平成29年9月定例県議会 発言内容(堀場秀孝議員)


堀場秀孝

 

 上田市小県郡選出、信州・新風・みらい、堀場秀孝です。順次質問します。

 少子高齢化が急速に進展する中、家庭で、職場で、地域で、あらゆる場面で誰でも活躍できる社会が望ましいと考えられています。
 働き方改革、子育ての環境整備、介護の環境整備、全ての子供が希望する教育を受けられる環境の整備などが位置づけられています。
 働き方改革は、働く人の視点に立って労働制度の抜本的改革を行い、企業文化や風土を変えようとするものであり、働く一人一人がよりよい将来の展望を持ち得るようにすることだと考えます。しかしながら、人手不足等を背景とした長時間労働が大きな社会問題となっており、過労死に関する報道も後を絶たない状況であります。
 働き方改革への取り組みについて、阿部知事に伺います。
 地域社会における働き方改革への取り組みは、地方創生の観点からも重要な課題と考えます。働き方改革には、さまざまな取り組みが求められているが、地域企業に対しての県の姿勢や取り組みについて、また、県組織内においてはどのような取り組みを行っているのか。
 教育長に伺います。
 県下の小中学校、高校の教員の平均勤務時間、過労死ライン以上の時間外勤務を行っている教員の割合など、教員の時間外勤務の現状はどうなっているのか。また、教員の長時間労働改善のために何をすべきか。これまでの県教育委員会の取り組み及び今後の施策の方向性についてどのようにお考えですか。
 知事に伺います。
 今回の補正予算で教育環境の改善に配慮いただいているのは大変ありがたいが、教育を支える重要な柱は、教える人、教職員だと考えます。教育現場の長時間労働の現状及び働き方改革の必要性についてのお考えを伺います。
      

◎知事(阿部守一)

 

 働き方改革に関連して3点御質問を頂戴しました。
 まず、地域企業に対しての県の姿勢や取り組みについてということでございます。
 これは、全国的な課題になっているわけでありますし、やはり一人一人が持つ能力を十分に発揮して活躍できる社会をつくっていく上でも働き方を変えていくということが非常に重要だというふうに思っています。
 そのためには、まず経済界の皆様方と一緒に取り組んでいくこと、それから、県としては必要な制度設計を行って企業等への支援を行っていくということが重要だと思っております。
 まず、一緒に取り組んでいくという観点では、平成28年の2月に長野労働局、労働団体と一緒に、経済団体の皆様方にも参画をいただいて、働き方改革・女性活躍推進会議を立ち上げたところでございます。長時間労働の削減や休暇取得の促進、多様な勤務制度の導入等によって、仕事と家庭の両立ができる職場環境づくりや女性の活躍を一層推進していこうということで意思確認をしたわけであります。こうした組織のもとでオール信州で取り組みを進めていくことがまず重要だと思っております。
 県としてこうした働き方改革を進めるという観点で、職場いきいきアドバンスカンパニー認証制度というものをつくって、現時点で65の企業の認証をさせていただいております。こうした多様な働き方を導入していただいている企業に対しては、入札参加や貸し付け金利の優遇等で、多様な働き方を進めていただくことに対して企業に対するインセンティブを県として付与させていただいているところでございます。
 また、アドバイザーあるいは社会保険労務士といった専門家の皆様方に企業を訪問していただき、短時間正社員制度、テレワーク等の導入の働きかけをさせていただいております。また、建設業におきましても、週休2日促進のためのモデル工事等の導入を図ってきているところでございます。
 引き続きこうした取り組みをしっかり進めながら、何よりも経済団体、企業の皆様方、そして働く皆様方の思いというものも私ども十分共有をしながら、この働き方改革の一層の促進に努めていきたいと思っております。
 それから、県組織における働き方改革でございます。
 若手職員の検討チームも設置して全庁的に働き方改革に取り組んでいるところでございます。具体的には、例えばテレビ会議、あるいはタブレット端末を活用したペーパーレス会議、電子決裁、こうしたICT活用による効率的な業務の推進にも努めておりますし、また、時差勤務、あるいはテレワークの活用による多様で柔軟な働き方についても導入をさせていただいております。
 また、10月からは、全国に先駆けて、休息時間を一定以上確保し健康維持や生産性向上を図っていく勤務間インターバル制を県として試行していきたいというふうに思っております。
 こうしたことを通じて、職員の公務能率を改善して、県民サービスの向上につなげていきたいというふうに思っております。
 それから、学校における働き方改革でございます。
 私は、学びを重視した県づくりを進めていきたいと思っておりますけれども、そうした中で、やはり学びのあり方というのは、これまで以上に子供たちが主体的に学んでいくこと、創造的な学びを行っていくこと、こうしたことが一層重要になってきているというふうに考えております。
 こうした教育を実行していく上では、学校の先生方がまず主体的に取り組んでいただくことが重要であると同時に、やはり先生方が専門性を発揮して授業に専念できる環境をつくっていくということも重要だというふうに思っております。
 私もいろいろなところで申し上げてきておりますけれども、学校の先生は、今、何でもかんでもやらなければいけないということで、若い教員だとなかなかやり切れないのではないかというふうに率直に思っております。
 そういう意味で、地域の皆さん、あるいはそれぞれの専門家の皆さんが、学校の先生が担っている業務を分担していくというような方向性がこれからは望ましいのではないかというふうに私は思っております。このことについては教育委員会が主体的に検討いただく話でありますけれども、世の中全体で働き方改革を進めていく段階でもございますし、また、長野県としては学びを重視した県づくりをしていきたいというふうに思っております。教育委員会ともしっかり連携をしながら私もしっかりとサポートを行っていきたいというふうに思っております。
 以上です。
      

◎教育長(原山隆一)

 

 教員の時間外労働の現状と県教委の取り組みについてのお尋ねでございます。
 教員の時間外勤務時間の現状ですが、小中学校では、29年度当初の1カ月間で見ますと1人当たりの平均が63時間44分、それから高校では、28年度秋の1カ月間の調査で見ますと1人当たりの平均が60時間12分となっております。このうち、80時間を超えた割合ですが、小中学校では把握をしておりませんけれども、高校では約3割という状況でございます。
 県教育委員会では、教員の業務改善を喫緊の課題と捉え、平成26年度に、教職員の業務を改善し、子どもと向き合う時間の確保・充実を図るための総合的な方策を策定し、取り組みを進めてきたところであります。
 この中では、県教育委員会としても、各種会議や調査等を精選したり、管理職マネジメント研修の実施をしたり、あるいは好事例をもとにした各学校への助言などの取り組みを進めてきたところであります。
 現在では、学校現場における業務改善加速事業にも取り組んでおりまして、この中では、部活動指導のあり方、ICTを活用した業務の効率化等の研究を進めているところでありますけれども、教員の働き方改革は、次期の長野県教育振興基本計画の中の重要な柱の一つとなるというふうにも認識しております。
 国においても、教員の担うべき業務を整理するなど検討を始めておりますので、そのような観点も踏まえ、教員がしっかり事業改革に取り組めるように着実に働き方改革に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
      

◆堀場秀孝

 

 答弁いただきました。さらなる取り組みを要望します。
 観光部長に伺います。
 2019年、ラグビーワールドカップ、2020年、東京オリンピック・パラリンピック、2021年、世界マスターズ大会開催と、今後、国内で大きなスポーツ大会の開催が予定されています。
 長野県でそれらの事前合宿の実施が見込まれているが、世界各国、国内各地から選手団、競技関係者、報道関係者、応援関係者等多くの人々が長野県を訪れることが予想されます。
 先日、銀座NAGANOを訪れ、信州デスティネーションキャンペーンでの誘客について、また銀座NAGANOの来館客の増加についてのお話を伺ってきました。
 圏央道も、この春、全体の約9割が完成し、成田空港へのアクセスも便利になりました。東名、中央など六つの高速道路が圏央道でつながり、観光、周遊の促進が期待されているところです。上信道が全線開通すれば長野県から成田空港へのアクセスがさらに便利になり、また注目もふえると思われます。また、国内外からの観光客をさらに誘致するよい機会だと考えます。県立武道館も2019年度中の施設供用開始に向け準備を進めていると承知しています。
 これら事前合宿に伴う観光客誘致に対し、長期的な視野を持って計画を立て、考えていくことが必要であると考えますが、観光部長、いかがですか。
 建設部長に伺います。
 2027年、長野県での国民体育大会の開催が内々定し、同じ年にリニア中央新幹線が開通予定、数年後からは国際的スポーツ大会が国内で開催され、それぞれの大会の事前合宿の誘致活動も新聞の活字で目にするようになりました。多くの大会関係者、報道関係者、観光客が長野県を訪れるでしょう。
 先日の石和議員への答弁でも、県内の道路を選択と集中して進めるとありました。2021年6月10日から無料化となる予定の三才山トンネル有料道路、国道254号の和子、荻窪、平井地区のミニバイパス建設工事がトンネル無料化までにできると地元住民は受けとめています。国道143号青木トンネルも、工事着工に向け、調査が進んでいると認識しています。
 松本空港の国際便の就航、国際チャーター便の就航が、近い将来、実現しそうです。多くの外国人観光客の増加が見込めると考えます。国内外から多くの人々が長野県を訪れることが予想され、道路整備を計画的に確実に進めることが必要であると考えます。私は、国道254号は松本空港と北陸新幹線の駅を結ぶ道路と位置づけられると考えます。3カ所のミニバイパスの三才山トンネル無料化以前の早期同時開通が必要と考えるが、進捗状況と今後の見通しについて建設部長のお考えをお聞きします。
      

◎観光部長(熊谷晃)

 

 事前合宿を契機とした観光誘客についてのお尋ねでございます。
 県では、スポーツツーリズムを通じて地域経済の活性化を図るため、昨年8月、市町村や経済団体、スポーツ団体等で構成する長野県スポーツコミッションを設立し、事前合宿の誘致に努めております。
 例えば、東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿につきましては、9月に長野市にデンマークの競泳が内定したほか、これまでにベルギー、アメリカ、ドイツ、エストニアなどのオリンピック関係者が来県しており、現在、誘致に意欲的な市町村とともに全力で取り組んでいるところでございます。
 誘致する国と競技によりましては、合宿期間中にテストマッチや交流戦が行われたり、メダルが有望な選手が滞在することなどから、国内外から多くの観客が合宿地を訪れることが見込まれます。
 また、メディアを通して選手と地域の人々との交流の様子や信州の自然、暮らし、食、文化等が海外へ広く発信されることによりまして、大会終了後も外国人観光客の増加が期待できますので、一つでも多くの事前合宿が実現するよう、各大規模イベントそれぞれをターゲットに、中長期的な視点を持ちつつ、計画的に対応してまいる所存でございます。
      

◎建設部長(油井均)

 

 国道254号のバイパス整備状況についてのお尋ねでございます。
 国道254号は、第一次緊急輸送路に指定されているなど、重要な路線と認識しております。
 県といたしましては、防災対策強化の観点に加え、沿道環境改善の観点からも重点的に整備に取り組んでいるところでございます。
 具体的には、上田市東内から西内地籍の間において、平成22年度から3カ所のバイパスを整備しております。このうち、工事に着手している和子、平井の2カ所のバイパスにおいては、本年度、用水路つけかえ工事や路盤工など道路築造を進めており、早期の開通を目指し、引き続き事業の進捗を図ってまいります。
 当該バイパスにより、国道254号の道路ネットワークが強化され、上田地域と隣接する松本・安曇野地域との交流連携の促進にも寄与するものであることから、引き続き本路線の整備を推進してまいります。
      

◆堀場秀孝

 

 御答弁いただきました。
 254号の件ですが、和子と平井の件は理解できますが、荻窪地域に関してはどのような進捗状況なのか、再度質問いたします。
      

◎建設部長(油井均)

 

 国道254号バイパスの荻窪地区の進捗状況と今後の見通しに関するお尋ねでございます。
 荻窪地区においては、現在、計画及び用地買収に関して地元調整を行っております。しかしながら、一部の地権者の御了解が得られず、地元バイパス建設推進委員会からはルート変更の御要望をいただいております。事業の早期効果発現に向けて、計画区間の御理解を得られるよう、引き続き地元との対話を進めてまいります。
      

◆堀場秀孝

 

 地元住民は、三つのバイパスが三才山トンネル無料化前に同時に供用できるということで話を聞いているというお話でしたが、このバイパスが無料化になる前に供用するのはちょっと無理なのかなという地元住民の声もお聞きするところです。早期にミニバイパスが開通できますように今まで以上のさらなる御尽力をお願いいたしまして、質問を終わります。