平成27年 6月定例県議会 発言内容(埋橋茂人議員)


◆埋橋茂人

   

 信州・新風・みらいの埋橋茂人でございます。初質問で大変緊張しておりますが、やじも含めてよろしく御指導いただきたいと思います。

 主として、私、地方創生、TPP、医療、介護、労働者派遣法をめぐる課題と集団的自衛権について御質問を申し上げます。

 まず、地方創生ですが、多くの議員の方が今までるる触れられておられますけれども、大変大きな国家戦略ですので、それぞれ自治体の皆さん大変期待を寄せておられます。

 そこで、かつていろんな地方振興策、大きなものが実施されてきました。いろいろありますのでそれぞれ少し伺いたいというふうに思いますが、大きな施策の中で一番近い竹下内閣のふるさと創生1億円事業ということで、これは自ら考え自ら行う地域づくり事業ということで何か今回の案と似ておりますけれども、この中で、交付された交付税額は県内ではどれほどのものだったのかということと、何が現在仕組みとして残っていたり機能が残っているのかということを企画振興部長にお尋ねしたいというふうに思います。 

 

◎企画振興部長(小岩正貴)

 

 埋橋茂人議員からいわゆるふるさと創生事業についての御質問をいただきました。

 いわゆるふるさと創生事業は、普通交付税といたしまして、1団体当たり、昭和63年度に2,000万円、平成元年度に8,000万円、合計1億円を全国の市町村に一律交付した地域づくりの支援策でございます。

 県内では、交付税の不交付団体でありました軽井沢町を除く当時の120市町村に対しまして合計120億円が交付されたことになっております。

 主な活用策といたしましては、公園、史跡の整備、また、若者の海外研修等による人材育成事業、温泉掘削及び入浴施設の整備、こういったものが上げられます。現在でも、阿南町のかじかの湯、売木村のこまどりの湯といった温泉施設のほか、木曽町の義仲館、岡谷市のやまびこスポーツの森などが観光、文化、スポーツなどの面で地域活性化の一翼を担う存在として機能しているものと認識をしております。

 以上でございます。 

 

◆埋橋茂人

 

 続いて知事にお尋ねいたしますが、田中内閣の列島改造、中曽根内閣のリゾート法、また今申し上げた竹下内閣のふるさと創生等の大規模な地方振興策が大体20年置きくらいに実施されてきました。そのほかにも、ガット・ウルグアイ・ラウンドの後対策ということでおおむね6兆円、また地域振興商品券などがいろいろ交付されてきておりますけれども、残念ですが、現実は、放置山林、また遊休荒廃農地、空き家、シャッター通りがふえている厳然たる事実がございます。とりわけ地方創生の最大の阻害要因となっております人口減少について、自然減対策、社会減対策、いろんな方策を講じられておられます。しかし、残念ながら危機的な状況が続いています。

 これまでの地域振興策を総体として、また個別でも結構ですが、どう捉えているか。知事にお伺いいたします。 

 

◎知事(阿部守一)

 

 これまでの国の地域振興策の評価についてという御質問でございます。

 私も自治省等で地域振興に携わってきた立場でありますので、地方の側と国の側と両面から見てまいりました。総じて言うと、一概に言うのはなかなか難しいわけでありますけれども、一定の成果は得たものの、昨今の問題となっている人口流出の面ではなかなか十分な成果を上げてこれなかったという感覚だというふうに思います。

 例えば、先ほどのふるさと創生1億円、自ら考え自ら行う地域づくり事業、私が担当の係長でやっておりました。当時の発想は、国が補助金でやればそれに従って地方公共団体が何かするという発想が当たり前の時代でありましたので、何とかこの発想を変えてもらおう、自分たちで考えて自分たちで行動してもらおうということで、通称はふるさと創生1億円事業でありますけれども、正式な名前は自ら考え自ら行う地域づくり事業という非常に長い名前であります。

 そうした中でいろんな知恵や工夫が出てきたと思います。中には、こんなので本当にいいのかというような御批判があるような事業もありましたが、ただ、当時、自治省の企画室に私はおりましたけれども、メディア等から問い合わせがあったときに、こんなことでいいんですか、悪いんですかということを我々聞かれました。そういう発想自体がおかしいんだ、要するに国がいいとか悪いとかということを言うんじゃなくて、それは住民の皆様方が、これがいいんだ、悪いんだ、それをしっかり判断してもらうということが趣旨ですよということを当時お話していたことを思い出します。

 そういう意味で、いろいろ功罪あるとは思いますけれども、少なくとも地域のことは地域で発想して、みずからが考え行動しなきゃいけないという契機にはなったんだろうというふうに思っています。

 こういう観点で、私は、これからますます霞が関中心の全国画一的な発想では地域が抱えるさまざまな課題を根本的に解決していくということは大変難しいというふうに思っています。

 今回、国は地方創生の旗を掲げてもらいました。規制緩和あるいは地方分権改革も、まだまだ地方の側からすると不十分なところがいっぱいありますけれども、とはいえ、かつてに比べればかなり進んできているという部分もあります。そういう意味で、この地方創生、国が旗を掲げてもらったことを我々がしっかり受けとめて、まさに自分たちがどう考え、どう行動するかということにこれからかかってきているというふうに思っています。

 そういう意味で、地域振興、徐々に国と地方の関係は変わりつつある中で、今回の地方創生をしっかり生かしていくということが我々には求められているというふうに痛切に感じているところでございます。

 以上でございます。 

 

◆埋橋茂人

 

 今、知事から、これからの国と地方のあり方を抜本的に変える契機になるというお話をいただきましたので、ぜひそのような方向でお取り組みを頂戴したいところでありますが、今回の地方創生の重点ポイントについて、以下、3点、企画振興部長に説明をいただきたいというふうに思います。

 いろんな議員も触れられておられましたけれども、各市町村、人口、面積、産業構造等々さまざまな違いがございます。特に小規模市町村に対して県はどんな役割を果たそうとお考えなのか伺わせていただきたいというふうに思います。

 また、昨日、鈴木議員が触れられた、コンサルに非常に依存をしている状況があるということでございますけれども、作文競争にならないで、一過性の施策ではない、将来に続く施策が必要であります。そのために必要な人、物、金、情報といいますけれども、とりわけ人、物の確保が小規模市町村では困難だというのが今回の新聞でも明らかになったわけでありますが、これについて県がどんなふうなかかわり方をしていくのか。考えをお示しいただきたいというふうに思います。

 また、地方創生において市町村で協議推進組織が設けられると思いますけれども、どんな組織を想定されているのか御説明をいただきたいというふうに思います。また、その組織に県としてどうかかわっていくのか。お考えをお示しいただきたいというふうに思います。

 以上です。

 

◎企画振興部長(小岩正貴)

 

 地方創生に関しまして引き続き3点御質問をいただきました。順次お答え申し上げます。

 まず、市町村に対する県の役割についてでございます。

 地方版総合戦略の策定に当たりまして、特に小規模町村から人的支援やノウハウの提供などきめ細やかな支援を求める声が多いと認識をしております。こうした声に応えるため、県では各地方事務所単位に総合戦略策定研究会を設置をしております。この研究会は、県の企画振興部の職員が出向き、人口動向の分析や評価指標の設定など戦略策定のノウハウを市町村の担当者と共有、情報交換をするための場としております。加えて、町村役場には地方事務所の職員が順次直接御訪問をし、先行事例についての情報交換や助言等の支援も行っているところであります。各市町村の総合戦略策定につきまして引き続き県として積極的に支援をしてまいりたいと考えております。

 次に、必要な人材等の確保についてでございます。

 御指摘のとおり、地方創生は一過性ではなく将来に続く取り組みが必要であると認識をしております。このため、市町村には、地域の将来像についてみずから主体的に検討し、総合戦略を策定していただきたいと考えております。

 県といたしましては、先ほどお答えしたとおり、さまざまな形で総合戦略の策定を支援しております。また、このほか、市町村に派遣された県職員が派遣先の市町村で総合戦略の策定に携わっている例もございます。こうしたことも人的支援の一環と考えております。

 各市町村で地方創生に取り組むに当たりましては、地域おこしの核となる施設等を最大限活用する中で地域に根づいた活動が展開されることが重要であると認識をしております。県といたしましては、こうした活動について地域発元気づくり支援金などで支援するとともに、今後は地域の核となる人材の育成にも力を入れていきたいと考えております。

 3点目、市町村に設置される推進組織についてでございます。

 各市町村におきましては、総合戦略策定に当たり、住民や地元産業界等から成る推進組織を設置することとなります。具体的なメンバーや進め方は市町村によってさまざまではございますが、それぞれ、産官学金労言、すなわち、産業、行政、教育、金融、労働、メディア、それぞれの分野から意見を伺いながら総合戦略の方向性や具体策を検討していくものと承知をしております。

 幾つかの市町村からは、県の地方事務所に対し、この推進組織にメンバーとして参画するよう依頼をいただいております。これまでのところ18市町村において地方事務所長などがメンバーに加わっております。今後もこうした依頼があれば積極的に参画をしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

◆埋橋茂人

 

 例を申し上げずに失礼いたしました。今のお話を伺って、今までの振興策を十分検証してぜひ有効な事業になるよう取り組んでいただきたいというふうに思います。

 次に、TPPについて伺います。

 TPPについては私は大変問題が多くて反対でございますけれども、現実にもう既に新しいステージに入りつつあるという実態がございます。地方創生地方創生と言いながら、核となるべき農林業への大きな影響をどういう形で緩和していくのか、新しい対策を打っていくのか。残念ながら、地方創生と矛盾して、かえって地域の生活基盤を壊してしまうのではないかと非常に強く懸念をしております。

 まず、企画振興部長にお答えを求めます。

 TPPの県内産業への影響試算、かつて国が出しておられますが、従来の試算と今かなり状況が変わってきておりますが、変更がありますかどうかお示しをいただきたいと思います。

       

◎企画振興部長(小岩正貴)

 

 TPPに関しまして県内への影響の試算について御質問をいただきました。

 関税を撤廃した場合の長野県への影響額の試算につきましては平成25年5月20日に公表をいたしております。この試算は、同年3月に政府が国としての試算を行った際の前提条件を長野県に当てはめて計算をしたものでございます。

 現在、日米協議に関しましてさまざまな報道がなされておりますが、政府からはこのことに関しまして具体的な説明は現時点でございません。したがいまして、県といたしましても改めての試算は現状行っていない状況でございます。今後、国において新たな試算や情報提供が行われた場合、県といたしましてもこれに対応してまいりたいと考えております。

 以上でございます。 

  

◆埋橋茂人

 

 JAグループの試算では、県内では1,000億を超える影響が出るというふうに試算されています。政府試算ではありませんので今の県のお答えはいたし方ないと思いますけれども、TPPがこんな状況になっている中で、試算はともかくとして、恐らく賢明な県の皆さんでございますから対策づくりはお進めいただいているというふうに思いますけれども、これに関連してさまざまな規制緩和策が打ち出されています。

 農業関係で言えば、農地法、農業委員会法、農協法の改正がされる方向です。これも先ほど申し上げたように農協のみならず地域にも大きな影響が出ます。県としてこの問題にどう臨んでいくのか。お聞かせをいただきたいと思います。 

 

◎農政部長(北原富裕)

  

 農協法等の改正についてのお尋ねでございますけれども、現在国会において審議中でございます。

 農協法につきましては、農協は、農業者の所得増大を目的とし、的確な事業運営を行うこと、また、理事の過半数は認定農業者等とするなどの改正案が示されているところでございます。

 本県の農協におきましては、これまでも行政と密接な連携のもと農業振興に取り組まれてきたものと認識しておりまして、今後それぞれの農協が進めます自主的な改革が最大限尊重されることが重要であるというふうに考えております。今回の改正、改革が地域の農業振興につながりますよう、県といたしても農協と連携を図ってまいりたいと考えているところでございます。

 また、地域の農協は、食料品や燃料の供給、医療、介護の提供など地域住民の暮らしを支える多面的な役割も担ってきていただいております。今後、農業分野にとどまらず、農村地域での暮らし支援に対しまして農協組織と県関係部局との連携による取り組みを幅広く検討させていただき、農村地域の振興、また暮らしの充実が図られるよう進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 農業委員会法、農地法につきましては、公選制の廃止ですとか、農地を所有できる法人の要件を緩和するなどの改正案が示されております。県といたしましては、農業委員の地域の代表制が堅持され、また農地の適正利用の推進に支障が生じないよう、関係機関と連携し今後対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

 

◆埋橋茂人

 

 かつて製糸王国長野県、日本の外貨の6割を生糸が占めていた時期がございまして、さらにそのうち6割が長野県だったという時代がございます。一気に自由化で養蚕業は壊滅いたしました。また、丸太、板材が輸入自由化になり、前回の東京オリンピックの前の年でありますけれども、大打撃を森林が受けたことは私が申し上げるまでもありません。山の荒廃はこのときから始まっていたということだというふうに思います。

 牛、豚肉を輸入自由化して餌米を増産しろと、非常にちぐはぐな政策が目立っています。ぜひ、このようなことをこれから地域で受けとめていかなければいけない課題でございますので、県の政策立案、よろしくお願いをしたいところでございます。

 続いて、医療、介護についてお尋ね申し上げます。

 日本創成会議が打ち出した高齢者の地方移転策、きのうもいろんな話が出ておりましたが、この辺についてお伺いしたいと思います。

 また、国の病床数の再編計画が示されましたが、少子・高齢化社会の中で安心して暮らせる地域医療、また必須機能でございます辺地医療体制の維持を含めて現状と対策をお伺いしたいというふうに思います。

 また、子育て支援の支えとなります産科医、小児科医の確保対策を含め、医療・介護従事者の確保対策の現状と将来対策をお伺いします。健康福祉部長にお願いします。 

 

◎健康福祉部長(小林透)

 

 医療、介護につきましての御質問に順次お答えをいたします。

 まず、日本創成会議による高齢者の地方移転策への所見についてでございます。

 今回の提言は、東京圏高齢化危機回避戦略といたしまして、1都3県連携し、高齢者問題に対応せよと掲げられ、その対応策の一つに東京圏の高齢者の地方移住を挙げているものでございます。高齢者を受け入れる移住先を、1人当たり急性期医療密度と介護ベッド準備率という新しい二つの手法を用いて医療、介護の提供能力の余力により評価しているものでございます。

 しかしながら、1人当たり急性期医療密度は全身麻酔件数を、あるいは介護ベッド準備率は将来推計にもかかわらず現状の施設介護のベッド数をもとに評価しているものでございまして、それが2040年の医療、介護の余力を示すものとして適切な指標と言えるのかは疑問でございます。

 また、そもそも、既存の病院や施設における医療、介護の余力のみをもって移住先の適地として判断してよいのか、在宅医療、介護などの地域特性をどう評価するかなど全国的な議論が必要であると思われます。

 県といたしましては、高齢者も含めまして信州に移住を希望する方は広く受け入れるべきと考えております。そのためにも、移住する人も適切な医療、介護が受けられるような体制整備に努めてまいると考えておりますので、国に対しても、高齢者を含めた地方移住を進める場合には移住先となる地方公共団体にとって過度な負担増とならないよう制度設計を求めてまいりたいと考えております。

 次に、地域医療の体制の確保に関する現状と将来対策についてでございます。

 本県では、平成21年度から地域医療再生計画を定め、国の交付金を積極的に活用しながら、地域医療のさまざまな課題の解決のための全国的に見ても非常に多くの事業を実施してきたところでございます。

 具体的には、県内10の2次医療圏のうち脆弱性が指摘された木曽、大北、北信の各医療圏の医療提供体制の強化のため、がんや脳卒中などの診療機能の充実に資する医療機器の整備や僻地医療提供体制の強化を支援したほか、在宅医療を提供する診療所や訪問看護ステーションへの支援や普及啓発活動など、地域における在宅医療の推進についても精力的に取り組んだところでございます。

 このような中で、高齢者の医療需要が増大するとされる2025年を見据え、県としては、今後、あるべき将来の医療提供体制の姿とそれを実現するための施策を定める地域医療構想を策定するとともに、昨年度設置いたしました地域医療介護総合確保基金を活用し、それぞれの地域において取り組まれる病床あるいは病院の機能分化と連携や、僻地医療も含めた脆弱な2次医療圏における医療提供体制の強化、在宅への訪問医療の推進に向けた取り組みなどを重点的に支援してまいりたいと考えているところでございます。

 次に、医師などの確保対策の現状と将来対策についてでございます。

 医師の確保につきましては、信州医師確保総合支援センターを中心にさまざまな事業に取り組んでまいりました。このうちドクターバンク事業では、全国有数の91人が就業しており、医学生修学資金貸与事業などと合わせた医師確保の実績は175人でございます。また、臨床研修医研修資金の貸与や手当への助成などにより、産科で24人、小児科で14人を確保してまいりました。

 こうした取り組みにより平成24年度末の人口10万人当たりの県全体の医師数は211.4人となり、平成20年末の196人と比較して着実に増加してございます。しかしながら、依然地域や診療科の偏在もあることから、引き続き信州大学医学部や関係団体との連携を強化し取り組んでまいります。

 看護師確保につきましては、新規養成数の確保、離職防止・再就業促進、人材確保・資質の向上の3点を重点的に取り組んでおります。このうち再就業促進につきましては、長野県ナースセンターのナースバンク事業により、平成26年度は865人の求人登録者がありまして、そのうち271人が再就職いたしました。また、本年度は10月1日より離職看護職員等の届け出制度が開始されますので、この制度が有効に機能し、さらなる看護師確保に資するよう取り組んでまいります。

 次に、介護従事者の確保につきましては、県、ハローワーク、福祉人材センター、職能団体等が連携いたしまして参入促進、処遇改善などに取り組んでまいりました。これによりまして、平成22年に2万8,000人でございました介護職員数は平成25年には3万2,000人程度に増加しておりまして、着実に人材確保が図られているところでございますが、今後は、多様な人材の参入を促進するためのマッチング支援ですとかセミナーの開催、あるいは、キャリアアップを見据えて働く環境を整えるための職層に応じた研修を実施すること、あるいは、労働環境、処遇の改善としてモデル給与規程・給与表の作成とそれを幅広く周知することなどに取り組むことによりまして介護従事者の確保に努めてまいります。

 以上でございます。 

 

◆埋橋茂人

 

 続いて、労働者派遣法と正規・非正規労働者が非常に格差が生じているということで県の改善策について伺います。産業労働部長にお願いをしたいと思います。

 一つ目は、TPPと構図は同じだと思いますけれども、労働者派遣法が衆議院を通過しました。雇用の不安定化を懸念する声が大変強うございます。私も懸念をしております。県として雇用の安定化のためどのような考えで臨むのか。具体策をお聞かせいただきたいと思います。

 また、ワーキングプアと呼ばれる年収200万円以下の人口は1,070万人、割合は男性で10%、女性で40%とのデータがございます。有効求人倍率が上昇していることは評価をいたしますけれども、そのうち正規社員が求められているのは30%台で、ずっとこれは変わりません。非正規雇用の年収では2人合わせても結婚して子育てをするのはなかなか難しいものがございます。

 県として、少子化対策の面からも県内企業へ正規採用等の増加を求めていく、どんな働きかけをしていくのか。考えをお示しいただきたいというふうに思います。

 以上でございます。 

 

◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹)

 

 2点お答えいたします。

 まず、雇用の安定化に対する考え方についてのお尋ねでございます。

 県民の皆さんが安心して子育てができ、満ち足りた生活を営むためには、産業振興による持続的な経済成長とともに安定した雇用や職場環境の整備など、労使双方の視点からバランスのとれた雇用制度となることが望ましいと考えております。

 県といたしましては、少子・高齢化の時代を迎え、地方創生を進めていくためにも雇用の安定を図ることは大変重要な課題であると認識をしております。

 次に、企業に対する正規採用の働きかけについての御質問です。

 県では、毎年6,000社を超える企業に、知事と労働局長の連名で、新規学卒者の正規の採用拡大を文書で依頼しているほか、県内の経済団体を直接訪問し正社員への登用と採用拡大について協力を要請しております。

 また、県事業といたしましては、若者や子育て中の女性を対象に、座学と職場実習による研修を通じて正規雇用につなげる取り組みを実施し、これまでに200人を超える若者たちを正規の雇用に結びつけております。

 さらに、これまでに3,000社を超える事業所を訪問し、短時間正社員制度など多様な勤務制度の導入について直接経営者に働きかけを行ってまいりました。

 今年度は、多様な働き方の制度を導入し正規雇用や正社員への転換を行うなど実績を上げている企業の皆様を新たに認証する制度をスタートさせることにしております。

 県では、このような事業を進め、今後も、さまざまな機会を通じて、若者を初めとする雇用の確保と正社員化につきまして引き続き働きかけを行ってまいります。

 以上でございます。 

 

◆埋橋茂人

 

 ぜひ働きかけに努めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 最後に、集団的自衛権の問題で伺います。

 たまたま、きょう7月1日は、去年、集団的自衛権の閣議決定がなされた日でございます。あれ以来1年、非常に大きな論議を呼んでおります。賛成反対、さまざまございますけれども、大変大きな法案でありまして、10個も法案が出されているわけでありますが、大きな流れとして二つあるというふうに思いますけれども、法案そのものの中身に非常に課題がある、私もそう思っておりますが、そういう皆さんと、小林教授、長谷部教授のように、本来は改憲論者でありながら、立憲主義の立場から法的な安定性を損なうということで反対をされている皆さん、世論の多くもそういう方が多いというふうに思いますが、これについて、今、知事、どんなふうにお考えなのか。お聞かせをいただければというふうに思います。

 以上です。

 

◎知事(阿部守一)

 

 集団的自衛権の行使を含む安全保障法制につきましては、昨日もお答えを申し上げたところでありますけれども、日本の将来がかかる大変重要なテーマだというふうに認識しております。そういう観点から、真に国民の理解と納得が得られる方向性を慎重かつ十分な議論、審議のもとに行っていただくということが大変重要だというふうに考えております。

 以上です。

 

 

◆埋橋茂人

 

  今、知事からもお話をいただきましたけれども、現在の動きは立憲主義による法治国家の原則を損なうものだと言わざるを得ないというふうに私は思っております。

 この法案を通すのであれば、憲法96条に定められた手続にのっとって衆参両院で3分の2以上の議決で可決して国民投票に付すべきだというふうに思っていることを申し添えて、私の最初の質問とさせていただきます。御清聴、大変ありがとうございました。