平成29年6月定例県議会 発言内容(石和大議員)


◆石和大

   

 まず、5月31日に発生したひょう害についてお聞きします。

 この日、夜8時半過ぎだったと記憶していますが、雷雨となり激しく雨が降ってまいりました。そのうちにバラバラバラとかたい音がしてまいりました。ひょうが降ってきたなとすぐにわかりました。表を見ると数ミリのひょうが落ちていました。被害が少ないことを祈りましたが、夜が明けてみるとひょうが積もっているところがあるほどで、大きな被害となりました。気温が低いこの時期にひょうが降るのは珍しく、意表をつかれた農家も少なからずあったと思います。
 今回、東御市、上田市等で被害が大きかったと思いますが、被害をどのように把握、分析し、市やJAと連携して救済措置等どんな対応をするのか、農政部長にお聞きします。
 東御市のひょうの被害状況を見ると、毎回同じ地域が被害に見舞われているという感があります。ひょうの通り道とも言われているほどです。これだけ同じ地域が被害を受けると、予防対策を確実に実行する必要があります。一番有効なのは防ひょうネットの設置です。今回もネットが張られたところは被害が少なかったり、免れたりしています。しかし、防ひょうネット設置には多額の費用がかかります。単に農家の負担と言うには、商品単価が毎年それほど変化がない状況の中で、負担が大きい。投資分を回収するには時間がかかる。ましてや、同じ市内でも、3キロ、4キロずれれば設置の必要性は高くなくなるのです。市が10分の1、JAが10分の2という補助制度もあるようですが、県も幾らかでも補助できれば被害防止は進むと思いますが、考えはいかがか。農政部長にお聞きをいたします。
 次に、山岳遭難防止対策と観光施策についてお聞きをいたします。
 山岳遭難発生については、件数はおおむね横ばいという感じですが、遭難者の年齢は、60代、70代以上が全体の45%を占めています。時間があって入山する人が多いということもありますが、体力や経験などを冷静に自己分析できていないことに起因するとも思われますが、高齢者の山岳遭難が多いことについてどのように原因を分析し、未然に防ぐ対策をしているか、観光部長にお聞きをいたします。
 遭難事故については、報道等の情報によると、遭難直後は携帯端末による連絡がついたが、その後連絡がつかなくなったという例が少なくありません。もちろん意識がなくなったということになれば仕方がないわけでありますが、それでもGPSによる検索などはできる可能性はあるわけです。
 登山者に対しては、携帯端末の性能、充電の充足、位置情報の発信などを入山前にチェックする等の指導はどのように行っているのか。観光部長にお聞きします。
 また、事業者とは通信エリアの拡大などを要請するなど連携を行っているのか、企画振興部長にお聞きをいたします。
 次に、このごろはバックカントリースキーというゲレンデ外滑走をして遭難するという例があります。特に外国人によることが少なくないわけですが、禁止であると呼びかけるなど対策はどうか。外国語による注意喚起など対策はなされているのか、また、遭難したときの捜索や救助に対する費用の自己負担などを事前に知らせて注意喚起しているのか、観光部長にお聞きをいたします。
 次に、新幹線車内でのWi-Fi等の通信インフラ整備についてお聞きをいたします。
 北陸新幹線の車内では、インターネットに接続できないトンネルの区間など少なからずあります。今どきは、スマートフォンやパソコンで通信しながら、または仕事を移動中にする人は少なくありません。信州へ向かう新幹線では通信不能というのは誘客にも不利ですが、これらを解消する対策を講じているのか、企画振興部長にお聞きをいたします。
 さらには、外国人旅行者はフリーWi-Fiでスマートフォンで通信して情報を得ています。これがつながらないと、どこにいるのかわからなくなる可能性もあります。先般、函館から北海道新幹線に乗る機会がありました。停車駅や乗りかえ案内のアナウンスは、新幹線では日本語、英語の2言語、特急列車では日本語、英語、中国語の3言語でした。これではわからない人々もいるだろうと感じましたが、もう二つも言語をふやしたらアナウンスばかりになってしまうと、そういうふうにも感じました。
 そこで、新幹線車内でWi-Fiがつながり、通信アプリで、位置情報により、その人に必要な言語で、文字または音声で乗りかえ等の必要な情報を適宜、的確に伝えることはそれほどに難しいことではないのではないかというふうに感じますが、研究等があるのか、企画振興部長にお聞きをいたします。
      

◎農政部長(北原富裕)

 

 降ひょうによる農作物被害への対応についてお答えをいたします。
 5月31日の降ひょうにより、上田、松本地域を中心に6市2村で果樹や野菜などの農作物に約7,400万円余の被害が発生しております。被害に遭われた農業者の皆様には改めてお見舞いを申し上げます。
 上田市及び東御市の被害状況についてですが、市、農業改良普及センター、JAが連携して現地調査を行い、リンゴ、ブドウなどの果樹、レタス、ブロッコリーなどの野菜で計144ヘクタール、4,800万円余の被害となっております。今回のひょう害は、局地的に被害が甚大な地区が見られるとともに、リンゴでは打ち傷などにより今後の品質低下が懸念されているところでございます。
 農業改良普及センターでは、JAなどと連携し、災害発生直後から被害軽減のための緊急防除などを指導してきており、今後とも農業者の相談に応じるなどきめ細かな対応をしてまいります。
 なお、県の農作物等災害緊急対策事業につきましては、市町村が実施する事業に対する助成措置となっておりまして、市町村と協議しつつ、要綱、要領の基準に照らし検討してまいりたいと考えております。
 次に、防ひょうネット設置への支援についてですが、防ひょうネットは予防対策として非常に有効ですけれども、10アール当たり約20万円の資材費がかかり、なかなか導入が進まない現状にあります。市町村や生産者団体からの具体的な支援の要望をお聞きしつつ、防ひょうネットが国庫補助事業の事業対象となるよう国へ要請していくとともに、県といたしましても、支援のあり方について検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
      

◎観光部長(熊谷晃)

 

 3点御質問をいただきました。順次お答えしてまいります。
 まず、高齢者による山岳遭難の原因分析とその対策についてでございます。
 県警の山岳遭難統計によりますと、60歳以上の遭難者数は、平成15年には67人であったものが、平成28年には138人と実に倍、遭難者全体に占める60歳以上の割合も、平成15年は33%だったものが平成28年は45.5%と増加の傾向にございます。
 遭難の状況を見ますと、30代以下の若者世代では道迷いや滑落など準備不足や技術不足に起因するものが多い一方、60歳以上の高齢者につきましては、転倒・滑落、発病・疲労が主な原因となっております。平成25年に設置いたしました山岳遭難防止対策検討会の報告書においても、中高年の遭難の主な原因として、自分の体力や健康の衰えを認識していないという点が指摘されております。
 このため、高齢登山者に対する未然防止の対策といたしましては、登山者に自分の力量に合った山選びをしていただくため、信州山のグレーディングの首都圏などでの普及啓発、また、高齢登山者に自身の体力を客観的に確認していただくセルフチェック登山の実施、発病や疲労の誘因と考えられます脱水症状を予防するための登山口での経口補水液の配布による啓発活動を実施しているところでございます。加えて、今回お願いしております補正予算案におきましては、新たに登山相談員の研修会を予定しておりまして、この研修において、各登山口で高齢者への無理のない登山の呼びかけなど指導を徹底し、対策につなげてまいりたいと考えております。
 次に、登山者に対する入山前の指導についてでございます。
 県警によりますと、昨年の遭難発生時の届け出方法としては、携帯電話によるものが219件で全体の約8割を占めており、遭難時の第一報を伝える上でも携帯電話の携行が有効であると認識をしております。これまで、県においては、県遭対協で季節ごとに作成する啓発冊子「山岳情報」の中で、特に山菜とりに出かける皆さんの遭難防止策として、携帯電話を携行して入山するように呼びかけてきたところではございますが、登山を楽しまれる皆さんの携帯電話の携行につきましては、登山安全条例に基づくガイドラインの策定に係る議論の中でも検討はされましたが、山岳地帯では不感地域がまだ残っていることなどから、同ガイドラインに盛り込むまでの対応はまだ行われていない状況でございます。
 今後につきましては、通信エリアの拡大を確認しながら、遭難時の通報や捜索救助に有効な手段の一つとして、携帯電話の携行と充電の充足や位置情報の発信について登山者に呼びかけてまいりたいと考えております。
 最後に、バックカントリースキーの外国人に対する対策についてでございます。
 県警によりますと、バックカントリースキーの遭難者につきましては、平成26年以前は全遭難者の5%程度で推移していたものが、平成27年以降は全体の10%を上回る状況で増加傾向となっており、その主な発生地域は野沢温泉村と白馬村に集中している状況でございます。御存じのとおり、野沢温泉村では、平成22年に策定したスキー場安全条例で、スキー場区域外の遭難に係る捜索救助費用の自己負担を、また、白馬村では、平成20年に定めた白馬ルールにおきまして、立ち入り禁止区域での遭難救助費用の自己負担をそれぞれ明記しております。
 昨シーズン中に両地域の七つのスキー場を対象にヒアリング調査を実施しましたが、五つのスキー場においては、安全対策として、滑走禁止区域など多言語表記での注意喚起を実施しておりました。県といたしましては、昨シーズンから、県の観光外国語サイト「Go!Nagano」におきまして、滑走禁止場所などスキー場の利用規則の厳守やゲレンデ外滑走の危険性など、英語によります注意喚起を始めたところでございます。今シーズンに向けては、今回お願いしております補正予算案にもバックカントリー対策を盛り込ませていただきまして、日本語と英語の2カ国語表記による注意喚起ポスター等を作成し、インバウンドを受け入れる宿泊施設やスキー場を中心に配布するとともに、各スキー場に対しましては、多言語による注意喚起を行うよう呼びかけてまいる所存でございます。
 以上でございます。
      

◎企画振興部長(小岩正貴)

 

 3点順次お答え申し上げます。
 まず、山岳地帯における通信エリアの拡大についてでございます。
 山岳地帯の携帯電話利用環境につきましては、その地形的特性等から、必要な通信回線や電源設備の敷設に困難を伴うことが多く、整備が進みにくいのが実情でございます。県では、これまでも市町村と連携し、携帯電話事業者に対して山岳地帯における利用環境の改善に向けた要望等の取り組みを行ってきております。特に、火山周辺における不感地帯の解消につきましては、火山防災対策の一環として重点的に取り組んでおります。昨年度は、浅間山での対策について、国の補助対象外となる電源設備の整備に対し、県独自の補助制度を設け、支援を行ったところでございます。今年度につきましては、御嶽山の具体的な対策方法につきまして、地元町村や携帯電話事業者等と現在協議を進めているところでございます。
 次に、北陸新幹線における通信環境の改善についてでございます。
 新幹線車内における通信環境につきましては、長大なトンネルが続く区間が多いことや、工事の時間帯が列車の運行しない夜間に限られることなどから、整備に一定の期間を要すると聞いております。一方で、これまで、JR東日本及び携帯電話事業者により順次対策が進められてきました結果、今年度中に安中榛名駅から上田駅付近の間で携帯電話の不感地域が解消されるとともに、さらに飯山駅までの間で対策事業が開始されると承知をしております。これによりまして、飯山駅以南の県内全ての区間におきまして対策が講じられるめどが立ったことになります。残る飯山駅から上越妙高駅にかけましても、現在計画中と伺っているところでございます。
 最後に、新幹線車内での外国人への情報発信についてでございます。
 現在、JR東日本管内では、北陸新幹線を含め新幹線車内での無料Wi-Fiは導入されておりません。JR東日本からは、まずは携帯電話の不感地域の早期解消を優先して取り組んでいるというふうに伺っているところでございます。一方、JR東日本管内の駅におきましては、外国人旅行者に向けた無料Wi-Fiが順次整備をされておりまして、県内では、長野駅、軽井沢駅などでサービスが提供されているところでございます。
 県といたしましては、4月に、県内の観光情報とあわせて、鉄道やバスのルート、所要時間等の情報を検索できる信州ナビのアプリの提供を始めたところでございます。このアプリは、日本語のほか、英語、中国語、韓国語など六つの言語に対応しておりまして、議員御指摘の外国人への情報発信のための有力なツールであるというふうに考えております。現在、駅でのパンフレット配布や外国人向けのフェイスブックなどを活用し、このアプリの積極的なPRに努めているところでございます。今後とも、交通事業者や市町村等とも連携しながら、この信州ナビの普及促進に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
      

◆石和大

 

 次に、林業振興についてお聞きします。
 森林県から林業県へという県のスローガンがあります。しかし、何せ山の中での仕事なので、県民の皆様には見えにくいし、知らない人も多いのではないかと感じます。
 そこで、お聞きします。現在の県内の林業の主な形態はどのようなものか。そして、どのように変化してきているのか。山の中のきつい仕事というイメージがありますが、従事者の皆さんの年齢層や人数等はどのように変化しているのか、林務部長にお聞きをいたします。
 先般、長和町で開催された県植樹祭に参加し、カラマツなどを植樹しました。80年後には立派な県産材に育つということでした。そこで、初めて信州プレミアムカラマツというものを知りました。これは、県産の80年生以上の高齢級カラマツ人工林から径級30センチ以上の良質な大径材丸太を厳選して信州プレミアムカラマツと称して供給、販売するというものですが、現状と見通し、さらには信州のカラマツの可能性について林務部長にお聞きします。
 次に、森林税について知事にお聞きします。
 里山の整備推進のために導入された森林税ですが、その活用が十分でなかった部分があるという感があります。どこまでが里山でここからはそうではないという明確な区別があるわけではないと思うのです。林業県への進化のために森林税を活用していくことはできないのか。若者のやりがいがある仕事としての林業振興のためにも、森林県長野の強みを発揮するためにも、未来へ美しい森林を伝えるためにも、よりよい森林税の活用についてのお考えを知事にお聞きをいたします。
      

◎林務部長(山﨑明)

 

 林業の振興につきまして2点お尋ねをいただきました。
 初めに、県内林業の動向についてのお尋ねでございます。
 本県の森林は、戦後造林された人工林を中心に本格的な利用期を迎えつつあります。これに伴い、林業上の手入れ作業についても、植栽や下刈り等手作業となる保育作業から、機械化による搬出間伐等素材生産作業を中心に移行してきております。
 林業従事者数に関しましても、最近1,789人とやや減少傾向にありますが、これは、これまでの保育作業のパートタイム的な従事者が減少した影響を受けてのもので、素材生産作業の従事者数は増加傾向でございます。
 雇用形態におきましては、通年雇用の割合が平成17年度の約4割から平成27年度の約7割へと増加し通年雇用化が進むとともに、機械化等による労働条件の改善が進みつつあり、高性能林業機械のオペレーター等として若い女性の進出も見られます。また、林業従事者の平均年齢につきましても、平成17年度の50歳から平成27年度の47歳へと若返りが着実に進んでいる状況でございます。林業につきましては、今後、本格的な主伐、再造林が進んでいけば、雇用吸収力のある分野と考えております。
 次に、信州プレミアムカラマツの現状と見通し等についてのお尋ねでございます。
 かつてカラマツは、やにやねじれ、割れなどの欠点から木材としての評価が低位にとどまっておりましたが、今日では欠点を少なくするための乾燥技術が開発されるとともに、合板メーカーの国産材利用の過程でその強度が高く評価され積極的に利用されることになったことから、価格は杉よりも高く取引される状況になっております。
 また、本県には全国の80年生以上の高齢級カラマツの45%が生育しており、これらのカラマツは、割れ、狂いが少なく、高い強度や独特のあめ色で美しい木目を有するなどすばらしい個性を持っており、さまざまな用途が期待できることから、全国に先駆けてブランド化を図るため、去る5月25日、中部森林管理局等と民国連携で信州プレミアムカラマツの名称、企画等を発表いたしました。良質な大径のカラマツ丸太を差別化し、全国の高級材を求める木材需要者に対し積極的にPRすることで、より高い価値で取引することが期待できるものであり、今後伐採が本格化する秋口から県内の原木市場におきまして販売する計画です。
 また、あわせて、現在、県林業総合センターの木材試験研究施設の整備を進めており、今後、大径材の加工や試験ができるようになることから、住宅のはり、桁や化粧板などの高性能、高品質で全国の消費者に選択していただける製品も開発いたしまして、信州カラマツの可能性がさらに広がるよう取り組んでまいります。
      

◎知事(阿部守一)

 

 森林づくり県民税の活用がさまざまな観点から必要ではないかという御意見に対する見解という御質問をいただきました。
 長野県は、森林県から林業県へということでいろいろな取り組みを進めている中で、林業振興については、例えば林業のスマート化を推進すること等によって、これまで以上に生産性を高めていく努力をしていくことが重要だというふうに思っています。
 また、昨年、全国植樹祭で、長野県として幾世代にもわたって大切に伝承されてきております木と森の文化の発信をさせていただきましたが、今後とも伝統的なものをしっかり継承すると同時に、新しい視点も加えて文化の創造にもこの森林というものを役立てていく必要があるというふうに思っています。
 また、森林づくり県民税のあり方を御議論いただいておりますが、県民会議からは、NPO等多様な団体の森林整備への参入促進であったり、あるいは地域がさまざまな森林に関する課題を抱えている中で、そうしたものに対応できるようにしていく必要があるんではないかといったような御意見も出されているところであります。
 他方、税制研究会でも、こちらは税制というもののあり方から検討、御議論をいただいているわけでありますけれども、我が国の地方行政制度上、標準税率の課税によって標準的な行政は理論上は行えるということになっているわけでありますので、県が独自に超過課税を行うに当たっては必要性を明確に示すことが重要だといったような点等の御指摘もいただいているところであり、この税制研究会の今後の審議にもしっかり注目して対応していかなければいけないだろうというふうに思っております。
 現在、県民アンケートも行っているところでございますので、こうした結果等も十分踏まえる中で今後の方針を定めていきたいと考えております。
 以上です。
      

◆石和大

 

 次に、匿名性を担保した授業評価、学校評価についてお聞きします。この制度はどんなもので、導入した理由、背景はどんなものか、また、評価を活用して何を目指すのか、教育長にお聞きをいたします。
 学級規模、つまり1クラスの人数や学校規模により匿名性の担保は難しいのではないか。それを含めて評価対象である先生や学校に対してどのくらい正直な気持ちが表現されていると考えているのか、教育長にお聞きをいたします。
 特に大事なのは、誰にでもわかる授業という県教委の目的の達成です。子供に対して、授業ごとにその時限の目標を示し、終わりはそれについてどうだったのか、次に向けてどうなのかということを示す。現状、そのような授業が行われているのか、教育長にお聞きをいたします。
 高校の再編についてお聞きします。
 今回、学びの改革基本構想が示されて、将来の高校再編への考え方が示されましたが、関連してお聞きをいたします。
 この問題になると、やはり卒業生や同窓会、後援会の意見というものが大きなウエートを占めてきます。気持ちはよくわかります。自分の出身校がなくなる。地域に高校がなくなる。寂しい。よくわかります。しかし、ピーク時に3万人以上いた中学卒業生が平成28年度には2万人強、約15年間で4分の3程度に減少しています。1万人近く減っているのです。あと約15年でさらに4,300人の減少が予想されます。全県で1万6,300人程度と予想されます。
 最優先すべきは子供の利益です。現在を生きている子供にいかに最善の学習環境、学校環境を提供するかです。県内高校は設備の老朽化の改善などはおくれているとも感じます。全ての改善には時間も予算もかかります。地域の合意は前提になりますが、再編も効果的に進め、子供たちにとって最善の策でよりよい環境を整備すべきで、地域や同窓会へもそんなグランドデザインを示すべきとも考えます。高校再編に向けて地域や同窓会への合意をどのように図っていくお考えか、教育長にお聞きをいたします。
 次に、言語障害通級指導教室、ことばの教室設置、機能充実についてお聞きします。
 言葉や聞こえについて障害があり、適切な指導を求める児童にとって、当該通級指導教室は頼りにしたいものです。しかし、東御市には、県内19市中1市だけ設置がありません。お聞きすれば、東御市も基準人数は満たしているとのことであります。昨年4月には、障害を理由とする差別解消の推進に関する法律が施行され、互いに尊重しながら共生する社会の実現に向かっているわけであります。
 そんな中で、東御市の児童の中には、隣の上田市の小学校に設置されている通級指導学級に通うのが困難で断念したという例もあるそうであります。県内の設置基準はどうなっているのか。充足していると言えるのか。教育長にお聞きをいたします。
 単独での設置が難しいとしたら、他市の教室に配置されている教員が兼務して、未設置の市の学校にサテライトの教室を設置するというのはどうか。月に数回の教室であればできないことはないと考えます。このような形が柔軟にできれば、より細やかな指導が可能になるとも考えますが、教育長にお考えをお聞きをいたします。
      

◎教育長(原山隆一)

 

 大きく3点質問をいただきました。順次お答え申し上げます。
 まず、匿名性を担保した授業評価、学校評価についてであります。
 制度の概要等の御質問でありますが、匿名性を担保した授業評価は、生徒が授業者を5段階で評価し、その結果を授業改善に生かすものであります。また、匿名性を担保した学校評価は、生徒及び保護者が校長の学校運営及び学級担任の学級運営等をやはり5段階で評価して学校運営の改善に生かすものであります。いずれも匿名性を担保し、意見や要望を記述できる自由記述欄を設けているところであります。
 この制度は、平成24年度の教員の資質向上・教育制度あり方検討会議の提言に基づきまして、評価制度改善のための有識者会議において平成26年度からの導入を決定したものでありまして、生徒や保護者が学校づくりにより一層参画し、開かれた学校への取り組みを目指すものでございます。
 正直な気持ちの表現についてという御質問でありますけれども、この制度はそもそもは学校教育法で定められた学校評価制度の改善として、率直な意見を学校運営等に反映できるように本県独自に導入したものであります。児童生徒や保護者が自由に意見を言えるものとしてそもそも実施したものでありますので、ほかの方法に比べれば正直な気持ちが表現されているというふうに考えております。
 それから、わかりやすい授業の実践についてでありますが、議員御指摘のとおり、授業の初めに目標を示して、終わりにその達成状況を確認したり、学んだことを次の時間にどのようにつなげていくか、これを子供と教師が共有することは授業評価をする上でも大切なことであります。県教育委員会では、誰にでもわかる授業の実現を目指して、授業がもっとよくなる3観点というものを示して、子供にとって狙いが明確で、追求にめり張りがあり、授業の終わりでは学んだことを振り返ることができる、そういう授業づくりを推進しております。
 この結果でありますけれども、全国学力・学習状況調査によりますと、授業で目標が示されていたと答えた子供の割合は、小学校で85.6%、中学校では82.6%、それから、授業で振り返りの活動をよく行っていたと答えた割合は、小学校では74%、中学校64.5%でありますが、どちらの項目も年々向上しているところであります。さらに一層定着するよう取り組みを推進してまいりたいと思っております。
 次に、高校再編に向けて、地域や同窓会との合意形成であります。
 社会が激しく変化して少子化が進む中で、最善の学習環境を整え、将来にわたって高校教育の学びの質を保障していくことは、次世代に対する私たち世代の責任であり、最優先すべきは子供の利益ということに関しては全く同感でございます。
 高校再編の検討に当たっては、地域全体の高校教育のあり方を議論することによって地域や同窓会の御理解も得てまいりたいと思ってます。そのためには、今年度、旧12通学区ごとの地域懇談会やパブリックコメント等を実施しまして、地域の方々の御意見を聞きながら、通学区ごとの再編の基本理念、方針を盛り込んだ学びの改革実施方針を策定する予定ですが、地域の方々と丁寧に懇談を重ねて合意形成を図ってまいりたいというふうに思っております。
 それから、最後に、言語障害通級指導教室の御質問でございます。
 まず、設置基準及び充足状況でありますけれども、この言語障害通級指導教室については、言語障害があって支援が必要な子供たちが、おおむね通常の学級の授業に参加しながら、週に一、二回程度通って指導を受けるという場でありまして、指導形態としては、在籍校に設置されている教室に通う自校通級の形と、それから在籍校以外の学校に設置されている教室に通う他校通級というのがあります。
 この設置は、国から配分されている定数の枠の中で、児童の実態や指導の継続性、地域のバランス等を考慮して行っているところでありまして、現在、県内全域で38カ所設置しているところでありますが、充足状況ということでありますけれども、さらに一層学びやすい環境づくりには努めてまいりたいというふうに思っております。
 そして、東御市における対応についてでございますけれども、東御市においては設置校がなく、上田市の設置校に他校通級している児童がおって、負担の軽減が大きな課題となっているというふうに考えております。今後、隣接地の通級指導教室の担当教員が東御市の拠点校において指導を行うサテライトや、東御市の学校を訪問する巡回指導などの方法を含めて、子供たちの実態に応じた、より効果的な通級指導のあり方を検討してまいりたいというふうに考えております。
      

◆石和大

 

 冒頭申し上げましたひょう害については、東御市、上田市、そして松本市等、被害を受けられた皆さんに心からお見舞いを申し上げます。
 ひょうは火災と同じです。5分間の間に全て一瞬のうちにそれを奪ってしまうわけであります。ぜひ県も、国に対しての働きかけも含めて柔軟な対応で救済措置等を講じていただければというふうに思います。
 気候の変化や人口の減少など、さまざまな変化への対応や工夫が現在求められています。答弁をいただきましたけれども、またより一層熱意ある、より真摯な取り組みに期待をして、質問を終わります。