平成29年11月定例県議会 発言内容(今井愛郎議員)
◆今井愛郎
信州・新風・みらいの今井愛郎です。通告に従いまして順次質問してまいります。
まず、次期総合5カ年計画の策定に当たり、知事は、政策推進の基本方針に学びの県づくりを挙げておられます。以前よりまちづくりや人づくりを政策信条としている私にとって、人づくりにつながる学びを次期総合5カ年計画の柱に添えていただいたことに大変共鳴するものであります。
また、諏訪地域振興局が作成している地域版次期総合5カ年計画の素案でも、小中学生には諏訪湖や地域産業に対する学びを取り込まれており、学びの県づくりの方針が鮮明になってきていると思います。
しかし、小中学生の学びを担う教育事務所は県内に4カ所、飯田を含めても5カ所で、5カ所の地域振興局には教育を所管する事務所がないのが現状です。地域振興局の設置が、地域の課題は地域で解決し、権限を地域振興局長に移行させていこうとしている中で、局長の側近として教育関係者が地域振興局内に1人もいないようでは、学びの県づくりや目指すべき地域振興局長像も絵に描いた餅に終わってしまうと危惧しております。
地域振興局内へ教育事務所を新設までは求めませんが、せめて地域振興局内に指導主事として職員1人を常駐させ、地域振興局長の教育支援体制を充実させることが学びの県づくりの近道と考えますが、知事の御所見をお尋ねしておきます。
続いて、地域で進める里山集約化事業に関連してお尋ねします。
この事業は森林税が財源になっておりますが、先日、自民党税調が2018年の与党税制大綱で、1,000円程度の、仮称、森林環境税を新設する方針であることが明らかになりました。まだ未確定部分があるとはいえ、2023年より前に課税が始まると、今定例会に延長を求めている県の森林税と二重課税になる可能性があると思います。二重課税に対する御所見とその際の対応について阿部知事にお尋ねしておきます。
次に、信濃毎日新聞社の記事によって明らかになった間伐取りまとめ同意書改ざん等の問題についてですが、会派への説明会で、地権者からは事業への同意をとれており、補助金そのものが架空請求されたわけではないとの説明に安堵した部分もあるわけですが、申請書に不正や改ざんがあったならば不正受給と言われてもやむを得ないと思います。
6月定例会で上伊那地区の森林整備に対する補助金交付取り消し問題を取り上げた際、今後もぽろぽろと不正受給が発覚するようでは森林税継続に対する県民理解は得られない。全件調査をしたとするならば、これ以上の不正受給はないという力強い答弁をいただきたいと求めたのに対し、山﨑林務部長は、不正受給について可能な限り全て洗い出したものと考えておりますと答弁されております。
そこでお尋ねしますが、一つ目、6月の一般質問時点で今回の事案を掌握していたわけですか。
二つ目、掌握していたとしたならば、不正受給という認識は一切なかったということですか。
三つ目、今回の事案は補助金不正受給でなかったとしても、有印私文書または有印公文書偽造または捏造及び同行使に該当する可能性があると思われますが、該当することはないと断言できますか。
以上3点、林務部長にお尋ねいたします。
お答えします。
まず、総合5カ年計画における学びの県づくりの体制について、地域振興局に指導主事を1人常駐させてはどうかという御提案でございます。
確かに、教育委員会や教育関係者と我々知事部局とが連携していく体制をつくっていくということは私も重要だというふうに思っております。これまでも、総合教育会議を設置しましたし、また、これは他県ではこういう取り組みはやってないところがほとんどだと思いますけれども、やはり教育は市町村長、市町村教育委員会との連携も大事だということで、昨年度から県と市町村との総合教育懇談会を開催させていただいて、教育関係者のみならず市町村の教育委員会、あるいは市町村長とも教育の問題意識を共有しようという体制をとっております。
また、地域レベルにおきましては地域振興局を設置したわけですけれども、現地機関の長によります地域振興会議を置いております。教育問題は重要だという考え方から、教育事務所長も参画をする形をとらせていただいております。こうした体制を活用する中で、この学びの県づくり、知事部局と教育委員会が十分問題意識を共有して連携しながら取り組んでいきたいと考えております。
それから、国の森林環境税と今回私どもが提案させていただいております森林づくり県民税との関係についてであります。
これは、議員も御承知かと思いますが、国の森林環境税(仮称)はまだ検討中でありますが、数年前から既に検討が行われてきているところでございます。昨年末の与党の税制改正大綱においては、平成30年度税制改正において結論を得るという形で明記されているところでありまして、県としても、当然のことながら、こうした動向も十分認識をしながら森林づくり県民税の検討を行ってきたところであります。
このほど総務省が設置いたしました有識者検討会におきましては、基本的な枠組みや課題が報告書としてまとめられているわけでありますけれども、この中で、使途については、主に所有者による自発的な施業が見込めない森林の整備を対象としており、長野県を含め37府県で行われている超過課税との関係につきましては、国としても各府県の超過課税の内容を尊重し、両者の関係の整理が円滑に進むよう必要な対応を行うよう努めるべきという形で整理されているところであります。
現段階では、制度の詳細が明らかでない部分もございますので、今回私どもが取りまとめました森林づくり県民税に関する基本方針におきましては、国の森林環境税(仮称)の使途等が具体的に明らかになった段階で、必要な場合には本県の森林づくり県民税のあり方について再検討を行うという形にさせていただいているところでございます。引き続き国の動向を注視をしていきたいと考えております。
以上です。
まず、里山集約化事業の関係で、事案を把握した時期についてのお尋ねでございます。
北安曇地方事務所林務課職員が行った間伐の同意書の書きかえなどについては、平成28年1月に北安曇地方事務所林務課からの報告を受け、この時点で当時の林務部長に報告されております。また、私も6月の時点では把握をしております。
それから、不正受給の認識についてのお尋ねでございます。
平成28年1月の報告を受けまして、林務部と北安曇地方事務所林務課が調査を行い、間伐の同意書については森林所有者の同意が得られているものであり、補助金交付上は問題ないと法的専門家の知見も踏まえ判断したため、不正受給とは考えておりません。
それから、有印私文書偽造等の可能性とのお尋ねでございます。
刑法には有印私文書偽造などの規定がございますが、このたびの事案につきましては、北安曇地方事務所の事務処理の代行について協議会の承諾を得ていたものと職員が考えていたものであり、故意はなかったことから、法的専門家の知見を踏まえ、これらの罪には該当しないと考えております。
教育関係者の地域振興局への配置についてはぜひ考えていただきたい。地域振興局長はやはり教育関係者でない方がほとんどだと思います。多分、やったことのある方もいらっしゃらないと思うので、やはり教育をしっかりしていこうということであれば、ぜひその辺をもう1回考えていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
続いて、有印公文書偽造等に当たらないと考えているということでしたが、刑事訴訟法の239条1項では、何人も犯罪があると思料するときは、告発をすることができると規定されております。県としては、県民から告発されることは絶対ないということでよろしいのか、知事にお尋ねしておきたいと思います。
それから、新聞報道にあるように、今回の印鑑の有無や事務委任の有無も問題ではありますけれども、今回の最大の問題点は、補助金交付側が補助金申請業務も行っていたこと、すなわち利益相反の疑いが強いということであります。補助金行政における利益相反について、知事はいかがお考えでしょうか。
また、森林事業に限らず、観光事業あるいは各種講演会やイベント等の補助金交付事業についても、県民から利益相反の疑いを抱かれないためにも、県職員による補助申請業務の代行を減少させていくべきと考えますが、知事の御所見をお尋ねいたします。
最初の御質問につきましては、先ほど林務部長が御答弁申し上げたとおり、刑事罰に該当するものではないというふうに認識をしているところでございます。
それから、今回の里山集約化事業について、利益相反あるいは交付の担当職員が申請業務を行うことについてどう考えるかという御質問でございますが、今回の里山集約化の事業に関連いたしましては、これは補助金の申請者と交付者がそれぞれ異なっているという状況であります。したがいまして、いわゆる利益相反というものには該当しないというふうに考えております。
しかしながら、職員が、交付する側、申請側の双方の立場に携わるということについては、これは私もできる限りそうならないような形のほうが望ましいというふうに思います。行政運営上の必要から県職員が団体の職員の身分で補助金申請等の事務を行う場合には、申請担当者と交付担当者を別に設定するであるとか、あるいは県及び団体の双方で十分なチェックを行うといったような取り扱いを徹底していくことが重要ではないかというふうに思っております。
以上でございます。
今、告発されるような事案ではないということですから、これは安心しておきたいなと思っております。
知事から利益相反に当たらないという考えがありましたが、私は、やはり当たるんじゃないかなと思います。なぜならば、確かに申請者は違うけれども、書類をつくった方は同じ人がつくっているわけですね。この方々が書類をチェックする。もっと言えば、仮にこれが違う職員だとしても、県の職員がそれをやっているとすれば、やはり県民から見た場合には、補助金を出す側、いわゆる交付する側ともらう側が同じことをしているじゃないかということは、私は本来利益相反の考え方だと思います。私は、その考え方を減らすようにしなければ、知事の言うコンプライアンスが守られないんじゃないかなと思いますので、これはぜひ検討していただいて、しっかりとしたコンプライアンスを徹底していただきたいと思います。
次に、トレーラーハウスについてお尋ねします。
震災時の仮設住宅として脚光を浴びたトレーラーハウスですが、最近は附属設備の充実や建築確認申請が不要等の理由から、簡易宿舎や居住施設としての利用がふえていると聞きます。しかし、トレーラーハウスは、設備等が全く同じでも、その設置状況により課税区分が家屋になったり償却資産になったりします。事業用か否かを問わず、家屋に該当した場合には、不動産取得税と、相当の期間固定資産税が課せられる一方で、償却資産の場合は、事業用のみが課税され、その償却期間は4年と短く、その後は非課税となるケースが多いと聞きます。
そこで、企画振興部長にお尋ねします。
一つ目、県として、事業用、非事業用を問わず、県内市町村で課税され、あるいは償却課税されているトレーラーハウスの課税状況を把握されていますか。
二つ目、本来、家屋または事業用償却資産として課税されるべきトレーラーハウスの確認申請等が不要であることから、所有者の認識不足で所定の手続が行われないこともあり、どのような方法で設置を掌握されていますか。
続いて、健康福祉部長に以下4点お尋ねします。
一つ目、県内で宿泊業に利用されているトレーラーハウスの状況を把握されておりますか。
二つ目、簡易宿泊施設の許可は原則都道府県ですが、建築確認を必要としないので、申告がなければ無許可のまま宿泊業が行われてしまう可能性がありますが、現状と課題についてお尋ねしておきます。
三つ目、簡易宿泊施設と言っても、中にはトイレばかりか浴室、キッチンもあり、ホテルより設備が整えられているものもあります。このような施設に対しては、衛生、消防面などは旅館やホテルに準じた対応が必要と考えますが、いかがお考えですか。
四つ目、これから法整備される民泊では、償却資産対象となるトレーラーハウスであっても家屋としての登記が必須条件とのことでした。同一の施設で、宿泊という実態が同じでありながら、許可の前提条件が民泊と業者では異なってくるというのではダブルスタンダードであると考えますが、簡易宿泊施設の許可基準の見直しについていかがお考えですか。
トレーラーハウスへの固定資産税の課税についての御質問、まず、県内市町村における課税の状況についてでございます。
固定資産税は市町村税でありますので、課税や徴収の事務は各市町村で行われております。したがいまして、県としましては、個々の資産への課税状況について詳細を把握しているものではございませんが、御質問いただきましたトレーラーハウスへの課税は、現時点では県内10以上の市町村でなされているものと伺っております。
続いて、設置の掌握方法についてでございます。
通常、取得された資産が固定資産税の課税客体として市町村の課税台帳に掲載される段取りとしましては、家屋につきましては、建築確認申請のほか、法務局の登記情報、航空写真による調査、市町村職員による実地調査等を行い、屋根や壁があるか、土地に定着しているか、建物の用途に供し得る状態にあるかといった要件を満たしているかを認定しているものと承知をしております。
一方、事業用償却資産につきましては、所有者に市町村へ提出義務が課されております申告書や国税関係資料の閲覧などのほか、定期的な事業所調査などにより把握しているものと承知をしております。御質問のトレーラーハウスにつきましても、これと同様の取り扱いがなされているものと認識をしております。
以上でございます。
トレーラーハウスについて4点お尋ねをいただきましたので、順次お答えをさせていただきます。
まず、旅館業法に基づき営業許可をしている施設は県内9カ所でございます。
また、トレーラーハウスについても、他の施設と同様に、旅館業法に基づき営業する場合には保健所長の許可が必要となっております。許可を受けた施設については保健所職員の定期的な現地立入調査を実施しており、増改築が行われた施設については必要があれば変更または新規の許可申請を行うよう指導しております。また、市町村等からの情報提供により無許可営業が疑われた施設については調査を行い、許可の取得などの必要な指導を実施しております。
旅館業法の施設の種類としては、ホテル、旅館、簡易宿所などがあり、部屋数や面積などの構造設備の基準が異なっております。簡易宿所として許可申請がなされた場合、構造基準を満たしていれば許可しているところでございますが、その際、面積や部屋数によってホテル等に該当することも考えられますので、状況を確認の上、施設の種類を判断しているところです。
いわゆる民泊サービスを対象とした住宅宿泊事業法は、登記されている住宅を対象としており、届け出申請の際に添付書類として登記事項証明書が必要とされておりますが、旅館業法上の許可申請の際には必要とされておりません。しかし、宿泊業であることは同じであるため、旅館業法の運用についても取り扱い要領等を定め、建築基準法の関係書類、登記情報なども確認しながら対応するよう努めてまいります。
以上でございます。
固定資産税にしましても、宿泊許可にしましても、建築確認等と言いますけれども、先ほど申し上げたとおり、多くの場合、トレーラーハウスは建築確認申請が不要になるようなものが多いというふうに聞いております。そういったもので確認するということは、基本的には私は不可能じゃないのかなと思います。そうすると、地元の市町村がそれを見て回ってこなければいけない、そんなことでは私はいけないんじゃないかと思っております。
トレーラーハウスを簡易施設として許可する場合、そもそも移動を想定していないにもかかわらず、すなわち土地定着が前提になっているのに、税務上は簡易取り外しが可能で随時移動できる状態か否かで課税方法を決定しております。宿泊業と課税の考え方の整合性がないと私は思います。
その実態や課税方法が想定の範囲を超えているにもかかわらず法整備が追いついていないからであり、結果的に課税の最前線にいる市町村担当者を悩ませているのではないでしょうか。県は宿泊施設の許認可権も持っておりますし、県内市町村での税の公平性を担保していくためにも、県として事例が少ないうちに宿泊許可や課税のあり方を再考し、その見解を県下の市町村に周知徹底させることは、市町村はもとより、県としても税収確保につながり、また、他の宿泊業者とのあつれきを抑える効果もあると思います。そのためにも、部局横断的な対応が必要かと思いますが、今後の取り組みについて阿部知事に御所見をお尋ねいたします。
宿泊施設として活用されているトレーラーハウスへの課税等への対応についての御質問でございます。
この問題は、御指摘があったように、しっかり整理をして対応していかなければいけない部分があるなというふうに私も認識をしております。トレーラーハウスへの課税については、固定資産税の課税客体であります家屋と事業用償却資産の認定要件、これは法令上では明確にされているわけでありますが、御質問の事例のように、市町村の実務においては、そのどちらに該当するか判断に苦慮するケース、あるいは課税客体を捕捉すること自体が困難なケースもあるというふうに考えます。
県といたしましては、市町村に対しまして、土地定着というものの概念の判断基準、あるいは宿泊施設の許可にかかわる情報提供を行うなど、トレーラーハウスへの適正な課税事務がなされるよう必要な助言を行ってまいりたいと考えております。また、それでもなお課税に当たって課題が生じるといったような場合には、国に対しても問題提起をしていかなければいけないというふうに思います。
また、宿泊業の許可に当たりましては、衛生面では換気設備や入浴設備の有無、消防面では誘導灯の設置などの問題があります。こうした問題を含め、法令に沿って適切な対応を行っていきたいと考えております。
以上です。
トレーラーハウスについて前向きに検討いただける、特に宿泊に使われていることについて検討いただけるということで、大変感謝したいと思います。
今回も、実はこの質問をする前に問い合わせをしたところ、実際にはトレーラーハウスが設置されているのに固定資産税が課税されていない。宿泊で使われていると思われても、料金を取っていないから無料宿泊施設だと言い張って旅館業法の許可を得ていない。やはりこういったことが起こっているのは現実であります。市町村の現場では、やはりそれに対しての対応が非常に困惑しているところがあると思いますので、ぜひともそこはしっかりと県として指導、あるいは音頭をとっていただいて、市町村が困らないようにしていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わりにしたいと思います。