平成28年11月定例県議会 発言内容(今井愛郎議員)


◆今井愛郎

   

 信州・新風・みらいの今井愛郎です。通告に従いまして、順次質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 一つ目に、がん診療連携拠点病院等への支援体制についてお伺いしたいと思います。以下、山本健康福祉部長にお尋ねいたします。

 この病院を維持していくためには、診療体制、診療実績、研修体制など細かく指定要件が定められており、2年に一度県の機能評価を受けなければなりません。また、拠点病院には1台7億円とも言われる放射線治療装置の設置が義務づけられております。

 現在、拠点病院で放射線治療装置を2台所有しているのは、先日2台目を設置されました長野日赤を含めて3院ある一方で、諏訪、飯田、伊那、北信の2次医療圏では放射線治療装置は1台しかなく、この拠点病院が機器の入れかえを行うと、半年以上その2次医療圏では放射線治療が受診できないこととなります。拠点病院の設置目的であったがん治療の均てん化を損なうことにならないでしょうか。

 現在、がん治療機器購入に対し、長野県は補助率3分の1、マックス3,240万円のがん医療提供体制施設整備補助金を設けておりますが、これは、がん診療連携拠点病院に限らず、がん医療を提供する全ての病院が対象となっております。日進月歩のがん治療の現場で専門性の高い医師を確保していくには、先進医療機器の導入は欠かせないものとも聞いております。

 がん診療連携拠点病院等の設置が始まって10年が経過し、そろそろ治療機器の入れかえも行われる時期ではないかと推測すると、がん治療全体ではなく、がん診療連携拠点病院等向けの補助メニューが必要ではないかと考えますが、御所見をお尋ねいたします。

 また、地域拠点病院には緩和ケア設置が義務づけられておりますが、病床までは義務づけられておりません。しかし他県では、拠点病院の専門性を生かして緩和ケア病棟を併設しているところもあるようですが、緩和ケアの現状に対する御所見と今後の対応をお尋ねいたします。

     

◎健康福祉部長(山本英紀)

 

 1点目は、がん拠点病院への支援のあり方についてのお尋ねでありました。

 医療機関は、基本的には、機材の購入費用も勘案した上で設定されております診療報酬による収入の中で中長期的な計画を立て、施設や設備の整備を行っているものと認識をしております。

 そうした中、がん診療連携拠点病院は、質の高いがん医療に必要な診療機能を備えていることから、診療報酬上の加算が措置されているところであります。また、がん相談支援事業やがん医療従事者研修事業など、診療報酬として算定されない各種事業については、拠点病院補助事業としてその経費について助成を行っております。

 しかしながら、高額な医療機器等の設備整備は医療機関の負担も大きいことから、国は、がん対策基本法の成立の際に、放射線治療の普及を図る観点から、放射線治療機器の整備に関する補助を行っておりました。また、県においても、これまでがん診療水準の維持向上を図る観点から、設備整備の必要性について個別に検討を行い、地域医療再生基金等を活用して助成を行ってきております。

 御指摘の拠点病院における機器更新については、医療機関から御相談があった場合には、拠点病院の位置づけを踏まえ、診療報酬上の措置、設置主体や国、地元自治体との役割分担、機器更新の必要性などを十分勘案した上で県としての支援のあり方を検討してまいりたいと考えております。

 次に、緩和ケアの現状と今後の対応についてのお尋ねであります。

 緩和ケアは、がんと診断されたときから、身体的苦痛や精神・心理的苦痛を緩和する上で重要であり、拠点病院を中心に、緩和ケアチーム、緩和ケア外来の設置など、専門的緩和ケアの提供体制の整備を進めております。

 また、緩和ケアを担うスタッフが不足していることから、入院、外来、在宅等の診療の場を問わず、切れ目のない質の高い緩和ケアを提供するよう、拠点病院以外のスタッフを含め、緩和ケア研修会の受講を勧めているところであります。

 緩和ケア病棟は、主に治療が困難な方や治療を希望しない方に緩和ケアを専門的に行う病棟として、病状が進んだ患者への医療提供に大切な役割を担っているものと認識しております。

 緩和ケア病棟について、来年度の整備を希望する病院や、今後整備したいとする病院の意向をお聞きしておりますので、県の支援策等を検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

           

◆今井愛郎

 

 がんの拠点病院につきましては、県が指定を行っている、認証している制度でございます。ぜひとも個々の対応ということではなく、県としてしっかり対応していただきたい。そしてまた、大北地域には、2次医療圏で唯一、いまだこの診療所もございません。村上議員も質問されておりましたけれども、ぜひとも2次医療圏に全て設置できるようお願い申し上げまして、次の質問に入らせていただきます。

 高校フロントランナー改革、いわゆる第2期高校再編と中高一貫校について、以下、教育長にお尋ねいたします。

 一つ目としまして、第1期高校再編を受けての高校フロントランナー改革かと思いますが、県民に対しては非常にわかりにくい発信になっていませんか。私は堂々と第2期高校再編と発信して、統廃合を含めた県立高校のあり方を議論すべきと考えます。なぜこのような回りくどい言い方になったのでしょうか。

 二つ目、通級指導につきましては午前中の毛利議員の答弁にありましたので割愛しますが、小林東一郎議員が提案していた特別支援に特化した高校の設置についてのお考えはいかがでしょうか。

 三つ目、今回の基本構想で、地域性、学校の専門性等を考慮して統廃合の検討基準が設けられたことは評価いたしますが、誰が主体的に進めていくべきとお考えでしょうか。

 四つ目、県立の中高一貫校の設置については、屋代、清陵一貫校の卒業生の状況を検証してからとのことですが、今回の改革にあわせて一緒に検討しなければ、地域全体の高校のバランスのあり方が議論できないのではないでしょうか。

 五つ目、清陵中高一貫校にことし入学した生徒の実に9割以上が塾通いをしていたと聞きます。清陵中の地元で私の地元でもある諏訪市内の小学校では、清陵中に行きたければ塾に行かなければならないというのが保護者の共通認識になっていると思います。県立の中高一貫校の設置が、結果的に受験戦争の低学年化を招き、塾に行ける家庭と行けない家庭の所得格差による教育格差を生じさせることになっていないでしょうか。

 六つ目、清陵中では、公立高校を受検して他校への転校も可能という話が出てきていますが、県としてはどのような指導をされていますか。

 七つ目、今回の改革で、知・徳・体教育と探求的な学びを掲げていますが、清陵中高では、人数の関係等もあり、野球、サッカーなど運動系の部活動の設置ができないと聞きます。県内の中学校では、部活動も教育の一環として捉えているものに対し、中高一貫校では、部活動の選択肢が限られ、目標に掲げている知・徳・体教育につながらないのではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。

 最後に、今回の改革では、大学入試改革にあわせて探求的学びを大切にしており、必然的に高校入試のあり方も変わってくると思います。変わる高校入試に対して対応していくためには、小中の指導方針も変えていく必要があると思いますが、小中との連携についていかがお考えでしょうか。

 以上8項目、教育長にお尋ねいたします。

      

◎教育長(原山隆一)

 

 学びの改革基本構想(案)と中高一貫校についての御質問でございます。順次お答えを申し上げます。

 学びの改革基本構想(案)の発信について、わかりにくいのではないかというお話でございます。

 ことしの3月にまとめられた長野県高等学校将来像検討委員会の「審議のまとめ」の中で、今時の激変を、長野県の高校教育を21世紀型学力を育む教育に改革するための絶好の機会ととらえ、長野県の伝統や特長、地域性を活かしながら、長野県高校教育が「21世紀型教育のフロントランナー」として踏み出すべきという指摘を受けたところでございます。

 県教育委員会では、この審議のまとめを踏まえまして、次期再編計画は、少子化に対する単なる数合わせではなく、新たな社会を創造する力を育む教育に転換する機会と考えて基本構想案を作成いたしましたけれども、議員の御指摘につきましては、教育の質の向上や教育方法の改善の部分と、再編基準を示した部分との間のつながりに欠けるという意味でも受けとめさせていただきまして、引き続き検討してまいりたいと思います。

 次に、特別支援に特化した高校の設置についてのお尋ねでございます。

 現在、中学校の特別支援学級を卒業した生徒の7割近くは高校へ進学しております。各高校では、特別支援教育の校内の指導体制の充実を図っているところでございます。

 高校におけるインクルーシブ教育の推進を目指しておりまして、特別な支援を要する生徒だけを対象とした高校の設置については、現在検討はしておりません。

 検討基準に該当した場合の検討の推進主体についてでありますが、今回、基本構想案の中で、県教育委員会は高校の設置者として再編基準を示したところであります。そして、再編基準に該当する前段階として、将来検討基準というものを設けまして、県教育委員会と学校との間で将来のあり方について検討を開始する手順も提示をしております。

 再編基準に該当した場合には、どのような選択肢をとるかについて、学校や地域と丁寧に話し合いを行っていく所存でございます。再編に当たっては、県教育委員会が主体的な意思を示しながら、このような県民参加のプロセスをとることとしているものでございます。

 次に、中高一貫校の検証についてでありますが、中高一貫校は、中学校と高校を接続した6年間の学校生活の中で、計画的、継続的な教育課程を展開することによりまして、生徒の個性や創造性を伸ばすことを目的としております。

 両附属中学校では、この導入目的に沿って6年間の計画的、系統的な学びの中で高い知性と創造力の育成を目指し、中学校段階からじっくりと学び、深く考える学習を実践しているところであります。

 両校は、6年間の教育計画や中学卒業後のクラス編制などにおいて異なる方式をとっておりまして、検証が可能となるのは、両校生徒がともに卒業する平成32年度以降となる見込みであります。

 昨年度行った県民アンケートでも、中高一貫校についてはさまざまな御意見があり、両校の6年間の教育課程を全て終了した後に、慎重に検証し議論することが適当と考えております。

 少子化の進行は待ったなしの状況でありますので、高等学校の再編については、それぞれの地域の状況に応じまして、中高一貫校の議論に先んじて進められなければならないというふうに考えております。

 中高一貫校の受検についてのお尋ねです。

 ただいまお答えしたとおりの方針のもとに、本県の中高一貫教育は、将来、リーダーシップを発揮し、社会のために貢献できる骨太の人材を育成することを主眼とした学校です。

 受験競争の低学年化を招くという御指摘でございますけれども、入学者選抜時の適性検査の問題は、習得した知識の量を問う内容ではなくて、学習指導要領の範囲で、小学校6年のおおむね11月までに学習した内容をもとにしており、附属中学校の入学後に求められる思考力、判断力、表現力等を見るものであります。

 今後も、検査問題の作成に当たっては、小学校の通常の学習で十分対応できる内容となるよう留意していくこととしております。

 有為な人材を育成する学校の存在は大変大事なことだと思っております。同時に、意欲、能力、適性のある子供たちが、家庭の所得に関係なく挑戦できることも大変重要なことでありまして、長野県子どもの貧困対策推進計画に基づきまして、全ての子供たちが学びたいことを学ぶことができることを目指して、知事部局と連携し、積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 諏訪清陵高校附属中学校生徒の進学についてですが、中高一貫校は、6年間の一貫した教育課程や学習環境のもとで計画的、継続的に学ぶことを前提としておりまして、中学3年次で他の高校へ進学することは想定しておりません。ただし、転居等のやむを得ない事情については別途対応いたします。もし、他の高校を受検することになった場合については、入学辞退届の提出が必要であり、その場合、諏訪清陵高校への進学が不可となることは生徒に周知しております。

 中高一貫教育の趣旨を児童生徒、保護者の皆さんにきちんと御理解いただくよう、今後一層進めてまいります。

 諏訪清陵高校附属中学校における運動部の活動ですが、県立中学校におきましても、他の公立中学校と同様、部活動を協調性、豊かな情操、道徳性等を涵養する場として捉え、活動を積極的に奨励しております。大半の生徒がいずれかの部に所属し活動しております。

 諏訪清陵高校附属中学校では、運動部が六つ、文化部が五つありまして、約87%が所属し、限られた練習時間内で活発に活動しております。文化部も含めて、部の数や活動状況は、同規模の他の公立中学校と比べても遜色ない状況です。

 運動部は、種目のバランスや活動場所等を考慮して、陸上部、男女バレーボール部、男女バスケットボール部、卓球部があり、日々の熱心な練習、高校生や他の公立中学校との合同練習を通して、健やかな心身の育成に資するとともに、レベルの向上等を目指しております。

 また、生徒数の減少によりまして、運動部の活動に支障がある場合は、他の公立中学校との合同チームを結成することも可能でありまして、県立中学校でも同様の対応となります。

 それから、最後に、探求的な学びにつながる小中学校における教育の充実についてであります。

 ここ数年、長野県の高等学校入学者選抜学力検査におきまして記述問題を充実している意図は、議員御指摘のとおり、小中学校において、知識、技能に加えて、思考力、判断力、表現力等をバランスよく育む教育を一層推進するためであります。

 小中学校の学習では、教科学習や総合的な学習の時間において体験活動や話し合い活動を取り入れ、子供たちの考えを深めたり広げたりしてきております。さらに、学習指導要領改訂の方向を見据えまして、教科特有の見方、考え方を働かせながら問題発見・解決を行う深い学びを通して、知識、技能の確実な定着や思考の深まりを目指したいと思っています。

 今回、県教育委員会が策定した学びの改革基本構想(案)によって、小中学校の学びと高校の学びが探求的な学びにより貫かれたというふうに思っております。今後、小中学校と高校でビジョンを共有し、長野県の子供たちに新たな社会を創造する力が育まれるよう、教育活動の一層の充実に取り組んでまいりたいと考えております。

            

◆今井愛郎

 

 この高校改革につきましては、また委員会でしっかりとやっていただきたいと思いますが、一つ、部活につきましては、松本の秀峰中等教育学校では、5年生まで一緒になってやるなんていうことも取り入れながら部活動をやっております。中学生にこだわらず、中高一貫校のよさをぜひ生かした形での部活動も検討していただきたいなと思います。

 続きまして、大北森林組合の補助金不正受給について、まず、以下5項目、林務部長にお尋ねいたします。

 一つ目に、大北地域の森林を守っていくためにも、早期に事業を再開させたいという気持ちはよく理解できます。しかし、いまだ県が受理できるような補助金返還計画書を提出していない大北森林組合に対し、入札停止期間が終わったからといって、新年度予算編成に係る要望調査を行うことは時期尚早ではないでしょうか。県民の理解は得られないと思います。大北森林組合の要望調査につきましては、補助金返還計画書の受領後に行うべきと考えます。当初予算に間に合わないのであれば、補正予算対応ということも考えるべきだと思いますが、御所見をお尋ねいたします。

 二つ目に、先日行われた県民向け説明会において、告知方法等に問題があったことは事実ですが、検証委員目線の意見を公開したことは評価に値すべきことだったと私は思っております。

 その説明会で、現在県のコンプライアンス推進参与でもある大久保氏が、不正を生じた背景には、一つとして、大北森林組合が補助事業者である一方で、山林事業者でもあったこと。二つ目に、長野県の気候風土を考慮すると、補助申請を6期に分けると年度内の完了は不可能であり、結果的に期ずれを生じさせることになったと指摘されましたが、この件における御所見と御意見をお尋ねいたします。

 さらに、大久保氏は、私も以前指摘したように、組合の利益は1,000万円程度であり、どのような事業展開を考えているかわからないが、到底組合からの全額返済は望めないのではないかという趣旨の発言をされておりました。この発言についての御所見をお尋ねいたします。

 四つ目に、先日の一般質問で、小林議員が、ひふみ林業の代表取締役、村松一彦氏が大麻取締法で逮捕されたことにより、新たな県民負担が生じるのではないかという疑念を投げかけられました。ひふみ林業への返還請求以降、県は同社に対しどのようなアプローチをしてきたのか時系列で御説明をいただくとともに、ひふみ林業が県の入札業者になれたこと自体が不思議だという御指摘もあります。入札業者に選定された経緯に全く問題がなかったのか、御所見をお尋ねいたします。

 五つ目、1月には組合から補助金返還計画書の提出があるわけですが、この返還計画書の妥当性を誰が判断していくおつもりか、御所見をお尋ねいたします。

      

◎林務部長(池田秀幸)

 

 最初に、大北森林組合に対する事業の要望調査についてのお尋ねでございます。

 補助金の要望調査は、全ての事業主体の事業量の要望を調査いたしまして、来年度の事業計画を検討するための基礎資料とするために実施したものでございます。

 大北森林組合では、補助事業は現状では実施しておりませんが、今後の補助事業の実施につきましては、内部管理体制の整備や補助金返還に係る状況など、今後の状況等を踏まえて適切に判断してまいりたいと考えております。

 次に、検証委員、現在の改革推進委員の発言についてのお尋ねでございます。

 改革推進委員の御指摘につきましては、森林組合の最も重要な業務は、森林所有者に対する森林整備計画策定などのコンサルティング的な業務にできる限り特化させるべきとの発言と私どもは受けとめております。

 森林組合は、森林所有者である組合員のために直接奉仕することを事業目的としており、組合員に対する森林経営の指導や森林整備の計画づくりなどの業務は、改革推進委員のおっしゃるとおり、協同組織たる森林組合の重要な業務であると認識をしております。

 また、森林の施業につきましては、組合員のニーズや地域の状況によりまして、森林組合ごとにみずから整備するか、外部発注にするかを判断し、実施をしております。

 いずれにしましても、補助金不適正事案の反省点でもあった透明性の高い経理処理や組合運営が重要と認識しております。

 このため、既に常例検査につきましては、個別事業の事務処理や経理の流れを確認するなど内容を見直すとともに、公認会計士に同行いただくなど、検査内容や体制を強化したところでございます。

 次に、造林補助事業の受け付け期間についてのお尋ねでございます。

 従来、年6回の交付申請を認めておりましたが、今回の事案では、年度末に申請が集中したことや、積雪期と重なり現地調査が困難であったことから、書類審査や現地確認が適切に行えない要因になっておりました。このため、第6回交付申請の受け付けを原則廃止する要領改正をことし5月に行ったところでございます。

 あわせて、2人体制による調査実施など、完了調査などの厳格化のための制度改正も行っておりまして、今後は、未完了のまま補助金を交付するといった不適正な対応が行われないよう、厳正に取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、大北森林組合の補助金返還の見込みについてのお尋ねでございます。

 改革推進委員の御発言については、大北森林組合が自力で復活することは不可能であるため、有識者からのアドバイスをもらう必要があるとの趣旨と理解しているところでございます。大北森林組合においては、9月には大北森林組合再生本部を立ち上げ、公認会計士など外部有識者からの意見を伺いながら、補助金等返還計画の見直しを現在行っているところでございます。

 なお、大北森林組合は、抜本的経営改善方針におきましても、補助金返還の確実な履行を行う覚悟としているところでございます。

 県としては、返還請求しています補助金を計画的に返還させることが県の財政負担の最小化につながることから、大北森林組合が抜本的な経営改善による再生を進め、返還請求している補助金を早期に返還するしっかりした計画の策定を強く求めているところでございます。

 次に、ひふみ林業に対する対応についてのお尋ねでございます。

 ひふみ林業につきましては、平成27年10月及び平成28年2月に合わせて10件、約1,502万円について交付決定を取り消し、補助金返還請求を行っております。

 いずれの請求も、期限までに返還が履行されなかったため、平成27年12月及び28年4月の2回、督促状を発出しております。これまで、平成27年12月以降、主に県外にいる代表者を6回にわたり県庁または北安曇地方事務所に呼び出し、補助金返還に応ずること、会社の経営状況や資産状況などの資料を添付して適正な補助金返還計画書を提出することなどについて厳しく指導してまいりました。

 この間、代表者は、分割納付により全額の補助金返還に応ずる意思表示をいたしましたが、約束した期限までにその履行に向けて約束した資料をきちんと提出しないため、再三にわたり、できる限り面談による指導を行うとともに、その間も電話や文書で何回もその履行を促してきたところでございます。

 次に、森林整備業務の入札参加資格についてのお尋ねでございますが、入札参加資格につきましては、入札参加資格者に係る入札参加停止措置要領に基づきまして、建設工事などに関する粗雑工事、事故、談合、書類などの虚偽記載などがあった場合、また、代表役員などの犯罪行為があった場合に入札参加停止が行われることとされております。

 ひふみ林業につきましては、造林の補助事業での不適正受給はありましたが、その当時、代表役員などが犯罪の容疑の起訴などがなかったことから、入札参加停止の基準には該当しなかったものと考えております。

 今回の大麻取締法違反容疑につきましては、代表役員等が禁固以上の刑や罰金刑などの罪に問われることとなった場合に入札参加を停止することとされていることから、事案の状況に基づき、適切に対応してまいりたいと考えております。

 次に、補助金返還計画の妥当性の判断についてのお尋ねでございますが、御承知のとおり、大北森林組合は、抜本的経営改善方針を策定いたしまして、これに基づき、再生に向けた検討をするとともに、組合の事業経営計画や補助金返還計画の見直しを現在進めておりまして、来年1月までにこの計画を策定するとしているところでございます。

 県としては、実現性、確実性や補助金の早期返還の観点から、事業経営計画や補助金返還計画の見直しを求めているところでございまして、計画が提出されましたら、この点について精査を行い、林務部改革推進委員会の有識者の意見などもお聞きしながら判断してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

      

◆今井愛郎

 

 ひふみ林業については対応していただいていたということで感謝申し上げますが、損害賠償が可能となる部分が1,700万円ほどあると思いますが、これについてどういう対応をされているのか。

 それからまた、ひふみ林業は、この間も実は公共事業を落札しておりまして、やはりそういったところへの対応が甘かったのではないかと思いますが、こういったところへの対応、県の事業ではございませんでしたが、そういった事業への対応。落札された事業費が入るときに例えば集金するとか、そういったことをすることによって回収ができるんじゃないかと思いますが、その辺についてはいかがだったんでしょうか。

 そしてまた、大北森林組合は、小橋興業に対して、未施工の高規格道路4億6,000万円余の返還があると思うのですが、これについての返還請求等は、大北森林組合に指導しているのでしょうか。

 また、組合の決算書を見ると、納税をしている時期もあり、税制の繰戻し還付制度や補助金返還の決定に伴う更正の請求をさせて、返還財源の確保に努めると思いますが、県林務部はどんな指導をされているのか。以上、林務部長にお尋ねします。

 引き続き、阿部知事にお尋ねいたします。

 県が行った大北森林組合の補助金返還請求の履行延期の手続について、財務規則256条1項で、「財産管理者は、履行延期の特約等をする場合には、担保を提供させ、かつ、利息を付さなければならない。」と規定しております。さらに3項で、担保の増額や保証人の変更等も規定しておりますが、今回の対応はどのような対応でしょうか。

 二つ目に、地方自治法施行令では、171条の6で、「債務者が無資力またはこれに近い状態にあるとき」は、「当該債権の金額を適宜分割して履行期限を定めることを妨げない。」と規定されているとともに、171条の7で、「当初の履行期限から10年を経過した後において、なお、債務者が無資力またはこれに近い状態の場合は、当該債権を免除することができる。」と規定するとともに、この免除をする場合には議会議決は不要と定めております。まさか今回の大北森林組合に対し、この規定を準用していくおつもりはないと思いますが、確認しておきたいと思います。

 また、先ほどの藤岡議員の答弁の中で、これからの説明会をやる、やらないということについては、答弁の趣旨を聞いている範囲だと、やるともやらないとも言っていないとしか聞こえなかったんです。私はやっていくべきだと思います。知事はやるつもりの中で時期を見計らっているのか、それともまだ、やる、やらないも全て未定なのか。その辺についての御答弁をいただきたいと思います。

      

◎知事(阿部守一)

 

 大北森林組合に関連して、3点御質問いただきました。

 まず、大北森林組合からの担保の提供と延滞利息の扱いについてでございます。

 組合は、無資力に近い状態であるということから、債務額に見合う担保の提供は現実的に困難な状況だというふうに考えております。

 組合の補助金返還債務の履行期限の延長処分を行うに当たりましては、財務規則の第256条1項のただし書きがございます。ただし書きの規定に基づいて、特別の事情がある場合として、債務額に見合う担保の提供を免除いたした上で、できる限りの担保として、組合の所有する土地、建物を提供させたところでございます。

 また、履行期限延長期間中の延納利息につきましては、組合が無資力に近い状態にありますことから、財務規則の規定に基づき、付さないという形にいたしております。

 自治法施行令171条の関係でございます。

 この規定、議員の御質問で引用されていたとおりでございます。大北森林組合に対しましては、現在無資力に近い状態だというふうに考えておりますので、履行期限の延長処分を行っているところでありますが、抜本的な経営改善を進めて補助金返還計画を見直し、早期の返還を行うよう求めている状況でありますことから、自治法施行令171条の7の規定を適用することは念頭にございません。

 事案に関する県民説明の実施についてでございます。

 これについては、先ほども御答弁申し上げましたが、県民に対する説明というのはこれまでも行ってきておりますし、これからも行います。ただ、そのやり方、時期、参加メンバーとか、一般の県民に広く呼びかけるか、そうしたことを含めて、今後よく検討していきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

     

◆今井愛郎

 

 ぜひ県民向けの説明会を開いていただきたいと思います。広い県土の中ですから、例えばテレビ電話を使ってやるとか、いろいろな方法もあると思いますので、最新のやり方の中で、知事が全部の会場に行くというのはなかなか無理だと思いますから、そういう中での開催をぜひ検討していただきたいなと思います。

 それから、12月中には1審が結審し、1月には返還計画が再提出されますが、大北問題について先送りを繰り返しても、県政にプラスになるとは思えません。組合の現状や公認会計士の大久保氏の指摘を考えれば、組合が全額返還することは相当厳しいわけで、先ほどの質問にあったように、作業実施部分を精査して、実施部分は返還を求めないなどの決断をして、より現実的な返還計画の作成を求め、後世の議員あるいは知事にツケを回さないことがトップの決断として必要ではないかと思いますが、阿部知事の御所見をお尋ねいたします。

           

◎知事(阿部守一)

 

 大北森林組合の問題につきましては、私は法令に基づき厳正に対応していくということが県民の理解を得る最善の道だというふうに考えております。

 大北森林組合からは、何年かかっても返還をするという意思表示をしていただいているわけであります。現在、専門家等の指導のもとで補助金返還計画等の抜本的な見直しを進めている段階であります。1月末までに見直しした計画を提出する旨、お約束をいただいているところでございます。

 県としては、1月末までに組合から提出されます補助金返還計画の内容を精査した上で、補助金返還が早期かつ着実に履行されるよう、適切に対応していきたいというふうに考えています。

 以上です。

      

◆今井愛郎

 

先ほど171条の話をしましたが、阿部知事が返還中ずっと知事をやっているということはあり得ないわけで、そのときの知事が、前の知事のやったことだからもう返還しなくていいよと。そんなことになるよりは、ここでしっかりと阿部知事が責任を持っていただくことが自分の責任ではないかと思っていますので、ぜひ検討をお願いしたいと思います。

 最後に、説明会で大久保氏は、大北森林組合問題ばかりでなく、県のうみを出し切るにはまだまだ二、三年が必要で、痛みを伴うこともある。観光部の不正については、以前から疑念を指摘していたともおっしゃっていました。

 今議会で、同僚の寺沢議員が、県の外郭団体である文化事業団への補助金支出の不適正性や、公演が事前告知されていたことを指摘していますが、これも県職員と文化事業団のなれ合いであり、補正予算を一般質問の議案質疑の対象としているにもかかわらず、財源不足となったことを議会で追加説明しなかったのは、担当職員の意識が低かったからではないでしょうか。

 長野県議会本年最後の一般質問として、阿部知事がこの1年、県政の重要課題の一つとして取り組んでこられた職員の意識改革やしごと改革、コンプライアンスなどに向けた思いと決意を再度お伺いして、一切の一般質問を終了させていただきます。

     

◎知事(阿部守一)

 

 大久保参与の御意見にもありますように、二、三年うみを出す時期になるだろうというふうに御指摘いただいておりますけれども、まずは長野県のこれまでの取り組みをしっかりと検証して、そして、決して不適正な事案を隠れて処理する、見えない形にするのではなくて、しっかりと公にする中で、改善点を県民の皆様方にもお示ししていくということが大変重要だというふうに思っております。

 職員の意識改革、組織風土改革、しごと改革、こうした取り組みを進めております。今、各部局が主体的に取り組みを行っているわけでありますけれども、全庁的にもこうした取り組みを統合して、さらに次のステップに進めていかなければいけないというふうに思っております。

 県民からの信頼を得られる組織というのは、行政機関としてはもう当たり前の話であります。そうした当たり前のことを全職員としっかり共有して、コンプライアンスの推進にさらに取り組んでいきたいというふうに考えております。

 以上です。