平成27年 6月定例県議会 発言内容(石和大議員)


◆石和大

   

おはようございます。会派信州・新風・みらい幹事長の石和大でございます。改選後初の定例会、最初の一般質問、張り切ってまいります。

 県政に対する県民の皆様の意見は多様なものがあります。それらを多角的に把握し、県政に反映させるには、政策提言のできる集団としての会派の人材も多様である必要があります。県政改革の理念を共有し、県政に常に新しい風を送り、未来の信州をつくるという基本理念に基づき行動する議員15名が集い、会派信州・新風・みらいを結成いたしました。

 我々は、それぞれ県内各地域の課題を大切にしながらも、県内全域の課題にも取り組んでいく積極的な姿勢を持つ議員集団であります。また、長野県の政策に対しても県民目線の提言をしていくとともに、しっかりとチェック機能を果たしてまいります。

 高齢化はますます進み、2025年、つまり、あと10年後、団塊の世代と言われる世代がこぞって75歳の後期高齢者になります。超高齢社会への対応と人口減少社会への対応など、これからの10年は特に激動期だと予想されます。

 私どもの会派は、重厚感あるベテランとともに、10年後に責任を持てる若手も数多くそろっております。どうか皆様方の多くの御指導、御鞭撻をいただきますようにお願いを申し上げます。

 それでは順次質問いたします。元気づくり支援金事業についてお聞きをいたします。

 豊かさが実感でき、活力あふれる輝く長野県づくりを進めるために平成19年度から導入された地域発元気づくり支援金は、市町村や公共的団体などが住民とともに創意工夫し、自主的、主体的に地域の元気を生み出す事業として多くの団体に活用されていると承知しています。まさに最近話題の地方創生の先駆けともいえると思います。

 平成25年度には、制度の見直しにより、補助率の引き下げや補助下限額の設定などが行われたわけです。これにより使い勝手が悪くなったという声も聞くことがあります。県民から非常に要望が多く人気のある事業であり、この8年間で3,500近くの団体が支援金を活用して事業を行い、地域の活力創出に大きな役割を果たしてきておりますけれども、一部においてはイベントに対する補助金になっていて、支援金が終わったらイベントも終わりで、業者が一番元気になったという事案もあるのではないかという懸念がございます。

 そこで、企画振興部長にお伺いをいたします。

 地域発元気づくり支援金をこれまで実施してきた成果と課題についてどのようにお考えか。お聞きをいたします。

 前回の見直しの際には、3年経過後の平成28年度に改めて制度の検証を行うということでありました。前回の見直しの効果をどのように見ているのか。それを踏まえ、今後予定されている地域発元気づくり支援金制度の検証について現時点でどのようにお考えか。企画振興部長にお伺いをいたします。

 次に、市町村は、現在、地方版総合戦略の策定に鋭意取り組み、自分たちの市町村に元気を生み出す方策について検討を進めています。私は、先ほども述べたとおり、元気づくり支援金事業は地方創生そのものだと考えます。実績もあり、全県にわたって有効に元気をつくり出しているとすれば、地方創生を県全域で重点的に推進するテーマに設定することで補助率を引き上げ、県の立場からも市町村や公共的団体が取り組む地方創生の動きを応援していただきたいと考えますが、企画振興部長に御所見をお伺いいたします。

 

◎企画振興部長(小岩正貴)

 

石和大議員からの元気づくり支援金事業につきましての御質問大きく3点いただきましたので順次御回答申し上げます。

 まず、これまでの成果と課題についてでございます。

 元気づくり支援金事業は地域の課題解決に積極的に取り組む住民を後押しするための制度として定着しており、各地域からの期待の大きさを実感しております。

 毎年、支援金事業の効果や現況を把握するためフォローアップ調査を実施をしております。昨年度の調査結果では、9割を超える団体におきまして、支援金を活用して実施した事業と同様の取り組みが支援金終了後も続いておりました。こうしたことから、地域における自主的、主体的取り組みを後押しするという支援金事業が目指す成果は着実に上がっているものと理解をしております。

 一方で、現場の方々からは活動に取り組む人材の不足が課題であるとの声も聞いております。地域活力の維持向上を図るためには何よりも人の力が欠かせないことから、今後は地域の核となる人材の育成にも力を入れていきたいと考えております。

 次に、前回の見直しの効果、今後の検証についてでございます。

 元気づくり支援金につきましては、さらなる有効活用を図る視点から、平成24年度に市町村とともに議論を重ね見直しを実施したところであります。主な見直しといたしましては、ソフト事業の補助率を10分の10から4分の3へと変更したこと、また、補助額の下限を30万に設定したことなどでございます。これらは、自己資金を事業計画に組み込むことで支援金終了後も事業が継続されるようにすること、また、同趣旨の市町村事業との役割分担を明確にすることを目的としております。この結果、支援金事業の取り組みが一段と地域に根差すようになってきたと感じているところでございます。

 前回の見直しで、3年経過後の平成28年度に改めて検証を行うことが確認をされております。そのため、現在は、各地域の声を幅広くお聞きし、前回の見直しによる影響や課題等の把握に努めている段階でございます。

 3点目、重点的に推進するテーマについてでございます。

 県全体で重点的に推進するテーマにつきましては、県と支援金活用団体が一体的に取り組むことが重要との観点から補助率のかさ上げを行っております。具体的なテーマにつきましてはその時々の県を取り巻く状況に応じて設定をしております。平成27年度は、地域防災力の向上や子育て支援など5項目を設定をし、全体の約4分の1に当たる事業を採択をしております。平成28年度のテーマにつきましては、御指摘いただいた点も含め、さまざまな御意見を考慮して今後設定したいと考えております。

 以上でございます。

 

◆石和大

 

 いずれにいたしましても、それぞれの団体、地域の実情に合った形で使い勝手がよくなるような制度としていただきますように要望をしておきます。

 次の質問に入ります。

 長野県川上村出身の宇宙飛行士油井亀美也さんが国際宇宙ステーション、ISSへのミッション参加のため宇宙へ旅立つ日、7月23日まで20日余りと近づいてまいりました。先日は、油井宇宙飛行士のお父様と一緒に、東御市のオギハラ薬品社長が作成していただいた油井宇宙飛行士を応援する横断幕を知事にお渡しをさせていただきました。現在、県庁1階ロビーから見える位置に掲示をしていただいております。本県出身の油井さんの活躍を応援したい気持ちは多くの皆さん共通の思いです。ミッションの成功と地球への無事の帰還を願ってやみません。

 油井宇宙飛行士は、昨年8月、上司であり先輩宇宙飛行士の野口さんと一緒に知事を表敬されたとき、宇宙飛行士を目指すきっかけになったのは、美しい川上村の星空を見上げながら、いつかあの空に行ってみたいと思ったことだとお話をされていました。子供のころの夢をかなえられた油井さんの御努力に深い敬意を表するとともに、そのような夢を抱かせてくれた美しい信州の空に感謝したい気持ちであります。

 もうすぐ、その信州の空に油井さんの乗る宇宙ステーションが飛来する光景を見ることができるのです。空を見上げる信州の子供たちは、油井さんのようになる、未来の宇宙飛行士を目指すと思いを馳せるかもしれません。

 そこで、阿部知事にお伺いをいたします。

 長野県初の宇宙飛行士油井亀美也さんの誕生は、夢の実現という意味で子供たちに感動を与え、夢の実現のために努力することの大切さも教えるなど教育的な効果も大きいと考えます。油井宇宙飛行士誕生に対する期待、エール、所感をお伺いをいたします。

 また、教育長にお伺いいたします。

 長野県発の宇宙飛行士の誕生と宇宙でのミッション参加を長野県の宇宙教育にどう生かしていくか。宇宙への夢を抱かせるきっかけとしてどうお考えになっているか。御所見をお伺いいたします。

 一方、目を地上に転ずれば、もう一つ、長野県が空へ抱く夢である航空・宇宙産業への進出を目指したアジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区が下伊那地域を含む中部5県をメンバーとして進められていると聞いております。この特区は、アジア最大最強の航空・宇宙産業の集積地の形成を目指し、生産体制の拡大などを支援するもので、次代の長野県産業を担う基幹産業を創出するプロジェクトであると期待をしています。

 そこで、産業労働部長に、長野県内における航空宇宙特区の現在の進捗状況をお伺いいたします。

 また、航空・宇宙産業は、成長期待分野として、しあわせ信州創造プランに掲げた「貢献と自立の経済構造への転換」の大きな要素になってくると思いますが、本県産業の航空・宇宙産業への進出に対する支援策をどのようにお考えか。産業労働部長にお伺いいたします。

 

◎知事(阿部守一)

 

油井宇宙飛行士に対する期待という御質問をいただきました。

 油井亀美也さん、長野県初の宇宙飛行士ということで宇宙に旅立たれる予定になっております。長野県として大変うれしく思っておりますし、また県民としての誇りでもあるというふうに感じています。

 先ほどの質問の中にも引用していただきましたが、私も直接お目にかかってお話をさせていただいたときに、川上村で育ったときに、星空を見上げて、それが宇宙飛行士になる動機づけ、きっかけになったというお話をされていて、大変すばらしいなというふうに感じました。

 私も、子供のころ、夜中に、アポロ11号でしたか、アームストロング船長が月面に一歩を記すというのを眠い目をして見た記憶がありますけれども、未来に向けての希望や夢、そうしたものを当時私も感じた記憶があります。

 今回の油井さんの活躍にぜひ多くの長野県の子供たちが刺激を受けて、夢をしっかり抱き続けることの大切さというものを感じてもらうと同時に、その実現に向けてしっかり努力するんだという思いをみんなで持ってもらえるようにしていきたいというふうに思います。

 今回のミッション、フライトエンジニアとしてロボットアームを操作されたり、あるいは宇宙環境を利用しての科学実験に取り組むというさまざまなミッションがあるわけでありますけれども、ぜひ人類の進歩につながる大きな成果を上げていただきたいというふうに思いますし、また、同時に、ミッションを大成功させた上で無事に御帰還されることを心からお祈り申し上げているところでございます。

 以上です。

 

◎教育委員会教育長(伊藤学司)

 

 子供たちに宇宙への夢を抱かせる教育についてのお尋ねでございます。

 長野県初の宇宙飛行士である油井亀美也さんの活躍は本県の子供たちに大きな夢を与えるものと期待をしているところでございます。油井さんの出身地である川上村では、打ち上げの際のパブリックビューイングや国際宇宙ステーションと子供たちとの交信イベントなどを計画をしていると聞いてございますが、子供たちにとって宇宙を身近に感じる大変よい機会になるというふうに思ってございます。

 本県は、空気が澄んで星空がきれいに見え、宇宙関連施設も多いことから、学校や地域におきまして天体観測などの体験活動が多く行われているところでございますし、また、JAXAと連携し宇宙の授業を実施している小中学校や人工衛星打ち上げプロジェクトに参加している高校などもあるところでございます。

 油井さんの帰還後、可能であれば、油井さんの御協力をいただきながら、子供たちが宇宙について学ぶとともに、夢やロマンを抱き、豊かな心を育む教育を進め、第二の油井宇宙飛行士や将来の航空・宇宙産業を担う技術者が誕生することを期待しているところでございます。

      

◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹)

 2点順次お答えいたします。

 まず、県内の航空宇宙特区の進捗状況でございます。

 この特区は、愛知、岐阜、三重の3県が先行して指定を受けておりましたが、昨年6月、本県の飯田、下伊那地域の5市町村、企業34社につきましても国から特区の指定をいただき、1年が経過したところでございます。

 この間、新たに2社が特区に参加し、産業集積の裾野の拡大が進むとともに、延べ10社が特区の優遇制度を利用しましてその技術の高度化や設備の充実を進めております。また、航空機部品の高度な熱処理ができる拠点工場が国や県、地元市町村の支援によりまして昨年9月に完成し、現在、航空機メーカーからの受注に必要な国際規格の認証取得など、本格的な稼働に向けた準備が着々と進んでおります。

 さらに、財政基盤や技術の強化を目指し参画企業が自主的に合併したり、地域の共同受注グループであるエアロスペース飯田に新たな企業が加わり共同受注体制が強化されるなど産業界の機運も高まっており、おおむね順調に推移しているものと認識しております。

 次に、航空・宇宙産業に対する支援についての御質問です。

 航空・宇宙産業の特徴としましては、新規参入のタイミングが新しい機体の開発時期に限られること、厳しい品質保証体制を求められること、工作機械などに多額な設備投資が必要な一方、多品種少量生産のため投資の回収に長い期間を要することなど高いハードルがあるものと認識しております。そのため、県では、航空・宇宙産業への進出促進に向け、資金面、技術面などさまざまな方向から支援に取り組んでおります。

 例えば、参入促進では、平成21年にNAGANO航空宇宙プロジェクトを県内58社の参加のもと立ち上げ、関係する技術情報の提供や航空展示会への出展支援を行っております。また、資金面では、ものづくり応援助成金の助成率の加算を昨年度から始めるとともに、投資の回収に長い期間を要するというこの産業の特性を踏まえまして、今年度、制度資金の据え置き期間を特別に延長したところでございます。さらに、技術支援では、工業技術総合センターに航空・宇宙関連製品の信頼性や耐久性などを評価する装置の整備を進めており、今回の補正予算でも部品の放熱特性などを評価する装置に関する予算をお願いしているところでございます。

 今後も、この産業界の特性を踏まえ、関係機関と連携して息の長い支援に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

◆石和大

 

次に、選挙権年齢18歳への引き下げの影響と対策について教育長にお伺いをいたします。

 国際基準なのかどうなのか、選挙権の行使が18歳以上になりました。若い世代が政治に関心を持ち、若い世代の社会への責任感の醸成という点ではよいことかもしれません。しかし、課題もあるのではないかと感じています。

 具体的にお聞きします。

 18歳は日本ではその多くが高校3年生だと考えられます。来年の夏の参院選から適用だという話ですが、8月だとすると4月から7月に生まれた生徒が有権者ということです。4カ月ですから、単純に考えると全体の3分の1ということになります。あとの3分の2は有権者ではないわけです。有権者の生徒は選挙運動をするでしょうが、同じ学年の生徒が誕生日を迎えていて有権者であるかどうか区別して対応するのは困難だと思われます。高校生は同じ空間で学校生活をしていて友達意識が強いと考えられます。好奇心も強いはずです。有権者ではないのにつき合いで選挙運動をして選挙違反が起きる可能性があります。先輩後輩という関係が強い場合も多いと考えられます。つい後輩にも手伝わせてしまうということも起こり得ます。この場合、有権者でなければ摘発されることになってしまいます。

 さらに懸念されるのはネット選挙です。高校生のほとんどが、スマホ、つまりスマートフォンを持っています。LINEを初めとするソーシャルネットワークでつながっています。その中で、仲間の中でネット上で選挙運動が展開され違反行為があったとします。すぐにわかれば警告もありますが、ネット上のことですから後から判明するということが十分あり得ます。その違反行為がまたネット上に載ってしまうとデジタルタトゥーとなり、進学や就職、結婚などにも悪影響を及ぼす傷になってしまうことも懸念されます。

 このようなことを防ぐために教育委員会としてどのように対応していかれるのでしょうか。お聞きをいたします。

 選挙権は国民の権利であり責任でもあるという場合、実社会で働いているのであれば納税者としての自覚と責任、自分の納めた税がどう使われるかチェックする人を選ぶという大切さを説くことができますが、おおむね納税者ではないと思われる高校生にどんな指導をするかは難しい問題だと思います。

 ところで、部活で遅くなるというような場合、期日前投票に行く権利を阻害していることにならないかなど高校生の投票機会の確保についてどうお考えか。教育長にお伺いをいたします。

 

◎教育委員会教育長(伊藤学司)

 

 選挙年齢引き下げにつきまして二つ御質問をいただきました。

 まず、高校生の選挙違反を未然に防止する方策についてでございます。

 議員御指摘のとおり、学校内で有権者である生徒とそうでない生徒が混在する状況になることや、LINEを初めとするインターネットの利用の仕方などによっては選挙違反に問われるなどさまざまな問題が発生することも懸念をされているところでございます。

 現在、国におきましては、文部科学省と総務省で連携して選挙の意義やその重要性について学ぶための副教材を作成しているところでありますが、その中に生徒が選挙活動を行う際の注意点などについても盛り込まれるものと承知をしてございます。

 県教育委員会としても、県選挙管理委員会の協力を得ながら、御指摘のような問題が生じないよう、教員が生徒を指導する際に配慮しなければいけない注意事項や留意点などをまとめた教員向けの指導資料を作成,配布し、各学校に指導してまいりたいと考えてございます。

 次に、高校生の投票機会の確保についてでございます。

 選挙で投票するということは、国民が政治に参加し、主権者としてその意思を政治に反映させることのできる最も重要かつ基本的な機会であると認識をしてございます。

 県教育委員会では、投票日に学校行事が重ならないよう各学校に要請するとともに、部活動などにおいても有権者である生徒が期日前投票を利用することができるよう配慮を求めてまいりたいと考えてございます。

 

 ◆石和大

 

 高校生が選挙違反を犯すようなことがないように、未然に防ぐ方策をしっかりと今後もお考えいただきたいと要望をしておきます。

 次に、信州フォレストコンダクター育成事業についてお聞きをいたします。

 この事業は森林づくり県民税活用事業です。森林づくりアクションプランでは、平成32年度までに75万立方メートルの木材を安定的、計画的かつ持続的に出荷できる体制の整備を進めるとしています。また、信州F・POWERプロジェクトの稼働に向け、平成29年度には県産材61万立方メートルの供給体制の整備が必要としています。

 この事業は、このために、里山を活用した地域づくりから、森林管理、木材の出荷、利用等にわたり経営感覚を持ちながら総合的な視野で指揮することのできる人材を育成するというものです。指揮するのでコンダクターだということです。

 そこで、お聞きします。

 県では、今までに信州フォレストコンダクターを何人育成し、今後何人を育成していく計画なのか。また、誕生した信州フォレストコンダクターは現在どのような活動をされているのか。

 今までの研修等の参加者、応募者は森林組合や林業事業体の社員であります。しかし、フォレストコンダクターは国家資格や公式資格ではないので、県が認定しても林業業界等の社会では何の権限もないのではないかと考えられます。有効に機能するための工夫が必要だと考えるが、いかがでしょうか。

 信州F・POWERプロジェクト等を考えれば、県の林業全体を見渡してリードする総監督が必要だというふうに感じますけれども、以上、林務部長にお聞きをいたします。

 

◎林務部長(塩原豊)

 

信州フォレストコンダクターに関して3点お尋ねをいただきました。

 初めに、育成の計画と実績、活動内容についてでございますが、信州フォレストコンダクターは平成25年度から本年度までの3年間で30名を育成する計画で、これまでに19名を育成し、本年度も11名を候補生として育成研修を実施しております。

 平成26年度における具体的な活動実績といたしましては、木材を生産する林業事業体の側から木材加工業者、工務店、設計者へ働きかけ、地域材を使用した家づくりなど木材の販路拡大を進める取り組み、また、林業事業体が連携いたしまして地域内の木質バイオマス発電所等へ原木を安定供給する取り組みなど成果が上がっております。

 このようにフォレストコンダクターの皆様には、各地域において、川上から川下に至る林業・木材産業関係者の連携を進め、木材の利用を促進する取り組みの総合調整役として御尽力をいただいているところです。

 次に、活動を有効に機能させるための工夫についてのお尋ねでございますが、フォレストコンダクターの対象者は、一定以上の規模を有する林業事業体の中で中核的な役割を担い、業務執行に主体的な役割を果たすことのできる職員としております。このため、民間の経営感覚を持って各地域の林業・木材産業関係者を意欲的にリードしていただくことを期待しておりまして、県に登録していただくことで活躍の場がより広がるものと考えております。

 また、活動の実効性が一層高まるように、フォレストコンダクターが一堂に会して県の担当者と意見交換や情報共有を行う連携会議を通じまして地域づくりを進めるための連携を図っているところでございます。さらに、県の林業情報誌を活用するなど、広く森林所有者や市町村関係者に対しましてもフォレストコンダクターの役割や活動内容を周知し、認知度を高める取り組みも進めてまいります。

 次に、県の林業全体をリードする総監督の必要性についてのお尋ねでございますが、県内の森林資源が着実に成熟し、育てる時代から利用する時代を迎えている中で、本県の林業全体を見渡しながら森林・林業施策を推進することは県の林務行政の重要な役割であると認識しております。

 県といたしましては、信州フォレストコンダクターの皆様に、本県が林業県としてもリードできる人材となるように各地域の実情に応じた活動を積み重ねていただきながら、その提言や活動の成果を県全体の森林・林業施策に反映させることによって収益性の高い自立した林業の構築を目指し、切って、植えて、育て、利用する森林、林業のサイクルを取り戻すことができるように取り組んでまいります。

 以上でございます。

 

◆石和大

 

この4月には塩尻市で信州F・POWERプロジェクトとして大規模製材工場の稼働が始まるなど、長野県が森林県から林業県に飛躍するための取り組みが本格化しております。今後、木材の安定的、計画的かつ持続的な供給を図っていくためには、総合的な視野で地域を牽引する信州フォレストコンダクターの担う役割は極めて重要であります。

 山あるをもってとうとしとせず、緑あるをもってとうとしとす。信州の麗しき山を守り、有効に利用し、また、育てる森林県の強みを発揮して雇用を初め地域の活性化にもつなげることは、信州の大いなる希望になります。

 信州フォレストコンダクターの活動が円滑に進むなど、地域の林業、ひいては県全体の林業が産業として振興していくよう引き続き県の取り組みを要望して、質問を終わります。