平成30年2月定例県議会 発言内容(小林東一郎議員)


◆小林東一郎

 

 総合型リゾート推進法の制定により、ギャンブル依存症問題がにわかに注目を集めています。昨年9月に公表された国内のギャンブル等依存に関する疫学調査の中間取りまとめによれば、過去1年以内の経験等の評価によりギャンブル等依存が疑われる者の割合は、成人の0.8%、生涯を通じた経験等により疑われる者の割合は3.6%と推計されています。

 健康福祉部の推計では、調査結果を本県に当てはめた場合、過去1年以内が1万1,100人、生涯では5万人にギャンブル依存症の疑いがあるとお聞きしています。この数値は、アルコール依存症を現有する者1万200人、アルコール依存症の生涯経験者1万8,600人という本県での推計値を超えるもので、本年度ようやく緒についたばかりのアルコール依存症対策と同様に、ギャンブル依存症対策が急務であることを示しています。
 我が国でギャンブル等依存が疑われる者の割合が国際比較において高い値となっていることの原因として、パチンコ店が身近にあり、いつでも利用できる環境があると指摘されています。そこで、風営法によって管理され、遊技として規定されているパチンコについて、以下3点、警察本部長に伺います。
 一つに、いわゆる3店方式によりパチンコで換金が行われていることへの認識と、それが賭博罪に当たるか否かについて。
 二つに、先月1日、パチンコ、パチスロの出玉規制を行う風営法施行規則が施行されましたが、規制内容と規制強化に至った背景、パチンコ依存の予防及び回復について期待される効果について。
 三つに、業界の自主的な取り組みである自己申告プログラムを導入している店舗数と導入割合、安心パチンコ・パチスロアドバイザーが配置されている営業所数と配置割合について。さらに、アドバイザーについては、声がけで本人の気づきを促すものですが、客の何が依存症のサインなのか判断が難しく、個別の事情に踏み込んでいいのか悩むとの現場の声がありますが、制度の実効性を高める方策について。
 以上、警察本部長に伺います。
 国は、本年度、依存症対策予算を増額。都道府県、指定都市に、補助を活用して地域での医療相談体制の強化や人材の養成確保、地域で活動する自助グループ等民間団体への活動支援、関係機関との連携強化など依存症対策推進に向けた積極的な取り組みを呼びかけており、来年度もさらなる予算増が予定されています。
 ギャンブル依存を含む依存症対策の重要度の認識と、本年度実施と来年度予定の依存症対策の取り組みはどのようなもので、そこにはギャンブル依存症対策が含まれているのか、健康福祉部長にお聞きします。
      

◎警察本部長(内藤浩文)

 

 パチンコ営業に係る御質問についてお答えいたします。
 パチンコ営業に係る賞品の買い取りにつきましては、風営適正化法において、パチンコ店の営業者が現金等を賞品として提供することや、客に提供した賞品を買い取ることを禁止しております。遊技客がパチンコ店で営業者からその営業に関し賞品の提供を受けた後、パチンコ店の営業者以外の第三者に当該賞品を売却することもあると承知しておりますが、パチンコ店の営業者以外の第三者が賞品を買い取ることは、直ちに風営適正化法違反となるものではないと認識しております。
 一方、パチンコ店の営業者が直接に賞品を買い取るものではない場合におきましても、営業者と実質的に同一であると認められる者が賞品を買い取る場合につきましては同法違反となるほか、賭博罪に当たることがあると認識しております。違法行為につきましては、警察において厳正に取り締りを行っているところでございます。
 次に、パチンコへの依存防止対策についてお答えいたします。
 パチンコへの依存防止対策につきましては、昨年3月に関係閣僚会議で決定されたギャンブル等依存症対策の強化に関する論点整理等を踏まえ、自己申告プログラムの拡充、普及、リカバリーサポート・ネットワークの相談体制の強化及び機能拡充、出玉規制の基準等の見直し、営業所の管理者の義務として依存症対策を義務づけなどの課題に対する取り組みを推進しているところであります。
 先般、これらの一環として、風営適正化法施行規則等を改正し、遊技機の出玉性能の基準を従来より厳しい水準とするほか、依存防止に関する相談窓口の情報提供等を営業所の管理者の業務として位置づけることといたしました。今回の改正により、例えばパチンコ遊技における玉数の増減の波が穏やかになると考えられるなど、遊技客の過度な遊技を抑制する一定の効果があると考えております。
 パチンコへの依存防止対策は、出玉規制のみならず、業界において進められている依存問題を抱える人等への相談対応等を含めて総合的に推進することが肝要であると認識しており、しっかりと取り組みを進めてまいります。
 次に、自己申告プログラム及び安心パチンコ・パチスロアドバイザーについてお答えいたします。
 自己申告プログラムは、パチンコ営業所の顧客管理システムを活用して、客が1日の遊技使用上限金額等をみずから申告し、設定値に達した場合、パチンコ営業所の従業員が当該客に警告する仕組みと承知しております。同プログラムでは、本人からの申告に基づく入店制限が行われておりますところ、本人の同意がある場合に、家族からの申告に基づいて入店制限を実施する家族申告プログラムを運用されていると承知しております。
 安心パチンコ・パチスロアドバイザーにつきましては、パチンコへの依存防止対策の専門員を営業所に配置する業界の取り組みであり、業界団体が開催する講習会を受講した営業所の従業員等が営業所においてパチンコへの依存問題の対応を行うものと承知しております。
 お尋ねのこれらの取り組みを行う営業所数等につきましては、警察として統計を持ち合わせておりませんが、取り組みの実効性を高めるため、必要な検討は業界において随時行われているものと認識しております。
 警察といたしましては、先般の風営適正化法施行規則の改正におきまして、パチンコへの依存防止対策が営業所の管理者の業務に追加されたことを踏まえ、パチンコ営業所への立ち入りや業界団体への講話等の各種機会を捉えてこれらの取り組みが適切に実施されているか確認するなど、パチンコ依存防止対策について必要な指導を行っているところでございます。
 以上でございます。
      

◎健康福祉部長(山本英紀)

 

 依存症対策の重要度の認識と取り組みについてのお尋ねであります。
 依存症は、本人の健康問題としてだけでなく、家族や周囲への深刻な影響や社会問題を生じさせる可能性も高いことから、重要な課題であると認識をしております。
 本年度の依存症対策といたしましては、精神保健福祉センター等において相談の実施、依存症自助グループ等の活動支援、支援関係者の支援力向上のための研修会の開催、依存症治療・回復プログラムARPPSを活用した当事者の回復支援などの取り組みのほか、アルコール健康障害対策基本計画の策定を行っているところであります。
 来年度におきましては、今年度の取り組みに加え、精神保健福祉センターに依存症の専門相談員を新たに配置し、相談支援体制及び地域支援体制を充実することなどを予定しております。
 これらの依存症全般を対象とした取り組みの中で、ギャンブル依存症に特化した取り組みとしては、患者、家族が依存症への対応を学ぶ家族講座、自助グループが主催する研修会に対する補助を実施しているところであります。
 以上であります。
      

◆小林東一郎

 

 今の部長答弁によりますと、依存症対策に総合的に取り組むということなんだろうなと思います。そういうことであれば、担当課に依存症対策を総合的に模索する人員を配置し、情報収集や先進事例の調査、関係機関の連携を図るという、言うなら企画力を高める取り組みが必要ではないでしょうか。人材を置けということでありますが、健康福祉部長に伺います。
 昨年8月、ギャンブル等依存症対策推進閣僚会議で決定された「ギャンブル等依存対策の強化について」では、ギャンブル依存症に対する専門的な医療は確立されておらず、人材も不足。都道府県、指定都市に配置されている精神保健福祉センターには専門的な相談員がおらず、相談体制は不十分。消費生活センター等の多重債務者相談窓口等を利用する相談者がギャンブル依存症であると思われる場合に専門機関につなぐなどの連携が十分でない。パチンコ産業団体の支援で運営されているパチンコ依存についての電話相談は、相談件数が増加しているが、家族からの相談対応も含め、相談体制の充実と専門的な医療との連結が課題など、多くの課題が羅列されており、ゼロからの対策構築が必要な状況です。
 ギャンブル依存症対策は、県民の健康を保つ上でも看過できない問題であり、知事のリーダーシップのもと横断的な対応が強く求められますが、いかに取り組まれるのか、知事の御見解を伺います。
      

◎健康福祉部長(山本英紀)

 

 依存症対策に取り組む上での専門人材の配置に関するお尋ねであります。
 依存症を含め、精神保健福祉分野の取り組みは非常に専門性を有する分野であると考えており、精神保健福祉センターには精神科医を配置しているとともに、今後の体制の充実につきましては、新たに配置することとなる専門相談員につきましても、できる限り当該分野に十分な知見を有する相談員を配置するよう考えてまいりたいと思っております。
 以上であります。
      

◎知事(阿部守一)

 

 ギャンブル依存症対策にどう取り組むかという御質問でございます。
 健康福祉部長からも御答弁申し上げたように、これまでも精神保健福祉センターによる相談対応であったり、あるいは消費生活センターにおけるギャンブル依存症と思われる多重債務相談者を保健や医療につなぐ取り組みであったり、また、教育委員会においては、校長、教員等を対象とした依存症の予防教育に関する講演会の開催、さらには警察本部におけるパチンコ営業所の依存防止対策の適切な実施の確認、指導、こうしたことを行ってきているわけであります。
 依存症が社会問題として大きくなってくる中で、来年度は精神保健福祉センターに依存症相談員を新たに配置をして個別の相談対応を強化していきたいというふうに思いますし、また、相談事案を必要な支援機関につなげるコーディネート機能の充実にも取り組んでいきたいというふうに思っております。
 ただ、小林議員の御質問にもありましたように、これまでの私どもの取り組みはやや総合性に欠けている嫌いがあるのではないかというふうに思っております。国でもギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議でギャンブル等依存症対策の強化についての方向性が出されているわけであります。改めて、私ども長野県としても、関係部局がまずしっかりと問題意識を共有していきたいというふうに思っております。その上で、相談拠点及び専門医療機関の整備であったり、また、関係する保健、医療、福祉、教育、司法関係者などギャンブル依存症に関係する機関の皆様方による地域支援ネットワークの構築などを行っていきたいというふうに考えております。
 こうしたことを通じて、保健、医療面での対応から就労、生活支援に対する対応まで広範な支援策を総合的に進めるべく取り組んでいきたいと考えております。
 以上です。
      

◆小林東一郎

 

 健康福祉部長に再度伺いますが、私は、先ほど、担当課に人員を配置して企画力を高めていく必要があるのではないかと、そのようにお聞きしたわけでありまして、その部分をお答えいただきたいと思います。
 今春、長野県立大学が開学いたします。一般入試の前期日程が過日終了いたしました。合否についての喜びや悔しさがある一方で、高額な学費、生活費を負担する保護者にとって、その工面に悩む現実があります。
 全国大学生活協同組合連合会の学生生活実態調査によると、下宿生の仕送り金額は、10万円以上が1995年の62.4%から2015年には30.6%と半分以下に減り、5万円未満は5.3%から15.8%に、仕送りなしが2.0%から9.1%にふえています。国立大学も含め学費が高どまりしていることは御存じのとおりです。勢い大学生は奨学金に頼らざるを得ません。
 かつての日本育英会、現在の日本学生支援機構ですが、の貸与基準は非常に厳しく、20年前までは大学生の約10人に1人しか利用できませんでした。それが、今や大学生の2人に1人が何らかの奨学金を利用し、卒業後にその返済が重くのしかかっている現実があります。しかし、奨学金制度が複雑かつ奨学金を取り巻く社会状況が大きく変化してきたことにより、奨学金利用者である学生、保護者、そして高校、大学の教員を初めとする学校関係者の多くが奨学金のことをよくわかっていないのではないかとの懸念があります。
 そこで、教育長に伺います。奨学金を利用して大学に行きなさいという単なる勧めではなく、奨学金利用が就業後の生活にどのような影響を与えるか、高校生や保護者が考える素地となるようなバランスのとれた説明が進路指導の一環として行われるべきですが、高校ではどのような説明がされているのでしょうか。
 また、かつての年齢とともに賃金が上昇する日本型雇用は崩れ、特に若年層の雇用は劣化しています。それにより、奨学金という名の借金を背負った若い世代の間では、結婚や子供を産み育てることをためらう風潮すらあると言われています。奨学金返済が滞り、延滞金が膨らんでいく事態が特別なリスクではない現況下、主に親族がなっている連帯保証人や保証人が返済可能との確証がない限り、法的整理が可能となる機関保証を選択することのほうが現実的です。高校生が将来多重債務に陥らないようにするための金銭感覚を養う指導の一環としても機関保証の利用を教えていくべきですが、教育長の御見解を伺います。
 来年度から一部の学生を対象に給付型奨学金が導入されますが、日本学生支援機構の奨学金が国際標準から乖離しており、奨学金としての機能を果たしていないのは明らかです。法政大学の尾木直樹教授は、スカラーシップ的な精神は全くなくて、教育ローンだと指摘しています。とはいえ、制度としての課題はあるものの、進学をするために奨学金を利用せざるを得ない高校生はふえる一方であり、改善が強く求められています。
 そこで、国に先駆け、給付型奨学金制度を創出した知事には、1、機関保証を利用しやすくするための保証料の引き下げ、2、返せない人にさらなるペナルティーを課す延滞金の廃止、3、返せば必ず元本が減っていく返済順序の変更、4、返済猶予制度の抜本的改善、5、給付型奨学金制度の充実といった制度の改善を国に求めていただきたいのですが、知事の御見解を伺います。
      

◎健康福祉部長(山本英紀)

 

 依存症対策に対応する担当課の人員体制の強化に関する再度の御質問であります。
 現在、依存症対策につきましては、保健・疾病対策課の心の健康支援係を中心として取り組みをさせていただいております。議員御指摘のとおり、対応に当たっていく上での職員の資質の向上は非常に重要と考えておりますので、そうした取り組みを進めるとともに、施策を進める上では、やはり精神保健福祉センターが県の組織として非常に重要な分野の機関でありますので、本庁と出先の機関が一体となって企画、また実施も含めて取り組んでまいりたいと考えております。
 以上であります。
      

◎教育長(原山隆一)

 

 日本学生支援機構の奨学金制度について、高校ではどのような説明がなされているかというお尋ねでございます。
 この奨学金については、例年、利用者が最も多いことから、各高校においては生徒及び保護者へ周知の上、担当者が利用を希望する生徒を集めて、機構が作成した資料を用いて説明をしております。その中では、今年度から導入された給付型を初めとする奨学金の種類、申し込みに必要な学力、家計の基準、申し込み方法、保証制度等について項目ごとに説明するとともに、返還期間が長期に及ぶことや、返還できず自己破産する場合があることなどについても扱っているところでございます。
 機関保証の利用についてというお尋ねでございます。
 奨学金の保証制度には、機関保証と人的保証が二つありまして、これらの特徴や違いについても説明を行っております。奨学金の返還が困難となり自己破産に至る事例が増加し、社会問題化している状況を踏まえますと、保証制度の違いが返還に及ぼす影響について、より丁寧に説明していく必要があるだろうというふうに思っております。
 現在、家庭科や公民科の授業で自己破産についても学んでおります。奨学金制度についても例として取り上げ、その仕組みを正しく理解できるようにしていくことが重要であるというふうに考えております。
      

◎知事(阿部守一)

 

 日本学生支援機構の奨学金制度の改善を求めるべきではないかという御質問でございます。
 我が国の奨学金制度は、世界の水準から見るとやはりかなり異質なものではないかなというふうに受けとめております。国においても、問題意識を持ち始めて、給付型奨学金制度の創設であったり、あるいは貸与型奨学金制度の改善だったり、こうしたものに着手をし始めたところであります。また、さらに国では、低所得世帯の学生に対する高等教育無償化の議論がなされているところというふうに承知をしております。こうした議論、検討を学生の立場に立ってしっかり行っていただきたいと思っております。
 御質問にもありましたように、私どもは、必ずしも十分ではないとはいえ、全国に先駆けて給付型奨学金制度を創設いたしました。これまで、給付型奨学金の創設について国に要望してきましたが、しかしながら、御質問にもありましたように、現行の日本学生支援機構の奨学金を利用している学生も大変多いわけでありますので、こちらについても、私どもはしっかりと問題意識を持って取り組んでいかなければいけないというふうに思います。
 具体的な論点について御指摘をいただいたわけでありますけれども、こうした点についても、私どもの内部でしっかり検討させていただいた上で、この日本学生支援機構の奨学金制度のさらなる改善について具体的な提案を行っていきたいと考えております。
 以上です。
      

◆小林東一郎

 

 次期総合5カ年計画における産業の生産性が高い県づくりの実現をものづくり産業の振興面から支えるための次期長野県ものづくり産業振興戦略プランは、現在策定中で、3月10日までパブリックコメントが実施されています。プラン案では、県内企業の産業イノベーション創出活動促進のためのワンストップ、ハンズオン型の一貫支援機能と、次世代産業クラスター形成プロジェクトのための戦略的なマネジメント機能の両方を有する工業技術総合センター、中小企業振興センター、テクノ財団の3機関連携による支援体制の仕組みを2018年度内につくっていくとされていますが、同プラン検討部会等でも強い要請のあるものとお聞きしています。情報共有の場の設置から、より踏み込んだ支援体制、例えば共同運営の統合型相談窓口の設置にまで高めていくべきですが、知事の御所見を伺います。
 また、知事は、1月5日付の日本経済新聞で、「技術革新が進む中で、先行した地域になるために産業関連機関のあり方を再構築したい。県中小企業振興センターやテクノ財団など産業支援や研究に関わる機関を一体的に運用できる組織体制を考える。」とされ、今議会でも、産業支援機関のあり方を検討し、支援体制の強化を図っていきたいとの答弁をされました。
 それについては、かねてから各方面において必要性が認識されていたものであり、知事のリーダーシップのもと、新たな支援体制の速やかな構築が望まれております。次期プラン期間内における再構築に向けての知事の意気込みをお聞かせください。
      

◎知事(阿部守一)

 

 産業振興に関連して2点御質問いただきました。
 まず、工業技術総合センター、中小企業振興センター、テクノ財団の3機関連携による支援体制の仕組みづくりということでございます。
 これまで、この3機関については、それぞれが技術支援、研究開発支援、販路開拓支援といった役割で企業に対する支援を行ってきております。企業の支援ニーズにスピード感を持って対応していくためには、3機関それぞれではなくて、やはりワンストップで必要な支援を提供できる支援体制を整備していくということが重要だと思っておりますし、こうした御要請を企業の皆様方からも頂戴しているところでございます。
 プランの作成を待つことなく、私ども県主導で既に3機関による検討を始めさせていただいているところであります。議員御提案の統合型相談窓口も含め、早急に具体的な運営方針を詰め、来年度中には相談者の課題をワンストップで解決する支援体制を整備していきたいと考えております。
 次に、産業関連機関の再構築に向けての意気込みという御質問でございます。
 第4次産業革命という技術革新が急速に進展する中で、本県産業も常にイノベーションを繰り返し、そして産業の生産性を高めていかなければいけないというふうに思っております。そのためには、県関係の3機関はもとより、大学あるいは地域の支援機関なども含めて十分現状を把握した上で、産業支援体制のあり方について改めて検討し、再構築をしていく必要があるというふうに思っております。
 来年度、産、学、官、金関係者によります長野県の産業支援体制のあり方検討会(仮称)を設置してまいります。その中では、先進事例にしっかり学ぼうということで、国内外の先進的な支援事例を徹底的に調査、分析していきたいと思っております。その上で、将来を見据えた産業支援のあるべき姿を描いていきたいと思っております。
 これまでも、本県は、製糸産業、そして情報電子産業と、時代の変遷に合わせる形で産業支援のあり方もあわせて改革をしてきたわけであります。産業構造が大きく転換しつつある今日、支援体制を改めて抜本的に見直していくことが本県産業の持続的な発展にとって極めて重要だというふうに思っております。
 あるべき姿を実現していく上では、各機関、そして関係団体、経済界の皆さんとも十分問題意識を共有させていただきながら、5カ年計画の期間内には結果を出すことができるよう全力で取り組んでいきたいと考えております。
 以上です。
      

◆小林東一郎

 

 大北森林組合は、抜本的経営改善方針に基づく事業経営計画及び補助金等返還計画を策定、補助金返還期間を2049年度までの33年間とし、そのうち2017年度からの4年間を集中改革期間として、早期の赤字脱却と、同期間の最終年度には事業収益1,200万円を目指すとするものですが、間もなく集中改革期間の初年度終了を迎えます。
 昨年3月、県は、組合の計画をおおむね妥当と判断し、本年度以降に実施する造林補助事業に対し、適正と認められれば補助金交付を再開する決定を行っています。県は、6月末と12月末の年2回、組合からの定期進捗状況報告書提出を受け、報告内容の現地確認調査、指導をそれぞれ翌月に実施しているところですので、昨年12月末の組合からの報告について、本年度の事業計画量に対しどのような進捗状況になっているのか、販売事業、加工事業、森林整備事業のそれぞれ細区分別に林務部長にお示しをいただきます。
 また、同組合が直接雇用する森林作業員及び協力事業体の状況についてもあわせてお示しをいただきます。
      

◎林務部長(山﨑明)

 

 大北森林組合の事業計画の進捗及び森林作業員等の状況についてのお尋ねでございます。
 県は、大北森林組合の事業経営計画及び補助金返還計画が着実に実行されるよう、平成32年度までの集中改革期間中は定期的に計画の進捗状況を確認し、組合へ適切な指導、支援を実施することとしております。
 12月末の事業実施状況の報告によりますと、まず販売事業につきましては、間伐材の生産量についてでございますが、本年度は補助事業に係る執行体制の確保を優先して取り組んできたこともあり、搬出間伐等の造林事業は低位にとどまっている状況でございます。一方、キノコ原木販売は、計画20立法に対して24立法、まき販売は計画2,800束に対して1,866束、支障木伐採の請負は計画85件に対し90件の請負という実績となっております。
 また、加工事業ですが、ボイラーに使用する木材チップの加工が計画310立法に対し395立法となっております。
 森林整備事業につきましては、森林経営計画の作成を優先し、森林所有者の施業の同意取得を計画的に進めていることから、森林整備596ヘクタールの計画に対しては109ヘクタールの実績にとどまっております。
 次に、大北森林組合の森林作業員及び協力事業体につきましては、大北森林組合の森林作業員は、平成28年の事業経営計画作成時の6名に対し、現在は4名となっております。このため、森林整備に向けた事業体との連携を図り、現在10社58名が協力事業体とされております。
      

◆小林東一郎

 

 当面の目標である早期の赤字脱却と、集中改革期間最終年度での事業収益1,200万円の確保こそが県が債権管理を進めていく上でのかなめとなるものです。つまりは、集中改革期間内に組合が仕事をやれる体力を取り戻すことが必須となります。
 組合の事業進捗の上で課題とされている、1、搬出間伐等の素材生産のための補助金事業未実施による素材販売量の減、2、組合員からの施業同意取得が進んでいないことによる受託事業の減、3、国、県発注事業を落札できないことによる請負事業の減、4、森林作業員不足から分収林請負事業発注見合わせによる請負事業の減の解消に向けて、林務部の指導により、来年度、組合はどのように取り組む予定でしょうか。
 また、ひふみ林業の補助金返還はどのような状況ですか。林務部の厳格な指導のもとに債権管理を前に進めなければなりませんが、いかにして県民負担を減じていかれるおつもりですか。林務部長にお聞きをいたします。
 県は、2016年をコンプライアンス元年とし、県組織のコンプライアンス確立に努めているところであり、知事も再三、公務員としての意識改革を進める必要性を表明されています。しかしながら、県の全352機関を対象とした本年度の定期監査において、指摘事項は3件減の2件となったものの、指導事項は6件増であります。不適切な事務処理は県民の信頼を損ねるとし、監査委員からは引き続きコンプライアンス推進を求められている状況に変化はありません。明確な目標として、指摘事項、指導事項の半減を掲げ、コンプライアンス推進に取り組むべきだと思いますが、知事の御所見を伺って質問といたします。
      

◎林務部長(山﨑明)

 

 次に、大北森林組合の課題解消に向けての取り組みについてのお尋ねをいただきました。
 森林所有者からの森林整備の受託が進まず素材販売量が伸びていないという課題に対しましては、団地的なまとまりのある森林を対象に、所有者からの施業同意を取得して森林経営計画を作成することにより、計画的かつ安定的な事業地を確保することが不可欠となります。
 このため、大北森林組合に対しましては、県として、これまで森林経営計画の作成を指導してきており、大北森林組合では、平成29年度は10団地において地域説明会等を行い、ようやく3月までに二つの団地で計画を樹立し、4月以降、計画に沿った森林整備が本格化する見通しとなりました。県としては、既存計画の変更や新規作成について引き続き指導、支援してまいります。
 また、森林研究・整備機構森林整備センター等からの発注事業につきましては、これまで、県では適切な森林整備業務に係る研修を継続してきており、加えて、10社58名の協力事業体との連携がとれたことなどから大北森林組合の受注体制が整ってまいりましたので、今後本格的に事業量をふやしていけるものと見込んでおります。あわせて、組合では、県、国等の入札にも参加していくことと聞いております。
 さらには、大北森林組合では、役員の責任の明確化等についても現在取り組んでいるところでございます。森林組合の本業であります森林整備事業を正常な状態に戻し、組合経営の健全化を図るため、引き続き今後も適切な指導、支援を進めてまいります。
 続きまして、ひふみ林業の補助金返還状況についてのお尋ねです。
 同社への返還請求額は約1,505万円で、これに加え、昨年12月19日付で約1,709万円の損害賠償請求を行いました。これまで、相手からは6回の分割納付がなされましたが、その額は合計約18万円にとどまっており、同社へは幾度となく資産状況や返還計画の再提出を求めておりますが、いまだ十分なものの提出がない状況でございます。
 県としては、督促や催促を辛抱強く継続するとともに、状況によっては法的手段の行使を検討するなど、厳正な対応を行ってまいります。
      

◎知事(阿部守一)

 

 コンプライアンスの推進に当たって、明確な目標として定期監査の指摘事項、指導事項の半減を掲げてはどうかという御質問でございます。
 定期監査における指摘事項、指導事項につきましては、経年変化を見ますと減少してきているという状況ではありますが、ただ、まだまだ指摘を受けているということを重く受けとめて、改善に全力を挙げていかなければいけないというふうに思っております。
 コンプライアンス推進本部を設置し、また、各部局のコンプライアンス委員会でも、他部局の事例も含めて問題意識を共有して取り組んでいくこととしておりますし、組織風土の改善であったり、職員の資質の向上であったり、全般的にこうした指摘がなくなるように取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。
 そうした中で、私としては、この指摘事項についてはやはりゼロを目指さなければいけないというふうに思っております。他方で、指導事項は、ケアレスミス等もあるわけでありますので、これは極力ゼロを目指して努力をしていくという形で、少しレベル感が違うのかなというふうに思っております。
 いずれにしても、定期監査で毎年のように同じような指摘が繰り返されることのないように、全庁を挙げてしっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。
 以上です。