平成27年 6月定例県議会 発言内容(花岡賢一議員)


◆花岡賢一

   

 信州・新風・みらいの花岡賢一でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず初めに、しあわせ信州創造プランの一節にあります「信州の強みを県民一人ひとりが磨き上げることで、世界に通用する新たな価値を創造していく」。そういった未来の信州に向けての考えに強く共感しております。今後も日々研さんを重ね、シンプルにわかりやすく活動をしてまいりたい、そう思っております。そんな私ではございますが、順次質問をさせていただきます。

 信州を牽引するものづくり産業の振興についてお伺いいたします。

 長野県総合5か年計画(2013)に記載されている資料の一部には、平成25年から平成29年の累計での企業誘致目標が200件とありますが、私は企業誘致のみにとらわれない政策が必要であると考えております。企業の誘致と同時に進めなくてはいけないことは、むしろ地域に根差した産業、企業への支援であります。

 大手の企業誘致は国内ないしは国際的な景気の変動で撤退という状況を生みかねない、そして後々の地域の空洞化を発生しかねません。やはり、長野県に根差した、もともとある企業に体力をつけていただき、地域とともに成長していけるような方向性を見出していかなくてはならないのであります。

 200人を採用できる企業を5社誘致するのと5人採用できる企業を200社育てることの違いが全国的に展開されている雇用の創出といったことに対して最も注視していかなくてはいけないこと、そう考えております。

 雇用の創出といった大きな目標への対策として、安定的であり、かつ継続的である、そういった施策を長野県はどう進めていくのか。知事にお伺いいたします。

 そして、既存企業が採用枠をふやす、そういった件についてお伺いいたします。

 例えば、先ほど申し上げたように、5人採用できる企業を200社育成することを目指したとして、当然期間の設定も必要ですが、5人採用といった数値を達成した企業、あるいは多様な勤務体系の導入や育児休暇に代表される子育て支援などを会社内で充実させている、そういった内容など、これから働きたいと思う人たちに対して長野県としていわゆるお墨つきのような形を与えることを行い、それを確実な情報として発信することができたならば、企業側はもとより、採用される側、つまり学生ないしは就職を希望する側の選択の道しるべになるのではないでしょうか。

 そして、その指標の発信を繰り返し、信憑性を高めることができたならば、県内のみにあらず、県外Uターン、Iターン等雇用の創出から始まる人口の増加へと続いていくのではないかと考えております。そして、その情報の信憑性が高まると同時にジョブカフェ信州の利用者も増加し、その利用者の就職率も上がるのではないでしょうか。

 結果、誰もが就職に必要な知識や技能を身につけ、個々の希望に沿った就職ができるよう支援するとともに働きやすい環境づくりを進める、そういった政策を進める長野県にあって明確なサポート機能となるはずであります。

 これは、明確に言われている法人税率優遇措置などに代表される有償的な支援ではなく、ある意味無償的な支援として即効性のある施策として可能なのではないか、そう考えています。その所見を産業労働部長にお伺いいたします。 

 

◎知事(阿部守一)

 

 地域に根差した産業、企業の支援という観点で御質問いただきました。

 県内経済の足取りを確かなものにし、力強い産業の創出、雇用の確保を進めるためには、企業誘致はもとより、御指摘のように既存の企業がさらに発展していただくということが大変重要だと考えています。

 とりわけ県内企業の99%以上を占めています中小企業におきましては研究開発、販路拡大、人材の育成確保等課題があるわけでありますし、こうしたところの支援が極めて重要だというふうに考えています。

 こうした観点から、県の工業技術総合センターあるいは長野県テクノ財団によります産学官連携の研究開発プロジェクトでありますとか、あるいは中小企業振興センターによります販路拡大支援事業を展開してきています。

 他方で、県内企業の活力向上と起業家精神の高揚等を図るため、ベンチャーコンテスト等創業支援策も進めてきております。また、さらに、長年、地域社会に御貢献いただいている企業を表彰するという観点で、長野県百年企業(信州の老舗)表彰ということで昨年264社表彰させていただいたところであります。地域で継続的に活動をしていただいている皆様方の取り組み、活躍、大変重要だと思っております。

 また、事業を引き継ぐ人たちがいない、事業継承をする人がいないという企業もあります。そういう観点で、昨年2月には県の中小企業振興センター内に長野県事業引継ぎ支援センターを開設して、譲り渡す事業者と譲り受ける事業者とのマッチングの支援等も行っています。

 今後とも、長野県で活躍している長野県の中小企業が未来への展望を持っていただき、新たな挑戦をするとともに、企業経営の安定と継続を図っていくことができるよう、産学官、あるいは金融機関、労働界、県内全ての英知を結集させて多角的、総合的な支援を行っていきたいと考えています。

 以上です。 

 

◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹)

 

 お答えいたします。

 魅力ある取り組みを行っている企業の情報発信についての御質問です。

 県内産業の振興のためには企業における優秀な人材確保も大変重要なことと考えております。そのためには企業業績も重要ですが、これから働きたいと思っている方々に働く環境の整備や魅力ある取り組みを行っている県内企業の情報をしっかりと発信することも必要と考えております。

 県では、これまで、企業における働きやすい職場環境づくりやワーク・ライフ・バランスを進めるため、企業を訪問し、短時間正社員制度など多様な働き方の導入について働きかけを行ってまいりました。

 今年度は、多様な働き方の制度を導入し、さらに正社員雇用や非正規社員の正社員化を行うなど具体的な取り組みを行っている企業を認証する制度、多様な働き方等実践企業認証制度をスタートさせることとしております。

 この事業の実施に当たりましては、認証企業を長野県のホームページで広く発信するとともに、わかりやすく親しみやすい愛称と認証マークを作成し、認証された企業に使用してもらうことによりその企業のイメージアップを図り、より優秀な人材の確保定着につなげてまいりたいと考えております。

 以上でございます。 

 

◆花岡賢一

 

 仕事がふえたから採用をふやす、その観点から雇用によりマンパワーが増強された結果、仕事をふやす、そういった意味も時には必要であると考えております。

 地方創生という意味には、行政側から攻める、そういった姿勢も求められている、その内容を含んでいると思います。強くたくましく成長する企業がますます生まれてくることに大きな期待を寄せるとともに、今後その課題に取り組んでいく県の姿勢をともに創造していきたい、そう考えております。

 続きまして、本年4月4日に開校されました長野県佐久平総合技術高等学校についてお伺いいたします。

 佐久市内にありました北佐久農業高校、臼田高校、岩村田高校工業科の3校の合併的新校のスタートに大きな期待を寄せています。しかし、この高校再編は、全国的に進む少子化の中にあって、単なる数合わせ的再編は決してあってはならず、むしろ時代の転換期にある現在、未来ある高校生により高度な教育を受けてもらいたい、そして長野県の産業振興に大きな影響力を持ち、かつ貢献できる人材の育成につながる質の高い技術高校として進んでいかなくてはなりません。校是にあるように、佐久平の未来をつくる人物たれ、その姿勢に大きく期待しています。

 先ほど申し上げました単なる数合わせ、そうならないよう、佐久平総合技術高校としての今後の展望を教育長にお伺いいたします。 

  

◎教育委員会教育長(伊藤学司)

 

 佐久平総合技術高等学校についてのお尋ねでございます。

 佐久平総合技術高等学校は、佐久市の中等教育を考える会及び地域とともに佐久新校を考える懇話会において地元の意向を丁寧に伺いながら、3校に分かれていた異なる学校を1校にまとめ、この4月に開校した総合技術高校でございます。

 総合技術高校の特徴は、各学科の専門性を確保しつつ、他学科の基礎的な学習内容を学ぶことにより、産業構造や社会情勢の変化等、時代の要請に的確に対応する汎用的、多面的な職業能力を備えた多様な人材を育成するところにございます。

 佐久平総合技術高等学校においても、その特徴を生かし、遠隔通信システム等を活用しながら農業科、工業科及び総合学科の異なる学科が相互に連携した授業や教育活動を推進しているところでございます。

 議員御指摘のとおり、異なる三つの学科の持つ教育資源を融合した質の高い総合技術高校の教育を提供し、地域の御支援をいただきながら、佐久平の未来をつくる有為な人材の育成に努めてまいる所存でございます。   

 

◆花岡賢一

 

 先ほどの佐久平総合技術高校は、佐久市の北側にあります浅間キャンパスと南側にあります臼田キャンパス、その二つのキャンパスをもって学校としているわけですけれども、浅間キャンパスは新幹線の駅から1キロ程度という学校立地の好条件、それを生かすべく、臨時的ではあっても県内のみにこだわらない優秀な講師の方を招き入れるなど、今までにない高度な技術高校としてその模範となるように進んでいってもらうことを願ってやみません。

 続きまして、防災対策についてお伺いいたします。

 昨年、戦後最悪の火山災害を生んでしまった御嶽山の噴火や、最近活動が活発になってきている浅間山、この二つの火山は現在警戒レベル2でありますが、昨日、小規模噴火により警戒レベル3へと引き上げられた箱根山など活火山の多い我が国、我が県にあって、その防災・減災対策として長野県はどのようなことが行われているのか。危機管理部長にお伺いいたします。 

 

◎危機管理監兼危機管理部長(野池明登)

 

 活火山の防災・減災対策につきましてお答え申し上げます。

 気象庁が24時間常時監視をしています活火山のうち長野県に火口があるのは浅間山、御嶽山、焼岳、乗鞍岳の4火山、隣接につきましては草津白根山、新潟焼山の2火山でございます。

 この6火山には、長野県及び関係県、関係市町村、気象庁、警察、消防、自衛隊、火山専門家等を構成員とする火山防災協議会を設置しているところでございます。

 この協議会では、まず平時から火山情報の共有、情報伝達体制の整備、登山者等への情報提供など事前対策の検討を行い、そして、噴火時の警戒レベルに応じた登山道や道路の規制、避難方法などを事前に取り決め、噴火時に迅速、的確に対応ができるように火山ごとに対応しているところでございます。

 また、登山者を噴石による被害から守るためのシェルターの整備を支援する火山避難施設整備支援事業を今年度県で創設をしたところでございます。

 さらに、火山研究者の育成、観測設備の充実による監視体制の強化につきまして国に重ねて要望を行っておりますし、県防災会議には3名の火山専門家に専門委員として就任いただき、火山防災対策の助言をいただく体制を整えたところでございます。

 現在、国会において活動火山対策特別措置法の一部改正が審議をされておりまして、法律案には集客施設における避難計画の作成、県による避難、救助に関する広域調整などが盛り込まれておりますことから、今後も各火山ごとの火山防災協議会でしっかりと議論をいたしまして火山防災対策を着実に進めてまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。 


◆花岡賢一


 先ほどの答弁についてなんですけれども、火山そのものに対する監督といいますか、そういったものは行われているというふうに理解させていただきます。ですけれども、長野県の皆様に対して、火山の危険性、その後の2次災害も含めて、そういったことも周知徹底をしていかなきゃいけない、私はそう考えています。

 それで、それに際してですけれども、有事の際、つまり噴火が起こってしまった、そういったときとほぼ同時期に連動して発生する地震への対策として、感震ブレーカー、ある程度の揺れを感知するとブレーカーが落ちるものというものがあります。漏電発生と同時に電気を遮断するブレーカーの認知度は高い、そう思いますが、地震に伴う2次災害の多くに家屋等の火災が起こります。原因は、揺れによって物が散乱し、通電している電気ストーブや白熱灯に可燃物が接触して発火するケースが多いわけですが、実際、地震発生時に、身を守ることが最優先で、ブレーカーを落としてから避難するといった冷静さを持って対応できる人はほとんどいないでしょう。

 過去の大きな地震の実例を挙げると、阪神・淡路大震災では原因が特定できる139件のうち電気によるものは85件、また、東日本大震災では110件の火災のうち電気によるものは71件といずれも6割を超えている状況です。その対策として、横浜市では、このような感震ブレーカー、そういったものを購入する、その世帯に補助金を出したり、また、歴史的建造物を地域で守る活動の一端と捉えておりますが、岡山県の新庄村のように簡易タイプのものを全戸約400世帯へ配布した実例も聞いております。

 認知度は低くても、火山大国で地震国の我が国、そして本県にあって、対策をとっても遅いということは決してないはずであります。その点を再度危機管理部長にお伺いいたします。

 

◎危機管理監兼危機管理部長(野池明登)

 

 地震に伴う火災の予防に関連いたしまして、特に揺れに反応する感震ブレーカーについてでございます。

 内閣府、消防庁、経済産業省所管の大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会が本年3月に報告書をまとめましたけれども、それによりましても、御質問にもありましたとおり、大規模地震時に発生した火災の約6割が電気に起因する火災である、そして感震ブレーカーの設置も有効な対策の一つであるとされているところでございます。

 また、昨年度末にまとめた第3次長野県地震被害想定調査報告書、これでも、耐震化や感震ブレーカーの設置により出火を大幅に軽減をし、建物被害や人的被害を減少させる減災効果が高いとしているところでございます。

 ただいまの質問の中で他県の事例の御紹介ございましたけれども、現時点で県内で感震ブレーカーに関する補助や配布を行っている市町村はないと聞いておりますけれども、県といたしましては、今年度、地震被害想定の普及啓発を積極的に進めることとしておりますし、このほかにも、出前講座ですとか火災予防運動等さまざまな機会を通じて、感震ブレーカーを含めた地震発生時の火災予防対策の重要性を市町村、そして県民の皆様に周知、普及をしてまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。


◆花岡賢一


 先ほど申し上げたとおり、やはり地震国、火山国である我が国、我が県でありまして、今後、そういった感震ブレーカーにあらずですけれども、そういった2次災害を予防するそういった活動も全国的なスタンダードとなっていく可能性も含んでおりますので、今後注視していきたいと思っています。

 続いて、近年、全国各地で地球温暖化の影響と思われるいわゆるゲリラ豪雨が発生し、土砂災害が多数発生しております。本県におきましても、昨年の木曽の土砂災害にあるよう、今後の被害は予想しがたいものがあります。その対策として、現在、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律、いわゆる土砂災害防止法、それにより県下各地で区域指定が行われていると思いますが、現在での指定の状況と指定に当たっての問題点についてお伺いいたします。

 当然、指定する際、所有者に通知する必要がありますが、その内容は親切かつ公正な事務手続によって行われるべきであると思いますが、実際に所有者が知らなかった、そういったケースを聞いています。その指定に当たっての方法について建設部長にお伺いいたします。


◎建設部長(奥村康博)

 

 土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域等の指定に関する御質問でございます。

 長野県では、平成16年度より土砂災害警戒区域等の指定を開始し、平成27年6月30日現在で県全体の約9割に当たる2万5,041カ所の警戒区域を指定しております。来年度中には全ての指定が完了する見込みとなっております。

 指定に当たりましては、危険な箇所を明らかにし、県民の皆さんに周知するとともに、御理解を深めていただけるように取り組んでいるところでございますが、地価が下落するのではないか等の理由により必ずしも全ての方に御理解いただけない場合があることが課題であると認識しております。

 次に、指定に当たっての周知の方法についてでございます。

 県では、指定を行う前に、警戒区域に関する調査結果や指定に伴います規制等について地域の皆様を中心に説明会を行っております。平成26年度は、別荘地に関する県外での説明会、これは、別荘地をお持ちの東京の方にも出張していって説明会を行ったようなものも含めまして全部で179回の説明会を開催しまして、延べ4,417名の方に御出席いただきました。

 土砂災害防止法では説明会の開催義務は定められておりませんが、ただいま申し上げましたとおり県ではきめ細かに説明会を開催しております。今後ともできるだけ丁寧な説明を心がけ、また、指定後は県ホームページへの掲載や市町村による周知の取り組みを引き続き支援してまいりたいと考えております。

 以上でございます。 


◆花岡賢一


 関連しておりますけれども、砂防といった観点で現在浅間山は国土交通省が利根川水系という名目で監督しております。これも、15年で国が見直さなくてはならないため今後ますます取り組みを研究していかなければいけない、そういう状況があります。また、平成24年から国土交通省が監督しているわけですが、その前は長野県の監督下であった、そう聞いています。

 いずれにいたしましても、火山災害は予測しがたい上、被害は甚大となる可能性を多く含んでいるため、長野県としても今後の活動としてますますのお取り組みをお願いしまして、私の質問を終了いたします。