平成28年11月定例県議会 発言内容(山岸喜昭議員)


◆山岸喜昭

   

 順次質問に入ります。

 スポーツ関連資源を生かした観光まちづくりについて、経済的効果や社会的効果をもたらすなど、地域活性化の観点からも必要性が広く認識されています。

 ただし、これまで日本ではスポーツとツーリズムは極めて異質な概念として扱われ、学校体育、社会体育において、スポーツの重要性は認められていたものの、スポーツイベントやスポーツ施設が観光資源として取り扱われることはなく、スポーツ観光という考え方も育っていなかった事情があります。

 しかしながら、スポーツツーリズム推進基本方針が策定されるなど、観光立国に向けて国が積極的に事業を進めつつあり、今後、地方自治体においても、国が展開する施策と連動して具体的な事業計画を立てる必要があります。

 今、国で進めているホストタウン構想は、東京オリ・パラ大会開催に向けて全国の自治体と参加国、地域との人的、経済的、文化的な相互交流を図るとともに、スポーツ立国、共生社会の実現、グローバル化の推進、地域の活性化、観光振興等に資する観点から、国全体で推進している取り組みであります。

 県におきましては、東京オリ・パラに出場する海外選手と交流するホストタウンの相手国として、中国に決定しました。そこで、ホストタウン構想について、県庁内の組織体制はどのように取り組まれているのか。

 また、29年度以降、毎年チャイナウイークを設け、県内の公民館等で、中国文化に親しむ活動や講演会やイベントのほか、講座、教室など市民活動を中心とした公民館交流、スポーツや学校交流が予定されているとするが、現時点で手を挙げている市町村は、県内77市町村のうちわずか5市町村、ほかの国と策定している三つの市を入れても8市町村、小さな市町村では、言語や運営のノウハウ、またボランティアの確保、人員の不足、地域の盛り上がりに欠けるなどの理由により、策定に踏み切れない実情が見られます。

 市町村と計画策定に向けて役割分担や連携が大切であるが、これから自治体の理解と参加はどのような施策で進められていかれるのか。

 以上、県民文化部長にお聞きします。

 ホストタウンに訪れる選手や観光客に、安心、安全なトレーニング場や移動、滞在、体験などを提供していくことは、観光推進を図る上で大切なことであり、観光大県づくりを目指すに当たっては極めて重要であります。

 スポーツ観光、ホストタウンや東京オリ・パラや国際大会の事前合宿誘致についての取り組みはどのようにされるのか。県観光機構や連盟とどのように役割分担をしているのか。事前合宿など選手の受け入れ施設、トレーニング施設などはどのように対応するのか。また、施設の充実している地域など、限られた市町村でなければ受け入れができないのではないか。

 以上、観光部長にお聞きします。

  

◎県民文化部長(青木弘)

 

 ホストタウン構想に関してのお尋ねでございますが、まず、県庁内の組織体制についてでございます。

 ホストタウンの開催は、地域づくりやインバウンド増加による観光振興、青少年への教育的効果といった開催効果が得られるものと考えておりますが、このため、中国を相手方として開催するホストタウン事業につきましては、その開催効果を高めるために、関係する部署、団体等に広く参加を呼びかけて、実行委員会形式で開催をすることとしたところでございます。

 具体的には、参画される五つの市町や県日中友好協会のほか、観光部のスポーツコミッション担当、県体育協会、県障害者スポーツ協会などに参加をいただいているところでございます。

 実行委員会での議論を中心に、スポーツ振興や観光振興などの目的を達成するため、関係各課と緊密に連携を図りながら多様な交流を進めてまいりたいと考えておりまして、この取り組みは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを目指すとともに、その成果を2022年北京大会につなげられるように取り組んでいきたいと考えております。

 次に、自治体の理解と参加を進める施策についてのお尋ねでございます。

 ホストタウンの開催は、先ほど申し上げました開催効果が期待できることから、県といたしましても、県内市町村のホストタウン開催への積極的な取り組みを支援しております。具体的には、市町村にホストタウンの開催について知ってもらうため、7月には内閣官房のオリンピック・パラリンピック事務局参事官に来県を要請し、県内2会場で説明会を開催して、およそ80名の参加者をいただいたところでございます。

 県といたしまして、ホストタウンの推進に関しましては、市町村に対して、みずから相手国を決めて自主的に交流事業を実施する市町村を支援するという基本的な姿勢を示すとともに、単独でホストタウンの開催が難しい市町村に対しましては、県と共同で中国を相手方とするホストタウンの開催への参加を呼びかけ、議員から御指摘いただきましたように、3市2町が共同開催に参加をすることとなってございます。

 今後、県内市町村に広く周知を図りまして、引き続き参加を呼びかけますとともに、関心のある市町村に対しましては、県の国際交流員や職員を派遣して積極的に相談に応じることや、各国の大使館とのつなぎ役になるなどの支援をしてまいりたいというふうに考えてございます。

 以上でございます。

 

◎観光部長(吉澤猛)

 

 東京オリンピック・パラリンピック等の事前合宿誘致についてのお尋ねでございます。

 スポーツツーリズムの振興による地域経済の活性化を図るため、本年8月23日に県は県内の51市町村、経済団体、スポーツ団体、県観光機構などと一緒になって長野県スポーツコミッションを設立し、各国代表チームの視察受け入れ等を始めております。

 事前合宿の選手受け入れに必要な競技施設、トレーニング施設等は、市町村みずから用意することが基本と考えております。また、事前合宿受け入れの際には、市町村が県観光機構や地元の観光連盟との間で宿泊先の確保や交通手段の手配など、それぞれ役割分担しながら受け入れていただくことになります。

 同コミッションは、スポーツ大会や事前合宿の情報に関しては、会員となっている市町村に対して、施設の有無にかかわらず共有させていただいておりまして、近隣市町村との連携によって、市町村の枠を超えた広域的な受け入れ態勢となる場合もあり得るものと考えております。

 県といたしましては、多くの市町村にメリットが及ぶような形で、ラグビーワールドカップ2019や2020年の東京オリンピック・パラリンピック等の事前合宿の誘致に向け、関係機関と連携を強化しながら取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

◆山岸喜昭

 

 次に、活火山の防災と観光についてお聞きします。

 気象庁は27年6月11日に浅間山に火口周辺警報で噴火警戒レベルを1から2に引き上げるという発表をしました。浅間山の火山活動の特徴は、活動が活発な火山であるが、比較的静穏な時期も地震活動、噴気活動が見られます。防災対応は、突発的な火山活動に備えて静穏時にも規制がかけられ、火山性異常を発表すると、適切に規制範囲を広げる措置がとられています。

 浅間山におきましては、長期火山活動の兆候がない、火山性地震、微動が発生しない、噴煙がない、のほうが危険であります。火山性地震の1日平均30回が引き上げ下げの条件の一つとされていますが、先週は21回から36回の観測とされています。

 1年以上が経過し、火山活動もやや平穏化しつつも、レベルが常時2から下がらないという状況は、上げ下げの基準が高く設定し過ぎているのではないかと感じているところであります。

 また、レベルの引き下げ、引き上げの判断基準は、気象庁のホームページにおいて既に公開されているところでございますが、この基準は、過去の噴火を踏まえ、科学的な見地のもと、現在の基準を気象庁が定めたものと理解しておりますが、なぜこの基準にしたのか、わかりにくいところもあります。

 つきましては、現在の浅間山のレベルの上げ下げの基準について、県ではどのように理解しているのか。また、この基準が設定された経過を気象庁から火山防災協議会の会議の場などで説明していただければ、地元としても理解しやすいと思います。そのような機会を設けるよう、気象庁との連携ができないものか。

 浅間山の防災体制でありますが、シェルター、監視カメラ、防災スピーカー、地震計、傾斜計、レベル化に対応した指導看板、ハザードマップ、ビジターセンターなど、他の火山にはない充実した火山体制になっており、さらに携帯電話の不感地帯を解消する拠点も設置され、より一層登山者への情報伝達の充実が図られております。

 気象庁が発表する噴火警戒レベルの情報を迅速に地元に伝達できるようになっているのか。また、その情報に基づき自治体が登山道の規制ができるようになっているのか。

 以上、危機管理部長にお聞きします。

 また、浅間山直轄火山砂防事業についてお聞きします。

 中規模噴火により発生する浅間山融雪泥流対策のため、国では噴火に備えて融雪型火山泥流や土石流による広範囲な社会的、経済的な被害をできる限り軽減するため、直轄事業が実施されております。

 浅間山麓に位置する小諸市内では、融雪型火山への備えと減災対策を話し合う災害対策会議が地元地区で開かれ、自主防災組織や連絡網について協議されています。

 緊急対策を迅速かつ効果的に実施するため、現在の警戒監視などソフト対策に加え、基幹的な施設の整備、緊急対応用の資材・機材の備蓄、工事用の道路の整備等、進捗状況はいかがか。そして、こうした国の取り組みを受け、近隣県や国との連携をも含め、減災効果を最大限に生かせるよう、地域住民の安全、安心を確保するため、県はいかに地元市町村と連携して対策を進めているのか。

 以上、建設部長にお聞きします。

      

◎危機管理監兼危機管理部長(野池明登)

 

 活火山の防災と観光につきまして、私には大きく2点、お答え申し上げます。

 まず、噴火警戒レベル2への引き上げ、またレベル1への引き下げ基準、これをどのように理解しているかという点でございます。

 噴火警戒レベルは5段階に区分されておりますけれども、この判定基準は、それぞれの火山におきまして想定される火山活動に基づいて定められておりまして、気象庁は浅間山の判定基準を本年3月に公表をし、詳細な基準を示したところでございます。

 それによりますと、浅間山のレベル2への引き上げ判定基準は、噴煙量の増加ですとか火山性地震の回数の増加ですとか、マグマの蓄積に伴う山体の膨張を示す地殻変動などの項目ごとに具体的な判断基準を設けております。

 例えば、噴煙量の場合ですと、二酸化硫黄放出量、これが1日500トン以上を継続的に観測することなどでございますが、これらのいずれかの現象が観測された場合に引き上げることとしております。

 また、レベル1への引き下げにつきましては、引き上げの際の基準の全ての現象が基準以下となっておおむね1カ月を経過し、その他のデータにも高まりが見られない場合とされているところでございます。

 浅間山は、御質問にもありましたとおり、火山活動が活発な山でありますけれども、観測体制が強化をされておりまして、その観測データや過去の噴火データなどが多く蓄積されておりますことから、それらデータに基づいた科学的な知見により判定基準が示されているものでありまして、これによりまして、客観的にレベルの引き上げ、また引き下げが判定され運用されているものと理解をしているところでございます。

 また、判定基準の設定経過、気象庁から説明の機会をということでございます。

 浅間山の判定基準、平成27年11月に開催をしました浅間山火山防災協議会の場におきまして、気象庁から構成機関に対し、基準とその考え方も説明が行われたところでございます。

 本年3月の判定基準公表の趣旨でございますけれども、これは、広く基準を共有をし、意識の向上や防災対応に役立てるというものでございます。

 議員御提案の気象庁による説明機会を設けることにつきましては、火山防災協議会の場などにおきまして、浅間山の火山活動の説明にあわせ、今後も行っていただくように気象庁に求めてまいりたいというふうに思っております。

 2点目の噴火警戒レベルの引き上げの際、迅速に情報伝達がされる体制になっているかというお尋ねでございます。

 噴火警戒レベルの引き上げの情報は、長野地方気象台が気象庁の発表にあわせて県に通知をし、県がファクスなどにより関係市町村に速やかに伝達をしてまいります。

 また、伝達の確実性を担保するために、浅間山火山防災連絡事務所からも関係市町村に速やかに伝達をいたします。

 市町村では、事前に噴火警戒レベルに応じた登山道の規制箇所を定めておりますので、噴火警戒レベルの引き上げが行われた場合には、規制箇所におきまして、迅速に規制ロープや案内看板設置等によりまして立ち入り規制を実施する体制となっております。

 なお、現在の噴火警戒レベル2に引き上げられた際にも、小諸市では規制箇所において迅速な対応がとられたところでございます。

 既に入山されている方でございますけれども、防災行政無線、またスピーカーによる放送、携帯電話への緊急速報メールの配信など複数手段で情報伝達を行い、速やかに立ち入り規制範囲外への退去を促す対策がとられているところでございます。

 今後も、訓練などの機会を捉え、関係機関が連携をして迅速に情報伝達を行い、的確な防災対策、防災対応がとれるよう、体制の整備を図ってまいります。

 以上でございます。

 

◎建設部長(奥村康博)

 

 順次お答え申し上げます。

 浅間山直轄火山砂防事業に関するお尋ねでございます。

 浅間山の火山噴火に起因する土砂災害に備えて、国が近隣県等と連携し、平成23年度に火山噴火緊急減災対策砂防計画を策定いたしました。長野県側の施設配置計画は、基幹的な施設として、恒久的な砂防堰堤が8基、緊急対応用施設としてのコンクリートブロックなどによる砂防堰堤が6基となっております。この計画に基づきます砂防事業につきましては、平成24年度に国において直轄火山砂防事業として着手されました。

 進捗状況につきましては、基幹的な施設の最初の1基目を蛇堀川において工事発注の手続中、緊急対応用の資機材として、コンクリートブロック1万6,000個を小諸市や佐久市の備蓄ヤードなどに整備済み、工事用道路につきましては、国有林内の林道に対して幅員の狭い箇所の拡幅や待避所の設置を行っているところでございます。

 次に、県の対策に関するお尋ねでございます。

 県といたしましても、関係市町村等の意見を聞きながら直轄火山砂防事業の着実な推進に向けて国に協力するとともに、引き続き予算の確保等を要望してまいります。

 直轄事業による減災効果を最大限に生かすためには、こうした国における計画的な事業の実施に加えて、地域における日ごろからの備えが重要と認識しております。地域の安全、安心のため、地域の皆様や市町村と連携し、防災訓練を継続して行うなど、日ごろから火山噴火に備えてまいります。また、緊急時には既存砂防施設の除石を行うほか、市町村への情報連絡員、いわゆるリエゾンを派遣し、県との情報共有が円滑になるよう努めてまいります。

 以上でございます。

 

◆山岸喜昭

 

ぜひ検討していただき、噴火警戒レベルの上げ下げの基準の参考にしていただきたいものであります。

 火山との共生に向けた取り組みについてお伺いいたします。

 火山は多くの地域で噴火災害やその危険と闘いながら、一方では、火山活動により生じた地形や地質、自然の恵みを享受しながら、火山と共存した社会活動を営んでいます。防災対策と観光振興を共存させることは不可欠であります。火山活動による自然の恵みには、その美しい景色や雄大な自然を楽しむ観光や登山、また、土地をつくり、人々に豊かな生活の場を提供してきたことを忘れてはなりません。しかし、一たび災害が起これば、付近の観光地からにぎわいが消え、客足が遠のく。

 多くの火山を抱える長野県は、観光と防災の両立が不可欠であるが、火山災害に強い観光地づくりはジオパークへの取り組みが非常に有効であり、火山防災の方策の一つとして期待できるものであります。

 浅間山は、災害に対する観測、監視、防災体制の充実、また周辺地質全般に関するジオパーク構想に取り組み、そしていわゆる防災と言わない防災を追求することによって、ツーリズムのその最前線に立つことができる活火山であると思います。

 次の噴火は必ず来ます。それからそれを乗り越えてさらに発展していくためにも、ジオパークを大切に、きちんと今後の取り組みを進めていくことが大切であります。火山災害に強い観光地になるためについて、知事のお考えをお聞かせください。

 

◎知事(阿部守一)

 

 お答えします。

 火山災害に強い観光地になるための取り組みについてという御質問でございます。

 御質問にもありましたように、長野県には多くの火山がございます。火山と共生をしていかなければいけない県でありますし、特に観光大県を目指す私ども長野県としては、この観光と防災、両立をさせていかなければいけないというふうに思っております。

 そういう観点で、平成23年度から、地域防災計画の中に新たに観光地における災害対応という節を設けまして、火山災害も含めた防災対策を進めております。

 世界ジオパークにも認定されております長崎県の島原半島におきましては、火山活動で形成された景観、地層、温泉、歴史、文化遺産、こうしたものをめぐりながら防災の知識も学べるガイドツアーが実施されているということであります。ジオパーク、火山災害や防災も学ぶことができます観光地づくりとして有効な方策の一つだというふうに考えております。

 本県におけるジオパークは、現在、南アルプス、それから苗場山麓、この2地域でありますが、今後も市町村の意向を踏まえながらジオパーク認定に向けた取り組みを支援してまいりますとともに、火山を初めとする貴重な地質遺産についても、観光資源として積極的に活用する方策を考えていきたいと考えております。

 以上です。

 

◆山岸喜昭

 

 ぜひジオパーク構想はお願いをしたいと思います。

 火山との共生は、この火山の持つ二面性を認識し、火山は人々の生活を支えている自然の一部でもあり、それを敬い、理解し、ともに生きるという基本姿勢を共有することが重要であります。過去何度も火山噴火災害を受けながらも、火山を観光資源として活用するなど、火山と共生している事例が数多く見られます。県の火山観光への支援を期待申し上げまして、質問を終わります。