平成29年6月定例県議会 発言内容(今井愛郎議員)


◆今井愛郎

   

 信州・新風・みらいの今井です。通告に従いまして順次質問してまいります。

 まず初めに、大北森林組合の補助金不正受給に関連して、林務行政についてお尋ねします。
 知事は、昨年2月の定例会議案説明で、林務部に技術職以外の職員を増員して外の風を吹き込むなどコンプライアンス推進に努め、組織風土改革を着実に進めると表明されました。それを受けて、昨年4月の人事異動で、林務部に技術関係者以外の職員配置をふやし、目玉は池田林務部長の登用だったと思います。しかし、1年後の本年4月の人事異動で山﨑部長が登用されました。人事が知事の専権事項であることは十分に承知しているつもりですが、以下3点、阿部知事にお伺いいたします。
 一つ目、ことしの林務部人事異動についても、昨年2月に知事が表明された事項は勘案されているものなのでしょうか。
 二つ目、定年等があったとはいえ、補助金不正受給を公表して以降、わずか2年数カ月で部長が3人かわりました。たび重なるトップの交代が県民あるいは働く職員にとって有用な異動であったとお考えでしょうか。
 三つ目、知事が目指す林務部の組織風土改革等を100としたならば、この1年でその改革はどの程度進捗したと感じられていらっしゃいますでしょうか。
 続いて、以下3項目、林務部長にお尋ねいたします。
 県は、6月9日、共産党町議でもあった上伊那郡の事業者に平成24年度に交付した補助金235万7,000円余の交付決定取り消しを行いました。プレスリリースによれば、これは本人の申し出ということになっておりますが、一つ目として、この時期の補助金は大北森林組合の不正受給を受け全件調査をしたはずではなかったのでしょうか。また、書面が整っていたとしておりますが、大北森林組合も書面は整っていたわけで、新たな返還の発覚は現地調査を省略したことが原因であり、調査自体が不十分であったと言わざるを得ないのではないでしょうか。
 二つ目、補助金の調査方法が旧地方事務所で異なっているとのうわさを聞きました。そもそも、調査方法は県下で統一されていたのでしょうか。
 三つ目、今回の補助金には国庫補助金部分が含まれていると思います。加算金等、国との調整はどうなっているのでしょうか。
      

◎知事(阿部守一)

 

 林務部の人事異動等について御質問をいただきました。
 まず、平成29年度の林務部の人事異動についてでございます。
 林務の技術職員がほとんどを占めていたのがこれまでの林務部でありました。同質性が極めて高いわけでありまして、専門的な観点では非常にすぐれた組織だと思いますが、ただ、他方で、人間関係が固定化しやすく、風通しが場合によっては悪くなりがちな部分もあるというふうに考えております。そうしたことから、平成28年度から、御指摘のような林務部の林業技術職とそれ以外の職員との交流を大幅にふやそうという取り組みを進めてきております。
 地域振興局を設置いたしました本年4月の人事異動におきましてもこうした職員を増員しております。その結果、以前は、地域振興局、かつての地方事務所の林務課の管理監督職全てを林業職が占めていたわけでありますが、10局のうち半分の5局において事務職を課長または係長として配置をさせていただいております。また、担当職員を含めますと、全ての地域振興局で林業職以外の職員を配置している状況であります。各所属の要所にさまざまな職場を経験した職員が配置され、多様な視点からの指摘やチェックが入ることによりまして、これまで、ともすると慣例に流されがちだった仕事のやり方の見直しであったり、あるいは専門的な内容をわかりやすく伝えていく。私も、林務の職員、技術系の職員の皆さんと話すと、なかなか用語自体がわかりにくいなということがあるわけですが、専門的な内容をわかりやすく伝えてもらうという意識の向上、さらには職員の視野の拡大、こうした効果が出てきているものというふうに考えております。今後とも、交流を継続して組織風土改革に取り組んでいきたいと考えています。
 それから、部長の異動についてでございます。
 個別具体的な人事異動の考え方について申し上げることは差し控えさせていただきますが、その時々の状況あるいは行政課題に対応して県民の皆様の御期待にしっかりと応えられるように適材適所で人事配置を行っている状況でございます。
 それから、コンプライアンスの推進についてでございます。
 林務部におきましては、一昨年から林務部コンプライアンス推進行動計画を策定して、再発の防止、また、県民の皆様方からの信頼回復に向けた取り組みを進めてきております。林務部改革推進委員会の皆様方からも一定の成果が出てきているというふうに御評価をいただいております。
 組織風土改革あるいはコンプライアンスの徹底、これを将来にわたって常に継続的な改善に取り組んでいくということが重要だと考えておりますので、これで100点だという意識は余り持ってはおりません。まだまだ取り組むべきことは多いわけでありますので、林務部のみならず全庁的にしっかりとコンプライアンスの取り組みを徹底していく中で、県民の皆様方から信頼され、真に期待に応えることができる県組織へと変えていきたいというふうに考えております。
 以上です。
      

◎林務部長(山﨑明)

 

 3点お尋ねいただきました。
 初めに、補助金不適正受給事案での緊急点検についてのお尋ねでございます。
 上伊那地域振興局管内の事案は、虚偽の森林所有者の同意書を添付しておりまして、また、全域の森林整備を実施したとする虚偽の申請により補助金の交付を受けていたものでございます。大北森林組合の不適正受給事案の判明を受けた際の緊急点検においては、当該事案は書類調査上の問題がなかったことから、不適正申請とは認識できていなかったものでございます。
 緊急点検は、造林補助事業の全ての交付案件について、各地方事務所に保管されていた交付申請書等の全ての関係書類について、図面や写真等の交付申請に必要な資料が添付されているか、矛盾がないか等の点検を行うとともに、調書の記載状況等について申請内容、手続等を確認しております。その上で、森林作業道整備については全箇所の現地確認を改めて行い、間伐等の森林整備については関係書類だけでは事業完了が確認できない箇所等について全箇所現地確認を行ったところでございます。この緊急点検につきましては、2万2,415件といった膨大な交付案件について、平成26年12月から平成27年10月の10カ月間をかけて、通常業務と並行しながら書類と現地の両面から現実的に実行可能な最大限の調査を徹底して実施したものであり、精査が不十分とは考えておりません。
 次に、緊急点検の調査方法についてのお尋ねでございます。
 緊急点検の実施に当たりましては、公文書により地方事務所に通知いたしまして、県下で統一した手法で実施しております。
 具体的には、書類調査に当たっては、事前計画書や補助金交付申請書、調査調書等の関係書類ごとに確認すべき項目について緊急点検チェックシートを作成した上で、経営計画との整合、適用単価の根拠等の確認、伝票等の整合、調査野帳や写真との整合など10項目以上にわたる留意事項を付して統一的に調査を実施しております。
 また、現地調査に当たっては、森林作業道については改めて全箇所の現地確認を、また、森林整備にあっては申請書の添付書類等で事業執行が確実に判明できない箇所、具体的には19項目にわたるチェックシートで確認できない項目が一つでもある箇所、あるいは問題の発生していた地域については全箇所の調査を県下で統一した手法により実施しております。さらに、その上で、各所の副所長等により、無作為で森林整備について10%以上を抽出した上で緊急点検を行ったところでございます。
 最後に、上伊那地域振興局管内の事案に関する林野庁の調整状況でございます。
 この事案に関しましては、議員御指摘のとおり、国庫補助が含まれているため、事案の発覚直後から所管する林野庁に対して事案の内容や県の調査状況について逐次報告し、調査への助言等を得つつ対応してきたところでございます。そうした中で、今回の事案における当時の造林補助事業調査は、調査内規に沿って適正に実施されており、指導監督上の問題はないことを国に十分御理解いただけているものと認識しております。
 林野庁の最終的な判断はこれからになりますが、今回の事案で県の指導監督上の不備が問われ、国から県に対し加算金が請求されることはないと確信しております。
 以上でございます。
      

◆今井愛郎

 

 1点だけ、再質問というより決意を聞きたいと思います。
 今後もぽろぽろと不正受給が発覚するようですと、県民の森林税継続に対する理解は得られないんじゃないかと私は思っております。全件調査をちゃんと行ったというのであれば、これ以上の不正受給はないという力強い御答弁を林務部長にいただきたいと思います。
 続いて、教育関係について、以下4項目、原山教育長にお尋ねしたいと思います。
 一つ目、本年度、県内全ての小中学校との面談を予定されていると聞いておりますが、今までの実施状況と出された課題に傾向等がございましたらお示しいただきたいと思います。
 二つ目、諏訪圏域の県議と現地機関とで行われた行政連絡会で、南信教育事務所からも出席があり、入学者選抜等の改革についてお尋ねしたところ、県教委の所管であり義務担当の教育事務所では詳細を把握していない旨の発言がありました。確かに所管は県教委かもしれませんが、中学校の現場を理解している教育事務所をもっと積極的に関与させるべきではないでしょうか。いかがお考えでしょうか。
 三つ目、信濃毎日新聞の3月19日の読者投稿に、「15歳の心を考えた高校入試制度に」という投稿がありました。雑駁に申し上げると、昨年11月、寺沢議員が質問されたように、公立高校入試も第1希望、第2希望を選べるようにしてはどうかというものでした。
 先ほどの寺沢議員の質問と重複する部分もあるので、私は普通科という観点から質問させていただきますが、資料によれば、私の地元、旧第7通学区では、普通科55名の不合格者に対し、再募集で普通科に合格できたのは10.9%のわずか6名です。また、諏訪圏からの受験者がふえていると言われている松本平の第11通学区の状況を見ますと、普通科は236名の不合格者で、再募集で普通科に合格したのはわずか5.5%の13名です。松本市内の普通科4校に限れば、全体の9割強に当たる216名の不合格者が出ています。
 現在、前期・後期試験制度を導入しておりますが、県教委が示した都市部存立普通校36校中25校の普通科では前期試験が行われておらず、公立高校の選択の幅が広いとは言えません。昔に比べて私立がふえたとはいいますが、長野県はまだまだ公立志向が強い県だと思います。学びの改革で思い切った入試改革をすることが教育の充実や魅力ある学校づくりにつながると思いますが、いかがお考えでしょうか。
 四つ目、学びの改革基本構想案で茅野高校は中山間地存立校に位置づけられていますが、諏訪地域で最も人口の多い茅野市にある高校を中山間地存立校に位置づけたことに対し、地元と県教委の間の認識にずれがあるように感じます。どのような基準で位置づけられたかとともに、他の地域と同じ基準が適用されているのかお尋ねしておきます。
      

◎林務部長(山﨑明)

 

 不適正受給の今後に向けてのお尋ねでございます。
 ただいま御答弁申し上げましたとおり、大北森林組合の不適正受給の判明を受け、現実的に実行可能な最大限の調査を実施してきており、不適正な受給については可能な限り全て洗い出したものと考えております。
 また、新たな不適正受給を発生させないという観点から、補助申請書類にGPS等による位置情報を持ち、作業内容が明確な写真を作業箇所ごとに添付を義務づけるなど、現地確認が確実に行われる形に運用を改善し、こうした運用改善の内容につきましては、昨年、ことしと、それぞれ県下5カ所で説明会を実施、林業事業体等への周知徹底を図っているところでございます。
 林務部といたしましては、二度と不適正受給を発生させないとの決意のもと、造林補助事業を初めとする各種事業の適正な実施に全力で取り組んでいるところであり、県民の皆様の御理解が得られるよう引き続き努力してまいります。
      

◎教育長(原山隆一)

 

 入学者選抜制度改革等についてのお尋ねでございますが、まず、学校訪問の実施状況等であります。
 学校教育の信頼回復に向けた取り組みなどを含め、長野県教育の望ましい姿について共通の理解を深めるため、5月9日から学校訪問をスタートしまして、市町村教育委員会の御理解と御協力のもと、これまで、34市町村、186人の小中学校の校長と懇談を実施してまいりました。全体の約3分の1という状況でございます。さまざまな学年の授業や特別支援学級の授業を見させてもらうとともに、学校長と直接膝を交え、現場の抱える課題や今後のあり方などについて率直な意見交換を重ねてまいりました。
 懇談において出された主な課題としては、学力向上のための授業改善と教員の授業力向上、発達障害など配慮を要する児童生徒が安心して学べる授業づくり、中山間地における児童生徒数の減少と少人数ならではの学びの可能性、教員が余裕を持って児童生徒と向き合うことのできる環境づくりの必要性などでありまして、今後、いただいた御意見を踏まえ、現在策定中の第3次長野県教育振興基本計画に反映していくとともに、これらの課題解決に向けて市町村教育委員会や学校とともに取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 次に、入学者選抜制度改革への教育事務所の関与であります。
 学びの改革基本構想の理念を踏まえまして、望ましい入学者選抜制度のあり方について検討するために、本年6月に12名の委員から成る長野県高等学校入学者選抜制度等検討委員会を設置したところであります。入学者選抜制度は、受け入れ側の高校だけではなく、送り出す側の中学校等にも大きくかかわりますので、義務教育の状況に精通している小学校長、中学校長、市町村教育長などにも委員を委嘱しているところであります。県下全体の義務教育の状況を把握している教育事務所とはこれまでも中学生の進路についてさまざまな連携をしてきておりますが、今後も情報の共有に努め、一層の連携を図ってまいりたいというふうに思っております。
 それから、公立高等学校の入学者選抜制度等の改革についてでありますが、平成16年度に導入した前期選抜については、不合格者数の多さなどの課題が指摘され、平成23年度に全日制普通科28校で前期選抜を取りやめたという経過があります。今回の検討委員会では、入学者選抜制度及び通学区制の成果と課題について検証を行っているところであります。今後、学力の3要素をより適切に評価できる選抜制度、学力検査の全員実施の是非、受検機会の複数化の是非、実施時期や日程、通学区制などを議論し、さまざまな角度から検討していきたいというふうに考えております。
 最後に、茅野高校が中山間地存立校に位置づけられた基準についてでありますが、学びの改革基本構想では、都市部存立校については、市街地に位置し、地理的条件から学校群として一体的に将来像を検討することが望ましい全日制高校ということでありまして、その条件を満たさない全日制高校については中山間地存立校という整理をしたところであります。
 茅野高校は、市街地に位置しておりますけれども、地理的条件から見ますと、学校群として一体的に将来像を検討することが望ましい全日制高校が周囲にはないということから都市部存立校には該当しないというふうにしたものであります。この都市部存立校と中山間地存立校の案は、全県同じ考え方で示させていただきました。
 本年6月にお示ししました都市部存立校、中山間地存立校については、我々県教育委員会としての案でございます。8月に行われる地域懇談会では、旧第7通学区における将来の高校の全体像を考えていくということにしております。茅野高校につきましても、地域の期待に応え、魅力ある学校としていくためにどのような将来像を描くべきか、地域の皆さんとともに考えていきたいというふうに考えております。
 以上であります。
      

◆今井愛郎

 

 高校の改革についてはいろいろと出ておりまして、申し上げませんが、先ほど来、寺沢議員そしてまた石和議員からもあったように、誰のための高校改革か。地域のためでなく、やはりそこに育ち学ぶ子供にとってはどんな学校がいいのか、そんな観点をぜひ忘れずに検討していただきたい。そんなことをお願い申し上げて、次の質問に移ります。
 性的マイノリティー、LGBTへの取り組みについてお尋ねいたします。
 LGBTについては、IOCが2015年11月にトランスジェンダーの五輪参加基準の緩和を表明したり、iPhoneで有名なAppleのティム・クックCEOが自身がLGBTであることを告白しております。国内でも、2013年、大阪市淀川区がLGBT支援宣言や、2015年、渋谷区が同性パートナーシップ条例を制定しておりますが、最大の転機は、2013年の東京オリンピック招致決定と言われております。2015年、電通が成人約7万人に行った調査によると、LGBTは13人に1人と言われており、この数値は、血液型がAB型の人あるいは左ききの人とほぼ同数だと言われております。憲法14条、法のもとの平等の観点からも、長野県においてもLGBTへの取り組みが必要と考えますが、順次現状等についてお尋ねいたします。
 一つ目、教育長にお尋ねいたします。
 自身の性について違和感を持つのは小学校低学年のころからと言われております。文科省は、教職員のLGBTへの配慮を通知し、手引書も公開していると思います。教職員に対する研修会の実施状況とその参加率はどうなっていますか。また、県下の教育現場でLGBTを要因とするトラブル等は報告されていますでしょうか。
 二つ目、総務部長にお尋ねします。
 昨年、連合が1,000人の労働者に行ったネットアンケートでは、8%がLGBTの当事者であったと言われております。電通調査よりは少ないですが、5,000人を超える長野県の行政職の中にも相当数のLGBTが潜在していると思われます。実態調査はまだ行っていないと思いますが、職員に対する研修会等は行われていますか。また、勤務中に困ることとして、トイレや更衣室の問題があると聞きます。県として、職場環境への配慮についていかがお考えでしょうか。
 三つ目、県立大学設立担当部長にお尋ねします。
 報道によれば、女子大でもトランスジェンダーの受け入れの検討を始めた、または始める予定とのことです。県立大学は共学ですから受け入れ自体を検討する必要はありませんが、1年目が全寮制であることや今後の大学運営を考えると、LGBTへの対応を検討していく必要があると考えますが、いかがお考えでしょうか。
      

◎教育長(原山隆一)

 

 LGBTに関する教職員の研修会についてのお尋ねであります。
 小学校、中学校、特別支援学校、高校の人権教育担当者を対象といたします学校人権教育研修会におきまして、平成27年度からLGBT児童生徒に対する教職員の理解と支援体制構築について周知を図ってきたところでございます。平成29年度の参加者数でありますが、ほぼ各校1名から約700名の参加を得ているところでございます。このほか、初任者研修での同様の周知のほか、人権教育講師派遣事業としてLGBT当事者による学校での講演等を実施したところでございます。
 それから、LGBTの児童生徒に係るトラブル等については特に報告は受けていないというのが状況でございます。
      

◎総務部長(小林透)

 

 LGBTについての御質問にお答えをいたします。
 まず、職員への研修等についてでございますが、県職員にとってLGBTに関する理解を深めることは、人権尊重という観点から、あるいは誰にでも働きやすい職場づくりという観点からも大切な取り組みであると考えております。
 県では、毎年職員ハラスメント防止講習会を開催してございますが、本年2月13日の研修会ではLGBTを取り上げ、専門家から詳細な講義を受けたことを初め、各種会議や通知などでLGBTについて説明することで、LGBTに対する理解を深める努力をしてございます。
 それに加え、この3月末には、職場におけるハラスメント防止要綱を新たに策定し、LGBTに対する偏見に基づく言動についてもセクシャルハラスメントに含まれることを明文化するとともに、ハラスメント相談専用電話は相談者の希望する性の者が相談を受けることとし、LGBTの方々にも配慮をしたところでございます。
 次に、職場環境への配慮についてでございますが、県が職員を含めてさまざまな利用者を想定し、率先して施設面での対応を進めていくということは、社会全体が多様性を受け入れる環境づくりをするという観点からも重要な取り組みであると考えております。
 県では、これまで、バリアフリーやユニバーサルデザインの考え方に基づきまして、例えば、県庁舎内においては、障害のある方や子供連れの方など多様な利用者に配慮した多目的トイレ11カ所を整備したところでございますが、それが、LGBTの方々も含めて誰にでもより利用しやすいものとなるよう、関係部局とも連携し、議員御指摘のとおり、幾つかの取り組みを始めた自治体もあると聞いてございますので、そうした情報収集にも努めて、案内の表示方法等も研究してまいりたいと考えているところでございます。
 以上であります。
      

◎短期大学事務局長兼県立大学設立担当部長(玉井裕司)

 

 県立大学におきますLGBTへの対応について御質問をいただきました。
 御指摘のとおり、県立大学で行う教育の特徴の一つといたしまして、学生の自立性、社会性を育む1年次の全寮制がございます。学生が集団生活を行う寮におきましてLGBTへの適切な対応を図っていくためには、個別の事象にもよるわけでございますけれども、部屋割りを初めとして、トイレ、シャワールームの使用方法、他の学生との情報共有のあり方など、寮生活全般にわたるきめ細かな配慮が必要になると考えております。
 多様性や人権への配慮は、県立大学の運営上極めて重要な観点と考えております。個々の学生が不当な差別的取り扱いを受けることがないよう、保健師などが常駐をいたします学生サポートセンターを整備いたしまして、全ての学生が充実した学生生活を送ることができるよう支えてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
      

◆今井愛郎

 

 小中学校等を含めて教育現場では問題がまだないということですが、実際、これはいじめの温床だったり、あるいは自殺につながるというケースが非常に多い。特に男子生徒の場合、普通の方に比べると7倍から8倍自殺の可能性が高くなるというデータがあるそうですので、今後もしっかり注視していただきたいと思います。
 最後に、阿部知事にお尋ねいたします。
 人権問題であるLGBTへの取り組みは多岐にわたる取り組みが必要になると思います。にもかかわらず、なかなか顕在化していないために、取り組みが後手に回っている部分があるような気がします。
 昨年10月の信濃毎日新聞社の社説にも、LGBTの方々が切望しているのは正しい理解であり、そのためにはLGBTを理解して支援する人たちを指すアライをふやすことが必要であると提言されております。先ほど総務部長が検討しているとした県職員に対する研修会はもちろんですが、県民に対しても講演会の開催等を通じてLGBTへの理解を深め、アライをふやしていく必要があると考えますが、御所見をお尋ねいたします。
      

◎知事(阿部守一)

 

 LGBTの方々への理解の促進についての御質問でございます。
 LGBTの方々にとりましては、社会からの理解が余り進まず、差別や偏見があって生きづらいという状況があるものというふうに考えております。誰にでも居場所と出番がある長野県を構築していく上でも、LGBTの方々への理解者をふやしていくということが重要だと考えております。
 これまで、本県では、人権啓発センターにおいて、広報誌等を活用した啓発や相談への対応を行いますとともに、人権フェスティバルでの当事者による講演なども実施をしてきております。今後ともこうした取り組みを進めていくと同時に、私自身も、心の性と体の性の不一致に悩む方、あるいは性的少数者として差別や偏見に苦しんでいる県民の皆様方の御意見をお伺いをして、LGBTの皆さんの思いに寄り添ってこれからの取り組みを考えていきたいと考えております。
 以上です。
      

◆今井愛郎

 

 前向きな答弁をいただきましてありがとうございました。
 この問題につきましては、知事も非常に関心があるダイバーシティ社会の中でいろいろな多様な人間を支えていくんだということを常々言われておりますので、ぜひとも今後ともその辺に大きな力を注いでいただけるようお願い申し上げまして、質問を終了させていただきたいと思います。