平成27年 6月定例県議会 発言内容(荒井武志議員)


◆荒井武志

   

 信州・新風・みらいの荒井武志でございます。通告に従いまして順次質問をいたします。

 初めに、産業振興支援施策についてであります。

 中小企業は、産業発展の原動力であり、地域社会を担う重要な存在であるとして、平成26年3月20日、長野県中小企業振興条例が施行されました。この条例により、中小企業者の受注機会の増大や県産品の購入促進、小規模企業者の支援等に配慮しながら、中小企業者の自主的な経営努力や中小企業の支援に向けた関係者の連携を促進し、総合的な中小企業振興施策を実施することによって中小企業の一層の発展を図っていくとしているところであります。

 条例施行後、県は新たな施策の一つとして創業100年以上の老舗企業264社に対し表彰を行ってきましたが、中小企業が中小企業として地域に根差していることに実感でき、より県民に見える取り組みが必要であり重要であると思っております。

 この間、世界的な不況や環境・エネルギー分野での制約、少子・高齢化などによる停滞に直面している状況のもとで、中小企業がその力と才能を発揮することで疲弊する産業、経済を活気づけていくんだという認識のもとに中小企業を発展させるべく各種の産業振興策を展開してこられましたが、現実には、そこに、中小企業こそが社会の主役なんだ、中小企業を大事にしていこうということがなかなか出てこない、見えてきていないのではないかというような声を耳にしているところでございます。

 一方、貢献と自立の経済構造への転換を推進するとして長野県サービス産業振興戦略を決定し取り組み始めましたが、県民や企業関係者にその趣旨がしっかり伝わってこそ具体的な取り組みが広がっていくものと思います。

 そこで、以下3点について産業労働部長にお伺いいたします。

 一つに、中小企業振興条例制定後において、広報活動の充実を含め、新たに取り組んだ振興施策にはどのようなものがあったのでしょうか。

 二つに、知事は、毎年、振興施策の実施状況の概要を公表するとしていますが、いつごろ、どのような手法で行うのでしょうか。

 三つに、サービス産業振興戦略の周知及び今後の具体的展開をどのように進めていくのでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

  

◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹)

 

 3点順次お答えいたします。

 まず、条例制定後、新たに取り組んだ振興策についての御質問でございます。

 条例制定1年目の昨年度は、中小企業者の方々や関係者の方々にこの条例の目的や内容を知っていただくことが大変重要と考えまして、条例の周知に重点的に取り組みました。具体的には、条例の内容を県のホームページで掲載するとともに、条例のパンフレットを8,000部作成し経済団体等を通じて中小企業の皆様に配布いたしたところでございます。また、経済団体の総会や各種研修会の機会を捉えまして条例の説明を行うなど、積極的にその周知を図ってまいりました。

 また、御指摘もございましたが、昨年11月に、条例制定を記念いたしまして、県内の中小企業者や関係者など約400名の方々にお集まりいただき、長野県では44年ぶりとなります一日中小企業庁イン信州を松本で開催いたしました。この中では、長野県百年企業(信州の老舗)としまして県内の企業264社を表彰するとともに、シンポジウムを開催し、中小企業の方々が新たな挑戦に向かった第一歩を踏み出せるような取り組みの機会となったと考えております。

 そのほかにも、この条例の制定を受けまして幾つかの振興策が進められております。例えば、条例の第12条で、県が物品の調達に当たって県産品の積極的な購入に努めると規定されていることを受けまして、現在、会計局とともに県産品の優先調達制度を検討しております。また、16条の創業の促進の規定を受けまして、教育委員会と連携を図り、県内の中高生を対象にいたしました、将来の起業家につなげるアントレプレナー教育を始めました。さらに、19条では商業、サービス業など地域に根差した産業の振興が規定されておりますので、ことし3月に長野県サービス産業振興戦略を策定したところでございます。加えまして、第20条では食品、伝統的工芸品などの地場産業の振興が規定されておりますので、これを受けまして、伝統的工芸品の魅力アップ・創造事業を充実するとともに、しあわせ信州食品開発センターを活用したNAGANOの食イノベーション事業が創設されたところでございます。

 次に、公表についての御質問でございます。

 条例の施行後、最初の事業年度となります昨年度分の状況につきましては、個々の事業の決算額の公表が可能となり次第、公表したいと考えております。

 公表の方法は、振興施策の概要や決算額などを体系的にまとめた一覧表を県のホームページに掲載するとともに、経済団体に御協力いただきまして中小企業の方々に周知を図りたいと考えております。また、県の中小企業振興審議会におきましても、実施状況の報告を行いまして、施策のさらなる推進や改善に向けました検討を行ってまいりたいと考えております。

 次に、サービス産業振興戦略の周知と今後の展開についての御質問でございます。

 サービス産業振興戦略に基づく具体的な取り組みを広げるためには、県民の方々、サービス事業者、創業を目指す方々、またそれを支援する方々など、さまざまな方々の理解と御協力が必要と考えております。そのため、県といたしましては、長野県政出前講座や商工団体等の会議などさまざまな機会を捉えまして、その戦略の趣旨やそれに基づく施策につきまして周知を図ってまいりました。そのほかに、ウエブサイト「応援します!サービス産業」を立ち上げ、補助制度、セミナーの開催などの情報を発信するとともに、地域のサービス産業事業者の魅力的な取り組みも紹介しているところでございます。

 この戦略の中では、情報技術、ヘルスケア、スモールビジネスの三つの重点軸を基本に施策を展開していくとなっておりますが、既に、県外のIT人材の誘致を図るために、コワーキングスペースを利用して半年間試行的に就業しながら定住を考えていただく「まちなか・おためしラボ」の事業を始めました。また、農業や製造業などの課題をIT技術の活用で解決する実践的な研修、さらにはインターネットを通じて不特定多数の人から事業資金を調達するクラウドファンディングという仕組みを活用した新しいビジネスの創出などに取り組んでおります。

 本県の体系的なサービス産業振興施策はまさにスタートしたばかりでございます。今後も、現場の声をしっかり伺いながら、より効果的な施策を展開してまいりたいと考えております。

 以上でございます。 

  

◆荒井武志

 

 お答えをいただきました。大分進みつつあるかなという状況だと思います。特に、今のお話の中で、教育委員会も中高生等に対してしっかりかかわっていると、こういうお話を聞きましたので、そういう点は将来を考える上では大変重要ではないかなと、こういうふうに思っているところでございます。

 知事にお伺いいたします。

 条例制定後1年余りが経過する中で、人口減少に必ずや歯どめをかけていくんだという強い思いを込めて、今後の中小企業振興策の方向性をどのように考えておられますか。御所見をお聞かせください。

 次に、若年者の職場定着についてであります。

 このほど、山形、秋田方面において調査をしてきましたが、秋田県では、新規学卒就職者の3年以内の離職率が大学卒業で36.1%、全国平均32.4%、高校卒業で42.4%、全国平均で39.6%といずれも全国平均より高い状況であったことから、若年者の職場定着促進のために県が中小企業団体中央会に委託しアンケート調査を行ったとのことで、その取り組みについて伺ってきました。

 学卒者の早期離職がもたらす問題は企業、離職者双方にあり、企業への影響として、各企業の独自の技術やノウハウが蓄積されない、労働力、後継者の不足を招くおそれがある、新規採用や人材育成に係る経費の損失などがあるとのことです。離職者への影響では、専門的な技術や能力が身につかない等キャリアを形成できない、就職にかかったコストが無駄になる、正規雇用として再就職することが極めて困難になる、その後、非正規職員として就職せざるを得ないなどを指摘をいただいたところであります。

 一方、定着率がよくなっている事業所の特徴としては、経営者が若年者を理解している、早期離職は企業側にも問題があるという認識、メンター制度を導入、3カ月間の新入社員向けの研修を実施、中堅、若年従業員でグループワークを実施しているなどでありました。

 このように多くの問題や課題があるということは極めて重大であると再認識をしたところであります。

 そこで、以下2点にわたり産業労働部長にお伺いいたします。

 一つは、県内における新規学卒就職者の離職の実態と課題にはどのようなものがあるでしょうか。

 二つに、若年者の職場定着のための促進策の方向性についてどのように考えておられますか。また、県教育委員会が取り組んでいるキャリア教育の状況と、地元企業理解、地元定着率をどのように高めていくのかを含め、今後の方向性について教育長の御所見をお伺いいたします。  

         

◎知事(阿部守一)

 

 今後の中小企業振興策の方向性、強い決意を込めて述べよという御質問でございます。

 県内企業の99%を中小企業が占めているわけでありますので、長野県の経済、地域を元気にしていく、まさに地方創生、人口減少を食いとめるためには中小企業の振興、活性化は大変重要だというふうに考えています。

 そうした観点をしっかり持ちながら、中小企業の皆様方の市場の開拓でありますとか、あるいは次世代産業、成長分野への進出支援でありますとか、さらには経営体質の強化等、さまざまな振興施策を総合的に講じていきたいと考えています。

 特に、昨今、企業の皆様方とお話すると人材不足ということがよく言われるようになってきています。専門技術を持っていらっしゃるリタイアされる人材、あるいは中途退職者等と中小企業をマッチングするような仕組みづくりも今後検討していきたいというふうに思いますし、また、今、事業引継ぎ支援センターを設置をしておりますが、こうしたセンターも充実しながら、後継者の確保をしっかり支援していきたいと思っています。

 今後とも、中小企業の皆様方の思いや立場にしっかりと寄り添いながら、中小企業振興条例に基づくさまざまな支援策を推進していきたいと考えています。

 以上です。 

 

◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹)

 

 2点順次お答えいたします。

 まず、新規学卒者の離職の実態と課題についての御質問でございます。

 昨年県がまとめました長野県離職状況調査によりますと、平成22年度に県内企業へ新卒で採用された若者のうち3年以内に離職した方は21.3%となっております。国が実施しました同様の全国調査では離職率が34.7%となっており、これに比べますと多少低い状況にございますが、希望を持って就職した若者がこれだけ離職している状況はまことに残念であると考えております。

 県の調査によりますと、離職の理由は、家庭の事情、健康上の問題のほか、仕事や職場の人間関係に関するストレスや、労働時間、給与などの労働条件に対する不満などを挙げている方が多く見られました。

 県といたしましては、学生の企業や業界に関する理解の促進とともに、職場環境の改善が新卒者の離職防止に向けての課題と考えているところでございます。

 次に、若年者の職場定着のための促進策の方向についての御質問でございます。

 県では、若者の早期離職を減らすため、人材定着に悩む企業の方々の人事管理研修や新入社員に対する定着支援研修などを実施しております。また、昨年度作成いたしました「はたらく若者ハンドブック」を活用いたしまして、社会に出る前の学生に社会人としての心構えや働く上での基本的なルールなどについて理解を深めていただくことにしております。さらに、企業や業界に関する知識を深めるための学生のインターンシップは大変有効な手段と考えております。大学や経済団体と連携しながら、県内企業での実施を今以上に促進してまいりたいと考えております。

 なお、職場環境の改善につきましては、現在、労働局と連携して、残業時間の縮減や休暇の取得促進など働き方の改革に向けた取り組みを経済団体に要請しているところですが、今後は県内の企業にも働きかけを直接行ってまいりたいと考えております。

 以上でございます

         

◎教育委員会教育長(伊藤学司)

 

 キャリア教育の状況と今後の方向性についてお答えを申し上げます。

 県教育委員会では、平成23年度に策定をいたしました長野県キャリア教育ガイドラインに基づき、家庭、地域、産業界と連携しながら、幼保小中高の発達段階に応じた体系的なキャリア教育の推進に取り組んでいるところでございます。

 高校生に対するキャリア教育の取り組みとし、各学校が実施している企業見学や就業体験活動を支援したり、労働局と共催で県下各地において高校内企業説明会を開催したりしているところでございます。こうした取り組みを通し、生徒に勤労観、職業観を育成するとともに、地元企業に対する理解を深めているところでございます。

 今春の高校生の就職内定者のうち県内企業に内定した高校生の割合は90%を超え、全国的にも高い状況でございますが、就職段階におけるミスマッチを解消し、早期離職を防ぎ、人材の定着をさらに図っていくことが重要だと考えてございます。

 そこで、県教育委員会では、経済団体に対し、就業体験のさらなる充実や人材育成についての協力を要請をしたところでございます。

 今後、これまでの取り組みに加えて、就職を希望する生徒のみならず大学等へ進学する生徒も対象に、経済界、産業界の御協力をいただきながら、キャリア教育を通じ地元企業について学ぶ機会の充実や、勤労観、職業観を育成することにさらに努めてまいりたいと思っております。 

 

◆荒井武志

 

 新規学卒就職者の離職、21.3%とお聞きしました。全国より低いというふうに聞きましたけれども、2割を超えているわけでございます。ぜひ、その辺も含めてまたしっかりお取り組みいただきたいと、このように思います。

 次に、消防団の充実強化についてであります。

 この時期、県内各地で、定位につけ、操作始め、よしと気合いが入ったかけ声が地域に響き渡っております。ポンプ操法大会に向けた朝な夕なに連日の猛訓練でございます。家族や企業関係者の御理解や御支援に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 そんな中、ある消防団員とお話をする機会がありました。団員に若手がなかなか入ってこないんです、入団の誘いに行っても親御さんに断られたりして、自営業こそ大変なんですよ、出動時には仕事をストップさせなきゃならないんですからなどと切実な思いを率直に伝えられました。

 現実に、消防団員は定数を割り込んでいる状況にあると思っております。また、昨年は長野県内で四つもの大きな自然災害が発生し、そのたびに消防団や常備消防の皆さんが現地に駆けつけ、人命救助や応急対策に奔走され、被害を最小限に食いとどめようと対応されてこられました。感謝の限りであります。

 消防団員の不足は、10年来、いや20年来の課題でありましょう。総務省消防庁からは、今から10年以上前の平成16年4月に、消防団等を対象とした実態調査等を踏まえ、「地域防災体制の充実強化に向けた消防団員確保について」とする都道府県消防防災主管部長宛ての通知が発せられており、市町村が定める各消防団の条例定数を維持し、消防団と連携して地域の実態に合った団員確保方策の実施、被雇用者(サラリーマン団員)や女性消防団員の確保方策、消防団員周知施策の強化、自主防災組織等との連携方策などが示されるとともに、平成17年3月には「消防力の整備指針」が検討会から報告され、消防団員の総数は動力消防ポンプの種類ごとに規定する人員及び管轄小学校区内の可住地面積を基礎とした数を合算して算出することになっておりました。

 その後、平成25年12月には、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律が制定され、消防団は地域防災力において欠くことのできない代替性のない存在と明文化され、地域防災力の充実強化に関する関係者相互の協力についても定められました。加えて、昨年10月、検討会の報告を受け、消防庁告示の「消防力の整備指針」が全部改正され、消防団の総数は地域の実情に応じて必要な数とされたところでございます。

 そこで、お伺いいたします。

 一つには、消防団と常備消防の必要性と業務内容やあり方などについてどのように捉えておりますか。

 二つに、消防団員定数と実数の変遷、実数では女性団員の状況も含めどのようになってきているでしょうか。

 三つに、自主防災組織の組織化の状況と消防団とのかかわりや連携はどうあるべきだとお考えですか。

 以上3点について危機管理部長にお伺いいたします。

          

◎危機管理監兼危機管理部長(野池明登)

  

 消防団の充実強化につきまして順次お答えを申し上げます。

 まず、消防団と常備消防の業務内容やあり方についてでございます。

 常備消防につきましては、本県では、13消防本部、2,400人強の消防職員が専任で従事をし、消火、救急、救助、火災予防等の専門性の高い業務を行っております。また、大規模災害時には、相互応援や緊急消防援助隊の形で消防本部同士が協力をして災害対応を行っているところでございます。

 一方、消防団は、非常備の消防機関で、他に本業を持つ方々、県内では約3万5,000人が非常勤特別職の地方公務員として消防・防災活動を行っていただいております。地域密着性、要員動員力、即時対応力といった特性を生かして、火災の初期消火や残火処理、災害時の警戒、救助、啓発活動などを中心に幅広い業務を行っていただいております。

 常備消防と消防団は、それぞれの強みを生かしつつ、相互に連携をし、補完し合いながら任務を果たしていただいているものと認識をしております。

 2点目の消防団員定数と実数の推移についてでございます。

 10年前の平成17年には県内の団員の定数は4万229人、実数は3万8,220人であったものが、平成27年の速報値では定数3万7,151人、実数3万5,314人で、それぞれ定数で3,078人、実数で2,906人の減、いずれも7.6%に相当しますけれども、そのような状況となっておりまして、全県では減少傾向が続いているところでございます。

 女性団員につきましては、10年前の平成17年に538人でございましたが、年々増加をして、本年の速報値では986人で、この10年間で1.8倍となっております。その活動は、予防や広報、ラッパ隊等にとどまらず、団によってはポンプ操法も行うなど、ますます活躍の場が広がっており、地域防災の戦力として期待をされているところでございます。

 3点目の自主防災組織につきまして、まず組織化の状況でございます。

 自主防災組織は、災害対策基本法に住民の隣保協同の精神に基づく自発的な防災組織と位置づけられており、その組織率は、本年4月1日現在、県内世帯の92%となっております。全国が80%ですので全国を大きく上回るもので、長野県の地域における防災への意識の高さを示しているものと考えております。

 また、消防団とのかかわりや連携についてでございますが、昨年11月に発生した神城断層地震では発災直後から自主防災組織や消防団がいち早く安否確認や救助活動を開始し、多くの人を救出をして死者を一人も出さなかったことは記憶に新しいところでございまして、まさに共助の中核を担っていただいております。

 自主防災組織や消防団を初め、あらゆる防災関係者がふだんから顔の見える関係を築き、一体となって訓練や研修を積み重ねていくことが地域の防災力を高める上で何より重要であると考えているところでございます。

 以上でございます。 

 

◆荒井武志

 

 答弁いただきましたように消防団員数が定数に満たない状況ですが、その要因及び対応策として過去に取り組んだ消防団充実強化策にはどのようなものがあったのでしょうか。

 二つに、消防団充実に向けて一層取り組みを強化すべきと考えます。今年度新たな対策として信州消防団員応援ショップ推進事業に取り組まれますが、市町村も何とかしようと消防団サポートショップ事業などに取り組んできております。これらと競合することはないのでしょうか。

 三つに、前段で申し上げました自営業や個人事業主に対する支援策について今後検討していただきたいと思いますが、どのようにお考えですか。

 以上、危機管理部長にお伺いいたします。

 加えて、私たちは自然災害や火災を皆無にすることはできないわけで、地域防災力の中核であると位置づけられました消防団には一層奮闘いただかなければならないと思います。消防団や消防活動に対する思いや期待について知事の御所見をお伺いし、質問を終わります。 

 

          

◎危機管理監兼危機管理部長(野池明登)

 

 3点につきまして順次お答えを申し上げます。

 まず、消防団の団員数が定数に満たない要因でございます。

 農村、中山間地域の人口減少や若者の価値観の変化、地域コミュニティーとのかかわりの希薄化などが団員減少の要因と考えておりますが、市町村においてもさまざまな努力を重ねて団員確保に努力をしておりまして、この4月の速報値では33の市町村が団員数増ということでございます。

 また、これまでの消防団の充実強化策でございますが、県では、平成19年度から全国に先駆けて消防団活動に協力する事業所に対する応援減税ですとか、平成21年度からは入札参加資格登録における加点の優遇措置を行うほか、ホームページ、スポットCM等の広報媒体により入団促進を呼びかけるなど、団員が活動しやすい環境づくりを積極的に支援をしてきたところでございます。

 2点目の信州消防団員応援ショップ推進事業、市町村との競合ということでございますけれども、県内で地元の消防団員に特典サービスを提供する事業を実施している市町村、現在把握しているところで23市町村ございますけれども、登録の店舗数は平均で32店舗となっております。

 今年度、県が県の消防協会と連携をして取り組む消防団員応援ショップ推進事業ですけれども、利用できる範囲を全県を対象として展開をしていくこととしております。既に同様の事業を行っている市町村にとりましても、県と一緒に登録店舗等をさらに開拓をすることなどで競合というよりも相乗効果を期待できるのではないかと考えているところでございます。

 県も市町村とともに取り組むことによりましてそれぞれの事業が幅広く周知され、団員の皆様、登録事業者双方にとりましてメリットが生まれるように、また消防団員の皆様の士気高揚にもつながるように進めていきたいと考えているところでございます。

 3点目の自営業や個人事業主に対する支援策についてでございます。

 これまで県が実施をしてきている消防団活動協力事業所応援減税、さらには入札参加資格への加点などの優遇措置は、もちろん自営業や個人事業主の方もぜひ活用をいただきたいというふうに思っている制度でございます。ただ、平成26年度の減税実績を見ますと、全体で49件認定をしておりますけれども個人事業者は3件とまだ少ない状況でございますことから、経済団体や消防関係団体などとも連携をいたしまして制度の一層の周知を図ってまいりたいと考えているところでございます。

 また、先ほど申し上げました消防団員応援ショップ推進事業ですけれども、登録店舗の新規顧客獲得にもつながる取り組みですので、県でも登録を呼びかけ、大いにPRをしてまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

          

 

◎知事(阿部守一)

 

 消防団に対する思いや期待についての御質問でございます。

 私も毎年順番に各市町村の消防団の出初め式に参加をさせていただいておりますけれども、傍らで別の仕事を持ちながら地域のために活動していただいている消防団の皆様方には本当に頭が下がる思いでありますし、また、みずからの地域はみずから守っていく、これはまさに地方自治の基本だというふうに考えています。

 昨年、長野県、さまざまな災害に見舞われたわけでありますが、そうした中でいろいろ教訓がありました。そうした教訓の中のやはり大きな一つが共助の仕組み、支え合いの重要性ということではないかというふうに考えています。神城断層地震でも白馬の奇跡というふうにも称される部分がありますが、私は、奇跡というよりは、むしろ、日ごろから地域の皆さんがしっかりとお互いの暮らしを支えていこう、いざというときにどうやって応援していこうということを考えていただいていた成果だというふうに思います。

 そういう意味で、消防団活動あるいは地域の自主防災組織の活動、こうしたことが長野県の防災力を向上させる上では、耐震化の推進や緊急輸送路の整備等を初めとするハード整備と同様、あるいはそれ以上に、極めて重要だというふうに考えています。

 そういう意味で、昨年の災害も踏まえて、6月の14日に、災害に強い長野県づくりを進めようということで、地域の防災・減災を考えるシンポジウムを開催いたしました。これは、県の消防協会と初めてタイアップして共催で開催をさせていただいたわけでありますが、私も参加をさせていただいて、全県から400名を超える自主防災組織あるいは消防団員の皆様方に御参加いただき、一緒になって地域の防災、減災に取り組んでいこうという機運を高めると同時に、共助の取り組みを全県に広めていこうということを誓い合ったところでございます。

 全ての基本は安心、安全だというふうに思っています。そうした安心、安全を日夜分かたず支えていただいております消防団活動には本当に敬意と感謝を申し上げたいというふうに思いますし、県としても、先ほど危機管理部長からるる御答弁申し上げましたように、市町村とも連携してさらに消防団活動が活発になるように応援をしていきたいと考えております。

 以上です。