県であることを県内外に発信することで、人口流出の歯どめと本県への移住促進につなげてまいりたいと考えております。
3点目、主体的な地域づくりへの支援についてでございます。
県では、これまで、住民主体による地域づくりの先駆的な取り組みを地域発元気づくり支援金で支援してまいりました。また、県職員と地域住民が一緒になって集落存続の方策を検討する「集落“再熱”実施モデル地区支援事業」を実施してきたところでございます。これらに加えまして、地域づくりの核となる人材を育成するため、昨年度からは「地域に飛び出せ!信州元気づくり実践塾事業」を実施しております。地域おこし協力隊や学生、地域づくり活動に携わる方など、これまでに47名の受講者を輩出しております。今後は、実践塾で学んだ皆様が実際に地域づくりのリーダーとして活躍できるよう、元気づくり支援金による支援のほか、地域づくりに関する助成制度などの情報を共有するためのサポートを行ってまいりたいと考えます。
最後に、地域づくりの優良事例についてでございます。
栄村小滝区では、首都圏からの農作業体験の受け入れを通じ、地元産の小滝米の販売ルートを開拓し、ブランド化に成功しております。こうした取り組みが住民の連帯意識の醸成につながり、集落全ての世代が参加する合同会社を成立するなど、住民が一丸となった地域づくりへと発展しております。
また、阿智村清内路地区では、県の伝統野菜に認定されている清内路カボチャの保存活動に取り組んでいたグループへ村外の方が作業協力に加わったことで、村内外の住民の間で交流が深まり、地域の新たな活力が生まれております。また、住民みずからが空き家の実態調査をした上で移住体験ハウスに改修した結果、今年度は3組6名が移住し、地域のコミュニティ維持につながっております。こうした事例が県内各地に広がることを期待したいと考えております。
以上でございます。
◆埋橋茂人
御答弁をいただきました。まだたくさんの事例があると思いますので、順次また備えをお願いしたいと思います。
次に、農政部長に伺います。
TPPの影響試算で米やリンゴの生の果実、生果の影響がゼロとなっておりますけれども、どのような対策を実施すればゼロになるのかお伺いをいたします。御説明ください。
二つ目として、県の試算でも他品目と比べて影響の大きい牛肉、豚肉については、クラスター等々で生産維持策、生産性向上対策のお話がございました。しかしながら、畜産につきましては、環境問題等で大規模畜産施設の建設が極めて困難になっております。TPP対応策としてのクラスター事業をどのように進めていくのかお示しをいただきたいと思います。
三つ目として、果樹の振興についても、県のオリジナル品種の拡大やリンゴの新矮化等の新技術普及に御尽力をいただいていることについては敬意を表しますが、苗木の供給が非常に課題であります。一定期間、投下資本の回収ができないなど、民間任せではここには限界がございます。苗木の価格の設定が課題なことは御承知のとおりでございます。
知事初め県の皆さんも、シナノゴールドのライセンス契約に関してイタリアのチロル地方を訪れ、延々80キロにわたって続くリンゴ街道と新矮化の普及状況をごらんになっておられます。長野県としてここの普及のスピードを加速化するためにも、さらなる対策を講ずるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
あわせて、新規事業であります果樹経営起業準備支援事業において、新矮化の苗木やブドウの苗木等も助成対象になるのか。お伺いをいたします。
もう一つ、GATTやWTOの協議を通じて農業の価格支持政策は大きな制限を受けることになっております。安定生産に支障を来す事例も出てきておりますので、今後、国家政策として農業施策の岩盤対策としての所得補償政策が必須だと考えます。他国では、農家所得に占める所得補償の割合は、フランスでは80%、スイス山岳部ではほぼ100%、アメリカですら穀物農家では50%になると分析している経営者もいます。現在、国において検討されている収入保険制度が真に農業者の経営安定につながるよう国に要望すべきと考えますが、いかがでしょうか。御答弁をお願いします。
◎農政部長(北原富裕)
TPP関連の御質問に順次お答えをいたします。
初めに、米とリンゴの影響試算についてでございますが、県の試算は基本的には国に準じて行っております。米は国が新たに設定された国別枠の輸入量に相当する国産米を確実に備蓄米として買い入れ、主食用米の需給や価格に与える影響を遮断するとして、影響額をゼロとしたものに準拠したものでございます。
また、リンゴの生果は、国は品質面で国際的に高い競争力を有しており、輸入品との競争力が弱い7月出荷の長期貯蔵リンゴのみが影響を受けるとしておりまして、本県では長期貯蔵リンゴの7月出荷がないことから、影響額をゼロとしたところでございます。
次に、牛肉、豚肉の生産対策と畜産クラスター事業についてでございますが、牛肉につきましては、信州プレミアム牛肉の生産拡大をしっかりと図りたいというふうに考えておりまして、そのため、ICTを活用した効率的な生産やDNA情報を活用した優良な繁殖牛の選抜、また、受精卵移植による子牛の確保などの取り組みを進めてまいります。豚肉につきましては、現状の生産水準をきちんと維持をしていきたいというふうに考えておりまして、品質向上やコスト削減に向けた新たな飼養管理技術の導入、飼料用米の活用ですとか、オレイン酸などに着目した付加価値の高い銘柄豚の生産拡大を進めてまいります。
また、畜産クラスター事業につきましては、市町村やJAなどと連携しまして、今後の地域の畜産を担う経営体を対象に、規模拡大や環境対策のための施設整備などを支援しまして、牛肉、豚肉を初め、畜産の担い手の競争力強化と所得の向上を図ってまいります。
次に、果樹振興のための苗木の確保対策でございますけれども、リンゴの新矮化栽培に必要なフェザー苗は生産に2年を要することから、現在、増産に時間がかかり、コストも高くなるということが普及を進める上での課題となっております。このため、来年度から、果樹試験場におきまして、生産期間を1年に短縮する研究に着手しまして、早期普及に向け技術開発を進めてまいります。
また、本年度からは県オリジナル品種の早期産地化に向けた緊急支援事業を開始しておりまして、来年度につきましては、この事業の中でリンゴ「シナノリップ」を追加するなど事業を拡充して、果樹の普及の加速化を図ってまいりたいというふうに思っております。
なお、御質問のございました果樹経営を志す就農希望者が研修期間中に行う樹園地の整備を支援する果樹経営起業準備支援事業につきましては、果樹の新矮化の苗木も支援の対象としてまいりたいというふうに考えております。
最後に、収入保険制度でございますが、国が検討しております収入保険制度は、対象品目が限定されております現在の農業共済制度とは異なり、全ての品目を対象に、災害による減収に加え、農産物価格が低下した場合の収入減少も補△する制度と聞いております。現在、農業経営を支える制度には野菜の価格安定制度などもありまして、農家からはこういう制度には継続を望む声も寄せられております。そのため、収入保険制度創設に当たっては、昨年の11月、知事が国に対しまして、既存制度との調整がなされ、全ての農業者の経営安定が図れる制度となるよう要望を行ったところでございます。今後も、情報収集に努めまして、制度設計が固まる前には機会を捉え、必要な要請を行ってまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
◆埋橋茂人
ぜひ格段のお取り組みをいただきたいというふうに思います。
次に、産業労働部長にお尋ねをいたします。雇用の質の向上対策でございます。
実質賃金につきましては、何度も申し上げてますが、輸入物価の上昇で3年近く低下傾向にございます。地方中小企業にはアベノミクス効果がなかなか及んでこないということで、これはいずれ及ぶかということで、トリクルダウンということで待っておりますが、これはトリクルダウンという言葉自体、馬に食わせりゃスズメもえさにありつけるというおこぼれの発想そのものであり、経済政策とはなかなか言いがたいものであります。現に、安倍政権のブレーンであります竹中平蔵さんも、このことをもう言わなくなっておられます。大手との格差がさらに進行しています。たった62人で世界の2分の1の富を占めているという分析もございます。
また、有効求人倍率は1倍を超え、統計上は完全雇用状態にあるという状況ですが、問題はその質です。長いデフレと企業の海外移転によって、正規雇用が圧縮され、国外にあっては賃金の安い国への工場移転、国内にあって正規雇用を非正規雇用に置きかえることが常態化してきました。しかし、その過程で、かつて1億総中流社会と言われた分厚い中間層はやせ細り、格差の拡大や貧困層の固定化、再生産を招いています。
県としてさまざまな対応をされていることは評価しますが、非正規雇用者の削減策にはどのようなものがありますか。また、その中の一つとして、職業訓練等のスキルアップ策が特に重要であると考えますが、どのようなことを行っていくのか。お聞かせください。
ハローワークなどでは、県内では、介護、パソコンということで限られた講座でありまして、都市部の講座数と比べて非常に少ないのが実態でありますが、県としてどんなお考え、またどんなふうな方向でおやりになるか。お聞かせいただきたいと思います。
以上です。
◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹)
お答えいたします。
非正規雇用対策についての御質問でございます。
いわゆる不本意非正規と呼ばれる方々を正規雇用につなげるため、県としてはまずは正社員の求人をふやすことが基本と考えまして、新しい産業づくりなどによる雇用の受け皿づくりや経済団体を通じた企業への働きかけ、これを行っているところでございます。
また、具体的な取り組みといたしましては、正社員を希望する若者や子育て中の女性を対象に、座学と職場実習による研修で直接正規雇用に結びつける取り組みを進めており、これまでに260人を超える正規雇用を実現してまいりました。今後も継続して取り組んでいく予定でございます。さらに、若者の仕事探しの支援拠点でありますジョブカフェ信州におきましては、昨年度までの3年間で約2,900人を正社員につなげております。来年度は相談拠点の増設などを予定しております。
次に、正規雇用への転換に向けました職業訓練等のスキルアップについてでございます。
これにつきましては、技術専門校におきましてスキルアップ講座を開催し、在職者の技能習得を支援しており、26年度は非正規雇用の方も60人以上が受講しております。
なお、国では、キャリアアップ助成金によりまして、非正規労働者に職業訓練を実施した企業に対する財政的な支援を準備しておりますので、こうした制度の周知によりまして、非正規労働者が職業訓練を受ける機会の拡大を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
◆埋橋茂人
ありがとうございました。産業労働部長が最後に言われたところが非常に実効性のあるものだというふうに思いますので、ぜひ実現していただくようにお願いして、私の一切の質問を終わります。ありがとうございました。